• 検索結果がありません。

1 G K C 1.1. G K V ρ : G GL(V ) (ρ, V ) G V 1.2. G 2 (ρ, V ), (τ, W ) 2 V, W T : V W τ g T = T ρ g ( g G) V ρ g T W τ g V T W 1.3. G (ρ, V ) V W ρ g W

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "1 G K C 1.1. G K V ρ : G GL(V ) (ρ, V ) G V 1.2. G 2 (ρ, V ), (τ, W ) 2 V, W T : V W τ g T = T ρ g ( g G) V ρ g T W τ g V T W 1.3. G (ρ, V ) V W ρ g W"

Copied!
11
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

有限群の線形表現

理論ミニマム

Naoya Enomoto

2002.9.

これは有限群の線形表現について,基礎概念と指標の理論を出来る限り簡明に導入・展開 することを目標にして書く paper である.例やくどい説明を省き,理論の展開だけを書くも のであるから,読者は自ら例などを考案するか他書にあたられるかして欲しい. また,これを書くにあたり,参考文献に掲げた二書を参考にした.

§

目 次

1 有限群の線形表現 ─基礎概念─ 2 2 完全可約性 3 3 指標の理論 6

(2)

§ 1

有限群の線形表現 ─基礎概念─

有限群 G の線形表現および表現の同値性を定義し,ある表現から別の表現を構成するいくつかの方法 ─直和,テンソル積,反傾表現など─について定義する.この節のみ体K は任意とする.本節以外はす べて体は複素数体C で考える. 定義 1.1. (有限)群 G に対し,体K 上のベクトル空間 V と群準同型 ρ : G → GL(V ) の組 (ρ, V ) を Gの表現 という.表現空間 V の次元をこの表現の次数 という. 定義 1.2. 群 G の 2 つの表現 (ρ, V ), (τ, W ) が存在したとき,この 2 つの表現が同値 であるとは,V, W への線形同型 T : V → W であって, τg ◦ T = T ◦ ρg (∀g ∈ G) をみたすものが存在するときを言う. これを可換図式で書けば以下のようになる. V −−−→ WT ρg   y yτg V −−−→ T W 特に,同値な表現の次数は等しい.(しかし逆は正しくない.対称群の自明表現と符号表現を考えよ.) 定義 1.3. Gの表現 (ρ, V ) に対し,V の部分空間 W で ρgW ⊂ W をみたすものをG-不変部分空間 で あるという.また G の表現空間を W に制限したものを,V の部分表現 という. 命題 1.4. (1) G の表現 V とその部分表現 W とがあるとき,V /W を表現空間とする G の表現 ¯ρが次の ようにして構成できる; ¯ ρ : G→ GL(V/W ); g 7→ ¯ρg ρ¯gv) = ρg(v). これを商表現 という. (2) Gの 2 つの表現 (ρ1, V1), (ρ2, V2)に対し,直和表現 が以下で構成できる; ρ1⊕ ρ2 : G→ GL(V1⊕ V2); g 7→ ρ1(g)⊕ ρ2(g) ρ1(g)⊕ ρ2(g)(v1, v2) = (ρ1(g)(v1), ρ2(g)(v2)). 証明 検証容易.読者に任せる. ■ 定義 1.5. Gの表現 V が非自明な G-不変部分空間を持たないとき,V は既約 であるという.また既約 でないときを可約 という.更に,表現が既約な表現の直和に分解するとき,完全可約 であるという. 次に,ある表現から新たに表現をつくる方法についていくつか述べる. 命題 1.6. Gの表現 (ρ, V ) および (τ, W ) が与えられているとする.このとき,以下の 3 つの表現が構 成できる. (1) V∗を V の双対空間としたとき, G→ GL(V∗); g 7→ (ρ∗)g ρ∗g(f )(v) = ρ(f (g−1v))

(3)

によって,反傾表現(ρ∗, V∗)が定まる. (2) V と W のテンソル積を V ⊗ W とかくとき, G→ GL(V ⊗ W ); g 7→ (ρ ⊗ τ)g (ρ⊗ τ)g(v⊗ w) = ρg(v)⊗ τg(w) によって,テンソル積表現(ρ⊗ τ, V ⊗ W ) が定まる. (3) V から W への線形写像全体を Hom(V, W ) とかくとき, g· ϕ(v) = g · (ϕ(g−1· v)) によって G が Hom(V, W ) に作用し,これによって G の表現が定まる. V −−−→ Wϕ g−1 x   yg V −−−→ g·ϕ W 特に,この表現は,V∗と W のテンソル積表現 V∗⊗ W と同値である. 証明 (1),(2),(3)が表現であることは検証容易.読者に任せる.(3) の後半のみ証明しておく.まず, 線形空間としての同型 V∗ ⊗ W   → Hom(V, W ) は, V∗⊗ W 3 f ⊗ w 7→ ϕf,w ϕf,w(v) = f (v)w によって定める.これが単射であることを示す.V の基底 viとその双対基底 vi∗を固定する.このとき, 任意の v ∈ V に対して,f(v)w = 0 であると仮定する.f = Piaiv∗i とかけるから,v = vj とすれば, 0 = f (vj)w = ajw.よって w = 0 かすべての ai = 0つまり f = 0 のいずれかが成り立ち,結局 f⊗ w = 0 となる.よって単射.次元を比べて全射.線形性は検証容易.G-線形であることは, ϕ(g·f)⊗(g·w)(v) = (g· f)(v)(g · w) = f(g−1· v)(g · w) (g· ϕf⊗w)(v) = g· (ϕf⊗w(g−1· v)) = g · (f(g−1· v)w) = f(g−1· v)(g · w) となることから従う. ■ 命題 1.7. 群 G が有限集合 X に左から作用しているとき,V =hex|x ∈ Xi なるベクトル空間を表現空 間とする G の表現が Ã X x∈X axex ! =X x∈X axeg·x によって定まる.これを G の置換表現 という.特に X として G 自身を取り,G をその積で作用させて できる置換表現を G の置換表現といい,R などとかく. 証明 検証容易.読者に任せる. ■

§ 2

完全可約性

以下,この paper を通じて,体は複素数体C であるとする. 有限群のC 上の表現は,ユニタリ化可能であり,さらに完全可約である.まずこれを証明する.次に Schurの補題を示し,表現空間の標準分解と重複度について説明する. 完全可約性を示すには,次の補題が示せればよい.

(4)

補題 2.1. (ρ, V )を G の表現とし,W を V の部分表現(G-不変部分空間)であるとする.このとき, V = W ⊕ W0なる W の G-不変な 補空間 W0がとれる. 証明 V = W ⊕ U なる W の補空間 U を任意に取る.このとき,p : V → W なる射影子を取り,こ れを用いて, p0 = 1 |G| X σ∈G ρσ ◦ p ◦ ρ−1σ を定義する.このとき,p : V → W かつ p(W ) ⊂ W であることから,p0 : V → W .さて,ここで W が G-不変であることに注意すれば,ρ−1σ w∈ W であるから,p ◦ ρ−1σ (w) = ρ−1σ となるから, p0(w) = 1 |G| X σ∈G ρσ◦ ρ−1σ (w) = w となる.従って,p0は V → W なる射影子であり,これに対応して W の補空間 W⊥ ={v ∈ V |p0(v) = 0} が定まる.このとき, ρτ ◦ p0◦ ρ−1τ = 1 |G| X σ∈G ρτ ◦ ρσ◦ p ◦ ρ−1σ ◦ ρ−1τ = 1 |G| X σ∈G ρτ σ ◦ p ◦ ρ−1τ σ = p0 となるので,ρτ◦ p0 = p0◦ ρτとなる.すると w0 ∈ W⊥に対し, p0◦ ρτ(w0) = ρτ ◦ p0(w0) = 0 となるので,ρτ(v)∈ W⊥.従って,W⊥は G-不変部分空間となる.定理 2.2. 有限群 G の体C 上の表現は完全可約である. Remark 2.3. 補題 2.1 の証明においては,1/|G| なる商があったため,もし |G| が体 K の標数を割り 切るようなことがあるとまずい.そうでなければ,上の証明がそのまま通用する.従って,|G| が K の標 数を割り切らぬときには,G の表現は完全可約である.一般に,正標数の体上の表現は,モジュラー表 現と呼ばれており,特に|G| の位数が標数で割り切れる場合には,以下の議論のように簡単にはいかな い.例えば,『有限群の表現』(津島・永尾:裳華房)が和書の文献として挙げられる. 補題 2.1 の証明においては,部分空間への射影子を用いて証明した.これは,次のようにしても証明 できる.key word は「ユニタリ化」である. 命題 2.4.C 上のベクトル空間 V には G-不変な内積が定まる.すなわち,V 上の内積 h , i であっ て,∀x, y ∈ V に対して,hρgx, ρgyi = hx, yi をみたすものが存在する. 証明 まず V に G-不変とは限らない内積 ( , ) を導入しておく.これを利用して, hx, yi := |G|1 X g∈G (ρgx, ρgy) と定義する.これは,明らかに V 上の G-不変な内積を与えている.

(5)

系 2.5. 有限群 G の表現 (ρ, V ) に対し,V に G-不変な内積を導入する.このとき,V の G-不変な部 分空間 W の直交補空間 W⊥は G-不変な部分空間である.従って,G の任意の表現は完全可約である. 次に,「Schur の補題」と呼ばれる基本的な命題を証明しよう. 命題 2.6. [Schur の補題] V, Wを G の既約表現とし,ϕ : V → W を G-線形写像とするとき, (1) ϕは同型であるかまたは 0-写像である. (2) もし V = W であるとすれば,ある λ∈ C が存在して,ϕ = λ · I とかける.I は恒等写像を表す. 証明 (1) ϕ : V → W に対して,Ker ϕ, Im ϕ はそれぞれ V, W の G-不変部分空間であることに注意する.V が 既約であることに注意すれば,まず Ker ϕ = {0} または V .{0} なら 0-写像.V なら ϕ は単射.その像 Im ϕ ={0} または W であるが,V 6= {0} であるから,Im ϕ = W となって,全射.以上から同型が従う. (2) C 上で ϕ の固有値 λ ∈ C がとれる.このとき,固有ベクトル v 6= 0 が存在して,(ϕ − λ · I)v = 0.す ると Ker(ϕ− λ · I) 6= {0}.V の既約性から ϕ − λ · I = 0.つまり ϕ = λ · I. ■ このことを利用すると,次の基本的な命題が得られる. 命題 2.7. 可換群 G の既約表現はすべて 1 次元. 証明 (ρ, V )を G の表現とすると,G の可換性から,∀g ∈ G に対して,ρg : V → V は G-線形写像で ある.すると Schur の補題から,ρg = λg· I.すると V の基底を上手くとれば,ρgは 同時に 対角化され るので,1 次元の不変部分空間が必ず存在する.よって,G の既約表現はすべて 1 次元である.Remark 2.8. 線形代数の内容でも少し難しい命題を用いれば,上のことは証明できる. 定理 2.9. V を複素線形空間とし,{Ti} を対角化可能な V 上の線形変換の族とする.このとき,{Ti} が可換であることと{Ti} が同時対角化可能であることとは必要かつ十分である. これを認めると,可換群 G の表現 V があるとき,{ρg}g∈Gは V 上の可換な線形変換の族をなす.ま た,G の位数が有限であることから,ρgも位数有限であり,したがって対角化可能である.よって,上 の命題より,{ρg}g∈Gは同時に対角化可能である.従って,V が既約であるとすれば,1 次元でなければ ならない. 逆に,群 G の既約表現がすべて 1 次元であるとすれば,G の完全可約性から G の表現はすべて 1 次元 表現の直和に分解する.これは,{ρg} が同時に対角化されることを意味しており,従って上の定理から {ρg} はすべて互いに可換でなくてはならない.これは G が可換であることを意味している. □ 次に,標準分解と呼ばれる概念を導入する.一般に,G の表現は完全可約だが,既約表現の直和への 分解は一意的であるとは限らない.しかし,次の意味で既約分解にも「一意性」が成り立つ. 定理 2.10. Gの表現 V がある既約分解 V =⊕Uiを持つとき,Uiの中で互いに同型なものを集めるこ とで,V =⊕V (Vk)なる直和分解が得られる.ここで V (Vk) =⊕Ui∼=VkUiである.こうして得られる直和 分解は,もとの既約分解の仕方によらず一意的に定まる.これを V の標準分解 という.このことから, V に含まれる既約表現 Vkの個数(重複度 という)も一意的に定まる.

(6)

証明 V = ⊕Ui =⊕Wjを 2 通りの既約分解とする.それぞれから標準分解をつくる.すなわち,G の既約表現の同値類の代表元{Vk} を取り, V (Vk) =⊕Ui∼=VkUi, V 0(V k) = ⊕Wj∼=VkWj と定義し,V = ⊕kV (Vk) =⊕kV0(Vk)なる直和分解を得る.Ui, Wjの順序を入れ替えて,V (V1) = U1 · · · ⊕ Up, V0(V1) = W1⊕ · · · ⊕ Wqとしてよい.このとき, πj : V → Wj なる射影子を考え,これを Uiに制限した πj|Ui = θijとおく.このとき,1≤ i ≤ p であれば,j > q なる θjは 0 写像でなければならない.実際,これは G-線形写像であるから Schur の補題によって同型か 0-写 像でなければならないが,いま Uiと Wjとは非同値(1≤ i ≤ p, j > q に注意.)であるから,同型では ありえない.よって 0-写像でしかない. すると,V の元 ui ∈ Uiを考えると,u を Wjの直和分解に対応した分解は,

u = π1(u) + π2(u) +· · · πq(u) + πq+1(u) +· · ·

となる.ところが u∈ Uiであるから,

u = θi1(u) + θi2u +· · · + θiqu + θi,q+1(u) +· · ·

となる.ここで θij = 0 (1≤ i ≤ p, j > q) に注意すれば,

u = θi1(u) + θi2u +· · · + θiqu + θi,q+1(u)∈ V0(V1)

となる.よって,1≤ i ≤ p に対して Ui ⊂ V0(V1).特に,V (V1) =⊕pi=1Ui ⊂ V0(V1).逆も同様にいえる から V (V1) ∼= V0(V1).他も同様にして,V (Vk) ∼= V0(Vk)となる.よって,標準分解および重複度は V の 既約分解によらず一意的に定まる. ■

§ 3

指標の理論

ここでは指標の概念を導入し,既約指標が G 上の類関数のなす空間の正規直交基底であることを主定 理として証明し,指標の第 1,第 2 直交関係式を導く. 定義 3.1. Gの表現 (ρ, V ) に対して,χV : G→ C を χV(g) = tr(ρg) と定める.これを (ρ, V ) の指標 と言う. 命題 3.2. 有限群 G の表現 (ρ, V ) の指標 χV は以下を満たす. (1) χV は G の共役類の上では一定値をとる. (2) χV(g−1) = χV(g). 証明 χV(hgh−1) = tr(ρhgh−1) = tr(ρhρgρ−1h ) = tr(ρg) = χV(g)となる.また,ρgの固有値を λiとす れば,ρgの位数が有限であることから,これは 1 のベキ根である.すると λi = λ−1i .よって,χV(g) = P iλi = P iλi−1 = tr(ρ−1g ) = χV(g−1). ■

(7)

定義 3.3. G上の関数であって,共役類の上で一定値を取るような関数を G 上の類関数 という.特に 表現 V の指標 χV は G 上の類関数である. 命題 3.4. V, W を G の表現とするとき,以下が成り立つ. (1) χV⊕W = χV + χW(2) χV⊗W = χV · χW(3) χV∗ = χV. 証明 各表現の行列表示を見れば検証容易.読者に任せる. ■ さて,ここで G の表現 (ρ, U ) に対して, UG={v ∈ V |ρg(v) = v} と定義する.このとき, ϕ := 1 |G| X g∈G ρg ∈ End (U) と定義する. 補題 3.5. ϕ : U → UGが射影を与える. 証明 実際,U ⊂ Im(ϕ) 3 u = ϕ(v) とすると, ρh(u) = ρh à 1 |G| X g∈G ρg(v) ! = 1 |G| X g∈G ρhg(v) = 1 |G| X g∈G ρg(v) = ϕ(v) = u となるから,Im(ϕ)⊂ UG.更に,u∈ UGとすると, ϕ(u) = 1 |G| X g∈G ρg(u) = 1 |G| X g∈G u = u となる.従って,UG ⊂ Im ϕ.また,射影子であることも示された.補題 3.6. dim(UG) = 1 |G| X g∈G χV(g). 証明 実際,UGの基底をひとつ固定し,それを拡張して U の基底をつくっておく.すると,dim(UG) = tr(ϕ)となる.よって, dim(UG) = tr(ϕ) = 1 |G| X g∈G tr ρg = 1 |G| X g∈G χV(g).補題 3.7. Hom(V, W )G={f : V → W : G-線形写像 }.

(8)

証明 Hom(V, W )への G の作用は,g· ϕ(v) = g · (ϕ(g−1· v)) であった.そこで,g · ϕ = ϕ であるとす ると,G の作用の定め方(可換図式参照)から,ρg· ϕ = ϕ ◦ ρgである.逆に G-線形写像であれば,や はり可換図式から g· ϕ = ϕ.さて,ここで,V, W を既約表現とする.すると,Schur の補題から, dim(Hom(V, W )G) = ( 1 V ∼=GW 0 V 6∼= W である.すると上の補題から, 1 |G| X g∈G χHom(V,W )(g) = dim(Hom(V, W )G) = ( 1 V ∼=G W 0 V 6∼= W となる.ところが,Hom(V, W ) ∼=GV∗⊗ W であったから,その指標は, χHom(V,W )(g) = χV∗(g)· χW(g) = χV(g)· χW(g) である.よって,次の定理が得られた. 定理 3.8. V, W を G の既約表現とするとき, hχV, χWi = 1 |G| X g∈G χV(g)χW(g) = ( 1 V ∼=G W 0 V 6∼= W ここで,G 上の関数 a, b : G→ C に対して,内積 ha, bi = |G|1 X g∈G b(g)a(g) を導入した.特に G 上の類関数の空間を考えることが重要である. 上記の定理から以下の系が導かれる. 系 3.9. (1) 既約表現の指標は正規直交系をなす. (2) Gの表現 V が既約であることとhχV, χVi = 1 であることとは同値. (3) 表現 V に含まれる既約表現 Viの個数,すなわち Viの重複度 ai =hχV, χVii. (4) Gの正則表現には,どんな既約表現もその次元の個数だけ現れる. (5) |G| = PViは既約表現すべてを動く(dim(Vi))2. 証明 (1) すでに示した. (2) Gの表現 V の指標は,V の標準分解を V =⊕V⊕ai i とすれば,χV = P Viはすべての既約表現を動くaiχViと かける.すると,hχV, χVi = P ia2i であるから,既約であることと 1 であることとは同値. (3) 標準分解と上のことから明らか. (4) Gの正則表現 R を考えると,χR(g)は g 6= e のとき 0,g = e のとき χR(g) =|G| である.R の標準 分解を R =⊕iVi⊕aiとすると, ai =hχVi, χRi = 1 |G|(χVi(e)· |G|) = dim(Vi) となる. (5) |G| = dim(R) =Pi(dim(Vi))2となる. ■

(9)

ここまでで G の既約指標についていろいろな性質がわかったが,まだその個数はわかっていない.既 約指標が類関数の空間の中で正規直交系であることまでわかっていた.実はこれが正規直交基底である ことを示せれば,類関数の空間の次元と既約指標の個数が等しいことがわかる.類関数は共役類の上で 一定値を取るから,その次元は共役類の個数に等しい.これが次の目標である. 補題 3.10. a : G→ C と G の表現 (ρ, V ) とに対し, ϕa,V = X g∈G a(g)· ρg : V → V を考える.これが,G のどんな表現に対しても G-線形写像であることと a が G 上の類関数であることと は必要十分である. 証明 まず a が G 上の類関数であるとする.このとき, ϕa,V(ρh(v)) = X g∈G a(g)ρg(ρh(v)) = X g∈G a(hgh−1)ρhgh−1(ρh(v)) (∵ g を hgh−1に組換え.) = ρh à X g∈G a(hgh−1)ρg(v) ! = ρh à X g∈G a(g)ρg(v) ! (∵ a は類関数.) = ρh· ϕa,V(v) となって,G-線形写像. 次に,a が類関数ではないとする.すなわち,ある h1, h2, h∈ G が存在して,h−1h1h = h2かつ a(h1)6= a(h2)であるとする.そこで,G の正則表現 R を考える.このとき, ρhϕa,V(e−1h ) = ρh( X a∈G a(g)ρg(e−1h )) = X g∈G a(g)ehgh−1 = X g∈G a(h−1gh)eg (∵ hgh−1を g に組換え.) ϕa,Vρh(e−1h ) = X g∈G a(g)ρg(e1) = X g∈G a(g)eg となる.ここで{eg|g ∈ G} は一次独立であることから,α(h1) 6= α(h−1h1h) = α(h2)であることに注意 すると,ϕa,V は G-線形写像ではない.定理 3.11. G上の既約指標は G 上の類関数の空間の中の正規直交基底をなす. 証明 基底であることだけを示せばよい.そこで,G の任意の既約指標に対して直交する類関数 a が 0 写像であることを示せばよい.すべての指標は既約指標の一次結合でかけるので,a はすべての指標と直

(10)

交する.いま a が類関数であるから,ϕa,V は G-線形写像であり,これは Schur の補題から,ϕa,V = λ· IV の形にかける.そこで,n = dim(V ) とすると, nλ = tr(ϕa,V) = X g∈G a(g) tr(ρg) = X g∈G a(g)χV(g) = |G|ha, χV∗i (∵ χV(g) = χV∗(g)) = 0 となる.従って,n6= 0 より λ = 0 が任意の表現 V に対して成り立つ. 特に V として G の正則表現 R をとると, 0 = ϕa,V(e1) = X g∈G a(g)ρg(e1) = X g∈G a(g)eg となる.すると,{eg|g ∈ G} が一次独立であることに注意すれば,任意の g ∈ G に対して,a(g) = 0 で なければならない. ■ 系 3.12. Gの既約表現の同型類の個数は G の共役類の数に等しい. 次に,指標の直交関係を導いてこの節を終えよう. 定理 3.13. (1) χ1, χ2を有限群 G の既約指標とすると, X g∈G χ1(g)χ2(g−1) = ( |G| (χ1 ∼= χ2) 0 1 6∼= χ2) (2) X(G)を G の既約指標の全体とするとき, X χ∈X(G) χ(g)χ(h−1) = ( |CG(g)| (g ∼ h) 0 (g 6∼ h) 証明 (1)はすでに示した. (2)を示すために, fg(h) = ( 1 (g∼ h) 0 (g6∼ h) なる類関数を考える.前定理より,fg = P iλiχiとかける.このとき, λi = hfg, χii = 1 |G| X h∈G fg(h)χi(h) (∵ 内積の定義.) = 1 |G| X h∈C(g) χi(h) (∵ fg(h)は g ∼ h であるときのみ 1.残りは 0.) = |C(g)| |G| χi(g) (∵ χiは類関数.)

(11)

となるので, fg(x) = X i λiχi(x) = |C(g)| |G| X i χi(g)χi(x) である.従って, X χ∈X(G) χ(g)χ(x) = |G| |C(g)|fg(x) = ( |CG(g)| g ∼ x 0 g 6∼ x となって求める直交関係式が導けた. ■

§

参考文献

[Serre] 『有限群の線形表現』(J.P.Serre ”Linear Representation of Finite Groups” Springer-Verlag の 邦訳:岩堀・横沼訳:岩波書店)

参照

関連したドキュメント

At the same time we should notice that problems of wave propagation in a nonlinear layer that is located between two semi-infinite linear or/and nonlinear media are much more

The objective of this paper is to apply the two-variable G /G, 1/G-expansion method to find the exact traveling wave solutions of the following nonlinear 11-dimensional KdV-

Zhang, “The G /G-expansion method and travelling wave solutions of nonlinear evolution equations in mathematical physics,” Physics Letters A, vol. Li, “Application of the G

I.7 This polynomial occurs naturally in our previous work, where it is conjec- tured to give a representation theoretical interpretation to the coefficients K ˜ λµ (q, t). I.8

Although the choice of the state spaces is free in principle, some restrictions appear in Riemann geometry: Because Einstein‘s field equations contain the second derivatives of the

< >内は、30cm角 角穴1ヶ所に必要量 セメント:2.5(5)<9>kg以上 砂 :4.5(9)<16>l以上 砂利 :6 (12)<21> l

In general, the algorithm takes a chordal graph G, computes its clique tree T and finds in T the list of all non-dominated pairs (b, w) such that G admits a BWC with b black and w

La 2-cat´egorie des G-torseurs sur K, not´ee Tors g (K, G), est la sous 2-cat´egorie pleine de Bicat(G, Cofib K ) dont les objets sont les cofibrations E sur K, munies d’une G-action