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第 7 号 Table 1 ガラス基板上の無電解 Cu めっき膜の密着性に対する触媒核の数密度の影響 503 Plating bath and plating conditions. Bath composition CuSO4 5H2O : 0.03 mol/dm3 C10H4N2Na2O8 2H

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東京都立大学大学院生(Graduate Student, Tokyo Metropolitan University)

ガラス基板上の無電解 Cu めっき膜の密着性に対する

触媒核の数密度の影響

岡 本 尚 樹

1,

木 村   隆

2

渡 辺   徹

1 1東京都立大学大学院工学研究科応用化学専攻 2物質材料研究機構

J. Japan Inst. Metals, Vol. 69, No. 7(2005), pp. 502508  2005 The Japan Institute of Metals

The Effect of Catalyst Density for Adhesion of Electroless Deposited Copper Films on Glass Substrate

Naoki Okamoto1,, Takashi Kimura2 and Tohru Watanabe1

1Department of Applied Chemistry, Graduate School of Engineering Tokyo Metropolitan University 2National Institute for Materials Science

In the present study, the adhesive properties and initial deposition processes of electrolessdeposited Cu films to glass sub-strates in detail. The adhesive strengths of Cu thin films which were electrolessdeposited on the glass subsub-strates were evaluated by adhesive tape test, while their surface structures were analyzed by using TEM. We used twostep catalyzation (sensitization activation) method for pretreatment of electrolessdeposition onto glass substrates. The catalyst distribution can be made to vary. The adhesive strength of Cu films tends to increase with decreasing SnCl2concentration in sentitizer and increased with

increas-ing surface roughness of glass substrates. In order to specify the exfoliation site, the quantitative analysis of Sn and Pd on the ex-foliated film and the substrate was investigated by XPS. XPS analysis showed that Sn and Pd existed on the exex-foliated films and only Sn existed on the substrates. The results indicated that the exfoliation of all the films electrolessdeposited on glass substrates occurred in the interface between the Sn adsorbates and the Pd adsorbates. The drying pretreatment after activation improved adhesive strength.

(Received November 25, 2004; Accepted May 2, 2005) Keywords: electrolessdeposition, adhesion, copper, glass

1. 緒 言 近年,ガラスをはじめとする非導電性基板材料への無電解 めっきは,電子デバイスなどにも用いられる重要な技術とな っている.非導電性基板は,基本的に無電解めっき反応に対 する触媒活性な表面を持たない.そのため,基板表面に触媒 性を付与する必要がある.その手段として,Pd 触媒核を基 板表面に吸着させる方法が一般的に用いられている.その場 合,触媒活性化の処理条件によって,触媒核の分布状態や活 性が変化し,その後に形成されるめっき膜の表面形態や物性 が異なることが報告されている112).湿式法による代表的な 触媒活性化前処理として,一液法と二液法がある13,14).本研 究では,二液法(センシタイジングアクチベーティング法) を用いた.本法による Pd 触媒核の形成は,一般的に次の反 応式で表わされる13) Pd2++Sn2+=Pd+Sn4+ しかし,その反応機構やめっき膜の析出機構についてはこれ までにさまざまな研究報告がある1521)が,現在もその詳細 は明らかではない. 二液法により触媒活性化されたガラス基板上に析出した無 電解めっき膜は,そのままでは実用上十分な密着性を持たな いことが多い.そのため,基板表面を化学的あるいは機械的 に研磨することによって粗化することで,めっき膜の密着性 を確保することが一般的に行われている.しかし,用途によ っては基板の粗化に制限がある場合がある.そこで本研究で は,基板の粗化を行うことなく二液法活性化前処理によって 形成される無電解 Cu めっき膜の密着性を向上させることを 検討した.そのために,触媒核の分布状態やめっき条件の違 いによるめっき膜の密着性の変化について調べた. 2. 実 験 方 法 本研究ではスライドガラスを基板とした.無電解めっきの 触媒活性化前処理は,まずガラス基板を 10KOH で 1 分 間脱脂した後,次にセンシタイジングアクチベーティング 法(二液法)で行った.センシタイジング処理は 2.40 mol/m3 HCl を含む 0.89 mol/m3SnCl 2水溶液に基板を 120 s 間浸漬 し,次のアクチベーティング処理は 12.0 mol/m3HCl を含 む 0.56 mol/m3PdCl 2水溶液に 60 s 間浸漬して行った.そ

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Table 1 Plating bath and plating conditions. Bath composition CuSO4・5H2O : 0.03 mol/dm3 C10H4N2Na2O8・2H2O : 0.07 mol/dm3 HCHO : 1.8 ml/dm3 Plating condition pH : 12.7 Temperature : 343 K

Fig. 1 TEM brightfield images of glass substrates after immersed into the deposition bath. (a) after activation, Immersion time: (b) 1 s, (c) 3 s, (d) 5 s, (e) 12 s and (f) 22 s. れぞれの処理後には純水により洗浄を行った.本研究ではこ の条件を標準条件とした.これらのうち,センシタイジング 液中の SnCl2濃度およびアクチベーティング液中の PdCl2 の濃度を標準条件より変化させて作製しためっき膜の密着性 について調べた.無電解 Cu めっきの浴組成およびめっき条 件を Table 1 に示す.還元剤にホルムアルデヒドを,錯化剤 としてジメチルアミンボランをそれぞれ用いた.活性化前処 理後の基板表面および析出初期の Cu めっき膜を TEM(日本 電子製 JEM1010, JEM2000FE)で観察した.TEM 観察 用の試料はカーボン蒸着による抽出レプリカ法により作製し た.めっき膜の密着性は,テープ試験法(JIS H8504)および スクラッチ試験法(島津製作所製マイクロスクラッチテスタ SST101)で調べた.また,めっき膜および基板の剥離面の 表面分析は XPS(島津製作所製 ESCA3400)で行った.めっ き 膜および基 板の膜厚方 向の組成分 布は GDOES(Glow DischargeOptical Emission Spectroscopy堀場製作所製 JY5000RF)を用いて分析した. 3. 実 験 結 果 3.1 無電解 Cu めっき膜の初期析出形態 標準条件でめっきを行ったときの,触媒活性化前処理後と めっき浴浸漬時間 22 s までに基板上に形成された触媒核お よび析出物の分布状態や形態を TEM で観察した.その結果 を Fig. 1 に示す.触媒活性化前処理後の基板(a)には,直径 5~10 nm の大きさの粒子が均一に分散している様子が観察 される.また,個々の粒子から得られた電子線回折図形より, Pd および Sn3Pd 金属間化合物の存在が確認された.未処理 のガラス基板ではこれらは観察されなかったことから,(a) で観察された粒子状析出物は Pd を含む触媒核(以下触媒核 と表記)であると判断した.また,XPS による表面分析を行 った結果,Sn も基板上に残存していた.以上のことから, 触媒活性化前処理によって Sn 吸着物が残存したまま触媒核 が形成されることがわかった.基板をめっき浴に浸漬後,浸 漬時間 3 s(c)までは触媒核の分布状態が変化するもののめっ き膜の析出は見られない.めっき時間が 5 s(c)を越えると, 図中 A に示すような島状の析出物が観察されるようにな り,その後めっき時間 5 s(d), 12 s(e), 22 s(f)と長くなる と,島状析出物の大きさや数が増大し,連続膜となっていく 様子が観察された.浸漬時間が 12 s(e)を超えたとき,めっ き膜が基板全面に析出する様子が肉眼でも観察され,同時に 無電解めっき反応による水素ガスの発泡も観察された.これ らのことから,基板全面をめっき膜が覆い,同時に水素ガス が発生し始めるまでに要した時間がめっき始動のインダクシ ョンタイムであると判断した.同様の実験を繰り返し行って

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Table 2 Number of catalysts after catalyzed using various PdCl2or SnCl2concentrations and number and size of deposits

after deposition (10 s). PdCl2content in activator (mol/m3) Number of catalysts (number/mm2) Size of deposits (nm) Number of deposits (number/mm2) 0.06 5000 100 100 (C) 0.56 7000 50~100 250 5.6 10000 10~30 600~ (A) SnCl2content in sensitizer (mol/m3) Number of catalysts (number/mm2) 0.09 3000 50~100 200 (D) 0.89 7000 50~100 250 8.9 8000 10~60 300 (B)

Fig. 2 TEM brightfield images of electroless deposited Cu films on glass substrates prepared by using several sensitizer and acti-vators. Number of catalysts, number/mm2(A) 10000, (B) 8000, (C) 5000, (D) 3000. The pretreatment conditions and symbol (A)~

(D) correspond with Table 2. Immersion time: (A) 8 s, (B) 11 s, (C) 16 s, (D) 18 s. (Immersion time was adjusted to the induction period). も,これらの析出物の形態は再現性良く観察された. 3.2 触媒活性化前処理条件とめっき膜の初期析出形態 触媒活性化前処理に用いるセンシタイジング液中の SnCl2 濃度を 8.9 mol/m3と 0.09 mol/m3,アクチベーティング液 中の PdCl2濃度を 5.6 mol/m3と 0.06 mol/m3に変化させた ときのめっき膜の初期析出形態を調べた.それぞれの前処理 条件で基板上に形成された触媒核の数密度を Table 2 に示す. SnCl2濃度および PdCl2濃度の増加と共に,触媒核の数密度 が増加していることがわかる.そのときのめっき膜の初期析 出形態を TEM で観察した結果を Fig. 2 に示す.尚,Table

2に Fig. 2 中の各像に対応した前処理条件を記号((A), (B), (C), (D))で示した.触媒核の数密度が 10000 number/mm2 (A)のときは,直径 10~30 nm の島状のめっき膜(以下島状 析出物と表記)が 600 個/mm2以上の数密度で形成されてい た.同様に触媒核の数密度が 8000 number/mm2の(B)で は,直径 10~60 nm の島状析出物が約 300 number/mm2 数密度で,さらに触媒核の数密度が 5000 number/mm2 (C)では,島状析出物の直径は約 100 nm で,数密度が 100 個/mm2と,本実験条件の中で最も少なかった.一方,触媒 核の数密度が 3000 number/mm2(D)では,直径 50~100 nm の島状析出物が約 200 number/mm2の密度で形成されてい た.TEM 観察の結果より,触媒核の数密度に対する析出物 の大きさおよび数密度の変化を Fig. 3 に示す.析出物の数 密度は,基本的に触媒核の数密度が多いときにより多く形成 されることがわかる.ただし,(C)と(D)ではそれらの傾向 とは異なり,(D)の方が析出物の数が多くなった. 3.3 めっき条件による密着性の変化 無電解めっきでは,pH や浴温といっためっき条件によ り,めっき膜の物性が変化する.このことから,密着性につ いても,めっき条件によって変化することが考えられた.そ こで,種々のめっき条件で得られためっき膜の密着性につい て調べた. Fig. 4 に,種々の条件で作製しためっき膜の膜厚の増加に 伴うテープ試験後のめっき膜の残存率の変化を示す.標準条

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Fig. 3 Sizes of deposits (●) and number of deposits on glass substrates (□) after deposition (10 s) as a function of number of catalysts.

Fig. 4 Survive rate as a function of film thickness of Cu film deposited on glass substrate. (a) Standard condition (bath temperature 343 K, pH 12.7), (b) Changed deposition bath pH (bath temperature 343 K), (c) Changed deposition temperature (pH 12.7).

Fig. 5 Adhesive strength of Cu film electrolessdeposited on glass substrate. The pretreatment conditions and symbol (A)~ (D) correspond with Table 2.

件(pH 12.7,浴温 343 K)で作製しためっき膜では(a),めっ き膜厚が約 0.05 mm 以下ではめっき膜は剥離せず,膜厚の 増加と共に残存率は低下し,0.15~0.2 mm を超えるとほと んどの試料で完全に剥離している.次にめっき浴の pH を変 化させて同様の実験を行った.本実験で用いためっき浴は, pH が 12.0 未満ではめっきが十分に始動せず,また,13.0 を超えるとめっき浴が自己分解を起こす.そのため,めっき 可能な範囲である pH 12.0 と 13.0 の浴を用いて実験を行っ た(b).いずれの pH でも,めっき膜厚が約 0.05 mm まで残 存率が 100を示したが,膜厚の増加と共に残存率は低下 し,めっき浴の pH の違いによる密着性の変化は見られなか った.次にめっき浴の温度を変化させた(c).めっき浴の pH と同様に安定にめっきが可能な最低温度である 333 K と 最高温度である 353 K で実験を行った.浴温 333 K では膜 厚 0.05~0.07 mm まで残存率は高い.同様に浴温 353 K で も 0.05~0.06 mm の膜厚で残存率が高かった.しかし,い ずれの浴温でも,膜厚の増加と共に残存率は低下し,膜厚が 0.3mm を超えるとほとんどの試料でめっき膜は完全に剥離 した. 3.4 触媒核の数密度によるめっき膜の密着性の変化 触媒活性化前処理条件による密着性の変化について調べた. Fig. 5 に,Table 2 の条件でそれぞれ触媒活性化前処理を行 って作製しためっき膜の膜厚に対する残存率の変化を示す. いずれの場合にも膜厚の増加と共に,残存率は低下してい た.また,触媒核の数密度が 5000~10000 number/mm2 は,膜厚が 0.1 mm を超えると,残存率は 100以下になっ た.しかし,触媒核の数密度が 3000 number/mm2のときに は,膜厚が 0.1 mm を超えても残存率が 100を示してお り,他よりも密着性が良好であることがわかる.同様の条件 で作製した膜厚 0.1 mm の Cu めっき膜の密着力をスクラッ チ試験法でより定量的に比較した.その結果を Fig. 6 に示 す.先のテープ試験の結果と同様に触媒核の数密度が 3000 number/mm2(D)のものでは密着力が高い.また,触媒核の 数密度が標準条件(7000 number/mm2)よりも多い場合(A), (B)では,密着力は低くなる(標準条件 80.0 mN)傾向が見ら れる.一方で,触媒核の数密度が標準条件よりも少ない 5000 number/mm2(C)ときは,密着力も低くなっていた.ま た,アクチベーティング液中の PdCl2濃度を 5.6 mol/m3と 高くすると,めっき中にめっき膜の部分的な剥離が多数確認 された.めっき中の膜の剥離は,膜厚増加と共に顕著になる 傾向が見られた.また,その傾向は,センシタイジング液中 の SnCl2濃度を高くしたときも同様であった. 以上の結果から,めっき膜の密着性は,触媒核の数密度を

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Fig. 6 Acoustic emission curve for Cu electrolessdeposited film on glass substrate prepared with using various sensitizer and activa-tor. PdCl2in activator: (a) 5.6 mol/m3, (c) 0.06 mol/m3. SnCl2in sensitizer: (b) 8.9 mol/m3, (d) 0.09 mol/m3.

Fig. 7 GDOES depth profiles of Cu film/glass substrate. Film thickness: 0.25 mm. 約 7000 number/mm2以上にすると低下することがわかっ た.一方で触媒核の数密度を少なくした場合は,センシタイ ジング液中の SnCl2濃度を低くして触媒核の数密度を 3000 number/mm2としたときに密着性が最も良好であったもの の,アクチベーティング液中の PdCl2濃度を低くして 5000 number/mm2としたときは,標準条件(7000 number/mm2) よりも密着性は低下し,前処理条件により違いが見られた. 3.5 剥離界面および剥離原因の検討 Fig. 7 に,標準条件で作製したガラス基板上の無電解 Cu め っき膜(膜 厚約 0.25 mm)の膜厚方向 の組成分布を GD OES で測定した結果を示す.H 濃度がめっき膜中およびガ ラス基板と Cu めっき膜との界面付近で高くなっている.基 板からめっき膜を剥離し,剥離後のめっき膜と基板のそれぞ れの表面を XPS により定性分析を行った.Fig. 8 にそれぞ れの結果を示す.Sn3d のスペクトル(a)は,基板(点線)と めっき膜(実線)のいずれの場合も明瞭なピーク(Sn3d5/2= 485.9 eV)が見られた.一方,Pd3d のスペクトルは,めっ き膜(実線)からは明瞭なピーク(Pd3d5/2=334.9 eV)が観察 されたものの,基板(点線)は観察されなかった.また,Cu についても同様に測定を行ったが,Cu に起因するピークは 基板からは検出されなかった.このことから,めっき膜の剥 離は,活性化前処理によって吸着した Sn 吸着物層と Pd 吸 着物との界面あるいは,Sn 吸着物層そのものの内部で破壊 が起こったことが示唆された.また,Fig. 7 に示すように剥 離界面近傍で H 濃度が高くなっていることから,めっき反 応の副反応により発生した H がめっき膜と基板との界面に 取り込まれている可能性が示唆された. 3.6 めっき膜の密着性向上の検討 以上の実験結果から,めっき膜の剥離は活性化前処理によ り形成される Sn 吸着物と Pd との界面もしくは Sn 吸着物 そのものの破壊であることがわかった.そこで,それらの界

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Fig. 8 XPS spectra of exfoliated Cu films (solid line) and glass substrates (dotted line).

(a) Sn3d, (b) Pd3d.

Fig. 9 Adhesive strength of Cu film electrolessdeposited on glass substrate prepared with using dry treatment.

(a) tape testing result, (b) Scratch test result (Acoustic emis-sion curve).

Fig. 10 Schematic model of exfoliate process. (a) before exfoliate, (b) after exfoliate.

面での密着強度を向上させる一つの方法として,標準の触媒 活性化前処理後に 343 K で 60 s 間加熱乾燥を行う乾燥処理 を施した.乾燥処理を行うことで,Sn 吸着物および Pd 吸 着 物 が め っ き 液 に 溶 解 し 難 く な る こ と が 報 告 さ れ て お り21),このことが密着性の向上に寄与すると推測したため である.Fig. 9(a)は乾燥処理を行った場合のテープ試験後 のめっき膜の残存率の変化を示す.乾燥処理を行わなかった もの(Fig. 4)では膜厚 0.05 mm 以上で剥離したが,この試料 では,めっき膜の膜厚が 0.4 mm を超えても,残存率はほぼ 100であった.Fig. 9(b)に同様に乾燥処理を行って作製し た膜厚 0.1 mm のめっき膜の密着力をスクラッチ試験により 評価した結果を示す.乾燥処理を行わない通常の標準条件や 34 で検討した前処理条件を変化させた場合に比べて良好な 密着力であることがわかる.同様の実験を繰り返し行ったと ころ,通常の標準条件で作製しためっき膜の 5 倍~10 倍の 密着力であることがわかった. 4. 考 察 ガラス基板上に形成された無電解 Cu めっき膜の剥離前の 界面は Fig. 10 に示すような 5 種類の界面が存在すると考え られる.◯Cu めっき膜とガラス基板,◯Cu めっき膜と触 媒核,◯Cu めっき膜と Sn 吸着物,◯触媒核と Sn 吸着物, ◯Sn 吸着物とガラス基板の界面である.そして上述の XPS 測定の結果から,めっき膜剥離後には,これらの界面のうち, ◯Cu めっき膜とガラス基板,◯Cu めっき膜と Sn 吸着物, ◯触 媒核 と Sn 吸着 物の 界 面が 分 離し た と考 え られ (Fig. 10),さらに,上記の界面の他に◯Sn吸着物の層が内部で 破壊している可能性も考えられた.このうち◯と◯の Cu め っき膜が関与する界面については,めっき条件を変化させて も密着性が変化しなかったことから,◯と◯の界面での密着 性がめっき膜の密着性の良・不良に直接影響を及ぼしたとは 考えにくい.一方で,Fig. 5 に示したように,触媒核の数密 度を変化させた場合に,めっき膜の密着性が変化したことか ら,めっき膜の密着および剥離に最も強く影響するのは◯と ◯の界面での密着力であると考えられる. これらのことから,めっき膜の密着性は,めっき条件の違 いよりも触媒核の分布状態の違いによって変化すると考えら れる.また,Fig. 4 および Fig. 5 に見られるようにめっき 膜の膜厚増加と共にめっき膜は剥離しやすくなるが,この点 について Fig. 7 のように,基板とめっき膜との界面の H 濃 度は膜厚増加と共に高くなっていた.このように,H 濃度 の増加と密着性の低下の度合いが良い相関を示していたこと から,膜厚の増加に伴う密着性の低下は,界面に濃縮する H が原因と考えられる.めっき膜と基板との界面における H 濃度の増加に伴う密着性の低下については,本研究室に おけるこれまでの研究で,H 濃度の増加に伴って界面近傍 に空隙が形成されて,密着性が低下する結果が電析めっき膜 で得られている.このことから,本実験においても同様の原 因によって密着性が低下している可能性が考えられる22) 触媒活性化前処理条件を変化させたときのめっき膜の密着 性は,触媒核の数密度が約 7000 number/mm2以上になると 低下する傾向が見られた.触媒核の数密度が多くなった場 合,めっき膜の初期析出が他の条件に比べて早く急激に起こ り,同時にめっき反応による水素発生も激しく起こったと考 えられる.このことで,めっき膜と基板との界面への H 濃 度の増加が起こり,密着性が低下したと考えられる.触媒核 の大きさを増加させた場合のめっき膜の密着性の低下につい てもこれと同様の原因で起こると考えられる.触媒核の数密 度を標準条件よりも低くした場合については,SnCl2濃度を 低くした場合と PdCl2濃度を低くした場合とで密着性の傾 向に違いが見られた.触媒核の数密度は,センシタイジング 液中の SnCl2濃度を低くした場合が 3000 number/mm2と最

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も少なかったことから,触媒核の数密度に依らずセンシタイ ジング液中の SnCl2濃度を下げることで密着性が向上するこ とがわかる.これは,前述した剥離の原因となる Sn 吸着物 が少なくなったことが原因と考えられる. Fig. 2 のめっき膜の初期析出形態で観察された島状析出物 の数密度は,触媒核の数密度を増やした場合に多くなる傾向 が顕著に見られ,粒径は小さくなっていた.めっき膜の密着 性の違いとこれら初期析出物の分布状態の違いを比較する と,小さな初期析出物が数多く形成される場合が最も密着性 が悪く,比較的大きな析出物が少ない数密度で形成されると 密着性が良好になることがわかる.Fig. 2 および Fig. 3 の 結果より,本実験条件においては,インダクションタイム直 後に形成される島状析出物の分布状態は直径が 50~100 nm で,数密度は約 200 number/mm2程度の場合に最も良好で あると考えられる. 乾燥処理によってめっき膜の密着性は向上した.乾燥処理 を行うと,前処理条件を変化させた場合でも,総じてインダ クションタイムが長くなった.このことから,吸着した Sn が乾燥処理によって変質し,Pd を含む触媒核が溶出および 脱離しにくくなったことが原因と考えられる.この点につい て XPS 等を用いて触媒核の吸着状態の解析を試みたが,濡 れたままの試料については測定を行うことは出来ないため, その違いを調べることはできなかった. 5. 結 論 二液法活性化前処理を用いたときのガラス基板上の触媒核 の数密度やめっき条件を変化させ,そのとき形成された無電 解めっき膜の密着性について検討し,以下の知見を得た.  無電解 Cu めっき浴の pH および浴温を変化させても 密着性に大きな変化は無い  触媒活性化前処理に用いるセンシタイジング液中の SnCl2濃度を下げることで密着性が向上した.  触媒核の数密度が約 7000 number/mm2を超えた場合 および触媒核の大きさが増加すると密着性は低下する傾向が 見られる.  活性化前処理後に乾燥処理を施すことでめっき膜の密 着性は向上する. 本研究において,GDOES を用いためっき膜の組成分析 にご協力いただきました堀場製作所の中村龍人氏に感謝い たします. 文 献

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Fig. 1 TEM bright field images of glass substrates after immersed into the deposition bath
Table 2 Number of catalysts after catalyzed using various PdCl 2 or SnCl 2 concentrations and number and size of deposits after deposition (10 s)
Fig. 5 Adhesive strength of Cu film electrolessdeposited on glass substrate. The pretreatment conditions and symbol (A)~
Fig. 7 GD OES depth profiles of Cu film/glass substrate.
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