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Steel Construction Engineering Vol.9 No.76 (December ) 7 BCP BCR STKR - a) a) b) FA c).. b) FA c).. d). c).. d).. d).. a) c) d) [] [] a)

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Academic year: 2021

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柱に STKR 材を用いた既存鋼構造骨組の

柱梁耐力比の実状と既往の補強方法に関する調査

Investigation on column overdesign factor of existing steel buildings

using STKR columns and references of reinforcement method

  長谷川 隆*    園田 正雄**    中野 達也***    聲高 裕治****

 Takashi HASEGAWA* Masao SONODA** Tatsuya NAKANO*** Yuji KOETAKA**** 

Keywords : 鋼構造骨組,冷間成形角形鋼管,STKR,柱梁耐力比,補強,実状調査

steel building, cold forming square tube, STKR, column overdesign factor, reinforcement, practical investigation

ABSTRACT In 2007, the building standard law of Japan was revised and a specification of column overdesign factor (COF) was added in case of square tube columns. This research deals with existing non-conformed steel buildings using STKR columns according to being not satisfied with the specification of COF. In this paper, firstly, a practical investigation of existing steel buildings is conducted to the conformance to the specifications of current allowable stress design. As a result, it is clarified that a lot of buildings are not satisfied with the specification of COF. Next, previous researches of reinforcements to increase column overdesign factor are reviewed, and finally, some kinds of reinforcements for column are proposed based on the practical investigation.

* 第2種正会員  博士(工学)独立行政法人建築研究所主任研究員  (〒 305-0802 茨城県つくば市立原 1) ** 第1種正会員  学士(工学)日鐵住金建材株式会社  (〒 135-0042 東京都江東区木場 2-17-12) *** 第2種正会員  博士(工学)宇都宮大学大学院 助教  (〒 321-8585 栃木県宇都宮市陽東 7-1-2) **** 第2種正会員  博士(工学)京都大学大学院 准教授  (〒 615-8540 京都府京都市西京区京都大学桂) 1.序 1. 1 2007 年の建築基準法令の改正  2007 年に改正された建築基準法令では,柱に 冷間成形角形鋼管(BCP・BCR・STKR のいず れか)を用いた鋼構造骨組を許容応力度等計算 に基づいて耐震設計する場合の規定として,表 1 に示すものが新たに盛り込まれた [1].法令の改 正によって追加された項目は,設計ルートごとに 表 1 のようにまとめられ,内容ごとに整理する と以下の 4 つに分類することができる. a) 柱に作用する応力の割増 ルート 1-1 または 1-2(ルート 1-2 は 2007 年の法令改正で新たに設けられた設計ルート) において,1 次設計用地震荷重(標準層せん 断力係数を 0.3 以上とする)に対して柱に作 用する応力を,角形鋼管の鋼種および柱梁接 合部の接合形式に応じて表 1 に示す値に従っ て割増し,短期許容応力度以下となることを 確認する. b) 幅厚比の制限 ルート 1-2 または 2 において,柱と梁の幅厚 比が FA ランクに属することを確認する. c) 柱脚に作用する応力の割増 ルート 1-1 を除くすべての設計ルート(柱の 鋼種が STKR の場合に限る)において,1 次 設計用地震荷重(ルート 1-2 では標準層せん 断力係数を 0.3 以上とする)に対する最下層 柱脚の作用応力を,柱梁接合部の接合形式に 応じて表 1 に示す値に従って割増し,短期許 容応力度以下となることを確認する. d) 柱梁耐力比および柱パネル耐力比の下限値 ルート 2 においては,鋼種にかかわらず節点 での柱梁耐力比が表 1 の値を上まわることを 確認する.ルート 3 においては,全体崩壊形 とするために,柱の鋼種が BCP,BCR の場 合には,フロアレベルにおける柱の全塑性曲 げ耐力和が,各節点での梁の全塑性曲げ耐力 和を 1.5 倍した値と接合部パネルの全塑性耐 力を 1.3 倍した値(表 1 参照)のうちどちら か小さい方のフロアレベルでの総和を上まわ ることを,また柱の鋼種が STKR の場合には,

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最上層柱頭部と最下層柱脚部を除くすべての 節点で柱梁耐力比が 1.5(表 1 参照)を上ま わることを確認する.  上記のうち a),c),d) は,冷間成形角形鋼管 の脆性的破壊を防止すること,ならびに柱崩壊に よる特定層への損傷集中を抑制することを目的 として,当初,冷間成形角形鋼管設計・施工マニュ アル [2] で規定されたものである.したがって, 文献 [2] に基づいて耐震設計された鋼構造骨組で あれば,a),c),d) の規定を必然的に満足している.  また b) の規定は,1981 年の建築基準法令改正 以降,ルート 2 において幅厚比が FB ランクとな る部材の使用が当面の緩和値として認められて いたが,2007 年の法令改正によってこの暫定的 措置が撤廃され,FA ランクに限定されたもので ある.なお,b) の規定は,柱の断面形状によらず, すべての鋼構造骨組に対して適用される. 1. 2 既存不適格の対処方法  原設計において上述した a) ∼ d) の規定を満足 していない場合,増築・改築・修繕などを行う 際の延床面積の総和が既存部分の 1/2 をこえる場 合,現行法が遡及適用されて既存不適格となり, 既存部分を含めて現行法規を満足するための対 処法が求められる.以下に,a) ∼ d) の規定を満 足しない場合に想定される対処法をまとめる.  a) と b) の規定は,設計ルートが 1 または 2 の 場合だけに該当するもので,設計ルートをルート 3 に変更することで設計の制約から外れる.a) に ついては,弾性設計をベースとするルート 1 に おいて,骨組の崩壊形が全体崩壊となることを意 図して設けられた規定であり,設計ルートの変更 に伴って d) の規定を検討することに置き換わる. また,b) については,ルート 3 で幅厚比のラン クに応じて構造特性係数を定め,必要保有水平耐 力を満足していることを確認することで対処で きる.このとき,必要保有水平耐力を満足しない 場合には,塑性化する部材の全塑性曲げ耐力を増 大させたり,耐震ブレースを増設したりするなど の補強が必要になる.  また,c) と d) は,ルート 3 においても規定が 課されており,許容応力度等計算の枠組で対処す るためには,これらの規定を満足しない部位に補 強等を施すことが必要となる.このうち c) で規 定されている最下層柱脚の許容応力度の検定(柱 の鋼種が STKR の場合だけに課される)につい ては,文献 [3] ∼ [7] で露出柱脚の曲げ耐力を増 大させる補強方法が提案されており,これらを適 用することで既存不適格が解消できるものと考 えられる.  d) の規定のうち,柱の鋼種が BCR,BCP の場 合,フロアレベルの柱パネル耐力比については, 本論文 2 章で詳述するように,パネルアスペク ト比が 1.75 程度以下であれば,規定値である 1.3 を概ね満足しており,ほとんどの場合にこの規定 は問題とならないものと考えられる.一方,柱の 鋼種が STKR の場合は,すべての節点で柱梁耐 力比の規定値(1.5)を満足しなければならない. 2 章の検討結果より,柱の鋼種が STKR の場合 には相当数の既存鋼構造骨組で柱梁耐力比の規 表 1 2007 年の建築基準法令改正による許容応力度等計算の追加項目 設計ルート 追加項目 BCP BCR STKR ルート 1-1 a) 柱に作用する応力の割増 ※ 1.1 / 1.2 1.2 / 1.3 1.3 / 1.4 ルート 1-2 a) 柱に作用する応力の割増 ※ 1.1 / 1.2 1.2 / 1.3 1.3 / 1.4 b) 幅厚比の制限(当面の緩和値撤廃による) FA ランクに限定 c) 柱脚に作用する応力の割増 ※ 1.3 / 1.4 ルート 2 b) 幅厚比の制限(当面の緩和値撤廃による) FA ランクに限定 c) 柱脚に作用する応力の割増 ※ 1.3 / 1.4 d) 柱梁耐力比の下限値 1.5(節点) ルート 3 c) 柱脚に作用する応力の割増 ※ 1.3 / 1.4 d) 柱梁耐力比の下限値 1.5(フロアレベル) 1.5(節点) d) 柱パネル耐力比の下限値 1.3(フロアレベル) −  ※ 柱梁接合部の接合形式によって以下のように分類される. 左:内ダイアフラム形式(ダイアフラムを落とし込む形式としたものを除く)を採用した場合 右:上記以外の接合形式を採用した場合

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最上層柱頭部と最下層柱脚部を除くすべての 節点で柱梁耐力比が 1.5(表 1 参照)を上ま わることを確認する.  上記のうち a),c),d) は,冷間成形角形鋼管 の脆性的破壊を防止すること,ならびに柱崩壊に よる特定層への損傷集中を抑制することを目的 として,当初,冷間成形角形鋼管設計・施工マニュ アル [2] で規定されたものである.したがって, 文献 [2] に基づいて耐震設計された鋼構造骨組で あれば,a),c),d) の規定を必然的に満足している.  また b) の規定は,1981 年の建築基準法令改正 以降,ルート 2 において幅厚比が FB ランクとな る部材の使用が当面の緩和値として認められて いたが,2007 年の法令改正によってこの暫定的 措置が撤廃され,FA ランクに限定されたもので ある.なお,b) の規定は,柱の断面形状によらず, すべての鋼構造骨組に対して適用される. 1. 2 既存不適格の対処方法  原設計において上述した a) ∼ d) の規定を満足 していない場合,増築・改築・修繕などを行う 際の延床面積の総和が既存部分の 1/2 をこえる場 合,現行法が遡及適用されて既存不適格となり, 既存部分を含めて現行法規を満足するための対 処法が求められる.以下に,a) ∼ d) の規定を満 足しない場合に想定される対処法をまとめる.  a) と b) の規定は,設計ルートが 1 または 2 の 場合だけに該当するもので,設計ルートをルート 3 に変更することで設計の制約から外れる.a) に ついては,弾性設計をベースとするルート 1 に おいて,骨組の崩壊形が全体崩壊となることを意 図して設けられた規定であり,設計ルートの変更 に伴って d) の規定を検討することに置き換わる. また,b) については,ルート 3 で幅厚比のラン クに応じて構造特性係数を定め,必要保有水平耐 力を満足していることを確認することで対処で きる.このとき,必要保有水平耐力を満足しない 場合には,塑性化する部材の全塑性曲げ耐力を増 大させたり,耐震ブレースを増設したりするなど の補強が必要になる.  また,c) と d) は,ルート 3 においても規定が 課されており,許容応力度等計算の枠組で対処す るためには,これらの規定を満足しない部位に補 強等を施すことが必要となる.このうち c) で規 定されている最下層柱脚の許容応力度の検定(柱 の鋼種が STKR の場合だけに課される)につい ては,文献 [3] ∼ [7] で露出柱脚の曲げ耐力を増 大させる補強方法が提案されており,これらを適 用することで既存不適格が解消できるものと考 えられる.  d) の規定のうち,柱の鋼種が BCR,BCP の場 合,フロアレベルの柱パネル耐力比については, 本論文 2 章で詳述するように,パネルアスペク ト比が 1.75 程度以下であれば,規定値である 1.3 を概ね満足しており,ほとんどの場合にこの規定 は問題とならないものと考えられる.一方,柱の 鋼種が STKR の場合は,すべての節点で柱梁耐 力比の規定値(1.5)を満足しなければならない. 2 章の検討結果より,柱の鋼種が STKR の場合 には相当数の既存鋼構造骨組で柱梁耐力比の規 表 1 2007 年の建築基準法令改正による許容応力度等計算の追加項目 設計ルート 追加項目 BCP BCR STKR ルート 1-1 a) 柱に作用する応力の割増 ※ 1.1 / 1.2 1.2 / 1.3 1.3 / 1.4 ルート 1-2 a) 柱に作用する応力の割増 ※ 1.1 / 1.2 1.2 / 1.3 1.3 / 1.4 b) 幅厚比の制限(当面の緩和値撤廃による) FA ランクに限定 c) 柱脚に作用する応力の割増 ※ 1.3 / 1.4 ルート 2 b) 幅厚比の制限(当面の緩和値撤廃による) FA ランクに限定 c) 柱脚に作用する応力の割増 ※ 1.3 / 1.4 d) 柱梁耐力比の下限値 1.5(節点) ルート 3 c) 柱脚に作用する応力の割増 ※ 1.3 / 1.4 d) 柱梁耐力比の下限値 1.5(フロアレベル) 1.5(節点) d) 柱パネル耐力比の下限値 1.3(フロアレベル) −  ※ 柱梁接合部の接合形式によって以下のように分類される. 左:内ダイアフラム形式(ダイアフラムを落とし込む形式としたものを除く)を採用した場合 右:上記以外の接合形式を採用した場合 定値を満足しておらず,実務上問題となることが 想定される.この対処方法については 3 章で詳 述する.  一方で,c),d) の仕様規定の制約を受けない計 算方法として,限界耐力計算,エネルギーの釣合 に基づく構造計算,時刻歴応答解析に基づく方法 があり,これらによって,構造安全性が確認でき る場合もあると考えられる.また,時刻歴解析等 による方法では,制振ダンパーによる補強方法の 採用も考えられる.既往の研究では,粘弾性ダ ンパーを用いるもの [8] ∼ [10],粘性ダンパーを 用いるもの [11],鋼材ダンパーを用いるもの [12] ∼ [20] など,多数の手法が提案されている.た だし,時刻歴解析等による検証は,一般的な検証 法ではないため,許容応力度等計算の枠組での対 処が求められる. 1. 3 本研究の目的  以上の背景に基づいて,本一連の研究では 2007 年の法令改正に伴って柱梁耐力比の規定を 満足しておらず既存不適格となる可能性が高い 柱に STKR 材を用いた鋼構造骨組を対象として, 許容応力度等計算の枠組の中で既存不適格を解 消する補強方法の提案および設計法の構築を目 的とする.  本論文では,この一連の研究の位置づけを明確 にすることを意図して,以下に示す 2 項目につ いて検討する.まず,既存鋼構造骨組の実状を把 握するために,設計資料に基づいて柱梁耐力比を 調査する.次に,柱梁耐力比を満足させるための 既往の補強方法を整理・分析し,2 章で示す調査 結果に基づいて本研究で推奨する補強方法の案 を提示する. 2.既存鋼構造骨組の実状調査  2 章では,冷間成形角形鋼管の生産実績を把握 し,対象となる鋼構造骨組の数量観を推測すると 共に,設計資料に基づいて柱に STKR 材を用い た既存中低層鋼構造骨組の実状を調査し,2007 年の建築基準法令の改正のうち,柱梁耐力比規定 等を満足していない割合や程度を把握する. 2. 1 冷間成形角形鋼管の生産実績  1977 年,JIS G 3466(一般構造用角形鋼管) に準拠した外形寸法が 200mm 以上の冷間ロ−ル 成形角形鋼管 STKR が開発され,1981 年の建築 基準法令の改正(新耐震設計法)を経て,中低層 鋼構造骨組を中心にラ−メン構造の柱材として 広く普及した.その後,1995 年に建築構造用冷 間ロ−ル成形角形鋼管 BCR295 が大臣認定を取 得し,2 種類のロ−ル成形角形鋼管が使われるよ うになった.  表 2 に STKR 材のサイズ別生産開始時期 [21], [22] を示し,図 1 に外形寸法が 200mm 以上の STKR 材および BCR 材の年度別生産量推移を示 す.生産量は(社)日本鉄鋼連盟の統計資料から 算出した.STKR 材は上記の経緯に合わせて生 図 1 STKR 材および BCR 材の生産量推移 表 2 STKR 材のサイズ別生産開始時期 図 2 STKC 材等および BCP 材の生産量推移 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 生 産 量 ( 万 ト ン ) STKR の シ ェ ア ( % ) STKR 生産実績 BCR 生産実績 STKRシェア 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 0 5 10 15 20 25 30 0 20 40 60 80 100 生 産 量 ( 万 ト ン ) STKC の シ ェ ア ( % ) STKC 生産実績 BCP 生産実績 STKCシェア 断面サイズ (mm) 板厚 6 8 9 12 16 19 22 外 形 寸 法 200 ○ ○ ○ ○ 250 ○ ○ ○ ● 300 ○ ○ ○ ● □ 350 ◎ ◎ ● □ ■ 400 ● ● ● □ ■ 450 □ □ ■ ■ 500 □ □ ■ ■ 550 ■ ■ ■ ○ 1977 年,◎ 1979 年,● 1982 年,□ 1989 年,■ 1991 年

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産量が 1990 年にピークを迎え,累計で約 1300 万トン以上が生産されている.また,1989 年か ら外形寸法が 500mm,1991 年から外形寸法が 550mm のサイズの生産が開始されていることか ら,柱に STKR 材を用いた既存鋼構造骨組に比 較的規模の大きいものも含まれていることが推 測される.1995 年の BCR 材の生産開始および 1996 年の文献 [2] の初版の刊行を契機に,BCR 材の生産量が増加し STKR 材の生産量が減少し ているが,累計で比較すると STKR 材は BCR 材の約 3.5 倍生産されており,法改正のあった 2007 年でも冷間ロール成形角形鋼管の 20% 以上 のシェアを STKR 材が占めていることがわかる.  参考として,図 2 に STKC 材等および BCP 材の年度別生産量推移を示す.STKC 材等には, STKC 材のほか,SS 材および SM 材の曲げ加工 品も含まれている.STKC 材は 1989 年に(社) 日本鋼構造協会により規格化された冷間ロール 成形角形鋼管と冷間プレス成形角形鋼管である. 冷間ロール成形角形鋼管については STKR 材が 広く利用されていたため STKC 材はほとんど使 用されていなかったが,冷間プレス成形角形鋼 管については SM 材による STKC 材が普及した. 2000 年の建築基準法令の改正によって外側曲率 半径が板厚の 10 倍未満となる冷間曲げ加工品に 基準強度を与えることができなくなったが,そ れまでに STKC 材等は累計で約 220 万トンが生 産されている.主なサイズの外形寸法が 500mm ∼ 1000mm と大きく,大規模・高層の既存鋼構 造骨組に多く使用されていることが推測される. STKC 材等を使用した鋼構造骨組は既存不適格 の状態にあるが,その対応については文献 [2] を 参照されたい. 2. 2 設計資料に基づく鋼構造骨組の実状調査 2. 2. 1 調査対象  過去に収集された設計資料を基に,既存鋼構造 骨組の実状を分析する.対象は,文献 [23] で調 査対象とした梁端接合部が全溶接接合工法の純 ラーメン骨組 93 件の内,重層骨組で柱に STKR 材およびそれに類するもの(注 1 参照)を使用 していた 82 件である.対象骨組の計画年度は 1991 ∼ 1999 年度であり,STKR 材の生産量が ピークであった時期とほぼ一致している.なお, 設計資料は,1995 年に宇都宮市役所および栃木 県内の鉄骨製作工場 [24],1998 年に宇都宮市役 所 [25],1999 年に栃木県内の鉄骨製作工場,建 設会社および建築設計事務所から収集されたも のである.骨組の基本情報は文献 [23] を参照さ れたい. 2. 2. 2 柱梁耐力比  柱梁耐力比 Rcbの検討を行う.Rcbは次式で算 出した. Σ Σ c p cb b p M R M =   (1) ここで,ΣcMpは上下の柱の全塑性曲げ耐力の 和であり,柱コーナー部の外側曲率半径 r を柱板 厚の 2 倍として算出し,全塑性曲げ耐力に及ぼ す軸力の影響は考慮していない.ΣbMpは左右 の梁の全塑性曲げ耐力の和であり,梁フィレット 部の断面性能への寄与は考慮していない.基準強 度は柱,梁ともに 235N/mm2とした.  図 3 に Rcbの相対度数分布を示し,表 3 に柱梁 耐力比の規定値 1.5 との対応を示す.これらの図 表は,表 4 に示すように,節点を立面形状で十 字形接合部とト字形接合部の 2 種類に分類した ケースと,これに平面形状も考慮して中柱,側柱 (十字形),側柱(ト字形),隅柱の 4 種類に細分 類したケースで整理している.相対度数の母数 は x 構面と y 構面それぞれにおける節点数の和 (以下,全節点と略記)であり,柱梁接合部数の 2 倍となる.ただし,最上層柱頭部および 1 階柱 脚部は柱梁耐力比を検討する必要がないため除 外した.なお,図 3 の横軸は「左の値」以上「右 の値」未満で表しており,例えば 1.0 と 1.1 の間 の棒グラフは 1.0 以上 1.1 未満を表している.表 3 の( )が付いていない数値は全節点に対する 相対度数であり,( )が付いている数値は 4 種 類に細分類した節点形状毎の相対度数である.  節点の立面形状が十字形接合部である中柱と 側柱(十字形),ト字形接合部である側柱(ト字 形)と隅柱は概ね同様の分布状況であり,柱梁耐 力比に節点の平面形状はあまり影響していない. 柱梁耐力比の規定値 1.5 との対応は,十字形接合 部の 78%,ト字形接合部の 31% が規定値を満足 していない.平面形状で見ると,中柱は 85% が 規定値を満足していないが,その比率は全節点の 7% と低い.側柱は全節点の半分程度を占めてお り,側柱十字形接合部の 72%,側柱ト字形接合 部の 39% が規定値を満足していない.隅柱は全 節点の 4 割程度を占めており,その 23% が規定 値を満足していない.骨組で見ると,柱梁耐力比 の規定を満足しないものは 82 件中 71 件で,そ の比率は 87% と非常に高い値であった.  なお,上述したように,中低層規模の鋼構造骨

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産量が 1990 年にピークを迎え,累計で約 1300 万トン以上が生産されている.また,1989 年か ら外形寸法が 500mm,1991 年から外形寸法が 550mm のサイズの生産が開始されていることか ら,柱に STKR 材を用いた既存鋼構造骨組に比 較的規模の大きいものも含まれていることが推 測される.1995 年の BCR 材の生産開始および 1996 年の文献 [2] の初版の刊行を契機に,BCR 材の生産量が増加し STKR 材の生産量が減少し ているが,累計で比較すると STKR 材は BCR 材の約 3.5 倍生産されており,法改正のあった 2007 年でも冷間ロール成形角形鋼管の 20% 以上 のシェアを STKR 材が占めていることがわかる.  参考として,図 2 に STKC 材等および BCP 材の年度別生産量推移を示す.STKC 材等には, STKC 材のほか,SS 材および SM 材の曲げ加工 品も含まれている.STKC 材は 1989 年に(社) 日本鋼構造協会により規格化された冷間ロール 成形角形鋼管と冷間プレス成形角形鋼管である. 冷間ロール成形角形鋼管については STKR 材が 広く利用されていたため STKC 材はほとんど使 用されていなかったが,冷間プレス成形角形鋼 管については SM 材による STKC 材が普及した. 2000 年の建築基準法令の改正によって外側曲率 半径が板厚の 10 倍未満となる冷間曲げ加工品に 基準強度を与えることができなくなったが,そ れまでに STKC 材等は累計で約 220 万トンが生 産されている.主なサイズの外形寸法が 500mm ∼ 1000mm と大きく,大規模・高層の既存鋼構 造骨組に多く使用されていることが推測される. STKC 材等を使用した鋼構造骨組は既存不適格 の状態にあるが,その対応については文献 [2] を 参照されたい. 2. 2 設計資料に基づく鋼構造骨組の実状調査 2. 2. 1 調査対象  過去に収集された設計資料を基に,既存鋼構造 骨組の実状を分析する.対象は,文献 [23] で調 査対象とした梁端接合部が全溶接接合工法の純 ラーメン骨組 93 件の内,重層骨組で柱に STKR 材およびそれに類するもの(注 1 参照)を使用 していた 82 件である.対象骨組の計画年度は 1991 ∼ 1999 年度であり,STKR 材の生産量が ピークであった時期とほぼ一致している.なお, 設計資料は,1995 年に宇都宮市役所および栃木 県内の鉄骨製作工場 [24],1998 年に宇都宮市役 所 [25],1999 年に栃木県内の鉄骨製作工場,建 設会社および建築設計事務所から収集されたも のである.骨組の基本情報は文献 [23] を参照さ れたい. 2. 2. 2 柱梁耐力比  柱梁耐力比 Rcbの検討を行う.Rcbは次式で算 出した. Σ Σ c p cb b p M R M =   (1) ここで,ΣcMpは上下の柱の全塑性曲げ耐力の 和であり,柱コーナー部の外側曲率半径 r を柱板 厚の 2 倍として算出し,全塑性曲げ耐力に及ぼ す軸力の影響は考慮していない.ΣbMpは左右 の梁の全塑性曲げ耐力の和であり,梁フィレット 部の断面性能への寄与は考慮していない.基準強 度は柱,梁ともに 235N/mm2とした.  図 3 に Rcbの相対度数分布を示し,表 3 に柱梁 耐力比の規定値 1.5 との対応を示す.これらの図 表は,表 4 に示すように,節点を立面形状で十 字形接合部とト字形接合部の 2 種類に分類した ケースと,これに平面形状も考慮して中柱,側柱 (十字形),側柱(ト字形),隅柱の 4 種類に細分 類したケースで整理している.相対度数の母数 は x 構面と y 構面それぞれにおける節点数の和 (以下,全節点と略記)であり,柱梁接合部数の 2 倍となる.ただし,最上層柱頭部および 1 階柱 脚部は柱梁耐力比を検討する必要がないため除 外した.なお,図 3 の横軸は「左の値」以上「右 の値」未満で表しており,例えば 1.0 と 1.1 の間 の棒グラフは 1.0 以上 1.1 未満を表している.表 3 の( )が付いていない数値は全節点に対する 相対度数であり,( )が付いている数値は 4 種 類に細分類した節点形状毎の相対度数である.  節点の立面形状が十字形接合部である中柱と 側柱(十字形),ト字形接合部である側柱(ト字 形)と隅柱は概ね同様の分布状況であり,柱梁耐 力比に節点の平面形状はあまり影響していない. 柱梁耐力比の規定値 1.5 との対応は,十字形接合 部の 78%,ト字形接合部の 31% が規定値を満足 していない.平面形状で見ると,中柱は 85% が 規定値を満足していないが,その比率は全節点の 7% と低い.側柱は全節点の半分程度を占めてお り,側柱十字形接合部の 72%,側柱ト字形接合 部の 39% が規定値を満足していない.隅柱は全 節点の 4 割程度を占めており,その 23% が規定 値を満足していない.骨組で見ると,柱梁耐力比 の規定を満足しないものは 82 件中 71 件で,そ の比率は 87% と非常に高い値であった.  なお,上述したように,中低層規模の鋼構造骨 表 4 節点形状による分類 中柱 側柱(十) 側柱(ト) 隅柱 十字形 ト字形 立 面 形 状 平 面 形 状 表 3 柱梁耐力比規定値との対応(%) 十字形 ト字形 計 中柱 側柱 隅柱 Rcb≧ 1.5 1.3 7.0 15.1 32.2 55.6 (15.3) (28.2) (60.6) (77.5) Rcb< 1.5 7.3 17.9 9.8 9.4 44.4 (84.7) (71.8) (39.4) (22.5) 計 8.6 24.9 24.9 41.6 100 図 3 柱梁耐力比 Rcbの分布 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 2 3 4 5 6 7 0 十字形 4≦ 相 対 度 数 (%) 柱梁耐力比 Rcb 規定値 平均値 :1.25 標準偏差:0.47 (a) 立面形状で 2 分類したケース (b) 立面形状と平面形状で 4 分類したケース 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 2 3 4 5 6 7 0 ト字形 4≦ 相 対 度 数 (%) 柱梁耐力比 Rcb 規定値 平均値 :2.03 標準偏差:0.83 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 2 3 4 5 6 7 0 中柱 4≦ 相 対 度 数 (%) 柱梁耐力比 Rcb 規定値 平均値 :1.12 標準偏差:0.38 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 2 3 4 5 6 7 0 隅柱 4≦ 相 対 度 数 (%) 柱梁耐力比 Rcb 規定値 平均値 :2.16 標準偏差:0.89 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 2 3 4 5 6 7 0 側柱 (十) 4≦ 相 対 度 数 (%) 柱梁耐力比 Rcb 規定値 平均値 :1.29 標準偏差:0.49 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 1 2 3 4 5 6 7 0 側柱 (ト) 4≦ 相 対 度 数 (%) 柱梁耐力比 Rcb 規定値 平均値 :1.82 標準偏差:0.65

(6)

組ではほとんどの節点が側柱と隅柱で構成され ていることがわかる.通常,骨組の外構面には外 壁が取り付けられており,これを取り外すことは 非常に困難であることから,側柱と隅柱ではこの ことに配慮して補強方法を検討する必要がある. 2. 2. 3 柱パネル耐力比  柱パネル耐力比 Rcpの検討を行う.Rcpおよび パネルの全塑性耐力pMpは次式で算出した. Σc p cp p p M R M =   (2) 2 3 pMp = d d tb⋅ c ⋅ p⋅ F   (3) ここで,dbは梁フランジ板厚中心間距離であり, 左右で梁サイズが異なる梁段違い形式の場合は, 簡略的に梁せいが大きい方の値とした.dcは Dc-tp(Dcは上階側の柱幅 [26],tpはパネル板厚) であり,上下階で柱の板厚が異なる場合の tpは 下階側の柱の板厚とした.(3) 式中の F はパネル 材の基準強度であり,235N/mm2とした.  図 4 に Rcpの相対度数分布を示す.相対度数の 母数は,最上層柱頭部および 1 階柱脚部を除く 全節点である.図から,Rcpは 1.0 ∼ 2.5 程度の 範囲に分布していることがわかる.表 1 に示し たとおり,STKR 材には柱パネル耐力比の検討 は必要とされていないが,目安として規定値 1.3 との対応を見ると,規定値を満足していない比率 は全節点のわずか 4% であった.  図 5 にパネルアスペクト比 db/dcの相対度数分 布を示す.図から,db/dcは 1.0 ∼ 2.0 程度の範 囲に分布していることがわかる.  図 6 に Rcpと db/dcの関係を示す.上下階の柱 幅および左右の梁せいが同じ場合を一般形式,上 下階で柱幅が異なる場合をテーパー管形式とし, プロットを一般形式,テーパー管形式,梁段違い 形式に分類している.図から,実建物では db/dc が 1.75 程度以下の範囲ではほぼ Rcpが 1.3 を上 まわっている.なお,テーパー管形式は全節点の 17% であり,梁段違い形式は全節点の 5% であっ た.  ここでの検討結果は,STKR 材に限って得られ たものであるが,柱とパネルは断面寸法と鋼種が 同じであるケースがほとんどであるため,STKR 材以外の柱材を使用した場合にも同様の傾向が 得られる.したがって,BCR,BCP を使用した 場合に適用されるフロアレベルの柱パネル耐力 比の規定は,ほとんどの場合に満足されると考え られる.ただし,図 5 に示すパネルアスペクト 比の相対度数分布については,柱と梁の基準強度 (鋼種)の組合せによって今回の結果と多少異な る傾向が得られることが予想される. 2. 2. 4 最初に塑性化する部材の判定  全塑性曲げ耐力に基づく柱梁耐力比は,断面寸 法が決定した段階で比較的簡単に求めることが できるため,実務設計においてその規定値を定 めることは合理的であるが,節点においてどの 図 6 柱パネル耐力比とアスペクト比の関係 図 5 パネルアスペクト比の分布 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0 1 2 3 4 パネルアスペクト比 db / dc 柱 パ ネ ル 耐 力 比   Rcp 一般形式 テーパー管形式 梁段違い形式 Rcp=1.3 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0 5 10 15 20 相 対 度 数 (%) パネルアスペクト比 db / dc 平均値 :1.47 標準偏差:0.28 図 4 柱パネル耐力比の分布 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 5 10 15 0 相 対 度 数 (%) 柱パネル耐力比 Rcp 規定値 平均値 :1.72 標準偏差:0.32

(7)

組ではほとんどの節点が側柱と隅柱で構成され ていることがわかる.通常,骨組の外構面には外 壁が取り付けられており,これを取り外すことは 非常に困難であることから,側柱と隅柱ではこの ことに配慮して補強方法を検討する必要がある. 2. 2. 3 柱パネル耐力比  柱パネル耐力比 Rcpの検討を行う.Rcpおよび パネルの全塑性耐力pMpは次式で算出した. Σc p cp p p M R M =   (2) 2 3 pMp = d d tb⋅ c ⋅ p⋅ F   (3) ここで,dbは梁フランジ板厚中心間距離であり, 左右で梁サイズが異なる梁段違い形式の場合は, 簡略的に梁せいが大きい方の値とした.dcは Dc-tp(Dcは上階側の柱幅 [26],tpはパネル板厚) であり,上下階で柱の板厚が異なる場合の tpは 下階側の柱の板厚とした.(3) 式中の F はパネル 材の基準強度であり,235N/mm2とした.  図 4 に Rcpの相対度数分布を示す.相対度数の 母数は,最上層柱頭部および 1 階柱脚部を除く 全節点である.図から,Rcpは 1.0 ∼ 2.5 程度の 範囲に分布していることがわかる.表 1 に示し たとおり,STKR 材には柱パネル耐力比の検討 は必要とされていないが,目安として規定値 1.3 との対応を見ると,規定値を満足していない比率 は全節点のわずか 4% であった.  図 5 にパネルアスペクト比 db/dcの相対度数分 布を示す.図から,db/dcは 1.0 ∼ 2.0 程度の範 囲に分布していることがわかる.  図 6 に Rcpと db/dcの関係を示す.上下階の柱 幅および左右の梁せいが同じ場合を一般形式,上 下階で柱幅が異なる場合をテーパー管形式とし, プロットを一般形式,テーパー管形式,梁段違い 形式に分類している.図から,実建物では db/dc が 1.75 程度以下の範囲ではほぼ Rcpが 1.3 を上 まわっている.なお,テーパー管形式は全節点の 17% であり,梁段違い形式は全節点の 5% であっ た.  ここでの検討結果は,STKR 材に限って得られ たものであるが,柱とパネルは断面寸法と鋼種が 同じであるケースがほとんどであるため,STKR 材以外の柱材を使用した場合にも同様の傾向が 得られる.したがって,BCR,BCP を使用した 場合に適用されるフロアレベルの柱パネル耐力 比の規定は,ほとんどの場合に満足されると考え られる.ただし,図 5 に示すパネルアスペクト 比の相対度数分布については,柱と梁の基準強度 (鋼種)の組合せによって今回の結果と多少異な る傾向が得られることが予想される. 2. 2. 4 最初に塑性化する部材の判定  全塑性曲げ耐力に基づく柱梁耐力比は,断面寸 法が決定した段階で比較的簡単に求めることが できるため,実務設計においてその規定値を定 めることは合理的であるが,節点においてどの 図 6 柱パネル耐力比とアスペクト比の関係 図 5 パネルアスペクト比の分布 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0 1 2 3 4 パネルアスペクト比 db / dc 柱 パ ネ ル 耐 力 比   Rcp 一般形式 テーパー管形式 梁段違い形式 Rcp=1.3 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 0 5 10 15 20 相 対 度 数 (%) パネルアスペクト比 db / dc 平均値 :1.47 標準偏差:0.28 図 4 柱パネル耐力比の分布 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 5 10 15 0 相 対 度 数 (%) 柱パネル耐力比 Rcp 規定値 平均値 :1.72 標準偏差:0.32 部材が最初に塑性化するかを判定できるものではない.正確に塑性化状況を検討するためには, 地震応答解析等を行って各部材の損傷を把握す る必要があるが,本論文では,各部材の節点全塑 性モーメント Mp*を比較する略算法 [27] により, 大局的にその傾向を分析する.  節点全塑性モーメントは,構面内を想定した 0 度方向の値と,斜め方向入力を想定した 45 度方 向の値をそれぞれ算出した.0 度方向については 次式で算出した. 1 b cMp∗ =⎛⎜ +dH ⎞⎟cMp ⎝ ⎠  (4.a) 1 c bMp∗ =⎛⎜ +dL ⎞⎟bMp ⎝ ⎠  (4.b) c b pM∗p =⎜⎛ +dL H+d ⎞⎟pMp ⎝1 ⎠  (4.c) 45 度方向については次式で算出した. 45cMp∗ =⎛⎜1+dHb⎞⎟45cMp ⎝ ⎠  (5.a) 45 2 b pX b pY bMp M M ∗ ∗ ∗ = +  (5.b)

(

)(

)

45 2 2 2 1 2 c m p p p pX p pY c d r M M M d ∗ = − − ∗ + ∗  (5.c) ここで,cMp*,bMp*,pMp*は 0 度方向,45cMp*, 45bMp*,45pMp*は 45 度方向の柱,梁,パネルそ れぞれの節点全塑性モーメントであり,cMp, bMp,pMpはそれぞれ 0 度方向の柱,梁,パネル, 45cMpは 45 度方向の柱の全塑性曲げ耐力である. いずれも,全塑性曲げ耐力に及ぼす軸力の影響は 考慮しておらず,(5.a) 式中の45cMpは塑性断面係 数に文献 [28] に掲載されている断面諸量の計算 式を使用した.45 度方向のパネル全塑性耐力に はパネルアスペクト比の増加に伴う曲げの影響 も考慮しておらず,(5.c) 式は文献 [26] に掲載さ れている箱形断面 45°の全塑性耐力に基づいて いる.なお,パネルアスペクト比については,全 節点の 95% が曲げの影響を無視して良いとされ ている 1.8 以下 [26] であった.H,L は柱,梁そ れぞれの支点間距離であり,柱と梁の反曲点位置 を材中央部と仮定した.rmはr-tp/2(r はコーナー 部外側曲率半径,tpはパネル板厚)である.添字 の X,Y はそれぞれ X 構面,Y 構面を表している.  図 7 に全塑性曲げ耐力に対する節点全塑性モー メントの比の相対度数分布を示す.節点全塑性 モーメントはそれぞれの全塑性曲げ耐力に対し て,柱で 1.05 ∼ 1.2 倍程度,梁で 1.0 ∼ 1.1 倍程度, パネルで 1.1 ∼ 1.25 倍程度に増加していること がわかる.  表 5 に最初に塑性化する部材の比率を示す.(a) は 0 度方向の場合,(b) は 45 度方向の場合の結 果である.節点毎に,柱,梁,パネルそれぞれの 節点全塑性モーメントを比較して,最小となる部 材が最初に塑性化すると判定した.  また,図 8 に節点全塑性モーメントに基づく 柱耐力比 Rc*および45Rc*と,全塑性曲げ耐力に 基づく柱梁耐力比 Rcbの関係を示す.Rc*は 0 度 方向の節点全塑性モーメント,45Rc*は 45 度方向 の節点全塑性モーメントに基づいてそれぞれ次 式で算出し,Rcbは (1) 式で算出した.

(

Σ

)

min Σ c p c p p b p M R M M ∗ ∗ ∗ ∗ = ,  (6.a)

(

45

)

45 45 45 Σ min Σ c p c p p b p M R M M ∗ ∗ ∗ ∗ = ,  (6.b) 図 7 全塑性曲げ耐力に対する 節点全塑性モーメントの比の分布 1 1.05 1.1 1.15 1.2 0 10 20 30 相 対 度 数 (%) 1.25≦ Mp* / Mp 柱 梁 パネル (b) 45 度方向 (a) 0 度方向 表 5 最初に塑性化する部材の比率(%) 塑性化 部材 十字形 ト字形 計 中柱 側柱 隅柱 柱 0 0 0 0 0 梁 1.1 4.6 17.9 34.7 58.4 パネル 7.4 20.3 7.0 6.9 41.6 計 8.6 24.9 24.9 41.6 100 塑性化 部材 十字形 ト字形 計 中柱 側柱 隅柱 柱 1.8 6.0 1.7 9.6 梁 0.4 11.6 32.9 44.8 パネル 6.3 32.2 7.1 45.6 計 8.6 49.8 41.6 100

(8)

凡例は最初に塑性化する部材で分類しており,縦 軸の値が 1 より小さい領域のプロットは,柱が 最初に塑性化することを表している.  0 度方向の場合について,表 5 より,節点形状 に関わらず柱が最初に塑性化する節点は見られ ず,図 8 より,Rcbが 1.0 未満の節点はパネルが 最初に塑性化することがわかる.  45 度方向の場合について,表 5 より,柱が最 初に塑性化する節点は全節点の 10% 程度であり, 0 度方向の場合の結果に比べて大幅に増加してい ることがわかる.柱とパネルの耐力比は 0 度方 向と 45 度方向でほとんど変わらず,梁の耐力だ けが節点に取り付く本数によって増減するため [29],柱の比率が増加した代わりに,梁が最初に 塑性化する節点が同程度減っている.なお,柱 が最初に塑性化する節点の 2/3 程度が側柱である が,3 本すべての梁に塑性ヒンジが形成されたと きに柱への入力方向が 45 度方向になるとは限ら ないため,実際には,柱が最初に塑性化する節点 の比率は表 5 の結果より低いと考えられる.  柱梁耐力比 Rcbの規定値 1.5 との対応は,0 度 方向の場合,規定値を満足している節点では柱が 最初に塑性化しないことは自明である.45 度方 向の場合,規定値を満足している中柱節点では柱 が最初に塑性化するものは見られなかったが,規 定値を満足している側柱・隅柱節点の 10% 程度 (側柱十字形 3.7%,側柱ト字形 5.8%,隅柱 0.5%) で,柱が最初に塑性化するものが見られた.  ただし,上記の知見は節点全塑性モーメントに よる略算の結果から得られたものであり,本節の 冒頭で述べたとおり,正確に塑性化状況を検討す るためには,地震応答解析等を行って各部材の損 傷を把握する必要がある [30]. 3.柱梁耐力比増大のための補強方法  3 章では,鋼構造骨組の柱梁耐力比を増大させ ることができる補強方法について,既往の研究で 提案されたものを紹介し,2 章の調査結果を踏ま えて本研究で推奨する補強方法を提案する. 3. 1 既往の補強方法  これまでに既往の研究等で提案された柱梁耐 力比を増大できる補強方法は,以下の 3 種類に 分類できる. (a) 0 度方向の柱耐力比 (b) 45 度方向の柱耐力比 図 8 柱耐力比と柱梁耐力比の関係 柱ヒンジ  パネルヒンジ  梁ヒンジ 1 2 3 4 1 2 3 4 0 柱梁耐力比 Rcb 柱 耐 力 比   Rc * 中柱 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(十字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(ト字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 隅柱 1 2 3 4 1 2 3 4 0 柱梁耐力比 Rcb 柱 耐 力 比  45 Rc * 中柱 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(十字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(ト字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 隅柱

(9)

凡例は最初に塑性化する部材で分類しており,縦 軸の値が 1 より小さい領域のプロットは,柱が 最初に塑性化することを表している.  0 度方向の場合について,表 5 より,節点形状 に関わらず柱が最初に塑性化する節点は見られ ず,図 8 より,Rcbが 1.0 未満の節点はパネルが 最初に塑性化することがわかる.  45 度方向の場合について,表 5 より,柱が最 初に塑性化する節点は全節点の 10% 程度であり, 0 度方向の場合の結果に比べて大幅に増加してい ることがわかる.柱とパネルの耐力比は 0 度方 向と 45 度方向でほとんど変わらず,梁の耐力だ けが節点に取り付く本数によって増減するため [29],柱の比率が増加した代わりに,梁が最初に 塑性化する節点が同程度減っている.なお,柱 が最初に塑性化する節点の 2/3 程度が側柱である が,3 本すべての梁に塑性ヒンジが形成されたと きに柱への入力方向が 45 度方向になるとは限ら ないため,実際には,柱が最初に塑性化する節点 の比率は表 5 の結果より低いと考えられる.  柱梁耐力比 Rcbの規定値 1.5 との対応は,0 度 方向の場合,規定値を満足している節点では柱が 最初に塑性化しないことは自明である.45 度方 向の場合,規定値を満足している中柱節点では柱 が最初に塑性化するものは見られなかったが,規 定値を満足している側柱・隅柱節点の 10% 程度 (側柱十字形 3.7%,側柱ト字形 5.8%,隅柱 0.5%) で,柱が最初に塑性化するものが見られた.  ただし,上記の知見は節点全塑性モーメントに よる略算の結果から得られたものであり,本節の 冒頭で述べたとおり,正確に塑性化状況を検討す るためには,地震応答解析等を行って各部材の損 傷を把握する必要がある [30]. 3.柱梁耐力比増大のための補強方法  3 章では,鋼構造骨組の柱梁耐力比を増大させ ることができる補強方法について,既往の研究で 提案されたものを紹介し,2 章の調査結果を踏ま えて本研究で推奨する補強方法を提案する. 3. 1 既往の補強方法  これまでに既往の研究等で提案された柱梁耐 力比を増大できる補強方法は,以下の 3 種類に 分類できる. (a) 0 度方向の柱耐力比 (b) 45 度方向の柱耐力比 図 8 柱耐力比と柱梁耐力比の関係 柱ヒンジ  パネルヒンジ  梁ヒンジ 1 2 3 4 1 2 3 4 0 柱梁耐力比 Rcb 柱 耐 力 比   Rc * 中柱 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(十字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(ト字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 隅柱 1 2 3 4 1 2 3 4 0 柱梁耐力比 Rcb 柱 耐 力 比  45 Rc * 中柱 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(十字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 側柱(ト字) 0 1 2 3 4 柱梁耐力比 Rcb 隅柱 図 10 梁の曲げ耐力を低減させる方法 (a) 直線配置 [31] ∼ [33] (b) 千鳥配置 [34] i) 柱の曲げ耐力を増大させるもの [3]. ii) 梁の曲げ耐力を低減させるもの [31] ∼ [34]. iii) 鉛直ハンチや方杖を設置することで,柱と梁 の塑性化位置を柱梁節点よりも部材の内側に 移動させ,梁フェース,柱フェースにおける 見かけの曲げモーメントを調整するもの [3], [35] ∼ [38].  以下に,これらの補強方法の詳細をまとめ,そ の適用性を検討する. 3. 1. 1 柱の曲げ耐力を増大させる方法  上記 i) に示す柱の曲げ耐力を増大させる補強 方法として,文献 [3] では図 9 に示す 3 種類が提 案されている.図 9 (a) は通しダイアフラム形式 の角形鋼管柱の平板部に鋼板を溶接するもので あり,図 9 (b) は内ダイアフラム形式の角形鋼管 柱の角部に山形鋼を溶接するものである.これら の 2 つの補強方法は柱の耐力増大だけではなく, 見かけの幅厚比が低減するので局部座屈を抑制 する効果を有しているものと考えられる.また, 図 9 (c) は H 形断面柱に CT 形鋼を柱全長にわたっ て増設するもので,図 9 (a),(b) の補強方法と比 べて柱の周囲に補強材(CT 形鋼)の設置スペー スが必要となる.  いずれの補強方法も,実験等による補強後の力 学性状の確認が行われておらず,補強詳細の設計 法の提案には至っていない.なお,本補強方法を 適用する際に,床スラブが設置されている場合に は,施工時に床スラブを撤去する必要がある. 3. 1. 2 梁の曲げ耐力を低減させる方法  上記 ii) に示す梁フランジの曲げ耐力を低減さ せ,結果的に柱梁耐力比を増大させる方法として は,図 10 に示す穿孔による RBS 構法が該当する. 文献 [34] では,図 10 (a) に示すように孔をフラ ンジ幅方向に直線状に配置するよりも,図 10 (b) に示すように千鳥配置とした方が,梁の塑性変形 能力を高められることが示されている.  図 11 に,穿孔を施した梁の全塑性状態におけ る応力分布を示す.図 11 に基づいて,穿孔後の 全塑性曲げ耐力 Mb RBSp は次式で算定できる. ・両フランジを穿孔した場合: 1 / 4 / 4 M r r M b pRBS w w b p c = + + (7.a) ・下フランジのみを穿孔した場合: / ( ) / ( ) / ( ) M r r M 1 1 4 1 2 1 4 b pRBS w w b p 2 c c = -+ - + -> H (7.b) ここで,cはフランジの穿孔後の有効断面積と穿 孔前の断面積の比, rwはウェブの断面積と片側 フランジの断面積の比, Mb pは穿孔前の梁の全塑 性曲げ耐力である.  図 12 に,穿孔によるフランジの断面積比cと 穿孔前後の全塑性曲げ耐力の比率bMRBSp /bMpの 関係を示す.図より,ウェブの曲げ耐力負担率 rwが小さい場合,穿孔による全塑性曲げ耐力の 図 9 柱の曲げ耐力を増大させる補強方法 [3] (a) 鋼板 (b) 山形鋼 (c) CT 形鋼

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低減率が大きいことがわかる.また,両フラン ジの断面積を 1/2 に減じることで Mb pRBSを Mb pの 6 割程度に,下フランジのみの断面積を 1/2 まで 減じることで Mb pRBSを Mb pの 7 割程度に低減でき る.したがって,穿孔による RBS 構法の適用範 囲は,両フランジに穿孔する場合で柱梁耐力比が 0.8 程度以上,下フランジのみの穿孔場合で柱梁 耐力比が 1.0 程度以上と見なせる.また,梁の全 塑性曲げ耐力を低減することで骨組の保有水平 耐力が低下するため,必要保有水平耐力を下まわ る場合には本補強方法を適用することができな い.  以上より,柱に STKR 材を用いた既存不適格 鋼構造骨組では,梁の曲げ耐力の低減による方法 をすべての柱梁接合部には適用できないものと 考えられる. 3. 1. 3 鉛直ハンチや方杖を設置する方法  図 13,図 14 に示す補強方法は,従来,梁端溶 接部の応力低減を意図したものであるが,上記 iii) としての利用も可能であると考えられる.こ のうち図 13 は梁端にリブを溶接しハンチ形状と するもの,図 14 は方杖の設置による補強方法で ある.方杖による補強は,図 14 (a) に示すよう に施工性の向上のために分割した方杖を高力ボ ルトで接合したもの,図 14 (b) に示すように圧 縮力が作用しない方杖(または引張力が作用しな い方杖)を採用したものが提案されている.  図 15 に,補強後の梁と柱の曲げモーメント分 布を示す.補強領域の外側の梁・柱が全塑性曲げ 耐力に到達したときの見かけの部材端曲げモー メントは次式で算定できる. 図 14 方杖による補強方法 (a) 分割型方杖 [35],[36]  しない方杖 [38](b) 圧縮力が作用 図 13 鉛直ハンチによる補強方法 (a) CT 形鋼 [3] (H 形鋼でも可) (b) フランジ付リブ [3] 図 11 梁フランジ穿孔後の全塑性曲げ耐力算定法 図 12 梁フランジ穿孔後の全塑性曲げ耐力 Mb pRBS (a) 両フランジを穿孔した場合 (b) 下フランジのみを穿孔した場合 0 0.5 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 c bMRBSp /bMp =2.0 =1.0 =0.5 rw rw rw =2.0 =1.0 =0.5 rw rw rw 0 0.5 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 c bMRBSp /bMp (a) 両フランジを穿孔した場合 (b) 下フランジのみを穿孔した場合 df df Af Af Aw c Afvy

+

df c Afvy (1-c) Afvy 2rw 2rw-1+c d f 2rw rw-1+c A fvy 2rw rw-1+c d f df/2 2 rwAfvy

+

+

(11)

低減率が大きいことがわかる.また,両フラン ジの断面積を 1/2 に減じることで Mb pRBSを Mb pの 6 割程度に,下フランジのみの断面積を 1/2 まで 減じることで Mb pRBSを Mb pの 7 割程度に低減でき る.したがって,穿孔による RBS 構法の適用範 囲は,両フランジに穿孔する場合で柱梁耐力比が 0.8 程度以上,下フランジのみの穿孔場合で柱梁 耐力比が 1.0 程度以上と見なせる.また,梁の全 塑性曲げ耐力を低減することで骨組の保有水平 耐力が低下するため,必要保有水平耐力を下まわ る場合には本補強方法を適用することができな い.  以上より,柱に STKR 材を用いた既存不適格 鋼構造骨組では,梁の曲げ耐力の低減による方法 をすべての柱梁接合部には適用できないものと 考えられる. 3. 1. 3 鉛直ハンチや方杖を設置する方法  図 13,図 14 に示す補強方法は,従来,梁端溶 接部の応力低減を意図したものであるが,上記 iii) としての利用も可能であると考えられる.こ のうち図 13 は梁端にリブを溶接しハンチ形状と するもの,図 14 は方杖の設置による補強方法で ある.方杖による補強は,図 14 (a) に示すよう に施工性の向上のために分割した方杖を高力ボ ルトで接合したもの,図 14 (b) に示すように圧 縮力が作用しない方杖(または引張力が作用しな い方杖)を採用したものが提案されている.  図 15 に,補強後の梁と柱の曲げモーメント分 布を示す.補強領域の外側の梁・柱が全塑性曲げ 耐力に到達したときの見かけの部材端曲げモー メントは次式で算定できる. 図 14 方杖による補強方法 (a) 分割型方杖 [35],[36]  しない方杖 [38](b) 圧縮力が作用 図 13 鉛直ハンチによる補強方法 (a) CT 形鋼 [3] (H 形鋼でも可) (b) フランジ付リブ [3] 図 11 梁フランジ穿孔後の全塑性曲げ耐力算定法 図 12 梁フランジ穿孔後の全塑性曲げ耐力 Mb pRBS (a) 両フランジを穿孔した場合 (b) 下フランジのみを穿孔した場合 0 0.5 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 c bMpRBS/bMp =2.0 =1.0 =0.5 rw rw rw =2.0 =1.0 =0.5 rw rw rw 0 0.5 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.6 0.7 0.8 0.9 1.0 c bMRBSp /bMp (a) 両フランジを穿孔した場合 (b) 下フランジのみを穿孔した場合 df df Af Af Aw c Afvy

+

df c Afvy (1-c) Afvy 2rw 2rw-1+c d f 2rw rw-1+c A fvy 2rw rw-1+c d f df/2 2 rwAfvy

+

+

0 2 3 4 5 6 1 0.5 1.0 1.5 Rcb =0.05 lr/L =0.1 lr/L =0.2 lr/L hr/lr 45c以上 L=2H / M l L M 1 b p r b p =

-/

/

(8.a) / M h M H 1 c p r c p =

-/

/

(8.b) 見かけの部材端曲げモーメントに基づく柱梁耐 力比 Rcbは次式で与えられる. 1 / / R M M h H l L R 1 cb b p c p r r cb = =

-/

/

(9) 上式より,補強領域の寸法(lr,hr)を適切に設 定することで柱梁耐力比を増大させることがで きる.  図 16 に,図 15 の十字形部分架構において柱 梁耐力比の規定値(1.5)を満足するための柱の 補強長さ hrと梁の補強長さ lrの比を示す.ここ では, /L H 2= の場合について例示している.横 軸は補強前の柱梁耐力比 Rcbである.図 16 より, 補強前の柱梁耐力比 Rcbが 1 より小さい範囲では, 補強材の設置角度が 45°より大きくなり,図 9 (c) の補強方法のように柱の材軸方向の大部分に補 強材が設置されるため,建築計画的な制約を受け やすくなるものと考えられる.なお,図 16 では 梁の上下に補強を施す場合を対象としたが,梁の 下側(柱頭側)だけに補強を施す場合には,柱の 補強長さ hrが小さくなり (9) 式の Rcbが低下する ため,さらに適用範囲が狭められる.  また,図 13 に示す補強方法では,外壁を有す る外柱または側柱では,外ダイアフラムの設置が 困難であると考えられる. 3. 2 本研究で推奨する補強方法の提案  3.1 節で述べたように,ii) と iii) の補強方法は, 柱梁耐力比の規定値を満足させることができな い場合や施工性などの観点から適用が難しい場 合が想定される.したがって本研究では,柱の補 強によって全塑性曲げ耐力を増大させ,柱梁耐力 比の規定値を満足させることを前提として,以下 の 3 点を考慮して補強方法を提案する. ・ 柱梁接合部の形式として,採用事例が最も多 い通しダイアフラム形式を対象とする. ・ 床スラブを有する場合,柱周辺の床スラブを 除去することなく施工できる. ・ 外周構面の柱について外壁を有する場合に, 外壁を撤去することなく施工できる.  上述した点を勘案して,本研究では図 17 (a) ∼ (d) に示す 4 種類の補強方法を推奨する.以下 に,これらの補強方法を概説する.  図 17 (a) の鋼板補強と図 17 (b) の山形鋼補強 は,前述のようにいずれも文献 [3] に提示されて いるものであり,補強材(鋼板または山形鋼)と 角形鋼管は側面隅肉溶接され,柱が曲げモーメン トを受ける際に補強材と角形鋼管には平面保持 の仮定が成り立つものと考えることができる.こ のとき,柱端部断面において補強材に作用する垂 直応力を適切に伝達するために,補強材を通しダ イアフラムに完全溶込み溶接しなければならな い.これらの補強方法は,柱頭側の補強ならびに 床スラブが設置されていない柱脚側の補強を想 定したものであるが,床スラブが設置されている 場合には,柱周辺の床スラブを除去することで柱 脚側にも適用することができる.  一方,図 17 (c) に示す鋼板と PC 鋼棒による補 強と図 17 (d) に示す根巻き補強は,床スラブを 除去せずに適用できる補強方法である.このうち 図 17 (c) に示す鋼板と PC 鋼棒による補強は,引 張側の鋼板に作用する垂直応力を,図 17 (a) の 鋼板補強の完全溶込み溶接によって通しダイア フラムに伝達する代わりに,定着板を介して PC 鋼棒で伝達するものである.曲げモーメントを受 ける柱フランジの応力の一部が隅肉溶接を介し bMp

/

/

cMp L H 補強領域 hr lr 塑性ヒンジ 塑性ヒンジ 図 15 十字形部分架構の曲げモーメント分布 図 16 柱の必要補強長さ (b) 梁 (c) 柱 (a) 寸法・記号

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鋼板(補強板) PC 鋼棒 鋼板(定着板) 補強リブ 無収縮モルタル 鋼板型枠 シヤーコッター 鋼板 山形鋼 て補強板に伝達され,その応力のうち圧縮力は定 着板直下の床スラブで反力を受け,引張力は PC 鋼棒を介して梁下フランジの直下に設けた定着 板で反力を受ける.  補強金物は,補強板と定着板を完全溶込み溶接 によって L 字形に組立て,補強リブを溶接した ものである.施工時には,PC 鋼棒が貫通する部 分の床スラブに孔あけを施し,定着板を PC 鋼棒 で床スラブに緊結した上で,補強板の側面を隅肉 溶接によって角形鋼管に取り付ける.PC 鋼棒の 締付け時には,その反力を受けるための鋼板を梁 下フランジの下面にも設ける.また,PC 鋼棒の 締付軸力によって梁ウェブの局部座屈や床スラ ブのひびわれが生じないように配慮する必要が ある.  図 17 (d) に示す根巻き補強は柱脚側の補強を 想定したもので,角形鋼管の表面にシヤーコッ ターを溶接し,その周囲を鋼板型枠で覆った上 で,無収縮モルタルを充填するものである.シ ヤーコッターは,曲げモーメントを受ける柱フラ ンジの圧縮応力の一部を無収縮モルタルに伝達 し,角形鋼管柱と無収縮モルタルのずれを抑制す る役目を担っている.  なお,図 17 では中柱を対象とした補強方法を 例示しているが,外壁等の有無に応じて (a) 図の 鋼板補強は 1 ∼ 4 面の任意の面の補強が,(c) 図 の鋼板と PC 鋼棒による補強および (d) 図の根巻 き補強は,対向する 2 面または 4 面の補強が可 能である. 4.結論  本論文では,柱に STKR 材を用いた既存鋼構 造骨組を対象に,2007 年の建築基準法令の改正 に伴って追加された柱梁耐力比の規定に着目し, 以下の 3 種類の資料について調査・分析した. 得られた知見を以下にまとめる. 1) 冷間成形角形鋼管の生産実績に関する統計資 ・ STKR 材は,これまでに累計で約 1300 万ト ン以上が生産されている.BCR 材が開発され て以降,STKR 材の生産量は減少しているが, 累計で比較すると STKR 材は BCR 材の約 3.5 図 17 柱の補強方法 (c) 鋼板と PC 鋼棒による補強 (d) 根巻き補強 (a) 鋼板補強 (b) 山形鋼補強

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鋼板(補強板) PC 鋼棒 鋼板(定着板) 補強リブ 無収縮モルタル 鋼板型枠 シヤーコッター 鋼板 山形鋼 て補強板に伝達され,その応力のうち圧縮力は定 着板直下の床スラブで反力を受け,引張力は PC 鋼棒を介して梁下フランジの直下に設けた定着 板で反力を受ける.  補強金物は,補強板と定着板を完全溶込み溶接 によって L 字形に組立て,補強リブを溶接した ものである.施工時には,PC 鋼棒が貫通する部 分の床スラブに孔あけを施し,定着板を PC 鋼棒 で床スラブに緊結した上で,補強板の側面を隅肉 溶接によって角形鋼管に取り付ける.PC 鋼棒の 締付け時には,その反力を受けるための鋼板を梁 下フランジの下面にも設ける.また,PC 鋼棒の 締付軸力によって梁ウェブの局部座屈や床スラ ブのひびわれが生じないように配慮する必要が ある.  図 17 (d) に示す根巻き補強は柱脚側の補強を 想定したもので,角形鋼管の表面にシヤーコッ ターを溶接し,その周囲を鋼板型枠で覆った上 で,無収縮モルタルを充填するものである.シ ヤーコッターは,曲げモーメントを受ける柱フラ ンジの圧縮応力の一部を無収縮モルタルに伝達 し,角形鋼管柱と無収縮モルタルのずれを抑制す る役目を担っている.  なお,図 17 では中柱を対象とした補強方法を 例示しているが,外壁等の有無に応じて (a) 図の 鋼板補強は 1 ∼ 4 面の任意の面の補強が,(c) 図 の鋼板と PC 鋼棒による補強および (d) 図の根巻 き補強は,対向する 2 面または 4 面の補強が可 能である. 4.結論  本論文では,柱に STKR 材を用いた既存鋼構 造骨組を対象に,2007 年の建築基準法令の改正 に伴って追加された柱梁耐力比の規定に着目し, 以下の 3 種類の資料について調査・分析した. 得られた知見を以下にまとめる. 1) 冷間成形角形鋼管の生産実績に関する統計資 ・ STKR 材は,これまでに累計で約 1300 万ト ン以上が生産されている.BCR 材が開発され て以降,STKR 材の生産量は減少しているが, 累計で比較すると STKR 材は BCR 材の約 3.5 図 17 柱の補強方法 (c) 鋼板と PC 鋼棒による補強 (d) 根巻き補強 (a) 鋼板補強 (b) 山形鋼補強 倍生産されており,法改正のあった 2007 年 でも冷間ロール成形角形鋼管の 2 割以上の シェアを STKR 材が占めていた. 2) 既存中低層鋼構造骨組の設計資料 ・ 柱梁耐力比について,柱の鋼種が STKR の場 合には,すべての柱梁接合部で規定値(1.5) を満足する必要があるが,すべての柱梁接合 部の 4 割強が規定値を満足しておらず,調査 骨組の 9 割程度が規定値を満足しない柱梁接 合部を有していた.上述の生産量に基づく数 量観と合わせると,相当数の既存鋼構造骨組 で柱梁耐力比の規定値を満足しておらず,増 築等の際には問題となることが想定される. ・ 柱パネル耐力比について,調査骨組で節点の 柱パネル耐力比を満足していない比率はすべ ての柱梁接合部のわずか 4% であり,パネル アスペクト比が 1.75 程度以下の範囲ではほ ぼ規定値を上まわっていた.このことから, BCR,BCP を用いる場合のフロアレベルの柱 パネル耐力比規定は,ほとんどの場合,満足 されるものと考えられる. ・ 各部材の節点全塑性モーメントを比較する略 算法により,節点における塑性化状況を検討 した.柱梁耐力比の規定値を満足している場 合には,0 度方向入力の全節点と,45 度方向 入力の中柱節点では,柱が最初に塑性化する 節点は見られなかったが,45 度方向入力の側 柱・隅柱節点の 10% 程度では,柱が最初に塑 性化するものが見られた. 3) 柱梁耐力比改善法に関する既往の研究資料 ・ これまでに提案された柱梁耐力比を増大でき る補強方法は,柱の曲げ耐力を増大させるも の,梁の曲げ耐力を低減させるもの,鉛直ハ ンチや方杖を設置することで,柱と梁の塑性 化位置を節点よりも部材の内側に移動させる ものに分類できる. ・ 上記の分類の内,梁の曲げ耐力を低減させる 補強方法,鉛直ハンチや方杖を設置する補強 方法では,柱梁耐力比の規定値を満足させる ことができない場合や施工性などの観点から 適用が難しい場合が想定される.したがって, 本論文では,柱の曲げ耐力を増大させる方法 が推奨されるものと考え,図 17 に示す 4 種 類の補強案を提示した.これらの補強方法に 対する設計法を構築するためには,それぞれ の補強方法を適用した柱の力学性状や骨組の 応答性状を確認する必要があり,それらの検 証結果は稿を改めて詳述する. 謝辞  本研究は,国土交通省平成 20 ∼ 22 年度建築 基準整備促進事業の「5.鉄骨造骨組の基準の整 備に資する検討」における活動の一環として実施 したものである.研究を推進するにあたり,委員 各位より貴重なご意見をいただいた.また,本論 文 2 章の検討は阿久津英典氏(元宇都宮大学大 学院生)による.付記して深甚なる感謝の意を表 す. 参考文献 [1] 2007 年 版 建 築 物 の 構 造 関 係 技 術 基 準 解 説 書, 2007.8 [2] 2008 年版 冷間成形角形鋼管設計・施工マニュア ル,2008.12 [3] 建設省住宅局建築指導課,日本鋼構造協会,日本 建築防災協会:既存鉄骨造骨組の耐震改修施工マ ニュアル《改訂版》,2007.10 [4] 日下彰宏,福元敏之,佐伯俊夫,宇田川邦明,福 田俊文,森田耕次,高梨晃一:露出型柱脚の耐震 補強とその効果(その 1,その 2),日本建築学会 大会学術講演梗概集,C-1 構造 III,pp.481-484, 1997.9 [5] 吉田宏一,国弘仁,大迫勝彦,前田厚雄,中村洋行, 武居泰,蓮田常雄:線路上空建物の鉄骨柱脚の耐 震補強に関する研究(その 1 ∼その 3),日本建築 学会大会学術講演梗概集,C-1 構造 III,pp.537-542,1998.9 [6] 吉田宏一,大迫勝彦,山田眞左和,竹ヶ原一彦, 星川努,有山伸司:線路上空建物の鉄骨柱脚の耐 震補強に関する研究(その 4,その 5),日本建築 学会大会学術講演梗概集,C-1 構造 III,pp.669-672,1999.9 [7] 田中剛,田渕基嗣,益居綾:あと施工アンカーを 用いた露出柱脚の耐震補強に関する実験的研究, 日本鋼構造協会鋼構造年次論文報告集,第 10 巻, pp.513-518,2002.11 [8] 曽田五月也:粘弾性ダンパーの耐震補強への応 用について,日本建築学会大会学術講演梗概集, B-2 構造 II,pp.269-270,1995.8 [9] 高橋雄司,曽田五月也:粘弾性ダンパーの耐震 補強への応用について(その 2),日本建築学会 大会学術講演梗概集,B-2 構造 II,pp.281-282, 1996.9 [10] 樫原健一,岡本隆之祐,曽田五月也:粘弾性ダンパー による耐震補強設計指針(案),日本建築学会技術 報告集,第 10 号,pp.35-40,2000.6 [11] 下田郁夫,大杉文哉,五十嵐利信,志気一顕:制 振壁を用いた耐震補強構法(その 1,その 2),日 本建築学会大会学術講演梗概集,C-1 構造 III, pp.831-834 [12] 新田山直紀,浅野美次,向野聡彦:低降伏点鋼制 震ブレースによる SRC 造高層建物の耐震補強設 計,日本建築学会大会学術講演梗概集,C-1 構造 III,pp.799-800,1997.9

参照

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