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住宅融資事業においては 融資利率と借入利率との間に利子差益が生じており 平成 7 年度以降 横浜市に継続して寄附をしているが その総額は 666 億円に達し 事務費等を控除した事業開始以来の通算の損益を見ても 387 億円のプラスとなっている 2 融資債権の整理に向けた検討課題 (1) 債務者への配

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Academic year: 2021

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Ⅰ 提 言 1 財団法人横浜市建築助成公社の現状 (1)経営改革の方向性 財団法人横浜市建築助成公社(以下「公社」という。)の融資制度は、住宅金 融公庫を補完する他都市に例を見ない市民向け住宅ローンとして昭和 38 年度 より実施してきたものであり、制度開始以来、11 万人を超える市民に住宅建築 取得資金を融資することにより、横浜市における持ち家政策を推進してきた。 しかしながら、平成 14 年度には、融資件数の減少及び民間金融機関における 住宅ローン拡充などの状況を踏まえ、市の「公的住宅供給等あり方検討委員会」 において制度廃止の方向性が示され、平成 15 年度の申込をもって住宅ローンを 廃止、また、平成 17 年度の申込をもってすべての融資制度を廃止した。公社は、 新規融資の廃止により、融資債権の管理回収業務のみを継続している状況にあ る。 このように、公社は平成 17 年度をもって中核的業務である融資事業を終了し、 その社会的役割を終えたことから、平成 18 年度からは事実上解散することとし、 融資債権、建物、駐車場などの保有資産について、できる限り短期間に整理を 進め法人を解散することが経営改革の方針として決定されている。 当面の執行体制として、横浜市住宅供給公社の役員が公社の役員を兼務する とともに、総務部門、施設管理部門を中心に事務の統合を行い、事務の簡素化、 効率化を進めている。 (2)融資債権及び負債の状況 公社の保有する融資債権は平成 17 年度末現在で、債権数 30,589 件、融資残 高は 2,510 億円であり、融資残存期間は平均 18.8 年、平均融資利率は 3.43% となっている。 公社の保有債権の特徴として、公社が指定していた信用保証会社 3 社のうち 1 社が経営破たんしたことに伴い、融資債権の約 3 分の1が無保証債権である ということが上げられる。また、経営破たんした信用保証会社の団体信用生命 保険に加入していた融資利用者を救済するとともに、公社としても債権保全を 図る必要があることから、平成 13 年度から公社が保険契約者となり団体信用 生命保険業務を行っている。 債務者の特性を見ると、平均年齢は 50.1 歳であり、債務者の約 9 割が 40 歳 以上の中高年層となっている。 さらに、約 8 割が住宅金融公庫との併用融資であることから、抵当順位が第 2 位となり、延滞債権の回収を図る上で課題となっている。 一方、負債(借入)については、借入件数 97 件、借入残高 2,498 億円で、 借入残存期間の平均は 3.8 年、平均借入利率は 1.9%である。

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住宅融資事業においては、融資利率と借入利率との間に利子差益が生じてお り、平成 7 年度以降、横浜市に継続して寄附をしているが、その総額は 666 億 円に達し、事務費等を控除した事業開始以来の通算の損益を見ても 387 億円の プラスとなっている。 2 融資債権の整理に向けた検討課題 (1)債務者への配慮 当委員会の検討を進めるに当たり、融資利用者から寄せられた意見並びに金 融機関へのヒアリングの際に寄せられた金融機関の見解によれば、公社の融資 利用者は、公的団体としての信頼性や安心感から、借入先として公社を選択し た面が強いと考えられる。 このため、整理手法等の検討を進めるうえでは、債務者の不安解消と返済手 続きにおける利便性の確保、債務者への影響、事務手続きの負担を最小限とす る整理手法の選択に配慮することが必要である。 また、事前、個別の案内などのきめ細かな情報提供により十分な市民理解が 得られるよう努めるとともに、整理手法の決定などに関する手続きの透明性、 公平性の確保に配慮し、公的機関としての説明責任を果たすことが求められる。 (2)経済合理性 日本銀行のゼロ金利政策解除決定を受け金利が上昇局面を迎えることが予 想されることに加え、公社の保有債権は、債務者の平均年齢の上昇や担保物件 価値の下落などにより債権評価額の低下が進むことが見込まれることから、で きる限り早期に整理をすることが必要である。 整理手法の選択にあたっては、公社及び市が負担可能なリスクの量及びリス クを負担する時期を総合的に判断することが求められる。 また、管理回収業務におけるアウトソーシングにより専門家のノウハウを活 用し、事務の効率化、コスト削減を進めることが必要である。 (3)横浜市、借入金融機関、住宅金融公庫との関係 横浜市は、公社の設立主体として経営改革を実現するために積極的な関与を 行うとともに、整理に伴う財政負担の可否について明確にすることが求められ る。 また、公社は民間金融機関からの借入金を原資として融資事業を実施してお り、債権の整理にあたっては借入金の繰り上げ返済手続き等について借入金融 機関と円滑な調整を行うことが必要である。 住宅金融公庫との関係においては、公社の融資債権の約 8 割が住宅金融公庫 との併用融資であることから、今後とも公的金融機関としての連携を図ること が望ましい。

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(4)融資債権の整理にあたっての損益試算 融資債権の整理に伴う損益について、保有継続、証券化(劣後保有)、一括 譲渡の場合における損益試算を行った。 試算結果は、保有継続の場合には、今後 35 年間で 33 億~252 億円の通期損 失、証券化(劣後保有)の場合には、46 億~96 億円の当初損失並びに 21 億~ 61 億円の通期損失、一括譲渡の場合には 40~250 億円の処分損失が見込まれる というものであった。 3 融資債権の適切な整理に向けた提言 (1)提言の考え方 当委員会は、「財団法人横浜市建築助成公社が保有する融資債権を整理するに あたり、最適な整理手法を検討する」ことを目的として設置されたものである。 しかしながら、融資債権の整理に伴う損益は、前に述べた試算結果のとおり、 投資家サイドの視点からの融資債権の明細レベルにおける詳細な精査結果や、 整理時点での金利などの金融情勢に大きく影響を受けることから、その見極め はきわめて困難であり、譲渡あるいは証券化などの具体的な金融手法そのもの に対する評価、採用の是非に関する判断は困難である。 そこで、当委員会では、横浜市あるいは公社が融資債権の整理方法等を決定 するに当たって、前提条件として整理すべき事項を整理するとともに、整理手 法の決定に向けた適切な手順について取りまとめ、提言とすることとする。 (2)融資債権の整理における課題解決に向けた提言 ア 整理費用の負担について 公社は保有する資産の整理を速やかに進め、整理が終了した段階で法人を解 散することとされているが、公社の法人解散を目的とするならば、融資債権の 整理手法は一括売却などの手法に限られることとなり、処分に伴い大きな処分 損失が発生する恐れがある。 横浜市の財政状況を鑑みると、大きな財政負担が生じる整理手法の選択は困 難ではないかと考えられ、整理手法の検討を進める前提として、損失負担が可 能な範囲をあらかじめ明確にし、負担可能な範囲での整理手法を決定すること が必要であると考える。 また、整理手法の決定に際しては、経済合理性だけで判断することなく、公 社融資事業の公益性にも配慮することが必要であり、その結果、ある程度の費 用負担が生じることはやむを得ないと考えられる。 イ 横浜市の関与について 公社の融資事業はこれまでの間、通期損益が387 億円のプラスとなっており、 事業破綻に伴う債権の整理ではなく、あくまでも行財政改革の一環として実施

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するものであることを対外的に明確にする必要がある。 また、これまでは、利子差益を横浜市に寄付し、融資事業の将来リスクに備 えた積立て等の対応は行っていないが、今後は、発生する利子差益について、 租税負担なども総合的に考慮しつつ、融資債権整理に伴う必要経費に充てるべ きと考える。 ウ 融資債権の引き受け手 融資利用者は、公的団体としての信頼性や安心感から、借入先として公社を 選択した面が強いと考えられる。 債務者の安全と利便性を確保するためには、譲渡あるいは証券化などのどの ような金融手法を選択する場合であっても、融資債権の引き受け手あるいは取 引に関与する者は、融資利用者の安心できる者とすることが望ましい。 引き受け手等の決定に当たっては、手続の透明性、公平性を確保するととも に、横浜市及び公社との取引実績等を勘案し、安定性、社会性などを総合的に 判断すべきと考える。 (3)適切な整理の進め方に関する提言 ア デューデリジェンスの実施 住宅ローン債権の取引価格は、投資家サイドの視点での個々の債権の精査、 取引時点での金利などの金融事情に大きく左右されることに加え、引き受け手 金融機関の経営戦略や投資スタンス等により価格付けがされることから、正確 な試算は困難である。 しかしながら、債権の整理を進めるにあたっては、まず、公社自らが保有す る資産の現在価値を可能な限り精査し、把握することが重要となる。 金融機関へのヒアリング結果においても、デューデリジェンス(融資債権の 精査、評価)が融資債権の引き受け手としてのエントリーの前提であるという 意見が多数あったことを鑑み、早急に専門家によるデューデリジェンスを実施 すべきである。 イ 提案方式による整理手法、価格の決定 デューデリジェンスの結果を踏まえ、公社として自らが適正と考える処分損 益を把握するとともに、融資債権の引き受け手としてふさわしい金融機関に対 して、譲渡あるいは証券化といった整理手法の提案、引受評価額の提示を求め るという手順が、透明性、公平性の確保という点から望ましい。 融資債権の引き受け手及び整理手法は、それらの提案、提示を受けたうえで、 客観的な判断基準に基づき決定すべきであると考える。 また、整理手法の決定に当たっては、金融面における専門家による十分な検 証と、手続過程における客観性、公平性の確保を十分に図られたい。

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ウ 融資利用者への十分な説明、理解 融資債権の整理手法によっては、債権者の変更や債権の管理回収機関の変更 など、融資利用者に対し大きな影響を与える結果となることも考えられる。 検討過程においても、事前に状況を十分に説明するとともに、整理手法の決 定に当たっては、検討の経過及び決定理由などについてきめ細かな情報提供を 行うことにより、公的機関としての説明責任を十分に果たし、融資利用者の理 解を得ることができるよう最大限努力することが求められる。 エ 管理回収業務のアウトソーシング 債権整理手続きの段階的実施など、融資債権の整理手法によっては、公社が 債権の管理回収業務をある一定期間継続する場合も想定されることから、業務 のアウトソーシングによる事務の効率化、コスト削減について、整理手法の検 討と並行して早急に検討を進めておくべきである。

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