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Paraaminosalicylate及びStreptomycinにより高度の副作用を呈した1症例

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〔臨 床 実 験〕

(吾脇出師召案朧筆珪骨)

Paraaminosalicylat6及びStreptomycinにより

高度の副作用を呈しアこ1症例

豊川市民病院(主任 大槻衛院長)

戸 苅

ト ガリ

ト 志 シ

(受付昭和33年3月4目)

結核治療剤のうち,現在Streptomycin(SM) およびParaaminosalicylic acid(PAS)製剤が :最:も広く用いられている。これら製剤の改善によ りその副作用は非常に軽減されてきたとはいえ, なお時折突発的かつ重篤な副作用のため予期しな い事態に遭遇することもある。著者はPAS及び SMにより高度の副作用を呈した症例を経験した ので,』 サの概略をここに報告する。 症 例

患者:寺○秀0 19才男

既往歴:3年程前に胸部X線撮影の結果,要注意と いわれたほか特記すべきものはない。 家族歴:特記すべきものはない。 診断:肺結核。 現病歴:昭和32年9月初旬より熱感があり,有痛 性の右側頸部リンパ腺腫脹に気付き,』9月9日本院外 来を訪れた。 初診時所見:体温37.7。C,右側頸部に小豆:大 ∼大豆大の軟かくかっ可動性あるリンパ腺を数個 触知した。胸部は打聴診上著変なく,X線所見上 両側肺尖部に増殖性病巣を認めた。 腹部に肝臓,脾臓共に触知し得なかった。赤沈

は1時間68mm,2時間104 mln。白血球数は

6200で正常,その百分比は好中球53.5%,リン パ球35.5%,単球11,0%を示した。喀震検査は 塗抹法及び培養法で共に陰性であった。 経過:以上の如くで肺浸潤と診断し,9月10日 より結核に対する化学療法としてSM及びPAS一

Ca療法を開始した(SM週2回,1回1g宛筋

注,PAS−Ca 6g宛連日内服)。 SM注射時に 注射側下肢の疹痛を訴え,注射しない日に比して とくに熱感が強いと訴えた(検温は行っていな

い)。PAS−Caは連日内服していたが,9月17

日,第3回目のSM注射を終えて徒歩にて帰宅し たところ,夜問突然悪寒戦喋をもつて発熱し(約 40。C)近くの医師の往診を求めて解熱剤を注射さ れて380C台となった。翌18日は依然として38。 C∼390Cの熱があり,腹痛及び下痢を伴ったの で9月19日当病院へ入院した。 入院時,体温39. 2。C,頭痛,嘔気,腹痛及び 下痢を訴えた。』全身紅潮し,顔貌は苦悶状で憔惇 を示した。項部強直なく,胸部には異常な理学的 所見を認めないが,腹部全般とくに雪盲部に強度 の圧痛を認めた。腱反射は軽度充進,ケルニッヒ 陰性。血液検査で白血球数5100,赤血球数427万 血色素:量11。59/d1。白血球百分比は好酸球0.5%, 好中]ll〈 74. 5 %, リンパ球20。5%,単.球4.5%。 午後6時,悪寒戦隈と共に40.9。C迄発熱した。 20日午前7時に体温40.2。C。検尿で蛋白,糖, ウロビリノーゲン反応陽性。検便では虫卵陰性。 血糖はやや低血糖に傾く(第2図)。血清ジアスタ

ーゼ値d器;一64・尿ジアス・一ゼ徹欝一

128であった。 急性膵臓炎あるいは中毒性腸炎を疑い,PAS の投与を中止して,ドミアン(エ日49)の投与

Toshiko TOGARI (Toyokawa Citizen’s Hospital) : A case of peculiar susceptibility to paraamino− salicylate and streptomycin.

(2)

90r 二 塁 40.0 3qD 38.0 370 360 pns

Dmm

PAS−ca 入 院 SM 噛

轡一ca 血 糖 値 伽フ蔵} 150 1OO 50 o 9nlgE 24日

第1図発熱の経過

朝 朝 ,食 食 ” ” 荊 ・右 后 底 30’ 60’ 90’ 第2図 血糖曲線(Somogvi氏法) 后 220’ にかえた所,翌21日午前5時より殆んど平熱と なった。腹痛は解熱と共に非常に軽減し,食餌摂 取も可能となったが,なお1日4∼5行の粘液便 時には粘液のみの排出があった。 24日午後,再びPAS−Caを投与したところ, 直ちに口内→食道部→腹部全般のしめつけられる ような感じ,全身のしびれ感,悪寒戦喋,頭痛を 訴え,39.エ。C迄発熱した。ここでPAS−Caに よる副作用を疑い投薬を中止して経過を観察した ところ7翌日より次第に解熱し,一般状態も漸次 朋20 改善され,アこ。

10∫」2臼にまた試みとしてPAS−Ca29を投

与したところ,再び上記諸症状が:再現したので, この発熱及びしびれ感等はPAS−Caによる副作 用と断定した。ただし,33年1月8日中行った 3.25%PAS溶液皮内反応は陰性であった。 また前述の如くSM注射Hには他の日に比べて とくに熱感が強い(検温は行っていない)との訴 えのため1⑪月21日より中断されていた.SM注射 を10月27日より,脱感作の目的で0.019より逐 次増量しながら注射し,特別な副作用もなく,11 月上旬より週2仏法にもどり,経過も順調であっ ナこが,12月2HのSM筋注直後に,急激な腹痛と ともに全身発赤し,高度の葦麻疹様発疹と37.30C の発熱を生じたので,直ちにSM療法を中止し た。これらの症状は1日で軽決しt。その後諸検 査では,心電図正常,自律神経機能検査では,ピ ロカルピン試験陽性,アドレナリン及びアトロピ ン試験陰性。肝臓機能検査では,ヘバトサルファ レイン試験30分で3%,高田氏反応5本陽性で 肝障害を認めた。赤沈値は1時闇2mm,ヘマト クリット値48,血漿蛋白電気泳動検査では第1表 の如き成績を得た。

その後Isonicotinic acid hydrazjde製剤の投 与にきりかえ,順調な経過をたどっている。

(3)

96 総 括

SMおよびPAS−Ca療法開始後間もなく急性

腸炎乃至膵臓炎を思わせるような特異な症状(高 熱,腹痛,下痢等)を示した1例に遭遇した。本 症状はその後再三のPAS−Ca投与により同一症・ 状を呈したこと,及びSM脱感作後,SMの筋注に

第1表血漿蛋白質分暦

総 蛋 白 質 ア ル ブ ミ ン 総グn ブ リ ン a

B

o ’)’ 7. 61 g/d1 54.5% 35. 7 % 7.1% 8.9% 9.8% 19. 7 % A/G 1.5 より全身に高度の蒙麻疹と腹痛とを生じたことよ りPAS−CaおよびSMによる副作用と考える。 しかし初発副作用はPASによるものか, SM によるものか明らかでないが,その症状より推察 して両者により併発したのではないかと考える。 終に臨み種々御指導を賜った大槻院長並に:丸尾内科 部長に深甚の謝意を表すると共に,御校閣を賜った東 京女子医大中山教授に深謝いたします。 参考文献・ 1) Zettel, G.;Tuberku!osearzt,’11, 150 (1957) 2)岡田泰二・豊田敏昭・津谷敏之:広島医学,10 113 (H’.’ 32) 3)雨宮四郎:医療,11,65(昭32)

4) Oppen, A. Von:Zschr. Tuberk., 108, 158

(1956)

5)南条和夫=医療,8,237(昭29)

参照

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