風疹と麻疹
滋賀大学保健管理センター(2010.3)
風疹(三日はしか)
風疹は、発熱、発疹、リンパ節腫脹を特徴と
するウイルス性発疹症です。近年国内において
もその発生は減少傾向にありますが、先天性風
疹症候群予防のために、妊娠可能年齢およびそ
れ以前の女性に対するワクチン対策が重要な疾
患です。
症状
症状
症状
症状 春先から初夏にかけて多く、風疹ウイル
スへの感染から 14-21 日の潜伏期間の後、発
熱、発疹、リンパ節腫脹(ことに耳介後部、後
頭部、頚部)が出現します。発疹は小さな紅斑、
あるいは紅色丘疹で、全身に拡大します。リン
パ節は発疹の出現する数日前より腫大し、3-6
週間位持続します。結膜の軽度の充血や口蓋粘
膜の出血斑、肝機能障害などが見られることも
あります。通常は予後良好な疾患ですが、稀に
血小板減少性紫斑病(3,000-5,000 人に 1 人)、
脳炎(4,000-6,000 人に 1 人)などの合併症が発
生することがあります。また、15-30%程度の人
では不顕性感染で終わるとされています。
風疹に伴う最大の問題は、免疫が不十分な妊
婦が、妊娠初期に風疹ウイルスに感染すると、
感染が胎児に及ぶために、難聴・心疾患・白内
障・精神運動発達遅滞等の障害をもった先天性
風疹症候群児が出生する可能性があることで
す。同症候群の発生する確率については、妊娠
20 週までの期間に感染した場合には 20-25%、
特に妊娠 12 週までに限定すると 25-90%と報
告されており、12 週以内の感染の場合に危険性
が高いというのが、世界的に一致した見解とい
えます。
予防
予防予防
予防 風疹を予防するために、弱毒生ワクチ
ンが実用化され広く使用されています。我が
国では、平成 18 年の予防接種法改正に伴い、
生後 12-24 カ月および小学校入学前 1 年の
男女に、麻疹・風疹ワクチンが定期接種にな
っています。さらに、平成 20 年 4 月 1 日から
5 年間の期限付きで、第 3 期(中学 1 年生相
当年齢)、第 4 期(高校 3 年生相当年齢)にも
麻疹・風疹ワクチンの定期接種が拡大されて
います。
ワクチンによる免疫獲得率は 95%以上とさ
れています。ワクチンを接種することが適当
でない者として、
(1) 明らかな発熱を呈している者
(2) 重篤な急性疾患にかかっていることが明
らかな者
(3) 本剤の成分によってアナフィラキシーを
呈したことがあることが明らかな者
(4) 明らかに免疫機能に異常のある疾患を有
する者及び免疫抑制をきたす治療を受け
ている者)
(5) 妊娠していることが明らかな者
(6) 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うこ
とが不適当な状態にある者
が挙げられています。また、ワクチン接種後
2ヶ月間は避妊することが必要です。ワクチ
ン接種の副反応として、稀に(接種 10 万人あ
たり 0.1-0.3 人)血小板減少性紫斑病が報告さ
れています。
学校保健安全法上、紅斑性の発疹が消失する
まで出席停止となります。
麻疹(はしか)
はしか(麻疹)は、発熱と発疹を主徴とする
ウイルス性発疹性疾患です。麻疹ウイルスは病
原性が高く、免疫がない人が暴露を受けると殆
ど感染・発病します。麻疹罹患歴、ワクチン接
種歴のない人ばかりでなく、従来は、終生免疫
が持続するとされたワクチン接種を 1 回受けた
人も、その効果がおよそ 10 年程度で低下し、感
染・発病する可能性があることが知られていま
す。これは患者さんの数が減り、ウイルスに遭
遇する機会が減少したため、折々に抗麻疹免疫
を増強することができないためと考えられてい
ます。
症状
症状
症状
症状 麻疹は、感染後に 10-12 日の潜伏期を経
て発症します。38℃前後の発熱が 2-4 日間続
き、倦怠感、上気道炎症状(咳嗽、鼻漏)と結
膜炎症状(結膜充血、眼脂、羞明)が現れ、次
第に増強すると共に、特有の小斑点(コプリク
斑)が口腔粘膜に出現します。その後、発熱が
1℃くらい下降して半日後に、再び高熱(多くは
39.5℃以上)が出ると共に(2 峰性発熱)、特有
の発疹が耳後部・頚部・前額部より出現し、翌
日には顔面・体幹部・上腕に及び、さらに四肢
末端にまで広がるまで 3-4 日発熱が持続しま
す。時に肺炎や脳炎、稀に亜急性硬化性全脳炎
を合併し致命的になる場合もあります。
予防
予防予防
予防 特異的な治療法がなく、高度弱毒生ワク
チンによる予防が最も重要です。麻疹の排除を
目指して、平成 18 年から、第 1 期(1 歳児)、
第 2 期(小学校入学前年度の 1 年間にあたる児)
の2回の定期接種が開始されました。さらに、
平成 20 年 4 月 1 日から 5 年間の期限付きで、
第 3 期(中学 1 年生相当年齢)、第 4 期(高校 3
年生相当年齢)に、原則として麻疹・風疹ワク
チンの定期接種が拡大されています。
ワクチンによる免疫獲得率は 95%以上とされ
ています。また、麻疹患者と接触してから 3 日
以内にワクチンを接種することにより、発病を
予防できる可能性があります。従来、麻疹罹患
者の 10 万人に 1 人程度の発病率とされていた亜
急性硬化性全脳炎に関して、1989 年から 91 年
までの米国における流行で、麻疹罹患者 10 万人
に 22 人程度の発病率であったこと、この脳炎の
予防に、ワクチン接種が有効であったと推測さ
れることが報告されています。なお、ワクチン
を接種することが適当でない者としては、風疹
とほぼ同じ者が挙げられています。
学校保健安全法により、解熱後3日を経過す
るまでは出席停止となります。