Observation of Scaling
in the Dynamics of a Strongly
Quenched Quantum Gas
超クエンチされた量子ガスのダイナミクスにおける
スケーリングの観測
E. Nicklas, M. Karl, M. Höfer, A. Johnson, W. Muessel,
H. Strobel, J. Tomkovič, T. Gasenzer, and M. K. Oberthaler
Physical Review Letters, 115, 24530 (2015)
概要
・
87
Rbの二つのスピン状態から成る二成分
ボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を、
混和-非混和転移点の近傍に急激に変化さ
せ、その後どうふるまうかを調べた
発表の流れ
予備知識
ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)
2成分BECの混和性
ラビ結合による混和性制御
相転移におけるスケーリング理論
実験手順
結果
まとめ
ボースアインシュタイン凝縮
絶対零度付近まで冷却された
ボース粒子が最低エネルギー状態
を占める現象
E
ある転移 温度以下 まで冷却 巨視的な数の原子が 基底状態を占めるボースアインシュタイン凝縮体(BEC)
今回の研究対象 87Rb原子気体E
(熱学および統計力学3 参照)本実験では
87Rb原子の2つの超微細状態を用いる:
|↑>=|F=2,m
F=-1> |↓>=|F=1,m
F=1>
二成分BECについて
87
Rb超微細構造
87
Rb
(基底状態)
F=2
F=1
𝑚
𝐹
=-2
𝑚
𝐹
=-1
𝑚
𝐹
=0
𝑚
𝐹
=1
𝑚
𝐹
=2
𝑚
𝐹
=-1
𝑚
𝐹
=0
𝑚
𝐹
=1
磁場を印加
(F;全角運動量;電子の角運動量と原子核のスピン角運動量の合成二成分BECの混和性
BEC BEC 混和状態 非混和状態 二成分が混ざり合っている 相分離している ドメインを形成する2成分BECの混和性は、原子間相互作用などのパラメータに
よって決定される
二成分BECにおける相分離の条件
二成分が一様に混ざり合っている場合の相互作用エネルギー 二成分が相分離している場合の相互作用エネルギー V1 V2 V 1 2 1,2 V1+V2=V𝑬
𝒂=
𝟏 𝟐𝑽(ɡ
↑↑𝑵
↑ 𝟐+ɡ
↓↓𝑵
↓ 𝟐+𝟐ɡ
↑↓𝑵
↑𝑵
↓)
𝑬
𝒃´ =
𝟏 𝟐(ɡ
↑↑ 𝑵↑𝟐 𝑽𝟏+ɡ
↓↓ 𝑵↓𝟐 𝑽𝟐)
ɡ↑↑, ɡ↓↓;同種原子間接触相互作用の大き さ ɡ↑.↓;異種原子間接触相互作用の大きさ 𝑵↑、𝑵↓;原子数 これを𝑵↑、𝑵↓、𝐕 = 𝑽𝟏 +𝑽2の束縛条件のもとで最小化すると𝑬
𝒃=
𝟏 𝟐𝑽(ɡ
↑↑𝑵
↑ 𝟐+ɡ
↓↓𝑵
↓ 𝟐+2 ɡ
↑↑ɡ
↓↓𝑵
↑𝑵
↓)
𝑽𝟏=(1+ ɡɡ↓↓ ↑↑ 𝑵↓ 𝑵↑) −1 V , 𝑽2=(1+ ɡɡ↑↑ ↓↓ 𝑵↑ 𝑵↓) −1 V二成分BECにおける相分離条件
相分離条件は𝑬
𝒃< 𝑬
𝒂 よってɡ
↑↑
ɡ
↓↓
<ɡ
↑↓
2
相互作用の大きさを散乱長で表すとɡ
𝒊=
4πℏ𝒂
𝒊𝒎
よって𝛼 =
𝑎
↑↓
𝑎
↑↑
𝑎
↓↓
> 1
(相分離条件)
BEC BEC 混和 非混和 二成分が混ざり合っている ドメインを形成する 相分離 散乱長;原子間の接触相互作用の大きさラビ結合での混和性の制御
ラビ結合
|↑>
|↓>
二成分に共鳴
する電磁波
電磁波を照射することによって原子が二つ
のエネルギー準位間を往復するような結合
ラビ周波数
ラビ振動
電磁波を強くすると ラビ周波数も 高くなるラビ結合したときの相分離条件
1.23非混和状態
非混和状態 混和状態混和
非混和
臨界現象
(臨界点近傍でみられる現象)
臨界温度𝑇𝑐 平衡状態での磁化M(T)M(T)
∝ (𝑻
𝒄
−T
)
𝜷
(𝑇
𝑐≅ T)
このような温度依存性を示す。臨界点近傍では、
臨界指数βを用いて表すことができた。
熱学および統計力学3 参照 0 𝑇𝑐(転移温度) T 強磁性相 常磁性相臨界点からのずれを変えたとき
M(T) =m(
𝑇
𝑐
−T )
𝛽
M(ε)=mε
β
(ε=𝑻
𝒄−T ε;臨界点からのずれを表すパラメータ)
M(αε)=m(αε)
β
=α
β
M(ε) となる。
ε→ αε ⇒M(ε) → M(αε) =?
εをα倍した時の、磁化M(αε)はどうなるか
本論文で扱うスケーリングについて
相関長ξ(t,ε)
t;時間 ε;臨界点からのずれを表すパラメータξ(s
−νz
𝑡,
sε
)= 𝑠
−ν
ξ(t,ε)
どの程度離れた場所まで相関(関係)があるか表す量
パラメータの スケールを変化ν;本論文で求めた指数
マイクロ波、ラジオ波
(π 2パルス波 )照射
BECの準備
|↓>=|F=1、𝑚
𝐹=1>
成分比1:1の|↑>=|F=2、𝑚
𝐹=-1>
、|↓>=|F=1、𝑚
𝐹=1>を生成する。
ラビ周波数(Ω=2π × 340Hz) 時 間 占 有 率 0 π 2パルス波 𝑃| ↑ (𝑡) = sin2 Ω 2𝑡 1 |↑> |↓> 𝑃| ↓ (𝑡) = cos2 Ω 2 𝑡 𝑃| 𝑘 (𝑡):状態 |𝑘 の存在確率ラジオ波を急に弱めて
照射
実験方法
|↑>=|F=2、𝑚
𝐹=-1>
|↓>=|F=1、𝑚
𝐹=1>
時間発展を観測BECの密度分布を撮影
(吸収イメージング法)
混和状態 非混和状態クエンチ後のダイナミクスを研究し、混和・非混和状態両側の
二つの成分 n↑ 𝑦 とn↓(y)の密度パターンについて観測する。
系のパラメータを急激に変化 させることをクエンチという。ラビ結合したときの相分離条件
1.23非混和状態
非混和状態 混和状態混和
非混和
Ωc;ラビ振動数(臨界点) Ωc=ρg(α-1)=2π×70Hz
ρ= n↑ + n↓ ;1次元密度 g;結合定数
α=1.23に固定2π×340Hz
2π×70Hz
1.23
非混和状態
非混和状態 混和状態混和
非混和
2π×340Hz
2π×70Hz
Ω
Ωc=2π×70Hz
程度
までラビ周波数を下
げる
実験方法 (混和状態の観測)
1.23
非混和状態
非混和状態 混和状態混和
非混和
2π×340Hz
2π×70Hz
Ω
Ωc=2π×70Hz
以下
までラビ周波数を下
げる
実験方法 (非混和状態の観測)
吸収イメージング法による撮影
CCDカメラ
原子と共鳴し、吸収された光が影となり、
原子の影を撮影する。
→BECの密度分布が検出できる
原子の光学遷移に 共鳴したレーザー光BEC
影混和状態
クエンチ後、混和状態と非混和状態の二成分の密
度分布の比較。
混和状態
クエンチ後、混和側でのBECの密度分布。
imbalanceを見ても、0付近で
振動していることより、混和状態
であることがわかる。
Imbalance 𝑱
𝒛(𝒚) =
n↑(y)-n↓(y)
𝝆( n↑(y)、n↓(y) ;密度)
(ρ= n↑ + n↓)
混和状態
クエンチ後、混和側でのBECの密度分布。
Density correlator・・・密度相関関数
𝑮
𝒛𝒛
𝒚 − 𝒚` =< 𝑱
𝒛
(𝒚) 𝑱
𝒛
𝒚` >
𝑱
𝒛(𝒚) =
n↑(y)-n↓(y)
𝝆時間発展t=2,5,8ms後の、密度相関関数
(混和状態)
(ε=
Ω
Ω
c-1
=0.17)
クエンチ後の時間発展が長いほ
ど、密度揺らぎが相関をもつ距離
が長くなっていることがわかる。
理論値 密度相関関数𝑮
𝒛𝒛𝒚, 𝒚`, 𝒕 =< 𝑱
𝒛(𝒚) 𝑱
𝒛𝒚` >
𝒕 𝑱𝒛(𝒚) = n↑(y)-n↓(y) 𝝆εと密度相関関数の関係性
混和状態
t=12ms固定
異なるεで観測εの大きさ
赤
>
黄
>・・・>
青
ラビ周波数が臨界点に近いほどスピン同士が影響を
及ぼし合う距離が長くなっていることがわかる。
(ε=
Ω
Ω
𝐶−1)
(t=12ms)
リスケーリング
理論的に予測されたy→yε
ν(ν=0.5)としてリスケーリング
ほぼ同じ振る舞いをする
混和状態
1 0.5 0 < 𝑱 𝒛 (𝒚 ) 𝑱 𝒛 𝒚` >immiscible
クエンチ後、非混和状態側でのBECの密度分布。
Imbalance ・・・・ n↑(y)-n↓(y) ρ ( n↑(y)、n↓(y) ;密度) (ρ= n↑ + n↓) Density correlator・・・密度相関関数 𝑮𝒛𝒛 𝒚, 𝒚`, 𝒕 =< 𝑱𝒛(𝒚) 𝑱𝒛 𝒚` >𝒕 𝑱𝒛(𝒚) = n↑(y)-n↓(y) 𝝆リスケーリング
(t=39ms)
非混和状態も同様に異なるεも同じ振る舞いをする。
理論的に予測されたy→yεν (ν=0.5)としてリスケーリング。 (相関関数が一番小さい値を ドメインサイズLdとする。)(混和状態と同様に観測を行った。)
εの大きさ 赤>黄>・・・>青 非混和状態リスケーリング
それぞれy-y`にε
12倍しリスケーリングすると同じ振る舞
いを表すことが実験から確認された。
臨界指数νは
1
2
非混和状態 混和状態相関長ξ(t;ε)を抽出
相関関数
1 𝑒( ≒ 0.368)時の距離(μm)を
相関長ξ(t;ε)とする。
相関長ξ(t;ε)
ε=0.17
指数関数で フィッティング 混和状態三つの異なるεを用いて相関長ξ(t;ε)を観測
理論値(実線) より大きなεでは、 理論的に予測され た振動挙動が見ら れた。クエンチ後12ms内での最大の相関長を抽出する。
両対数グラフ