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慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程 学位論文 ( 2014 年度 ) 論文題名 顧客が勝手に Selection 主査 副査 副査 小幡績先生 齋藤卓爾先生 山本晶先生 副査 学籍番号 氏名下農弘之

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Title 「顧客が勝手にSelection」 Sub Title

Author 下農, 弘之(Shimono, Hiroyuki) 小幡, 績(Obata, Seki) Publisher 慶應義塾大学大学院経営管理研究科 Publication year 2014 Jtitle 修士論文 (2015. 3) Abstract Notes

Genre Thesis or Dissertation

URL http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?koara_id=KO40003001-00002014 -2955

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慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程 学位論文( 2014 年度) 論文題名

「顧客が勝手に Selection」

主 査

小幡 績 先生

副 査

齋藤 卓爾 先生

副 査

山本 晶 先生

副 査 学籍番号

81330682

氏 名

下農 弘之

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論 文 要 旨 E 所属ゼミ 小幡 研究会 学籍番号 81330682 氏名 下農 弘之 (論文題名)

「顧客が勝手に

Selection」

(内容の要旨) 顧客層の決定要因のうち、企業活動が直接影響を与えることができないものとして、顧客・潜在顧 客の商品への態度の相互作用があるのではないかと私は考えた。これによって顧客層が偏り、固ま ることを私は「顧客が勝手にSelection」と呼ぶことにした。 本調査では、「顧客が勝手にSelection」が実際に起きる可能性があるかを検証した。 自分の観察できる範囲内で、自分の身近にいる人(似た特徴をもった人)と同じ態度をとろうとし、 自分と似ていない特徴をもった人と逆の態度をとろうとする人を仮定して、潜在顧客の態度・行動 変化をSimulation したところ、以下の 2 点が分かった。①同じ態度・行動をとる人が集まった(ク ラスター化した)。 ②人の態度の初期値を変更すると、購入する顧客層が変化した。 また、顧客にこのような特徴がある商材を扱った企業に対して、以下のような対処の仕方を提案す る。①「顧客が勝手にSelection」に抗う、②完全に「顧客が勝手に Selection」に従う、③最初は 「顧客が勝手にSelection」に従って、偏った顧客層に対して販売する。

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目次

1 「顧客が勝手に Selection」の代表的な事例 ... 2 1.1 Burberry とは ... 2 1.2 三陽商会とは ... 2 1.3 Burberry と三陽商会の契約 ... 3 1.4 日本での Burberry の展開 ... 3

1.5 Burberry Blue label と Burberry Black label ... 3

1.6 三陽商会とのライセンス契約の解消 ... 5 1.7 顧客層に関する言及まとめ ... 7 1.8 まとめ ... 10 2 Abstract ... 11 3 Background ... 11 4 Definition ... 12 4.1 「顧客が勝手に Selection」 ... 12

4.2 Bandwagon effect, Snob effect ... 12

5 Method ... 12 5.1 3 つのパラメーター 𝑝𝑝、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 ... 13 5.2 初期条件 ... 13 5.3 次期状態の決定方法 ... 13 6 Data ... 15 6.1 ①ほとんどの人が、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤になったものと𝑝𝑝 = 0になったもののどちらかに分かれた ... 15 6.2 ② 初期条件を変更すると、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤となる人のパターンが変化した ... 21 6.3 ③すべての場合において、𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟が減少した(𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100< 100%となった) ... 22 7 Discussion No.1~Modeling について~ ... 22 7.1 1 財モデルであったこと ... 22 7.2 計算を単純化したこと ... 23 7.3 全員が同じ特性をもっていると仮定したこと ... 23 7.4 距離𝑜𝑜が近い人ほどその人にとって、身近な人であると解釈したこと ... 23

8 Discussion No.2 ~Model の解釈について~ ... 23

9 Discussion No.3 ~企業はどのように行動すればよいか~ ... 24

9.1 「顧客が勝手に Selection」に抗う ... 24

9.2 「顧客が勝手に Selection」に従う ... 25

9.2.1 完全に「顧客が勝手にSelection」に従う ... 25

9.2.2 最初は「顧客が勝手にSelection」に従って、偏った顧客層に対して販売する ... 26

10 Discussion No.4 ~「顧客が勝手に Selection」を加速する他の理由~ ... 27

11 Discussion No.5 ~ネットワーク外部性との関係について~ ... 28

12 Conclusion ... 28 1 / 30

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1 「顧客が勝手に Selection」の代表的な事例 「顧客が勝手にSelection」の代表的な事例として、Burberry の事例を取り上げる。 1.1 Burberry とは Burberry はブリティッシュ・トラッドの代表ブランド。創業者のトーマス・バー バリー氏は1835 年、英国生まれ。21 歳だった 1856 年、衣料品店を出店、Burberry ブランドをスタートさせた。 1891 年、ロンドンに出店、本格的な事業に乗り出した。1966、1971 年には英国の 産業表彰女王賞を受賞、このほかにもエリザベス女王から御用達マークを受けて いる。双槍騎兵をデザインしたブランドマークとレインコートそれも軍服用にデ ザインしたトレンチコートは世界的に有名。i 有名な「バーバリーチェック」は1924 年に登場した。コートの裏地としてデザイ ンされたのが起源である。iiBurberry は、欧州ではラグジュアリーブランド(高級 ランド)として、富裕層を中心にした市場で売られている。iii 1.2 三陽商会とは 1943 年設立の総合アパレルメーカー。「レインコートのサンヨー」として有名にな り、1970 年代に本格的に総合アパレル(婦人、紳士、子供服と服飾雑貨)に転じてか らも、相対的に自家工場比率が高く、品質には定評があった。生産の海外移転が当 たり前になった昨今でも国内生産比率は40%と群を抜いて高い。1970 年にコート の世界的ブランド、英Burberry 社と提携して製造・販売ライセンスを受け、その 後も契約更新は40 年以上に及ぶ。派生ブランドを含め「Burberry」の売上比率は 半分近くを占め、同社の代名詞といっても過言ではない。 百貨店全盛期から百貨店向けアパレルを指向、現在でも三陽商会単体では百貨店 向けは80%近い。しかしながら、百貨店の不振・衰退とともに、同社の売り上げも 伸び悩むようになったため、ライバルメーカー同様、新流通への進出も目立ってき た。1990 年代後半から対象年齢を下げてヤングレディス強化を進めており、販路 ではファッションビル、駅ビルなどへ拡大させている。直営のセレクトショップ出 店なども並行して進めている。「エポカ」「フラジール」に続き、2005 年春に 20~30 代レディス「スマッキーグラム」を新販路向けに開発、渋谷に初の直営店も開設し た。現在国内で22 店、昨年から出店を始めた中国手も展開している。Burberry の アジア販売やアウトレットも始めた。また、セレクトショップ事業中心のカイラニ 社から同ブランドの商標権、営業権なども継承、2010 年 2 月から新会社を始めて いる2008 年秋からの金融危機で百貨店は売り上げをまた一段と下げたため、同社 も 2009 年度には営業赤字を余儀なくされたが、2010 年度は新ブランド、新販路 の検討で再び息を吹き返したようだ。iv 2 / 30

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1.3 Burberry と三陽商会の契約 日本のアパレルはライセンス契約を重宝してきた。ブランド側のチェックは入るも のの、売上高の10%程度といわれるロイヤルティを払うだけで、自社企画の商品を 著名ブランドの名前で販売できる。資金が潤沢でない中小企業が乱立する日本のア パレルにとって、カネと時間をかけて自社ブランドを育成する手間が省けるのが魅 力だ。ブランド側にもメリットがあった。衣料品は地域ごとに体型や季節感、嗜好 が異なり、世界共通の製品を展開するのが困難とされる。日本でビジネスを始める 際、アパレルにライセンスを付与することで、在庫を抱えずにブランドの浸透と市 場の拡大を図ることができたのだ。v 日本では三陽商会が Burberry の製品を 1964 年から輸入・販売を開始した。1970 年には日本国内での生産・販売に関するライセンス契約を結び、コート、ジャケッ トなどの国内生産を開始した。1972 年にはスーツの製造・販売を始めた。その後も 契約更新が続き、1980 年に、20 年にわたる長期契約を結び、1988 年には子供服の 製造・販売も始めている。2000 年にも、両社はこのライセンス契約を更新した。vi vii 現在Burberry は、サブライセンシーは 14 社で、サブも含めた国内売上高は小売り ベースで1000 億円を超え、日本市場ではクリスチャン・ディオール、ポロ・ラルフ ローレンなどと並ぶ有力海外ブランドとなっている。viii 1.4 日本での Burberry の展開 日本では、三陽商会が1990 年代に 20~30 代向けのディフュージョンライン(有名 ブランドの普及版)として「Burberry Blue label」と「Burberry Black label」を 立ち上げ、Burberry が日本のアパレル市場に定着した。これについては、業界内で も「欧州のラグジュアリーブランドを、日本でアパレルの大衆ブランドに転化し、 普及させた三陽商会の功績は大きい」と評価する声が多い。ix 三陽商会は今秋から Burberry の高級ライン「バーバリー プローサム コレクシ ョン」の輸入・販売を始める。直営店を21 日に東京・千代田区のニューオータニ・ ガーデンコートに開設する。 直営店「バーバリー プローサム サンローゼ赤坂店」の敷地面積は264 平方メー トル。1999 秋冬シーズンはレディスのみでスタートする。中心価格はジャケット 23 万円、スカート9 万円、パンツ 69,000 円などで通常の約 2 倍。メンズは 2000 年春 夏から世界同時に展開する。 英Burberry 社はデザインチームやマーケティングチームに新しいスタッフを迎え、 ブランドイメージの刷新を進めてきた。「プローサム」はラテン語で前進という意 味。x

1.5 Burberry Blue label と Burberry Black label

1.5.1 Burberry Blue label、Burberry Black label とは

「Burberry Blue label」は、1996 年より販売を開始。ウィメンズブランドと

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し て ス タ ー ト し 、1998 年秋よりメンズに向けた商品を展開している。 「Burberry Blue label」と「Burberry Black label」は日本のみで展開してい るブランドだが、アジア各国からの人気が非常に高く、2010 年には両ブラン ドのメンズにおいて、輸出転売を目的とした販売を防ぐためのルールが設けら れた。メンズ商品の展開終了について同社は「本国のBurberry 社との協議の 上で決定した」とコメントしている。xi

1.5.2 Burberry Blue label とは

1996 年の秋、三陽商会の企画で日本独自のレーベルである「Burberry Blue label」を発表した。 18 歳から 25 歳の女性をターゲットに、「ジャクリーン・ケネディやオードリ・ ヘプバーンが 20 歳だったら何を選ぶか」というイメージでデザインされてい て、まさにBurberry の伝統にトレンドを融合させた品のあるクラッシックな スタイルを提案している。xii バーバリーロンドンなどの本国のデザインとも基本的に違っているモノが多 く、日本人向けに独自でデザインされているアイテムが多い。Burberry Blue label は一時、安室奈美恵さんや、吉川ひなのさんが愛用しているということ で爆発的な人気のブランドに成長した。ちなみにバーバリーロンドンなどのブ ランドの値段帯と比べると、割安に設定されている。

Burberry Blue label は 20 代がメインのターゲットになっているので、値段帯 からみて富裕層がターゲットになっているブランドと推測できる。xiii

【Burberry Blue label の価格帯】 アウター : 50,000~100,000 円 コート : 50,000~100,000 円 トップス : 15,000~ 40,000 円 パンツ : 12,000~ 30,000 円 バッグ : 25,000~ 80,000 円 財 布 : 18,000~ 30,000 円 1.5.3 Burberry Black label とは

1998 年、三陽商会は、百貨店向けヤングキャラクターズブランドである 「Burberry Black label」を発表し、以降このブランドはメンズ市場で、トッ プクラスの売り上げを誇っている。2006~2007 年には、「バーバリー・コンテ ンポラリーコレクションズ」を三陽商会企画で発表し、キャリア女性をターゲ ットに、バーバリー銀座店と伊勢丹新宿店単独ショップでスタートをし、展開 を拡大して行きた。その後、バーバリー・コンテンポラリーコレクションズを Burberry Black label と統合し、メンズウェアで展開し浸透している知名度を 活用し、40 代女性を中心客層とする Burberry と 20 代女性を中心客層とする

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Burberry Blue label の中間世代を繋ぐブランドとして位置づけ、百貨店を中 心に販売を開始した。xiv

Burberry Black label とは、日本人の男性のカジュアルラインとして三陽商会 という会社がイギリスのBurberry 社からライセンスを取得して販売している Burberry ブランドである。主なターゲットは 20 代後半~30 代前半なのだが、 実際に買っている方の年齢層はもっと上の 40 代の方なども多数存在している。 しかし若い世代にも絶大な人気を誇っており、よくテレビ番組などでジャニー ズ・嵐のメンバーが愛用している。Burberry Black label は、有名百貨店でも ある松坂屋・東武百貨店や、マルイなどのデパートにブティックを構えており、 ブラックで統一された店内が印象的である。xv

三陽商会が、2012 年 2 月末をもってアパレルブランド「Burberry Blue label」 のメンズ商品の販売を終了する。今後は「Burberry Blue label」のウィメンズ と「Burberry Black label」でライセンス商品の展開を継続していく。2011 年 6 月には、日本市場でライセンス商品の展開を行っている Burberry の子供服 を、2012 年秋冬シーズンを目標に英国 Burberry 社が開発するグローバルコ レクションの商品に切り替えることを発表している。xvi 1.6 三陽商会とのライセンス契約の解消 1.6.1 ライセンスの変更(2000 年) 三陽商会は「Burberry」のサブライセンス事業の取引形態を変更した。1999 年 12 月期までは同社が商品を仕入れ、ライセンス供与先に販売する際にマー ジンを取る方式だったが、今期からライセンス料だけを徴収する方式に完全に 切り替えた。売上高は減少するが、伝票処理や代金の授受などの事務手続きの 簡素化につなげる。xvii 1.6.2 ライセンス期間の見直し(2009 年) 三陽商会は2009 年 10 月 5 日、英高級ブランドの Burberry 社と 2020 年まで 結んでいた日本国内でのライセンス契約期間を、2015 年までに修正したと発 表した。1970 年から三井物産と 3 社で 10 年契約し、1980 年以降は 20 年契 約を続けてきた。だが今回は経済環境の激変で先行きが不透明ななか「長期に 契約設定する是非を検討した結果、見直すことで合意した」という。 Burberry の日本国内でのライセンス生産・販売は、三陽商会の売上高の約半 分を稼ぐ主力事業。従来の20 年契約が短縮されることについて三陽商会は「契 約10 年目での期間見直しは、もともと条項に入っていた」と説明。「Burberry にとっても日本市場は重要だと位置づけており、2016 年以降も契約が更新さ れると認識している」としている。 三陽商会は1964 年に Burberry からコートの国内輸入販売を開始。1970 年か ら10 年間のライセンス契約でコートやジャケットの生産・販売を始め、1980 5 / 30

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~2000 年は契約期間を 20 年に延長。2000 年以降も 20 年契約を更新してい た。昨年には3 社の共同出資で服飾雑貨の輸入販売を手掛けるバーバリー・イ ンターナショナル(東京・千代田)も設立した。xviii 1.6.3 ライセンス契約の終了(2014 年) 三陽商会は2014年5月19日、40年以上続けてきた英高級ブランド「Burberry」 のライセンス契約を 2015 年 6 月に終了すると発表した。Burberry は三陽商 会の連結売上高の半分を占める基幹ブランドだ。2016 年 12 月期に 20 億円の 営業赤字に転落する見通しとなった。「虎の子」Burberry を失う三陽商会は、 ライセンスブランド依存体質からの脱却を迫られている。 「『大丈夫か』と消費者は思うかもしれないが、我々は前向きに考えている」。 都内で開いた会見で、Burberry との契約交渉担当の小山文敬副社長はあえて 明るい表情で強調した。 三陽商会は、英 Burberry が世界展開する高級ライン「バーバリーロンドン」 の販売を終了し、日本で独自展開している若年向け婦人服「Burberry Blue label」と紳士服「Burberry Black label」も来年 7 月から Burberry の名前を 外すことが決まった。

三陽商会が1996 年に独自開発した Burberry Blue label は、歌手の安室奈美 恵さんが愛用、女子高生や 20 代女性の間で爆発的なブームを巻き起こした。 1998 年には男性向けに「Black label」を発売し、国内では売上高で本家の「ロ ンドン」に匹敵するブランドに育った。xix

三陽商会は、Blue label、Black label は Burberry のトレードマークであるチ ェック柄を従来より小さいサイズで使えるが、名称や馬と騎士の刺しゅうのマ ークは使えなくなる。愛用者も戸惑いそうだが、「今までできなかったインタ ーネット販売や広告宣伝が可能になり、自由度が増す」(小山副社長)と、業 績への悪影響は最小限に抑える考えだ。xx 1.6.4 契約解消後の展開 1.6.4.1 Burberry 2009 年 9 月、Burberry は東京・表参道に「直営路面第一号店」を開業。 その後も都内を中心に仙台、名古屋、京都、大阪で「直営路面店」を次々 と開業し、2014 年 5 月 20 日現在、14 店を展開。実質本社の直営となる 店舗を出店し始めた。今後も出店拡大を明らかにしている。Burberry の 2013 年版アニュアルレポートによれば、世界のライセンス契約収入 1 億 900 万ポンド(約 185 億円)のうち、60%強を日本のライセンス契約料 が占めている。だが、同社連結売上高20 億ポンド(約 3,400 億円)から すると、日本のそれはたった 3%強でしかない。xxi アパレル業界では、 英国 Burberry が日本で直営ビジネスを本格的に展開するとの見方が高 6 / 30

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まってきていた。xxii

1.6.4.2 三陽商会

派生ブランドの「Burberry Blue label」と「Burberry Black label」は、 2015 年秋冬シーズンより「Burberry」ブランド名を外した「Blue label」 並びに「Black label」として事業を継続する。xxiii また、これらのアジア

展開や、通信販売を加速する見込みである。xxiv 1.7 顧客層に関する言及まとめ 1.7.1 インタビュー記事 西川 光男 三陽商会社長(1983 年) 当社はハンドバッグ、小物類の製造販売の専門会社ですが、袋物業界が全般に 不振を続ける中で、まずまず順調に伸びています。創業以来約60 年間、30 歳 代、40 歳代の女性に的を絞り、高級品を売ってきましたが、安易に若者志向に 走らなかったことが逆に成功しています。 現在いちばん力を入れ、また、伸び盛りなのが英国のBurberry 社と提携した 「Burberry」ブランドのハンドバッグ、小物類です。キーケースからボストン バッグまでざっと百種類の製品を扱っていますが、あの伝統的なチェックは根 強い人気です。袋物業界はもはや価格競争ではダメです。当社はBurberry の ブランド品を扱うアパレルメーカーとも協力して、トータルファッション志向 を強めます。xxv 1.7.2 調査記事(1990 年) 三菱レイヨンの市場調査などの子会社、ヒューマン・マーク(本社東京、社長 和田直久氏、資本金 1,000 万円)は男性のファッション意識調査(平均年令 34.2 歳、調査対象 1081 人)を実施した。好きなブランドでは通勤・通学用の 場合、トップが「Burberry」で 19.2%を占めた。これに 14~16%台で「ダー バン」「ラルフ・ローレン」「ジョルジオ・アルマーニ」が続いている。xxvi 1.7.3 Target 顧客層の変更 三陽商会の主力ブランド「Burberry」の婦人服の売り上げが 1995 年 1~6 月期 で前年比 15%増と順調に推移している。チェック柄の伝統的なデザインの人 気復活とともに、色の見直しを中心としたブランドの「若返り」が好調の原因 のようだ。今年度は前年度比20%増の売り上げを見込んでいる。 これまで主要購買層を40 代後半に設定していたが、40 代前半の有職女性に絞 り込んだ。従来のチェック柄の定番商品に加えて、パステルカラー、ナチュラ ルカラーなど明るい色調を取り入れた。 7 / 30

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また、最近の流行や体形の変化に合わせて細身のシルエットを作りだした。上 下を合わせたスーツタイプのほか、単品でも組み合わせやすい色、デザインの 商品を取りそろえた。ドレス(59,000~63,000 円)、ブラウス(29,000 円)が 売れ筋商品。 40 代後半から 50 代に向けた婦人ブランドは各世代のし好の変化とともに、デ ザイン、色などの「若返り」が必要とされている。三陽商会は 1970 年に英 Burberry 社と提携、現在は全国の百貨店 180 店舗で販売している。ここ数年 売り上げは横ばいの状態が続いており、ブランドコンセプトの見直しを進めて きた xxvii 三陽商会は提携先の英老舗アパレル、Burberry 社のブランド衣料で若い消費 者を開拓する。来春発売の20~30 代向け「トーマス・バーバリー」は大型直営 店で展開するほか、コンピューター情報システムを初めて導入して販促につな げる。1996 年秋発売の 20 代女性向け「Burberry Blue label」の販売網も拡充 し、1999 年をめどに年間売上高で 2.5 倍への拡大をめざす。基幹商品 「Burberry」の顧客は中高年齢層が中心のため、若い消費者の取り込みを狙う。 トーマス・バーバリーは 20~30 代の家族層が対象。初年度は郊外型ショッピ ングセンターなどに大型の直営店を開設して販売する。初年度は 10 店を開設 の予定。Burberry Blue label は 20 代前半の女性から人気を集めており、7 月 末までに全国約30 の百貨店で扱い、1 年間で約 40 億円(小売りベース)の販 売実績がある。三陽商会は 1970 年から Burberry の高級紳士服を販売。同社 の売上高 1,344 億円(1996 年 12 月期)のうち 2~3 割を占めるとみられる基 幹商品だが、購買層は40 代以上の中高年が中心。2 ブランドの販売強化で「団 塊ジュニア層」などを取り込み、ブランド全体の活性化を図る。xxviii 1.7.4 インタビュー記事(2000 年) 英有力ブランド、Burberry の売れ行きが好調だ。2000 年 9 月中間期の売上高 は前年同期の倍近い1 億 8,500 万ポンド(1 ポンド=約 165 円)を記録した。 1997 年に就任した新経営陣が打ち出したレインコートメーカーからライフス タイル提案型企業への「ブランドの再生」が功を奏した。このほど、東京・銀 座の旗艦店開業に伴い来日したローズ・マリー・ブラボー社長に日本市場開拓 の戦略を聞いた。 ――売り上げ増には日本市場での成功が貢献したのか。 「売り上げだけでなく利益も大幅増になった。税引き前利益は1999 年中間期 が430 万ポンドだったのに対し、2000 年中間期は 2,660 万ポンドまで増えた。 地域ごとの売り上げは公表できないが、日本がBurberry にとって最大の市場 だ」 「全分野でまんべんなく、売り上げが伸びた。特に雑貨や婦人服でブランドの 認知が高まったことが貢献した。(Burberry のシンボルの)チェックが流行し、 8 / 30

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目標の売り上げに期待していたより早く達した」 ――社長就任以来進めてきた「ブランドの再生」とは。 「かつて私自身のBurberry に対する印象は『いいレインコート屋さん』だっ た。しかも世界中でイメージが統一されておらず、『違ったBurberry』が存在 しているという状況だった。(社長に就任してからは)ライセンス供与先のレ ベルを評価し、一定の水準に達していない供与先とは関係を断ち、かつては40 以上あった供与先を25 以下に絞り込んだ」 ――日本に進出している海外高級ブランド品メーカーの中には、商品展開をラ イセンス供与から直営に切り替えるところが多い。 「当社もライセンス先を絞り込んできたが、日本におけるパートナー、三井物 産と三陽商会は望んでいるレベルに達していると判断している。直営だけが唯 一の方法だとは思わない。統一したイメージを損なうことなく、各地域の特殊 性を反映していくのが理想だ」 「日本市場は独特だ。ブランド志向は他のどの国よりも強いし、新しいものに 敏感に反応する。こうした市場でパートナー企業はロンドンのイメージの統一 性を損なわないで日本の気候に合う生地を選び適切なサイズの商品を作って いる」

――日本独自の商品として、若い女性向けブランド「Burberry Blue label」が ある。これはイメージの統一感を損なうのでは。 「日本独特のコンセプトの若い人向け商品で、評価している。日本以外の地域 でも(Blue label が)できたらいいと思い、検討しているところだ」 ――Burberry ブランドが目指す方向は。 「それそれのブランドには背負っている運命がある。Burberry が目指すのは (一般消費者に)『手が届く高級品』で、洋服出身という意味では、ラルフ・ロ ーレンに似ているかもしれない。最近では世界で靴を始めたし、子供服にも力 を入れている。常にテーマにしているのは、英国的で若干のユーモアを含んだ 生活様式の提案だ」xxix 1.7.5 その他の記事 低価格ブランド「Blue label」が女子高生などに人気となったり、銀座店では 30~40 歳代の顧客が目立っており、中高齢者に偏りがちだった顧客層が拡大す る余地があると見ている。(2001 年)xxx 「『Burberry』を(中高年紳士向けの)年配ブランドと決めつけすぎていた」。 三陽商会の田中和夫社長は自社の持つブランド価値を改めてかみしめる。英 Burberry 社からライセンスを受けている同社は 5 年前、若い女性向けサブブ ランド「Blue label」を投入、若年層にも人気を広げた。女子高生がこぞって チェックのマフラーを愛用するなど、Burberry の知名度があってこその浸透 9 / 30

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力だ。 2000 年 12 月銀座に初めて開いた直営店では 30~40 歳代の男性客に女性客も まじり、近辺の百貨店でのBurberry 関連製品の売上高が軒並み増える波及効 果まで表れた。伝統的なブランドはとかく守りに回りがちだが、使い道次第で は値下げ競争に巻き込まれず、市場拡大の武器となる。(2001 年)xxxi アパレル各社がベビー服に相次ぎ新ブランドを投入している。団塊ジュニア世 代が28~31 歳と結婚・出産・育児期を迎え、子どもたちは両親に加え、双方の 祖父母を合わせて「6 ポケット」を持つ。リッチな市場を狙う各社のキーワー ドは「シンプルなデザイン」と「品質」だ。各社に先駆け、2000 年から英ブラ ンド「Burberry」でベビー・幼児向けを展開している三陽商会。ブランド全体 の若返りを図るなかで、既存の就学児童向け子供服でもカジュアル化を推進。 好調だったことから幼児にまで商品を拡大した。「親が着せたい服が狙い」(沢 井誠子供服企画部長)が当たった。(2002 年)xxxii 三陽商会は来年の春夏物から、英 Burberry の日本単独展開ブランドである 「Black label」と「Blue label」のチェック柄を刷新する。既存のバーバリー チェックより線を細くした「マイクロチェック」を採用。主力層である20~30 代向けに若々しくシャープな印象を打ち出し、Burberry のファン層拡大につ なげる。(2009 年)xxxiii 三陽商会は今春から、英高級ブランドのBurberry のアウトレットモール出店 を始める。主力販路である百貨店で売り切れなかった商品を割安な価格で販売 し、在庫消化率を高める。商業施設の出店開拓やインターネット通販と並ぶ新 たな収益源に育てる。(2010 年)xxxiv 男性へのマフラープレゼント応援サイトからの抜粋(参考意見) 個性でばらつく10 代~20 代のマフラー 10 代 20 代にとってのマフラーは寒さしのぎと言うよりも「お洒落」。 その為、質よりもデザインやブランドの好き嫌いで分かれる傾向があり、出て くるマフラーブランドは非常に様々。普段からのアナタの観察力が彼を喜ばせ れるかどうかのカギになる!? チェック柄で高校生に大人気の Burberry。その知名度から彼が高校生ならほ とんどの場合で喜んでくれるでしょう。 大学生から上の方の場合は、逆に高校生イメージが優先してしまう上、デザイ ンによっては同じ電車の高校生とお揃いに・・・なんて事もある為、そんな事 も考慮してデザイン慎重に選びましょう。xxxv 1.8 まとめ 10 / 30

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以上の記事から、ライセンス契約当初は若者向けに商品展開をしなかったが、1995 年前後から、若者をTarget とするようになったと思われる。その結果、Burberry に若者向けイメージが定着し、元来の Burberry(バーバリーロンドン)が持ってい た、高級ブランドとしてのブランドは棄損されたと思われる。また、Burberry と 三陽商会のライセンス契約が終了される結果も、このブランド棄損だけが原因と はいえないまでも、主要な要因としてあげられることは間違いないと思われる。 2 Abstract 顧客層の決定要因のうち、企業活動が直接影響を与えることができないものとして、顧 客・潜在顧客の商品への態度の相互作用があるのではないかと私は考えた。これによっ て顧客層が偏り、固まることを私は「顧客が勝手にSelection」と呼ぶことにした。 本調査では、「顧客が勝手にSelection」が実際に起きる可能性があるかを検証した。 自分の観察できる範囲内で、自分の身近にいる人(似た特徴をもった人)と同じ態度をと ろうとし、自分と似ていない特徴をもった人と逆の態度をとろうとする人を仮定して、 潜在顧客の態度・行動変化をSimulation したところ、以下の 2 点が分かった。①同じ 態度・行動をとる人が集まった(クラスター化した)。 ②人の態度の初期値を変更すると、 購入する顧客層が変化した。 また、顧客にこのような特徴がある商材を扱った企業に対して、以下のような対処の仕 方を提案する。①「顧客が勝手にSelection」に抗う、②完全に「顧客が勝手に Selection」 に従う、③最初は「顧客が勝手に Selection」に従って、偏った顧客層に対して販売す る。 3 Background 企業が顧客層の決定に際して利用するフレームワークは様々なものが存在する。例えば、 商 品 を 顧 客 に 提 供 す る 際 に 考 え る STP(Segmentation, Targeting, Positioning)や 4P(Product, Price, Place, Promotion)などである。これらは、企業が自社の意思に基づ いてコントロールできる要素をどのようにコントロールすればよいかを考えるための フレームワークである。

ところが、消費者の行動は企業のコントロール下にはないため、これらのフレームワー クで消費者の行動を捉えることは難しい。

3C もしくは 4C(Customer, Company, Competitor, Channel)は顧客について取り扱う フレームワークであるが、顧客(Customer)について、静的な所与の条件として整理する ために多く利用されるものであり、顧客の行動を説明するものではない。

また、認知的な顧客の購買活動に関するフレームワークとして、St. Elmo Lewis が提唱 した AIDA(Attention, Interest, Desire, Action)や、Samuel Roland Hall が提唱した AIDMA(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)などがあるxxxvi。これらは購買活

動における消費者の認知様式について説明したものである。

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以上のように企業が顧客層を決定する際に利用するフレームワークには、Marketing 戦 略を考えるフレームワークとしての STP や 4P、環境を整理するための 4C、消費者の 認知過程を示唆するものとしてのAIDA や AIDMA などが存在する。

このほかに、顧客の行動様態を説明するものとして、Bandwagon effect, Snob effect, Veblen effect が存在するxxxvii。これらは、自己の意思決定の際に、他者の行動や商品・

サービスの価格が影響する際に考慮すべき効果として知られている。Bandwagon effect とは、他人が商品を使用しているところを見て、その商品の需要が増加する効果であり、 Snob effect とは、他人が商品を使用しているところを見ると、その商品の需要が減少す る効果のことである。

本調査では、これらのうち、特に Bandwagon effect と Snob effect の特徴を参考にし て、顧客層の決定要因を検討する。 4 Definition 4.1 「顧客が勝手に Selection」 「顧客が勝手にSelection」とは、顧客・潜在顧客が、他の顧客・潜在顧客の意思 決定に影響を及ぼしあうことにより、顧客層が偏り、固定化することである。 本当はその商品に対して価値を感じていたとしても、すべての顧客が商品を購入 しているとは限らない。その理由の一つとして、例えば、OL が女子高生と同じマ フラーを買いたくないなどの理由がある。これは、その商品自体には価値を感じて いるが、意思決定の際に、他の顧客の影響を受けたためである。このような現象は 他にも多く当てはまる場合があると私は考える。この、他の顧客・潜在顧客の影響 を受けて、顧客層が偏り、固定化することを「顧客が勝手にSelection」と呼ぶこ とにする。

4.2 Bandwagon effect, Snob effect

Bandwagon effect と Snob effect を H. Leibenstein (May, 1950)の定義を参考に、 本研究では以下のように、定義する。 Bandwagon effect ほかの人が、財・サービスを利用しているところを見かけることにより、自分も同 じ財・サービスを購入し、利用したくなる効果。 Snob effect ほかの人が、財・サービスを利用しているところを見かけることにより、自分はそ の財・サービスを購入・利用をしないでおこうと感じる効果。 5 Method 900×900 の torus 型のネットワーク上に 3 つのパラメーター𝑝𝑝、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤、𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜を持 つ人を810,000 配置した。ネットワークの上端は下端と、左端は右端とそれぞれ結合し ており、ネットワーク全体は円筒を折り曲げて上下端を接合したドーナツ状の構造をし 12 / 30

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ていた。 5.1 3 つのパラメーター 𝑝𝑝、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤、𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 3 つのパラメーターについて、以下に示す。  態度𝑝𝑝について 態度𝑝𝑝は区間[0,1]の実数を持つ。𝑝𝑝はある商品の購買・利用意欲を示すものとし て定義した。 𝑝𝑝 = 0は商品を買いたい意欲・利用したい意欲が全くない状態を意味し、態度 が𝑝𝑝 = 1に近づくほど、その商品を買いたい・利用したいと思っている状態を 示すとする。  利用状況𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤について 現在、その商品を利用しているか、していないかを表す指標を真偽𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤で示し た。 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤(真)の時、商品を購入し、利用している状態を示し、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑓𝑓𝑤𝑤𝑜𝑜𝑟𝑟𝑤𝑤( 偽)の時、その商品をたとえ購入していたとしても、利用はしていない状態を 示す。  意志の固さ𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜について 各人は、行動(利用するか否か)を変える際に超えるべき閾値𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜を持つ。 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜は区間[0, 0.5)の実数として持つ。𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜が高いほど、自分の行動 が変わりにくいことを示す。 5.2 初期条件 3 つのパラメーター𝑝𝑝、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤、𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜について、以下のように初期条件を設定 した。  態度 𝑝𝑝 すべての人を 𝑝𝑝 = 0 と設定した。 その後、全体の5%にあたる、40,500 人を一様分布から選び、その人たちだけ、 𝑝𝑝 = 1 と設定した。  利用状況 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 𝑝𝑝 の設定後、 𝑝𝑝 = 1 となっている人だけ 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤(利用している) とし、その 他の人は𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑓𝑓𝑤𝑤𝑜𝑜𝑟𝑟𝑤𝑤(利用していない)とした。  意志の固さ 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 は各人について、区間[0, 0.5)の範囲の実数で一様分布から値を一つ ずつ選んだ。 5.3 次期状態の決定方法 torus 型のネットワークとそこに配置された人について以下の操作を行って、次期 状態を定めた。 ある人の現在の態度に、 13 / 30

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距離 0 < 𝑜𝑜 ≤ 10にいる人の態度𝑝𝑝の平均を加算する

距離20 ≤ 𝑜𝑜 ≤ 30にいる人の態度𝑝𝑝の平均を減算する という操作をすべての人に対して行った。 すなわち、座標[𝑖𝑖, 𝑗𝑗]にいる人の𝑡𝑡回目の試行時の態度を𝑝𝑝[𝑖𝑖, 𝑗𝑗]𝑡𝑡とすると、 𝑝𝑝[𝑖𝑖, 𝑗𝑗]𝑡𝑡+1= 𝑝𝑝[𝑖𝑖, 𝑗𝑗]𝑡𝑡+ 𝐵𝐵𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜 − 𝑆𝑆𝑅𝑅𝑜𝑜𝑆𝑆 𝐵𝐵𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜: [𝑖𝑖, 𝑗𝑗]から 0 < 𝑜𝑜 ≤ 10 にいる人の態度の平均 𝑆𝑆𝑅𝑅𝑜𝑜𝑆𝑆: [𝑖𝑖, 𝑗𝑗]から 20 ≤ 𝑜𝑜 ≤ 30 にいる人の態度の平均 (𝑖𝑖, 𝑗𝑗 ∈ ℕ: 0 ≤ 𝑖𝑖 ≤ 899, 0 ≤ 𝑗𝑗 ≤ 899) 𝑝𝑝を定義域に収めるため、上記の計算で 𝑝𝑝 < 0 になるものを 𝑝𝑝 = 0 とし、𝑝𝑝 > 1となる ものを 𝑝𝑝 = 1 とした。 距離𝑜𝑜は、四方に隣接するノードを距離 1 として、torus 面上を直線距離で測定した。 各人の次期状態は以下のように決定した。 0 ≤ 𝑝𝑝 ≤ 0.5 − 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 のとき、 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑓𝑓𝑤𝑤𝑜𝑜𝑟𝑟𝑤𝑤(利用しない)に設定 0.5 − 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 < 𝑝𝑝 < 0.5 + 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 のとき、 現在の状態を維持 0.5 + 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 ≤ 𝑝𝑝 ≤ 1 のとき、 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤(利用する)に設定 この状態の更新はすべての人に対して一斉に行った。1 回の Simulation(1 つの初期 条件)に対して、状態の更新は 100 回行った。 以上の操作を1 回の Simulation として、初期条件を変更して 100 回行った。 また、態度のばらつきを測定するため、𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟という指標を導入した。 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟 は、上下、左右に隣接する人の態度との差をすべての人について合計した 値とした。ただし、同じ人同士の計算は1 度しか行わないようにした。 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟 の指標は以下のように算出した。 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟 = � 𝑤𝑤𝑆𝑆𝑟𝑟(𝑝𝑝[𝑖𝑖, 𝑗𝑗] − 𝑝𝑝[𝑖𝑖 + 1, 𝑗𝑗]) + 𝑤𝑤𝑆𝑆𝑟𝑟(𝑝𝑝[𝑖𝑖, 𝑗𝑗] − 𝑝𝑝[𝑖𝑖, 𝑗𝑗 + 1]) 0≤𝑖𝑖≤899 0≤𝑗𝑗≤899 (だたし、𝑖𝑖 = 900 の時、𝑖𝑖 = 0 に、𝑗𝑗 = 900 の時、𝑗𝑗 = 0 とした) この 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟 をすべての初期条件に対して、それぞれ試行 0 回目の𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟に 比べた試行100 回目の 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟 の割合(%)を求め、𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100とした。 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100 =100 試行目の𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟 0 試行目の𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟 × 100[%] 14 / 30

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6 Data 以下のことが判明した。 ① ほとんどの人が、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤になったもの(緑)と𝑝𝑝 = 0になったもの(白)のどちらか に分かれた ② 初期条件を変更すると、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤となる人のパターンが変化した ③ すべての場合において、𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟が減少した。(𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100< 100%となった) 6.1 ①ほとんどの人が、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤になったものと𝑝𝑝 = 0になったもののどちらかに 分かれた ほとんどの人が、利用状況𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤(利用している) (時間がたつにつれて、ほと んどのものが𝑝𝑝 = 1)になったもの(緑)と態度𝑝𝑝 = 0になったもの(白)(そのすべてが 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑓𝑓𝑤𝑤𝑜𝑜𝑟𝑟𝑤𝑤)に分かれることが分かった 100 試行目の状態において、態度を決めかねている人(𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑓𝑓𝑤𝑤𝑜𝑜𝑟𝑟𝑤𝑤かつ𝑝𝑝 ≠ 0の人 すなわち、緑でも、白でもない人)の数については、以下のような結果になった。 平均 26718 ± 196.6 (信頼区間 99%) 最大値 28265 最小値 24749 標準偏差 748.52 つまり、全体の3.30%の人が態度を決めかねていて、それ以外のほとんどの人が利 用しているか、利用しないと決めたことになる。 態度分布の変化については以下のように起こった(図: 6-0 から図: 6-10 参照)。 なお、態度 𝑝𝑝 = 0 のものは白色に、利用状況 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤 のものは緑色に、 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑓𝑓𝑤𝑤𝑜𝑜𝑟𝑟𝑤𝑤 かつ 𝑝𝑝 ≠ 0 のものは、態度 𝑝𝑝 が 0 に近いほど青色の彩度が低く、 1 に 近いほど彩度が高くなるように表示した。 15 / 30

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図: 6-0 試行 0 回目

図: 6-1 試行 10 回目

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図: 6-2 試行 20 回目

図: 6-3 試行 30 回目

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図: 6-4 試行 40 回目

図: 6-5 試行 50 回目

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図: 6-6 試行 60 回目

図: 6-7 試行 70 回目

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図: 6-8 試行 80 回目

図: 6-9 試行 90 回目

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図: 6-10 試行 100 回目 以上の様子から、ほとんどの人が𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤となったもの(緑)と 𝑝𝑝 = 0 になったも の(白)のいずれかに分かれることが分かった。 6.2 ② 初期条件を変更すると、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤となる人のパターンが変化した 初期条件を変更した場合、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤となる人のパターンが変化した。つまり、 𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤となる人の作る模様が変化した。 すべての初期条件から得られた試行 100 回目の結果に対して、緑(𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤)と 白(𝑝𝑝 = 0)が作るパターンが完全に一致するかを調べた。 すると、すべての結果について、互いに異なるパターンを描いていることが分かっ た。 この際、以下のtorus に関する対称性について、すべて確かめた。 ① 比較の際に基準とする点を[0, 0]から[899, 899]までの 810,000 通り行った 初期条件A の座標[0, 0]の点と、比較の際に基準とする点を初期条件 B の座標 [0, 0]から[899, 899]まで、すべて変更して比較した。 ② 線対称性・点対称性 対称性なし、𝑥𝑥軸対称、𝑦𝑦軸対称、点対称について、すべて確かめた。 ③ 回転対称性 0°, 90°, 180°, 270°の回転対称についてすべて確かめた。 ①②③を複合して生まれる対称性についてすべて確かめた。 21 / 30

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図: 6-16 試行 100 回目(左)と、別の初期条件を設定したときの試行 100 回目(右) 6.3 ③すべての場合において、𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟が減少した(𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100< 100%となっ た) 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟はすべての初期条件の場合において減少した。 帰無仮説H0: 𝜇𝜇 ≥ 1.0 (𝜇𝜇: 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100の母集団平均)として、有意水準を 1%とし てt 検定を行った結果、p 値~0.0000となり、H0は棄却された。 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100の平均 23.18 % 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100の最大値 23.65 % 𝑅𝑅𝑤𝑤𝑅𝑅𝑜𝑜𝑜𝑜𝑅𝑅𝑅𝑅𝑤𝑤𝑟𝑟𝑟𝑟100の最小値 22.64 % Randomness100の標準偏差 0.0025 7 Discussion No.1~Modeling について~ Data①と③より、顧客層がクラスター化することが分かった。 今回行った Simulation には、現象を Modeling するにあたって、いくつかの制約条件 を付けた。 7.1 1 財モデルであったこと 今回のSimulation では、購入を検討する商品が 1 財であった。もちろん、世界に は商品は無数に存在するし、企業が1 商品しか提供しない場面もまれであろうが、 商品の購入態度に関する考察をするうえで十分であると判断した。 22 / 30

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7.2 計算を単純化したこと 今回の Simulation では、各個人に対して、遠くても、距離が 30 以下の人の情報 しか影響を及ぼさないとした。これは、個人の情報収集において、世界のすべてを 情報として受け取るわけではなく、自分にとって身近な人からは影響を受けるが、 身近でない人の情報は知りえないという仮定から、このように導いた。 しかし、現在では、身近でない人の情報や、全体の動向に関する情報などを入手す ることは可能である。この点に関しては、本model では、考慮していない。 7.3 全員が同じ特性をもっていると仮定したこと 現実世界では、周りの人の動向をとても気にするもいれば、まったく気にしない人 もいるだろう。しかし、Modeling の際に、このばらつきに関しては、排除して、 周りからの影響の受け具合を一律にした。

つまり、Bandwagon effect の影響を受ける人数 (距離𝑜𝑜の範囲)と、Snob effect の 影響を受ける人数(距離𝑜𝑜の範囲)については、全員同じ範囲に設定した。 Bandwagon effect : 0 < 𝑜𝑜 ≤ 10 にいる人から影響を受ける Snob effect : 20 ≤ 𝑜𝑜 ≤ 30 にいる人から影響を受ける 個人の特性としては、意思の固さ 𝑇𝑇ℎ𝑤𝑤𝑤𝑤𝑟𝑟ℎ𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜𝑜 を考慮した。これは、金銭的な都合や、 意思決定の速さが、人によって異なることを反映したものである。 7.4 距離𝑜𝑜が近い人ほどその人にとって、身近な人であると解釈したこと ここで身近な人とは、その人から物理的に近い人という意味ではなく、その人に影 響を及ぼす度合いが強い人のことである。 例えば、以下のような場合、影響を及ぼす度合いが強いと考えられる。  物理的な距離が近い場合 (同じ地域に住んでいるなど)  同じ組織に属している場合 (学校・会社など)  よく会話する人の場合 (友人など) これらの身近さを抽象的に表す指標として、距離𝑜𝑜を利用した。

8 Discussion No.2 ~Model の解釈について~

Burberry の事例と今回行った Simulation モデルを比較する。 Burberry の事例では、女子高生の間で Burberry のマフラー、ストールなどがとても人 気になった。この現象には、Bandwagon effect が強く関係していると私は考える。すな わち、女子高生が「身近な女子高生が着ているのを見て、自分もほしくなった」という ものが動機の1 つとしてあると思われる。これは、今回の Simulation の「距離 0 < 𝑜𝑜 ≤ 10にいる人の態度の平均を加算する」という操作を裏付けている。つまり、自分の身近 に存在する人(距離0 < 𝑜𝑜 ≤ 10の人)からは、正の影響(Bandwagon effect)を受けると解 する。 23 / 30

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また、OL が Burberry のマフラーなどを買いたくなくなった理由として、「同じものを 身につけることにより、自分が女子高生と同じカテゴリーの人間であると思われたくな い」「女子高生が身につけるようなものを自分が身に着けたくはない」といったことが 挙げられる。これは、Snob effect の一つの要因であると私は考えており、今回の Simulation の「距離20 ≤ 𝑜𝑜 ≤ 30にいる人の態度の平均を減算する」という操作を裏付 けている。つまり、自分の情報収集が可能な(普段目にする)距離には存在するが、自分 と異なった特徴を持つ(距離が離れている)人からは、負の影響(Snob effect)を受けると 解する。 さらに、Simulation 結果を見ると、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤をとった人のグループに偏りが生じて 固まっている。これは、Burberry の商品に対する顧客層の偏りを表している。つまり、 OL が買わずに、女子高生が買ったという現象を、𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑡𝑡𝑤𝑤𝑡𝑡𝑤𝑤をとった人のグループ(実 際の顧客層、すなわち女子高生)と𝑝𝑝 = 0 (これは、もれなく𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤𝑤 = 𝑓𝑓𝑤𝑤𝑜𝑜𝑟𝑟𝑤𝑤)をとったグル ープ(買わなかった人、すなわち OL)にわかれたことで説明している。 9 Discussion No.3 ~企業はどのように行動すればよいか~ ある一定の条件下では、「顧客が勝手にSelection」が起こることが分かった。 では、企業の意思決定の際に、これをどのように利用すればよいのであろうか。 私は以下の3 つの方法があると考える。  「顧客が勝手にSelection」に抗う  「顧客が勝手にSelection」に従う  完全に「顧客が勝手にSelection」に従う  最初は「顧客が勝手にSelection」に従って、偏った顧客層に対して販売する このそれぞれの方法について、検討する。 9.1 「顧客が勝手に Selection」に抗う この方法は、「顧客が勝手に Selection」が起きないように、常に観察しながら Marketing 活動を行うものである。 これについては、「顧客が勝手に Selection」の原因がいくつか判明しているため、 この原因が発生しないように注意して、Marketing 活動を行えばよい。 例えば、Burberry の事例のように「自分が他の利用者と同じカテゴリーに属すると 思われたくない」という理由によって、消費者の消費行動が影響を受ける場合、そ もそも顧客層が固まらないようにPromotion や Communication 施策を講じるなど が考えられる。 こ の 方 法 は 、Snob effect が比較的強い場合に用いるのが良いと思われる。 Bandwagon effect の効果を 1/3 に抑えて、上記と同様の Simulation を行った場合 を以下に示す。

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図: 9-1 Bandwagon effect を 1/3 にしたときの結果。左の図が 100 試行後の結果で、右の図 が200 試行後の結果。 この時、最終的な顧客層は、全体的な人数も、1 つのクラスターに属する人数もか なり少ないことが重要な点である。 この方法は、すでにBrand が確立しており、特定の顧客層にのみ販売したい場合な どに有効であると考えられる。Burberry の事例のように、すでに特定の顧客層(OL その他の顧客)をTarget としているにもかかわらず、「顧客が勝手に Selection」に よって、他の顧客(女子高生)に顧客層が偏ってしまわないようにするためには有 効であると思われる。 9.2 「顧客が勝手に Selection」に従う 9.2.1 完全に「顧客が勝手に Selection」に従う この方法は、「顧客が勝手にSelection」に任せて、あまり Targeting せずに販 売する方法である。つまり、顧客は、自分に価値があると思ったものを買うは ずなので、販売者がこの顧客層には価値があるはずと決めつけてTargeting す るのではなく、購入した人こそが本当にその商品に価値を認めた人だと解釈す るのである。 この方法は、Bandwagon effect が比較的強い場合に、効果的だと考えられる。 Snob effect の効果を 1/3 に抑え、その他の条件を変えずに上記と同じ Simulation を行った結果を以下に示す。 25 / 30

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図: 9-2 Snob effect を 1/3 にしたときの結果。左が 15 試行目で、右が 40 試行目の結果。 相対的にBandwagon effect が強いので、結果的に、大多数の人(Simulation 結 果では全員)が購入することになる。このような商品に関しては、Targeting な どせずに、万遍なくMarketing 活動をするのが良いと思われる。 また、この方法は100 円ショップ(100 均)の新商品などに最適であると思われ る。もちろん、100 均に訪れる人ということで、あらかじめ顧客層が絞られる し、商品によって、Target 顧客層はある程度推定できるものもある。ただ、そ の商品を誰がどのような目的で買ったかということをそれほど気にして売る 必要がなく、売上・利益が上がることが重要な場合、この方法が有効なのでは ないかと思われる。 9.2.2 最初は「顧客が勝手に Selection」に従って、偏った顧客層に対して販売する この方法は、最初は「顧客が勝手に Selection」に任せて販売し、ある程度顧 客層が偏ってきたところで、Target をその顧客層に絞って販売する方法であ る。9.2.1 の方法と同様に、「顧客が勝手に Selection」の影響をうまく利用す る方法である。最初は販売者側が顧客層を特定せずに、購入した人の近辺に本 当に必要としている顧客層があると推測するのである。そして、その顧客層に 対して、Promotion などの Marketing 戦略を立て、販売するのである。この 方法のメリットは、発売時に特定の顧客のみにフォーカスしないことで、幅広 い潜在顧客にアプローチできる一方、常にマス向けの Marketing 戦略をとら ないことで、確実に売れる顧客層のみに最適な Marketing 資金で対応できる ことである。

この方法は、Bandwagon effect と Snob effect が、同程度の効果があるときに 有効だと考えられる。

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これは、本研究のSimulation 結果の場合に他ならない。

図: 9-3 Bandwagon effect と Snob effect が同程度の場合の試行 100 回目の 結果。 この方法は、プロダクトアウト型の製品開発を行って生まれた商品に対して、 有効だと思われる。誰が最も必要としている商品かわからないので、とにかく 販売してみて、購入した人こそが真の顧客であるとするのである。そして、あ る程度顧客層が偏ってきたら、おそらく、その顧客層は同じようなニーズを持 っているはずだとして、その顧客層に向けて集中的に Marketing 戦略を組む のである。こうすることにより、その商品を本当に必要としている人にのみア プローチすることができ、かつ、そのための資金を最小限にとどめることがで きると思われる。

10 Discussion No.4 ~「顧客が勝手に Selection」を加速する他の理由~

本調査では、顧客の意思決定のみに依存する形で「顧客が勝手にSelection」が起きると した。しかし、Target 顧客を絞る工程は、顧客の意思決定のみに依存するわけではない。 商品開発などの企業活動も、「顧客が勝手にSelection」で偏り始めた顧客層をより一層 偏るように作用することがあると私は考えている。その過程はたとえば以下のようなも のが考えられる。 商品A の発売の際、「顧客が勝手に Selection」によって、顧客層が偏り始めたとす る。企業は市場調査をすることにより、商品A の発売当初、予定していた顧客層の うち、一部の顧客層(顧客層 X)から商品 A は支持されており、それ以外の顧客層か らの反応はあまりなかったとする。これを受けて、顧客層X 向けに絞った商品 B を 開発し、市場に投入すると、想定通り、顧客層X からの反応はよかったが、それ以 外からの顧客層からはあまり反応がなかった。結果的に、その商品ライン(A, B)は、 27 / 30

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以降も顧客層X 向けに新商品を開発・提供することになった。 このように、「顧客が勝手にSelection」によって偏り始めた顧客層への偏りを、一層強 化するように企業活動が行われることもあると私は考える。 これは、上記のように、商品開発や陳列場所の変更、Promotion や Communication の 方法の変更などによって、行われることが多いと考えられる。 11 Discussion No.5 ~ネットワーク外部性との関係について~ 本研究で定義したBandwagon effect と、ネットワーク外部性の関係について考察する。 本研究におけるBandwagon effect は「ほかの人が、財・サービスを利用しているとこ ろを見かけることにより、自分も同じ財・サービスを購入し、利用したくなる効果」と 定義した。一般に、ネットワーク外部性は「サービス加入者が増えれば増えるほど、利 用者の便益が向上する効果」と定義される。この2 つは、以下の理由から、定義に違い はあるが、”身の周りの人が利用していると、自分も利用したくなる”という点で、共通 していると考えられる。 購入・利用に至る直接の動機はそれぞれ異なり、Bandwagon effect は、「利用したくな る」という欲求が増加することであり、ネットワーク外部性については、利用時の便益 が増加することである。ただし、ネットワーク外部性においては、便益が増加すること により、購入・利用意欲が増加すると考えられる。そのため、Bandwagon effect におい ても、ネットワーク外部性の影響においても、”身の周りの人が利用していると、自分も 利用したくなる(購入・利用の意欲が増加する)”という点で、両者は一致していると考え られる。 そして、今回の Simulation においては、その共通点の特徴を持った操作(距離0 < 𝑜𝑜 ≤ 10の人が利用していると、自分の商品購入・利用への態度 𝑝𝑝 が上昇する)を行った。 ゆえに、本研究でのBandwagon effect によって起こった結論を、ネットワーク外部性 の効果によって起こったものとして扱うこともできる。 つまりネットワーク外部性は、本研究のBandwagon effect のみ作用する場合に該当す ると考えられるため、本研究は、ネットワーク外部性についての研究を拡張したものと して、位置づけることが可能である。 12 Conclusion 私は、顧客や潜在顧客の商品への態度の相互作用が、顧客層の決定に影響すると考え、 このプロセスを「顧客が勝手にSelection」と名付けて提案した。身近にいる人から正の 影響を受け、情報収集が可能な範囲内で遠い距離にいる人から負の影響を受けると仮定 した場合、確かに「顧客が勝手にSelection」が起きることを示した。つまり、顧客層は、 クラスター化し、かつ、その初期条件によって、クラスターの形成場所が変化すること が分かった。そして、これに対する企業の活動方針として、以下の3 つの方法を示した 28 / 30

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 「顧客が勝手にSelection」に抗う  完全に「顧客が勝手にSelection」に従う  最初は「顧客が勝手にSelection」に従って、偏った顧客層に対して販売する また、企業活動が「顧客が勝手にSelection」を強化するようにはたらく可能性があるこ とや、本研究がネットワーク外部性の研究を拡張したものと解釈できることについても 言及した。 謝辞 終始熱心なご指導を頂いた慶應義塾大学大学院 経営管理研究科の小幡 績准教授、齋藤 卓 爾准教授、山本 晶准教授に感謝の意を表します。 また、この修士論文を作成するにあたり、多くの時間を割いて議論してくださった、小幡研 究室の皆さま、本当にありがとうございました。 Refferences i 会社概要――バーバリー(変貌するブランド神話)1994/02/07 日経産業新聞 15 ページ ii http://burberry-brand.meblog.biz/ iii http://news.livedoor.com/article/detail/8927996/ iv 佐山 周 / 大枝一郎 (2011/10/12) 『1 秒でわかる! アパレル業界ハンドブック』 東洋経済新報社 v http://toyokeizai.net/articles/-/12691 vi http://diamond.jp/articles/-/645 vii http://diamond.jp/articles/-/645 viii 会社概要――バーバリー(変貌するブランド神話)1994/02/07 日経産業新聞 15 ページ ix http://news.livedoor.com/article/detail/8927996/ x 「バーバリー」高級ライン、三陽商会、赤坂に直営店。1999/08/20 日経産業新聞 23 ページ xi http://www.fashionsnap.com/news/2012-02-08/burberry-blue-mens/ xii http://burberry-brand.meblog.biz/ xiii http://burberry-kaitori.com/colmn_53.html xiv http://burberry-brand.meblog.biz/ xv http://burberry-kaitori.com/colmn_54.html xvi http://www.fashionsnap.com/news/2012-02-08/burberry-blue-mens/ xvii 三陽商会、「バーバリー」サブライセンス、マージン方式廃止。2000/02/22 日経産業新聞 21 ペー ジ xviii 英バーバリーとのライセンス契約、三陽商会、5年間短縮。2009/10/06 日経産業新聞 15 ページ xix 虎の子バーバリー失う――三陽商会、契約終了へ(News Focus)2014/05/20 日経産業新聞 1 ページ xx 三陽商会、バーバリー契約終了――「宣伝など自由度」、影響最小限に(News Focus) 2014/05/20 日経産業新聞 13 ページ xxi http://news.livedoor.com/article/detail/8927996/ xxii http://toyokeizai.net/articles/-/12691 xxiii http://news.livedoor.com/article/detail/8927996/ xxiv http://diamond.jp/articles/-/645 xxv 高級品に的絞る――西川社長西川光男氏(インタホン)1983/04/04 日経産業新聞 3 ページ xxvi リーバイスが一番人気、通勤用ではバーバリー――ヒューマンマーク男性ブランド調査。 1990/08/09 日経産業新聞 12 ページ xxvii 三陽商会、「バーバリー」、婦人服売り上げ好調――「若返り」が奏功。1995/07/05 日経産業新 29 / 30

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聞 20 ページ xxviii 三陽商会、英「バーバリー」の衣料、若い消費者の開拓強化――新商品を直営店で展開。 1997/10/27 日経産業新聞 18 ページ xxix バーバリー、ブランド再生、ブラボー社長に聞く――ライセンス供与先を選別。2000/12/15 日経産 業新聞 21 ページ xxx 三陽、直営店を倍増、5年計画、売上高50%増めざす。2001/03/19 日経産業新聞 18 ページ xxxi デフレに克つ消費拓く経営(下)「高くても」こだわり客発掘――強気の5%値上げ。 2001/04/11 日経産業新聞 24 ページ xxxii ベビー服、デザイン勝負――団塊ジュニアの子狙い素材も厳選。2002/09/11 日経産業新聞 20 ペー ジ xxxiii バーバリー「ブラック」「ブルー」、三陽商会、チェック柄刷新 2009/11/06 日経産業新聞 19 ペー ジ xxxiv 三陽商会、バーバリーのアウトレット。2010/02/15 日経産業新聞 16 ページ xxxv http://mahura.zouri.jp/nendaibetu-10dai-bland-burberry.html xxxvi http://matome.naver.jp/odai/2132383210009786701

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図 : 6-0  試行 0 回目
図 : 6-2  試行 20 回目
図 : 6-4  試行 40 回目
図 : 6-6  試行 60 回目
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鈴木 則宏 慶應義塾大学医学部内科(神経) 教授 祖父江 元 名古屋大学大学院神経内科学 教授 高橋 良輔 京都大学大学院臨床神経学 教授 辻 省次 東京大学大学院神経内科学

1991 年 10 月  桃山学院大学経営学部専任講師 1997 年  4 月  桃山学院大学経営学部助教授 2003 年  4 月  桃山学院大学経営学部教授(〜現在) 2008 年  4