• 検索結果がありません。

< はじめに > この度 日本脳ドック学会編集の 脳ドックのガイドライン 2008 に基づいた より質の高い脳ドック検診を目指すことを目的として 当 脳ドックの意義と限界 を改訂しました 脳ドックの主たる目的は脳卒中予防です 脳卒中は 日頃元気であった ( 無症候の ) 人に突然予告なしに発症し 一

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "< はじめに > この度 日本脳ドック学会編集の 脳ドックのガイドライン 2008 に基づいた より質の高い脳ドック検診を目指すことを目的として 当 脳ドックの意義と限界 を改訂しました 脳ドックの主たる目的は脳卒中予防です 脳卒中は 日頃元気であった ( 無症候の ) 人に突然予告なしに発症し 一"

Copied!
15
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

脳ドックを受ける人のために

− 脳ドックの意義と限界 −

(2)

<はじめに>

この度、日本脳ドック学会編集の「脳ドックのガイドライン 2008」に基づいた、より質の高 い脳ドック検診を目指すことを目的として、当 「脳 ドックの意義と限界」を改訂しました。 脳ドックの主たる目的は脳卒中予防です。 脳卒中は、日頃元気であった(無症候の)人に突然予告なしに発症し、一旦発症すると 致命的なことがあり、たとえ生存し得た場合も脳由来の後遺症状に苦しむことになります。 また、徐々に認知症状や手足の麻痺が進行する多発性脳梗塞は、早期発見による治療 と予防が必要です。

当院脳ドックは、2004 年以後 1.5 テスラ MRI (東芝 EXERART VANTAGE AGV:表紙) を用いて、これら脳卒中の原因となる無症候性脳病変を事前に発見し検査や治療を行っ ています。 しかしながら、どのような検診にも絶対的なものはありません。脳ドックを受けられる方 は、当冊子をお読みいただいた上で、それぞれが自分に合った健康管理を計画していた だくことが大切です。

<当院脳ドックの特長>

1. MRI による脳と脳血管の検査に基づく、とくに脳卒中を中心とした脳病変の予防を目的 とした検診です。原則として 40 歳以上の方を対象にしており、とくに高血圧症・糖尿病・ 高脂血症など生活習慣病のある方、脳卒中の家族歴のある方にお勧めします。 2. 検診結果は「脳 ドック診断証」により報告し、検査フィルムは当院レントゲン科におい て 3 年間保存します。なお、MRI 検査は身体に害なく繰り返し検査を受けることが可能 で、定期的に検査を受けられる場合は 2∼3 年に 1 度程度の検査が適当と考えます。 3. 脳ドックの結果、脳神経外科精密検査を必要とする場合は、専門医師の治療経験に 基づいた適切なアドバイスを行い、保険診療による精査と治療の相談に応じます。 4. 当院ドックを受診された患者さんが、脳卒中など緊急の脳神経外科治療を要する事態 になられた場合は、当院で 24 時間受け入れ体制をとり最善の処置をさせていただきま すので、脳 ドック受診者である旨をお申し出の上病院医師の指示を受けて下さい。

(3)

<脳ドックの内容>

1. 脳ドックの種類 A コース = 脳と脳血管の検査 B コース = A コース + 脳卒中ガイドラインで定められた 脳卒中危険因子検査 があります。 A コース 脳と脳血管の検査 脳 MRI と脳・頚部 MRA B コース A + 脳卒中危険因子検査 A + 脳卒中危険因子としての 心電図検査、血液検査、尿検査 2. 検査にかかる時間 A コースは脳および頸部の MRI 検査として約 1 時間です。 B コースは上記 MRI 検査の他に、脳卒中危険因子としての心電図検査、血液検 査、尿検査を行い、約1時間 30 分です。 3. 検査結果の説明 院長外来で検査結果の説明を行い、「脳ドック診断証」をお渡しします。 なお、来院が困難な方は結果の郵送も可能ですので、その旨をお申し出下さい。 4. 検診の費用 別紙「脳ドックご案内」をご参照下さい。 5. 脳ドック実施者登録 当院における「24 時間受け入れ体制リスト」に登録させていただき、診察券に 脳ドック実施マ−クを入れさせていただきますので、受付でお申し出下さい。 脳

(4)

<脳ドックでわかる脳病変>

脳ドックでわかる無症候性脳病変には、 1 未破裂脳動脈瘤、 2.無症候性主幹動脈病変、 3.無症候性脳梗塞・白質病変、 4.無症候性脳出血、 5.その他の無症候性脳病変 があります。 1. 未破裂脳動脈瘤 くも膜下出血の原因は、とくに 40 歳以上では脳動脈瘤の破裂が大部分であり、生まれ つき弱い部分(先天的中膜欠損)を持つ脳動脈が、加齢と動脈硬化とともに膨隆し破裂に いたるものと考えられています。 しかしながら、やっかいなことは、通常脳動脈瘤が破裂するまで無症候性であり、破裂 してくも膜下出血をきたして初めて脳動脈瘤が診断されることになります。 くも膜下出血の症状は、前触れのない突然の頭痛と嘔吐あるいは意識障害に代表され ますが、頭痛の程度は必ずしも強烈であるとは限らず、CT(または MRI)検査による確定 診断が必須です<図 1>。 図 1 くも膜下出血の CT 未破裂脳動脈瘤の確定診断と治療 脳ドックでは、MRA検査で未破裂動脈瘤の可能性を検査し、疑わしい場合は保険診療 での三次元 CT アンギオ(3D-CTA)や脳血管撮影(DSA)により確定診断します。

(5)

未破裂脳動脈瘤の治療には、開頭による動脈瘤ネッククリッピングと血管内手術による 瘤内コイル塞栓があります<図 2>。 術前 術後 図 2 上(3D-CTA): 脳動脈瘤(白→)に対するネッククリッピング、 下(DSA):脳動脈瘤(黒→)に対する瘤内コイル塞栓 質問 :脳ドックでの MRA による脳動脈瘤検出の信頼性はどの程度ですか? 回答 :脳動脈瘤の MRA での検出率を検討するために、マルチスライス CT 機器 導入後 10 ヶ月間における MRA と 3D-CTA の比較を行いました。 MRA と同時に 3D-CTA を行い脳動脈瘤と診断された 42 例のうち、部位では内頚 動脈瘤 57%、大きさでは 3mm未満の動脈瘤で 61%と検出率は低かったが、 それ以外の部位と大きさ 4mm以上の動脈瘤では全て 90%以上の検出率であり、 平均の検出率は 81%でした。 <2002 年 10 月>

(6)

2. 無症候性主幹動脈病変 無症候性主幹動脈病変として、脳ドックで主幹動脈閉塞または強度狭窄を認めた場合、 3D-CTA と DSA によるによる確定診断を行います。 治療は、基本的には内科治療として、抗血小板薬(プレタール・プラビックス・アスピリ ン)または抗凝固薬(ワルファリン)の服薬が必要になります。 外科治療として、強度の頚部内頚動脈狭窄例における脳低灌流状態の改善や動脈原 性塞栓に対する治療として頸動脈内膜剥離(CEA)または頚動脈ステント(CAS)、主幹動 脈閉塞例における脳貧困灌流(PET 検査)に対する治療として血管吻合(外頸-内頸動脈 バイパス)を行うことがあります<図 3>。 術前 術後 図 3 頸部 MRA: 右頸部内頚動脈狭窄(白→)を認め、CEA 後血流改善を認めた。 3. 無症候性脳梗塞・白質病変 無症候性脳梗塞は、画像上脳梗塞が認められるものの、病巣に該当する神経症候が なく、過去にも現在も自覚症状がないまたは家族が気付いていない病態をいいます。 無症候性脳梗塞の多くはラクナ梗塞ですが、ときに無症候性主幹動脈病変を伴うことも あるため注意を要します。 また、無症候性脳梗塞が多発性に発症すると健忘症や認知症の原因となるため、再発 予防が必要になります。

(7)

大脳白質病変は、深部皮質下病変(DSWMH)と脳室周囲病変(PVH)に分けられます。 大脳白質病変は脳虚血と関係があり、斑状の白質病変は高血圧症や脳動脈硬化性変 化とされますが脳梗塞ではないと考えられています<図 4>。 脳梗塞は発症機序から病型分類されます(NINDS:1990)。 脳内や頚部の比較的太い脳動脈の粥状硬化(アテローム)により発症するアテローム 性血栓性梗塞、脳の細動脈(穿通枝)の高血圧性変化により直径 10∼15mm 程度の小梗 塞を発症するラクナ梗塞、心臓疾患 (心房細動・心臓弁膜症など)にともなう心腔内の塞 栓や大動脈に生じた塞栓が脳血管を閉塞する心原性脳塞栓症に大きく分けられます。 一過性脳虚血発作(TIA)は、運動麻痺・構語障害などの神経症状が一過性(一時的) に発症し、数分∼数時間以内に完全に消失するものですが、TIA のうち 25∼30%が 5 年 以内に脳梗塞に移行することが知られており、MRA や 3D-CTA による脳血管精査ととも に、抗血小板療法・降圧薬・スタチンによる予防的内服治療が必要になります。 脳梗塞治療は原因疾患治療と危険因子管理からなり、原則として内科治療が行われ、 脳血栓症に対しては抗血小板療法、脳塞栓症に対しては抗凝固療法を計画します。 脳梗塞の危険因子には、脳血栓症における高血圧症・糖尿病・高脂血症の他、喫煙・ 飲酒・肥満など生活習慣、心原性脳塞栓症における心房細動に代表される不整脈と心臓 弁膜症があります。 図 4 MRI・FLAIR 画像における散在性深部皮質下白質病変(左)と 無症候性梗塞を含む融合性深部皮質下白質病変(右)

(8)

質問 : 脳梗塞予防のための危険因子について、男女の違いがありますか? 回答 : 過去 3 年間の脳梗塞入院 380 例について、その危険因子につき検討 した結果、男女共通して高血圧症が最大の危険因子(60%以上)であり、男性 では喫煙と糖尿病、女性では高脂血症が重要な危険因子となり、これらの因子 が複数存在することによりその危険性は高くなります。 <2003 年 3 月> 4. 無症候性脳出血 無症候性脳出血は健常者の 5%程度に認められるとされ、MRI・T2 スター強調画像によ り無症候性微小出血(マイクロブリーズ)として検出されます。 無症候性脳出血の原因は高血圧症と考えられ、脳卒中としての高血圧性脳出血の危 険因子といわれており充分な血圧管理が必要とされます。また、このような所見が認めら れた場合の抗血小板療法は慎むべきとされています<図 5>。 図 5 図 5 MRI・T2 スター強調画像: 基底核∼視床に多発性の無症候性微小脳出血を認める。 5. その他の無症候性脳病変 脳腫瘍 慢性の頭痛は、そのほとんどが脳神経外科治療を必要としない筋緊張性頭痛や偏頭 痛ですが、神経症状が軽微で認知症状のみを呈する良性脳腫瘍では、通常の CT では発 見されず放置され脳ドックではじめて診断されることがあります<図 6>。

(9)

慢性硬膜下血腫 高齢者で、転倒しやすく、認知症状がみられるときは、脳ドックで慢性硬膜下血腫が診 断されることがあり、簡単な手術で症状の改善が期待できます<図 7>。 図 6 CT および MRI・FLAIR 画像: 図 7 MRI・FLAIR 画像: CT(右)で診断できなかった右側頭葉良性脳腫瘍(白→) 無症候性慢性硬膜下血腫 <脳卒中危険因子> 脳ドック(B コース)では、脳卒中危険因子の検査として、血圧測定・心電図検査と脳卒 中危険因子のための血液検査を行います。 心電図検査により、脳卒中とくに脳梗塞の危険因子としての不整脈(心房細動)と虚血 性変化の有無を判定します。 心電図の虚血性変化や左室肥大は冠動脈硬化と臓器障害を示唆する所見として脳病 変との関連性が報告されています。 当ドックでの脳卒中危険因子のための血液・尿検査を以下に示します。 一般血液検査 白血球 ・ 赤血球 ・ ヘモグロビン ・ ヘマトクリット ・ 血小板 一般尿検査 蛋白 ・ 糖 ・ 潜血 血液生化学検査 総蛋白 ・ アルブミン ・ GOT ・ GPT ・ γ-GTP 尿酸 ・ 尿素窒素 ・ クレアチニン ・ 糸球体濾過率(e-GFR) HDL コレステロール ・ LDL コレステロール ・ LDL/HDL 比 中性脂肪 ・ 血糖 ・ HbA1c

(10)

1. 心電図異常 心房細動は、70 歳代の 20 人にひとり、80 歳代の 10 人にひとりに存在するとされ、心臓 性脳塞栓症の原因 2/3 を占め、高齢になるほど発症頻度は高まります<図 8>。 図 8 心房細動の心電図 とくに、うっ血性心不全・高血圧症・高齢(75 歳以上)・糖尿病・脳卒中または TIA の既往 がある場合(CHADS2 スコア)、1 点ではアスピリンまたはワルファリン、2 点以上ではワル ファリンによる治療が勧められます。 ワルファリンの標準的な治療域(日本のガイドライン)は INR1.6∼2.6 とされています。 虚血性変化や左室肥大は、冠動脈変化や臓器障害を示唆する所見として脳病変との 関連性が報告されており高血圧症管理が必要です。 2. 高血圧症 高血圧症は、脳卒中や心臓病の最大の危険因子であり、日頃の血圧についての正し い知識と高血圧症に対する予防と治療が必要になります。 高血圧治療ガイドライン(JSH‐2004 年)による正常血圧の判定基準は、最高 130 かつ 最低 85 以下とし、最高 140 かつ最低 90 以上を高血圧、その中間(最高 130∼139、最低 85∼89)を正常高値血圧と定められています。 高血圧の原因は、腎臓・心臓血管系・内分泌系などの病気が原因となって発症する二 次性高血圧(約 5%)と、原因不明のいわゆる本態性高血圧(95% 以上)に分けられます。 二次性高血圧は原因となる病気の治療が優先されますが、本態性高血圧は根治治療 法がなく、以下の高血圧管理と降圧剤による血圧管理が必要になります。

(11)

高血圧症管理は下記の 4 点に集約されます。 3. 糖尿病 糖尿病は、脳卒中とくに脳梗塞や心筋梗塞の原因として重要ですが、症状の少ないこ とが特長的です。 糖尿病にはインシュリン依存型(1 型)と非依存型(2 型)の 2 つの型がありますが、通常 の成人発症型は 2 型で、インシュリン分泌低下とインシュリン抵抗性をきたす素因に過食 や運動不足肥満及び加齢が加わりインスリンの作用不足になることです。 糖尿病診断は、血液検査によって行われ、空腹時血糖の正常値は 60∼109 ㎎/dl、Hb (ヘモグロビン)A1c 値 4.3∼5.8%です。HbA1c は血糖コントロールの良し悪しを表す指標 で、採血時点より 1∼2 ヶ月前の平均血糖を反映します。 空腹時血糖値 126 ㎎/dl 以上、随時血糖値 200 ㎎/dl 以上、HbA1c 値 6.5%以上の場合 は糖尿病と考えて食事・運動療法と薬物療法を開始します<表 2>。 禁煙と減酒 減塩食を中心とした 食事療法 適度な運動による 肥満の防止 ストレス・過労・睡眠不足の追放

(12)

表 2 血糖コントロール状態の指標 血 糖 値 ( mg/dl ) HbA1c 値 (%) 空腹時 食後 2 時間 とても良い 5.8 未満 110 未満 140 未満 良い 5.8 ∼ 6.4 110 ∼ 129 140 ∼ 179 少し悪い 6.5 ∼ 6.9 悪い 7.0 ∼ 7.9 130 ∼ 159 180 ∼ 219 とても悪い 8.0 以上 160 以上 220 以上 4. 高脂血症と動脈硬化 動脈硬化とは、動脈血管壁の内側に沈着したコレステロールが血管腔を狭め血管壁が 硬くもろくなることをいいます。その結果主要な臓器の血流低下や血管の破綻をきたし、と くに脳・心臓・腎臓では大きな障害をきたすことになります。 動脈硬化の促進因子には、加齢と高脂血症以外に高血圧症・糖尿病・喫煙などがあり、 動脈硬化を予防するためにはそれぞれの因子に対する内科治療と食事・運動療法が大 切です。 高脂血症とは、血清脂質が血中に多く含まれることをいいます。 血清脂質にはコレステロール・トリグリセライド・リン脂質・脂肪酸があり、これらの大半 は血液中では蛋白質と結合してリポ蛋白として存在します。 コレステロールのうち低比重リポ蛋白として血中に存在する低比重コレステロール(悪 玉・LDL コレステロール)が増加すると動脈硬化を引き起こし、これに対し高比重コレステ ロール(善玉・HDL コレステロール)は高比重リポ蛋白として血中に存在し、動脈硬化の発 生を抑制する作用をもつといわれています。 LDL コレステロール

(13)

この LDL コレステロールと HDL コレステロールの比率で、HDL コレステロ−ル 40 以下、 LDL コレステロ−ル 140 以上の方は高脂血症として、スタチンなどの薬物療法が必要にな ります。 高脂血症予防のための食事は、HDL コレステロール比率を上げる魚類の油、植物油 (大豆・ごま・とうもろこし・米類)を充分摂り、LDL コレステロールの比率を下げる牛・豚肉、 バター・鶏卵・魚卵・レバー等や中性脂肪の原料となる砂糖類を控えるようにします。 また、植物繊維の多い野菜 (ごぼう・にんじん・こんにゃくなど)は腸内コレステロールの 排出に役立つため高脂血症予防に有効な食品といえます。 5. 慢性腎臓病 慢性腎臓病(CKD)は、脳卒中の独立した強力な危険因子であり、尿蛋白陽性もしくは 糸球体濾過率(e-GFR)60ml/分未満で CKD と診断します。 CKD を有する方の脳卒中予防は、生活習慣の改善と並存する上記高血圧・糖尿病・高 脂血症の管理が必要です。 高尿酸血症とは血清尿酸値 7mg/dl 以上をいい、高尿酸血症の治療目標は 6.0mg/dl 以下です。高尿酸血症は痛風の原因となり 60∼80%が高脂血症を合併することから、食 事療法とともに早期の薬物療法が必要になります。 6. 危険因子としての生活習慣 肥満は、体脂肪が過剰に蓄積した状態をいいます。

肥満度は BMI で表わし、BMI = 体重 (Kg) ÷ [ 身長(m)] 2 で計算され、BMI 22 が標

準、25 以上は肥満とされます。肥満は、摂取エネルギ−の過剰と運動不足により動脈硬 化性疾患の原因(高インスリン血症)となるため、肥満防止の生活習慣を工夫することが 必要です。 アルコールは、多量の場合肝臓・膵臓の障害、心臓疾患(心筋症)を引き起こし、カロリ ー過剰による肥満から動脈硬化・高脂血症・糖尿病の原因になるため、1 日 1 単位程度の 摂取を勧めます。 1 単位とは、ビール 500ml、日本酒1合、ワイングラス1杯に相当します。

(14)

たばこは、ニコチンが心臓の冠動脈攣縮をきたし血流を低下させますし、たばこの煙に 含まれる一酸化炭素が末梢動脈の酸素不足状態をひき起こすことから高血圧症や動脈 硬化をきたします。 また、肺・咽頭などのガン・虚血性心疾患・胃潰瘍・脳卒中の発病への影響が証明され ており、残念ながら医学的には「百害あって一利なし」といえます。 コーヒーは、成分のカフェインが脳を刺激して眠気をとり、食後の胃の働きを活発にし、 心臓や腎臓の血流を増加させ利尿効果を生じさせるため、食後 1∼2 杯/日のコーヒー は問題ありません。 しかし、多量のコーヒーやコーヒーを飲みながらたばこを吸うことは血中コレステロール 値を上げるため害になります。 香辛料は、食欲増進作用としての効果が大きく、高血圧の原因とされる塩分とは異なり 過食に気をつければ無害であるといわれます。

<おわりに>

最後に、2008 年 4 月∼2009 年 3 月の 1 年間に当院で施行した脳ドック(128 件)の検診 結果を参考として示します(重複あり)。 件数 % 正常 55 43 白質病変・脳萎縮 59 45 無症候性脳梗塞 9 7 無症候性脳出血 4 3 無症候性主幹動脈病変 14 11 未破裂脳動脈瘤(+解離) 8 6 その他(皮下腫瘍・clipping 後) 2 2 当院脳ドックは、①より専門的観点からの検査、②検査結果の正しい分析と評価、③脳 神疾患に対する早期治療の体制を一体としたドックとして自信をもって行っております。 しかし、いかなる専門的検査も完全なものはありません。 「ドックを受けたからもう安心!」と安易に考えずに、その「意義と限界」を充分に理解し ていただいた上で、今後の健康維持に役立てていただくことが大切です。 今後共、当院脳ドックが脳卒中を始めとした脳病変の予防と早期発見に役立つことが できれば、スタッフ一同の喜びです。

(15)

脳ドックを受ける人のために−脳ドックの意義と限界− 2009 年 9 月(第 8 版)

編集・発行人代表 穂翔会村田病院 村田高穂 〒544-0011 大阪市生野区田島 4- 2 – 1 ℡ 06 - 6757 – 0011 HP: http://www.muratahospital.jp

表 2  血糖コントロール状態の指標    血  糖  値  (  mg/dl  )    HbA1c 値  (%)  空腹時  食後 2 時間  とても良い    5.8  未満  110  未満  140  未満  良い  5.8  〜  6.4  110  〜  129  140  〜  179  少し悪い  6.5  〜  6.9  悪い  7.0  〜  7.9  130  〜  159  180  〜  219  とても悪い  8.0  以上  160  以上  220  以上      4. 

参照

関連したドキュメント

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

次に、第 2 部は、スキーマ療法による認知の修正を目指したプログラムとな

最も偏相関が高い要因は年齢である。生活の 中で健康を大切とする意識は、 3 0 歳代までは強 くないが、 40 歳代になると強まり始め、

前項では脳梗塞の治療適応について学びましたが,本項では脳梗塞の初診時投薬治療に

はい、あります。 ほとんど (ESL 以外) の授業は、カナダ人の生徒と一緒に受けることになりま

「海洋の管理」を主たる目的として、海洋に関する人間の活動を律する原則へ転換したと

行ない難いことを当然予想している制度であり︑

人間は科学技術を発達させ、より大きな力を獲得してきました。しかし、現代の科学技術によっても、自然の世界は人間にとって未知なことが