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「公益性」概念と結社の自由 (1) : 「公益法人」制度改革を素材として

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「公 益 性 」 概 念 と結 社 の 自 由(1)

公益法人」制度改革を素材 として

大 隈 義 和

目 次 は じめ に 一 公益 法 人 制度 改革 の概 要 と運 用 の 実 態 (1) 公 益 法 人 制度 の概 要 (2) 公 益 法 人 の 認定 ・認 可 に伴 う効 果 (3) 運 用 の 状 況 二 公 益 法 人制 度 改革 と憲 法 問 題 (1) 公 益 法 人制 度 立 案 段 階 にお け る論 議 (2)憲 法 学 に お ける反 応 (以上 、 本号) 三 「公 益 」 概 念 の多 義 性 と多機 能性 一 公益 法 人制 度 改 革 に即 して(以 下 、 仮 題) 四 「結 社 の 自由」 論 の 再検 証

は じめに

表 題 表 示 部 分 の うち 「公 益性 」 をめ ぐる問題 は、 学 問分 野 を憲 法 学 の 関係 に 限定 す る と して もなお 多 岐 に わ た る領 域(な い し項 目)で 解 明 すべ き課 題 を 内包 して い る。 先 ず は、 そ れ は 「法 学 」 全 般 を 舞 台 とす る 「公 共 性 の法 と して の 公 法 」(1) (1)手 島 孝 『学 と し て の 公 法 』29頁 。 同 書 第2章 標 題 か ら と っ た も の で 、 同 書 で は 「新 ・ 公 私 二 分 論 」 が 説 か れ て い る(39頁 以 下)。

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182 京女 法学 第1号 に 関 わ る文 脈 で登 場 す る。「公法 と私 法 」二分 論 の 一つ の基 準 と して現 れ る「利 益 説 」の場 合 が そ れ で あ り、そ の よ う に解 す る 限 りで は 「公 共性 」概 念 は 「公 益 性 」 と同 義 とす る こ とが で き よ う。 また 、 こ こで は 「公益 性 」 に 限定 す る との結 論 先 取 りの点 に 関 わ り、 そ の 概 念 を 「公益 性 」 な らぬ 「公 共性 」(公 益 性 の 意 味 を含 め る概 念 と しての 「公 共 性 」)に 拡 張 して捉 え れ ば 、 憲 法学 に とっ て の 根 本 問 題 と もい い う る 「憲 法 の公 共 性 」 との接 点 も視 野 に入 っ て こ よ う。 こ こで は、 こ の 「憲 法 の公 共 性 」 の概 念 を も つ て論 じ られ る射 程 に は 「憲法 を創 出す る権 力 」(憲 法 制 定 権 力)の 議 論 まで 含 まれ て お り、 そ の うえで 「憲 法秩 序 の公 共 的 な正 統 性 を 保 障 す る もの 」 を 問 い、 「立 憲 主 義 が 法 の 支 配 の 理 念 の 欺 購 な き貫徹 で あ る こ とは いか に して 可 能 か 。 憲 法 を創 出 し具 体 化 す る政 治 的決 定 が 二 階 の公 共 性 と して の正 統 性 を もつ こ とに よっ て。」 と結 論 づ け られ るの だ か らで あ る(2)。 「公 益 性 」 概 念 を 「公 共 性 」 に拡 大 して 捉 え る仕 方 に よれ ば 、 議 論 は以 上 の よ うな基 本 的問 題 に と どま らな い。 憲 法 学 にお け る基 本 的 人 権 保 障 の限 界 に関 す る議 論 に 目 を転 ず れ ば、 「公 益 性 」 の概 念 につ い て 「公 共 の福 祉 」論 との接 点 にあ るそ れ と して 問題 性 が 浮 か び上 が る。 そ れ は、教 科 書風 にい えば 、基 本 的 人権 の制 約 原 理 と して の 「公 共 の福 祉 」 論 の展 開 の流 れ、 す な わ ち、 現 行 憲 法制 定 当初 の、 「『公益 』 とか 「公 共 の福 祉 』 とい うよ うな、 抽 象 的 な最 高 概 念 と して捉 え(る)」 一 元 的外 在 制 約 説 と内在 ・外 在 二 元 的制 約 説 の対 立 を経 て、従 来 通 説 的 地 位 を 占め る こ と とな っ た 一元 的 内在 制 約 説 、 さ らに はそ の 線上 で こ れ の研 磨 ・発 展 に努 め る 「二 重 (2)井 上 達 夫 「憲 法 の 公 共 性 は い か に して 可 能 か 」(『立 憲 主 義 の 哲 学 的 問 題 地 平 』岩 波 講 座 ・ 憲 法1所 収)302∼307頁 、323頁 、328頁 。 な お 、 井 上 論 文 の 結 論 に は さ ら に 「そ れ は い か に し て 可 能 か 」 とい う重 要 な論 及 が 続 くが 本 稿 で は 省 略 して い る 。

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の基 準 」 論 へ の対 応 の仕 方 の なか で 顕在 化 す る こ と とな る(3>。 この点 につ い て は、 さ らに近 年 、 有 力 な 問題 提 起 と検 討 の 仕 方 を提 示 す る 長 谷 部 説 が 、 「公 共 の福 祉 を実現 し よ う とす る 国家 権 力 が個 人 の行 動 の 自 由 の制 約 を通 じて 、 そ の 目的 を達 す る もの で あ る以 上 、 公 共 の福 祉 に 関す る諸 学 説 は、 そ もそ も国家 権 力 ない し国家 の権 威 の正 統 性 根 拠 を問題 にす る もの で もあ る」 との 前 提 に発 して、 国家 権 力 の正 統 性 の 限界 と人権 の 限界 を独 立 に検 討 す る と い う立 論 か ら、 公 共 の福 祉 を前 者 の 問 題 と して 論 ず る と共 に、 社 会 全 体 の利 益 と して捉 え て 「国 家権 力 の 内在 的 限界 と して の 公共 の福 祉 」 論 を展 開す る(4)。 こ の理 論構成 につ いて は高橋 説 に よる疑 念 の提 起 もあ るが 、 ここで は 「公 共 の福 祉 」 の 概 念 が 公 益 ない し 「社 会 全 体 の利 益 」 と して 立 論 の核 心 を 占め て い る こ と を確 認 してお け ば よい。 ま た、 この よ う に 「公益 」 を前 面 に 出す 議 論 が 個 別 人権 との 関係 で も狙 上 に上 って くる こ と も想像 に難 くな い。 こ こで は 本稿 で 取 り上 げ よ う とす る 「公 益 」概 念 の 側 面 とは一 致 しない が 、 樋 口教 授 の 「憲 法 に と って の経 済 秩 序 」 と題 す る論 文 か ら以 下 の よ う な一 文 のみ を切 り出 す こ とで この こ と を確 認 す る こ と と した い(5)。 す な わ ち、 「そ う い う事 態 に対 す る対 応 と して、 一方 で、 戦 後 憲法 お よび 憲 法 学 の傾 向 に批 判 的 な側 か らは、 改 憲 の 主 張 が あ る。29条2項 に出 て くる (3)芦 部 信 喜(高 橋 和 之 補 訂)『 憲 法 ・第 五 版 』(2011年)99頁 以 下 。 これ 以 後 の 、 一 元 的 内 在 制 約 説 批 判 に 関 わ る 流 れ に つ い て 、 巻 美 矢 紀 「第12章 個 人 と し て の 尊 重 と公 共 性 」(安 西 文 雄 他 『憲 法 学 の 現 代 的 論 点(第2版)』 所 収 、2009年)283頁 以 下 。 (4)長 谷 部 恭 男 『憲 法 ・第3版 』(2004年)ll4∼119頁 。 (5)樋 口 陽 一 「憲 法 に と っ て の 経 済 秩 序 一 規 範 形 式 と 規 範 内 容 か ら見 て 一 」(『季 刊 ・企 業 と法 創 造 』6巻4号 、2010年2月 、 所 収)18∼19頁 。 本 文 中 の 引 用 箇 所 は こ れ の み で は 意 味 が 取 り に くい た め そ の 文 脈 を補 足 し て お き た い 。 こ の 論 文 は タ イ トル に あ る テ ー マ に つ い て 、 公 法 ・私 法 二 元 論 の 背 景 に 公 私 一 元 秩 序 が あ っ た と い う母 斑 の 心 得 を前 提 と し、規 範 形 式 論 、つ い で 「競 争 」 を 鍵 概 念 と して 規 範 内 容 と そ の 動 揺 を傭 鰍 し、 そ の う え で 「そ う い う事 態 に 対 す る対 応 と して 」 で て く る 改 憲 の 主 張 に 関 す る 箇 所 で あ る 。

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184 京 女法 学 第1号 『公 共 の福 祉 』を 『公 共 の利 益 』に変 え よ う とい う主 張 が、一つ の典 型 であ り、 競 争 制 限型 の 社 会 的 介 入 を端 的 に否 定 しよ う とす る。 … …別 の 『経 済 学 的 知 見 』 か らす る と、 競 争 とい う観 念 が十 分 に憲 法 学 に 、典 型 的 に は29条2項 が ネ ック に な っ て導 入 され て い ない、 とい う見 方 が 成 り立つ で あ ろ う。」 と。 この指 摘 の 後 半 部 部 分 は 、 「経 済学 的知 見 が 法律 に十 分 に反 映 され て きた とは言 え ない 」 とい う認 識 へ の対 応 部 分 で あ るが 、 と もあ れ こ こで も触 れ ら れ る とお り 「公 益 」 概 念 は憲 法学 に とって あ らた め て押 さえ直 してお くべ き 重 要 な論 点 とい え よ う。 こ の よ う な問 題状 況 に関 し、本 稿 の テー マ に即 して 「公 益 法 人」 との 関 連 で触 れて お け ば、 この と ころ よ うや く憲 法 学 も関 連す る 問題 の生 起 に合 わ せ て 当 然 なが ら一 定 の 限 度 で これ につ い て学 界 と して も意 識 す る に至 っ て お り、 憲 法 辞 典 に も 「公益 」 ない し 「公 益 法 人 」 の概 念 へ の言 及 が み られ る状 況 に あ る。 す な わ ち、 これ まで 、 結社 の 自由 をめ ぐる領 域 で、 と りわ け 団体 の強 制 設 立 ・強 制 加 入 制 と関 わ り、 団体 が そ の 目的 実現 の た め必 要 な範 囲 で 団体 の 決 定 を強 制 す る とい う こ と とそ の こ とが 構 成 員 の権 利 ・自由 と矛 盾 ・衝 突 す る 可 能 性 を有 す る とい う こ と との調 整 問題 と して 、 団体 の 目的 ・性 格 ・機 能 を 考 慮 して団 体 の 目的 の 範 囲 を考 え る とい う仕 方 が展 開 され て きた。 そ して 、 この 文 脈 の 中 で 、前 記 の事 典 の 説 明 を借 りれ ば 「学 説 ・判 例 は営 利 法 人(団 体)に つ い て は 目的 の範 囲 をか な り広 範 に解 し、公 益 法 人(団 体) に つ い て は公 益 目的 の実 現 とい う観 点 か ら 目的 の 範 囲 を厳 格 に解 して い る」 こ とが 確 認 され る(6)。 本 稿 の 目的 は、 副 題 に も示 した とお り、 この よ うに さ まざ まな場 面 で さ ま ざま な仕 方 で 用 い られ る 「公益 」 性 に関 わ る問 題 の 中 か ら、 今 般 行 われ た 百 年 に一 度 とい う 「公益 法 人 」 に関す る法 制 度 の 改 革 と現 在 進 行 中 の 同制 度 の 運 用 状 況 を視 野 に入 れ て、 「公 益 」 概 念 が多 義 的 で あ る こ と とそ の機 能 の あ (6)杉原泰雄編 『新版 ・体系憲法事典』(執筆=松 田浩、2008年)540∼541頁

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り方 の一 端 を確 認 す る と と もに 、 公益 法 人改 革 が 「結社 の 自由 」 の構 造 的 理 解 の 仕 方 に及 ぼす 影響 如何 を探 る こ とに あ る。 そ こで 、 本稿 一 で は 、公 益 法 人改 革 の概 要 と本稿 テ ー マ に関 す るそ こで の 議 論 の あ り様 を取 り上 げ る こ と とす る。 一 公 益 法 人 制 度 改 革 の 概 要 と 運 用 の 実 態 (1)公 益 法 人 制 度 改 革 の 概 要 わ が 国 に お け る 法 人 制 度 は 、 明 治29年 制 定 の 民 法 が 規 定 す る と こ ろ に 始 ま る 。 爾 来 今 日 ま で 百 年 の 長 き に わ た り当 初 所 定 の 制 度 が ほ ぼ 原 形 の ま ま 維 持 さ れ て き た 。 す な わ ち 、平 成16年 に 現 代 語 化 で 整 理 さ れ る 以 前 の 規 定 に よれ ば 、 法 人 の 成 立 を 法 律 の 規 定 に よ る こ と と し た う え で(改 正 前 旧 法(以 下 、 旧 法 と い う)33条)、 「祭 祠 、 宗 教 、 慈 善 、 学 術 、 技 芸 其 他 公 益 二 関 ス ル 社 団 又 ハ 財 団 ニ シ テ 営 利 ヲ 目 的 トセ サ ル モ ノ ハ 主 務 官 庁 ノ 許 可 ヲ得 テ 之 ヲ法 人 トナ ス コ トヲ 得 。」(同 法34条)と さ れ 、 「社 団 法 人 又 ハ 財 団 法 人 二 非 ザ ル モ ノ ハ 其 名 称 中 二 社 団 法 人 若 ク ハ 財 団 法 人 ナ ル 文 字 又 ハ 此 等 ト誤 認 セ シ ム ベ キ 文 字 ヲ 使 用 ス ル コ ト ヲ得 ズ 。」(同 法34条 ノ2)と さ れ て き た が 、 今 般 の 制 度 改 革 に 向 け て 立 ち 上 げ ら れ た 「公 益 法 人 制 度 改 革 に 関 す る 有 識 者 会 議 」 資 料 掲 載 の 時 点(平 成14年10月1日 現 在)で 社 団 法 人 と 財 団 法 人 の 数 は 合 計 で26,043を 数 え て い る(7)。 こ う し た 公 益 法 人 制 度 の 展 開 の な か 、21世 紀 に 至 り、 「個 人 の 価 値 観 が 多 様 化 し、 社 会 の ニ ー ズ が 多 岐 に わ た り、 政 府 や 市 場 だ け で は 様 々 な 課 題 に 十 分 に 対 応 す る こ と が 難 し く な っ て い る 」 と の 認 識 か ら、 「民 間 非 営 利 活 動 を 我 が 国 社 会 ・経 済 シ ス テ ム の 中 で 積 極 的 に位 置 付 け 、 そ の 活 動 を 促 進 」 す る (7)公益 法 人制 度改 革 に関す る有 識 者会 議 ・第1回 有 識者 会議(平 成15年ll月28日 、 以下 有 識 者 会 議 と略記)資 料 。(行 政 改 革 推進 事 務 局 ホ ー ムペ ー ジ(201!年6月27日)の 下記 ホ ー ムペ ー ジに よる。)(http://www.gyoukaku。go.jp/jimukyoku/koueki-bappon/ yushiki/yushiki.html)

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186 京女 法学 第1号 とと もに 、 「公 益 法 人 につ い て指 摘 され る諸 問題 に適 切 に対 処 す る観 点 か ら、 制 度 を抜 本 的 に見 直 」 す こ と(注 記(7)の 有 識 者 会 議 資 料 中 「公 益 法 人 制 度 の抜 本 改 革 の イ メ ー ジ」図 よ り)が は じめ られ た 。 この た め に設 置 され た 「公 益 法 人 制 度 改 革 に 関 す る有 識 者 会 議 」 の 『報 告 書 』 の言 を借 りれ ば 「政 府 部 門や 民 間営 利 部 門 に比 べ 未 だ基 盤 が 脆 弱 な民 間非 営 利 部 門 に よ る 自発 的 で 多 様 な法 人活 動 を容 易 にす る と と もに、 民 間非 営 利 部 門 に よ る公 益 的 な法 人 活 動 の 発展 を促 進 す る た め の新 た な仕 組 み が 求 め られ て い る」 こ と に対 応 した のが 、 今 般 の有 識者 会 議 の 「現 行 の公 益 法 人制 度 に代 わ る新 た な仕 組 み の あ り方 につ い て の提 案 」 で あ り、 公 益 法 人 改 革 で あ る(8)。 あ らた め て 『報告 書 』 の基 本 認 識 を確 認 す れ ば、 そ れ は、 従 来 の公 益 法 人 制 度 の あ り方 につ い て指 摘 され て きた問題 点一 「① 主 務 官 庁 の 許 可 主 義 の下 、 裁 量 の 幅 が 大 き く、 法 人 設 立 が簡 便 で ない 、② 事 業 分 野 毎 の主 務 官 庁 に よ る 指 導 監 督 が 縦 割 りで 煩雑 、③ 情 報 開示(デ ィス クロ ジ ャー)が 不 十 分 、 ④ 公 益i生の 判 断 基 準 が不 明確 、⑤ 公 益 性 を失 った 法 人 が公 益 法 人 と して存 続 し続 け る、 ⑥ ガバ ナ ンス(法 人 の管 理 運 営 の あ り方)に 問題 が あ る」 とい う指 摘 一 に 「適切 に対 処 しつ つ 、公益性 を各主務官庁 が 自由裁量 に より判 断す る現 行 の仕 組 み か ら転換 を図 る」 た め に 「民 意 を反 映 して公 益 性 を縦 割 りで な く 統 一 的 に判 断 す る透 明性 の 高 い新 た な仕 組 み を構 築 す る こ とに よ り」 民 間非 営 利 部 門 の公 益 的 活 動 の 健 全 な発 展 と活 力 あ る社 会 の 実 現 を 目指 す こ とに あ っ た。 そ して 、 この こ とか ら、基 本 方 針 と して掲 げ た の が、 ① 創 意 に基 づ く幅広 い 活 動 を促 進 す べ く法 人格 の取 得 と公益 性 の判 断 を分 離 し、準 則 主 義 (登記)で 簡 便 に設 立 で き る一 般 的 非 営 利 法 人 制 度 を創 設 す る こ と、 ② 上 記 で設 立 され る一 般 的 非 営 利 法 人 の うち一 定 要件 を満 た す もの を 、公 益 性 を有 す る法 人 と し、新 た な主 体 が判 断す る仕組 み を創 設 す る こ と、で あ っ た(『 報 告 書 』3∼4頁)。 そ して、 この 方 針 に した が い 一般 的非 営 利 法 人 制 度 にお け る法 人類 型 と し (8)公益法人制度改革に関す る有識者会議 『報告書』(平成16年11月19日)1∼2頁 。

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て社 団 形 態 の そ れ と財 団形 態 のそ れ の設 置 が 提 案 され る と と もに(『 報 告 書』 5∼12頁)、 「公 益 性 を取 り扱 う仕 組 み の あ り方 」 と して、 「公 益 性 を有 す る に相 応 しい規 律 の しっか り した法 人 の 受 け皿 と なる透 明性 の 高 い 仕 組 み 」 の 構 築 、 「ガバ ナ ンス の 強化 を通 じた社 会 監 視 の 充 実 を 図 る」 こ と、 「判 断 主体 が 的確 な事 後 チ ェ ック を行 うこ とに よ り、 公 益性 を有 す る法 人 の 適 正 な運営 を図 るべ き」 こ と、 が 提 示 さ れ、 判 断 主体 と して は、 「受益 者 等 国 民 の意 向 を適切 に反 映 しつ つ 、現 在 の主 務 官 庁 か ら独 立 か つ 中立 的 に判 断 を行 い得 る」 組 織 と して、 「現 在 の 主務 官 庁 か ら中立 的 に 判 断 を行 い得 る特 定 の 大 臣 の下 に、民 間有 識 者 か らな る合 議 制 の 委 員 会 を設 置 す る もの と し、 当 該 委 員会 に お い て 法 人 の 公益 性 の判 断 を実 質 的 に行 い 、 当 該 委員 会 の意 見 に基 づ き、 当 該 大 臣 が必 要 な措 置 を とる こ と とす るの が 適 当 で あ る」 とされ た(『 報 告 書 』 13頁)。 ま た、 この判 断 主体 につ い て、 一 定 の 地域 を拠 点 と して 活 動 す る法 人 に 関 して は 「受 益 者 との 関係 も勘 案 し、 原則 と して、都 道府 県 に 国 に準 じ た組 織 と機 能 を有 す る判 断 主 体 を設 置 して 、住 民 の考 え を適切 に反 映 しつ つ 、 公 益 性 の判 断 等 の取 扱 い を行 う こ とが 適 当 で あ る」とさ れた(『報 告書 』14頁)。 こ う して、 二 つ の法 人類 型 を有 す る非 営利 法 人制 度 に関 して 「公 益 性 を有 す る に相 応 しい規 律 の しっか り した 法 人 の 受 け 皿 とな る透 明性 の 高 い仕 組 み の構 築 」 の必 要性 が 「判 断主 体 の あ り方 」 と 「判 断要 件 のあ り方 」 の二 つ の 観 点 か ら提 言 され る こ と とな る(『 報 告 書』13頁 以 下)が 、 前 者 につ い て は 上 記 の とお お りで あ る の で、 以 下 で は後 者 の 「判 断要 件 」 につ い て 略述 して お こ う。 「判 断 要 件 」 に つ い て は、 判 断 主 体 の 主 た る機 能 と して 「法 人 の 公 益 性 に 係 る判 断 」、 「い わ ゆ る事 後 チ ェ ック(監 督)」、 「不 服 申 し立 て の 処 理 」 が 意 識 され て い る と ころ、 これ を うけ て 事後 チ ェ ック の点 も含 め て16頁 に わ た る 詳細 な提 言 が な され て い る(『 報 告 書』14頁 ∼29頁)。 そ れ に よ れ ば、 そ の提 言 は 、 「公 益 性 を有 す る法 人 の 目的 は 、積 極 的 に不 特 定 多 数 の 利 益 の 実 現 を基 本 とす る こ とが 適 当 」 な こ とか ら、 「不 特 定 」 の

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188 京 女法 学 第1号 範 囲 につ い て 「受 益 の 及 ぶ 範 囲 」 や 「共 益 の 取 り扱 い」(公 益 と共 益 の 差 異) を意 識 し、 事 業 規模 と して は 公益 事 業 の規模 が 法 人 の過 半 を 占 め る とい った 要件 か ら株 式 保 有 制 限 や 事 後 チ ェ ック の あ り方 まで多 岐 に わ た る言 及 とな っ て い る。 上 記 の よ う に従 来 の公 益 法 人 の あ り方 へ の 反 省 ま で踏 ま え な が ら、 また 、 そ の判 断 要 件 につ い て も規 制 の行 き過 ぎを抑 える こ とに 目配 り しなが ら、「報 告 書 」 は これ らへ の 点検 に努 め て い るが 、 そ の うえ で、 今 般 の制 度 改 革 中特 に重 要 な意 味 を もつ もの と して 、新 た な判 断 主体 の 果 たす 役 割 、 あ り方 と し て 「独 立 性 ・中立性 を重視 し」 た新 しい姿 を呈示 して い る(『 報 告 書 』34頁)。 なお 、 この 判 断 主体 に関 わ っ て、 地 方 自治 体 版 の 「判 断主 体 」 設 置 の 必 要 性 に言 及 の あ る こ と も こ こで あ らた め て確 認 して お こ う。 以 上 の よ う な報 告 を受 け て新 た な制 度 の基 礎 づ け と して結 実 したの が 「公 益 法 人 制 度 改 革3法 と施 行令 ・施行 規 則 」 で あ る(9)。 (2)公 益 法 人 の認 定 ・認 可 に伴 う効 果 次 に、 有 識 者 会 議 等 で と りあ げ られ た改 革 をめ ぐる さま ざ ま な議 論 につ い て は二 の項 目で 必 要 に応 じて取 り上 げ る こ と と し、 こ こ で は公 益 法 人 として の認 定 ・認 可 を受 け る こ と に よ り生 じる効 果 につ い て簡 単 に確 認 してお きた い 。 有 識 者 会 議 『報 告 書 』 に よ れ ば 、 一 般 的 に は 、 ま ず 、 「公 益 性 を 示 す 何 ら (9)3法 そ の他 の施 行 令等 とは、 「一 般社 団法 人 及 び一般 財 団法 人 に関 す る法律 」(平 成18 年 法律 第48号 ・一 般社 団 ・財 団 法人法)、 「公益 社 団法 人 及 び公益 財 団 法人 の認 定等 に 関 す る法律 」(平 成18年 法 律 第49号 ・公益 法 人認 定法)、 及 び 「一 般 社 団法 人及 び 一般 財 団法 人 に関 す る法律 及 び公 益社 団法人 及 び公益 財 団法 人 の認 定等 に関す る法 律 の施 行 に伴 う関係 法律 の 整備 等 に 関す る法律 」(平 成18年 法律 第50号 ・整 備 法)[括 弧 内 は い ずれ も本稿 及 び以下 の記 述 で の略称]及 び、一 般社 団 ・財 団法 人 に 関す る法律 施 行 令(平 成19年 政 令 第38号)、 同施 行規 則(平 成19年 法 務省 令 第28号)、 公益 法人 認 定法 に関 す る施 行 令(平 成19年 政令 第276号)、 同 施 行 規則(平 成19年 内 閣府 令 第68号)、 整備 法 に関す る法 律 施行 令(平 成19年 政 令277号)、 同施 行規 則(平 成19年 内 閣府令 第 69号)で あ る。 以上 、 『公 益 認定 ・認可 関係 資料集 』(内 閣府 ・平 成20年11月)に よ る。 なお、 『分 か りや す い3段 対照 ・公益 法 人制 度改革3法 と施 行令 ・施行 規則[第2版]』 まえが き(2008年)も 参 照。

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か の 呼称 の使 用(こ こ で は 「公 益 法 人 」 の こ と=筆 者)を 当該 法 人 に認 め る こ と に よ り」、 法 人 の社 会 的 信 用 力 が 増 し、 法 人 が 寄付 や 労 務 提供 を とお し て 目指 してい るそ れ ぞ れ の活 動 の促 進 に役 立 つ であ ろ う とい う こ とが 挙 げ ら れ る。 次 に、 公 益 法 人 は 「必 要 な ガバ ナ ンス ・規 律 の確 保 、 判 断 要件 の遵 守 等 を 通 じて、 しっか り した規 律 を確 保 す る義 務 を負 う こ とに よ り、 呼称 の使 用 と 相 侯 っ て、 社 会 的 信 用 が 高 ま り、 寄付 や労 務 提 供 を通 じて そ の促 進 に資 す る と考 え られ る。」 ま た、 現 行税 制 にお け る公益 性 な どを理 由 とす る税 法 上 の優 遇 措 置 にか か わ り、 「新 た な 非 営 利 法 人制 度 の 基 本 枠 組 み が 具 体 化 され た 上 で、 所 管 省 に お い て専 門的検 討 が 進 め られ る こ と とされ て い る。 なお 、 そ の際 に は、 民 間 非 営 利 部 門 に よ る公益 活 動 の健 全 な発 展 を促 進 す る等 の観 点 か ら、 新 た な非 営 利 法 人 に対 す る税 制 上 の取 扱 い につ い て専 門 的検 討 が進 め られ る こ とが重 要 で あ る との 意見 が あ っ た 」 と され た と こ ろで あ る 。 この ほ か 、判 断 主体 が 、情 報 開示 事 項 に関 す るデ ー タベ ー ス を国 民 一般 に 公 開 し情 報 提 供 をす る こ とや、 公 益 性 を有 す る法 人 の運 営 等 につ い て相 談 ・ 助 言 す る こ と等 の 問 題 が 意 識 され て い るが(以 上 、29頁)、 以 下 で は、 内 閣 府 公 益 認 定 等委 員 会 か ら公 表 され た 「新 しい 公益 法 人 制度 に係 る質 問へ の 回 答 」(FAQ)(平 成20年5月22日 現 在)に よ り公 益 社 団 ・財 団法 人 の メ リ ッ トとデ メ リ ッ トにつ い て い ます こ し具体 的 にみ て お こ う(lo)。 この場 合 、公 益 法 人 の特 徴 を浮 か び上 が らせ る た め に用 い られ る比較 の対 象 は一 般社 団 ・財 団法 人 で あ る。 内 閣 府公 益 認 定 等 委 員 会 が公 表 した 頻 繁 に尋 ね られ る 質 問(FAQ)と し て 、 これ ら一 般 法 人 と公 益 社 団 ・財 団 法 人 の違 い 、 また、 そ れ ぞ れ の メ リ ッ ト ・デ メ リ ッ トは何 かが あ るが 、 これ に対 す る 一・般 的答 と して、 以 下 の3点 (io)前掲(註9)全 国 公 益 法 人 協 会 『分 か りや す い3段 対 照 公 益 法 人 制 度 改 革3法 と施 行 令 ・ 施 行 規 則[第2版]』 所 収 の 資料4(同 書465∼537頁)に よ る 。

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190 京 女 法学 第1号 が 挙 げ ら れ て い る 。 第 一 は 、 従 来 の 公 益 法 人 許 可 制 度 で 一 体 と して 扱 っ て い た 法 人 の 設 立 と公 .益1生の 認 定 に つ い て 今 次 改 革 で は 両 者 を分 離 し、登 記 の み で で き る 一 般 社 団 ・ 財 団 法 人 の 制 度 を 創 設 す る と と も に 、 こ れ らの う ち 公 益 目 的 事 業 を 行 う 法 人 は 公 益 認 定 を 受 け る こ とが で き る こ と と し、 こ れ を 公 益 社 団 ・財 団 法 人 と呼 ぶ こ と、 第 二 に 、 両 者 の 違 い は(公 益 性 を 有 す る も の と し て)公 益 認 定 を 受 け て い る か ど う か と い う こ と に あ る こ と、 した が っ て 、 第 三 に 、 実 体 面 の 相 違 と し て 、 法 人 の 規 模 、 事 業 な ど に よ り差 異 は あ る と して も 一 般 論 と し て そ の メ リ ッ ト・デ メ リ ッ ト と し て 次 の 二 点 、 す な わ ち 、 法 人 形 態 の 選 択 と 向 き ・ 不 向 き と い う視 点 か ら、 ① 公 益 社 団 ・財 団 法 人 は 行 政 庁 の 監 督 の も と で 税 制 上 の 優 遇 措 置 を 受 け な が ら主 と して 公 益 目 的 事 業 を 実 施 し て ゆ き た い 法 人 が こ れ を選 択 す る の に 向 い て い る(場 合 が 多 い)こ と、 ② 一 般 社 団 ・財 団 法 人 は 、 比 較 的 自 由 な 立 場 で 、 非 営 利 部 門 に お い て 可 能 な 範 囲 で 公 益 目 的 事 業 を 含 む 様 々 な 事 業 を し て ゆ き た い 法 人 が 選 択 す る の に 向 い て い る こ と、 が そ れ で あ る(11)。 な お 、 さ ら に 詳 し く比 較 事 項[(a)成 立 ・認 定 の 要 件 、(b)実 施 で き る 事 業(c)遵 守 事 項 、(d)監 督 、(e)税 制]を あ げ て の 対 照 さ れ た 特 徴 ・ 差 異 も こ のFAQに 掲 載 さ れ て い る が こ こ で は こ れ を 比 較 事 項 に即 し て 略 述 の う え確 認 し て お こ う。 そ れ に よ れ ば 、 平 成20年5月22日 現 在 の こ と と し て 、 こ の 比 較 事 項 に 応 じ て 、 一・般 社 団 ・財 団 法 人 は 、(a)設 立 登 記 に よ る こ と 、(b)適 法 で あ れ ば 条 件 な し 、(c)一 般 社 団 ・財 団 法 人 法 の 規 律 の み 、(d)業 務 ・運 営 に つ き 一 律 的 監 督 な し、(e)一 部 一 般 社 団 ・財 団 法 人 に つ き収 益 事 業 の み に 課 税 な ど の 措 置 が 定 め られ る 見 込 み 、 と さ れ て い る 。 こ れ に 対 し て 、 公 益 社 団 ・ 財 団 法 人 は 、(a)公 益 法 人 認 定 法 第5条 の 認 定 基 準 に 適 合 し、 同 法 第6条 の 欠 格 事 項 に 該 当 し な い こ と、(b)適 法 で あ れ ば 制 限 は な い が 、 公 益 目 的 ⑪ 前 掲(註10)、 「資料4」468頁 。

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事 業 を費 用 で計 っ て50%以 上 の 比 率 で 実施 す る必 要 の あ る こ と、(c)一 般 社 団 ・財 団 法 人 法 の規 律 に加 え て、 収 支 相 償 、 公 益 目的 事 業 比 率50%以 上 、 遊 休 財 産 規 制 、 一 定 の 財 産 の 公益 目的事 業 へ の使 用 ・処 分 、 理事 等 報 酬 の支 給 基 準 の公 表 、財 産 目録 の備 置 き・閲覧 ・行 政 庁へ の提 出等 、(d)行 政 庁(委 員 会)に よる報 告 徴 収 、 立 入 検査 、勧 告 ・命 令 、 認 定 の取 り消 しあ り、(e) す べ て の公 益 社 団 ・財 団 法 人 が特 定 公益 増 進 法 人(当 該 法 人へ の寄 付 につ き 寄 付 者 の税 制 上 の優 遇 措 置(損 金算 入等)が 認 め られ る法 人)と な り、 公 益 法 人 認 定 法 上 の公 益 目的 事 業 は 法 人税 法 上 の収 益 事 業 か ら除外 され、 非 課 税 に な る な どの措 置 が 定 め られ る見 込 み 、 と されて い る。 結 局 、 上 記 「資 料4」 に よ れ ば 、 「民 間 非 営 利 部 門 にお い て 『民 に よ る公 益 の増 進 』 に寄 与 して い こ う とす る 団体 に とって 、 い ず れ も有 力 な選 択 肢 に な る もの と考 え」 られ て い るの で あ る(12)。 (3)運 用 の 状況 前 項 一(1)で 触 れ た 公益 法 人制 度改 革3法 と施 行令 ・施行 規 則(註9参 照)は 公 布 の 日か ら起算 して2年6月 を超 え ない 範 囲 内 の 政令 で定 め る 日か ら施 行 す る とされ た こ とか ら、 同3法 等 は平 成20年12月1日 が施 行 日 とな っ た。 本 制 度 は、 爾 来2年6カ 月 の 間 この制 度 の運 用 をみ て い るが、 国 につ いて 設 置 され た公 益 認 定 等 委 員 会(平 成19年4月1日)は 別 と して都 道 府 県 に置 か れ る合 議 制 の機 関(各 県 そ れ ぞ れ に 呼称 は審 議 会 、委 員会 、審査 会 と異 な っ て い る)に お け る審 査 の 進捗 状 況 に つ い て は今 後 の 見 通 しは 別 と して現 在 の とこ ろ で は後 述 の とお り必 ず し もは か ば か し くは ない 。 と もあ れ、 従 来 の 公益 法 人 は営 利 を 目的 と しな い もの につ い て 旧民 法34条 に よ り法 人 格 を得 て い る と ころ 、今 次整 備 法 に よ り、 一 般社 団 ・財 団法 人 法 が 施 行 さ れ る と き現 にあ る法 人 は施 行 日以後 それ ぞ れ 一 般社 団 ・財 団法 人 法 の規 定 に よ る 「一 般 社 団 法 人 」 また は 「一般 財 団法 人 」 と して存 続 す る と と (12)前掲(註10)、 「資料4」468頁 の対照表による。

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192 京女 法学 第1号 もに(40条 第1項)、 そ の場 合 新 た な公 益 法 人 ま た は一般 社 団 法 人 ・一 般 財 団法 人へ の移 行 登 記 を しな い法 人 は特 例 社 団法 人 また は特 例 財 団 法 人 と して 一 般社 団 ・財 団法 人 法 第5条1項(名 称使 用)の 規 定 を適用 し ない こ と と さ れて お りこれ らの法 人 は5年 間 の移 行期 間満 了 時 に解 散 した もの とみ な され る こ とに な る。 ところ で 、 これ らの法 の 施 行 に関 わ って は、 国 の公益 認 定 等 委 員 会 が 法改 正 を受 け て議 事 録 ・資料 を公 開 の上 、11回 の審 議 の後 に答 申 を行 い 、 これ を 政 令 ・内 閣府 令 に結 実 させ た とこ ろで あ るが、 さ らに、 同 委 員 会 は平成19年 9月6日 以 降20回 の審 議 を重 ね 、 法 運 用 に 関 し よ り具 体 的 な 「公益 認 定 等 に 関す る運用 につ い て」(公益 認 定 等 ガ イ ドラ イ ン)を 取 り纏 め る と と も に、「法 人 の 行 う個 別 の事 業 が 『公 益 目的事 業 で あ る か どうか』 す なわ ち 『不 特 定 か つ 多 数 の者 の利 益 の増 進 に寄 与 す るか 』 の事 実 認 定 に当 た って の 留 意 点 と し て 『公益 目的事 業 の チ ェ ック ポ イ ン ト』 もガ イ ドラ イ ン と並 行 して 審 議 を取 りま とめ 」 て い る(13)。 そ して 、 これ らガ イ ドライ ン とチ ェ ックポ イ ン トの両 者 は、 以 下 で 取 り扱 うこ とと なる(本 制 度 に お け る)公 益 法 人 認 定等 の処 分 ・性 格 が 憲 法 問 題 と して の結 社 の 自由 と どの よ うな 関係 に あ る と考 え るべ きか の 考 察 に 際 して、 よ り具 体 的 な 制 度 の 姿 を呈 示 して見 せ る こ と とな る だ け に こ こ で この 両 者 に つ い て も簡 単 に確 認 して お く こ とに しよ う。 平 成20年4月(同 年10月 改 定)の 「公益 認 定等 に 関す る運 用 につ い て(公 益 認 定 ガ イ ドライ ン)」 は、 「公 益 法 人 認 定 法 第5条 等 につ い て(公 益 社 団 法 人 ・公 益 財 団 法 人 関係)」、 「整 備 法 第119条 に規 定 す る公 益 目的 支 出計 画 等 に つ い て(一 般 社 団 法 人 ・一 般 財 団法 人へ の移 行 関係 」 お よ び 「【参 考 】 公益 目的 事 業 の チ ェ ッ クポ イ ン トに つ い て」 か らな る。 この う ち 「公益 法 人認 定 法 第5条 等 につ い て」 は 同条 所 定 の 「法 人 の主 た る 目的 」(5条1号 関係)か ら 「財 産 の 贈 与 、帰 属 先 」(5条17号 、18号 関係) (13)前掲(註9)「 公益認定 ・認可関係資料集」は しがき。

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まで を中心 と した 考 え 方 を、整 備 法119条 の 公益 目的支 出計 画 等 につ い は 「公 益 目的 が 『適正 』 で あ る こ とにつ い て 」 や 「公益 目的支 出計 画 を確 実 に 実施 す る と見 込 まれ る こ とにつ い て」 を中 心 と した あ り方 を、 「【参 考 】公 益 目的 事 業 の チ ェ ッ クポ イ ン トにつ いて 」 は、 第 一 に 「公 益 目的 事 業 の チ ェ ッ クポ イ ン トの性 格 」、第 二 に 「『不 特 定 か つ 多 数 の者 の利 益 の増 進 に寄 与 す る もの』 の事 実 認 定 に 当 た っ て の留 意 点 」 を、 と くに後 者(第 二)に つ い て は① 事 業 区分 ご との公 益 目的事 業 のチ ェ ッ クポ イ ン ト、② 上 記 の事 業 区分 に該 当 しな い事 業 につ い て チ ェ ックす べ き点 を、 詳 し く案 内 して い る。 と もあ れ、 これ らの ガ イ ドライ ン等 は 「国 ・都 道 府 県 、 法 人 関係 者 の 間 で 十 分 に共 有 さ れ、円滑 な制 度 運用 が進 む こ と」 を期 待 して作 成 され て い るが 、 こ れ らが 含 む い くつ かの 問 題 点 は本 稿 末尾 で触 れ る こ と と し、以 下 で は、 簡 単 に具 体 的 な制 度 運 用 の 状 況 を統 計 上 の数 字 を通 して 見 て お こ う。 内 閣府 が 公 表 した 「新 公 益 法 人 制 度 に お け る全 国 申請 状 況(速 報 版)」 に よれ ば、 新 制 度 が 発 足 した 平成20年12月1日 か ら平 成23年7月31日 現 在 ま で の 中請 に対 す る処 理 の状 況 は移 行 認 定(特 例 民 法 法 人 か ら公 益 法 人へ の移 行 認 定)、 移 行 認 可(特 例 民 法 法 人 か ら一 般 社 団 ・財 団 法 人へ の移 行 認 可)、 公 益 認 定(一 般 社 団 ・財 団 法 人 か ら公 益 法 人 へ の公 益 認 定)そ れぞ れ に 関す る 処 分 数 は移 行 認 定 ・移 行 認 可 ・公 益 認 定 の順 に次 の とお りで あ る。 す な わ ち、 移 行 認 定 は 申請 総 数(全 国 合 計)2571件(内 閣府 分914件 、 以 下 括 弧 内 は内 閣府 分)中 、1857件(648件)、 移 行 認 可 は 申請 総 数1079件(454件)中 、674 件(289件)、 公 益 認 定 は 申請総 数127件(76件)中 、97件(56件)で あ る(14)。 二 公 益 法 人 制 度 改 革 と 憲 法 問 題 (1)公 益 法 人 制 度 立案 段 階 にお け る論 議 今 般 の 公 益 法 人 制 度 改 革 の動 きの な か で 中心 的 地位 を占 め た の は前 述 の と (14)内閣 府 「新 公 益 法 人 制 度 に お け る 全 国 申 請 状 況(速 報 版)」(平 成20年12月1日 ∼ 平 成 23年7月31日)

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194 京 女 法学 第1号 お り有 識 者 会 議 で あ る が、 そ こで 憲 法 学 の観 点 か らみ て論 点 と され た の は、 大 き く括 れ ば 「公 益 性 」 の 問 題 と 「結社 の 自由」 に関 わ る問題 で あ っ た とみ て よい。 この 二 点 につ い て は 以 下 の 章 で そ れぞ れ 分説 す る が、 有 識 者 会 議 の 段 階 で は、 憲 法 学 的 な面 か らの 言 及 な い し関 わ りが少 な か っ た こ と、 お よび 「公 益 性 」 の 問 題 につ い て は 冒 頭 で も示 した よ う に学 問領 域 的 に も広 汎 な 内 容 を持 っ て い る こ とか ら、 こ こで は特 に 「結 社 の 自由 」 に 関 わ る議 論 の状 況 の み を取 り上 げ てみ て お こ う。 内 閣 官 房 行 政 改 革 推 進 事 務 局 の ホ ー ムペ ー ジ に よ る公 表 に よれ ば、 「公益 法 人制 度 改 革 に関 す る有 識 者 会 議i」は平 成15年11月28日 の 第1回 会 議 か ら平 成16年11月16日 の 第26回 会 議 まで26回 に わ た る会 議 を開 き種 々 の テ ーマ につ い て検 討 を重 ねて い るが 、 上 記 の2点 に関 わ る検 討 と して 法 的観 点か らな さ れ た もの と して は、 民 法 学 か らの 二 つ の報 告 、 す なわ ち 、 第3回 会 議 にお け る大村 敦 志 東 京 大 学 教 授 に よ る 「『結 社 の 自由』 と 『非 営 利 団体 』 一 フ ラ ン ス の場 合 を 中心 に一 」 お よび 第4回 会議 にお け る星 野英 一東 京 大 学 名 誉 教 授 の 法 人制 度 上 「公 益 性 」 を判 断 す る意 義等 に 関す る報 告 とが 中核 を な してい る。 この うち、 と りわ け 「結社 の 自由 」 に 関す る主 た る議 論 は前者 の大 村 報 告 を中心 に行 わ れ てい る(15)。 大村 報 告 は、 まず 「中 間団 体 を重 視 す る ア メ リカ に対 して 、 これ を敵 視 す る フ ラ ンス とい う図 式 が 描 か れ て 」 い る とい う現 代 日本 の 憲 法 学 の研 究 状 況 か ら説 き起 こ し、 フ ラ ンス にお い ては近 代 初 頭 に はル ・シ ャブ リエ法 に よ る 団体 ・結 社 の禁 圧 をみ た が1901年 には 当 時 の首 相 ワル デ ッ ク ・ル ソ ー の イ ニ シ ャチ ブ に よ っ て形 式 的 に は 法 律 で あ るが 実 質 的 に は憲 法 的 価 値 を有 す る 「非 営 利 団体 す な わ ち ア ソ シ ア シ オ ンの結 成 を一 般 的 に承 認 す る とい う法 律 が 制 定 され る に至 る 」(正 式 に は1901年7月1日 の 「結 社 契 約(非 営利 社 団 (15)大村 教 授 の報 告 につ い て は第3回 有 識 者会 議議 事録16頁 以 下、 星 野名 誉教 授 報告 につ いて は第4回 有 識者 会議 議事 録2頁 以下(有 識者会 議 につ いて は(註7))参 照。

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契 約)に 関 す る 法 律 」)こ と を 確 認 の う え 以 下 の2点 を 指 摘 す る ⑯。 す な わ ち 、 一 つ は 、 「法 律 の 禁 止 に もか か わ らず、 中 間 団体 が 現 に存 在 し続 け る とい う 社 会 的 な 力 に促 さ れ て 、法 律 の 方 が 改 め ら れ た と い う こ と」、い ま 一 つ は 「1901 年 法 の 立 法 に 当 た っ て 結 社 の 自 由 の 根 拠 付 け と し て 、 個 人 の 自 由 と し て の 契 約 の 自 由 が 掲 げ ら れ た と い う こ と」 で あ る と 。 こ こ で は 、 フ ラ ン ス に お け る 結 社 の 自 由 が あ く ま で も 団 体 を つ く る 個 人 の 権 利 と し て 理 解 さ れ て お り、 団 体 は 、 革 命 で 否 定 さ れ た 拘 束 的 団 体 と し て で は な く 自発 的 に 契 約 に よ っ て 構 成 さ れ る も の と し て 捉 え な お さ れ て い る の で あ り、 ま た 、 団 体 は 独 立 の 法 人 格 を 有 す る こ と と な る が そ れ は 個 人 の 集 団 的 活 動 を 支 援 す る た め の も の で あ る と い う 。 な お 、 大 村 論 文(註 記(16)59頁)に よ れ ば 、 こ の こ と は1901年 法 自体 が 特 徴 的 な 法 律 構 成 と し て 採 用 し た 内 容 、 す な わ ち 、 「結 社 の 自 由 」 は 「契 約 の 自 由 」 に よ り基 礎 づ け ら れ た こ と(法1条)、 ア ソ シ ア シ オ ン の 要 件 と し て 「利 益 の 分 配 」 を し な い こ とが 挙 げ ら れ て い た こ と(法1条)、 設 立 は 自 由 だ が 法 の 保 護 を 受 け る に は 届 出 を 要 す る こ と(法2条 ・5条)、 ア ソ シ ァ シ オ ン に は 段 階 的 に 法 人 格 が 付 与 さ れ た こ と(法2条 ・6条 ・11条 等)に 現 れ て い る 。 こ の う ち 段 階 的 な法 人 格 付 与 に つ い て は 、 能 力 が 全 く認 め ら れ な い 未 届 出 ア ソ シ ア シ オ ン(法2条)、 次 い で 「届 出 」 に よ り訴 訟 提 起 や 現 実 贈 与 お よ び 公 的 な 寄 付 金 ・助 成 金 受 け 入 れ 等 を 可 能 と す る 段 階(法 6条1項)、 さ ら に コ ン セ イ ユ ・デ タ の 議 を 経 た デ ク レ所 定 の 条 件 で 贈 与 ・ 遺 贈 を 受 け る こ と が で き る 段 階(法6条2項)、 公 的 認 証 を 受 け る こ と で す べ て の 民 事 上 の 行 為 が 可 能 と な る段 階 が 紹 介 さ れ る(以 上 、 大 村 論 文60頁 以 下)。 ⑯ この1901年 法 の意義 ・概 要等 につ い て は以 下 の本文 で紹 介す る井 上論 文(井 上武 志 「『結 社 か らの 自由』 の 憲法 問題 」4頁 以下(岡 山大 学法 学 会 雑 誌 第58巻4号)に 詳 しい。 また、大村 報 告 につ い て はそ れ に先立 つ2003年 のNBLに 収 め られ た 日本 私 法学 会 シ ンポ ジ ウ ム資 料(団 体 論 ・法 人論 の 現 代 的 課題)報 告IV・ 大 村 敦 志 「『結社 の 自由』 の民 法 学 的再 検討 ・序 説」(以 下 、本 文 で は大 村 論文 と表記)が 基底 に置 か れて い る と思 わ れ る。 したが って、 本文 中の報 告要 旨につ い て も適 宜 これ らを参照 の うえで確 認 し叙述 す る もので ある。

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196 京 女法 学 第1号 また、 大 村 報 告 は、 団体 に集 まる個 人 の集 団 的活 動 に対 す る支 援 とい う考 え方 が 貫 か れ て い る とい う基 本 的 理 解 を踏 ま え て、 「一 定 の 公 益 性 が 認 定 さ れ た 団体 に は、 よ り広 い 範 囲 の法 人格 がみ とめ られ 、 これ とは別 に税 制 上 の 優 遇措 置 や 各 種 の 補 助 金 の 交付 もな され て い る」 こ とを指 摘 した う えで 、 さ らに フラ ンス で の 現 状 に説 き及 ぶ 。 そ れ に よれ ば、80万 程 の ア ソ シア シオ ンが 「フ ラ ンス社 会 で どの よ う に受 け止 め られ てい るの か 」 に関 わ って 以下 の三 点 が指 摘 され る。 第 一 は活 動 領 域 につ い て、 消 費 者 保 護 ・反 人種 差別 ・社 会 連 帯 ・国 際人 権 問題 ・環 境 問 題 な ど も高 い割 合 で ア ソ シ ア シオ ンの仕 事 とされ て い る が ス ポ ー ツ ・文 化 ・学 校 関係 の活 動 な どが 中心 領域 に な って い る こ と、 第 二 は、 ア ソ シ ア シオ ン に 対 す る信 頼 度 が 高 く好 感 を持 た れ て い る こ と、 第 三 に、 「フ ラ ンス の ア ソ シ ア シ オ ンは 地 方 自治体 の パ ー トナ ー と して 大 きな働 き を して い る と言 わ れ て 」 い る こ と、 が そ れ で あ る。 こ う して、 報 告 は、 結 局、 「非 営 利 活 動 とい う の は、 そ れが 狭 い 意 味 で の 公 益 活動 を 目的 とす る もの で な くて も、 そ れ 自体 が 公益 的 な 意 味 を持 っ て い る とい う こ とに留 意 す る必 要 が あ る」 との言 で締 め く くられ る。 以 上 の報 告 に続 く質 疑 応 答 で の 、 フ ォ ンダ シ オ ン、財 団 に 関す る補 充 説 明 や 、 非 営利 法 人 とア ソ シ ア シ オ ン との 異 同 に 関 わ りフ ラ ンス で はNPO法 人 や 地域 の 町 内会 的 な もの、 著 名 なサ ッ カー ク ラ ブ な ど も基 本 的 に 一元 的 な シ ス テム を取 っ て い る(同 じ法 律 に基 づ い て 設立 され る)こ との説 明、 公 益 性 認 定 を ど こがす る の か につ いて の や りと りな どをみ れ ば 、 同 報告 が今 次 改 革 へ の 基 本 的視 点 を提 供 して い る こ とを窺 い知 る こ とが で き るが 、今 次 改 革 自 体 で の 「公 益 」 を め ぐる理 解 の 仕 方 等 につ い て は次 章 で触 れ る こ と と し、 次 に、 こ う した私 法 学 か らの 検 討 に対 し、公 法 学 と りわ け憲法 学 で の対 応 如 何 を瞥 見 して お こ う。 (2)憲 法 学 にお け る反応 今 次 公益 法 人改 革 に お い て、 有 識 者 会 議 を中心 とす る立 案段 階 で の憲 法 学

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的 観 点 か らみ た論 点 は、 結社 の 自由 との 関係 を どの よ うな もの と して捉 え る か とい う点 に あ った とみ て よい 。 こ の点 に 関す る議 論 と して は 、立 案段 階 に先 ん じ、日本 私 法 学 会 シ ンポ ジ ュ ウ ム 資料 と して公 表 され た 前述 の大 村 論 文 をp矢 とみ る こ とが で き よ う。 そ の シ ンポ ジ ュ ウ ム報 告 は 、 憲 法学 に お け る 「結社 の 自由 」 をめ ぐる議 論 に 関 す る標 準 的 な議 論 と して 、 「結 社 の 自 由」 に 関す る教 科 書 的 説 明 の ウ ェ イ トが あ ま り大 き くない こ と を抑 え つ つ、「第 一 に、結 社 の 目的 と して 、政 治 ・ 経 済 ・宗 教 の ほか に芸術 ・学術 や社 交 が挙 げ られ て い る こ と、 第 二 に、 自 由 の 内容 と して、 団体 形 成 ・加 入 の 自由 、 団体 活 動 の 自由 、 団体 形 成 ・加 入 を しな い 自由や 団体 か ら脱 退 す る 自由 が列 挙 され てい る こ と… … 、 第三 に 『結 社 の 自由』 とは別 に、 『法 人 の 人権 』 とい う論 じ方 が さ れ」 て い る こ と に深 い興 味 を示 す 。 そ の う えで 、 憲法 学 にお け る通 説 と異 なる トー ンを有 す る有 力 な 最 近 の 議 論 と して、 「結 社 か らの 自 由」 こ そが 重 要 だ と し 「結 社 を と り むす ぶ諸個 人 の 自 由 と して 理解 され な け れ ば な らない 」 とす る樋 ロ 陽一 教 授 の見 解 や、 法 技 術 的 な ・体 系 的 な 面 か ら 「法 人 の人 権 」 を分 節 化 し よ う とす る長 谷 部 教 授 ・松 井 教 授 等 の見 解 に着 目 し、 次 の よ うな 問題 提 起 に至 っ てい る。 す な わ ち、 前 述 の有 識 者 会議 で も触 れ られ た フ ラ ンス にお け る 「結 社 の 自由 」 を め ぐる議 論 の あ り方 ・内 容 等 を 踏 ま え つつ 、 「日本 にお い て も、 こ の よ うに社 交 性 に基 礎 づ け られ た 『結社 の 自由」』 を構 想 す るな らば 、 『結 社 の 自由』 の 憲法 的 な基 礎 づ け も変 わ って くる だ ろ う」 とαの。 結 社 の 自由 に かか わ る民 法 学 か らの こ う した言 及 に も拘 わ らず 、 本稿 が と りあ げ る意 味 で の 問題 一 公 益 法 人 改 革 と絡 め る と き結社 の 自 由 を どの よ うに と らえ るべ きか一 に 関 して、憲 法 学 か らの 反応 は必 ず し も大 き くは なか っ た。 (17)大村 敦 志 、 前 掲(註16)、55∼63頁 。 そ こ で 当 時 の 文 献 と して あ げ られ る も の の う ち い くつ か を 本 文 の 補 充 と再 確 認 の 意 味 で こ こ で も掲 載 して お こ う。 芦 部 信 喜 、 新 版 補 訂 版 『憲 法 』(1999年)163頁 、 松 井 茂 記 『日 本 国 憲 法 』(1999年)476∼478頁 、 長 谷 部 恭 男 『憲 法(第 二 版)』(Zaal年)122頁 、137∼138頁 、225頁 、樋 口 陽 一 『憲 法 』(1992 年)124頁 、151頁 以 下 な ど。

(18)

198 京 女法 学 第1号 例 え ば、憲 法学 が示 した論 文 情 報 を公 法 学 関係 の主 た る学 会 誌 『公 法研 究』 の1992年 以 降 の 「学 界 展 望 」 にみ れ ば、 同欄 の領 域 分 類 と して の 表 現 の 自由 の なか に 「結社 の 自由」 に 関す る叙 述 が 現 れ る のが 同誌61号(1999年)か ら で あ り、 人権 の主 体 に着 目 した うえ で 「団体 の権 利 」 の小 分類 が 現 れ るの が 65号(2003年)か らで あ るが 、 本 稿 主 題 に即 してみ れ ば、 アメ リ カの 議論 を 素 材 に して結 社 の 自由 を各 人 が 関係 を選 択 す る権 利 と とら え る論稿 や 公益 法 人 であ る 日本 歯科 医 師会 と政 治 団体 た る 日本 歯科 医師 連 盟 に よ る政 治 活動 の 関係 性 を問 う論 稿 等 が 散 見 さ れ る に とど ま って い た(is)。 こ う した 中 、憲 法 学 にお い て正 面 か ら公益 法 人制 度 改 革 を意 識 しつ つ 「結 社 の 自由 」 の 問題 に取 り組 む数 少 な い作 業 と して井 上 武 史 論 文 が あ る。 そ の 問 題 意識 は、憲 法 学 で の通 説 も 「結 社 の存在 を認 め たの で あ れ ば、『個 人』 と 『結社 』 の 関係 につ い て憲 法 が何 等 か の規 律 を及 ぼ して い る と、考 え られ ない わ け で は な い」こ と、また 、「憲 法 論 と して個 人 と結社 との 関 係 が まっ た く等 閑視 され て よい とは言 え な い だ ろ う」 こ とに あ る。 同 論 文 は この よ う な意 識 か ら現 行 法 制 度 の分 析 ・検 討 の手 掛 か りを フ ラ ンス 法 の 議論 に求 め る が、 フ ラ ン法 で の あ り様 は、 前 記 大 村 報 告 ・論 文 に よ りそ の概 要 を確 認 した (ls)橋本 基 弘 『近 代 憲法 にお け る団体 と個 人』(不 磨書 房)、 小 栗 実 「公益 法 人 と政 治 団体 の種 別 を め ぐって 」(鹿 児 島法 学 論集39巻2号)。 な お、 同様 に憲 法学 の無 関心 さを指 摘す る もの と して、 井上 武 史 「憲法 か ら見 た 一般社 団法 人制度 一 結社 の 自由の 視点 か らの検 討一 」612頁(初 宿 正 典 先 生 還暦 記 念 論 文集 『各 国憲 法 の差 異 と接 点』2010年 所収)。 ただ し、本稿 脱稿 直 前 に開催 された 日本公 法学 会第76回 総会 は、統 一 テ ーマ 「国 家 の役割 の変 容 と公 法学 」 の もと、 第一 部会 で は 「市 場 の グローバ ル化 と国家 」 の観 点 か ら 「結 社 の 自由」 な らぬ 「企 業 」 や 「NPO」 に焦 点 を当 てて 報 告 が行 われ た。 前者 につ いて は大西 祥 世報告 「グロ ーバ ル化 にお ける企業 の公 法上 の位 置 づ け」が 「企 業 を交易 を実現 す る主体 として と らえ る考 え方 の登場 」、 「企業 を国 内お よび国 際社 会 に お ける公 的 な利 益 の 追 求 を分 担 す る担 い 手 と して位 置 づ け る可能 性 」、 今 後 「企 業 の公 共性 を位 置 づ け る ような法 律 が増 える こ とが 予測 され る」 こ とを指 摘 し、 後者 の NPOに つ いて は多 田一路 報告 「国家 作用 にお けるNPOの 位 置 」が 「ヨー ロ ッパ の サ ー ドセ ク ター 」 た るア ソ シア シオ ンを視 野 に入 れつ つNPOの 理念 型 的特 徴 の一 つ と して 「非営 利性 」と 「公 益性 」を呈 示 す る。議論 の あ る概 念 なが ら 「国 際化 」「グロー バ ル化」 との 関わ りで みれ ば 憲法 学 が必 ず しも無 関心 で あ った わ けで は ない。76回 総 会報 告 に係 る学 会誌 の 公刊 が待 た れ る。

(19)

とこ ろで あ り、 以 下 で は井 上論 文 に よる 「結 社 の 自由 」再 構 成 の試 み の み を 確 認 して お こ う(19)。 同論 文 は 日本 国憲 法21条 に お け る 「集 会 ・結 社 の 自 由」 と 「表 現 の 自由 」 の読 み 方 に関 し、 分 離 説(二 元 説)と 一 体 説(同 一説)と の差 異 を押 さ えつ つ 、結社 の 自由 の 「団体 性 」 に着 目す る分 離 説 を妥 当 と した う えで、さ らに、 「結 社 の 自由 の 承 認 が 憲 法秩 序 に与 え る意 義 に着 目 し」従 来 の 「「個 人』 と 『国 家 』 か ら構 成 され てい た 二極 構 造 の秩 序 を、 『結社 』(団 体)を 含 め た 三極 構 造 の秩 序へ と転換 す る こ とを意 味 す る はず 」 と論 じる。 そ して、 この こ とか ら、 結社 の 自 由の 内 容 と して、 結 社 の設 立 ・存 続 の 自由、 個 人 の 結社 か らの 自由、 結社 の 活 動 の 自 由が 導 き出 さ れ る こ とと な り、 さ らに個 人 の 結社 か ら の 自由 の 問 題 が 掘 り下 げ られ て い る⑳。 同 じ著 者 が 、 一 般社 団 法 人制 度 に着 目 し、 これ を結 社 の 自 由の 視 点 か ら検 討 した先 行 論 文 で 、 「日本 国憲 法 の 結 社 の 自由 に は法 人 格 取 得 権 が 含 ま れ る とい う こ と、 そ して 、 一般 社 団法 人 制 度 は同権 利 を具 体 化 す る制 度 と して位 置 づ け られ る 」 と した こ と、 「一 般 社 団法 人 制 度 お よ び一 般 法 人 法 を憲 法 に 関 わ る問題 と して 正 面 か ら位 置 づ けた 上 で 、 結社 の 自由 の視 点 か らそ の意 義 と問 題 点 を見極 め る こ と」を憲 法学 急 務 の課 題 と した こ とは 、上 記 論 文(「 『結 社 か らの 自由』 の 憲 法 問題 」)と 合 わせ 、 学界 と して 数 少 な い成 果 しか み な い 状 況 の 中 で注 目すべ き成 果 と言 え よ う⑳。 (19)前掲(註16)井 上 武 史 「『結 社 か らの 自 由 』 の 憲 法 問 題 」3頁 。 な お 、 同論 文 で は2000 年 代 フ ラ ン ス に お け る 破 棄 院判 決 、 結 社 の 自 由 を め ぐ る 個 人 保 護 の 原 理 、 脱 退 の 自 由 の 憲 法 問 題 、 統 制 処 分 の 限 界 問 題 に つ い て の 詳 細 な 論 及 が あ る が こ こ で の 紹 介 は 割 愛 す る 。 ⑳ 以 上 、 前 掲(註16)井 上 武 志 「『結 社 か らの 自 由』 の 憲 法 問 題 」23∼24頁 、27頁 以 下 (21)前掲(註18)井 上 武 史 「憲 法 か ら見 た 一 般 社 団 法 人 制 度 一 結 社 の 自 由 の 視 点 か らの 検 討 一 」634∼635頁

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