平成30年1月
久喜市 社会福祉課
社会福祉法人役員等報酬支給基準
内容の妥当性についての資料作成ガイド
目 次
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
1 支給基準設定の根拠について・・・・・・・・・・2
2 不当に高額でないことの確認・・・・・・・・・・6
3 検討の結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
4 報酬総額・報酬規程の見直し・・・・・・・・・・9
はじめに
・ 役員報酬支給基準については、不当に高額でないことをはじめとするその 内容の妥当性について法人に説明責任があるとされています。 ・ このため、法人においては、役員報酬支給基準の内容について、 ① 支給基準設定の根拠 ② 不当に高額でないこと の2点について説明ができるようにしておかなければなりません。 ・ さらには、上記①②が説明されて初めて報酬規程の妥当性が議論できると いう関係にあることから、上記①②は評議員会における報酬規程の議決の 際に説明されていること(及び、それが議事録に残っていること)が必要で す。 ・ このため、各法人においては、評議員会における報酬規程の決議が無効で はないかとの指摘を受けないようにするため、①②を説明できる資料を作 成し、これを評議員会に報酬規程と併せて諮り、決議を得て議事録に記載し なければならないことになります。 ・ しかし、どのよう報酬が妥当といえるかについては、法人の財務状況など も考慮する必要があることから、一概に金額的な妥当性を議論することは できません。また、説明の仕方も、「これさえしておけばよい」という決定 的な手法というのもありません。 ・ このようななか、法人としての説明方法を検討する一助として、以下に説 明資料を検討する上での考え方のポイントをまとめてみました。1 支給基準設定の根拠について
支給基準設定の根拠とは、なぜその支給基準のような算定方法を設定する に至ったかということです。 「なんとなく 5,000 円ぐらいが妥当だと思った」というのは根拠が示され ていないので説明したことになりません。 例えば、以下のように考えてみてはいかがでしょうか。 ① 参考になりそうな報酬の事例を収集する ② 職務内容を事例と比較して参考にできるかを検討する ③ 報酬総額との整合性を図りながら根拠づける① 参考になりそうな報酬の事例を収集する
例えば、以下のような資料を参考にすることが考えられます。 ・ 公表されている他の社会福祉法人の報酬規程 ・ 公表されている一般財団法人の報酬規程 ・ 自法人の給与規定 ・ 国や地方公共団体などの給与表 給与表を参考にする場合は、役員や評議員の責任の重大性を考慮して、 参考となりそうな部分を利用するという方法もあります。② 職務内容を事例と比較して参考にできるかを検討する
参考にしている事例が、時給換算するとけた外れになっていたり、社会福 祉法人の理事等とは職務的に全くかけ離れているようだと、説明根拠とし てはふさわしくありません。③ 報酬総額との整合性を図りながら根拠づける
ⅰ 具体的な算定方法を考える 例えば、次のような方法が考えられます。 α 参考事例の時間単価を算出し、必要な補正を加えて役員報酬の単価 とし、勤務時間等を考慮して日額や月額を算出する (例)国の部長級の給与が月額●●万 →●●万円÷20 日÷8 時間=時給▲▲円 会議は長くて2時間だから▲▲円×2 時間=■■円 よって 会議出席報酬1回■■円 業務報酬は1日8時間として▲▲円×8 時間=□□円 よって 非常勤業務報酬日額□□円 常勤理事は週3日勤務として□□円×12 日=◆◆円 よって 常勤業務報酬 月額◆◆円 β 時給によらず、何らかの業務が発生した場合に、会議報酬と業務報 酬を分けずに一律1日いくらと定める この場合、従事時間が違っても同じ報酬を支払うことについては 理由を考えておく必要があります(報酬は時間ではなく業務に対し て設定しているものだから、など)。 γ 理事長、業務執行理事、その他の理事、監事、評議員の区分ごとに時 間単価を異なるものとする その場合の差の付け方として、例えば理事の責任の一部免除の限 度額の規定(理事長6、業務執行理事4、その他の理事2)などを参 考にし、監事・評議員は理事長と同等などと考える方法もあります。 δ 会議報酬と業務報酬の時間単価を異なるものとするⅱ 報酬総額との整合性を図る α 理事・・・報酬総額は報酬規程で規定することが一般的です。 x 会議報酬 理事会 理事全員が出席 定期的開催 年2回 臨時的開催 3回 計年間5回想定 評議員会 理事長が出席 定期的開催 年1回 臨時的開催 2回 計年間3回想定 1回■■円× 理事6人×5回 = ■■■円(理) +1回■■円×理事長1人×3回 = □□□円(評) =□■□■円・・・① y 業務報酬 常勤理事2名(理事長・業務執行理事) 月額◆◆円×2人 その他の理事の臨時的業務執行 日額□□円×4人×5日 ◆◆円×2人×12月+□□円×4人×5日 =□□◆◆円・・・② ①+②=◆◆◆◆円 ←これを上回るように年間総額を設定する β 監事・・・報酬総額は報酬規程で規定することが一般的です。 x 会議報酬 理事会 監事全員出席 定期的開催 年2回 臨時的開催 3回 計年間5回想定 評議員会 監事全員出席 定期的開催 年1回 臨時的開催 2回 計年間3回想定 1回■■円×監事2人×5回 = ■■■円(理) +1回■■円×監事2人×3回 = □□□円(評) =□■□■円・・・① y 業務報酬 監事監査 日額□□円×2人×2日 その他の監事の臨時的業務執行 日額□□円×2人×5日 □□円×2人×(2日+5日) = ■□■□円・・・② ①+②=◇◇◇◇円 ←これを上回るように年間総額を設定する
γ 評議員・・・報酬総額は定款に定めなければなりません。 評議員会 評議員全員出席 定期的開催 年1回 臨時的開催 2回 計年間3回想定 1回■■円×評議員7人×3回 = ◆◇◆円 ↑これを上回るように年間総額を設定する 【報酬総額の考え方のポイント】 ・ 報酬総額は、上記のように定例的な会議のほか、臨時的な会議の開催、 会議以外の業務の報酬についても考慮する必要があります。 ・ ガバナンスの面からは、定期的に予定している会議以外は一切開 かないという方針は望ましくありません。理事会については機動的な経 営判断を行うために、できる限り随時開催できる環境を整える必要があ ります。また、評議員会についても、評議員会議決事項(定款変更など) について決議の必要が生じたときは、定時評議員会を待たずに随時臨時 の評議員会を開催する必要があります。例えば、基本財産を新たに取得 したのに10か月といった期間定款を改正しないままであることは、定 款が一般に公表され法人の基本事項を市民に知らしめる役割を有して いることからしても、不適正です。 ・ このようなことから、報酬総額は定期的な会議報酬のみでぎりぎりに 設定するのではなく、臨時的な報酬も含めてある程度余裕を持たせて設 定してください。結果として会議等を実際に開催しなかったとしても、 報酬の総額の設定に関してはまったく問題ありません。重要なのは、「理 事会・評議員会をいつでも開催できるような環境を整えること」です。 ・ なお、報酬総額を超えて報酬を支給することはできませんので、注意 してください。もし報酬総額を超えた場合には、以後の会議開催等は無 報酬となります。その旨、理事・監事・評議員には了解を得ておいたほ うがよいかと思われます。 ・ 評議員の報酬総額について、少なすぎると思われる例が見受けられま した。上記のような検討を行い、金額を引き上げる場合は、評議員会で 定款の変更決議を行ってください。
2 不当に高額でないことの確認
不当に高額でないことの確認とは、さまざまな資料と比較検討して、法人の 支給基準における算定方法によって算定した報酬が社会通念上及び法人の実 態上妥当な水準を大きく上回り、説明のつかないような高額なものとなって いないかを確認することです。 典型的なのは、さしたる根拠もなくどんぶり勘定で設定された定額の業務 報酬について問題となることが多いですが、会議報酬や日額の業務報酬でも 時給に換算した比較を行うことで「不当に高額である」といえる場合がありえ ますので、この「不当に高額でないこと」の確認も必ず行ってください。 法は、「不当に高額でないこと」の確認の際考慮する事柄の例として、 ① 民間事業者の役員の報酬 ② 民間事業者の従業員の給与 ③ 当該社会福祉法人の経理の状況 ④ その他の事情 を挙げています(法第 45 条の 35 第 1 項)。これらの要素と算定方法による報 酬を比較していきます。① 民間事業者の役員の報酬
民間事業者の役員報酬については、複数の調査会社も独自の調査を行っ て公表しているデータもありますが、厚生労働省実施の「民間企業における 役員報酬(給与)調査」の資料が参考になると思われます。 平成 28 年の調査結果によると、企業規模 500 人以上 1,000 円未満の区分 (これが一番規模の小さい区分になります)における平取締役の平均年間 報酬額は、18,527,000 円ということになっています。ここから、 18,527,000 円÷16 月(夏冬ボーナス計 4 月分含む)=1,157,937 円 1,157,937 円÷20 日÷8 時間=7,237 円 などと計算すると、あくまでざっくりとしたものですが、指標として「月額 1,157,937 円、時給 7,237 円」という金額が出てきます。 法人の算定方法による報酬がこれを下回っているという事実を確認する ことによって、民間事業者の役員報酬との比較では法人の算定方法が不当に 高額ではないことを確認したと説明する方法が考えられます。② 民間事業者の従業員の給与
民間事業者の従業員の給与についても、様々な調査があると思われます が、国税庁「民間給与実態統計調査」の資料が参考になると思われます。 従業員給与は大きな格差があり、どの部分と比較するかが難しところで すが、「役員(級の給与)」という項目がありますのでこれを見ますと、平成 28 年分の調査結果では、役員級の従業員の年間給与は平均で 6,344,000 円 ということになっています。(事業規模別の平均も出ていますので、設立時 の基本金額、総資産額などで事業規模に合わせた平均給与を用いることも 考えられます。)ここから、 6,344,000 円÷16 月=396,500 円、396,500 円÷20 日÷8 時間=2,478 円 などと計算すると、こちらもざっくりとしたものですが、指標として「月額 396,500 円、時給 2,478 円」という金額が出てきます。 法人の算定方法による報酬がこれを下回っている、あるいはそれほど大き な差異はないという事実を確認することによって、民間事業者の従業員給与 との比較では法人の算定方法が不当に高額ではないことを確認したと説明 する方法が考えられます。③ 当該社会福祉法人の経理の状況
民間事業者など他の経営主体の報酬・賃金体系との比較では問題ないと しても、設定した算定方法による報酬を果たして法人が今の状況で支払え る体力があるのか、という点も「不当に高額でないか」の判断においては重 要です。社会通念上問題のない金額でも、法人の今の財務状況ではその報酬 を支給すると本業に影響が出かねないということであれば、それは別の意 味で「不当に高額である」ことになり、おのずと制約されることとなります。 考え方の一つとして、法人としての余剰金が報酬総額を上回っているこ とをもって「不当に高額ではない」と説明する方法があります。 具体的には、事業活動計算書及び貸借対照表の「次期繰越活動増減差額」 もしくは「当期活動増減差額」と、評議員・理事・監事の報酬総額の合計を 比較し、増減差額が報酬総額を上回っていれば支給は可能だと考えるとい うことです。 この考え方において、「当期活動増減差額」を用いる場合には、過去数年 分の当期活動増減差額を並べて、毎年平均してどのぐらい出ているかを調 べ、それと報酬総額の合計を比較するのがより正確でしょう。 また、「次期繰越活動増減差額」を用いる場合は、「当期活動増減差額」の推移も考慮しながら、向こう数年において報酬総額の合計の支給が可能か どうかを確認すると、より説得力が増します。 なお、余剰金について、当然報酬以外の使途もあり得ますから、全額を自 由に使えないとすればそういった事情も考慮して支給可能金額を確認する ことが必要です。 考え方として、定めた報酬総額の合計を3年とか5年といった期間で継 続して支給できる見込みを確認することは、無意味に頻繁な報酬規程の改 正を招くことなく、また年度途中に無報酬の対応に切り替えるような事態 に陥らないために、重要であると思われます。
④ その他の事情
このほか、考慮する要素として考えられるものとして、 ・ 他の社会福祉法人の報酬の状況 ・ 物価等社会経済の動向 などがあります。説得力が増すと思われれば、積極的に補強材料として活 用してください。(特に他法人の報酬の確認は推奨します。)3 検討の結論
検討資料は、結びとして、 「 以上の検討より、本規程の内容は ① 算定方法とその結果の報酬金額について妥当である ② 不当に高額とはなっていない と確認した。」 としておくと、しっかり確認したことが明確になり安全であると思われます。4 報酬総額・報酬規程の見直し
ここまで述べたように、役員等報酬の妥当性の検討には、経済状況や民間事 業者の給与・報酬の動向、法人の財務状況などが影響しますので、毎年必ず 見直す必要があります。動く指標については確認を行い、妥当性に疑問符が 付くようであれは改正を検討してください。 なお、報酬規程において報酬の幅を持たせている場合は、評議員会または理 事会において毎年その年の各役員の報酬金額を決議する必要がありますので、 失念することのないようにしてください。 ● 資料の作成について不明な点がありましたら、お気軽に久喜市社会福祉 課福祉監査係までお問い合わせください。 社会福祉法人役員等報酬支給基準 内容の妥当性についての資料作成ガイド 平成30年1月 久喜市 社会福祉課 久喜市下早見85番地の3 電話(0480)22-1111 内線 3291・3292(福祉監査係)みんなの、あんしん。 久喜の社会福祉法人