ブレイクアウトセッション: A3 ICT 活用によるインフラの管理 ~道路や橋、公共施設などの維持管理に関する情報の収集と分析~ 東京大学 大学院情報学環 特任教授 石川雄章 2013.05.30.
講演の流れ
はじめに インフラの維持管理と老朽化の現状 事例紹介 被災インフラの復旧とメンテナンスの支援 簡便なタブレットを用いた点検業務の効率化 CRMを用いた問合せ対応業務の支援 まとめ© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo 第1回安全性向上有識者委員会(中日本高速)資料に一部追記 発生日時:平成24年12月2日(日)8:03頃 発生場所:中央自動車道(上り)笹子トンネル内 発生状況:東京側坑口から約1.6km付近で、トンネル換気ダ クト用に設置された天井板が138mにわたり落下。死者9名。
笹子トンネル事故の概要
笹子トンネル事故以降、国土交通省では大臣をトップにした「社 会資本の老朽化対策会議」を設置 社会資本メンテナンス戦略小委員会(委員長:東京大学 家田 教授)では、維持管理の緊急提言を実施 社会資本メンテナンス戦略小委員会 緊急提言 (H25.1.30) 「インフラの健全性診断のための総点検」等を緊 急的に実施 社会資本の点検・診断等に関する考え方と仕事 の仕組みの改善を図るべく、戦略的な維持管 理・更新に向けた取り組みを推進 ① 「インフラの健全性診断のための総点検」 等の緊急実施 ② インフラの健全性等に関するカルテの整備 ③ インフラの健全度等の国民への公表 ④ 長期的視点に立った維持管理・更新気鋭 角の策定 ⑤ 地方公共団体への支援 「社会資本の老朽化対策会議」 の設置(H25.1.21) 1.趣旨 社会資本の老朽化が進む 中で、「国民の命を守る」観 点から、社会資本の戦略的 な維持管理・更新を推進す るため、「社会資本の老朽 化対策会議」を設置 2.構成員 国土交通大臣(議長)、副大 臣、政務官、事務次官、技 監、国交審議官、関係局長 等
国土交通省における取組み
© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo トンネル点検 舗装点検 法面点検 橋梁点検 橋梁補修 トンネル補修 舗装補修 法面防災対策 第1回社会資本メンテナンス戦略小委員会資料より 維持管理:道路の異常等を日常的に確認し、交通に支障を及 ぼさない 補修等:道路施設や構造物の健全性を確認・点検し、機能の回 復及び強化
道路の維持管理
4堤防巡視 水門の点検 排水機場の点検 貯水池の巡視 維持 堤防の補修 水門の補修 排水機場の補修 ゲートゴムの交換 補修等 維持: 河川管理施設の異常等を日常的に確認し、治水上支障 を及ぼさない 補修等: 河川管理施設の健全性を確認し、機能を回復
河川の維持管理
© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo (下水道協会HPより引用) (福島県HPより引用) (山梨県下水道公社HPより引用) 水質試験 運転管理 点検 処理場・ポンプ場 潜行目視調査 TVカメラ調査 (京都市HPより引用) 管路 点検 第1回社会資本メンテナンス戦略小委員会資料より 管路・ポンプ場・処理場等について、点検・調査・清掃や運転管 理等の維持管理を適切に行うことにより、効率的に運用し機能 を十分発揮させるとともに、その機能を保持し延命化
下水道の維持管理
6 高度経済成長期に集中的に整備された社会資本が、今後、急 速に老朽化が進む。 20年後には、建築後50年以上のインフラが50%以上となる。
社会資本の老朽化の進行
国土交通省白書 2012 建設後50年以上経過した インフラの割合8 © Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo
事例紹介
被災インフラの復旧とメンテナンスの支援
簡便なタブレットを用いた点検業務の効率化
被災インフラの復旧とメンテナンスの支援
≪プロジェクトの目的≫
●被災地のインフラ復旧支援
現場点検業務の効率化、損傷評価の技術的支援、インフラ長寿命化の基 礎情報の蓄積を行い、インフラの早期復旧を支援●メンテナンス技術拠点の形成・展開
被災地での現象や対策等を蓄積しメンテナンス技術の集積・高度化を図る とともに、広域的な技術流通の仕組みを備えた技術拠点を形成。事業の成 果を核に、技術・システム・ノウハウの国内外への事業展開。≪実施体制≫
●東北インフラ・イノベーション・コンソーシアム
本構成員:東北大学/東京大学/東日本高速道路東北支社/ ㈱ネクスコ・エンジニアリング東北/㈱復建技術コンサルタント /ムラタオフィス㈱/ ユーシーテクノロジ㈱、 賛助構成員:㈱ソーシャル・キャピタル・デザイン/㈱アンタス 問合せ先: ㈱ソーシャル・キャピタル・デザイン 営業部© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo
被災インフラの復旧とメンテナンスの支援
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入力支援、データ参照、スケッチ機 能、写真撮影支援を備えた携帯端 末を導入し、膨大な数の点検を効 率的に記録
被災インフラの復旧とメンテナンスの支援
画像類似性判別技術等を用いて、 損傷評価の判断のバラツキを補 正し、点検データの編集・記録を 簡素化 構造物の状態を蓄積し、長寿命化の基 礎となる基盤DBとアセットマネジメント機 能を装備し、実データで運用・管理© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo タブレット端末を利用して、点検データを入力 点検業務におけるデータ入力時間を短縮し、 膨大な数の点検を効率的に実施 端末機で損傷を スケッチ 過年度の損傷位 置・損傷状況を 端末機で確認
現場点検業務支援端末
出典「:東北インフラ・イノベーション・コンソーシアム」説明資料 12 被災構造物の損傷状態を評価 画像類似性判別技術等を用いて表示 し、 損傷評価の判断のバラツキを補正 画像の類似性に基づいて 検索し、類似例を一度に 多数参照できる 新しい損傷の判定の際 に、過去の信頼度の高 い判定事例を参考にで きる
損傷評価・記録支援システム
© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo 構造物の点検記録データの蓄積 蓄積したデータを活用した長寿命化シミュレーション クラウドサービスにより、小規模な自治体にも対応 点検結果から橋梁の健 全度を割り出し、劣化傾 向の可視化、対策の優 先順序の算出を行う
アセットマネジメントシステム
出典「:東北インフラ・イノベーション・コンソーシアム」説明資料 橋梁の維持管理コストを算出し、予算 の平準化シミュレーションを行い、中 長期の修繕計画を試算 14大学・企業等の間をIP接続して、復 旧支援等に関する遠隔会議が可能 な環境を整備し、会議の内容を蓄積 し編集
被災インフラの復旧とメンテナンスの支援
様々なデータ形式の活動記録や関連 論文などを、マルチメディアDBにアーカ イブ化し利用するための編集・タグ付け 被災地での貴重な現象・対策等の経 験を蓄積・教材化し,その成果を容易 に蓄積・利用できる技術者育成の環境 を整備© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo
点検・維持管理に関する各種データの蓄積
様々なデータ形式の活動記録や 関連論文
などを、マルチメディアDBにアーカイブ化
キーワード、連想検索等で情報を引き出す
WORD, EXCEL, PowerPoint, PDFな どの文書内の文字列、および画像 ファイルなどに付けられたタグ情報 を、土木分野のキーワードで検索 ビデオの発言内容を音声 認識で文字化。発言され た言葉でも検索可能 出典「:東北インフラ・イノベーション・コンソーシアム」説明資料
高速アクセスマルチメディアデータベース
16タブレットを活用した点検業務の効率化
点検対象区間(危険個所) 現在は紙に手書き 点検 員 手書き資料をPC上で清書。 写真とデータは手動で連動 現場で入力した情報により、 調書・カルテを完成させ印刷 端末とPCとデータ共有 作業時間短縮:最終成果を外業のみでほぼ完成 確実性向上:調書の記載漏れなどをその場で確認 外業 内業 点検員 タブレット上で、項目選択、 記入、写真撮影、スケッチ© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo
既存アプリ等を利用したシンプルな機能構成
18 ①管理 アプリ ②現状写真 集アプリ ③スケッチ アプリ ④カメラ アプリ ⑤地図 アプリ ⑥Excel 2013 データの管理 写真の撮影 調書・カルテ様式の 写真集自動作成 写真への情報追加 スケッチの作成 現場地図の参照 位置情報の確認 記録表/調査 表への入力 Windows 8 標準機能 Windows 8 標準機能 既存アプリ 利用 開発 開発 Microsoft Office ①管理アプリが機能別モジュールが連携して業務を行う ①管理アプリと②現状写真集アプリを開発、③スケッチアプリ は既存アプリ利用、④カメラ、⑤地図はWindows 8標準機能Windows 8タブレットのメリット
タブレット型の携帯性、タッチなど操作性のメリッ トと、キー入力やExcel等のOfficeがそのまま使え るパソコンとしてのメリットの両方を併せ持つ 大半の機種は、位置情報取得のためのGPSや 傾き、加速度検知などの各種センサー、高解像 度カメラも標準で搭載 Windowsストアを通じたアプリケーション配 信基盤により、柔軟かつ高速に業務アプリ ケーションの展開が可能に 業務専用端末に比べ低コストで高機能な機器を活用 内業と同じアプリ/UIのため現場作業への導入が容易© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo
問合せ対応業務の効率化
20 相談・通報者 対応依頼 道の相談室(東京都) ・建設局(平日昼間) ・都道管理連絡室(夜間・休日) 建設事務所 工区 国土交通省 他自治体 #9910 確認 対応 現地 国土交通省 他自治体 対応結果記録 回答作成/記録 現地協議 相談・通報者 道の相談室(東京都) ・建設局(平日昼間) ・都道管理連絡室(夜間・休日) 建設事務所 工区 内容確認 内容確認 内容確認 国土交通省 他自治体 #9910 現地 国土交通省 他自治体 回答作成 回答作成 回答作成 現地協議 データベース 苦情内容入力 対応依頼 通報内容入力 現地確認/対応結果入力 対応結果参照 回答内容入力・印刷 対応結果参照 回答内容入力・印刷 協議結果入力 確認 対応 メールやFAXにより順に情報を伝達 しているため、情報伝達・共有に手 間がかかる 過去の苦情内容、対応状況等の確 認に時間がかかる 回答資料が組織間で共有されず、 回答のバラツキが懸念される 苦情等の情報を一元管理し組織 間で共有することで、情報伝達・ 共有の手間がかからない 過去の苦情内容、対応状況等の 確認が即座にできる 組織間で回答資料を共有すること で、回答のバラツキを回避できる 帳票 帳票 帳票 帳票 対応依頼 帳票 協議結果記録 内容確認 帳票作成 内容確認 帳票作成 内容確認 帳票作成 回答作成 /記録 回答作成 /記録 報告 報告 苦 情 等 へ の 回 答 苦 情 等 へ の 対 応 苦 情 等 の 受 付 【現状】 【将来】記録作業の簡便化:入力候補リスト表示
【課題】通報者からの情報を記載しているため、通称名や号線名 等が混在し、記入内容にバラツキが多い 【対応】路線名称をルールに基づいた記入形式に統一。複雑な通 称名と号線名の関係を自動的に判断し、記録作業を簡便化 道路種別 路線 都道府県道 武蔵境通り(主12号線) 都道府県道 都114号 都道府県道 新青梅街道 東八 その他 仙川 14号 都道府県道 武蔵境通り 三鷹通り 1.路線名称の記入方法が不統一 現状(路線名、号線名など、 バラツキの多い記録状態) 青梅街道(都道4号線) 青梅街道(都道5号線) ・・・・ 青梅街道 表示されたリストから選択する ことで記入形式を統一 路線名の一部入力 により、表示された 路線名候補をプル ダウンから選択© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo
ダッシュボード機能:複数の情報を一覧で提供
22 【ダッシュボード】 ステイタス の管理 苦情内容の 割合を表示 苦情の時系 列を表示 路線別の苦情 件数を表示 苦情の分 布を表示 【課題】苦情の件数や内容、対応状況等を効率よくモニタリングで きない。判断に時間がかかる。 【対応】複数の情報をPC上のダッシュボードで適時モニタリングが 可能。総合的な判断に必要な情報を提供。予防保全の支援(時期の分析)
苦情の発生時期の分析により発生傾向を把握し、苦情の発生 前に対応策を実施することで苦情を低減 ある事務所のケースでは、苦情発生前の剪定・薬剤散布など、 予防保全的な道路維持管理に活用可能 【苦情の発生時期の分析】 17 20 22 18 27 51 4月 5月 6月 7月 8月 9月 舗装関係 植栽 安全施設 排水施設 苦情の区分毎の件数の推移 「植栽」が8月、9月にかけて急増している。 8月、9月にかけて急増し ているのは、「害虫駆除」と 判明 発生時期前 に、害虫発 生個所を中 心に剪定や 薬剤散布等 を実施 【施策へ反映】 0 10 20 30 40 50 60 4月 5月 6月 7月 8月 9月 不明 その他 ゴミ処理・清掃 補植 倒木 害虫駆除 剪定 植栽の内訳の推移© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo
予防保全の支援(場所の分析)
24 苦情が集中する場所を分析し、苦情集中個所への巡視・補修 の重点化により苦情を低減 ある事務所の場合には、30日以上の対応を要する苦情等が約 25%減少すると試算※ ※北南建の苦情データ(平成21年度)。繰り返し・集中発生個所への対応を事前に実施したと仮定。 苦情集中 個所を 重点的に 巡視・補修 対応に30日以上要した苦情の 内訳 振動の苦情の半数程度が過去の補修工事個所等で再度発生 苦情発生 個所 苦情(振動)の発生位置分布 (イメージ) 【苦情集中箇所の分析】 【施策へ反映】問合せ対応CRMの将来像
市民 パトロール・点検業務 職員 問合せ対応CRM 問い合わせ・要望 PC上で適時 モニタリング Excel上で 詳細な分析 地図・気象データなど 統計情報など 今後、既存システムとの連携、クラウドサービスにより、現場業 務でスマートフォンやタブレットとの連携が可能。 クラウドサービス スマートフォン タブレット 既存システム 問合せ等の 簡単入力 スマートフォン やタブレットと のデータ連携© Yusho ISHIKAWA ,The University of Tokyo