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ドバックの限られた練習問題に専念することはあまりにももったいない話ではないか 人間の教師は 学生の自由な発言に対して 個別のフィードバックを与えるばかりでなく 学生の心理状態を推し量りつつ グループ全体の学習効果までを考慮しながら 柔軟に授業を運営するものである それ程の高度な活動を可能とする人工知

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Academic year: 2021

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Rencontres Pédagogiques du Kansaï 2004 Thème 2

フランス語インターネット教材作成のために

Pour la création de matériaux d'enseignement/apprentissage du français sur Internet

小 松

KOMATSU

祐子

S a c h i k o 筑波大学 Université de Tsukuba skomatsu?sakura.cc.tsukuba.ac.jp 外国語教育にインターネットを活用する方法はさまざまに考えられる1が、そ の一つとして、練習問題を中心とした教材をインターネット上に作成することが挙 げられる。本稿では、まずインターネット教材を作成し、使用することの意義を考 える。次いで、教師がインターネット教材を作成するための支援ソフトを紹介し、 運用にあたっての注意点を述べる。 1.何のために? インターネットの普及と技術革新が進み、また教育現場の IT 環境が整いつつ あることから、インターネット教材は今後ますます日常的な教材となることが予想 される。しかし、ここで私たちは、まず“何のために?”インターネットを用いる のかを問うことから始めなくてはならないだろう。新しいものが無条件に良いわけ ではないはずである。テクノロジーは「諸刃の剣」であり、良くも悪くも使うこと ができるという事実に自覚的でなくてはならない。教育現場の必要を十分に考慮し た上で、技術の与える恩恵をもっとも相応しい方法で取り入れるためには、いった ん立ち止まって考えることが大切ではないだろうか。 私たちが教育方法に新しい技術を導入するとき、それは当然、教育を“良く する”ため、つまり教育内容の充実や教育効果の向上を目指してのことであろう。 ところが、例えば、CALL 教室が使用できるからと言って、授業時間を割いて、学 生にコンピュータ画面に向かわせ、単純な練習問題を解かせることは、果たして望 ましい活用法であるだろうか。コンピュータでできる語学の練習問題というものは、 その種類が限られている。コンピュータはそもそも電子計算機であり、数式として 処理できない情報を前にしては無力である。この点、人間に勝るものはないはずで ある。また、とりわけインターネット教材を用いる場合、その長所は、“いつでも、 どこでも”アクセスして利用できるという点にあるが、皆で同じ場所で一斉にイン ターネットにアクセスし、学生と教師が共有する貴重な授業時間を使って、フィー 1 インターネット上資料のDocument authentiqueとしての活用、インターネット上辞書・デ ータベース等の活用、既存フランス語教材の活用、メールやチャットによる交換、検索に よる調べ学習、などが考えられる。

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ドバックの限られた練習問題に専念することはあまりにももったいない話ではな いか。 人間の教師は、学生の自由な発言に対して、個別のフィードバックを与える ばかりでなく、学生の心理状態を推し量りつつ、グループ全体の学習効果までを考 慮しながら、柔軟に授業を運営するものである。それ程の高度な活動を可能とする 人工知能を開発することは、恐らく将来にわたっても困難であろう。また、外国語 を学ぶということは単なる記号処理の問題ではないはずであり、言語の背後に広が る文化という、きわめて人間的な世界を伝えるために、人間である教師の果たすべ き役割は大きい。したがって、外国語の授業活動は、コンピュータによって置き換 えることはできず、また置き換えてはならないものと思われる。 それでは、なぜ、インターネット教材なのか。その答えとして、まず一番に 挙げられるのが、授業だけでは圧倒的に学習時間が足りないということである。外 国語の習得は多くの練習時間を要する。また文法規則の理解や言語操作能力の習得 には個人差があり、個別のリズムで学習することが大切である。そこで、授業外に 適切な個別学習ができるように配慮、指導することも、教師の勤めであり、実際、 これまでにも授業の補助教材をプリントで作成、配布し、授業外の自習支援を行っ ている教員は少なくないだろう。そのワープロソフトでプリントを作るのと同程度 の手間で、インターネット教材を作ることができる時代となっているのである。さ らに、インターネット教材では、プリント教材では得られないマルチメディア、イ ンタラクティブな機能を取り入れることができる。コンピュータが得意とする自動 採点機能を活かしたドリル的な学習を、インターネット教材を使って授業の外で行 うことによって、貴重な授業の時間はより創造的な学習活動に専念することができ るのではないか。 以上のことから、私は、授業での対人教育を基本としつつ、インターネット 教材の特性をいかし、その限界を見極めた上で、効果的にこれを活用するには、授 業外の自主学習用教材としてインターネット教材を位置づけることが相応しいの ではないかと考えている。 2.インターネット教材の長所と短所 ここで、インターネット教材の特徴を今一度確認しておきたい。 1)いつでも、どこでも、誰でもアクセスできる。しかし、当たり前のこと だが、インターネットがないと使えないという決定的な制約がある。学習者が自由 にインターネットを使える状態・環境にあるかどうかが重要なポイントとなる。 2)音声や映像を組み込んだり、外部リソースへリンクすることによって、 多彩な教材を作成することができる。ただし、そのためには素材の確保(ときには 作成・加工)、また著作権への配慮が必要である。 3)自動採点機能を組み込むことによって、瞬時に採点し、フィードバック を与えることもできる。しかし、扱える問題の種類には制限があり、フィードバッ クの内容はあらかじめ作成者がインプットしなくてはならない。 教師にとって何よりも障害となるのは、教材作成にかかる手間と時間である。 多忙な教師にとって、時間や手間、経済的コストをかけずに気軽に教材を作成でき るということが非常に大切である。そのためには、難しいプログラム言語を知らな

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くても自動的に練習問題の Web ページを作成してくれるソフトの存在が重要とな る。

3.インターネット教材作成支援ソフト -Hot Potatoes version 6- 2

できるだけ手間と時間をかけずにインターネット教材を作成したいという教 師 の 強 力 な 味 方 と な っ て く れ る の が 、 教 材 作 成 支 援 ソ フ ト Hot Potatoes (http://web.uvic.ca/hrd/halfbaked/)である。カナダのヴィクトリア大学で開発され たこのソフトは、教育目的での利用が無料であり、操作が簡単であることから、世 界中の教育関係者に広く用いられている。が、これまで日本ではあまり広まってこ なかった。その背景には日本語使用の問題があったのである。多言語使用のために Unicodeに対応していたが、その入力方法はかなり煩雑であった3。ところがこの 3 月にversion 6 が登場し、この問題がすっかり解決された。面倒な操作なしに、日本 語もごく普通に入力できるようになったのである。このため、今後は日本の教育現 場でもこのソフトの使用が広がることが予想される4 Hot Potatoes を用いて作成できる問題の種類は 6 種類である(空所補充問題、 多肢選択問題、短文入力問題、並べ替え問題、アソシエーション問題、クロスワー ド)。これらの問題には、画像、音声、ビデオのファイルはもちろん、読解用の長 文テキストや時間制限のためのタイマーも付加することができる。Version 6 ではさ らに、学習者がフランス語特殊文字を簡単に入力するための簡易キーボードを練習 問題ページに組み込むことが可能となった。 初期設定の方法などの基本を理解すれば、ソフトの操作はきわめて簡単であ る。問題データを入力し、htmlファイルへの変換ボタンを押せば、瞬時に練習問題 ページが出来上がる。なお、このソフトの詳しい使用方法については、拙作Hot Potatoesガイドを参照願いたい(http://skomatsu.free.fr/HotPotguide/index.htm)5。 4.インターネット教材を運用するには Hot Potatoes を使えば、簡単なデータの入力だけで、練習問題ページ(html フ ァイル)が出来上がることは、上に記したとおりである。こうして出来上がったフ ァイルは、インターネットにつながったサーバ上にスペースを確保し(所属教育機 関のサーバまたは一般の有料・無料ホームページサービスに登録することとなる)、 ファイル転送ソフトを使ってアップロードすることによって、全世界から閲覧でき る練習問題となる。また目次ページを作成したほうが使い勝手が良いであろうが、 このためには、Web エディターと呼ばれるソフトを使って html 形式のページを作 2

Hot Potatoesの開発者の一人Martin HolmesによるTex Toys

(http://www.cict.co.uk/software/textoys/index.htm)も、Hot Potatoes同様の簡単な操作で、長文並 替え問題や文字入力問題を作成できる優れたソフトであるので、併せて紹介したい。Tex Toysに 手を加えて作成したディクテ教材例 : http://skomatsu.free.fr/dictee/index.htm

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詳しくはHot Potatoes version 5 操作ガイドhttp://skomatsu.free.fr/HotPotguide/ver5/index.htmを 参照のこと。

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version 6 は現在(2004 年 5 月)Windows版のみであるが、Macintosh版も現在開発中とのことであ る。

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成することとなる(Microsoft Word でも html 文書の作成が可能である)。この作業 を従来のプリント教材作成の場合と比較してまとめると次の通りとなる。

プリント教材の場合:

ワープロソフトでdoc文書作成→印刷

インターネット教材の場合:

WebエディターやHot Potatoes を使ってhtml文書作成→サーバにアップロ

ード プリント教材の場合に必要な印刷作業が不要となるかわりに、インターネッ トにアップロードすることが必要であり、このための基本的知識が必要ということ になる。アップロードというと難しそうに思われるかもしれないが、印刷機の使用 を覚えるようなものであり、慣れてしまえば、印刷より手間は少なく、紙資源の節 約にもなる。なお、文書間のリンクやアップロードのための具体的方法については、 一般のホームページ作成解説書を参照することが望ましい。 5.公開/非公開 インターネット上のリソースは広く万人に開かれていることに意義がある、 という考え方がある。インターネット上に教材を公開すると、自分のクラスの学生 だけではなく、世界中の学習者に活用してもらえる。ある日地球の裏側の学習者か らメッセージが届き、嬉しい驚きを経験するなどということもあるのである。また、 個々の教師が作った教材を持ち寄り、共有化ができれば理想であろう。 しかし、特定の目的のために作った自分の教材を意図しない方法で使われる ことを望まない教師もあるだろうし、素材の著作権上の問題から公開できない場合 もあるだろう。Hot Potatoesを使って作られたファイルはJavaScriptを含むhtmlファ イルであり、これはローカル、つまり単体のコンピュータ上でも機能する。インタ ーネット上に乗せなくとも、CDやフロッピーディスクに保存して、学生に渡すこ とができるのである。また、教育機関のイントラネット内でのみ公開するという方 法もあるだろう6 6.学習履歴の問題 プリント教材であれば、手間はかかるものの、教師は採点作業を通じて、学 生一人ひとりの学習状況を把握することができる。一方、インターネット練習問題 では、学生は自由にアクセスして好きなだけ利用できるが、教師の側では、誰がど れだけ練習し、学習効果が上がっているかを把握することができないという問題が 生じる。 この問題を解決するには、CGIプログラムを用いたより高度な技術的ソリュー ションが必要である。Hot Potatoesについて言えば、FormMail.cgiという学習結果を メール送信するプログラムを組み込むことができる7。また、Hot Potatoes チームは、 6 このほか、ホームページにアクセス制限を設定したり、サーチエンジンによって読み込まれるこ とを避けるためのタグを組み込んでおくなどの方法も考えられる。 7 これを用いた作成教材の例として、2000 年から稼動している「オンラインチェック問題」がある。 http://www.interq.or.jp/sun/skomatsu/

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hotpotatoes.net(http://www.hotpotatoes.info/)という有料ホスティング・サービスを 行っており、これを利用すれば、Hot Potatoes作成画面から直接ファイルをアップ ロードし、学習者の履歴管理も可能である。 以上、教師がインターネット教材を作成するための技術的方法を紹介した。 手軽にインターネット教材を作成できる時代となった今日、さらに学習効果の高い 教材を作成するためには、学習目的に応じた教材作成を目指したより詳細な研究が 必要であることを指摘して本稿を閉じたい。

参照

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