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[巻頭言]地域のニーズに応える地方環境研究所

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Academic year: 2021

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!巻 頭 言!

地域のニーズに応える地方環境研究所

山形県環境科学研究センター所長

今日の環境問題は,光化学オキシダントや黄砂 などの越境大気汚染の問題,残留性有機汚染物質 の問題,酸性雨や地球温暖化などの地球環境問 題,生物多様性の保全や海岸漂着ごみの問題など 取り組むべき領域が拡大するとともに,ますます 複雑・多様化しています。 また,国境を越える環境問題などに地方環境研 究所がどういう役割を果たして行くかといったこ ともあり,地方環境研究所の調査研究やその成果 が住民には見えにくくなっていることも昨今の特 徴となっています。 そこで,これまでの公害防止の実例を参考にし ながら,これからの地方環境研究所に求められる ものについて,整理してみたい。 第1には,地方環境研究所は,地域のニーズに きちんと応えることで,グローバルな環境問題で あろうとも,地域に降りかかるまたは降りかかる おそれのある環境問題の解決に責任を持って対応 することだと思うのです。 今から四半世紀ほど前のことですが,私たちの 全環研北海道・東北支部など雪国共通の社会問題 となっていたスパイクタイヤによる道路粉じん問 題が思い出されます。当時はスパイクタイヤの普 及により雪国では春の砂嵐が当たり前でしたが, 見事に脱スパイク社会,道路粉じんのない社会を 実現できました。 この問題を解決できたのは,1つには,やはり 理屈ではなく,技術であるということで,粉じん の出ないタイヤの開発など,科学技術(ハード)で あり,2つには,いくら技術が確立してもピンの ないタイヤが社会の中でうまく普及するような法 令の整備や道路管理など,社会のしくみづくり (ソフト)であり,3つには,技術や社会のしくみ がいくら立派であっても,住民の一人ひとりが健 康や環境を大切にする心をもって脱スパイクを進 めるなど,環境教育(ハート)でありました。 当時は交通安全の観点から解決が困難とされて いた問題も,ハードとソフトとハートの三拍子に より解決できるということを学んだことです。地 方環境研究所は,職員が互いに専門分野に閉じこ もることなく,垣根をつなぎあわせ,自然科学・ 社会科学・人文科学のあらゆる学問分野を総合化 して,環境問題の解決に責任をもって対応してい くことです。 第2には,地方環境研究所は,地球規模の環境 問題であろうとも,その解決につながる情報を積 極的に発信して,住民のお手元にお届けすること だと思うのです。地方環境研究所は,多様な知見 をもつ専門家集団です。地域の大学や企業や NPO などとの研究交流を積極的に推進し,さまざまな 媒体を通じて環境情報を積極的に発信していくこ とです。 以上,地方環境研究所に求められるものを2点 あげてみました。 地方では,厳しい地方財政の中で,産業廃棄物 税やみどり環境税など,環境に特化した自主財源 を新たに確保し,住民の生命と暮らしに関わる環 境分野に対応していこうとしています。風向きは 決して悪くないと思うのです。 【K:】Server/全国環境研会誌/全国環境研会誌・第115号/巻頭言

53 Vol. 35 No. 2(2010) ─ 1

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