小豆島におけるモグラ(Mogera)2種の分布-香川大学学術情報リポジトリ

Loading.... (view fulltext now)

Loading....

Loading....

Loading....

Loading....

全文

(1)

香川生物(Kagawa Seibutsu)87):33−38,1990

小豆島におけるモグラ(几わg・βγ・α)2種の分布

根 津 克 浩

〒761−31香川郡直島町1580 香川郡直島町立直島中学校 and 肱∽Ogerαfrom

Prefecture,Japan

月なぁ&ゐ00g,肋08ゐim(‡, 彷ト3J,Jqpα花

Distribution of Mogera hobeae

the Shiodo−ShimaIs.リ Kagawa

Iくiltuhiro NEZU,NaoshiTnaJILT7ioT

ノ両ご…J、り 助バ/rい/ は じ め に 日本のモグラ属2種,すなわちアズマモグラ (〟ogerα∽0糾rα)とコウベモグラ(〟ogerα ゐ0むeαe)の地理的分布については,阿部(1964), Abe(1967),今泉(1960)により報告され, アズマモグラほ,静岡県・長野県を結ぶ線より 北の本州と,中国・四国・紀伊半島などの山岳 高地に現在生息している。一・方,コウべモグラ は,九州・四国と本州の上述の線より南の地域 に生息しているという。 ところで,瀬戸内海にある小豆島では,櫛橋 (1982)によってモグラ属2種がほじめて報告 され,コウべモグラは,標高0∼10mの平地に ある耕作地に生息し,−・方アズマモグラは,従 来の日本の西南部でみられた山岳高地での分布 とは異なり平地に生息していることが,確認さ れた。しかし,坑道が確認された地域でもモグ ラ属の捕獲はされておらず,■また小豆島全域の 耕作地において調査がおこなわれて−いないので, モグラ属2種の小豆島における分布ほ.まだ明確 なものとはいえない。 そこで本調査では,まずモグラ属2種が小豆 島で現在どのように分布しているのかを明確に することを目的として,小豆島全域の耕作地に おいて調査した。

材料と方法

調査は,1988年4月12日から1988年12月29日 まで,香川県小豆郡の小豆島全域の50m2以上の 耕作地を対象におこなわれた。まず,坑道の有 無を調べ,次に.坑道があれば内径の計測(デバ イダーー∴で寸法をとり,最小目盛1mmのものさし を用いて,1/10mmまで計測)をおこなった。つ ぎに.,各調査地点について2万5千分の1の土 地利用図(国土地理院発行)より土地利用の分 塀・標高・土地面積(デバイダ−で寸法をとり, 最小目盛1mmのものさしを用いて,1/10mmまで 計測)を研究室に.て調べた。 坑道の直径の調査は1988年4月12日から1988 年12月29日の問におこなった。 採集の方法は,主に畑地,水臥 果樹園でモ グラの坑道を探し,筒状生け括りワナを設置し た。坑道が発見された地点A∼Pについて採集 をおこなった。 各採集地の概要および採集日は,下記のとお りである。 A“土庄町鳥越:北向きの山の斜面の約500m2 の耕作地が点在する。標高40∼120m(1988 年7月8日,8月17日)。 B..土庄町小海:南北約500m,東西約750m に水田,畑地があり,南東に山がある。標高 0∼10m(1988年7月8日,8月19日,10月 13日)。 C伸 土庄町大部:北向きの山の斜面に約500nf の耕作地が点在する。標高20∼40m(1988年 8月17・19日,9月2日)。 −33−

(2)

あり,南北約2km,東西約1,5km に耕作地 がある。標高0∼150m(1988年8月17日,9 月2日,10月13日,12月29日)。 L.内海町西村:南向きの山の斜面に約100m2 の耕作地が点在する。標高0∼70m(1988年 8月17・19日,9月2日,12月29日)。 Mけ 池田町池田:南北約1..5km,東西約2kmの 耕作地がある。南西以外は山に囲まれている。 標高0∼60m(1988年8月17日,9月2日, 10月13日)。 N..土庄町上庄:伝法川の下流に.沿って約10000 ㌦の耕作地がある。標高0∼20m(1988年8 月17・19・24日,10月13日,12月29日)。 0..土庄町黒岩:伝法川の中流にあり,四方を 山に囲まれた盆地で,南向きの山の斜面に.約 10,000n㌔の耕作地が点在する。標高20∼70m (1988年8月17・19・24日,9月2日)。 Pル 池田町中山:伝法川の上流で南向きの山の 斜面に約1000m2の耕作地が点在する。標高70 ∼150m(1988年9月2・10日,10月13日)。 モグラ属2種の同定ほ,Abe(1967)にした がい上顎門歯列の形状ではアズマモグラほくさ び形,コウべモグラほU字形となり,下限窟孔 の後下角の形状でほアズマモグラほくさび形, D.土庄町小部:約1000m9の水田と畑地が点在 する。標高0∼10m(1988年7月8日,8月 17日,9月2日,10月13日)。 E.内海町吉田:東西約300m,南北約100m の耕作地である。吉田川下流に位層.し,東側 以外は山に閉まれている。標高0∼10m(19 88年4月21日,7月8日,9月10日,12月29 日)。 F.内海町福田:約50m四方の畑地が点在する 森庄川下流の土地である。標高0∼10In(19 88年4月21日,10月13日,12月29日)。 G.内海町当浜:東向きの山の斜面に約50m2の 畑地が点在する。標高10∼40m(1988年7月 8日,8月17・19日,10月13日)。 汁.内海町岩谷:東向きの山の斜面に約50m2の 畑地が点在する。標高10∼70m(1988年8月 19・24日,9月2日)。 Ⅰ.内海町橘:東向きの山の斜面に約50m2の耕 作地が点在する。標高20∼60m(1988年9月 10日,10月13日)。 J.内海町安田:東西約900m,南北約300m の耕作地である。標高0′、一20m(1988年7月 8日,8月17日,9月2日,10月13日)。 K,内海町草壁:別当川により開けた扇状地で 図1.モグラ属の調査地点. ×:坑道未発見地点 ○:坑道発見地点 ●:コウべモグラ採集地点 ㊥:アズマモグラ採集地点

(3)

一・方,今回捕獲されたモグラ属は12個体で, アズマモグラは土庄町小部(D),内海町吉田 (E),内海町草壁(K)であり,コウべそグ ラは内海町草壁(K),内海町西村(L),池 田町池田(M),土庄町上庄(N)でそれぞれ 描狂された(表2)。 土庄町の上庄(N),黒岩(0),馬越(A) および池田町中山(P)と,伝法川(支流の殿 川を含む)に沿って広がる耕作地域における調 査では,伝法川下流にある上庄(N)で2頭の コウべモグラを捕獲した(図2上)。そして伝 法川の分岐点となる中流の黒岩(0)でほ,分 岐点までほ坑道が発見されたが,その上流の2 本の河川にはさまれた地域では坑道が発見され なかった。さらに2本の河川の上流である,土 庄町馬越(A)(伝法川流域)および池田町中 コウべモグラは円形となる。 結 果 調査地の坑道の有無は図1に示した。坑道は A∼Pで発見され,小豆島の南側の坂手半島と ≡都半島,土庄町西南部の鹿島,土庄町北西部 に.ある四海地区の耕作地には,坑道ほ観察され なかった。 各地の坑道の内径計測値(表1)とモグラを 採集した坑道の内径(表2)を示した。坑道の 内径の平均値ほ,A∼Ⅰと0・Pは3い42∼3…73 cm,−・方L∼Nほ4。67∼5..03cmであり,内径に 差が見られた。しかし,Kでは内径が標高0∼ 60mでほ4一.93±0.54cm,標高80∼150mまで 3..53士0.20cmであり標高に.より違いがみられ た。 衰1.採集他について. 種(和名)

採集地坑苧£㌘径 標本番号

土器積 土地利用 讐m戸

500 果樹園,畑 200 水田 500 果樹園,畑 1000 水田 2500 乾田,湿田 2500 果樹園,畑 50 畑 50 畑 50 果樹園 10000 乾田 40000 水田 20000 果樹園 10000 果樹園,畑 10000 果樹園,乾田 10000 水田 10000 果樹園 1000 湿田 40、、ノ120 0叫、ノ10 20−− 40 0、ノ10 0−ノ10 0、、/10 10・、・ノ 40 10・) 70 20・〉 60 0−〉 20 0∼ 60 80、′150 0・、ノ 70 0・、・ノ 60 0∼ 20 20・、・′ 70 70・)150 A 355±015 B 368±0.28 C 371±0..23 D 373±0.25 NOO2 アズマモグラ NOOl,NOO3 ァズマモグラ NOO9 E 3.64±031 F 3.73±021 G 363±0..16 H 369±0.17 Ⅰ 360±0.12 J 5.03±0け19 K 493±0り54 NOlO コウべモグラ 353士0.20 NOll,NO13 アズマモグラ L 4.67±041 NOO4,NOO5 コウベモグラ M 476±0.24 NOO8 コウベモグラ N 492士020 NOO6,NOO7 コウべモグラ 0 352±0.14 P 346±0.16 一35一

(4)

蓑2.描獲地について.

標本酢(,

坑警£㌢径 土地利用 描獲地 讐戸

m 種(和名)

園 園 園 園 田 田 田 樹 田 田 樹 田 田 樹 樹 乾 水 湿 畑 果 水 乾 果 乾 氷 果 果 E O・・ノ10 アズマモグラ D O、10 アズマモグラ E O・)10 アズマモグラ L 40・)50 コウべモグラ L 60−J70 コウべモグラ N 20、、ノ 30 コウべモグラ N 20−、ノ 30 コウべモグラ M lO、 20 コウべモグラ E O・、ノ10 アズマモグラ K 60∼ 70 コウべモグラ K 140・)150 アズマモグラ K 130、−140 アズマモグラ 5 5 0 0 5 5 0 0 0 0 0 0 9 6 5 9 3 3 9 8 4 9 4 4 3 3 つ∪ 一4 4 5 一4 4 つJ 4 3 つ∪ NOOユ 4“21 NOO2 7..8 NOO3 7い8 NOO4 8.17 NOO5 8.17 NOO6 8.19 NOO7 8“24 NOO8 9‖2 NOO9 9.10 N0l00 lO..13 NOll lOい13 NO13 12..29 0∼10m(4頭)・130∼140m(1頭)・140 ∼150m(1頭),コウべモグラは,10∼20m (1頭)・20∼30m(2頭)・40∼50m(1頭) ・60∼70m(2頭)であった。 したがって,アズマモグラのはうが標高の範囲 が0∼150mであるのに対して,コウべモグラ では10∼70mと,狭かった。 考 察 今回モグラ属が描獲された坑道の内径の平均 値から小豆島のアズマモグラの坑道の内径は4 cm未満,コウべモグラは4cm以上として考えら れる。ただし,内海町草壁の標高70∼100m付 近は除いた。これはAbe(1967)の坑道の内径 によるモグラ属2種の区別(アズマモグラ:4.5 cm前後,コウべモグラ:6いOcm前後)にあては まらない。この小豆島におけるモグラ属が捕獲 された坑道の内径と,捕獲できなかった地域で の坑道の内径の平均値とを比較する(表1)と, −7ズマモグラは,A,B,C,F,G,H,Ⅰ地点, 0,P地点にも生息し,一・方コウべモグラは, J地点にも生息していると考えられる。 山(P)(殿川流域)では再び坑道が発見され た。 内海町草壁(K)においては,別当川の下流, 中流に広がる耕作地で,1頭のコウべモグ≠が 描獲された(図2下)。別当川上流には内海ダ ムがあり,それより上流にある耕作地で2頭の アズマモグラが捕獲された。 内海町西村地域でほ.,2頭のコウべモグラを 描獲しただけで,アズマモグラは措獲できなか った(図2下)。 また各採集地域での耕作地の面積(表1)を 平均値でみると,アズマモグラが描獲された地 域のはうが,コウべモグラのより狭かった。し かし,標準偏差を考慮すると重なりあう。平均 値±標準偏差で示すと,アズマモグラでは8083.3 士8443Ol㌔,コウべモグラでは15000±1180.3m2 となる。土地利用においてはアズマモグラが, 果樹園(1頭)・乾田(2頭)・乾田(1頭)・ 水田(1頭),コウべモグラが,果樹園(2頭) ・乾田(1頭)・水田(2頭)■畑(1頭)で 捕獲された。 標高においては(表2),アズマモグラほ,

(5)

図2.土庄町伝法川流域(N,0,PおよびA)(上)および内海町草壁付近(K)(下)の調査地・ ●:坑道発見地点,大小で区別してある.

NOO4∼7,10,11,13は採集されたモグラ属の標本番号(表2参照).

(6)

ズマモグラの分布ほ,土庄町小部,内海町吉田, 内海町草壁,コウべモグラは内海町草壁,内海 町西村,池田町池田,土庄町上庄であった。捕 獲結果と坑道の内径計測結果から,内海町草壁 においては,山間部ではアズマモグラが,平野 部でほコウべモグラが,それぞれ生息している と考えられ,モグラ属2種の接触地域ほ標高70 ∼100m付近であると思われた。一一・方内海町西 村においては,柳橋(1982)ではモグラ属2種 がそれぞれ1個体描獲されていたが,今回の描 獲結果と坑道の内径計測結果からほ,コウべモ グラのみ生息していると考えられた。土庄町伝 法川流域においてほ,下流の上庄でほコウべモ グラが描獲された。−・力上流の馬越,池田町中 山でほ,坑道の内径計測結果から,アズマモグ ラが生息しているのでほないかと考えられる。 そして両者の中間に位置する黒岩ほ,現段階で ほ2種とも生息していないと推測された。 謝 辞 この報告をまとめるにあたり,終始御指導い ただいた香川大学教育学部生物学教室の金子之 史教授に深く感謝の意を述べる。またこの研究 の進め方において手旨導してくださった新塩屋町 小学校の櫛橋秀晃教諭に厚く御礼申し上げる。 最後に,採集に同行し御協力いただいた香川大 学教育学部生物学教室の学生諸君にも厚く御礼 申し上げる。

引 用 文 献

阿部永.1964..日本の哺乳類1食虫目(モグ ラ属)アズマモグラ..晴乳質科学(7):1−10小

Abe,H..1967.Ciassificationandbiologyof

JapaneseInsectivora(Mammalia),1.Stu−

dies on variation and classificationり].

Fac..Agr…,Hokkaido Univ。,Sapporo55:

191−265. 今泉書典..1960… 原色哺乳類図鑑.保育社,大 阪.. 櫛橋秀晃.1982‖ 小豆島におけるモグラ属 (肋gerα)2種の採集について..香川生物 ㈹:43−51. 土庄町の伝法川流域においてほ,本調査結果 (図2上)より,コウべ、モグラが伝法川を遡行 して分岐点付近まで生息しており,一一・方アズ マ モグラは,その上流付近に生息していると考え られる。また,分岐点付近の土庄町黒岩でほモ グラ属が生息していないと思われる。この地域 ほモグラ属にとって生息可能で小豆島でほ広大 な畑(約5km2)であり,今後土庄町黒岩(0) に,モグラ属(特にコウべモグラ)が入りこん でくるのではないかとも推測される。したがっ て今後の追跡調査が必要であろう。 別当川流域の内海町草壁(K)においては, アズマモグラとコウべモグラの分布が連続的で あるため,坑道の境界が明確でない。コウべモ グラが標高60mで捕獲され,アズマモグラが標 高130mで捕獲されたことより,標高70∼100 m付近で両種の分布が接触していると考えられ る。今回ほ坑道により種分けができなかったの で,今後この付近での描獲により,2種の分布 が明らかにされよう。 内海町西村(L)においては,櫛橋(1982)が 2種のモグラ属を捕優したが,本調査において は描隆と坑道の内径(図21こ■,表2)により,現在 アズマモグラが生息しているとは考えられず, コウべモグラのみが生息していると考えられる。 以上のことから小豆島全島で考えると,図1 より,アズマモグラは,小豆島北部,東部の耕 作地および土庄町馬越の南部,池田町中山,内 海町草壁の山間部に部分的に生息していると思 われる。一・方コウべモグラは,土庄町の伝法川 の分岐点より下流,池田町池田,内海町西村, 草壁・安田の平野部に生息していると思われる。 また小豆島の南側の坂手半島と三都半島,土 庄町西南部の鹿島,土庄町北西部にある四海地 区の耕作地には,坑道が発見されなかったので (図1)モグラ属は分布していないと考えられる。 摘 要 本調査では小豆島においてモグラ属2種の分 布状況を明らかにした。1988年4月12日∼12月 29日までの間に,アズマモグラ6頭,コウベモ グラ6頭,計12頭を描獲した。描獲結果からア

Updating...

参照

Updating...

関連した話題 : 大豆や小豆などの豆類