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アカマツ風致林の更新に関する基礎的研究 II. アカマツ稚苗の消長と森林構造との相互関係について-香川大学学術情報リポジトリ

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アカマツ風致林の更新に関する基礎的研究

Ⅱ ァかマツ椎苗の消長と森林構造との相互関係について

辰巳修三,井上充実,広瀬正三,犬上堪造,菅田重宰

Ⅰ.は じ め に オカマツは,独特な樹冠形と,赤褐色の樹皮の故に造園用の恰好の植物材料となっている巾 単木として用いる庭園 用の場合は云うに及ばず,アカマツ林としてのまとまりをみせる森林においても,当該樹種は代表的郷土産樹木とし て古来から推奨されている..しかるに当該樹種は陽樹としての生態的特性を有しているために,とくに風致林として 保存を要語されるアかマツ林においては,これの保育をめぐって数多くの関越が提起されている… たとえ.ば,本研究 の主題であるアカマツ林の更新に関する問題が主要なものの一つとして挙げられている“ 風致保安林として各種の兼業が制限される森林のもとでは,陽樹であるアカ・マツの天然更新は期待できない小 一山方 風致林として「アカマツが単一・樹種で成吏.する−・斉同令林では,上層木は林分が過熱化するにつれて,たとえばマック ムシ等の虫蕃の脅威にさらされる結果にをるこの場合に上層木が虫審によって枯死する結果になっても,林床植生 にはすでに植物遷移の法則に基いて次代後継樹の常緑の陰樹が成立しているためにアカマツの稚苗の生育は困難であ るい これはアカマツの風致美を保存するために実施した風致保安林指定がかえって仇となっでアかマツそのものの成 立を困難ならしめている山例である. 辰巳は,かねてよりアカマツ風致美の保存と,後継樹育成の問題について深い関心を抱き次のようをことを主張し て:きた(1).すをわち,その間超が帰一・するところは植物の遷移への人為的介入を図ることにあり,このためには陽樹 としてのアかマツの生理生態的特性を把握する一・方,具体的対処法としては,アカマツ椎苫の更新に適する立地を確 保することにある.前者については既に初歩的な研究を実施中である(2,8〉.後者についても過去の事例的研究く4・5・6) を素材としてすでに2報告をまとめた(7・8)= とくに後者の具体的対処法に関する研究においてはアカマツ椎苗成立の ためのミニマムの充足環境要因の解析に的をしぼっている. 本研究は過去5年間にわたって実施した調査内容を,前報(8)の森林構造特性にひき続いて,とくにアカマツ椎苗の 消長経過に関連づけてまとめたものである,.このレポートに関する分担は以下のようである.研究計画,指導ならび に研究結果の綜括的なとりまとめは辰巳がおこない井上 広軌 犬上はそれぞれ辰巳の拍車のもとに卒業論文として まとめたものである.現地調査に際しては,樹種同定に関して青田重幸助教授,野外調査には造園学研究室,ならび に旧林学研究室各位の強力を衡援助を仰いだ.また図表整理には浅野敬子,土居律子,多田恭子氏の御助力を仰いだ. 記して各位に深甚の謝意を表する次第である… ⅠⅠ.調査地ならびに調査方法 1.調査地 調査地は屋島国看林北嶺地区山頂付近に設定したい 当該林分はアカマツ・クロマツの混交林であり,風致保安林の 指定を受けた施薬制限林であるために林床にはウバメガシ,ヒサカキ,ネズミサシ等が密生した林分が多い..謂査地 点は研究目的を考慮して稚苗発生の旺盛を地域を選んだ..当該地域は第1図に示すようを平面構造である.当然のこ ととして上層木は疎立状態であり,林床植生にはカリヤス,ノカリヤス,ススキ,シュンラン等がみられ,マツ針葉 の堆積層は厚い小 森林構造は第2図に示す通りである.第1図,第2図から明らかをように森林構造は中風 下層木 を全く欠く林分であって,稚苗の発生には適当を林分と考えられる. 2い 調査方法 年間稚苗の発生と,消滅の過程を明らかにすることを目的としたために,第1図のように10mXlOmのクか−ド ラートをとり,これを1mXlmに細分した。樹幹投影図を作製後,各々の小クオー・ドラ・− トに対して昭和43年5月

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中十

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.∴樹冠投影図

、 l −ヽ、、−l 仙′ :B=h.10.7,

I ノ C=h,6.2,

. D=h・、11..2, E=h.14.7, F=h.8.3, G=h..8.6, H=h13.6,d.44 第1図 調査地平面図と稚苗の消長率 枠内の数倍は調査開始日の稚苗数を100とした場合の.調査終了日の指数である. 点線は樹冠投影図である. 29日に稚苗発生の実態調査を実施した.調査に際しては推笛発生地点に標識を立て,以後1カ月おきに枯損数,発生 数を記録した..また当該環境特性のうち光要因について明らかにする目的で昭和44年2月9日に林内陽光盈を全日射 盈,光合成有効日射盈の2者に分別して実測した小 さらに土壌水分盈についての特性を把捉する目的で,昭和46年8 月5∼12日に中性子水分計を用いて降雨後の土壌水分盈の変化をトレー・スした. 稚苗の消長には稚苗の根系の発育と地上部のそれとのバランスが問題になるために,昭和43年8月と昭和44年1月 の2回に分けて稚苗の地上部,地下部別の生重畳,幹重恩を秤盈して含水盈,およびT/R率を求めた.この場合に 対照として農学部構内苗畑において育成した当年生稚苗の秤盈をおこをい,屋島地区の堆苗と対比させた.また光線 の質的要因による種苗の生育への影響をみるために当年生推苗の砂耕栽培を実施し,人工照明下で各種のフィルタ・一 によって波長の調整をおこをって生育状況を比較した.

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ⅠⅠⅠ.結果と考察 1.森林構造 第1図から明らかをように,当該調査地の上層木は樹高6m∼15m,胸高直径8cm∼44cmの範囲にある・上木の立木 密度はha当り70本で,きわめて味な林分と云える.いま椎苗の発生を左右する地表植生を明らかにする意味で50cm 以下の潅木層について,苗高5cmごとの階層別構成本数と樹種を示すと第2図のようになる山 本数は10×10m当 アカマツ・クロマソ ………‥ ハ ゼ ‥−・‥一一 ヒサカキ ー・・−・− ヤマツツジ /.− /● / ニ∵J 「、 ポ互王■−”r.、て!竺;㌻.二 10−14 20−24 30−34 40−44 50−

5−9

15−・19 25−29 35−39 45−49 第2図 苗高50cm以下の主要木の階層別本数分配曲線 0−4

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りの実数で示してあるが0”4cmの階層にはアカマツ{ノクロマツ椎酋(以下マツ推苗という)が密生して現われ,実 に12000本を数える.当該椎苗は5cm以上の階層では急激に減少する巾 第1図,第2図からは明らかにされないが, 当該林は中木屑,低木層を全く欠く疎立林であるために,苗高階層5cm以上にみられるマツ稚苗の減少傾向は,当 該林分のマツの天然更新が円滑におこをわれ難いことを示すものと云える。.マツ以外の階層構成樹種は少ないが主要 なものはハゼ,ヒサカキ,ヤマツツジでありこれ以外にウバメガシ,ネズミサシが散見される小 林床植生はノカリヤス, カリヤスが 優占種として成立し,局所的にススキ,ウメガサソウ,シェ・ンラン,オカトラノオ・,テリハノイバラ,シ シガシラがみられる‖ 林床におけるAo眉の発達は,アカマツ林特看のものであるい 未分解のL層,F屑の発達が著 しく,菌糸綱屑もまた顕著なため,降水の垂直方向への移動は困難なように見受けられるい 第1図の各プロット内の 数字は5月期における現存推苗(当年生)の数を100として11月期における現存数を指数として算定したものである. この図から当年生推苗の消長はきわめて急激的に起ることがわかる.上述の5cm以上の苗高階層本数が急減するこ と,中・下層木を欠如すること,およびこの消長の急激な現象は,この林床持性による影響を多分にこうむっている. 2l堆苗の消長経過 当年生椎曲の消長を左右する環境園子のうちでもっとも影響力のあるものは水分鼠の問題である.この点について 大上は(8)■甘性子水分計をつかって稚苗発生林における降水後の土壌水分盈の変化を調査した.その結果によれば,降 水後7日を経過してもをお土壌水分量が持続的に減少して平衡状態に適しないこと,および俺水による水分量増加率 が平衡蕊(犬上がおこなった調査開始は的1カ月の晴天日を経過した日に該当しているために,調査開始期の土壌水 分虫は平衡盈と見なすこ.とができる)の1.7倍に相当することが明らかになった… この結束から稚苗発生地の条件の 一つとして,土壌水分保持盈とともに,降水時における含水量増加率の影響の大なるこ.とをとりあげている. アカマツ,あるいはクロマツによる天然更新は椎菌発生後の正常を持続的生育環境を保持することが第一儀である. したがって稚苗発生時の環境要因と,発生後の生育環境要因の両者が適正でなければをらないことは論をまたない. 上記の犬上の調査結果は,この後者の水分環境要因が稚苗の生育に対して不適正なことを示すものであり,当該林分 は天然更新林分として不適格なことを示唆するものと云えるい 第3図は第1図の等高線沿いの各10区の稚苗の新生率(新生本数/現存本数×100),枯税率(枯損本数/現存本数× 100)を図示したものであるい 新生率は−・部の例外はあるが一・般的にみて10月23日を最低とする凹型の曲線で示され る.7月から9月にかけて急激な減少をみせ,11月∼12月にかけて増加する。種子の発芽には水要因とともに温度要 因も多大な影響を与えるために,第3図の新生率の時期的変化にはこの後者の要因が影響しているものと考えられる. 枯扱率は,新生率と同様に一部の例外はあるが7月から8月にかけて増加する..11月から12月にかけては増加するも の,ほとんど変化を示さをいもの,と多様な傾向を示した.夏期に枯税率が増加する原掲については,犬上の調査結 果(8)から明らかをように,当該調査地における土壌水分保持畳が関係するものと考えられる.さらに林床特性(堆積 落葉層が厚いために稚苗の根系が林床土壌に達することなく枯死する)に基く影響が考えられる.枯死個体と推苗発 生期との関連性を追求していないために断言はできないが,11月,12月の枯損の増加傾向を示す区は,根系の発達と 第1去 推笛密生地,散生地における苗木形態 生重盈(g) 乾物盈(g) 調 査 個体数 地上部l地下部 地上部‡地下部 年聞年銅 ▲‖B2 92 96月 96月 18 11 密生地 0.0803 0.0475 0.0399 0.0262 1.69 放生地 0.0921 0ゆ0682 0.0478 0.0253 1.35 密生地 0..2041 0nO361 0.0821 0.0257 5.65 散生地 0.1707 0叫0389 0.0702 0.0254 4、39 81 54 46 55 00 10 ︿‖09 09 第2表 香川大学農学部苗畑における苗木形態 生 垂 盈(gr■) 乾 蛮 盈(gr■)  ̄ ̄ 高言訂「面:i萄 50本 2.2046 0.1527 0.0533 0ひ0292 11.33 77 0.8 10本 0.2792 0‖1652 0.1371 0.0831 1.69 60 1い2

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堆積落葉屑の厚さに関係があるものと考えられる.つまり,上述のように,稚苗の板系が充分に地中に張っていない ことに基く乾燥審である“この間の関連を推定するために,推苗密生地(落葉堆積屑が厚い),と椎笛疎生地(落葉 堆積眉が蒔い)における稚苗特性を検討・吟味した… 第1表はこれの結果を括めたものである.同表から明らかにさ れる点は,①密生地は地上部の生重畳・乾重畳ともに疎生地よりも大であり,8月と1月における増加畳も大である, ①地下部では疎・密生地の間で大差がなく,期間による増加盈もほとんど認められない,⑧したがってT−R率は密 生地で大,疎生地で小である.④根元直径の増加蕊は密生地で大である.これらの結果の中で論議の対象となるもの はT/R率の問題であろう. TJR率について姓種々の意見があるが,苗木の活着を考慮に入れた形状指数としては注目される要因の一つであ る.−・般に細根の発達程度も考慮に入れる場合にはT−R率そのもので活着性を論ずるわけにはいかをい(田.しかし, 自然林地における杜苗発生後の正常な発育を期待するためには根系の充分夜発達が望まれる、したがってT−・R率が 小なることが必要である.この場合に−・放論として良好な生育が望まれるためには2∼3以下のT/R率が好ましい こととされる(9〉.第1表の1月における結果は疎。密生地ともにT−R率が大であり,このことからも椎苗発生後の 生育の困難性が指摘できる.第2表は農学部構内圃場における籍果を示Lたものであるが,この結果からも屋島地区 におけるT/R率の異常性が明らかにされる。疎・密生地の比較では1月時点でのT/R率が前者で4.39,後者で 5.65であることから,前者では生存の可能性の大をることが推定できるり 第4図は5月における経常本数を100として各調査における稚苗本数を指数で図示したものである.曲線の形状は 新生率に類似しており,・−・部の例外はあるが11月に最低値を示している… 指数値の大小からは,調査地の上線部で大 となり,上線部から下方に(本調査地は傾斜角48虔の急斜面である)かけては減少,漸増の波状形の変化を示すこと が明らかにされた.これらの変化は,このような急斜面下では局地的を地形変化,林床特性,さらには上層木による 樹冠のクッ閉既による影響を直接的に受けるために起るものと考えられる.樹冠のウッ閉庶による影響は第1囲およ びこの図を模式図化した第5図によってさらに明らかにされよう. 3.林内環境特性(光要因について) 本調査では林内環境要因のうち,とくに光要因にしぼって検討したい 水分要因が堆苗の生育に直接的に影響するこ とは自明であるがこ.の点については今後の研究によって明らかにしていく予定である. アカマツ堆樹の生長と陽光盈との関係については松本・細井(10),辰巳・竹内・越智(幻の研究があり,林内陽光盈の 問題については原田の古典的研究例(‖)が著明である.しかしこれらは陽光の盛的関係を論議の対象にしており,最 近の川那辺く12,18)の研究もその例外ではをい.本調査では陽光の畳的側面と,質的側面の両面を問題にするべく計画 を樹てた.すなわち,従来の照度計による測定法を,日射計による測定法にきりかえることによって,日射の盈的表 示をおこない,質的な面については,東芝製の光合成有効日射計を使用することによって可視光線域の盈的確保に留 意した.第6図は昭和43年3月におこなった結果を図示したものである一.×点は椎苗発生の疎な地点であり○印は密 な地点である.また実線は全日射塵,点線は光合成有効日射塵を示す.この図から明らかにされる点は稚苗発生の疎 ・密地点における光合成有効乱射意の差である.疎地点での当該日射盈が大なること,また時間経過に基く変化曲線 が全日射盈と類似していることが特性として挙げられる.椎樹発生が密を地点では光合成有効日射盈(以下有効日射 盈という)が極端に少なく,また時間経過に基く変化曲線は全日射歪曲線とは類似しないフラットを曲線を示した.. 稚苗の生育,ならびに消長過程に作用する光線の質的影響を知るためには,①現地では光線波長域別の日変化,季 節別の日変化 ⑧実験室レベルでの波長域別人工光下における生長試験,生理実験等の巾広いデータ・−が必要である. 本調査では,この①,⑧,いずれの立場も充足することができをかったが,今後の研究の指針を得る目的をもって, 以下のような階程で林内環境特性について検討した1、すなわち,まず植生環境下での全日射盈と有効日射盈との相互 関係を明らかにし,ついでこれとは別個にアカマツ稚苗を砂耕栽培法によって育成し,種々をる波長の光線を人工的 に与えることによって,波長の相違から来る影響を稚苗のT−R率にしぼって検討することにした. i種々をる植生環境下での全日射盈と有効日射盈との相互.関係 まず第6図にふける稚苗発生疎・密地点での相互関係をみると第7図のようになる… 第6図からも充分予測できる ことであるが疎生地点では全日射墓と,有効日射盈との間で高度の相関が認められる小 密生地点では相関関係は全く 認められない.これらの結果は要するに可視光線域での波長特性を示すものであるために,とくに陽光が射入する空 間域,すをわち樹冠占有空間の性状が問題である.換言すれば樹冠ウッ閉皮と,光斑による影響である.これらの点 を明らかにするために,㊥苗圃の裸地,⑤苗園の秦蔭と日なた(アカマツ菜蔭),⑥被蔭格子内,⑥農学部屋上の

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1

0∼50本 201・∼300本

Ⅲ51∼100本

301∼1000本

101∼200本 1001本以上 第5図 第1囲の苗木消長過程を示す模式図

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cal/em2/miIl −○−○一稚嵩漸増地全日射鼠 …−0一−−−○‥ ク 有効日射虞 一声−X一稚苗激減地全日射魔 ‥・・丸‥‥X−・ 〃 有効日射最

へ二「「二

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○・・・一○・・・・○・・ ・・舟・・一−−8・・一○・−−−○・−・−○・一・〆 ・○、 ・・ −○ 16llr. 12 13 14 15 第6図 稚苗発塵地における全日射盈・有効日射丑の日変化図 11

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×10 ̄2cal/cm2/mi11 40 ×10■2cal/cm2/min 35 全 日 射 ●● ●

10 12 14 16 18 20

×10 ̄2ca】/cm2/min 有 効 日 射 魔

6 8 10 12 14 16 18 20

×10 ̄2cal/cm2/min 有 効 日 射 盈 第7図−a 稚苗漸減地における全日射盈と有効日射量 第7図−b 椎笛漸増地における全日射盈と有効 との関係 日射盈との関係 4つに分けて全日射盈と,有効日射盈との相関を図示した.結果は第8図a,b,C,d,に示す通りであるい 第8図か らの結果を要約すると次の通りである巾 すなわち①屋上,および裸地では全日射盈と有効日射量との間に正の相関が 認められる.⑧75%の被蔭格子区でも正の相関が認められる.⑨50%の被蔭格子区では低日射盈の範囲(0.2cal /Cm2/minまで)内では正の相関が認められるが,当該レベル以上では相関は認められない,.④30%の被覆格子区 では全く相関は認められない..⑤アかマツ尭蔭でも相関は認め難い. この結果から,林内における光線の質は,裸地における場合に比して複雑に変化することが明らかになるn その多 くは光斑による影響と考え.られ,さらにH・Lundeg負rdh(14)も拇摘するように太陽高度による影響も考えられる.こ れらの結果を屋島地区の椎酋の消長の場合に直接結びつけることはできないが,第6図,第7図を通じて椎酋の消長 過程にこの光線の質的な影響があることは充分推測が可儲である.上記5点のうち注目される結果は,①50%被覆格 子区の低日射量下で全日射立と有効日射盈との間に相関関係が認められること,⑧葉蔭では相関関係が認められない こと,の2点であろう.このうち前者については低日射盈は夕刻日没前,朝刻日出直後の時間帯が考えられる.これ らはいずれも太陰高度に直接関係するものであるために,山岳傾斜地ではさらに地形的要因が複雑に影響するものと 考えられる.光線の質は,光合成とともに光形態形成にも多大の影響があるために,今後に残された重要課題と考え られる.

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×10 ̄:ヱcal/cm2/min 10 ■「1 9 ×10 ̄2cal/cm2/min 有 効 日 射 盈 第8図一a 酋畑の裸地における全日射盈と有効日射盈との関係 ×10 ̄2cal/cm2/min 13 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10×10 ̄2cal/cm2/min 有 効 日 射 量 第8図−b アカマツ6年生苗木の葉陰における全日射塵と有効日射盈との関係

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×10 ̄2cal/cm2/min 12 全 日 射 畳 10 10 有 効 日 射畳 ×10.2cal/cm2/min 第8図−C−1被陰格子75%区内の苗間における全日射盈と有効日射塵との関係

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12 日 射 畳10 ×10 ̄1eal/cm2/min ● ● ●● ● ● ●

10

×10 ̄2cal/cm2/min 有 効日 射量 第8図−C−3 被陰格子30%区内の常闇における 全日射盈と有効日射孟との諸係 5 ×10 ̄2cal/cm2/min

有 効 日 射量

第8図一C−2 被陰格子5%区内の苗間における全日射盈 と有効日射量との関係

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×10−2cal/em2/min 全12 日 射 最10 11×10 ̄1cal/em2/min 有 効 日 射 畳 10 第8図・−d 農学部屋上に哲ける全日射克と有効日射盈との関係 iiアカマツ准苗の発育に及ぼす光の彩響 室温250C,湿度60%の日長処理室を利用しでアカマツ稚苗の砂排栽培を実施し,約3カ月間各種の色調を異にす るフイルムを被覆して育成した.使用フイルムはタキロン製塩化ビニ1−ル板であり,色調は無被覆区,透明区,赤色 区,橙色区,黄色区,緑色区,青色区の7区であった.結果は第3表に示す通りであるが,この表から明らかにされ ることは光の質がT−R率に顕著に影響されることである。とくに線色区のT−R率が標準区のそ・れに近似している ことが注目される. 第3表 色別フィーリレクー内での椎苗の成育について 生 重 盈(g) 乾 重 畳(g) 査数 体 調個 査日 調月 地区名 菓+茎蛮l根窒 黄+茎垂 5 5 5 5 5 5 5 1111111 絆18。絆別辞那締獅時折昨那時折 96鯛 119 標準区 0。2624 0.1351 透明色区 0.1691 0.0607 本 本 0.0928 0.0363 1.94 0け0673 0.0324 2.79 0.0735 0.0219 3.57 0.0708 0.0276 3.99 0.0782 0.0290 2.81 0.0643 0..0255 1.70 0.0698 0.0244 4.49 67.522 1.285 56.6124 1.055 8.883 0.86 59.389 1.10 64..183 1.105 59.422 1.12 57.815 1.02 本 赤色区 0.0818 0.0229 本 橙色区 0,1937 0.0486 本 黄色区 0.2208 0.0785 本 線色区 0.1381 0.0832 本 青色区 0.1826 2.0407

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第9図軋使用フイルムの透過光曲線である一・同図によれば線色の透過光は440m〝,580m〝の2点において最低 の透過率を示すてとが明らかにされる.、本実験においては砂耕栽培環境下の温度,ならびに光エネルギ−の測定をお こをっていないので確実なことは云え.をいが,第2表の結果は,第10図の透過光曲線に基くフィルタ・一特性より考え

て,明らかに光線の質によってもT−R率が影響されるものと考えられる・この場合に線色光による効果的な影響が

期待できる. この実験結果軋直ちに現実更新林の椎苗の消長に結びつけることはできをいが,今後の研究の方向を明らかにす る意味で,当該実験結果から考えられる問題点を指摘しておきたい・ ① 林冠ウッ閉度の疎・密に関連して形成される林内光環境の質的特性と推蘭の消長との相互関係 ⑧ 林内光環境の質的特性の季節的変化と稚苗の生育との相互関係 ⑨ 林内光環境に与える地形的要因の影響 ④ 実験室レベルでの,消長による形態形成,とくにT−R率への影響 をどである. % .′一・一■・一 だいだい ーーー−・−−− さい∴ −・−・− みどり ・−・小一‥− あおいろ 700nm 350 400 波長 第1図 被覆に利用したフィルターの透過率曲線

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ⅠⅤ.ま と め アカマツ風致林の更新に関する基礎的研究として,屋島北嶺地区のアカマツ・クロマツ椎樹発生地に調査地を求め, 椎樹の年間の消長経過と森林構造との関係,ならびに環境要因のうち光・水要因についての基礎的研究を実施したい その結果,発芽後の稚苗の生育は森林構造との関係においては,上層木のウッ閉度,地ヲ玖 林床特性の影響を強く受 け,椎樹の枯損率に与える環境要因は,水要因,光要因,温度要因の環境3主要因にあることが推定できた..光要因 については,光の質的要因が効果的であるように思われる.とくにT−R率に対して線色光が効果的に作用するよう に考え.られる.T−R率は,根系の特性を集約的に表現するものではないために,今後の問題として,細根発生率, 細根密度等の詳細を根系発達形状と,光の質,あるいは林床特性,森林構造との関連性を検討することが残される. 今西(15)も指摘しているように,従来の生態学は,生物と環境との相互関係を,成敵地における種の優占性に焦点を しぼって検討してきたように考え.られる、こ.の場合には,優占種の成立環境が問題視されることになり,調査地域内 に成立している出現頻度の低い種の成立環境は無視されることになる.今日地球上の生物圏においてドミナントに栄 える人類は自然生態系とは異質の環境を形成させつつある..森林生態系においても例外ではない.この中で,人類が 生物集団の一・且としても生き残るためには,自然生態系へのあくことなきアプローチを試みることが最重要課題であ る小森林の環境保全もまたこのレベルで考えられるべきである∴すなわち,従来の優占種優先の植物生態学的解析に 対して,該当立地に成立する種そのものの環境との相互∵作用を注意深く検討しなければならない. アカマツ風致林を保存しつつ,陽樹としてのアカマツを後継樹として育成していく場合の研究の基礎は,まさに今 西の云う生物社会の論理におかなければをらない… 従来のように,画一・的施米であれば,天然更新をはかる場合には アカマツ林を伐関して,林地射人陽光盈を増大させ,林床を接伴させて発芽を容易をらしめることが第一・義であった. 今後は環境保全の立場から考え.てこのような施菜は画一・的には実施できない.アカマツの種の特性を考えつつ,種々 の立地において,注意深く更新環境特性を検討しながら科学的データー・を収集する必要がある.さらに環境要因の解 析は成立種との相互作用を要因に入れつつ実施していく必要がある.本研究は,このレポートを基礎として,以上の ような視点からさらに発展させていく予定である.. 参 考 文 献 (1)辰巳修三:造園誌35,22−27(1972) (2)■ +,竹内聴介,越智時雄:日林大会講演 集81,185−187(1970) (3)松井洋一・,辰巳修三:日林大会講演集83,120− (9)坂口勝美,伊藤滑三監修:造林ハンドブック (1966). (10)細井 守,松本正美:アかマツに関する論文集, 48−58(1954). (11)原田 泰:北海道林業試験場報告,1,ト353 (1942) (12)川那辺三郎:日林謹,47,9−16(1965) 122(1972)‖ 小寺農夫,近藤 助:日林誌14,170−183(1933) 日本林学会編:赤松林施業法研究論文集(1942) ヽ,ノ \■.. \−.. 4 5 6 ︵ ︵ ︵ アカマツに関する研究論文集 京大演習林報告,38,68−・75(1966) (1954)。 (7)犬上堪造,辰巳修三,山田宜行,青田電車:造 園誌36,38−44(1972). (8)辰巳修三,友井和俊,菅田重宰:造園誌 36, 10−17(1973).

(14)LuNDEGARDH,H.:Klima und Bodeninih− rer Wirkung auf das P点anzenleben(1957)u

(15)今西錦司:生物社会の論理,東京,思索社 (1968).

注)T−R率は地上部と地下部の垂意比であるために現実の活着の良否に影響を与える根系組織につい

(17)

FUNDAMENTAL STUDIES ON THE REGENERATION OF THE

ORNAMENTALJAPANESE RED−PINEFOREST

II.InfluencesoftheForestStructureontheGrowthoftheRed−PineSeedlings

SyuzoTATSUMI,AtsumiINOUE,ShozoHIROSE,

KanzoOoEandShigeyukiYosHIDA

Stlmmary

Inthejapanesered−andblack−pinefbrestatnorthernYashimaplateau,grOWthof.thepine

Seedlingswereinvestlgatedinrelationtothepineforeststructureandsomefbrestenvironmental

factors.The results obtained were aS fbllows

l・Gr・OWth ofthc seedlingS WaS aChieved normally under the good environmentalcondi−

tions)eSpeCia11yonthecrowndensity)theslopeforms)andthecharacteristicsof.thesoilsurface・

2.It was assumed thatlight,Water and temperaturein飢1enCed mainly on the seedling

growthamongthecontro11ingcnvironmentalfactors

3.Lightwas reacted most e鮎ctively upon thegrowth.Under the artificial1ightcondi−

tion,ltWaS Clarified that thegreenlightin飢1enCed upon the morphogenesis ofthe seedling■・

Top−Rootratiowasl一▲70−2日80underthegreenornormallight,butitwas3・60−4・49underthered

Orbluelight

4・Onthewaterfactor,thecharacteristicsofthesoilsurfacein8uencedmoste能ctivelyupon

theseedlinggrowth.Under thewor・St SOilsur・faces havingtherich humuslayers,the seedl−

1ngS greWunfavourablyindicating T−R ratio of▲4・39lOn the other hand,under・the better

Surfacewiththepoor・humuslayers,theygrewfavourably,and$howedT−Rratioof’5・65・

参照

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