二重キャッシュ環境の参照の局所性を考慮したキャッシュを有するファイルシステム
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(2) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report 2.2 データの重複. Vol.2016-OS-136 No.3 2016/2/29. 参照の時間的局所性を期待している LRU をホスト OS ペ. 仮想化環境において,二重のページキャッシュを介して. ージキャッシュにおいて用いても,効果的に機能しない.. いる場合,ゲスト OS ページキャッシュがキャッシュミス. また,負の参照の時間的局所性にはゲスト OS ページキ. した場合(図 1 の(2)や(3)),アクセス対象データはホスト OS. ャッシュサイズが増えるほど,一度アクセスしたデータに. ページキャッシュに最新データとして格納され,同時に同. 再びアクセスするまでの間隔が長くなり,負の参照の局所. じデータがゲスト OS ページキャッシュにも最新データと. 性が強くなることがわかっている[3].. して格納される.両ページキャッシュに同一のデータが重 複して格納され両ページキャッシュが保持している場合, 両ページキャッシュで重複しているデータへのアクセス要. 4. 関連研究 4.1 MQ(Multi Queue). 求はゲスト OS ページキャッシュにより処理される.その. ネットワークストレージのような下位キャッシュのた. ため,ホスト OS ページキャッシュにアクセス要求がこな. めの置換手法として MQ(Multi Queue)が提案されている[5].. いため,ホスト OS ページキャッシュが効果的に機能しな. 下位キャッシュには負の参照の時間的局所性が存在してお. い.逆にゲスト OS ページキャッシュでキャッシュミスと. り,近い将来再度参照されることはない.このため,MQ. なったアクセス要求のデータは,ホスト OS ページキャッ. は長時間データを保持することにより,キャッシュヒット. シュも保持しておらずホスト OS ページキャッシュにおい. 率を高めることを目的としたアルゴリズムである.. てもキャッシュミスとなる可能性が高い.このため両ペー. MQ は複数の LRU キューにより構成されており,各デー. ジキャッシュの内容の多くが重複している場合,ホスト OS. タは参照回数によって格納されるキューが選ばれる.格納. ページキャッシュは効果的に機能せず,ホスト OS ページ. されたデータには expire time が設定されており,あまりに. キャッシュのキャッシュヒット率が低下する.. 長期間アクセスが無かったデータは,下位のキャッシュに. 3. 負の参照の時間的局所性 3.1 参照の局所性. 移される. この expire time の存在により,長期間データを保持した 場合においても,過去に価値が大きく上昇したが最近はア. 多くのキャッシュシステムではキャッシュの記憶容量. クセスしていないデータを破棄することが可能になる.置. は下層の低速記憶装置の記憶容量よりも小さいが,多くの. 換対象となるデータは最も下位のキューの中で最も古いデ. 場合は十分な性能を発揮できることが経験的に知られてい. ータが選ばれる.置換対象となったデータの ID およびそ. る.これはアプリケーションが発行するデータアクセス要. の参照回数は Qout と呼ばれるキューに保管される.該当デ. 求には多くの場合偏りがあるためであり,この参照の偏り. ータが再度参照され,キャッシュに格納される際に該当デ. は“参照の局所性(Locality of Reference)”と呼ばれている.. ータの参照回数として Qout に保管してあった値が加算さ. LRU などの現在のメモリ管理技法の多くはこの参照の局. れ,保管キューを選択する.保管キューの選択には log( f )(f. 所性の概念に基づいている.参照の局所性には, “時間的局. は参照回数)を用いることが実験によりわかっており推奨. 所 性 ( Temporal locality )” と ,“ 空 間 的 局 所 性 ( Spatial. されているが,参照回数に偏りがない場合 LRU と同等の動. locality)”がある.時間的局所性は,ある時点で参照され. 作となってしまい,効果的に機能しない[3].. たデータが近い将来に再び参照される可能性が高いという 性質である.空間的局所性は,あるデータが参照されたと き,その近傍のデータが近い将来に参照される可能性が高. 4.2 Exclusive Cache 二重キャッシュでのデータの重複を防ぐために Excusive. いという性質である. Cache という手法が提案されている[6].Exclusive Cache で. 3.2 負の参照の時間的局所性. は VM と VMM が連携をとることにより,同じデータをキ. 一般的に,ゲスト OS ページキャッシュ置換アルゴリズ. ャッシュに格納しないようにする手法である.. ムには LRU が使われている.この場合ゲスト OS のペー. 文献[6]で Exclusive Cache について考察と試作実装によ. ジキャッシュには,最近アクセスされたデータが格納され. る評価がされている.Exclusive Cache を用いることでキャ. ている.よって,アプリケーションからの「最近アクセス. ッシュヒット率を向上させ,I/O 性能の向上が期待できる.. されたデータ」へのアクセス要求は,ゲスト OS ページキ. 本手法は VMM の改変を行う必要があり,同文献では. ャッシュにより処理されホスト OS ページキャッシュには. Excusive Cache の実装のために xen の VMM の改変を行っ. 転送されない.このため,ホスト OS ページキャッシュに. ている.またホスト OS とゲスト OS を連携させて動作さ. は「最近アクセスされたデータ」へのアクセス要求が到達. せる必要がある.. せず, 「最近アクセスされたデータが近い将来に再度アクセ. 4.3 ゲスト OS ページキャッシュ破棄データ格納手法. スされる可能性は低い」という,通常とは逆向きの負の参 照の時間的局所性が存在することになる.よって,通常の. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 文献[3]で二重キャッシュ環境における重複排除手法の 提案を行っている.以下に本手法の動作を示す.. 2.
(3) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2016-OS-136 No.3 2016/2/29. まず,アクセス要求がゲスト OS ページキャッシュでヒ. アクセス要求. ットした場合の動作(図 2)を説明する.アプリケーショ. ←低. ンから pageD へのアクセス要求が来たとする.pageD はゲ. pageA pageB pageC pageD pageE. スト O S に存在するため,ゲスト OS はアプリケーション TIME. (pageD)をゲスト OS ページキャッシュにおいて最も破棄. 高→. 破棄優先度. ←低. 破棄優先度. 高→. pageF pageG pageH pageI pageJ. ①. 高→. 破棄優先度. ←低. 次に,アクセス要求がホスト OS ページキャッシュで ヒットした場合の動作(図 3)を説明する.アプリケーシ. ←低. pageA pageB pageC pageD pageE. 高→. 高→. ←低. 破棄優先度. ③. 高→. pageG pageA pageB pageC pageD. pageE pageF pageH pageI pageJ. ゲストOSキャッシュ. ホストOSキャッシュ. ョンから pageG へのアクセス要求が来たとする.提案手法 では,ホスト OS ページキャッシュは置換アルゴリズムを. 破棄優先度. pageF pageH pageI pageJ pageG ②. pageG(ホストOSから). されづらい状態とする.. ←低. ゲストOSキャッシュ ホストOSキャッシュ (LRU) pageGへのアクセス要求 (MRU). に要求を返す.また,ゲスト OS ページキャッシュは置換 アルゴリズムに LRU を用いているためヒットしたページ. 破棄優先度. 図 3 ホスト OS ページキャッシュヒット時の動作. MRU とするため,ヒットしたページ(pageG)をホスト OS ページキャッシュにおいて最も破棄されやすい状態と. ←低. する.次に,ゲスト OS はゲスト OS ページキャッシュに. pageA pageB pageC pageD pageE. pageG のコピーを格納する.この時,ゲスト OS ページキ. TIME. ページキャッシュで破棄対象の pageG を破棄する. 次に,. 破棄優先度. ←低 ①. アクセス要求が両キャッシュでミスヒットした場合の動作 (図 4)を説明する.アプリケーションから pageK へのア. ←低. ッシュ,ホスト OS ページキャッシュの両キャッシュに存. ←低. 破棄優先度. 高→. pageF pageG pageH pageI pageJ. 高→. ←低. 破棄優先度. 高→. pageF pageG pageH pageI pageJ. pageA pageB pageC pageD pageE. pageK(HDDから). クセス要求が来たとする.pageK はゲスト OS ページキャ. 高→. ゲストOSキャッシュ ホストOSキャッシュ pageKへのアクセス要求 (LRU) (MRU). ャッシュで破棄対象の pageE をホスト OS ページキャッシ ュに最も破棄されにくい状態で格納する.また,ホスト OS. 破棄優先度. ③ ②. 破棄優先度. 高→. ←低. 破棄優先度. 高→. pageK pageA pageB pageC pageD. pageE pageF pageG pageH pageI. ゲストOSキャッシュ. ホストOSキャッシュ. 在しないため,物理 HDD からデータの読み込みが行われ. 図 4 両キャッシュミス時の動作. る.その時,提案手法ではゲスト OS ページキャッシュで. また文献[7]では本手法の試作実装を行っている.試作実. のみ pageK を格納し,ホスト OS ページキャッシュには. 装では VM(ゲスト OS)とホスト OS 間で連携を行ってい. pageK を格納しない.この時,ゲスト OS ページキャッシ. るが VMM への変更は必要ない.しかし,VM とホスト OS. ュで破棄対象の pageE をホスト OS ページキャッシュに最. 間の連携にはオーバーヘッドがある.. も破棄されにくい状態で格納する.また,ホスト OS ペー. 4.4 シミュレーションによる評価. ジキャッシュで破棄対象の pageJ を破棄する.. 文献[3]では,既存手法である MQ やゲスト OS ページキ. 提案手法は以上の動作により両キャッシュのデータの 重複を抑える事ができる.. 価をしている.本節で,シミュレーション結果を紹介する. シミュレーションではキャッシュおよびディスクは. アクセス要求. ←低. 破棄優先度. 高→. pageA pageB pageC pageD pageE. 高→. 4KB ブロックに管理されているものとしている.シミュレ. pageF pageG pageH pageI pageJ. ーションにおいても,実 OS の二重キャッシュ環境と同様. ←低. 破棄優先度. TIME. ゲストOSキャッシュ ホストOSキャッシュ (LRU) (MRU) pageDへのアクセス要求. 高→. でミスヒットした場合下位キャッシュに要求が転送される. 上位キャッシュの置換アルゴリズムには LRU を用い,下位. pageD pageA pageB pageC pageE. pageF pageH pageI pageJ pageG. キャッシュの置換アルゴリズムを変えてシミュレーション. ゲストOSキャッシュ. ホストOSキャッシュ. を行っている.シミュレーションの設定を表 1 に示す.シ. ←低. 破棄優先度. にアクセス要求は上位キャッシュを介し,上位キャッシュ 高→. ←低. 破棄優先度. ャッシュ破棄データ格納手法をシミュレーションにより評. 図 2 ゲスト OS ページキャッシュヒット時の動作. ミュレーション結果は図 5,6,7 にの通りである.図内の手 法[3]はあ前節のゲスト OS ページキャッシュ破棄データ格 納手法である.. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 3.
(4) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2016-OS-136 No.3 2016/2/29. 表 1 シミュレーションの設定. 100%. 2GB,3GB,4GB. 90%. 下位キャッシュサイズ. 2GB,3GB,4GB,5GB. 80%. データサイズ. 10GB. 70%. 使用アルゴリズム. LRU,MQ,FIFO,Randam,LFU,M RU,FIX,提案手法. まず,多くの OS で採用されている置換アルゴリズムの. キャッシュヒット率[%]. 上位キャッシュサイズ. LRU のヒット率に着目して説明する.シミュレーションの. LRU 60%. MQ. FIFO. 50%. RAND LFU. 40%. MRU 30%. FIX ■文献[3]手法 提案手法. 20%. 結果では LRU は今回使用したアルゴリズムの中で最もヒ. 10%. ット率が低い.シミュレーションにおいても負の参照の時. 0%. 2. 間的局所性によって下位キャッシュが有効に機能していな. 3. 4. 5. 下位キャッシュサイズ[GB]. いことがわかる.また,上位キャッシュのサイズを増やす と下位キャッシュのサイズが同じ場合でもヒット率が低下. 図 5 シミュレーション結果,上位キャッシュ 2GB. する事がわかる.この理由は2つ考紹介されており,一つ 100%. 照の時間的局所性の影響が大きくなったため,参照の時間. 90%. 的局所性を期待している LRU キャッシュ置換手法が効果. 80%. 的に機能しなかったためと考えられる.もう一つの理由と して,上位キャッシュのサイズが大きくなったことにより, 両キャッシュのデータの重複が増えたためと考えられる. 両キャッシュのデータの重複により上位キャッシュでミス ヒットしたデータは下位キャッシュでもミスヒットする可. 下位キャッシュヒット率. は上位キャッシュのサイズを大きくしたことにより負の参. 70% LRU. 60%. MQ FIFO. 50%. RAND. 40%. LFU MRU. 30%. FIX. 20%. 能性が高くなり,下位キャッシュヒット率の低下に繋がっ. ■文献[3]手法 提案手法. 10%. たと考えられている.. 0% 2. 次に,下位キャッシュの置換アルゴリズムに提案手法を. 3. 4. 5. 下位キャッシュサイズ[GB]. 選択した場合のヒット率に着目して解説する.下位キャッ シュの置換アルゴリズムにゲスト OS ページキャッシュ破. 図 6 シミュレーション結果,上位キャッシュ 3GB. 棄データ格納手法を選択した場合のヒット率は文献[3]使 用したアルゴリズムの中で最もヒット率が高かった.また,. 100% 90%. るのに対し,提案手法のヒット率は上位キャッシュの増加. 80%. ともに向上していることが分かる.上位キャッシュの増加 ともにヒット率が向上した理由として,提案手法では負の 参照の時間的局所性を考慮し,最近参照のあったデータを 破棄対象とするためと考えられる.また,提案手法では上 位キャッシュから破棄されるデータを下位キャッシュに格. 下位キャッシュヒット率. LRU のヒット率が上位キャッシュの増加とともに低下す. 70% LRU. 60%. FIFO RAND. 40%. LFU MRU. 30%. FIX. 20%. 納することにより両キャッシュのデータの重複を抑えるこ. 10%. とができる.そのため,上位キャッシュでミスヒットした. 0%. データでも下位キャッシュに当該データがある可能性が高. MQ. 50%. ■文献[3]手法 提案手法. 2. 3. 4. 5. 下位キャッシュサイズ[GB]. いためヒット率が向上したと考えられる. 次に MQ のヒット率に着目して解説する.保管キューの. 図 7 シミュレーション結果,上位キャッシュ 4GB. 選択手法は MQ のチューニングパラメータであり,これに 最適化により性能を向上させられる可能性も考えられるが, 文献[5]にて推奨されている設定(log( f ))をそのまま用いる のみでは高い性能を得られていないことが分かる.. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 4.
(5) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2016-OS-136 No.3 2016/2/29. 5. ホスト OS ページキャッシュ制御による,ゲ スト OS 性能の向上手法 本章において,ホスト OS ページキャッシュ制御による, ゲスト OS 性能の向上手法について説明する. 文献[2] において,多段キャッシュ型ネットワークスト レージ環境において LRU 置換アルゴリズムは有効ではな いことが示されており,LRU を用いずキャッシュ対象領域 を固定化することで性能が向上することがシミュレーショ ンにより確認されている.キャッシュ対象領域を固定化す る手法を仮想化環境上に構築し,性能を調査した.. アプリケーション ファイル. ファイル. ゲストOS FS ゲストOSブロック層 仮想HDD イメージファイル Cache メモリ. Cache FS. ホストOS ファイルシステム ホストOSブロック層. 5.1 提案手法の実装 本手法では,FUSE(Filesystem in Userspace)[4]を用いて. 物理HDD. 固定領域をキャッシュするファイルシステムを構築した. 本ファイルシステムでは,図 9 の様に,ファイルシステム のプロセス起動時にメモリを確保し,ファイルシステムの 内容の一部をそのメモリに複製して保持する.メモリ内に 保持している領域への読書命令はメモリを用いて処理し,. 図 9 キャッシュ FS VM のモデル 5.2 提案手法の評価実験 本節において,ホスト OS ページキャッシュ制御による, ゲスト OS 内アプリケーションの I/O 性能の向上手法の評. それ以外の領域への読書命令はディスクを用いて処理する.. 価実験を行う.図 8 の様に ext2 上にあるイメージから起動. 領域の一部の複製をメモリに保持することはキャッシング. したゲスト OS(以下,通常 VM)と図 9 の様にキャッシュ FS. であるが,キャッシュ対象は固定であり,LRU などによる. 上に存在するイメージファイルから起動したゲスト OS(以. 置換は行わない.本稿では同ファイルシステムをキャッシ. 下,キャッシュ FS VM)とで FFSB を実行しスループット. ュ FS と呼ぶ.. を比較した.通常 VM はゲスト OS にメモリを割り当てた. アプリケーション. 残りのメモリを全てホスト OS が使うことができるが,キ ャッシュ FS VM では,ゲスト OS に割り当てたメモリ全て. ファイル. ファイル. ゲストOS FS ゲストOSブロック層. をキャッシュ FS に持たせることはできず,キャッシュ FS VM が不利な条件での比較になる.表 2,3,4 に実験環境を示 す.比較したメモリ割り当ては表 5 の通りである. 実験結 果は図 10,11,12 の通りであるキャッシュ FS で固定的にキ. 仮想HDD. ャッシュ(コピー)して固定する領域は,ベンチマークデ. イメージファイル ホストOS ファイルシステム ホストOSブロック層. 物理HDD. ータが格納されている領域の一部とした. 実験結果から,全ての実験結果でキャッシュ FS VM のス ループットが通常 VM を上回っていることが確認できる. 図より,ゲスト OS に割り当てるメモリが多いほどベン チマークソフトのデータサイズが小さい場合での提案手法 によるスループットで提案手法の効果が大きくなっている. 図 8 通常 VM のモデル. ことが分かる.2 章で説明したように,二重キャッシュ環 境ではゲスト OS でキャッシュヒットした方が処理にかか る時間が少なく,ゲスト OS に多くメモリを割り当てた場 合のほうがキャッシュ FS VM,通常 VM 共にスループット が高くなったと考えられる.通常 VM のスループットがキ ャッシュ FS VM より上がらなかった理由としては,3 章で 説明した,ゲスト OS のページキャッシュ容量が増加する ほど負の参照の時間的局所性の影響が大きくなるため,ホ スト OS ページキャッシュでヒットしなくなり,スループ ットがほとんど向上しなかったと考えられる.それに対し てキャッシュ FS VM では固定領域をキャッシュすること. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 5.
(6) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2016-OS-136 No.3 2016/2/29. により負の参照の時間的局所性の影響を受けず,結果的に. 表 3 仮想計算機の仕様. ゲスト OS にメモリを多く割り当てたことによるスループ ットの向上の効果を得られたと考えられる.. OS. CentOS 6.7 (64bit). Kernel. Linux 2.6.32.27. CPU. QEMU Virtual CPU. 6. 考察. version (cpu64-rhel6) 本章では,ホスト OS キャッシュ固定化手法の実装方法, 固定化対象領域の決定方法について考察する. 本稿では,ホスト OS ページキャッシュの固定化手法を. HDD. 50GB. 使用ファイルシステ. ext2. ム. FUSE を用いてキャッシュ機能を保持するファイルシステ ムを構築することにより実現した.この実装方法の利点は, ゲスト OS,ホスト OS,VMM の実装への修正が不要であ ることと言える(ファイルシステムのソフトウェアのイン. 表 4 FFSB の仕様 総データ. ファイル. ファイル. オペレーシ. サイズ. サイズ. 数. ョンサイズ. 12GB. 1MB. 12288. 1MB. 14GB. 1MB. 14336. 1MB. 16GB. 1MB. 16384. 1MB. ストールは必要であるが,カーネル等の修正は不要である). カーネル空間で動作するファイルシステムによる実装と比 較すると,FUSE による実装は実装工数が少ない利点があ り,性能が低いことが欠点であると言える,本手法を通常 の(カーネル空間で動作する)ファイルシステムにより実. 表 5 メモリ割り当て. 装することにより,更なる性能の向上が達成できると期待 図番号. できる.. キャッシュ FS. 通常 VM. メモリ割り当て. メモリ割り当て. ゲスト OS 8GB,. ゲスト OS 8GB,. キャッシュ FS 7GB. ホスト OS 8GB. ゲスト OS 9GB,. ゲスト OS 9GB,. また,前章の実験では高頻度でアクセスされる領域が既 図 10. 知である前提で実験を行った.このキャッシュ対象領域の 決定は LFU などの頻度ベースの手法により決定できると. 図 11. 考えられる. また,本稿ではキャッシュ固定機能をファイルシステム. キャッシュ FS 6GB. ホスト OS 7GB. ゲスト OS 10GB,. ゲスト OS 10GB,. キャッシュ FS 5GB. ホスト OS 6GB. 図 12. を追加することにより実現しているが,キャッシュ機能を 担っているブロック層内のページキャッシュの置換手法を 改良していく実現手法が考えられ,カーネルの修正が必要. 350. キャッシュFS. できる.. 300. 通常VM. 表 2 実計算機の仕様 OS. CentOS 6.5 (64bit). Kernel. Linux 2.6.32.27. CPU. Intel Celeron CPU G530 2.40GHz. HDD. 250GB. Memory. 16GB. 仮想化システム. KVM. ファイルシステム. ext2. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. スループット[MB/sec]. となるがこれが最も高い性能が得られる手法であると期待. 250 200 150 100. 50 0. 12. 14. 16. データサイズ[GB]. 図 10 ゲスト OS 8GB 時のスループット. 6.
(7) 情報処理学会研究報告 IPSJ SIG Technical Report. Vol.2016-OS-136 No.3 2016/2/29. 350. キャッシュFS. スループット[MB/sec]. 300. 通常VM. 250 200 150 100. 50. [5]Yuanyuan Zhou and James F .Philbin, KaiLi,:The Multi-Queue Replacement Algorithm for Second Level Buer Caches, In Procedings of the 2001 USENIX Annual Technical Confer-ence, (2001) [6]P. Lu and K. Shen,: Virtual Machine Memory Access Tracing with Hypervisor Exclusive Cache, In Proc. of USENIX Annual Technical Conference, 2007. [7]杉本洋輝 , 山口実靖, “仮想化環境におけるゲスト OS ページ キャッシュの監視によるホスト OS ページキャッシュのヒッ ト率の向上”, 第 14 回情報科学技術フォーラム(FIT2015).. 0. 12. 14. 16. データサイズ[GB]. 図 11 ゲスト OS 9GB 時のスループット. 350. キャッシュFS. スループット[MB/sec]. 300. 通常VM. 250 200 150 100. 50 0. 12. 14. 16. データサイズ[GB]. 図 12 ゲスト OS 10GB 時のスループット. 7. おわりに 本稿では,ホスト OS ページキャッシュにおけるキャッ シュ置換アルゴリズムの LRU が効果的に機能しないこと とキャッシュ対象を固定化する手法の方が高いヒット率を 実現できることを紹介し,ファイルシステムによるその実 現手法を提案し,性能評価によりその有効性を示した. 今後は,カーネル空間で動作するファイルシステムによ る実装,ページキャッシュ内の実装,他のアルゴリズムの 実装について考察していく予定である. 謝辞. 本研究は JSPS 科研費 25280022,26730040,15H02696. の助成を受けたものである.. 参考文献 [1]長廻雄介,山口実靖,“ 多段キャッシュ型ネットワークストレ ージへのアクセスの時間的局所性を考慮したキャッシュ置換 法”情報処理学会 2010 年全国大会 5ZA-5 (2010) [2]宮野新平,山口実靖,淺谷耕一, “多段キャッシュ型ネットワー クストレージへのアクセスの時間的局所性を考慮したメモリ キャッシュ制御”,情報処理学会研究報告 2009(20),pp.7-12, (2009) [3]杉本洋輝 , 山口実靖, “二重キャッシュ環境における負の参照 の時間的局所性を考慮したキャッシュ管理手法”, 情報処理 学会論文誌コンシューマ・デバイス&システム(CDS) Vol 5 No.4 pp 42 – 51,(2015) [4]Filesystem in Userspace (online) available from < https://github.com/libfuse/libfuse > (accessed 2015-12-31).. ⓒ 2016 Information Processing Society of Japan. 7.
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図
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