27
〔学
会〕
東京女子医科大学幽会第71回例会
日 時 昭和30年2月25日(金)午後2時半
揚所 東京女子医大 臨床講堂
1. 結核菌の画面表面抗酸匪物質の構造
東京女子医大生化
国立療養肝多磨七生園 山 田 高 治
抗酸性(結核)菌に対して脂溶剤各種の酵素を作用
せしめて,抗顕性に対する影響を染色法並びに,電子
顕微鏡的に観察した。
①トリプシン,パパインの如き’プ・テアーゼに依っ
て,抗酸陸は:失なわれる。
②リパーゼに依っては,抗酸性の喪失の程度は極め
て少ない。
③脂肪溶剤によっては、抗酸性は失なわれない。
抗醐生菌の体表面膜の構造に対して考察を加え,模
型を仮提出した。
2.本邦心臓疾患死亡率の研究
一〔第1報〕昭和(戦前)における死亡率について一
東京女子医大衛生
安楽城 元
心臓疾患が老入性疾患として国民死亡原因の重要な
一つを占めて来たことに注目し,先に戦後における本
邦心臓疾患死亡率につき発表したQこの死亡率の過去
における推移を観察するため,今回ぽ前回にさかのぼ
り国勢調査が行われ年令構成の明かである昭和10年及
び昭和5年冬主として,昭和(戦前)における心臓疾
患死亡率につき年次による変化を観察してみた。
1)昭和(戦前)において,・全国総数,男子及び女子
の麗死亡率の推移は,昭和13年が最高を示し,昭和7
年は総数及び勇子は:最低を,女子は昭和16年に最低を
不している。
戦後の全国総数,男子及び女子の粗死亡率は夫々戦
前より高くなっている。
2)昭和10年は昭和5年より,男子でぽ粗及び訂正死
亡率とも高くなっているが,全国総肇及び女子は粗及
び訂正死亡率とも僅か乍ら低くなつでいる。
3)昭和5年,10年を通じ共通な点として,北海道,
東北地方及び東京,神奈川,大阪などの都会地方では
訂正死亡率は粗死亡率より高率となっており,このこ
とは戦後と同様な状態として観察した。
4)戦前の昭禾010年と戦後の昭和25年を比較するど,
大多数の府県において昭和25年は昭和王0年より死亡率
は上昇している。即ち全国の中35府県において上昇し
ている。
5)性別年令別死亡率では,戦前を通じて観察したu
とは,戦後と殆ど同様な死亡曲線を示している。即ち
全国において,昭和5年,10年ともに高年層で死亡率
は急激に上昇している。各府県においても大体全国と
同様な死亡曲線を示している。なお戦後は戦前より老
入層においで男女とも死亡率は上昇している。
3.妊娠に合併せる流行性肝炎の一例
東京女子医大産婦入穿
強Pテルヨ
患者は:34才の主婦。一回経産。分娩予定日昭和30年
3月末日。昭和25年12月27目(妊娠7ヵ月末期)に流
行性肝炎に罹息し,発病後13日目に1270g(約388匁)
の女児を幸櫃児にて自然早産し,分娩,産褥共に異常
なく経過し,黄疸及び肝臓腫大も全治した。
早産児は,エナルモン・メガビオン,ビタミン開示
を補給し順調な発育繧過をみたので報告す。
4.膀胱箒状庖疹の一症例
:東京女子医大中山内科西千鶴
〃 泌尿器科 梅津隆子
膀胱帯状抱疹は文献によれば膀胱粘膜lcPt独にあら
われるものと,皮膚と膀胱粘膜とに併発するものとあ
る。
私共の例は:19才の男子で腎臓部疹痛と血尿,発熱と
を以て始り腎臓結石乃至膀胱結石を愚わしめたが膀胱
鏡検査の結果,膀胱粘膜に発した典型的な帯状癒疹の
一症例であるのを認めた。
5. 皮膚色素の問題(綜読)
一M.S. Hについて一
皮膚科 中 村 敏 郎
綜説として6号に掲載。
一 J67 一