Title
Role of protein kinase C, K_<ATP> channels and DNA
fragmentation in infarct size-reducing effects of free radical
scavenger, T-0970( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
橋本, 和明
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第456号
Issue Date
2000-03-31
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14676
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 蕃 査 委 員 橋 本 和
明(岐阜県)
博 士(医学) 甲第 456号
平成12年
3月
31二日学位規則第4条第1項該当
Role ofprotein kinase C,KAJP Channels and DNAfragmentationin infarct size-reducing effect$Offree radicaIscavenger,T-0970
(主査)教授 藤 原 久
義
(副査)教授鹿
瀬
教授植
松
俊
彦
論 文 内 容 の 要 旨 虚血後の再濯流は虚血による傷害に加えてさらなる傷害を引き起こすことが報告され,これは再潅流傷害と称 される。このメカニズムの1つとしてフリーラジカルの喝剰な蓄積が考えられている。我々は再港流前のフリー ラジカルスカベンジャー投与により,.梗塞サイズが抑制されることを報告した。フリーラジカルはin vitroで の心筋細胞においてアポトーシスを誘導することが知られている。我々は過去にウサギモデルを用いた実験にて ■心筋細胞におけるDNA断片化がオンコーシスを伴って30分虚血後の2ないし4時間再港流で発現することを報 告した。このことは,アポトーシスとオンコーシスのメカニズムが虚血再湾流中に同じ心筋細胞において起きていることを示すものである。プレコ。ンディショニング効果の主と,なる経路がプロテインカイネースCの活性化や
ミートコン_ドリアKA℡チャネルの開口であることはよく知られている。これらはまた,再港流傷害の抑制とも関 わりがあるかもしれない。それ故,フリーラジカノ㌣スカベンジャーが,プロテインカイネースCの活性化やミトコンドリアEATPチャネルの南口,そして心筋のDNA断片化を抑制することにより,虚郎再謹流傷害から心臓を
保護しているかもしれないという仮説を立てた。 水溶性の低分子量フリーラジカルスカベンジャーであるT-0970はinvitroにおいて,スーパーオキシドアニ オンとヒドロキシルラジカルの両者を除去することが報告され,SODよりも心筋細胞に移行し易いと考えられている。それ故,T-0970は再港流中のフリーラジカル除去や心筋傷岳の予防に,より大きな可能性を持っている
と考えられる。この研究の主たる目的は(1)T-0如0がinvivoのウサギモデルにおいて心筋問質中のヒドロ キシルラジカルを除去するかどうか,(2)再濯流中に投与されたT-0970が心筋梗塞サイズを縮小するかどうか,(3)T-0970の梗塞サイズ縮小効果がプロティシヵィネースCの活性化やミトコンドリアEAT2チャネルの開口,
そして心筋細胞におけるDNA断片化の抑制によって誘導されるのかどうか,の3点である。 対象と方法 対象は雄性日本白色種ウサギ(平均体重;2kg)。ベントパルビタール麻酔下にて気管内挿管し,人工呼吸器に て呼吸を管理。右側臥位にて左第3肋間より開胸し,心臓を露出。冠動脈左前下行枝を結集し30分間の虚血を作 成。 実験プロトコール1;マイクロダイアライシス法を用い,専用ブローベを虚血領域内の心筋内に留置しリンゲル液を1分間に20マイクロリットルで潜流。虚血軌虚血中,再轟流後と30分毎に濯流液をサンプリング。サー
0970投与群(n=5)は再濯流前10分に2.5喝/kgでのポーラス投与と同時に100〟g/kg/分で再潜流後30分ま で持続投与を行った。これに対してコントロール群,(n=5)はT-0970に代わり同量の生理食塩水を投与した。 得られたサンプルよりヒドロキシラジカルをHPLC法により測定した。 実験プロトコール2;同様のモデルを用いて30分虚血48時間再潜流考行った。実験群(各,n=7)はコントロー ル群,T-0970単独投与群,T-0970および選択的プアティン申イネースC阻害剤であるchelerythrine(以下, CHE,5mg/kgIVポーラス投与)を加えた群,T-0970および選択的ミトコンドリアKATPチャネル阻害剤であ る5-hydroxydecanoaide(以下,5-HD,5mg/kgIVポーラス投与)を加えた群,CHE単独投与群,5-HD単独投与群の6群を作成。実験中は平均動脈民心拍数をモニターし,′実験終了後に閉胸し,48時間後に心臓を
摘出。左室をェバンスブルー染色にて虚血領域(AAR)と非虚血領域に識別,虚血領域における梗塞サイズ(IS) をパーセント(IS/AAR)にて求めた。 実験プ占トコール3;同様のモデルを用いて30分虚血4時間再漕流を行った。実験終了後に心臓を摘出。心臓 を4FLm厚さの2ないし3スライスに分割しTUNEL法を用いて染色し,コントロール群(n=5)とT-0970投 与群(n=5)において光学顕微鏡下で,梗塞領域におけるTUNEL陽性細胞数をカウントし,比較検討した。一15-結 果 実験プロトコール1;ヒドロキシラジカルの量はコントロール群0.63±0.06ng/舶,T-0970群0.15±0.03ng /舶で,T-0970投与群で有意にフリーラジカル除去効果を認めた(p<0.05)。 実験プロトコール2;各群の虚血領域/左室(AAR/LV)はコントロール群28±4%,T-0970群30±6%,T-0970+CHE群29±4%,T-0970+5-HD群27±5%,CHE単独投与群30±4%,5-HD単独投与群29±5%で有意 差ほ認めなかった。梗塞サイズ/虚血領域(IS/AAR)はそれぞれ,コシ卜占一ル群41±4%,T-0970群23±4 %,T-0970+CHE群46±4%,T-0970+5-HD群43±4%,CHE単独投与群44±2%,5rHD単独投与群43±5% でコントロール群に比較してT-0970群で有意に梗塞サイズ縮小効果を認めた(p<0.05)。 実験プロトコール3;TUNEL法によって識別された梗塞領域におけるDNA断片化を伴った心筋細胞のパーセ ントは,コントロール群10.7±1.9%,に比較してT-0970群4.0±1.5%で有意な抑制効果を認めた(p<0.05)。 以上の各実験でいずれの薬剤も血圧・心拍数など血行動態への影響は認めなかった。 考 察 この実験でマイクロダイアライシス法によりヒドロキシルラジカルが虚血再潜流後の30分間に増大することが 証明され,実際にT-0970はヒドロキシルラジカルを除去し∴選択的プロテインカイネースC阻害剤であるCHE の前処置により梗塞サイズ縮小効果がブロックされたことから,T-0970はプロテインカイネースC活性化を介
して効果を発揮すると推定された。しかし,一方でフリーラジカルはプロテインカイネ一女cを活性化するとの
報告がある。プロテインカイネースC活性化によりフリーラジカルは増大し,その増大はプロテインカイネース CインヒビターであるstaurOSPOrine,(以下,ST)によりブロックされるということが報告されているので,CHE存在下でのT-0970投与はフリーラジカルの増大を完全に抑制すると考えられる。プロテインカイネースC活性
化によりフリーラジカル発生が抑制されるが,、一方で選択的プロテインカイネースC阻害剤であるSTによって フリーラジカル発生が抑制されるとの報告もある。、しかし,ここでフリーラジカルは梗塞サイズに影響しない可能性が考えられる。少量のフリーラジカルはむしろ心保護に有効であり,プロテインカイネースC活性化による
心保護効果はPKC-どの皐うなアイソ_フォームに関わりがあり,この研究の結果の梗塞サイズ縮小効果を解釈す
るメカニズムは,(1)T-0970は再港流中に発生する大量のフリーラジカルを除去し,残存した少量のフリーラ ジカルが心保護的に作用するということ,(2)T-0970はフリーラジカル以外の因子にPKC-eの活性化の抑 制を阻害しているのかもしれない。T-0970の梗塞サイズ縮小効果はミトコンドリアKA℡チャネルブロッカーで ある5-HDにより完全にブロックされ,T-0970の梗塞サイズ縮小効果は再連流中のミトコンドリアKAT,チャネ ルの開口により誘導されることを示唆している。実際に潅流心を用いた実験でKATPチャネルオープナーである クロマカリンはhydrogenperoxideによる心機能低下を改善し,フリーラジカルによる毒性に対して心保護効果 がある。Tリンパ球において,SuPerOXideanion,SuPerOXide hydrogen peroxide,hydroxylradical,PerOXynitrat?
などのフリーラジカル昼直接的にDNAを傷害し,アポトーシスを誘導するム アポトーシスは腎尿細管上皮で hydrogenperoxide投与により数分でアポトーシスを誘導すi。心臓に関しても機械的伸張がフリーラジカル発 生を介してアポトーシスを誘導するとの報告もある。T⊥0970はコントロールに比較してTUNELDN阜断片化率 を抑制したが,そのパーセントは小さいものであり,梗塞縮小に対する貢献度は小さいものと思われるム 結 語 新しい低分子量フリーラジカルスカベンジャrT-0970は虚血再港流中に発生するフリーラジカルを除去し, 梗塞サイズ縮小効果があり,この効果はPKC活性化とミトコンドリアKAT,チャネルの開口,心筋細胞のDNA断 片化抑制によりもたらされたと考えちれた。