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成島柳北『新柳情譜』初編評釈

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Academic year: 2021

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高橋昭男   成島柳北『新柳情譜』初編評釈    凡例 一、 は、 号( 号( たり連載された「新柳情譜」初編を使用した。 一、 は、 た。 が、 名、 で、 め、 る。 し、 の字体を用いた。 一、 は、 名、 が、 名、 し、 し、 読を付した。 一、 は、 名、 で、 りとし、訓読を付した。 一、 し、 付した。 一、難読漢字にはルビを付した。 一、すべての訓読文に、現代語訳を付した。 しんりゆうじようふ   初編 ぼくじようぎよし 上漁史戯稿 秋風道人漫評 【第六十七号】 は、 り。 し、 きかいしんしん 介搢紳 皆な くつわ を連ね、 輪を接し、 争ひて香圍粉陣の間に す。 評、 処、 士、 者、 す。 篇、 あげ ず。 ひたり。 復た綺語を以て諸子と こうこう する能はず。 しゆうしゆ 傍観するのみ。 たまた へ、 ず。 中、 り、 る。 詞、

成島柳北『新柳情譜』初編評釈

 

 

 

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成蹊人文研究   第二十四号(二〇一六) 固より観るに足らずと雖も、 其の摘評する所、 則ち亦た ちよくひつ に係る。 読者、諒せよ。 ◯濹上漁史=成島柳北の雅号。 ◯秋風道人=未詳。 ただし 『花月新誌』 第二十二号より第四十八号まで、 新橋の花柳街を舞台にした小説「新 が、 る。 も、 の『 は、 る。 た、 ら、 い。 名。 街。 年。 分。 む。 と。 と。 わ。 轡。 と、 い。 と。 と。 と。 眉。 裳。 え。 者。 ◯嘖嘖=嘖はさけぶ。 口々にやかましく叫ぶさま。 ◯印行=刊行。 物。 詞。 う。 る。 観。 か。 て、 ま。 者。 と。 い。 りのまま書くこと。 現代語訳   て、 ば、 た。 は、 た。 が、 る。 か、 ば、 る。 も、 る。 だ。 た。 て、 い。 と、 るしかない。最近、 たまたま気の病で、 毎夜不眠がちであったのだが、 に、 て、 に、 た。 で、 く、 が、 る。読者諸君、よろしくお付き合いのほど。 頭評 此盖亦昇平樂事偶然及之耳漁史不苛論之眞通儒也哉 宋人、 かしゆうがく 秋壑 とうしつしゆつ を観て曰ふ、 「是も亦た軍国の重事か」 と。 今日、 し、 づ。 た、 事、 み。 は、 るかな。

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高橋昭男   成島柳北『新柳情譜』初編評釈 ②可謂胭脂春秋弟子不能賛一辞 の春秋と謂ふべし。弟子、一辞を賛すること能はず。 道。 人、 家。 号。 撲。 で、 た『 す。 ぎ。 政。 黛、 で、 と。 と。 字。 苛=みだれる。 ◯通儒=博学で万事に通じた学者。 ○胭脂=臙脂。 紅。 か。 書。 現代語訳 が、 の『 う。 も、 た、 と。 も、 で、 が、 と。 が、 いうのは、真の通儒ということですね。 う。 とはできない。   (新橋) て、 ば、 あた 者、 る。 名、 り。 ひと 流、 ず、 も、 す。 彼、 色、 ず。 て、 め得るのみ。余が友某々 つね に曰く、 間、 縦ひ艶麗俊秀の妓有るも、 ば、 と。 り。 郁、 す。 に後進気概有る者、往々不平を懐くと云ふ。 老勁憐他媚態無    ろうけい   憐む   他の媚態無きを 傍花偎柳巧馳驅    傍花   わい   巧に馳駆す 披來席上有餘趣    披き来りて   席上   余趣有り 一幅寒鴉枯木圖    一幅   寒鴉   枯木の図 ふ。 み。 戯、 錬。 劇。 も、 ば、 混し去るに過ぎず。 の場面を さん。 郁。 下、 は「 む。 選議会のもじり。 当時、 議会開設の要求が盛んにあった。 ◯膺=ヨウ。 る。 り。 間。 中。 に、 く。 物。 し。 界。 す。 は、

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成蹊人文研究   第二十四号(二〇一六) 号。 る。 る。 す。 る。 と。 く。 く。 ・ 中 蔵。 代は名優として知られた。 ○熱鬧=鬧熱。 こみ合ってさわがしいこと。 ◯打混=ぶつかりあうこと。○甚麽=どんな。何。 現代語訳   お郁(新橋)   て、 ば、 ず、 は、 ば、 い。 る。 く、 い。 も、 く、 い。 だ、 が、 だ。 が、 も、 と、 と。 る。 も、 お郁はここ数年、 新橋界隈に名声をほしいままにしている。 そのため、 後につづく意気込のある芸妓たちは、不平を懐いているらしい。 婆さん芸者が客持ちの悪い連中を憐れんで あちらこちらのお座敷に大持てで出入りしている 気になる である う。 で、 い。 た、 で、 だ。 も、 と、 いるだけの田舎芝居になってしまう。どんな場面になるのやら。 頭評 ①起手何等突兀故不着裊娜婉妁語純用議論體妙似其人 ぞ。 ことさら ず。 もつぱら を用ゆ。妙なること其の人に似たり。 ②不啻論妓而論人材亦然 ただ に妓を論ずるのみならず、而して人材を論ずるも亦た然り。 ③咄咄逼人 咄々人に逼る。 ④老熟之恠物乃爾可畏可憎 老熟の怪物は乃ち爾り。畏るべし憎むべし。 め。 ま。

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高橋昭男   成島柳北『新柳情譜』初編評釈 ま。 ま。 い。 能。 ◯咄咄=事の意外なのに驚いて発する声。おやおや。 現代語訳 は、 う。 使 ず、 る。 れで妙というのは、作者の人柄に似ている。 く、 もふれている。 ③何ともはや説得力がある。 は、 だ。 か、 憎たらしいというか、いやはや。   小仙(新橋) 仙、 名、 す。 今、 ふ。 彼、 て、 る。 り。 者、 し、 し、 て、 誦、 む。 く「 」。 き、 し、 回。 衆皆な喫驚し、 者も亦た あんぜん 自失す。其の ごうまい 、概ね此の如し。仙、 り。 て、 す。 声、 阪に在るの日よりも盛んなり。 、毎に云ふ、 わたし 、復た西帰せず」 と。    楚材晋用古來多    楚材   晋用   古来多し    仙種誰移自浪華    仙種   誰か浪花より移す    附與東人賞春色    東人に付与して   春色を賞せしむ    櫻宮祠畔一株華    桜宮   祠畔   一株の花 評に云ふ。 漁史嘗て京猫一斑を著し、 京妓を把へて口を極めて打罵し、 いちもん に当らず。 小仙、 蓋し其の説を聴き、 豹変する者か。 文人一枝の筆、 絶世の佳人をして転念せしむること、此の如し。 人。 街。 代、 ・ 歌 る。 る。 る。 時、 で、 か。 た。 使 人。 と。 車。 り。 ま。 と。 い。 さま。 ◯豪邁=人に飛び抜けていること。 ◯原=もと。 ◯阪府=大阪。 者。 意。 る。 し。 称。 る。 る。 種。 社。 る。 年、 任。 て、 う。 に、

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成蹊人文研究   第二十四号(二〇一六) 園の生態を描いたのが 『京猫一斑』 で、 東京の柳橋の芸者を持ち上げ、 る。 て、 物事を考えること。 現代語訳   小仙(新橋)   れ、 た。 が、 うして、 そのもって生れた色気は、 今なお知らぬ者とてない。つまり、 は、 う。 のなにがしが、 昔、 小仙の情事を聞きつけて、 新聞紙上に記事を載せ、 た。 は、 」、 て、 せ、 し、 を、 な。 は、 し、 て、 う。 は、 と、 こんなところだ。小仙は以前、 大阪の花街に出ていた。訳あって、 東京に出ることになったのだが、 大阪時代よりも小仙の名声は高まっ る。 に、 と言っている。    他国の人材を用いるというのはよくあることだが    小仙という名花を大阪から運んできたのは誰だろう    おかげで東京の人間は春景色を楽しませてもらった    大阪で名の知れた桜宮の花盛りの桜の一株のような色香を う。 昔、 し、 が、 た。 と、 て、 ぬ。 が、 断をもたらしたのであろうか。 頭評 ①知是那個 知る是れ なるかを ②結不説破妙 結びに妙を説破せず ◯説破=説きつくす。 現代語訳 ①人力車の人物が誰かは、すぐ分かる ②結びの書き方は、くどくなくて、さらっとしている 【第六十八号】   小万(新橋)   美、 見、 ふ。 は、

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高橋昭男   成島柳北『新柳情譜』初編評釈 家に非ざれば、 則ち なり。余、 教坊の美人を歴観する、 頗る多し。 薄、 しか む。 淑。 り。 は、 に諷刺すべからざる者有るか。    鏡奩照影皓無塵    きようれん   影を照らせば   皓として塵無く    聞説仙盟情亦眞    きくならく   仙盟     亦た真なりと    只恐嫦娥月中去    只だ恐る   嫦娥の月中に去りて    世間無復這般人    世間   復た   しやはん の人無きを ふ。 て、 て、 し。 は、 えて一語の かれ を貶する無し。大いに是れ怪しむべし。 家。 き。 も。 ま。 貽( )。 贈り物。 男女が互いに物を贈って交際を結ぶこと。 ◯悦懌=よろこぶ。 ◯軽忽=軽々しくお座なりな態度をとる。 ◯鏡奩=鏡匣。 かがみばこ。 ・ 情 ]「 」。 は。 束。 名。 名。 この。これら。◯罅漏=欠けたところ。物事のすきま。 現代語訳   小万(新橋)   は、 ろ、 る。 ば、 がたき か、 う。 で、 が、 貌の芸者の多くは軽佻浮薄であり、 そうでなければ、 傲慢で金に汚い。 が、 ぶ。 が、 く、 で、 だ。 が、 て、 が、 を軽率にあれこれ言うのは、如何なものか。    鏡箱の鏡は、光があたると輝いて塵ひとつない    聞くところでは仙界の男女の情もまた真実だという    この美女が月の世界に行ってしまえば    人界には美人がいなくなってしまうことを恐れるのみだ う。 く、 尽、 る。 ど、 い。 これはどういうことだ。 頭評 ①冩出何等霊妙 写し出して何等の霊妙

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成蹊人文研究   第二十四号(二〇一六) 現代語訳 (いわゆる美人のことを)写し出して何というすばらしさ。   阿貞(新橋) 阿貞、 籍を掲ぐるの初め、 名声甚だ微なり。余、 一日、 平井氏を過ぎ、 る。 ば、 り。 時、 ふ、 と。 いくばく ず、 にわか さわ ぐ。 ふ、 万・ と。 余、 す。 ば、 み。 は、 り。 余、 いぶか る。 友、 く、 るなかれ。 それ伯楽一顧すれば、 則ち駑馬も亦千里の名を得ん。 貞や、 り。 子、 て、 知らず。何ぞ其れ迂なるや」と。余、 釈然として悟る。古人云ふ、 「士 と。 余、 く、 は己を愛する者の為に貴し」と。未だ知らず、当否如何を。    縦然草木竟無心      草木   竟に心無きも    應謝東君寵眷深    応に謝すべし   東君   ちようけん の深きを    自春風入南畝    一たび   春風の南畝に入りしより      菜花忽地化黄金    菜花   に黄金に化す 評に云ふ。 趙端々は奇醜の名。 曲中に噪ぐ。 名人の一詩を得て、 其の価、 し。 も、 妓。 評、 にして過直なり。 る。 か。 「 平 」。 現。 け、 か。 ま。 供。 も、 し。 で、 で、 孫、 陽。 馬。 て、 ま。 =『 伝・ 譲「 」。 方。 る。 い。 じ。 神。 と。 地。 ちまち。 ◯趙端端=未詳。 ◯曲中= の中。 ここでは、 新橋の花街。 は、 国・ 地・ 称。 曲。 と。 と。 ◯呵呵=大声をあげて笑うさま。 現代語訳   お貞(新橋)   は、 た。 は、 日、 ろ、 く、 た。 の、 と、 た。 その頃は、 こいつは売れっ子にはならないなと、 何となく思っていた。 ところが、 いつの間にか、 お貞の名前をあちこちで聞くようになって、 と、 う。 て、 ら、 い、

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高橋昭男   成島柳北『新柳情譜』初編評釈 か。 だ。 か、 た。 と、 鹿 は、 い、 ラ、 う。 ば、 と。 が、 よ。 で、 す。 は、 と。 ど、 か、 た。 た。 と。 て、 己を愛する者の為には、 貴いものになるのだ」と。さて、 これが当っ ているかどうかは、何とも言えないが。 たとえば草木に当然のことながら心がないとしても う、 さるのを いったん春風が田畑に吹き込んでくると 菜の花畑があっという間に黄金色になっていく う。 は、 で、 であった。ところが、 さる高名な人が、 この妓女を詩に詠んだとたん、 う。 が、 柳北君の品評には、 事実に反するところがあり、 言い過ぎではないか。 ハッハッハ。 頭評 ①不直道破將妙喩來隠々着意何等巧致漁史眞妙人也哉 ず、 る。 意、 致。 史は真の妙人なるか。 ②着眼第三句 第三句に着眼せよ。 す。 ず、 さま。◯着意=着想。◯妙人=すぐれた人。 現代語訳 ず、 る。 想、 巧。 そ、 筆と言えるだろう。 ②第三句は注目に値する表現だ。 【第六十九号】   小松(新橋) 仙、 り、 ふ、 艶、 露、 と。 今、 の紅裙、 能く一個の濃の字に あたり 得る者、 独り、 小松有るのみ。遊客、 し、 ば、 し。 松、 り。 蒸、 は、 ゝ、 いずく

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