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PLDI 2015 参加報告

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Academic year: 2021

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(1)会議レポート PLDI 2015 参加報告 開催概要. また,近年採用する会議が増えてきているが,論文中で. 2015 年 6 月 13 日 か ら 17 日 ま で の 5 日 間, プ ロ グ. 論じられるソフトウェアやテストなどの「artifact」. ラ ミ ン グ 言 語 に 関 す る 国 際 会 議 PLDI(Programming. に対する評価プロセスも PLDI では用意されている.採. Language Design and Implementation) が 開 催 さ れ た.. 択決定された論文数に対する artifact の提出率は 56%. プログラミング言語分野の中でも,特に実装や検証など. で,評価プロセスを経て最終的に artifact として認定さ. の技術的内容に重点を置いた研究を扱う代表的な会議. れたものは提出されたもののうち 82% とのことであっ. の 1 つであり,理論に重点を置いた研究を扱う国際会. た.昨年の PLDI では,artifact の提出率は 38%,artifact. 議 POPL(Principles of Programming Languages)と 並 ん. の認定を得たものはそのうち 60% とのことであったの. で「principles of POPL,practices of PLDI」と表現される. で,より artifact を提出する傾向にあり,artifact の質も. こともある.. 上がってきていることがうかがえる.. PLDI は過去数回を除いては北米で開催され,今年も北. 国別の論文投稿数や発表数などの情報は公表されなか. 米のポートランドで開催された.近年は,他の国際会議. ったため,日本から何本の論文が投稿されたかは不明だ. と共同開催されることが多く,今年は STOC(Symposium. が,今年は日本人による発表はなかった.そのため,残. on Theory of Computing)や HPDC(High-Performance. 念ながら日本のプレゼンスが下がっている印象を受けた.. Paralleland Distributed Computing),ISCA(International. ☆1. Symposium on Computer Architecture) と い っ た 国 際. Distinguished paper の紹介. 会 議 と 共 同 開 催 さ れ,FCRC(Federated Computing. 今年の Distinguished paper は 3 本選出された.1 つ目. Research Conference)というひとまとまりのイベントと. は,ワシントン大学の Pavel Panchekha 氏らによる浮動. して開催された.FCRC の総参加者数は実に 2,300 人を. 小数点数の正確性を上げるための手法に関する発表であ. 超えたそうである.すべての会議がオレゴン州コンベン. った.対象とする数式に対し定義域を区切って最も誤差. ションセンターで開催されたのだが,参加者全員を収容. の少ない近似式で置き換えていくという手法を取り入. 可能なコンベンションセンターの総面積は東京ドームお. れ,その処理をヒューリスティック探索を行うことで自. よそ 2 個分に相当する.そのため,会議間を移動するの. 動化するというものであった.. に時間を要したり,昼食をとるにも長蛇の列に並ばなけ. 2 つ目は,コーネル大学の Danfeng Zhang 氏らによ. ればならなかったりと不便なことも少々あった(図 -1) .. る発表で,型推論システムのエラー・メッセージの精. ちなみに,PLDI の参加者数は 381 人とのことであった.. 度を上げるための手法を提案していた.GHC(Glasgow. 傾向. Haskell Compiler)の型検査において,より根本原因で ある可能性が高いエラーメッセージを選出するために,. PLDI の論文投稿数はここ 10 年近く増加し続けており,. プログラムから型に関する制約をグラフとして構築し解. 今年はついに投稿数が 300 本を超えたそうである.採. 析する仕組みについて発表していた.. 択率は 20% 前後で大きな変化はないため, 2009 年以降,. マイクロソフト・リサーチの Nuno P. Lopes 氏らは覗. 本会議はパラレル・セッションでの発表形式を取ってい. き穴最適化のプログラミングに特化したドメイン特化言. る.また,2015 年の特徴として,ダブル・ブラインド. 語(DSL)を提案していた.この DSL はコンパイラ・イ. 制と 2 ラウンドのレビュー期間を設けている点が挙げら れる.ダブル・ブラインド制は 2011 年からの復活となる.. 1026. 図 -1 FCRC の昼食会場にて,ビュッフェ形式のため食事に並ぶ 参加者たち.写真に写っているのは会場全体のおよそ 4 分の 1. 情報処理 Vol.56 No.10 Oct. 2015. ☆1. ソフトウェア開発における(中間)生成物.

(2) 図 -2 X10 ワークショップにて,Olivier Tardieu 氏による発表風景. 図 -3 会場に設置されたキーノート・スピーチの予定プレート. ンフラストラクチャの 1 つである LLVM の最適化パスと. その他 ─ 1 分間の発表紹介セッション─. 組み合わせて使えるようになっており,LLVM の中間表 現に対してどのようにコード変換を行うかを事前条件と. 本会議での発表前に,著者が 1 分間で内容紹介をす るというセッションが設けられることがあるが,PLDI. ともに記述できるというものであった.. では 1 分間の動画を公開するという試みを新たに行っ. 併設イベントの紹介. れるため,創意工夫を凝らした動画も多数あり楽しめた.. PLDI の全日程 5 日間のうち,前半 2 日間でチュート リアル,ワークショップ,シンポジウム,ポスター・ セッションが開催された.ワークショップは 7 つあり, すべてを見て回ることはできなかったが,どの会場もほ ど良く席が埋まっており盛況そうであった.個人的興味 から X10 ワークショップに終日参加したが,やはりほ ぼ席は埋まっていた.中でも一番興味深かった発表は, Java 8 の文法で X10 とほぼ同等の機能を実現するとい う発表(図 -2)で,新規ユーザにとって X10 独自の文 法を覚える必要がなくなる利点は大きいと感じた. ポスター・セッションは,本会議の発表者が同じ内容 を事前に宣伝することに使われており,萌芽的な研究に ついて議論をするという雰囲気ではなかった.さらに, 本会議の発表者すべてがポスター・セッションに参加し ているわけではなかったようで,会議の規模を考えると ポスターの数は少なめであった気がする. キーノート・スピーチは FCRC 全体で行われ,チュー リ ン グ 賞 を 受 賞 し た Michael Stonebraker 氏 や Andrew Yao 氏といった著名人の講演があり非常に充実していた. ていた.著者らには動画を事前に用意する時間が与えら スライドを表示し解説を加える真面目な動画が多数であ ったが,中には映画の予告のようなものなど聴衆に興味 を持ってもらうことに注力したものもあり,実際に発表 を聞きに行くと分かりやすい内容であることが多かった ように思う.動画は Youtube にアップロードされており, 各リンクは PLDI 2015 の Web サイトに張られているの で,ご興味ある方はご覧いただければと思う.. 総括 論文投稿数が増え続けている現在でも陰りなど微塵も 感じられず,むしろますます盛り上がりを見せている会 議の 1 つと感じた.一方で,日本人の活躍があまり見 られなかったのは残念であった.来年はカリフォルニア 州のサンタ・バーバラで開催とのことである.論文締切 は 11 月初旬で今回も 2 ラウンド制のレビュー期間が設 けられるようなので,予定になかったという方もご検討 されてはいかがだろうか. (堀江倫大/日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所). (図 -3).. 情報処理 Vol.56 No.10 Oct. 2015. 1027.

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