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第4回クッキーテスト研究会研究報告集(PDF)

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(1)

2007

第4回クッキーテスト研究会

<研究報告集>

甲斐駒ヶ岳(H19.8 撮影/原納 優)

2007 年 5 月 26 日(土)

於:三井アーバンホテル仙台

2階

花宴の間

(2)

目 次

Ⅰ.ご講演要旨 ………

2

中年肥満女性の糖脂質代謝

―クッキーテストによる検討―

………

3

クッキーテストによるαグルコシダ−ゼ阻害薬の比較

−食後血管内皮機能に焦点をあてて−

………

7

クッキーテストによる食後血液流動性についての検討

………

9

クッキー負荷と血中 GLP-1 濃度

……… 12

食後高脂血症へのピタバスタチンの効果

………

14

高脂血症患者における閉塞性睡眠時無呼吸症候群と

動脈硬化との関連

……… 15

Ⅱ.基調講演要旨 ………

18

クッキーテスト実施の理論と臨床的意義

−本態性反応性低血糖症−

Ⅲ.特別講演要旨

……… 25

食後高脂血症における脂質異常

Ⅳ.クッキーテスト概要

……… 29

(3)
(4)

中年肥満女性の糖脂質代謝

―クッキーテストによる検討―

南和会みどり病院 東儀宣哲 目的 女性ホルモンが減少する女性更年期では、体内環境が変化し、高脂血症や糖尿病などの 生活習慣病の発症が多くなる。今回、食後高脂血症と耐糖能異常を同時に評価できるク ッキーテストを用いて、中年肥満女性の糖脂質代謝について検討した。 対象・方法 BMI25以上の中年肥満女性10名(45−57歳)を対象に糖脂質負荷試験を行っ た。負荷試験食はアビリット社製クッキーテスト(75g 小麦粉澱粉、28g バター脂肪、 585kcal)を用いた。クッキー摂取前、1、2時間後に採血し、血糖、IRI、中性 脂肪、総コレステロール,HDL−コレステロール,RLP−コレステロール、総アデ ィポネクチンを測定した。食後高脂血症の判定は負荷前と負荷後1時間値か2時間値と の差が中性脂肪で66mg/dl 以上あるいはRLP−コレステロールで3.3mg/dl 以上 の増加を認めた場合とした。インスリン抵抗性の判定はインスリン面積110以上(μ U/ml・hr)か、HOMA−IR2.1以上(mg/dl*μU/ml)を認めた場合とした。 結果 対象者の背景は表1の通りで、平均年齢50.2 歳、平均身長 158.6cm、平均体重 70.7kg、 平均BMI28.1kg/㎡、平均腹囲 92.5cm であった。脂質代謝について、高脂血症9名(高 中性脂肪血症3名、食後高脂血症6名)が認められた。糖代謝については、糖尿病型1 名が認められた。加えて、4名が高血圧症であった(図1)。インスリン抵抗性の有無で 評価すると、5名にインスリン抵抗性を認め、そのうち高脂血症4名(高中性脂肪血症 3名、食後高脂血症1名)、高血圧が3名であった。インスリン抵抗性を認めない5名 では全員に食後高脂血症があり、糖尿病型1名、高血圧1名の合併を認めた(図2)。総 アディポネクチン値はインスリン抵抗性群で平均6.5(3.5-8.7)μg/ml と低値であ った。非インスリン抵抗性群では、総アディポネクチン値は平均14.7(10-19.8) μg/ml であった(図3)。メタボリックシンドローム(MS)の項目数は現在の診断基準に よるとインスリン抵抗性群で1個が1名、2個が1名でMS と診断されたのは1名だっ た。非インスリン抵抗性群では、1個が1名で、MS と診断されたのはなかった。腹囲 80cm 以上で、食後高脂血症を含めるとインスリン抵抗性群で 2 名、非インスリン抵 抗性群で2名がMS と診断された(図4)。 まとめ 1.今回の対象者では、インスリン抵抗性の有無に関係なく高頻度に脂質代謝異常を認 めた。 2.クッキーテストは中年肥満女性の食後の糖脂質代謝の評価に有用と思われた。

(5)

≪表1≫

対象者背景

122/74

95

27.8

66.8

155

45

124/68

90

25.6

64

158

51

108/70

95

27.9

68.8

157

47

114/77

96.5

27.4

82

173

50

134/76

83

26.5

62

153

57

134/76

87

29.1

74.6

160

57

142/82

88.5

28.1

68.4

156

49

142/96

94

27.5

66

155

48

128/88

100

27

69.2

160

52

136/86

95.5

33.8

85.4

159

46

血圧

腹囲

BMI

体重

身長

年齢

≪図1≫

クッキーテストの結果

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

高脂血症

耐糖能異常

高血圧

(6)

≪図2≫

インスリン抵抗性の有無別

0 1 2 3 4 5 6 高脂血症 耐糖能異常 高血圧

インスリン抵抗性 無         有

n=5

n=5

≪図3≫

総アディポネクチン値とインスリン抵抗性

0

2

4

6

8

1 0

1 2

1 4

1 6

μ

g/

m

l

インスリン抵抗性

(7)

≪図4≫

メタボリックシンドローム

の項目数

食後

高脂

血症を

含む

80

cm以

90

cm以

食後

高脂

血症を

含む

80

cm以

90

cm以

項目数

インスリン抵抗性:無

インスリン抵抗性:有

(8)

クッキーテストによるαグルコシダ−ゼ阻害薬の比較

−食後血管内皮機能に焦点をあてて−

琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学 中松真紀子、安 隆則、山川 研、永野佳世、植田真一郎 食後高血糖は、糖尿病患者のみならず非糖尿病患者においても、死亡や心血管イベント の予測因子になりうることが明らかになってきた。食後高血糖は、血管内皮機能を障害 し、動脈硬化を促進することが知られている。従って、αグルコシダーゼ阻害薬(αGI) は食後高血糖の抑制を通して、血管内皮機能を保護し、心血管イベントリスクを減少さ せることが期待できる。本研究の目的は、二つのαGI(アカルボースとミグリトール) の耐糖能障害患者における食後高血糖および食後内皮機能低下への影響を比較するこ とである。この二つの薬剤は、薬物動態に違いがあり、食後高血糖への効果も異なる可 能性がある。プラセボまたはアカルボース 100mgまたはミグリトール 50mg をクロス オーバー法により健常者(n=7) および耐糖能患者(n=12)に投与し、脂質および糖質を 含んだテストミールであるクッキーテストを実施し、負荷後の血糖値、中性脂肪、レム ナントリポ蛋白、遊離脂肪酸、血管内皮機能を測定して比較をした。健常者では、クッ キー負荷により軽微な血糖、脂質の上昇がみられたが、血管内皮機能は低下しなかった。 一方、耐糖能障害患者では、血糖、脂質の上昇が認められ、血管内皮機能も有意に低下 した。アカルボースとミグリトールの影響を比較すると、ともに負荷後60分の血糖の 上昇を有意に抑制し、血管内皮機能の低下を予防した。しかし、負荷後 120 分後におい ては、アカルボースのみ血糖値を抑制し、血管内皮機能を改善した。従って、アカルボ ースもミグリトールも、耐糖能障害患者において、食後高血糖、高脂血症を抑制して、 それに伴って血管内皮機能の低下を改善する可能性が示されたが、アカルボースの方が より長時間にわたって、その効果を示した。これは、薬物動態学的な違いを反映してい ると考えられる。

(9)

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 60 120 Time(min) Placeno Acarbose Miglitol 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 60 120 Time (min)

BS (mg/dl)

IRI (microU/ml)

Effects of Acarbose and Miglitol on plasma glucose

and insulin concentrations after the test meal

A vs. M p=0.0008 (ANOVA) M120>A 120p<0.01 (Bonferroni/Dunn) A vs. M p=0.0016 (ANOVA) M120>A 120p<0.05 (Bonferroni/Dunn) 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

Baseline 60min 120min

0 40 80 120 160 200

Effects of Acarbose and Miglitol on peak FBF

and FDR after the test meal

FBF(ml/dl/min) %

Peak FBF

FDR

Placebo Acarbose Miglitol

Baseline 60min 120min

* * ** * * * ** * * ** * * *

(10)

クッキーテストによる食後血液流動性についての検討

横川晃治1)、堀尾武史2)、朴孝憲3)、原納 優4) 1) よこかわクリニック、2) 国立循環器病センター内科・高血圧腎臓部門、 3) 済生会吹田病院内科、4) 児成会生活習慣病センター はじめに 動脈硬化血管において、血管壁の評価についての報告は多いが、血液の流動性(血 液粘度)を評価した研究は多くない。糖尿病患者の血液流動性が低下(血液粘度が上昇) している事を以前に報告した。糖尿病細小血管障害の予防を考えるにあたり、食後高血 糖や高脂血症の血液流動性に及ぼす影響について検討した。 対象及び方法 糖尿病患者10 名にアビリット社の Cookie test を実施した。 絶食にて午前中に安 静にて、クッキー全量とサントリーの天然水200mlを 15 分以内に食べていただいた。 その他の水分を摂取させず、クッキーを全量の半分まで食べた時間を0分として、30 分、60分、120分において血液検査をおこなった。採血項目は、血算、血糖(血漿)、 LDL-CHO、中性脂肪、IRI、酸化ストレス度、抗酸化力、血液流動時間(Sa 値)を各 時間に施行した。また、血中の酸化ストレス度と抗酸化力は、活性酸素フリーラジカル 自動分析装置(FRAS 4, ウイスマー社, 東京)、血液流動性は、MC-FAN(micro channel array flow analyzer)(MC 研、KH-6 型,東京)を用いて測定した。100μl の 血液が通過し終わる時間をSa 値と決定した。正常値は38秒から50秒であり、Sa 値 が大きいほど血液流動性は悪い事を示唆する。 結果 糖尿病型は、IGT3名、IFG3名、糖尿病4名であった。30 分に 3 名、60 分に 4 名、120 分に 3 名が血糖値のピークを認めた。IRI のピークは、糖尿病例 4 名が 120 分 に、IGT が 60 分 2 例、120 分 1 例であった。Sa 値は、30 分でやや減少し、以後徐々 に増加し、60 分をピークとして低下するか(2 例)、120 分でも上昇し続けた(図1)。特 に、HOMA-R が 2.5 を越える症例は、120 分においても Sa 値が延長していた。血中酸 化ストレス度と抗酸化力については、有意な変動を認めなかった。血液流動性は、Ht、 白血球数、血小板数、LDL-コレステロール濃度とは相関を認めなかったが、血糖値 (図 2)、中性脂肪 (図3)、IRI と有意な正の相関関係を認めた。 結論ならびに考察 血液流動時間の試験前値が糖尿病患者では高値であり、脱水などが血液粘度を上昇 させていると考えた。血糖の上昇や中性脂肪の変化とは逆に、30 分では血液流動性が 改善する傾向が認められたが、この改善は一時的で、60 分、120 分では、血液流動性 は著明に悪化していた。血液流動性が、中性脂肪や血糖値、IRI と相関を認め、HOMA-R が2.5 を越える症例は、120 分においても血液流動性が悪化していたため、インスリン 抵抗性と血液流動性になんらかの関与がある可能性が示唆された。 また、糖尿病における血液過粘稠についての研究に、クッキーテストは有用である と思われた。その際の水分摂取が、糖尿病患者の血液流動性を改善させる可能性が考え られた。

(11)

図1、クッキーテスト施行時の血液流動性の変化

血液流動時間(Sa time)の推移

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

Pre 30min 60 min 120 min

Pre 30 min 60 min 120 min

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 sec

S

a

t

im

e

55±6.4 47±8.3 58±10.7 58±10 P<0.05 P<0.05 Time ;HOMA-R;2.5<

図2、

血液流動時間(Sa time)と血糖値との相関

Sa 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 0 50 100 150 200 250 300 350 血糖値(mg/dl) 血 液 流 動 性 (S a t im e ) (s e c ) p<0.05

(12)

図3、

血液流動時間(Sa time)と中性脂肪値との相関

Sa 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 0 50 100 150 200 250 血 液 流 動 性 (S a t im e ) (s e c ) 中性脂肪値(mg / dl) p<0.01

(13)

クッキー負荷と血中 GLP-1 濃度

和歌山県立医科大学 医学部 臨床検査医学講座 島尻佳典、古田眞智、三家登喜夫 【目的】 消化管ホルモンである GLP-1(Glucagon-Like Peptide-1)はインスリン分泌促進、グル カゴン分泌抑制、消化管運動抑制、中枢における食欲抑制、そして膵β細胞のアポトー シス抑制などに関与している。近年、GLP-1 アナログ製剤や GLP-1 分解酵素阻害剤が新 しい糖尿病治療薬として開発され、GLP-1 の生理作用が注目されている。しかし、これ までヒト活性型 GLP-1 濃度についての検討は少ない。今回我々は、活性型 GLP-1 の至 適採血条件を検討し、クッキー負荷による GLP-1 分泌反応について検討した。 【方法】

活性型 GLP-1 の測定には LINCO Research 社の活性型[GLP-1(7-36 amide), GLP-1 (7-37)]GLP-1 測定キット(ELISA 法)を用いた。1) 健常者 4 検体を用いて、GLP-1 分解 酵素阻害剤添加による GLP-1濃度の安定性を検討した。採血には EDTA 入りの採血管が 推奨されているので、①EDTA-2K 管、②EDTA-2Na(含アプロチニン)管、および③EDTA を含まない血糖管(フッ化 Na+ヘパリン Na)での測定濃度の相違を比較した。2)非肥満 者 (BMI<25kg/m2) と 肥 満 者 (BMI ≧ 25kg/m2) の 合 計 18 名 に ア ビ リ ッ ト 社 ク ッ キ ー (553kcal)を負荷し、これによる経時的 GLP-1 分泌反応を検討した。 【成績】 1) GLP-1 分解酵素阻害剤非添加検体は添加検体と比較して-19%~+69%測定濃度にば らつきがあった。 また、①EDTA-2K 管、②EDTA-2Na(含アプロチニン)管、③血糖管 での GLP-1 濃度(Mean±SD)はそれぞれ 2.1±0.5pM, 2.1±0.4pM, 2.5±0.5pM であり、 EDTA を含まない血糖管を用いた場合、測定濃度が不安定になることが示唆された。2) ク ッキー負荷にて経時的な血糖上昇とインスリン分泌反応が認められた(図 1)。同時に GLP-1 分泌反応も認められ、活性型 GLP-1 は肥満群において低濃度で分泌されることが 示唆された(図 2)。 【結論】

LINCO Research 社 GLP-1(active)測定キットは血漿中(含 EDTA, GLP-1 分解酵素阻害剤) の活性型 GLP-1 を測定できることが確認された。消化管ホルモンの生理作用の研究にク ッキー負荷が有用であると考えられた。

(14)

0 40 80 120 160 200 0 30 60 90 120 0 40 80 120 160 200 0 30 60 90 120 20 60 100 20 60 100 PG (mg/dl) PG (mg/dl) IRI (μU/ml) IRI (μU/ml) min min

Figure 1. Plasma glucose and Insulin secretion after cookie overload.

◆ indicates plasma glucose (PG) ■ indicates insulin (IRI) Data: Mean + SD Left : 9 lean subjects (BMI < 25kg/m2) Right : 9 obese subjects (BMI ≧ 25kg/m2)

0 2 4 6 8 10 12 0 2 4 6 8 10 12 0 30 60 90 120 min 0 30 60 90 120 min GLP-1 (Active) (pM) GLP-1 (Active) (pM)

Figure 2. Serum GLP-1 secretion after cookie overload.

● indicates active GLP-1 concentration. Data: Mean ± SD

(15)

食後高脂血症へのピタバスタチンの効果

秋田赤十字病院 内科 後藤 尚 【目的】 いわゆるストロングスタチンは肝コレステロール合成への持続的抑制作用を介し肝 VLDL 合成を抑制して空腹時の TG を低下させる作用が知られているが,その食後脂質代 謝への効果はまだ十分明らかとされていない。 【方法】 健常男性7例を対象にピタバスタチン 2mg/日投与前及び 4w 後にクッキーテスト(糖質 75g,脂質 25g 含有)を施行。負荷後 360 分までの血糖,IRI,TG,RLPC を測定した。 【結果】 負荷前及び 120,180,360 分後の TG は投与前の 155-244-276-201 に対して 121-186-209-141 (mg/dl)と投与後は負荷後各点で有意に低下した。負荷前及び 120,360 分後の RLPC も投与前の 6.9 -11.7 -10 に対して 3.7-6.5-4.9 (mg/dl)と投与後は各点 で有意に低下した。負荷後上昇も TG 180 分値,RLPC 120 分値は投与後,有意に低下して いた。 【結語】 負荷後 TG・RLPC 代謝へのピタバスタチンの好影響が示唆された。

(16)

高脂血症患者における閉塞性睡眠時無呼吸症群と動脈硬化との関連

九州大学大学院 感染環境医学(総合診療部) 澤山泰典,濱田真紀,前田晋至,大西八朗,大田黒 滋,古庄憲浩,林 純 背景及び目的: 最近,高脂血症,高血圧,糖尿病,肥満などの生活習慣病と閉塞性睡眠時無呼吸症候 群(OSAS)との間に密接な関係が報告されている.特に睡眠時の低酸素血症のため,心臓 疾患,自立神経系の異常,慢性的ストレスが生じ,生活習慣病の発生率が増加し,動脈 硬化の原因にもなっている.今回,私共は高脂血症患者における OSAS と動脈硬化症と の関連について検討した. 対象及び方法: 当院外来通院中の高脂血症患者で,OSAS 生活習慣病クリティカルパス(2泊3日) にて入院した 57 例(男性 29 例,女性 28 例,平均年齢 62.4+10.2 歳)を対象とした. ポリソムノグラフィーを用いて OSAS の存在を検討し,その程度は無呼吸低呼吸指数 (AHI)で判定した.AHI15 以上を OSAS と定義した. 結 果: 1.OSAS は,男性および肥満に高率に認めた.(図1) 2.OSAS は,IMT や hsCRP 値等の動脈硬化と有意な関連を示した.(図2,3) 3.OSAS は,インスリン抵抗性と有意な関連を示した. (図4) 4.OSAS は,BMIやウエスト周囲径等の肥満と有意な関連を示した. 5.肥満と動脈硬化との関連はみられなかった. 6.インスリン抵抗性と動脈硬化と有意な関連を示した. 結 論: 高脂血症患者における肥満は,OSAS の原因であり,OSAS は,インスリン抵 抗性を介して,動脈硬化の進展促進に寄与しており,OSAS の治療は動脈硬化 の進展抑制につながる可能性が示唆された.

(17)

BMI

図1.

図1.

肥満

肥満

OSAS

OSAS

との関連

との関連

AHI r=0.717 P<0.0001 0 20 40 60 80 100 10 15 20 25 30 35 40 45 50 r=0.714 P<0.0001 0 20 40 60 80 100 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 AHI ウエスト周囲径 IMT(mm)

図2.

図2.

IMT

IMT

OSAS

OSAS

との関連

との関連

r=0.283 p=0.0328 0 20 40 60 80 100 0 0.25 0.5 0.75 1 1.25 1.5 1.75 2

AHI

(18)

AH I

図3.

図3.

hsCRP

hsCRP

OSAS

OSAS

との関連

との関連

(ng/dl) hsCRP hsCRP r=0.463 p=0.0007 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0 20 40 60 80 100 0 0.12 0.24 (ng/dl) OSAS群 対照群 0.06 0.18

***

hsCRP hsCRP

図4.

図4.

OSAS

OSAS

インスリン抵抗性

インスリン抵抗性

との関連

との関連

0 2 4 6 HOMA-IR 0 40 80 120 160 AUC-IRI AUC-IRI*AUC-PG (m g/ dl ・ U /m l) 0 20,000 40,000 60,000

**

OSAS群 対照群 OSAS群 対照群 OSAS群 対照群

**

**

p<0.01

(19)
(20)

クッキーテスト実施の理論と臨床的意義

−本態性反応性低血糖症−

児成会生活習慣病センター 所長

原納 優

はじめに 今回は、耐糖能精密測定の内容を中心に話し、反応生低血糖の1例につき 報告する。近年、空腹時血糖から、IGT、2時間DM(200以上)を類推し、Hb A1cも5.2%以上を要注意群とする動向がある。 メタボ の判定基準を、FBS 100,HbA1c5.2%以上の案が浮上している。要注意の内容が曖昧であり、動 機づけとしても弱い傾向がある。筆者らの考えでは、クッキーテストを施行し、2時間 の血糖が140以上(IGT)、又は200以上(DM)、低及び高インスリン血症、イ ンスリン抵抗性、食後高脂血症を示す具体的数値を体験することが、将来を含めた予防、 進展防止の対策により有用であると考えている。事実空腹時DM、2hDM、両者DM はほぼ1/3ずつ存在し、血糖は正常でも高インスリンを示す第1期DMや食後高脂血 症など、肥満例では異常者が96%に検出された。耐糖能異常はインスリンと血糖との 相関であり、インスリンの評価が極めて重要であり、そのためには一定の負荷食による 反応性の判定がのぞましい。循環器疾患における負荷心電図(エルゴかTM)の位置づ けに相当する。 クッキーテスト適応について 表1にクッキーテスト施行の適応を示す。メタボリックシンドローム対策の主旨もあ り、明年より、特定健診が実施されようとしている。臍周り男子85cm、女子80c m、BMI23以上、尿糖陽性、血糖あるいはHbA1c高値、高血圧、血中脂質異常、 運動不足の方等、2次健診群が対象と想定される。 筆者の女子大学生での成績より、女子臍周り正常値は70cmであり、90cm以上は ほとんどいないこと、40歳以上の女子では、90cm以上は内臓肥満の診断基準では あっても、インスリン抵抗性を最小化する指導基準としては80cmが適当であると考 えられる。一次健診でのインスリン抵抗性疑い例が対象となり、スリムで運動習慣が十 分で血圧、脂質、血糖、HbA1cなどが問題ない例は健保上施行不要である。 耐糖能異常の分類 耐糖能は、血糖のみで分類すべきでなく、インスリンとのかねあいが重要である。 米国では血糖のみで判断する傾向にあるが、我が国においてはインスリン測定が一般化 しており、貴重な情報が得られている。第一期DMは、血糖正常、インスリン抵抗性(+) 群であり、高インスリン血症は90%以上の確率でイ抵抗性が有ることより、これを含 めると35%に達する(図1)。この時点で、食事運動療法を導入すると、IGT、D Mへの進展防止となり、ひいては生活習慣病、 メタボ 対策として最も効率の良い方 法となる。 本態性反応性低血糖の評価と対策 反応性低血糖は、液状ブドウ糖負荷によりしばしば観察されることは、既にこれまで のクッキーテスト研究会で示した。その中には、真性の2次性反応性低血糖(ダンピン グ症候群、食道、胃、12指腸切除手術後遺症)や本態性反応性低血糖がある。また、

(21)

液状ブドウ糖による偽性反応性低血糖も一部含まれる。これは、通常の食事では再現出 来ないので、注意が必要である。筆者らは最近、繰り返す本態性反応性低血糖症の一例 を経験したので紹介する。胃腸手術などの既往のない症例で、繰り返す低血糖に対し、 摂食で対応し肥満を生じていた(表2)。トレーランG負荷では、血糖は97より1h 276へ6時間後45の低血糖を示した。インスリンは2hで163と遅延高反応を示 した(図2)。体重を66kgより、58kgへ減量し、高蛋白、低糖質食とし、さら にセイブル(新しいα―グルコシダーゼ阻害薬、三和化学社)50mg 3錠分散3毎 食前で過血糖を抑制し、クッキーテストを施行した(図3)。血糖は78から106へ と過血糖はみごとに抑制されインスリンも2hで88へと半減した。4hでの血糖は5 2へと改善したが尚、低血糖症状(空腹感、冷汗)は存在した。 大阪大学松久先生との共同研究で、インスリンクランプ時の低血糖(48mg/dl) で ACTH、IRG、cortisol、アドレナリン、ノルアドレナリンの上昇が 見られずインスリン拮抗ホルモンの低血糖に対する閾値異常が示唆された(表3)。C RH負荷試験でACTH、cortisolの正常分泌が観察され、血中CRHの測定 (SRL社)などにより、総合的にCRHとglucagon分泌の低血糖に対する閾 値異常(血糖30−40mg以下では反応するが、40−70mg/dlでは無反応) と想定した。 グルカゴンの分泌不全を伴う本態性反応性低血糖は、海外で報告されているが(表4) 頻度などは明らかでない。CRHの低血糖に対する閾値異常は、他に報告がなく、今回 の症例は両者が合併した珍しい1例の可能性がある。NAdとAd分泌も日常の低血糖 に反応しなかったが、コートリル服用時にはNAdの反応性の改善をみとめた。CRH の閾値異常によるカテコラミンの反応異常を想定しているが、更なる検討を加える予定 である。 セイブルとコートリル服用による反応性低血糖に対する対策 セイブルは従来のα―グルコシダーセ阻害薬に比し、糖質摂食後より早期の過血糖を 抑制する特徴を有する。従って、ダンピング症候群や本症のような反応性低血糖に対し て、血糖上昇とそれに伴うインスリン分泌を効果的に抑制するので有用である。セイブ ル服用下でも、尚低血糖と症状が見られ、繰り返す感染症も見られたことより、コート リル10mgを朝食と昼食後2hに投与した。上記服薬下にクッキーテストを繰り返し 施行した(図4)。血糖の上昇とインスリン分泌は、十分抑制され、反応性低血糖は見 られなかった。 注目すべきは、繰り返し観察された食後高脂血症であり、100mg/dl以上の増加 が2hで見られた。また、GLPの上昇が1hで見られた(Linco社、total に対する抗体使用キット)がそのインスリン分泌などにおける意義は明らかでない。 おわりに 反応性低血糖症は、夕食が遅れた場合などに、不安感、冷汗、手のふるえ、空腹感な どを訴える症例に見られる。肥満、慢性膵炎、胃腸手術後などで知られているが、セイ ブルが有効であることを明らかにした。毎75mgと高容量であったが、便秘が改善し、 便秘薬が不用になったこと、放屁がかえって体調(胃腸機能)に良いとの報告を受けて いる。コートリルの継続使用については、現在中断中であり、更に検討予定である。本 例で注目すべきは、食後高脂血症であり、4回繰り返したクッキーテストで全回再現さ れ、その後リピディル投与により正常化することを明らかにした。

(22)

<表1>

クッキーテスト(耐糖能精密検査)の適応

生活習慣病の主な代謝性危険因子  

    ●耐糖能異常 (DM、

IGT

、IFG、

     

第1期DM、反応性低血糖

      

第1期糖尿病(血糖正常、インスリン抵抗

     性あり)

    ●

高インスリン血症

    ●高脂血症 (

食後高脂血症

    ●肥満(BMI≧25)

    ●高血圧

    ●

インスリン抵抗性

 上記の早期検出と、経過観察の指標として有用

<図1>

肥満例における耐糖能分類 (n=53)

DM

32%

IGT

21%

第1期

DM

34%

耐糖能

正常

13%

(23)

<表2>

症例 34歳 女性 (S・M 氏) 看護師 主訴 低血糖症状(冷汗・震え) 157cm 70kg 臍周84cm 中学3年生(体重53kg)頃から夕方帰宅後に冷汗、震え等の低血糖症状がときに みられ、パン・アイスクリーム等のおやつやご飯などを食べて症状の改善がみられて いた。23 歳頃(55kg)、勤務中の夜半に、低血糖症状がみられた(42mg/dl)。 妊娠時(31 歳)、ほぼ毎日低血糖症状が起こり、摂食して症状の改善を繰り返し、58 kgから最高体重の88kgに達した。出産後は食事療法(減肥茶や糖質の減量)と メニエール氏病・亜急性甲状腺炎や流産などで体調を崩し 6 ヶ月後58kgまで減少 した。昼食前、夕食前ごろに低血糖症状(40∼42mg/dl、週5∼10回程度) がおこり摂食で対応し体重は75kgまで増加した。初診(ハラノ医院・H18.2 月)後、脱脂大豆蛋白食品による補食と脱脂大豆蛋白スナックを基本とした高蛋白・ 低糖質による減食療法を開始した。ついで毎食前のセイブル内服を追加した。体重7 0kg(臍周84cm)より8月には58kg(71cm)へと減少し、その間低血 糖症状も低頻度となった。感染症も頻発し発熱時に低血糖症状が見られたため11 月に、 コートリルの服用を開始した。2 月の初旬で妊娠初期(4 週∼5 週)と判明した。

<図2>

経口糖負荷(トレーランG)時における血糖

及びインスリン反応  (S・M氏)

0 25 50 75 100 125 150 175 200 225 250 275 300 0 30 60 90 120 180 240 血糖mg/dl 45 BS IRI インスリンμU/ml H18.3.23  体重65.9 kg  臍周80.5cm min 低血糖 97 276 12 163

(24)

<図3>

<表3>

<、

Pre 0分 60分 90分 120分 150分 血糖 (mg/dl)

98

86

85

83

82

59

48

IRI (μU/ml)

396

21.3

77

1320

1565

1587

1739

CPR (ng/ml)

2.9

2.6

2.1

1.6

GH (ng/ml)

0.09

0.19

コルチゾール (μg/dl)

16.9

4.4

アドレナリン (ng/ml)

<0.01

<0.01

ノルアドレナリン (ng/ml)

0.28

0.26

グルカゴン (pg/ml)

94

69

       *IRI=100時の GIR=2.92mg/kg/min         インスリン抵抗性を認めた。 目標  IRI 100μU/ml 目標  IRI 1000μU/ml 低血糖誘発

クッキーテスト時における

血糖・インスリン・TGの変動 (SM氏)

0

50

100

150

200

250

300

0

60

120

180

240

300

315

min

TG

BS

INS

CCDドリンク

Uml

血糖(mg/dl) TG(mg/dl) インスリン(μU/ml) グルカゴン(pg/ml) アドレナリン(ng/ml) ノルアドレナリン(ng/ml)

83

85

0.27

0.26

0.02 0.02 H18.8.25. 体重 58.4kg 臍周 71cm 78 106 5.7 88 52

(25)

<表4>

         

        

   

    

     

   

  

  

特にnon-oxidative glucose utilizationの亢進

  

・  一過性の食後低血糖

  

・ 

インスリンの過剰・遅延・正常分泌

・ 低血糖におけるグルカゴンの分泌不全

AbmadpourS,KabadiUM

Metabolism 46 639-643 1997

本態性反応性低血糖症

Idiopathic Reactive Hypoqlycemia

・ インスリン感受性の増大

<図4>

クッキーテスト時における血糖・インスリン・

グルカゴン・TG変動  (S・M氏)

0

40

80

120

160

200

240

280

0

60

120

180

240

BS

TG

INS

min

血糖(mg/dl) TG(mg/dl) インスリン(μU/ml) GLP-1(pmol/l) グルカゴン(pg/ml)

H18.11.8  体重58kg  臍周 71cm

GLP-1

IRG

(26)
(27)

食後高脂血症における脂質異常

(key words: レムナントリポ蛋白、small dense LDL, トリグリセリド、糖尿病)

昭和大学医学部 第一内科 平野勉

平野 勉 (HIRANO TSUTOMU) 郵便番号 142-8666 昭和大学 医学部 第一内科 東京都品川区旗の台 1-5-8 Tel: 03-3784-8532 Fax: 03-3784-8742 E-mail: hirano@med.showa-u.ac.jp 本邦の CHD では LDL コレステロールの単独増加よりも高トリグリセリド(TG)血症や低 HDL コレステロール血症を伴う頻度が高い。近年多くの大規模臨床研究から高 TG 血症 が低 HDL 血症とは独立して CHD のリスクになることが確認されている。しかしながら動 脈硬化巣には TG は蓄積しておらず、TG−リッチリポ蛋白(TGRL)の催動脈硬化 性は不明な点が多い。その中で最近レムナントリポ蛋白(以下レムナント)と small dense LDL がTGRLの催動脈硬化性を直接あるいは間接的に反映する脂質異常として 注目されている。TG は食後に増加するが、この程度が著しい場合は食後高脂血症とい われ、CHD の危険因子とされる。食後高脂血症にはレムナントの増加、LDL の小型化が 深く関与する。 小腸で吸収された脂肪はアポB48を構造蛋白に持つカイロミクロンの形で 輸送され、血中に入るとリポタンパクリパーゼ (LPL)速やかに分解されコレステロ ールに富むカイロミクロンレムナント(CMR)が生成される。CMR はカイロミクロンに 比し小型であり動脈壁に侵入することができるため [1]、動脈硬化の原因リポタンパ クと推察されている。カイロミクロンの生成はインスリン欠乏で増加し、インスリン抵 抗性でも増加するため糖尿病でアポ B48 は有意に増加する。最近われわれは腎不全でア ポ B48 が著明に増加することを見出したが腎不全では LRP の低下、アポ CIII の増加が 報告されており CMR クリアランスが低下しているためと推定している。アポ B48 も RLP-C も食後 TG の上昇と共に増加するが、粒子数を表すタンパクであるアポ B48 と脂質を最 終評価にする RLP-C とではその上昇程度に差が認められる。われわれはテストミール A 食を 2 型糖尿病に負荷し、6 時間まで TG,RLP-C,アポ B48 を測定したが、脂質負荷が1 8gと少ないテストミール A 食では TG, RLP-C の増加は前値の20%以内とわずかで あった。しかしアポ B48 は約 2 倍に増加しており、アポ B48 は食後高脂血症の鋭敏なマ ーカーであることが示唆された (図1)。 血清 TG の上昇は LDL の小粒子化に密接に関連している。VLDL やカイロミクロ ンなどの TG-リッチリポタンパク(TGRL)が血中で増加すると TGRL の TG が LDL に転送 され、逆に LDL からコレステロールが TGRL 側に転送される。これを触媒するのがコレ ステロールエステル転送タンパク(CETP)である。この脂質転送によりLDLのコレス テロールが減少する。TG リッチ、コレステロールプアーになった LDL は肝性 TG リパー ゼ(HTGL)で TG が分解されて、最終的にコレステロールプアーな small dense LDL が 生成される。HTGL 活性の上昇はLDLを水解して脂質成分に乏しい LDL を生成するた め small dense LDL の増加を引き起こす。TG は食後高脂血症でおおいに変化する。わ

(28)

れわれは空腹時の TG が正常であっても small dense LDL を有するパターン B では大型 の LDL を有するパターンAに比べ脂肪負荷試験で著明な TG の上昇を示すことを見出し た(図2) [2]。すなわち食後高脂血症も LDL 小粒子化の成因となる。食後高脂血症は高 レムナント血症と small dense LDL の生成を同時に高め、それが CHD の強いリスクにな ると考えられる。 2 4 6 8 1 0 1 2 1 4 B0 B1 B2 B4 B6 0  1  2  4  6 h

ApoB48

(mg/l)

4 0 6 0 8 0 1 0 0 1 2 0 1 4 0 1 6 0 1 8 0 2 0 0 2 2 0 TG0 TG1 TG2 TG4 TG6

TG

(mg/dl)

健常人 (n=8) インスリン治療中の糖尿病(n=19) 経口血糖降下薬服用の糖尿病(n=38)

図1 テストミールA負荷後のトリグリセリド(TG)、アポB48の変化

健常人 (n=8) インスリン治療中の糖尿病(n=19) 経口血糖降下薬服用の糖尿病(n=38) 0 0 33 66 99 1.0 1.0 2.0 2.0 3.0 3.0 1.0 1.0 2.0 2.0 3.0 3.0 ns ns ns ns P<0.0002 P<0.0002 P<0.007 P<0.007 P<0.0006 P<0.0006 トリグリセライド トリグリセライド d<1.006 d<1.006  ((mMmM))

図2 LDL phenotypeと脂肪負荷後のトリグリセリド反応

糖尿病に 糖尿病に乳乳脂肪を経口負荷脂肪を経口負荷, , d<1.006d<1.006分画を超遠心分離分画を超遠心分離 A A BB Pattern B Pattern B Pattern A Pattern A トリグリセライド反応 トリグリセライド反応 d<1.006 d<1.006  ((mMmM)) 時間( 時間(hh))

(29)

文献

1. Proctor SD, Mamo JCL: Intimal retention of cholesterol derived from apolipoprotein B100- and apolipoprotein B48-containing lipoproteins in carotid arteries of Watanabe heritable hyperlipidemic rabbits. Arterioscler Thromb Vasc Biol 23:1595-1600, 2003

2. Hirano T, Oi K, Sakai S, Kashiwazaki K, Adachi M, Yoshino G. High prevalence of small dense LDL in diabetic nephropathy is not directly associated with kidney damage:

(30)
(31)

1)クッキーテストについて 肥満に代表される生活習慣病の主要代謝性因子として、耐糖能異常、高脂血症、高 血圧そしてインスリン抵抗性が注目されています。高血圧以外の因子を同時にかつ 簡易に検出することを目的としてクッキーテストが開発されました。早期に上記要 因を検出し、これを指標に食事、運動習慣などの改善により、生活習慣病予防と対 策に役立つことを目指しています。 クッキーテストは経口糖負荷試験での負荷糖として、75gブドウ糖に相当するクッ キーを使用するものです。このクッキーには、小麦粉澱粉を主とする糖質 75g(マ ルトースを含む)とバターを主とする脂質 28.5gが含まれています。 澱粉は膵外分泌障害(慢性膵炎など)がない場合は良く消化吸収されるため、摂取後 2時間の血糖には液状ブドウ糖(トレーランG)との差がありません。またクッキー テストの特徴は、液状ブドウ糖と異なり日常の食品であり、反応性低血糖やそれに 伴う胃部不快感などが少なく、糖質と脂質に対するインスリンの処理能を同時に評 価可能なことです。 そのため、採血時に実施する様々な検査を組み合わせることによって、 ○耐糖能異常 糖尿病 IGT IFG 食後高血糖 ○高インスリン血症 インスリン抵抗性 ○食後高脂血症 以上の生活習慣病代謝性要因の早期検出が可能です。 *液状ブドウ糖又は日内変動の食事負荷と同じ扱いで、医師の判断で耐糖能異常疑い 例では、「耐糖能精密検査」として、検査(血糖とインスリンなど)について保険適 用が可能です。クッキー自体は食品ですので、保険適用ではありません。 2)クッキーテストの実施概要 1.一箱(内容量 115g)をテストに使用します。一箱分で一般的な朝食のエネル ギー相当となります。(592kcal)。 2.クッキー一箱分の摂食時間は 10∼15 分程度を目安にします。 *食べにくい方でも50%を少なくとも 10 分以内に食して頂き、残りはその後 20 分以内に食していただくと負荷試験としての基準が達成されます。 3.クッキーはお水またはお茶、紅茶 1∼2 杯で摂食します。 (砂糖・ミルクは使用しないで下さい) 4.空腹時の採血とクッキーを半分程度摂食した時間を 0 として、1 時間後、2 時 間後の採血を実施します。

(32)

クッキーの摂食後、澱粉と脂肪は血液中に血糖、脂肪として現れますのでインスリン作 用下の代謝、処理される過程を調べることができます。(精密耐糖能、高インスリン血 症、インスリン抵抗性、食後高脂血症の評価ができます。) 生活習慣病に関連する、血糖、高脂血症(特に食後高脂血症)、高インスリン血症や低 値、インスリンの効き方を観察することができます。日常の食習慣に即した代謝の流れ を観察できるよう考案いたしました。なお、慢性膵炎などのある方は、消化の遅れ、下 痢等の影響もありますので医師とご相談の上、判定に際してはご考慮ください。 空腹時 食後1時間 食後2時間 目的 血糖 ● ● ● インスリン ● ● ● TG ● ● ● 追加オプション1 RLP-C ▲ ● 7.5mg/dl以上でレムナント高値、3.3mg/dl以上の増加で食後高脂血症 追加オプション2 PAGE ● ● VLDL増加、ミッドバンド出現、LDL小粒子化 TC ● ● HDL-C ● ● 追加オプション4 Apo-B ● ● ● アポ蛋白B 増加 (110mg/dl ↑) 、高アポB血症        ● 耐糖能精密検査(900点)        ▲ 精密検討用 ◆クッキーテストで測定する血液検査項目 基本セット 耐糖能:正常、IFG 、IGT、糖尿病 高インスリン血症、インスリン抵抗性(AUCI、AUCI×AUCG) 食後高脂血症(TG ⊿66mg/dl ↑) 追加オプション3 コレステロール変動(LDL-C 120mg/dl ↑) HDL-C変動(40mg/dl ↓)   IFG、耐糖能異常、IGT   糖尿病   高インスリン血症   低インスリン血症 TG (mg/dl)   高TG血症、食後高脂血症 RLP-C (mg/dl)   高RLP血症、食後高脂血症 HDL-C (mg/dl)   低HDL血症 LDL-C (mg/dl)   高LDL血症 Apo-B (mg/dl)   高アポB血症 Control 26例のMean+2SDを基準に算定

*1 Takeuchi, Harano, et al : Endocrine Journal 47(5),535-542(2000) にてインスリン抵抗性(SSPG)との有意相関を報告

◆クッキーテストによる総合的検出の基準値 HOMA-R (mg/dl・μU/ml) 2.1以上 インスリン抵抗性    空腹時血糖値×空腹時インスリン値÷405 インスリン面積×グルコース面積 (mg/dl・μU/ml・hr2 )*1 22800以上 インスリン抵抗性    (インスリン面積)×{(空腹時血糖値+     1時間血糖値+1時間血糖値+2時間血糖値)÷2} インスリン面積 (μU/ml・hr)*1 110以上 インスリン抵抗性    (空腹時インスリン値+1時間インスリン値+   1時間インスリン値+2時間インスリン値)÷2 ②インスリン抵抗性の評価*2 計算式 基準値 評価 備考 120以上

-

-110以上

-

-7.5以上 ⊿3.3以上 (1時間値-空腹時) ⊿3.3以上 (2時間値-空腹時) 40以下

-

-12以上 82以上 59以上 150以上 ⊿66以上 (1時間値-空腹時) ⊿66以上 (2時間値-空腹時) 3未満 18未満 25未満 160以上 140以上∼200未満 126以上

-

200以上 インスリン (μU/ml) ①測定値 採血項目 基準値 評価 空腹時 1時間 2時間 血糖 (mg/dl) 110以上∼126未満

(33)

3)クッキーについて クッキーテストの負荷食に使用されているクッキーが 2007 年6月1日より 『ネオクッキー』として販売が開始されました。 商品をお求めの際、また詳細につきましては下記の取扱い代理店様に 直接お問い合わせ下さい。 ◆ 東邦薬品 株式会社 ◆ 株式会社 スズケン ◆ 株式会社 クラヤ三星堂 ◆ アルフレッサ 株式会社 ◆ 北海道和光純薬 株式会社 ◆ 株式会社 バイタルネット ◆ 正晃 株式会社 (順不同) 販売者 株式会社 エスアールエル 製造者 ナカイ製菓 株式会社 総販売者 アビメディカル 株式会社 4)研究会について クッキーテスト研究会は、 ○近年注目されている生活習慣病の代謝性因子の早期検出と経過観察の指標とし てのクッキーテストの意義と有用性を明らかにすること。 ○生活習慣病の成因、機序、病態に深い理解が得られる手助けをすること。 ○生活習慣病の対策に貢献すること。 を目的としています。

◆クッキーテストに関するお問合せ先

クッキーテスト研究会事務局

1) 児成会 生活習慣病センター 所長 原納優

TEL: 072-700-1135

2) アビメディカル(株)営業部 担当 芝地、竹内

TEL: 06-7650-6518

E-mail: cookie-test@abilit.co.jp

(34)

(組織 −平成20年1月現在−) ●代表世話人

原納 優

(児成会生活習慣病センター所長) ●世話人

泉 寛治

(辻野病院老人保健施設知恵の和苑施設長)

柏木 厚典

(滋賀医科大学内科学講座内分泌代謝内科教授)

林 純

(九州大学病院総合診療部教授)

伏見 尚子

(住友生命保険相互会社診療所所長)

●幹事

池淵 元祥

(池渕クリニック院長)

石綿 清雄

(虎の門病院循環器センター内科部長)

伊藤 芳晴

(市立川西病院病院長)

植田真一郎

(琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学教授)

植田 福裕

(羽衣国際大学人間生活学部講師)

久保田 稔

(関西学院大学社会学部教授・保健館長)

倉知 美幸

(NTT西日本東海病院総合健診センタ部長)

後藤 尚

(秋田赤十字病院内科副部長)

小松 良哉

(リョーヤコマツクリニック院長)

澤山 泰典

(九州大学病院総合診療部准教授)

三家登喜夫

(和歌山県立医科大学医学部臨床検査医学講座教授)

田尻 祐司

(久留米大学医学部内分泌代謝内科准教授)

多田 紀夫

(東京慈恵会医科大学附属柏病院総合診療部教授)

都島 基夫

(医誠会病院 SOPHIA 健康増進センター所長)

中島 譲

(大阪府済生会千里病院総合診療部部長)

野出 孝一

(佐賀大学医学部内科学教授)

藤田 誠一

(国立病院機構松籟荘病院研究検査科臨床検査技師長)

山田研太郎

(久留米大学医学部内分泌代謝内科教授)

横川 晃治

(よこかわクリニック院長)

萬屋 穣

(関東労災病院循環器科副部長)

平成20年1月発行

Figure 1.  Plasma glucose and Insulin secretion after cookie overload.

参照

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