• 検索結果がありません。

建築費の「地域差地図」の作成調査

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "建築費の「地域差地図」の作成調査"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

建築費の「地域差地図」の作成調査(平成 20 年度)

主席研究員 岩松 準

第1章 調査の目的と概要

1.1 目的 従来の日本の価格資料では、建築費の地域差指数は 10 都市程度の区分止まりとなってい る。この理由は、それが資材費や労務費や工事費など、複数のアイテムのコストを一定の 手続きで集計した指数であって、これらのアイテムが最終的にせいぜいその程度の区分で しか集計できないためである。しかし、資材アイテムの調査の中でも最も地域区分が詳細 な生コンでは、約 300 の区分での価格情報がある。また、労務費調査の代表である設計労 務単価(51 職種)の公表は 47 都道府県別である。一方では、米国の Means 社の発行する 資料など、外国のコストブックの中には 600 を超える地点での建築費指数を算出している 例などもある。 このような価格アイテムの集合体としての建築費の地域差指数は、上述のようにせいぜ い 10 程度の区分に止まっているのが現状であるが、それをもっと細かくできないかを検討 するのが本調査の目的である。この成果は、最終的には「地域差地図」として表現されう るであろう。そこに至るまでは、解決すべき問題も多いと思われる。本研究は自主研究で あり、数年の期間をかけて順次研究を進める予定であるが、当面は建築コストの地域差の 実情が得られる統計資料を吟味し、地域差を生じる理由などについてのこれまでの研究成 果をフォローするなど、基礎的な検討を行うこととする。 1.2 経緯と今年度の取り組み内容 昨年度の調査では、国内の価格刊行物や調査統計データ(複数地域の時系列データ等) を元に、資材単価と労務単価の地域差の特性に焦点をあてた検討を行った。得られた結論 は、一般に資材単価の地域差の方が労務単価のそれよりも大きいといえること、また、価 格変化の大きさや地域差の大きさの統計値によりアイテムの特徴を理解できることなどで ある。そして、生コン価格を例にした地域差発生要因の考察なども行った。 今年度調査では、同様のアプローチにより、昨年度は扱えなかった施工単価についての 検討を行う。今回扱いたい「施工単価」の中身は、用途別・構造別などの建築費総額につ いての単価や、「市場単価」等で調査されている専門工事ごとの施工単価(部分工事の単価) を挙げられるが、今年度は前者のみの検討に留まった。 今年度の具体的な分析の内容は、以下の諸点である。

• 施工単価の地域差は国内外の刊行物の多くでは建築費の地域差指数(city cost index, location factors 等、刊行物により呼び名は異なっている)の形で表現されている。 とくに米国の刊行物(R.S. Means 社や Craftsman 社や Saylor 社などの建設物価資料) では多くの地点での地域差指数が表示されている。かなり細かいものでは 680 余都市

(2)

別にも及ぶ。それらの資料を通じて分かることを記述し、日本との違いについて考察 する。 • 建築着工統計等の統計資料(工事費予定額÷延床面積により求められる工事費平均単 価)を分析することにより、建築費単価の地域差の状況及びその推移を記述する。用 途別、構造別、建築主別などの集計により、その特徴を明らかにする。(市町村別、都 道府県別の地域差) • 地域によってつくられる建築物には違い(その内容、量)がみられる。こうした建築 需要の地域差について、建築着工統計等の分析等により明らかにする。これは施工単 価の地域差が生じる重要な理由の一つと考えられる。 • 施工単価の地域差の事情とそれが生じる理由について、上記の各分析を通じた考察を 行う。

第2章 英米のコストブックにおける地域差指数

建築費の地域差指数に関して英米のコストブックではどう扱っているか。関連研究「諸 外国のコストブックに関する調査」で収集した諸外国のコストブックの主なものから「地 域差指数」に該当するものを拾ってみた。

米国等の建築費の地域差指数(1)

z

いわゆる建設物価版には、地域差を表す

指数が掲載されているものが多い。(米国

はあらゆる意味で広いという事情もある)

図 2-1 米国等の地域差指数(その1)

(3)

©RIBC2008 10

米国等の建築費の地域差指数(2)

z

英国のものは至ってシンプル。

※出典名は省略。 図 2-2 米国等の地域差指数(その2) 地域差指数に該当するといっても本(出版社)によって名称が異なっている。いくつか 例示してみよう。

1. Area Modification Factors(米国:Craftsman 社)

特徴:681 都市別及び 51 州別平均。材・労・機械・計の 4 種別。 2. Location Factors(米国:R.S.Means 社)

特徴:316 都市別(カナダを含む)。材・工・計の 3 種別。各指数は CSI MasterFormat (工種別内訳)別指数を掲載している。

3. Major Cities Cost Relationship Index(米国:Saylor 社) 特徴:128 主要都市別。計の 1 種のみ。

4. Map Base Index(英国:SPON 社)

特徴:13 地域(Inner+Outer ロンドンを含む)別指数。1976 年を 100 とする計 1 種 のみの指数(入札価格指数の地域差がわかる指数)。

いずれのコストブックでも、主に国土全体あるいは主要都市等のコストや価格情報が掲 載されており、上記の地域差指数を利用して、地域別の補正を加えるために上記の指数を 利用している。いずれも概算段階での利用が想定されている。このうち、最も詳細な情報 が含まれている 1 番目の Craftsman 社の出版物「National Construction Estimator」に掲 載されている「Area Modification Factors」が、どのような内容か詳しくみておきたい。

(4)

このコストブックは CD-ROM 付きのもので簡単な概算プログラムと価格データが入って いる。計算する地域を指定する設定を最初に行うよう促される、プログラムの中で地域補 正を自動的に行っているようである。「Area Modification Factors」は本の冒頭数ページ に記載があり、全米の 681 都市をカバーする。全米平均を 100 とする指数であり、その内 訳は、当該都市の全体としての地域差(Avg.)の他に、その構成要素として材料費(Material)、 労務費(Labor)、機械経費(Equip.)という内訳も示されている。 図 2-3 51 州の地域差指数の平均値(全米平均=0) 図 2-4 主要な州の中の都市別地域差指数(全米平均=0) -10 0 10 20 30 40 50 60 70 C a ifo rn ia Av e ag e Sa n F ra n c isc o , 9 41 Sa n Ma te o, 943 -9 44 Su nn yv al e , 9 40 Ri c h m o nd , 9 48 Sa n J o se , 9 50-95 1 O a kl a nd , 9 45-94 7 No va to , 9 49 Irv in e , 92 6-927 Or a n ge , 9 28 Lon g B e a c h, 9 07-90 8 Pa sa d ena , 910 -9 12 A lh a m b ra , 9 17-91 8 In g le w o o d , 90 2-905 Sa nt a R o sa , 95 4 Wh tt ier, 90 6 V a n N u ys , 91 3-916 Los A n g e le s, 900 -9 01 San ta B ar b a ra, 9 31 Sa cr am e nto , 9 58 R a nc ho C o rd ova , 956 -9 57 Sa n Di e g o, 919 -9 21 Mo ja ve , 9 35 St oc kt on , 9 52 Salin as , 9 39 Ox n a rd , 9 30 Sa n Bern a rdi no , 923 -9 24 Ri ve rs id e, 92 5 Lo m p o c , 9 34 He rlo ng , 9 61 M a ry sv ile , 9 59 Ba ke rs fie d, 93 2-933 El C ent ro , 9 22 Mo des to , 95 3 R e ddin g , 9 60 Fr es no , 936 -9 38 Eu re ka , 55 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 Material(材料費) Labor(労務費) Equip.(機械経費) Avg.(地域差合計) (注)2008 National Construction Estimator より、 「Area Modification Factors」の州別平均値を抜き出した。

(%) (%) カリフォルニア州の内訳 カ リ フォ ル ニ ア 州 の 平 均↓ -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 Il ino is Ave rag e Oa k P a rk , 60 3 Qu in c y, 6 02 Arli ng to n H e ig ht s, 60 0 C hi c a g o , 60 6-60 8 Au ro ra, 6 05 C a ro l St re a m , 6 01 Jo iet , 60 4 Ro ck fo rd , 61 0-61 1 Pe ru , 61 3 Pe o ria , 61 5-61 6 Kan kak ee , 60 9 Bl o o m ing to n, 6 17 Gr a n te C ty , 6 20 Ch a m p a ig n, 6 18 G ree n R ive r, 61 2 Sp rin g fiel d , 62 5-62 7 Be le vi le, 6 22 Urb a na , 6 19 La w re nc e vi le, 62 4 Ca rb on d a le , 6 29 Ga le sbu rg, 6 14 De cat ur , 62 3 C e ntr a ia , 62 8 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 Material(材料費) Labor(労務費) Equip.(機械経費) Avg.(地域差合計) (%) イリノイ州の内訳 (%) -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 Ha w a i Av e rag e Al ama nu , 9 68 Ho no lu lu, 9 68 Ka ilua , 96 8 Ew a , 96 7 Ha law a He ig h ts, 9 67 H io , 96 7 Lu alu a le i, 9 67 M illani T o w n, 9 67 Pe a rl C ity , 967 W ah aw a, 9 67 Wa an a e , 9 67 Wa ilu ku ( M a u ), 96 7 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 Material(材料費) Labor(労務費) Equip.(機械経費) Avg.(地域差合計) (%) ハワイ州 (%) -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 Ne w Y o rk Av e rag e Lo n g Is a nd , 1 11 ew Y o rk ( M a nha tt a n) , 10 0-10 2 N e w Y o rk C ity , 10 0-10 2 Fl us h in g , 1 13 Qu e e n s, 1 10 Ja m a c a , 1 14 W h te P la in s, 10 5-10 8 Ga rd e n Ci ty , 1 15 H c ks v le , 1 18 Ro ck a w ay , 1 16 St a te n Is a nd , 10 3 Am ty v le , 1 17 Br on x, 1 04 Mo nt a u k, 119 We st Po int, 1 09 Br ook lyn , 11 2 A lb a ny , 12 0-12 3 Po ug hk ee p se , 12 5-12 6 Ro c he ste r, 14 4-14 6 Ba ta v a , 14 0 Bu ffa lo , 1 42 Sy ra c us e , 13 0-13 2 Bi ng ha mto n, 1 37 -1 39 To n a wan d a , 1 4 El m ia , 14 9 th a c a , 1 4 Ne w c o m b , 1 28 St ew a rt, 1 27 Ki ng st o n, 12 4 Wa ter to w n, 136 P a tts b urgh , 12 9 Ut c a , 13 5 N ag ar a Fal s, 1 43 Ro me , 13 3-13 4 Ja m e st ow n , 47 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 70 80 Material(材料費) Labor(労務費) Equip.(機械経費) Avg.(地域差合計)

(注)2008 National Construction Estimator より、 「Area Modification Factors」の州別平均値を抜き出した。

(%) (%) ニューヨーク州の内訳 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 Alas ka Ha w ai i Ne w Je rs e y Massa ch uset ts C o nne c tic ut Dis tr ic t o f C a lif o rnia New Y o rk Rhode I sland Illinois De la war e Ne va da Lo ui sia na Mar yl a nd Mi ch ig an Wi sco nsi n Mi nn eso ta Ne w Wa sh in g to n Colora do Pe nns ylv a nia Ohio Wy om in g Ind iana Texa s Fl o rd a North Dakota So ut h Te nn e ss e e Or egon N o rt h Ca ro lin a Iow a Ve rm o nt Mi sso uri Mo nt an a Ut a h Ge org ia V irgin ia Ke ntu c ky Ma in e Ka ns as Ariz ona W e st Vi rg in ia Oklah o m a Al a b am a Id ah o Mi ssi ssi ppi South Dak o ta Ne br as ka Ar kans as Ne w M e xi co -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50

Material(材料費)

Labor(労務費)

Equip.(機械経費)

Avg.(地域差合計---この順でソート)

(注)2008 National Construction Estimator より、 「Area Modification Factors」の州別平均値を抜き出した。

(5)

図 2-3 は 681 都市を 51 の州別に集計したものを合計額の地域差(Avg.)の大きさ順でソ ートしたもので、全米平均より高いのはアラスカ州、ハワイ州が 30%程度、若干差異があ り、ニュージャージー州、マサチュセッツ州が約 15%高と続く。逆に低い方からはニュー メキシコ州、アーカンソー州、ネバダ州、サウスダコタ州など南部の州が 10%程度低い。 内訳別では労務費(Labor)の違いが最も大きく、アラスカ州の労務費は全米平均より 50% 近く高く、逆にニューメキシコ州は 20%以上安い。一方、材料費(Material)や機械経費 (Equip.)は全米平均との違いは各州ともそう大きくはない。 代表的な州の中はどうなっているのかをみたのが図 2-4 である。平均的に高い方の州に 入るハワイ州ではすべての都市(島)が全米平均より同程度に高いが、ニューヨーク州は 高い都市から若干低い州までが並ぶ。この州の中で最も高いロングアイランドやニューヨ ーク・マンハッタンなどはハワイ州の各島よりも高いくらいである(とくに労務費は高い)。 このように州の中でも都市による違いが大きいところとそうではないところとがある。 この地域差指数の 681 都市の全てをその合計額の地域差の大きさでソートして棒グラフ で並べてみたのが図 2-5 である。グラフの X 軸のラベルを付けることは難しいので 10 都市 おきに表示しており、あわせて上位 20 都市、下位 20 都市のリストも付けた。全米で最も 建設費が高いのは先述のロングアイランドの 38%高で、労務費が 79%高と突出している。 逆に下位の都市はあまり名前を知らない都市が並ぶ。

このように Craftsman 社「National Construction Estimator」における地域差指数は米 国のたいへんに多くの都市のあいだの建設費の違いを表現するものになっている。第 1 章 でも述べたが、日本はこれほど多くの都市の違いを表現したものがなく、国土交通省の新 営予算単価資料における採用系列数はせいぜい数十のレベルに止まり、また、(財)建設物 価調査会の地域差指数は 10 都市までとなっている。またそれらの数字の違いは米国ほどで はなく、さらにそれは材料や労務などの違いが分かるものでもない。(図 2-6) 図 2-5 全 681 都市の指数ランキング(全米平均=0) -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 Lo ng Is la n d 1 11 H o n o lu lu 968 Wa iluk u (M a ui) 967 Flu sh ng 113 W h ite P la ins 105-108 Dove r 078 Ho um a 7 03 St a ten Is la n d 1 03 Se a ttle 980-9 81 Sp rn gfie ld 011 M lw a uke e 530-534 Lo s Ange le s 900-901 C h c op ee 0 10 To le d o 434-43 6 Ka n sa s C ity 660-662 Da v sv lle 028 H unt sv lle 7 73 Pittsbu rgh 152 Pe ru 613 Gu lfpor t 39 5 Fr ed er ic k 2 17 Fo rt Worth 761-762 Cla rk svil le 370 Sy ra c us e 13 0-132 M a rys v lle 959 So ut h Be nd 466 El C en tr o 9 22 E kh a rt 4 65 Gold sb or o 27 5 Eu ge n e 974 Sa int Clo ud 347 Br unsw ic k 039-040 Sa n d us ky 44 8-449 Pa sc o 993 Cle a rf ie ld 1 68 Tu lsa 740-7 41 Winston -S a le m 270-273 Pow e l 824 Bis m a rc k 585 L nc oln 68 3-685 M o ntp e lie r 056 W c h ita 670-672 Fa ye tte v lle 7 27 Je ffe rs on C ity 650-651 Dod g e City 678 Ta lla ha ss e e 323 Ka lsp e l 599 Wa c o 765-767 Au b ur n 042 M yr tle Be a c h 295 Pr e sc o tt 863 H utchin so n 675 Ri ve rton 825 C o eu r d 'A len e 8 38 So m e rse t 155 Pote a u 749 Po p la r B lu ff 639 Wh e a tla nd 822 M e ridi a n 393 Au b ur n 368 G a ds de n 3 59 Colum b us 318-3 19 M e a d v lle 163 Id a h o Fa lls 834 H o p e 718 All ia n c e 693 Sh a w n ee 7 48 De l Rio 788 C hild re ss 792 (%) 建設費が高い上位20都市・地域 建築費が低い下位20都市・地域

(注)2008 National Construction Estimator より、「Area Modification Factors」の都市・地域別の値より作成。グラフの都 市名は10都市・地域ごとに表示してある。

(6)

©RIBC2008 22

日本の地域差指数は限定的

z

国土交通省の指数(右)は地域区分は

細かいが、事務庁舎を想定したもの。

z

財団法人建設物価調査会の指数(下

表)は10都市の違いが分かるのみ。

【出典】国土交通省大臣官房官庁営繕部「平成20年度 新営予算単価」(平成19年5月)より抜粋 【出典】財団法人建設物価調査会「建設物価指数月 報」より抜粋 図 2-6 日本の主な地域差指数(左:(財)建設物価調査会、右:国土交通省)

第3章 資材や労務の主要国別の価格差

地域差研究の極端な例は国際比較である。建設資材は国際的な流通にかかるものも一部 にはあるが、大半はその地域でとられる資材が使われる。各国で建設が成立するさまざま な社会的条件が異なっているから、使う材料にも厳密にみれば違いがあるのは当然である が、似た資材が使われているのも事実であり、それらの価格も各国で違いがある。同様に 建設労働についても価格差がある。

ENR 誌の年末に発刊される 4th Quarterly Cost Report ではこうした主要資材の価格差 や労務単価の価格差に関しての国際比較情報が掲載される。昨年末の ENR 誌では、英国ロ ンドンに本部をもち世界各国に支部をもつ建設関係のコンサルタント事務所 GARDINER & THEOBOLD 社の調査情報を掲載している。日本を含む 30 数カ国の情報であり、米国内は数 カ所の都市がとりあげられている。ただし、この価格比較情報は厳密なものではなく、各 国の価格水準を相対比較することを想定している。 資材については、鉄筋、鉄骨、セメント、材木、煉瓦、プラスター、コンクリート、骨 材、砂、ブロック、ガラスの 11 資材がとり上げられている。一覧表で公表されるデータを 図 3-1 に資材の価格帯別に 3 図に分けて示した。調査は昨年 11 月時点のもので、現場受渡・ 現地割引価格である。但し、それには各国で微妙に異なっている付加価値税、地方税等を 含まない。なお、現地通貨による調査価格を 2008 年 11 月 26 日の通貨レートで米ドルに変 換し、その通貨での比較である。

(7)

その 1:鉄筋・鉄骨 0 1 000 2 000 3 000 4 000 5 000 6 000 7 000 8 000 ブルガ リア (ソフィ ア) チェコ (プラ ハ) クロ アチ ア(ザグ レブ ) ハンガ リー (ブダ ペス ト) ポー ラン ド(ワ ルシャ ワ) ルー マニ ア(ブカ レスト ) スロ バキ ア(ブラ ティス ラバ ) ベルギー (ブリ ュッセ ル) キプロ ス(ニコ シア ) フィ ンラン ド(ヘルシンキ ) フラン ス(パリ ) ドイツ (ベル リン ) ギリ シャ (アテ ネ) イタリ ア(ミ ラノ ) オラ ンダ (アム ステ ルダ ム) ノル ウェ ー(オ スロ ) スペイン (バ ルセ ロナ ) スウ ェーデ ン(ス トック ホル ム) イギ リス (ロンド ン) 中国 (上海) 中国 (香 港) エジプ ト(ア レキ サン ドリア ) イン ド(ニ ュー デリ ー) イン ドネ シア (ジャ カル タ) 日本 (東 京) ケニア (ナイロ ビ) オマー ン(ム スカッ ト) カタ ール (ドー ハ) 南ア フリカ (ダー バン ) スリ ラン カ(コ ロンボ ) トル コ(ア ンカ ラ) UAE( ドバ イ) アルゼン チン (ブエ ノスア イレス) アメ リカ 合衆国 (ニューヨ ーク ) アメ リカ合 衆国( ロサンゼ ルス ) アメ リカ 合衆 国(シアト ル) ケイ マン 諸島 (ジョ ージ タウン ) メキ シコ( メキ シコシテ ィ) 鉄筋 REBAR 鉄骨 STEEL (US$/t) その 2:セメント・材木・煉瓦・プラスター 4 968 0 200 400 600 800 1 000 1 200 1 400 ブルガ リア (ソフ ィア ) チェコ (プラ ハ) クロアチ ア( ザグ レブ ) ハンガ リー (ブダペ スト) ポー ラン ド(ワ ルシ ャワ ) ルーマ ニア (ブカ レス ト) スロバ キア (ブラ ティス ラバ) ベル ギー (ブリ ュッセ ル) キプ ロス (ニ コシア ) フィン ラン ド(ヘ ルシ ンキ ) フラ ンス(パ リ) ドイツ (ベル リン) ギリ シャ (アテ ネ) イタ リア (ミラノ ) オラ ンダ(ア ムステル ダム ) ノル ウェ ー(オス ロ) スペイ ン(バ ルセ ロナ ) スウェ ーデ ン(ス トック ホル ム) イギ リス(ロンド ン) 中国 (上 海) 中国 (香 港) エジプ ト(アレ キサ ンド リア ) イン ド(ニ ュー デリ ー) イン ドネシ ア(ジ ャカ ルタ) 日本 東京 ) ケニア (ナ イロ ビ) オマ ーン (ム スカ ット) カタ ール (ドー ハ) 南アフ リカ(ダ ーバ ン) スリラ ンカ (コロンボ) トルコ (アンカ ラ) UAE (ドバイ ) アルゼ ンチ ン(ブエ ノス アイ レス ) アメリ カ合 衆国( ニュ ーヨー ク) アメリ カ合 衆国 (ロサ ンゼル ス) アメ リカ 合衆 国(シア トル ) ケイ マン 諸島 (ジ ョー ジタ ウン ) メキ シコ (メキ シコ シテ ィ) セメント CEMENT 材木 LUMBER 煉瓦 BRICKS プラスター PLASTER (US$) その 3:コンクリート・骨材・砂・ブロック・ガラス 0 50 100 150 200 250 ブル ガリア (ソフ ィア ) チェ コ(プ ラハ) クロ アチ ア(ザ グレ ブ) ハン ガリー (ブダ ペスト ) ポー ラン ド(ワ ルシ ャワ ) ルーマ ニア( ブカ レス ト) スロバ キア (ブラテ ィス ラバ ) ベル ギー (ブリ ュッ セル ) キプ ロス (ニコ シア ) フィン ラン ド(ヘ ルシ ンキ ) フラン ス(パ リ) ドイ ツ(ベル リン ) ギリ シャ (アテ ネ) イタ リア(ミラ ノ) オラ ンダ (アム ステ ルダ ム) ノル ウェ ー(オ スロ ) スペイ ン(バ ルセ ロナ ) スウ ェーデ ン(ス トック ホル ム) イギ リス( ロンドン ) 中国(上 海) 中国(香 港) エジ プト (アレ キサ ンド リア ) イン ド(ニ ュー デリ ー) イン ドネシア (ジャ カル タ) 日本(東 京) ケニア (ナイロ ビ) オマー ン(ム スカ ット) カタ ール (ドーハ ) 南ア フリ カ(ダーバ ン) スリラ ンカ( コロ ンボ) トルコ (アン カラ ) UAE(ド バイ ) アル ゼン チン(ブエ ノスアイ レス ) アメ リカ合 衆国 (ニュ ーヨ ーク ) アメ リカ合 衆国 (ロサ ンゼ ルス ) アメ リカ 合衆 国(シア トル ) ケイ マン諸 島(ジ ョー ジタ ウン ) メキ シコ (メキ シコ シテ ィ) コンクリート CONCRETE 骨材 AGGREGATE 砂 SAND ブロック BLOCKS ガラス GLASS (US$) 図 3-1 主要建設資材の国際比較 出典:ENR Dec. 22/29,2008, p.35。GARDINER & THEOBOLD 社調べ。

(注) 価格は現場受渡・現地割引価格である。但し、付加価値税、地方税を含まない。現地通貨による調査価格を 2008 年 11 月 26 日の通貨レートで米ドルに変換している。比較は厳密なものではなく、各国の価格水準を相 対比較する目的で利用する。なお、所々で調査不能データ(NR)がある。

(8)

0 20 40 60 80 100 120 ク ロ ア チ ア ︵ ザ グ レ ブ ︶ チ コ ス ロ バ キ ア ︵ プ ラ ハ ︶ ハ ン ガ リー ︵ ブ タ ペ ス ト ︶ ポー ラ ン ド ︵ ワ ル シャ ワ ︶ ルー マ ニ ア ︵ ブ カ レ ス ト ︶ ス ロ バ キ ア ︵ ブ ラ チ ス ラ バ ︶ ベ ル ギー ︵ ブ リュッ セ ル ︶ キ プ ロ ス ︵ ニ コ シ ア ︶ フィ ン ラ ン ド ︵ ヘ ル シ ン キ ︶ フ ラ ン ス ︵ パ リ ︶ ド イ ツ ︵ ベ ル リ ン ︶ ギ リ シャ ︵ ア テ ネ ︶ イ タ リ ア ︵ ミ ラ ノ ︶ オ ラ ン ダ ︵ ア ム ス テ ル ダ ム ︶ ノ ル ウ ー ︵ オ ス ロ ︶ ス ペ イ ン ︵ バ ル セ ロ ナ ︶ ス ウ ェ ー デ ン ︵ ス トッ ク ホ ル ム ︶ イ ギ リ ス ︵ ロ ン ド ン ︶ 中 国 ︵ 上 海 ︶ 中 国 ︵ 香 港 ︶ イ ン ド ネ シ ア ︵ ジャ カ ル タ ︶ 日 本 ︵ 東 京 ︶ オ マー ン ︵ マ ス カッ ト ︶ カ ター ル ︵ ドー ハ ︶ 南 ア フ リ カ ︵ バ リ ア ウ ス ? ︶ ス リ ラ ン カ ︵ コ ロ ン ボ ︶ ト ル コ ︵ ア ン カ ラ ︶ U A E ︵ ド バ イ ︶ ア ル ゼ ン チ ン ︵ ブ エ ノ ス ア イ レ ス ︶ ア メ リ カ 合 衆 国 ︵ ニ ュ ー ヨー ク ︶ ア メ リ カ 合 衆 国 ︵ ロ サ ン ゼ ル ス ︶ ア メ リ カ 合 衆 国 ︵ シ ア ト ル ︶ ケ イ マ ン 諸 島 ︵ ジョ ー ジ タ ウ ン ︶ 東ヨーロッパ 西ヨーロッパ 中東・アフリカ・アジア 南北アメリカ 熟練工の基本賃金単価(US$/時) 熟練工の労務費単価(US$/時) 図 3-2 「熟練工」の 1 時間当たりの基準賃金と労務単価の国際比較(US$/時)

(注) GARDINER & THEOBALD 社 調 べ 。 ENR Dec. 22/29 , 2008, p.33 よ り 作 成 。 労 務 単 価 に は 保 証 超 過 時 間 賃 金 (Guaranteed Overtime)、税金(statutory)、保険(insurance contributions)、連れ越し費(importation of labor)を含む。週の標準労働時間に基づく賃金(各国で事情が違う)。現地通貨による調査価格を 2008 年 11 月 26 日の通貨レートで米ドルに変換している。比較は厳密ではなく、各国の価格水準を相対比較する 目的で利用する。(見習い工の比較表もあるが割愛した) また、図 3-2 には基準賃金と労務単価の国際比較データを示す。各国で労働条件や保険・ 税金の支払関係などが異なるので厳密な比較には適さないが、できるかぎり条件をそろえ た状態での熟練工(skilled workers)の時給を比較したものである。 これらの図について、日本を基準にしてみると、各国との相対的な価格差の違いがイメ ージできる。また、資材間の相対的な価格差、たとえば図 3-1 の最初の図からは、鉄筋よ りは鉄骨の方がトン当たり価格は高いという事実を確認できるが、鉄筋と鉄骨の相対的な 価格差が大きい国とそうでもない国とがある。それぞれの資材についても、また熟練工と いうカテゴリーにおける賃金についても、その国際間の価格差がどういうメカニズムの元 に決まっているのか、またその価格差が国際的な裁定取引(鉄やセメントや木材は国際的 にも流通する資材である)にどう影響をもつのかは、興味深い研究テーマである。 以上の分析は、単なる資料の紹介に過ぎないものであるが、地域差とは極端に議論を進 めれば国際価格の差ということになるということを指摘したものである。

第4章 建築着工統計からみえる建築費の地域差

4.1 建築着工統計で建築費単価を計算することの利点・欠点 建築費の地域差の大きさの測定において建築着工統計を利用する利点は何か。 「建築着工統計調査」とは、建築物着工統計、住宅着工統計、補正調査からなるもので、 建築物滅失統計調査と並ぶ、建築動態統計調査の一つである。昭和 20 年の建築調査令によ りスタートしたが、昭和 25 年 11 月の建築基準法の施行に伴って翌年 1 月に施行された建 築動態統計調査規則の枠組みの中で実施されるようになった。ここでは通称として漠然と ではあるが、建築着工統計の語を用いている。 補正調査は、毎年9月頃発行の「建築統計年報」(財団法人建設物価調査会発行)に結果

(9)

が掲載される。抽出調査の結果は都道府県別に木造と非木造で集計されている。同時に工 事実施率も調べられている。工事実施額との差はこの補正調査で明らかとなるが、戦後調 査が始まった当初の補正率はずいぶんと大きかった(表 4-1)。当 時のヤミ建築の多さ、固定資産税課税回避のための面積過少申告 などが原因なのだろう。当時の日本建築学会の「建築経済統計資 料」(1955 年版)の解説には、「建築着工統計は届出もれや工事費 予定額では低い金額を申告することなどの理由によって、その数 字をそのまま正しいものに近いとして信ずることは誤りである」 とはっきり書いてある。 一方、近年の補正率は数パーセントに収まっているので、一見 問題ないかのように判断できる。しかし、建築投資総額では 1% の違いが数千億円にも達すること、補正調査が抽出率 1/15∼1/40 程度のサンプル調査に過ぎないこと、都道府県別集計ではかなり 高い(低い)補正率となる場合もあること、工事実施率も調査さ れるが、それが 80%を切るような都道府県もたまにあること、そ もそも床面積が 10 ㎡を超えない工事(増改築などでも)はこの統 計からもれていることなどは、この統計を利用して工事費単価の 高低を議論する人は知っておく必要があることだろう。 表 4-2 建築着工統計(新築工事)における㎡単価や棟数や工事費予定額などの推移 1建物当たり  ㎡単価(万円)の  最頻度価格帯の 1建物当たり   最頻度  価 格  平均  標準  偏差  最頻度 価格帯 建物数 (棟) 床面積 (㎡) 工事費 (万円) 総建物数 (棟) 床面積の合計  (㎡)  工事費予定額 (万円)  従来 の㎡ 単価 1984(昭和 59)年度計  10.00  10.92  3.58  120,062 159.1 1,661.2 680,503 143,378,671  1,693,742,460 11.81 1985(昭和 60)年度計  10.00  11.11  3.68  111,875 166.2 1,736.2 667,263 147,105,747  1,789,744,079 12.17 1986(昭和 61)年度計  10.00  11.41  3.81  111,231 167.9 1,755.2 702,004 158,371,810  2,005,937,055 12.67 1987(昭和 62)年度計  10.00  11.99  4.07  118,024 175.5 1,835.1 813,585 189,752,922  2,559,077,697 13.49 1988(昭和 63)年度計  12.00  12.74  4.93  101,632 183.2 2,275.6 770,209 198,638,401  2,899,559,004 14.60 1989(平成 1)年度計  12.00  13.67  5.57  97,706 182.7 2,270.8 792,663 210,273,608  3,415,534,470 16.24 1990(平成 2)年度計  12.00  14.81  6.49  82,251 188.7 2,344.2 770,707 215,884,898  4,012,388,014 18.59 1991(平成 3)年度計  15.00  15.26  6.53  75,087 186.0 2,859.9 703,533 193,479,080  3,747,543,316 19.37 1992(平成 4)年度計  15.00  15.69  6.04  83,771 181.3 2,788.4 730,563 187,484,425  3,531,390,230 18.84 1993(平成 5)年度計  15.00  16.13  5.44  98,148 172.2 2,648.8 773,115 183,919,096  3,321,976,442 18.06 1994(平成 6)年度計  15.00  16.35  5.15  106,931 179.3 2,760.2 816,325 188,986,788  3,254,370,817 17.22 1995(平成 7)年度計  15.00  16.53  5.16  101,158 184.9 2,846.9 789,258 184,477,823  3,126,203,031 16.95 1996(平成 8)年度計  15.00  16.72  4.95  111,060 184.4 2,839.3 870,889 204,111,202  3,457,873,800 16.94 1997(平成 9)年度計  15.00  16.58  5.13  85,433 188.5 2,902.4 686,678 174,209,014  2,927,517,240 16.80 1998(平成 10)年度計  15.00  16.42  5.06  79,595 182.5 2,813.7 632,065 152,260,238  2,562,032,832 16.83 1999(平成 11)年度計  15.00  16.48  4.86  83,679 188.4 2,904.9 664,456 157,392,003  2,593,103,754 16.48 2000(平成 12)年度計  15.00  16.35  4.91  81,143 188.8 2,908.9 639,792 154,959,257  2,462,971,849 15.89 2001(平成 13)年度計  15.00  16.10  4.93  73,865 200.7 3,092.7 580,040 143,893,081  2,282,328,436 15.86 2002(平成 14)年度計  15.00  15.85  4.87  72,852 196.3 3,022.8 568,554 137,917,411  2,161,233,005 15.67 2003(平成 15)年度計  15.00  15.77  4.88  76,766 191.8 2,952.9 590,780 144,485,603  2,258,595,153 15.63 2004(平成 16)年度計  15.00  15.79  4.93  76,141 191.0 2,942.0 596,703 148,790,998  2,278,831,659 15.32 2005(平成 17)年度計  15.00  15.84  4.94  71,445 203.8 3,140.6 583,190 151,449,711  2,326,585,559 15.36 2006(平成 18)年度計  15.00  15.99  5.10  72,013 209.1 3,219.6 588,277 153,071,003  2,380,610,150 15.55 2007(平成 19)年度計  15.00  16.17  5.18  61,753 176.9 2,725.7 512,987 129,282,674  2,065,687,866 15.98 (注) 財団法人建設物価調査会「総研レポート 03 特別号」, 2009.4, 付録 CD-ROM より作成。「従来の㎡単価」は「工 事費用定額」を「床面積の合計」で割ることによって求めていた。本表の「1 建物当たり㎡単価の平均」は特 別集計により日本全国の新築工事 1 建物当たり単価を個票レベルで再集計した値である。 表 4-1 工事費予定額の 補正率(S26-H19) 年度  補正率  昭和 26  117%  27  119  28  120  29  115  30  113  31  113  32  111  33  112  34  109  35  109  :  :  平成 15  101(102) 16  102(101) 17  101(103) 18  102(101) 19  102(105) (注)木造(非木造)

(10)

このような建築着工統計から建築費の単価をかなり細かなレベルで計算できる。表 4-2 (前ページ)は日本全体の新築工事についての集計データである。従来は右端の工事費予 定額の集計値を床面積の合計で割って求めた単価で、さまざまなカテゴリー毎の建築費単 価(㎡単価)を計算していたが、個票レベルで、すなわち 1 棟ごとにも同様の計算で求め た建築費単価(㎡単価)を統計的に議論することが考えられる。財団法人建設物価調査会 の総合研究所は平成 20 年度において旧統計法の特別集計という手続きの元、そのような集 計作業を行った。表 4-2 の左側の「1 建物当たり㎡単価(万円)」がその集計値にあたる。 この表で二つの㎡単価が計算されているが、それを図化したのが図 4-1 である。これか らも容易に判断できるように、二つの㎡単価は全く異なっている。従来の㎡単価はバブル 期に大きく膨らむが、新たらしい集計ではなだらかに推移している。この違いは、バブル 期における大型で非常に単価の高い建物が全体の建築費単価を押し上げていたということ である。その証拠はその新しい集計データから容易に判明するが、表 4-2 においても「1 建物当たり㎡単価(万円)」の標準偏差がこの時期に大きくなっていることからも見当が付 くであろう。 16.72 16.17 15.26 10.92 15.98 15.32 19.37 11 81 10.0 11.0 12.0 13.0 14.0 15.0 16.0 17.0 18.0 19.0 20.0 21.0 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 (年度) 1建物当たり ㎡単価(万円)の平均 従来の㎡単価 (注) 着工建築物(新築工事のみ)のデータによる。 (万円/㎡) 図 4-1 建築着工統計による新築工事の 1 建物当たり㎡単価平均値等の推移 (注)財団法人建設物価調査会「総研リポート特別号」付属 CD-ROM より作成。表 4-2 の計算値を図化したもの。 このように従来の「建築統計年報」(国土交通省監修・財団法人建設物価調査会発行)で 公表されていた床面積の合計と工事費予定額の合計からもとめる建築費単価では、その集 計単位の範囲の違いに大きく影響を受けることになる。地域差の研究において、この建築 着工統計を利用する場合、最小の地理的単位では市区町村別の「構造別−建築物の数、床 面積の合計、工事費予定額」などの集計値が公表されているものを利用することになるが、 この欠点は理解しておく必要がある。このような懸念については、新統計法の手続きによ って将来的に個票データが利用することが可能になれば、悩みはなくなることとなる。

(11)

表 4-3 建築着工統計(建築動態統計調査)を利用する方法 • 統計では直接の建築工事単価は計算されていない。そこで、工事費予定額(c0)を予定床面積(a0) で割ることによって、平均工費単価(c0/a0)を求める。 • 上記の単価は、建物 1 棟毎に計算可能のはずだが、一般には公表されておらず、用途別、構造別、 発注者別、市区町村別などで集計されたデータから算出せざるを得ない。(現状では分析上の制約 がある。 Cf. ミクロデータ利用の可能性) • 統計数値はあくまで着工時の「予定」であり、実際のものとは異なる。→その実態を捉えるための 「補正調査」が一部(H18 年度は木造 2,954 件、非木造 2,484 件)について行われている。詳細 は木造・非木造別、都道府県別に公表される。(以下の議論では一切無視する) • 工事実施率: 97.1%(木造)、98.4%(非木造) • 工事費予定額の補正率: 1.02 倍(木造)、1.01 倍(非木造) 等 4.2 都道府県別の建築費の地域差の測定 表 4-3 に示す手順で建築着工統計の集計を行い、都道府県別の建築費の地域差を測定し てみよう。平成 18 年データを利用して求めた都道府県別単価(全構造・全用途)を、さら に東京を 100 とする指数で計算したのが図 4-2 である。 東京都(100)が一番高くなっており、続いて高いのは島根県(88)である。最も低いの は佐賀県と宮崎県(共に 57)であった。このような違いに対して、同時期の土地価格(住 宅地)の地域差指数を参考までに示したのが図 4-3 であるが、こちらの方がもっと地方と の格差が大きい。このように建築費の地域差は、地価の地域差に比べると相対的にそう大 きなものではないことが理解できる。 図 4-2 着工建築物(全構造・全用途)の都道府県別価格指数(平成 18 年・建築費の地域差) 66 65 63 69 6467 68 70 70 66 7880 100 84 71 70 65 71 77 74 67 79 75 7168 79 84 75 7477 69 88 70 69 70 68 64 65 73 67 57 656467 5761 70 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。(注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。(注 2) 東京都の平均単価は201,727円/延床㎡、また、全国単価は152,707円/延床㎡である。

(12)

図 4-3 住宅地の都道府県別価格指数(平成 18 年・土地価格の地域差)(参考) 建築着工統計は構造別、用途別などの区分により集計されている。その単位で都道府県 の単価を計算し、東京を基準(100)とする地域差指数を計算してみた。全用途でみたもの が図 4-4、居住専用住宅に絞ってみたのが図 4-5 である。前者では東京の平均を基準にす ると鉄骨・鉄筋コンクリート(SRC)や鉄筋コンクリート(RC)では東京よりも高い都道府 県がみえるが、居住専用住宅に絞った後者では全ての構造別地域差で東京が最も高くなる とともに、地域差の大きさは全体として縮小している。木造(W)に関しては両図ともそれ ほど大きな違いがない。これは木造の多くが居住専用住宅の用途であることが原因であろ う。 図 4-4 主要構造別の都道府県の建築費の地域差(平成 18 年・全ての用途) (注)構造別の地域差はいろいろな用途が含まれるので地域差はやや大きい。 6 7 8 11 6 7 7 11 12 10 34 23 100 54 9 10 14 119 7 11 22 30 11 15 33 46 30 18 12 8 7 10 17 912 12 13 13 14 7 8 8 8 8 9 12 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森 県 岩 手 県 宮 城 県 秋 田 県 山 形 県 福 島 県 茨 城 県 栃 木 県 群 馬 県 埼 玉 県 千 葉 県 東 京 都 神 奈 川 県 新 潟 県 富 山 県 石 川 県 福 井 県 山 梨 県 長 野 県 岐 阜 県 静 岡 県 愛 知 県 三 重 県 滋 賀 県 京 都 府 大 阪 府 兵 庫 県 奈 良 県 和 歌 山 県 鳥 取 県 島 根 県 岡 山 県 広 島 県 山 口 県 徳 島 県 香 川 県 愛 媛 県 高 知 県 福 岡 県 佐 賀 県 長 崎 県 熊 本 県 大 分 県 宮 崎 県 鹿 児 島 県 沖 縄 県 【出典】国土交通省「平成20年都道府県地価調査」(H20.7.1現在)より作成。 (http //tochi.mlit.go jp/chika/chousa/2008/16.html) (注1) 価格指数:東京都=100。 (注2) 東京都の住宅地の平均価格は360,500円/㎡である。 図 建築費の地域差指数(木造) 79 73 73 8 72 78 8285 86 84 90 9 00 95 8385 85 84 92 92 8893 990 86 93 92 88 93 84 84858885 85 79 84 82 87 8 79 7578 77 66 76 87 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森岩手宮城秋田山形福島城茨栃木群馬埼玉千葉東京神奈 川 新 潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌 山 鳥 取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。 注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。 図 建築費の地域差指数(鉄骨鉄筋コンクリート造) 66 83 29 74 79 3 88 72 53 64 6360 00 57 94 5 77 95 72 65 82 2 7 7 68 78 63 49 89 60 79 3 32 84 65 02 70 57 78 64 6367 55 78 99 57 85 0 20 40 60 80 100 120 北 海 道 青 森岩手宮城秋田山形福島城茨栃木群馬埼玉千葉東京神奈 川 新 潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌 山 鳥 取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。(注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。 図 建築費の地域差指数(鉄筋コンクリート造) 7 23 97 7578 89 8784 83 74 8386 00 87 86 97 74 85 92 7783 94 79 80 72 83 92 82 74 2 79 49 7276 87 85 80 70 84 7 78 77 70 79 73 74 72 0 20 40 60 80 100 120 140 160 北 海 道 青 森岩手宮城秋田山形福島城茨栃木群馬埼玉千葉東京神奈 川 新 潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌 山 鳥 取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。(注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。 図 建築費の地域差指数(鉄骨造) 54 55 5 59 58 59 5860 6 56 7074 00 82 6058 55 63 69 66 58 68 67 63 6 7 75 67 63 68 58 60 64 58 59 59 5 55 62 56 46 54 55 59 46 47 46 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森岩手宮城秋田山形福島城茨栃木群馬埼玉千葉東京神奈 川 新 潟富山石川福井山梨長野岐阜静岡愛知三重滋賀京都大阪兵庫奈良和歌 山 鳥 取島根岡山広島山口徳島香川愛媛高知福岡佐賀長崎熊本大分宮崎鹿児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。(注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。

(13)

図 4-5 主要構造別の都道府県の建築費の地域差(平成 18 年・居住専用住宅) (注)居住専用住宅に絞ると全ての構造別で東京が最大となり、地域差は縮小する 4.3 市区町村別平均単価の分析 最新の平成 19 年度の建築着工統計で、市区町村別の集計値が得られる「第 30 表 構造 別―建築物の数,床面積の合計,工事費予定額」(国土交通省監修・財団法人建設物価調査 会発行の建築統計年報平成 20 年度版所収)のデータを用いた建築費単価の分析を行ってみ たい。数値の最小単位は市区町村であり、工事費予定額を床面積の合計で割った単価が得 られたのは 2283 市区町村であった(42 市区町村は工事の平成 19 年度において数値が得ら れない1)。平成 19 年度の主要構造別の建築費単価の集計値は表 4-4 に示すとおりである。 図 4-6 に全構造、図 4-7 に主要構造別の都道府県別集計値の分布を箱ひげ図で示した。 表 4-4 平成 19 年度の市区町村別構造別の建築費単価の集計値(記述統計量) (万円/㎡)   度数  最小値  最大値  市区町村別単純平均値 標準偏差    統計量  統計量  統計量  統計量  標準誤差 統計量  全国単純 平均値  全 構 造  2,283  2.521  31.867  14.635  0.066  3.177  15.720  木 造  2,227  3.714  22.363  14.858  0.041  1.921  15.403  S R C 造  157  2.895  46.153  20.747  0.563  7.060  19.852  R C 造  1,206  2.349  125.862  19.085  0.179  6.201  19.127  S 造  2,113  1.625  58.749  13.163  0.095  4.359  13.849  C B 造  137  0.658  28.046  12.824  0.353  4.129  13.345  そ の 他  628  0.135  26.328  9.407  0.231  5.797  11.624  (注) データ無し=42 市区町村。市区町村別単純平均値とは各度数分の単純平均であり、全国単純平均値とは全国 の工事費予定額を床面積の合計で割って求めた値である。 1 工事費単価の数値が得られない理由は、①工事実績がない、あるいは、②工事実績があっても同一市 区町村内で 2 データ以下のため秘匿されている、のどちらかの理由である。 図 建築費の地域差指数(木造) 80 7578 83 75 80 8486 87 86 9092 00 96 86 86 86 86 93 92 8893 990 86 94 92 88 93 84 8687 8885 85 78 85 82 88 8280 78 79 79 7 77 89 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。 注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。 図 建築費の地域差指数(鉄骨鉄筋コンクリート造) 63 69 42 83 73 8 7876 59 53 86 77 00 82 70 49 62 7677 775 76 74 80 63 77 64 70 69 69 85 8 37 8 58 72 66 60 7 63 67 44 64 66 79 47 62 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。(注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。 図 建築費の地域差指数(鉄筋コンクリート造) 7 82 76 8 7376 76 83 80 75 84 8 00 88 78 79 72 774 76 73 88 78 72 62 80 7982 74 80 70 75 7 75 75 8 75 65 78 68 68 72 66 6568 70 70 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。(注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。 図 建築費の地域差指数(鉄骨造) 70 74 76 80 7 72 73 8 78 78 87 82 00 98 75 68 76 73 80 7780 87 83 8286 88 78 87 84 90 76 75 8083 8 72 76 73 78 78 75 75 75 75 70773 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 北 海 道 青 森 岩 手 宮 城 秋 田 山 形 福 島 茨 城 栃 木 群 馬 埼 玉 千 葉 東 京 神 奈 川 新 潟 富 山 石 川 福 井 山 梨 長 野 岐 阜 静 岡 愛 知 三 重 滋 賀 京 都 大 阪 兵 庫 奈 良 和 歌 山 鳥 取 島 根 岡 山 広 島 山 口 徳 島 香 川 愛 媛 高 知 福 岡 佐 賀 長 崎 熊 本 大 分 宮 崎 鹿 児 島 沖 縄 【出典】国土交通省「建築着工統計」(平成18年)より作成。(注1)都道府県別の工事費予定額 合計÷延床面積合計で割って求めた工事費平均単価を東京都=100として指数表示した。

(14)

図 4-6 市区町村別の建築費単価平均値(平成 19 年度)の都道府県別集計(箱ひげ図) (注) 横軸の番号は都道府県番号を示す。(例:13=東京都、14=神奈川県、3=岩手県、45=宮崎県) なお、横ラ インは全国平均値(15.72 万円/㎡)である。 図 4-7 主な構造別の都道府県別の市区町村建築単価(平成 19 年度)の分布(箱ひげ図) (注) 建築着工統計より作成。横軸の番号は都道府県番号を示す。横ラインは各構造別の全国単純平均値である(表 4-4 を参照)。

(15)

(説明)

ボックスプロットは、最小値、下側ヒンジ、メディアン、上 側ヒンジ、最大値の 5 数を要約し可視化したものである。 (米国人 J. W. Tukey が 1970 年代に創作したグラフィックス)

median: データの中央値(データのちょうど半分)。

lower hinge: 下半分の median(下位 1/4 の値)。

upper hinge: 上半分の median(上位 1/4 の値)。

upper, lower hinge の差を h-spread といい、全ケースの 50%が含まれることになる(箱の中)。

inner fence: lower hinge から h-spread の 1.5 倍を超え

ない最小のデータ(ヒゲの位置)。

outer fence: lower hinge から h-spread の 3.0 倍の場所

をいい、それを超える値を far outlier(●印又は*印)、

outer fence から inner fence までの値を outlier(○印) という。(日本語では両者とも「外れ値」と呼ぶ。) 図 4-8 箱ひげ図(Box plot)の見方(参考) 箱ひげ図はデータの分布形状を理解するためのグラフィックスである(見方は図 4-8 参 考を参照)。この箱ひげ図を使った図 4-6、図 4-7 でプロットされているのは市区町村別の 平均単価(平成 19 年度)データであり、その分布状況である。これらの図は集計値の大き さの順に都道府県を並び替えており、全体として単価が高いものから低いものへと順番に 並んでいる。箱やヒゲの範囲をみると都道府県内のバラツキの状況やその違いがわかる。 全体として図 4-6 の全構造によるデータはバラツキが小さい。図 4-7 では木造のバラツキ は小さく、SRC 造や RC 造は比較的バラツキが大きい。これは表 4-4 の標準偏差の大きさを みても理解できる。なお、図 4-7 における SRC 増はデータ数がかなり少ないため、都道府 県で 1 つの市町村でしかデータが得られない都道府県もかなり多く(そのため中央値の値 のみが示されている)、統計分布の議論が若干難しいことに注意すべきであろう。 以上の分析は、個票データによる分析が現状では行い難いため、擬似的に市区町村間の 建築工事単価の地域差を集計したものである。 平成 19 年度における各市区 町村の構造別単価傾向について、 全体として分かることを抽出す るため、市区町村が 1 ずつ持つ 構造別平均単価データの相関係 数を計算し(表 4-5)、散布図行 列(図 4-9)も同時に描いた。 SRC 造はデータが得られる市 区町村が比較的少ない点には気 をつける必要がある。この相関 係数は単価が揃う市区町村の範囲(pair-wise)で計算した。木造と S 造は弱い相関(0.35) が有意にある。SRC 造と S 造も弱い相関(0.28)が認められる。これらは似た軸組構造形 式の一種に分類できるものである。しかし、木造と SRC 造の関係は弱く有意ではない。一 方、木造と RC 造、S 造と RC 造は全く無相関であるという関係が見いだせる。平成 19 年度 に限ることであるが、市区町村のそれぞれの単価水準の高低は木造、RC 造、S 造の 3 つの 表 4-5 表 4-4 データの相関係数表(H19 年度) 1 .103 .082** .353** .197 .005 .000 2227 157 1189 2096 .103 1 .194* .280** .197 .016 .000 157 157 155 157 .082** .194* 1 .084** .005 .016 .004 1189 155 1206 1193 .353** .280** .084** 1 .000 .000 .004 2096 157 1193 2113 Pearson の相関係数 有意確率 (両側) N Pearson の相関係数 有意確率 (両側) N Pearson の相関係数 有意確率 (両側) N Pearson の相関係数 有意確率 (両側) N 木造(万円/㎡) SRC造(万円/㎡) RC造(万円/㎡) S造(万円/㎡) 木造(万円 /㎡) SRC造(万 円/㎡) RC造(万 円/㎡) S造(万円 /㎡) 相関係数は 1% 水準で有意 (両側) です。 **. 相関係数は 5% 水準で有意 (両側) です。 *.

(16)

構造形式の選択には依存しないといえそうである。また、図 4-9 に明らかなとおり、SRC 造の価格の分布は RC 造のそれに比べるとかなり幅がある(相関図が細長い)といえる。こ れは SRC 造でつくる建物内容がかなり地域によって異なることを示唆する。 木造 10 20 30 40 0 10 20 30 40 50 60 51 0 1 5 2 0 10 20 30 40 SRC造 RC造 02 0 6 0 1 0 0 5 10 15 20 0 1 0 2 03 04 05 0 6 0 0 20 60 100 S造 図 4-9 主要構造別市区町村平均単価の相関図行列(平成 19 年度) 4.4 市区町村の建築費単価の地域差地図(平成 19 年度) 前節と同じであるが、平成 19 年度の建築着工統計データを使い、市町村別にその平均単 価を計算し、それを日本地図上に色分けをして表示してみたのが、次ページからの図であ る。あわせて各市町村の総建物数(棟数)についても色分けして、その水準を示した。デ ータ数が多いことと、バラツキが小さいことを考慮して、ここでは全構造についてのもの (図 4-10)と木造(図 4-11)と RC 造(図 4-12)についてのみ示した。これらは一種の地 域差地図であるが、1 時点のある集計値に基づくものであることに留意が必要である。(本 研究の最終目的としている地域差を表示したものではない。) これらの図を観察すると、都市部での着工建物件数が多く、同時に単価も高くなってい る傾向がはっきりと分かる2。また、その傾向は全構造(図 4-10)でみるよりは木造のみ (図 4-11)のデータでみる方がより明確に分かる。木造は住宅に特化した傾向があること などから、ノイズがデータに混入しないためだと思われる。また、RC 造(図 4-12)は棟数 が都会以外は少なく、年間数棟程度の市町村が圧倒的に多いこと、また単価の地域差は極 端に大きなものではないことなどが分かる。 2 図 4-10、図 4-11 ところどころ白く抜けている市町村があるが、左右両図とも抜けている場合は、デー タがゼロか秘匿された市町村であると思われる。 (注)目もり単位は万円/㎡。 各プロットが 1 市区町村。

(17)

- 83 -

(棟)

2,000

1,000

500

300

200

100

50

30

20

10

5

(万円/㎡)

17.0

16.5

16.0

15.5

15.0

14.5

14.0

13.5

13.0

12.5

12.0

図 4-10 全国市町村別の建築着工棟数地図(左図)および建築予定単価地図(全構造・平成 19 年度)

(18)

- 84 -

(棟)

2,000

1,000

500

300

200

100

50

30

20

10

5

(万円/㎡)

17.0

16.5

16.0

15.5

15.0

14.5

14.0

13.5

13.0

12.5

12.0

図 4-11 全国市町村別の建築着工棟数地図(左図)および建築予定単価地図(右図)(木造のみ・平成 19 年度)

(19)

- 85

-(棟)

50

40

30

20

10

5

(万円/㎡)

23

22

21

20

19

18

17

16

15

14

13

図 4-12 全国市町村別の建築着工棟数地図(左図)および建築予定単価地図(右図)(RC 造のみ・平成 19 年度)

(20)

4.5 工事単価等の対前年増減率の分析 前節で建築費単価の高低について一応の見通しを得たわけだが、1 時点のものであるこ と、構造別平均単価の高低の議論だけでは通り一辺倒の理解しか得られていないという懸 念がある。もう少し深みのある議論に近づけたい。そこで一つの試みであるが単価の高低 の傾向がどう変化するかに着目した検討をしてみた。幸いにも平成元年∼平成 18 年の建築 着工統計の構造別市区町村別集計値から、単価の対前年増減率が計算できる。それをヒス トグラムにプロットした(図 4-13 参照)。各市区町村の各年の平均単価は常に変動するが、 増えるところもあれば減るところもあり、全体では+2.2%付近を中心にした正規分布とな る。(これは上昇する市区町村がやや多いことを示す。) 図 4-13 各市区町村の対前年増減率(平成元年∼平成 18 年)の分布(全構造) 構造別に同じデータを描いた図 4-14 では「木造」が分散及び平均値が小さくなる(尖っ た分布を描く)。それ以外の構造はそもそも単価のバラツキが大きく、その標準偏差の大き さから、S 造、RC 造、SRC 造の順番でバラツキが大きくなっている。これは木造が比較的 同一用途(すなわち居住専用住宅)向けに作られる一方、市区町村や年度により用途、発 注者等に違いがあるためではないかと思われる。これは先に述べたノイズの例である。 図 4-14 各市町村の対前年増減率(平成元年∼平成 18 年))の分布(主な構造別)

(21)

第5章 まとめと今後への課題

諸外国、とくに米国のコストブックには、地域差を捉える指数があり、数百地点という レベルのかなり細かい地理的単位で作られているものが存在していた。それは概算のため に利用するもので、材料、労務、機械経費、総額の4区分程度に示されたもの、主要行種 別の指数まで算出しているものもあった。地域差地図の作成を目的とする本調査の収束点 として、ひとつの考え方を示唆するものである。それらの精度に関する問題や利用上の実 態などについてさらに調査を続けたい。また、海外の資材費、労務費の比較資料をみつけ て紹介したが、地域差の調査を極端に進めると国際比較になることを理解した。国内での 建築費の価格差が決まる要因とは別の要素も多くあるのだろう。こうした視野の元で国内 の地域差の調査研究に取り組みたい。 統計データを使った実際の分析では今年度は建築着工統計データを利用した。統計利用 上の問題点を整理し、実際に建築費単価の計算を行って、いくつかの集計やグラフを作成 した。とくに平成 19 年度データを用いて、市町村別・主要構造別の棟数や単価の情報を日 本地図にプロットする作業等を行った。地域の需要と単価の関係をその地図から朧気なが らつかむことができた。地域差を捉える場合、取引規模など取引条件の違い、物理的な運 搬距離による違い、調達時期のズレによる違い、主体間の価格交渉力の違いなどの個別差 とは区別が必要であり、それらのノイズを除去した適切な地域差の抽出が望まれる。それ には多くの統計的アプローチを重ねる必要があるだろう。やはりその際に統計データから のアプローチでは、個票レベルでのデータ操作の環境が得られること望ましいが、現段階 では制約条件の一つとなっている。 以上のように、今年度の検討では得られた知見もあったが、まだデータ分析のはじまり の段階に過ぎないものであり、さらに深く分析を行っていく必要がある。工種別の単価な ど施工単価についての分析も予定していたが、十分な取り組みができなかった。これらは 今後の課題としたい。 ※ 本文第2章や第4章の図の一部は、筆者が財団法人建設物価調査会主催の「第 61 回建設経済セミナー」(2008 年 10 月 8 日)で使用したパワーポイント資料からの抜粋である。

図 2-3 は 681 都市を 51 の州別に集計したものを合計額の地域差(Avg.)の大きさ順でソ ートしたもので、全米平均より高いのはアラスカ州、ハワイ州が 30%程度、若干差異があ り、ニュージャージー州、マサチュセッツ州が約 15%高と続く。逆に低い方からはニュー メキシコ州、アーカンソー州、ネバダ州、サウスダコタ州など南部の州が 10%程度低い。 内訳別では労務費(Labor)の違いが最も大きく、アラスカ州の労務費は全米平均より 50% 近く高く、逆にニューメキシコ州は 20%以上安い。一方、材料
表 4-3  建築着工統計(建築動態統計調査)を利用する方法  •  統計では直接の建築工事単価は計算されていない。そこで、工事費予定額(c 0 )を予定床面積(a 0 ) で割ることによって、平均工費単価(c 0 /a 0 )を求める。  •  上記の単価は、建物 1 棟毎に計算可能のはずだが、一般には公表されておらず、用途別、構造別、 発注者別、市区町村別などで集計されたデータから算出せざるを得ない。(現状では分析上の制約 がある。  Cf
図 4-3  住宅地の都道府県別価格指数(平成 18 年・土地価格の地域差)(参考)  建築着工統計は構造別、用途別などの区分により集計されている。その単位で都道府県 の単価を計算し、東京を基準(100)とする地域差指数を計算してみた。全用途でみたもの が図 4-4、居住専用住宅に絞ってみたのが図 4-5 である。前者では東京の平均を基準にす ると鉄骨・鉄筋コンクリート(SRC)や鉄筋コンクリート(RC)では東京よりも高い都道府 県がみえるが、居住専用住宅に絞った後者では全ての構造別地域差で東京が最も高くな
図 4-5  主要構造別の都道府県の建築費の地域差(平成 18 年・居住専用住宅)  (注)居住専用住宅に絞ると全ての構造別で東京が最大となり、地域差は縮小する  4.3  市区町村別平均単価の分析  最新の平成 19 年度の建築着工統計で、市区町村別の集計値が得られる「第 30 表  構造 別―建築物の数,床面積の合計,工事費予定額」 (国土交通省監修・財団法人建設物価調査 会発行の建築統計年報平成 20 年度版所収)のデータを用いた建築費単価の分析を行ってみ たい。数値の最小単位は市区町村であり、工事費
+2

参照

関連したドキュメント

I stayed at the British Architectural Library (RIBA Library, RIBA: The Royal Institute of British Architects) in order to research building materials and construction. I am

I stayed at the British Architectural Library (RIBA Library, RIBA: The Royal Institute of British Architects) in order to research building materials and construction. I am

第9条 区長は、建築計画書及び建築変更計画書(以下「建築計画書等」という。 )を閲覧に供するものと する。. 2

建築第一グループ 建築第二グループ 建築第三グループ ※3 建築第四グループ 建築第五グループ 建築第六グループ ※3

身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(以下、ハ

建築第一グループ 建築第二グループ 建築第三グループ ※3 建築第四グループ 建築第五グループ 建築第六グループ ※3

建築第一グループ 建築第二グループ 建築第三グループ ※2 建築第四グループ 建築第五グループ 建築第六グループ ※2

建築第一グループ 建築第二グループ 建築第三グループ ※2 建築第四グループ 建築第五グループ 建築第六グループ ※2