Title
Changes in quinolinic acid production and its related enzymes
following D-galactosamine and lipopolysaccharide-induced
hepatic injury( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
大橋, 葉津希
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1397号
Issue Date
2004-11-17
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14875
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 大 橋 葉津希(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1397 号 平成16 年11月 17 日 学位規則第4条第2項該当
Changesin qulnOlinic acid production andits re]ated enzyme
followIng D-galactosamine andlipopolysaccharide-induced hepaticlnJury
(主査)教授 清 島 満 (副査)教授 中 島 茂 教授 森 脇 久 隆 論文内容の要旨 トリプトファンの代謝産物であり,高濃度で神経毒性を有するキノリン酸(QUIN)について,その血清およ び脳脊髄液中濃度の著明な上昇が重症肝障害時に観察される。本研究は,ガラクトサミンとLPSの組み合わせ (ガラクトサミン/LPS)投与によって発症する急性肝障害動物モデルを用いて,その際に見られる血清および髄 液QUIN上昇の機序を明らかにした。すなわち,スナネズミにガラクトサミン/LPSを投与し,血清QUIN濃度 の経時的な変動,さらには肝,肺,脳でのキノリン酸およびその関連代謝産物,さらには,トリプトファンの代 謝の律速酵素であるトリプトファン2,3ジオキシゲナーゼ(TDO)およびキノリン酸分解酵素であるムコネート セミア/レデヒド脱炭酸酵素(ACMSDase)活性などQUIN代謝関連酵素の変動について調べた。また,生体内で QUIN合成能が,極めて強いことが報告されている活性化したモノサイト/マクロファージについて注目し,ガ ラクトサミン/LPS投与後の肝臓でのそれらの浸潤細胞について,レクチンを用いた免疫組織染色により検討し た。 [材料と方法] スナネズミに,LPSのみ(150ng/kg),ガラクトサミンのみ(50mg/kg),ガラクトサミン/LPS,またコン トロールとして生食を腹腔内に投与した。血清QUIN濃度は投与後12,24,および48時間後に測定した。肺,肝, 脳,および脳脊髄液(CSF)検体は24時間後に採取した。すべての検体は分析まで-70℃に凍結された。材料の D-ガラクトサミン,LPSは,シグマ化学社製を用いた。動物実験は,岐阜大学医学部の動物実験ガイドラインに 従い,雌のスナネズミ(50-70g)を日本SLC(浜松,日本)から購入した。免疫染色は,肝臓を10%のホルマリ ン固定後パラフィン抱埋にして4′上の厚さで薄切した。切片は0.5%のトリプシン前処理した後,ペルオキシター ゼを結合したレクチン(シグマ化学)を用いてオーバーナイト処理した。ジアミノベンジジン/過酸化水素を室 温で発色させた。生化学測定で,QUINは,GC/MSで測定し,キヌレニンはHPLCで測定した。インドールア ミン2,3ジオキシゲナーゼ(IDO),トリプトファン2,3ジオキシゲナーゼ(TDO),キノリン酸ホスホリボシル
トランスフエラーゼ(QPRT),およびACMSDase活鱒を測定するために,脳,肺,と肝臓を水冷下で0・14M
KCl/20mMカリウムリン酸塩緩衝液(pH7.0)でホモジネートし,4℃で20分105,000gで遠心分離処理した。酵 素活性測定は,組織重量あるいはタンパクあたりの酵素活性をインキュベート前後の生成物の違いから計算を行 い,生成物量を/h/gで表した。ALT,AST,LDH,および総ビリルビンの血清濃度は,自動分析装置で測定し た。 [結果] 生食,LPS,ガラクトサミン単独,またはガラクトサミン/LPSによる腹腔内投与12,24,および48時間後の 血清QUIN濃度の変化を調べた。LPS,ガラクトサミン単独投与で,血清QUIN濃度は,どのタイムポイントに おいてもコントロールである生食投与と比較して有意な差が見られなかった。しかし,ガラクトサミン/LPS群で,コントロールと比較して血清QUIN濃度が有意に上昇し,24時間後でピークに達していた。また肝臓,肺, 脳,血清,およびCSFでQUIN濃度が有意に増加していた。投与24時間後のQUIN先駆物質である血清キヌレニ ンの濃度を測定した結果,ガラクトサミン単独とガラクトサミン/LPS投与をコントロールと比較すると有意に 増加した。またガラクトサミン/LPS投与群のみ,肝臓内のマクロファージの浸潤が免疫化学染色により確認さ れ,その時の肝臓ACMSDase活性は減少していた。対照的に,QPRT活性は,どの投与においても有意な変化 が観察されなかった。さらに,ガラクトサミン/LPS投与で,肝組織片の[13c6]トリプトファンから[13c6] QUINの産生は,コントロールと比べ有意に増加したが(p<0.01),肺および脳組織片では変化がなかった。また 肺と脳においてIDO活性の有意な変化が観察されなかった。 [考察] 本研究で,ガラクトサミン/LPS投与によるスナネズミの急性肝障害モデルを用いて,血清と肝,肺,脳およ び髄液のQUIN濃度の変化を調べた。ガラクトサミン/LPS投与ではコントロールと比較して血清,髄液,肝, 肺,脳においてQUINは著明な増加を示した。肝臓のトリプトファンーキヌレニン代謝回路は,TDOの制御下 にあると一般的に考えられている。しかしながら,ガラクトサミン/LPS投与は,QUIN先駆物質であるキヌレ ニンが有意に増加したにかかわらずTDOは減少した。すなわち,キヌレニンの増加は,TDO以外の因子が関与 していることが考えられる。ガラクトサミン/LPS投与のみで肝臓内の免疫化学染色でマクロファージの浸潤が 確認されたことから,キヌレニンやQUINの上昇が浸潤細胞のIDOの活性化と関係すると考えられる。またコン トロールと比較して肺内の著しいQUIN濃度の増加が,ガラクトサミン/LPS投与で観察された。これは,ガラ クトサミン/LPS投与で肺内に血中よりQUINもしくはQUINの前駆物質(例えば3-ヒドロキシアンスラニン酸) が入り,その結果QUINが肺に蓄積したとが考えられる。さらに,髄液と脳のQUIN濃度もガラクトサミン/ LPS投与で有意に増加した。この動物実験モデルの髄液中QUIN増加は,QUIN前駆物質の増加により血流から 脳内に移行して二次的にQUINが増加したと考えられる。重度の肝障害によるQUINの血液脳関門透過性の増加 は否定できないが,QUINは通常血液脳関門透過性が厳密に制限されている。 [結語] ガラクトサミン/LPSによって引き起こされた肝障害後の血清QUIN濃度の増加は,肝臓中に増加した単球/マ クロファージの浸潤によりQUIN前駆物質であるキヌレニンの増加,さらに肝臓内ACMSDase活性の減少が深く関与 していると考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者 大橋葉津希は,ガラクトサミン/LPS投与によって誘導される急性肝障害後の神経毒性のQUIN上昇 には肝組織への単球/マクロファージの浸潤による前駆物質であるキヌレニンの増加,および肝臓内ACMSDase 活性の減少が深く関与していることを明らかにした。本研究は,重度肝障害における血中および脳内のQUIN上 昇機序の一端を解明したもので,肝臓学ならびに病態情報解析医学の発展に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌]
Changesin quinolinic acid production andits related enzymes following D-galactosamine and
lipopolysaccharide-induced hepaticlnJury
Archives of Biochemistry and Biophysics428,154-159(2004).