序章 新興4か国の「新しい労働運動」
著者
太田 仁志
権利
Copyrights 独立行政法人日本貿易振興機構アジア
経済研究所 2021
雑誌名
新興国の「新しい労働運動」――南アフリカ、ブラ
ジル、インド、中国――
ページ
1-27
発行年
2021
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
URL
http://hdl.handle.net/2344/00052101
はじめに
本書は南アフリカ,ブラジル,インド,中国の新興4か国の労働運動の動 を, 「新しい労働運動」という視点で 明する みである。その に,各国の今日 の労働運動の には,それ れの「新しい労働運動」 の 目が 可 である という がある。「新しい労働運動」とは,各国それ れの 型の労働運動 とは異なる性 を つ労働運動である。したがって, が 型の労働運動で が「新しい労働運動」なのか,国や 代によって異なる。ただし,それ れの 型の労働運動に共通する 性として,おもに第2 大 後に多くの国々で 開された,運動の場は職場を中心とし,賃金や労働条件の改善,向上を主 な 目的とする,労働組合が主 する労働運動であるとすることができる。 者と の 体 や 体行動(労働 議など)が,目的を 成するための一 的,中心 的手 である。労働運動では運動の主体が労働組合であるものは労働組合運動で, 労働運動は労働組合運動を包 する運動である。したがって 型の労働運動は, 労働組合運動である。 これに して「新しい労働運動」は,必ずしも 型労働運動が つ上記のよ うな や 性だけで 成されているわけではない労働運動である。本書では各 章,南アフリカ,ブラジル,インド,中国の新興4か国においてそれ れ が「新 しい労働運動」かを明らかにしたうえで,その動 を している。ただし「新 しい労働運動」を するといっても,「新しい労働運動」と 型の労働運動新興4か国の「新しい労働運動」
2 の関心には なり合う 分もあり,「新しい労働運動」が 型の労働運動に取 って代わったということではない。 本書が「新しい労働運動」と括 書きとするのは,必ずしも今現在新しいとい うことではないからである。 の経 とともに新しいもの,新しさは当 わ る。しかしこのことは,当 にして新しかったものがその後どのように 化し, また したか,そして今日どのような状況にあるかを することに がな いということではない。本書が扱う新興4か国はいずれも,それ れの「新しい 労働運動」の の を19 0年代~ 1980年代に つという共通点があり, そして各国の「新しい労働運動」は, を経て 化を経 したり,成 / 大ま たは後 / したりしている。「新しい労働運動」自体の 化もあるが,「新し い労働運動」よりもさらに新しい,「新しい 新しい労働運動 」が まれている かもしれない。各国のそうした 化を さえるのが本書の最大の目的である。 このような 上の さ・新しさという「新しい労働運動」の 点に えて, 本書では「新興国型の新しい労働運動」と「包摂・権利擁護型労働運動」( で は に「新興国型」,「包摂・権利擁護型」とすることがある)という2つの 型を「新 しい労働運動」の視点として提 する。この視点は実際の労働運動の 開から いたもので,前者の新興国型の新しい労働運動は,新興国の労働運動研究では めて な,本書の出 点にもなっている労働運動であり,後者の包摂・権利擁 護型労働運動は,今日の労働運動に められる再活性化の文脈で論じられる労働 運動である。したがって本書の「新しい労働運動」という視点は, 上のも のと型という2つの が 成している。これらについては第2 で改めて確 する。 本章の 成は のとおりである。第1 では, 料を いて各国の労働組 合の組 化動向と労働運動の動向を す1つの指 として,労働 議の動向を 的に確 する。 く第2 では,「新しい労働運動」として,新興国型の新し い労働運動と包摂・権利擁護型労働運動という2つの視点を提 する。第3 で 各章の をまとめる。なお,本書では労働運動を,取り組んでいる , のアプロー ,労働者の組 化の方 ,組 大の手 ,また(組 の 力を めるための)組 化の 組みを えた活動などの諸 からとらえている。 20-12-279 02 .indd 2 2021/03/24 15:23:44
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新興4か国の「新しい労働運動」に関する議論の前に,各国の労働運動事情を すべく, から各国の労働組合の組 化状況と,労働運動の1つの指 と して労働 議の動向を確 する。なお, 章最後の 図表において,4か国の社 会経済指 をまとめた。 は国際労働機関( O)による 「 OS 」より,新興4か国を 各国の労働組合組 をまとめたものである。この労働組合組 は原則とし て,労働組合員 を 者 で して められている。したがって分 には, たとえ 自営 者は まれない。 によると,多くの国で2010 ~ 201 年 の労働組合 組 ( )は2004 ~ 2009年の 組 よりも し ていることが確 できる1)。労働組合組 の は, 的 向であることが わかる。またその は, 的に組 化が難しい非 社員/非 労働者( 労働者,有 労働者,パート イム/ 労働者, 労働者など)や 性 労働者の , ー ス経済化の進 などが にある。 で両 ともに 組 が確 できる国のうち,中国の9 イント という組 上 を上 る のはウル アイ(12 5 イント )だけである。 南アフリカ,ブラジル,インド,中国の新興4か国の労働組合組 の を まとめたのが である。4か国のなかでは共 関 組 である 会,つま り中国の労働組合の組 が最も く 近で44 9 (2015年),ついで南アフリ カが28 1 (201 年),ブラジルが18 9 (201 年),インドが12 8 (2011年) となっている。 会を 国と じような労働組合とみなすか かは議論が分かれ るが,新興4か国では中国のみ,近年の組 化が進んでいることがわかる。南ア フリカはいく ん盛りかえしているように見 けられるものの,おお と しては,労働組合組 の もしくは 向が できる。ブラジルについ ては,労働組合 の 収(労組 金)が2018年から されたことを け, 1) の の取り方が2004 ~ 201 年であるのは,出所 の デー の のためである。ここ では2000年( ロ年)代と2010年代の を視野に,2004 ~ 2009年およ 2010 ~ 201 年とい う括りにしている。4 国の労働組合組 ( ) 地域 国 2004~09年 2010~1年 デー組 (年)近年の 地域 国 2004~09年 2010~1年 デー組 (年)近年の 新興4か国 南アフリカ 28 9 28 1 (201 年) ア リカ 11 8 11 0 10 3 (201 年) ブラジル 18 1 18 9 (201 年) カ ダ 29 5 28 9 28 4 (201 年) インド 13 4 12 8 12 8 (2011年) 15 3 13 5 12 5 (201 年) 中国 31 40 44 9 (2015年) ズ ラ 0 2 0 2 (2012年) アジア 日本 18 4 1 1 3 (201 年) ロン ア 9 8 9 9 5 (201 年) 国 10 2 10 0 10 1 (2015年) ルー 4 4 4 8 5 (201 年) 39 9 39 3 39 3 (2010年) リ 15 1 0 19 (201 年) 22 24 9 2 1 (201 年) パラ アイ 2 (2015年) ン ール 18 19 8 21 2 (2015年) ウル アイ 1 29 1 30 1 (2013年) イ 3 1 3 5 3 5 (201 年) アル ン ン 33 2 30 0 2 (2014年) マレー ア 10 2 9 0 8 8 (201 年) イ リス 28 1 25 4 23 5 (201 年) インド ア 9 4 0 0 (2012年) フランス 8 0 8 0 9 (2015年) フィリピン 11 1 8 8 (2014年) ドイ 20 3 18 0 1 0 (201 年) ト ム 14 14 (2011年) オランダ 20 1 18 4 1 3 (201 年) カン ジア 9 9 (2012年) ル ー 54 5 54 5 54 2 (2015年) ラオス 15 5 15 5 (2010年) スイス 18 5 1 15 (2015年) ンマー 1 0 1 0 (2015年) イ リア 33 35 8 34 4 (201 年) スリランカ 14 9 15 3 (201 年) ス イン 15 1 2 13 9 (2015年) パ ス ン 1 5 (2008年) ルト ル 21 2 18 2 1 3 (2015年) アフリカ ニジア 20 4 20 4 (2011年) リ 23 4 21 3 18 (201 年) ル 22 4 22 4 (2015年) デンマーク 8 9 9 1 2 (201 年) ウ ンダ 1 5 1 5 (2005年) ルウ イ 53 52 8 52 5 (2015年) ン ニア 29 24 3 (2015年) スウ ーデン 2 3 5 0 (2015年) ン ア 42 1 2 3 25 9 (2014年) フィンランド 0 1 4 (201 年) ジン ブ 5 5 (2010年) ーランド 1 4 12 9 12 1 (201 年) オ アニ ア/中近 オーストラリア 20 5 1 14 5 (201 年) 18 1 13 10 5 (201 年) ニ ージーランド 21 19 1 9 (2015年) スロ ア 19 9 13 2 11 2 (2015年) イスラ ル 2 5 28 0 (201 年) ロ ア 40 32 9 30 5 (2015年) トル 4 8 2 (201 年) ウクライ 5 9 51 4 43 8 (2015年) (出所) Oの デー ース「 OS 」より筆者 成(2019年2月24日閲覧,ダウンロー ド)。 ( )(1) 労働組合組 は原則として,組合員 を 者 (したがって自営や 者等は まれない)で して 出したものである。ただし各国の 義,また年 によって出所等が 異なるため, はできない。 (2)2004~09年およ 2010~1 年の は筆者 出による 。 (3)「 」は の 。 20-12-279 02 .indd 4 2021/03/24 15:23:44
組 が している(第2章 )。 ストライ や労働 議だけが労働運動ではないが,それらが労働運動に関する な指 であることは いない。 は新興4か国の労働 議の であ る。中国の 会は 前としてはストライ を実施しないからだろうか, Oの では中国の労働 議件 は確 できない。またインドについては,労働者のス トライ と 者によるロックアウトの合 件 であることに が必 である。 このほか,本表には表 にあるような 義等のちがいがあり,本表から な議 論や を行うのは難しい。それでも 表によると,ブラジルはストライ が大 な 向にあるようである。 近の2012年は8 3件と めて多い。南アフ リカも, としてストライ 件 は している(201 年は132件)。これに してインドでは,ストライ とロックアウトを合わせた労働 議ではあるが, 南アフリカ,ブラジルと すると 議件 の は しい(201 年は102件)。 ちなみに日本の 労働省の 表によると,日本の 議件 ( 議行 を う 新興4か国の労働組合組 18.5 18.1 17.5 18.9 30.1 28.1 30.4 44.9 13.8 12.9 12.8 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 % 中国 ブラジル インド 南アフリカ (出所) Oの デー ース「 OS 」より筆者 成(2019年2月24日およ 2020年2月8 日閲覧,ダウンロード)。 ( )(1) 労働組合組 は原則として,組合員 を 者 (したがって自営や 者等は まれない)で して 出したものである。ただし各国の 義や年 によって出所等が異 なるため, はできない。 (2) 組 が されている年 のみ ラフにまとめている(インドは2004年,2009年, 2011年のみ)。
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議件 )は2018年度は58件であった2)。
なお, で労働 議件 が の中国については, を 点として中
国の労働運動を する労働 Oの中国労働通 ( ina a o B lletin B)がそのウ ブ イトで,ストライ をはじめとする労働者の 議行 を じている3)。 Bの集 によると,2018年9月1日~ 2019年2月28日の 年 に, なくとも 00件はストライ が しているようである4)。 上,本 では労働組合組 と労働 議件 の より,新興4か国の労働 運動の を確 した。 では新興4か国の「新しい労働運動」の考 にあた り本書が いる たつの視点を提 する。 2)ただし2014年度は80件,2015年度は8 件と 多い。 労働省「 成30年労働 議 調査の 況」第1表より( tt s m l o to kei list l 14 30 08 ,2020年2月15日閲覧)。 3) 語 イトのU は tt s cl o k(2019年3月4日閲覧)。 4)労働 議の地 的分 をまとめた Bの イト(U tt s ma s cl o k st ikes en )より 関 ファイルをダウンロード(2019年3月3日)。 国の労働 議( ライ ア )の 生件 2005年 200 年 200 年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 201 年 201 年 南アフリカ 51 4 99 114 88 110 132 102 99 5 5 ブラジル 299 320 31 411 518 44 554 8 3 インド 391 429 28 150 102 45 430 389 423 中国 (出所)図1に じ。 ( )(1)中国のデー はない。 (2)ブラジル 南アフリカ インドが2 にわたるのは の出所が異なるためである。 (3) ブラジルはストライ のみの件 (2011~12年は の集 は家事労働者を く 者 em lo ees に限 )。 (4) インドは2005~2008年は政 ストライ と 者10 のストライ を くスト ライ とロックアウトの合 件 2014~1 年は 者10 のストライ を く ストライ とロックアウトの合 件 。 (5)「 」は の 。 20-12-279 02 .indd 2021/03/24 15:23:44
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「新しい労働運動」という語は,日常でも にし る であり名 である。 しかし「はじめに」で述べたように,本書では「新しい労働運動」として,各国 がまずそれ れの労働運動の 開に らして「新しい労働運動」を し,論じ ている。 また 上という 点に えて, 章では の2つの の の労働運動 に 目する。1つ目は,いくつかの新興諸国における19 0年代~ 1980年代の労 働運動である。これは新興国の労働運動研究では無視することができない な, 本書の出 点にもなっている労働運動でもある。2つ目は,1990年代 のと くに先進諸国における労働運動の再活性化,再 という文脈での労働運動である。 これは各国で今日 開されている労働運動にも されていたり,今後のあるべ き労働運動の にとっても に ものと考えられている。 に す る。 1つ目の「新しい労働運動」は,いくつかの新興諸国における19 0年代~ 1980年代の労働運動である。労働運動研究では1990年代に入り,19 0年代~ 1980年代の当 の「第三 」,とくにブラジル,南アフリカ,フィリピン, 国の労働運動を指して,「新しい労働運動」と表したものがある(Sci es 1992)。 これらの「新しい労働運動」は労働組合が主 した労働組合運動で,各国の研究 いずれでも,その労働組合運動が「社会運動ユニオニズム」(Social Movement Unionism SMU)5)と し て 論 じ ら れ た(Moo 199 Sci es 1992 Sei man1994 ate man 1993)。
5)ユニオニズム( t a e nionism)は「(労働)組合主義」と される。ユニオニズムは,労働運動 に関する主義/思 として労働組合を 視するもので,( らかの)主義に く,労働組合のあり 方や労働組合が主 する運動のあり方を指す。ただし,(あり方だけでなく)労働組合運動そのもの を指すこともある。
8 この「新しい労働運動」(したがってこの の社会運動ユニオニズム))は,おお よそ のようにまとめられる。 に 化が進んでいく19 0年代 のいく つかの新興国では,賃金等の労働条件の改善,向上をめ すだけでなく,社会 をも視野に入れた, 的(militant)な労働運動が労働組合によって 開さ れた。またその労働運動は,権 主義的体 の という も有していたこ ともあり(Sei man 1994),それは労働運動研究者にとっては,開 途上にあり, また 主化が 分に いていない「第三 」における,( )先進国の労 和 の労働運動(新 ・ 2009)とは 的に異なった「新しい労働運動」 であったともいえる)。労働組合は目的の 成のために,地域社会/ ニ ィでの の を視野に入れ,労働運動を 開した。 体的な例として,本書でも第1章で論ずる南アフリカと,フィリピンの2つ の事例からこの の「新しい労働運動」を確 しよう。両国ともにその研究で は,「新しい労働運動」ではなく社会運動ユニオニズムという 語を いて労働 運動が論じられている。南アフリカの「新しい労働運動」/社会運動ユニオニズ ムとして論じられた労働運動は,1985年に南アフリカ労働組合会議( on ess o So t ican a e Unions OS U)が 成されるまでの れに なる労 働組合,そして 成後の OS Uが主 した運動を指した。南アフリカのこの 労働運動は, が非 を 別し したアパルト イト体 を打 するのに な役割を果たしている。 OS Uは に するためには 場での にとどまっていては 可能であると し, という ニ ィにおいて, 者や などの 体 運動との協働という手 を取った ( amas am 2002)。また職場の にある労働者の や , , と いった 活 をめ る を通じて,労働組合は地域 ニ ィとの共 を 実現させた(Sei man 1994)。 フィリピンの「新しい労働運動」/社会運動ユニオニズムとして論じられた労 ) 確には,「この の社会運動ユニオニズムとして論じられた労働運動」とするべきである。 )今日の ロー ル 本主義の進 のもとで 開される「新しい国際労働研究」( ate man 2012)は, をたどるとこの の途上国の労働運動研究, 確には19 0年代~ 1980年代の途上国の労働運動 を論ずる際の視角であった「社会運動ユニオニズム」に なっている。ただし,新しい国際労働研究 で論じられている社会運動ユニオニズムには,その有 性 の もある( a man an an o 2010 2005)。 20-12-279 02 .indd 2021/03/24 15:23:44
働運動は, 的なマル ス政権 の1980年に 成された「5月1日運動」 ( il san Ma o Uno MU)が主 した労働運動に代表される。 MUは自ら
を「 の, 的な,そして リストの」労働組合とみなしている ( amas am 2002)8)。 MUは,一 にフィリピンでは 的 と目される 「新しい労働運動」/社会運動ユニオニズムを 開した労働組合のなかでも,最 も で 的な運動ス イルを した組 であった。 としたのは 「 el an Ba an」(和 は「 ストライ 」。 レファレンダムとも れる スト( anon Se ano an e te a 2009))の実施である。また や , 公共 通運 手, 者, 困 といった の社会集 と を組み, な 政 を めるなど,フィリピンのすべての労働者に するような を げることに力点を いた。実際, MUが 視したのは ニ ィ集 や社会 ループとの である。これは MUの ン ーンやストライ をより 果 的 に す る の に も 可 で あ っ た( amas am 2002 anon Se ano an
e te a 2009)。 上の例が すような,19 0年代~ 1980年代にいくつかの新興国で 開さ れた 的な,権 主義的体 の をも視野に入れた労働運動が1つ目の「新 しい労働運動」である。そこでは ニ ィとのかかわりも 視された。新興 諸国の労働運動研究およ 労働運動史では,その 義の 点から な労働運動 である。 1つ目の「新しい労働運動」が19 0年代~ 1980年代の新興諸国を にした ものであったのに し,本章が2つ目の「新しい労働運動」とする労働運動は, 1990年代 のとくに先進諸国の労働運動の再活性化,再 の取組みに関するも のである9)。 体的には,ア リカの労働組合の 国中 組 であるア リカ労 8)「 の」は,労働組合が組合員に を ちまた を すること,そして労働者 のため に政 的社会的 にも関心を うことを指す。「 的」は, に するのに必 となるもので ある。「 リスト」は,フィリピン国 のための運動を実施するということだが, 地の 在やフィリピンの 事 点化にも 運動を り げるなど, 運動を担う もあった。 9)労働運動の再活性化に関心が たれていたのは先進国だけではない( amas am 2002)。
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働 ・ 別会議( me ican Fe e ation o a o an on ess o n st ial O ani ations F O)の1990年代の取組みや行動方 などをめ って,それ を「新しい労働運動」と表したものがある(B ec e an ostello 199 Mantsios 1998)10)。 ア リカでは1990年代までに,労働運動が大きく に い まれていた。 それは1980年代 進 する経済の ロー ル化とともに,新自由主義政 を げる当 のレー ン政権による航 ストライ の や国際 化を 由とする自動 での労働条件 き げなどを りに,政 や経営者 が 労働組合 を めたこと,また の による の 化が進 していったことが原 である( 2009,81)。労働運動の という状況を打 破すべく,ア リカ最大の労働組合 国中 組 である F Oではジ ン・ スウィーニーを中心とする改 「ニ ー・ イス」(新しい )が1995年の 国大会で執行 として 出され,労働運動の再活性化に取り組 こととなった (Mantsios 1998)。その取組みは,組 化が 的に進んでいなかった 性やマ イ リ ィの労働組合 を すにとどまらず,執行委員会の 員とマイ リ ィの 先 ,大 の労働組合 機会の提供,組 化委員会の ,ア リカ南 での組 化 ,経済社会 義指向の労働組合員 ,公共事 等での 活賃金 運動,地域協議会と地域活動の活性化や 労者 組 の など を 進することからなる。 ロー リズム運動 の 等を めて,労働運動 を社会に開くべく改 に取り組んだ( 2009,83)11)。 この F O主 の「新しい労働運動」とは別に,1990年代に入ってア リ 10)この「新しい労働運動」に なる取組みの一 は, F O の国際 ー ス 員組合(Se vice Em lo ees nte national Union SE U)(の前 組 )などで19 0年代あたりから行われている。
(2005)は1980年代 のそれらの取組みを「新しい労働運動」と している。なお, 1980年 に10年 上にわたってSE Uで会 を めたのが,後出のジ ン・スウィーニーである。 11)ただし, F Oが進めたこの「新しい労働運動」がア リカの労働運動の再活性化,再 を大き くもたらしたかというと, 的になら るを ない。それはその後の労働組合組 の ( )から明らかで,また F O自 が2000年代 に,運動方 のちがいから の主 労働組合の などの に見 われている。それでも,マイ リ ィや 労働者の組 化,ま た地域 ニ ィでの労働者の組 化といった取組みは,今日も労働運動の再活性化に なこ とと され, F Oも き き取組んでいる( ei 2014)。 F Oの今日の取組みにつ いては (2015) 。 20-12-279 02 .indd 10 2021/03/24 15:23:44
カでは,労働組合ではない Oによる労働運動も 目されている。その代表が 19 0年代 に した ーカー ン ーで,1990年代 ア リカの各地で 成が進み めた(Fine 200 )12)。 ーカー ン ーは地域 ニ ィに をおく, 労働者/ 労働者(マイ リ ィ労働者)を中心とする 賃金労 働者を し,また 賃金労働者を組 する 組 である。今日の ーカー ン ーは,レストラン 員,家内労働 事者(家政 , ー ッ ーなど), ク ー運 手,日 い労働者などの職 を としたものと,所 する 会 地域,出 国を としたものの2つに分 できる( 2012)。 ーカー ン ーが行うのは, い賃金の の ・ での ートなどの 賃 金労働者 の ー スの供 ,労働者権利の をめ す労働 改 のロ ー イン 活動などのアド カ ー(擁護),そして組 化である(Fine 200 , 2)13)。こうした ーカー ン ーの取組みも,「はじめに」で記したような 型の労働運動ではないという で,「新しい労働運動」とすることができる。 ところで,このような1990年代あたり のア リカの「新しい労働運動」 およ そのあり方や取組みは, 者との 体 を通じて賃金や労働 など の労働条件の改善,向上を図るという,今もア リカで主 の労働運動のあり方 である ジ ス・ユニオニズムと されて,社会運動ユニオニズムとして議論 されてきた14)(B ec e an ostello 199 ne an 2001 2005)。 ーカー ン ーについても,労働組合ではないものの,社会運動ユニオニズム の新しい一 ( a cia 2019)という けである。ここからア リカの社 12) ーカー ン ーが労働組合ではなく Oである一 に,ア リカの労 関係を する 度が ある。 については (2012) 。 13) 賃金労働者 の ー スの供 は, 語 や労働者の権利に関する , 機関や 行 座, またローン のアク スの などを 。アド カ ー(擁護)はこの , 賃金 の実 調 査とその公開,政 機関と協力しながらの ニ リン や 情 手 きの改善, に する 者に する の提 ,などである。組 化には,労働者自らが経済的また政 的な みを実 現するために行動を こすようになるよう,リーダー ップ を行うことも まれている(Fine 200 )。 14)ア リカのユニオニズム(組合主義, 5) )について,1930年代にア リカで 開された労働 運動は,社会運動ユニオニズムであったと けられている( ne an 2001)。その社 会運動ユニオニズムが 1950年代~1980年代は ジ ス・ユニオニズムに取って代わられ,しかし 労働運動の再活性化には社会運動ユニオニズムが必 であるとして,改めて 目されたということ である。
12 会運動ユニオニズムを,社会 義の実現(Sci es 2014)をめ して,マイ リ ィや 労働者などの 組 労働者の組 化や,労働組合員の 的なかかわ りを すような労働運動を 開する( ne an 2001),また地域 ニ ィでの 々とのかかわりを 視する指向を つ運動として 義できる15)。 日本,そして の先進国についても,労働組合運動の再活性化,再 に,この ような社会運動ユニオニズムが になるという視座がある(新 ・ 2009)。 またア リカの ーカー ン ーのように,労働組合ではない Oなどの労働 者組 とそれらの組 による取組みは日本でも 目され,また限 的ではあるが 進みつつある( 2012)。 後日本の労働運動に らすと,日本の労働組合は 企 に される 社員によって組 された企 別労働組合が中心であり,その 主たる関心は らく, 社員の賃金や労働 などの労働条件の改善,向上であ った。今日ではパート イマーなど非 社員の組 化は進みつつあるとはいえ, 日本の労働運動は 社員による 社員のためのものであったといえる。しかし 社員のための取組みから取り残されてきた, された労働者の権利擁護( 2012)は,日本の労働運動が今後いっそう取り組 べき である。どのよう な を当てはめるかはともかくも,ア リカで1990年代 に議論が 開さ れてきた社会運動ユニオニズムの考え方は,日本の労働運動の 開に 分的では あれ できることだけはいえよう1 )。 前 まで,19 0年代~ 1980年代の新興諸国における労働運動と,1990年代 のア リカの労働運動のあり方をみてきた。両者はそれ れ 型の労働運 動とは異なる指向と 性を つ,ともに「新しい労働運動」と された労働運 15) (2005)ではア リカの社会運動ユニオニズムを「自らを社会運動と けなおし, ジ ス・ ユニオニズムの運動領域を える社会運動の領域 の指向性を ち,社会運動の方 を し, 開する労働運動」と 義する。社会運動ユニオニズムの 義は論者によって異なる。 1 )日本の社会運動ユニオニズムとその関 研究は,日本の労働組合や労働運動との 可能性の 点 からか,先進国の社会運動ユニオニズム の関心が い(新 ・ 2009 2014)。ただし新 ・ (2009)は1980年代の 国の労働運動を,また (2012)は新しい労働組 の 点から 国 に えて,中国の の 労働 Oについて論じている( 2012)。 20-12-279 02 .indd 12 2021/03/24 15:23:44
動であった。この2つの「新しい労働運動」は, の国/地域における の に される, 史上の出 事である。そこでその 性を 出して,「新し い労働運動」を の2つに分 する。 1つ目の「新しい労働運動」は,19 0年代~ 1980年代のいくつかの新興国に おける労働運動を出自とする,開 や経済 のあり方を う,また権 主義(的) もしくは非 主主義的な体 や 行の打破をめ す方向に れ,したがって 的であったという 性を有する労働運動である。新興国で こった 型とは異 なるこのような労働運動を,本書では「新興国型の新しい労働運動」とする。 もう1つの「新しい労働運動」は,組 化に労働組合の関心が 向かわなか った労働者やマイ リ ィ,また された労働者の組 化や権利擁護,社会 義の実現に取り組 ,労働組合およ 必ずしも労働組合という を取らない組 (労働 に 化した O 非政 組 や など),そして 護 や活動家と いう個 が主 する労働運動である。本書ではこの「新しい労働運動」を,「包摂・ 権利擁護型労働運動」とする。「包摂・権利擁護型」は(運動の主体よりも)権利 擁護や社会 義の実現という目的から 断する 義である。 や名 はともか くも,包摂・権利擁護型とみなすことができる労働運動は今日,先進国だけでな く国際的に ,議論される労働運動の でもある1 )。 そして,新興国型の新しい労働運動と包摂・権利擁護型労働運動の両者に共通 しているのが,労働運動の 開における,労働組合ではない の社会 ループや ニ ィ組 等との協働や ット ーク 成の 性である。 ここで, の点を する。本章はここまでに,「新しい労働運動」と んで 社会運動ユニオニズムという 語そして 念に 度か れた。本書が後者の社会 運動ユニオニズムを分析の視座としないのは,本 でもみてきたように,社会運 動ユニオニズムという 一の 語が異なった 代と場所(国),また異なった 1 )たとえ ,働く 困 (とくに 性)が 活していけるように労働者の地 や能力の向上に取り組 , 労働組合や 活協 組合などの組 (組 ン ーと れる)およ 研究者や開 専門家といった 個 ( 個 ン ー)の国際的な ット ークとして,199 年 の「非公 経済のなかの 性 国際化と組 化」( omen in n o mal Em lo ment lo ali in an O ani in E O) がある。その取組みから, E Oは本書が 義する包摂・権利擁護型労働運動を 開する組 と 考えることができる。 E Oの ット ークは今日,40か国 上をカ ーしている( E Oウ
14 の労働運動の や分析に いられているからである( ol t 2002 2005 Sci es 2014)。このような異なる文脈における異なる 義が 在する 念を い た議論は, を きか ない。また,ユニオニズムは一 に(労働)組合主義 と されるとおり( 5) ),社会運動ユニオニズムの議論は,労働組合の 在を前提とするとみるべきである。しかし今日, された労働者の権利擁護や 労働運動を通じて社会 義の実現に取り組んでいるのは,労働組合だけではない。 そして本書が扱うインド(第3章)や中国(第4章)のように, Oが労働運動 に一 あるいは大きな役割を果たしている国の分析においては,ユニオニズムと いう視点では議論の が くなってしまい, 合しない。本書の視座「新しい 労働運動」は,社会運動ユニオニズムよりも い を議論の に入れるもの である。 上,本書では 上の さ・新しさからの 点,すなわち各国労働運動の 史的 開を まえながら,「新しい労働運動」には新興国型と包摂・権利擁護型 の2つがあるという視角を い,新興4か国の「新しい労働運動」の動 を明ら かにする。 では新興4か国のそれ れの「新しい労働運動」を し,異 をみる。
3
本書の最大の目的は,新興4か国の「新しい労働運動」が か,どのような 開をみせているかを明らかにすることにある。それは「はじめに」で述べたよう に,各国の今日の労働運動を するには,それ れの「新しい労働運動」 の 目が 可 であるという に く。 する4か国の にあたっては,つ の2点を した。第1に,前 で提 した「新興国型の新しい労働運動」を 開した新興国のなかから, を することである。本書の主 は新興国の労働運動の実 分析にあるので,この視 点は すことができない。ここでは新興国型の新しい労働運動に 目した最初 20-12-279 02 .indd 14 2021/03/24 15:23:45かつ代表的な研究書であるSei man(1994)にならい,南アフリカとブラジルの 2か国を することとした18)。南アフリカとブラジルは,19 0年代~ 1980年 代の労働運動,すなわち「新しい労働運動」の動 には大きな関心が われたが, その後についてはとくに日本ではあまり論じられていない。新興国型の新しい労 働運動がその後どのような 開をみせ,今日どのような状況にあるか,その動 を明らかにする必 がある。 第2に,新興国型の新しい労働運動にあてはまらない労働運動が 開されてき た,あるいはそう考えられている新興国を することである。このような により,新興国の「新しい労働運動」の多 な を論ずることが可能になると 見 まれる。ここでは新興国型の 国と じく,2か国をとりあげることとし, ,したがって労働力 の で 第1,2 を め,経済をはじめ 国際的な 目度が いインドと中国を した。 このように 国を したものの,労働運動はその国 有の 史的, 度的, 文化的 を させるものである。また,本書のように取り上げる事例 が なく,かつ多 な経済社会 をもつ国々を として行う国際 からは,一 化を みることは難しい。本書ではこの 有性/多 性という 由により,各 国の「新しい労働運動」の議論でどこに 点をおくかも,各章に委 ている。 ,各章を する。 第1章は南アフリカの「新しい労働運動」である。本章では,19 0年代~ 1980年代に新興国で こった「新しい労働運動」の代表例である南アフリカの 労働組合運動が, 主化を 成した後,どのような 開を げているのかが論じ られる。筆者は,「新しい労働運動」の担い手であった OS Uが 主化後に 政権 アフリカ 会議( ican ational on ess )と 関係を んだことにより,社会的 の場が 度化され,その場での政 や経営者代表と の を通じて,労働者と労働組合の権利を 護する労働 が されたこと を,「新しい労働運動」の成果として する。しかしその一方で,多くの労働 18) すると,新興国型の新しい労働運動を 開した 国とフィリピンについて, 国は今日すでに 新興国ではなく先進国であること,また,フィリピンは MUに代表される「新しい労働運動」(社会 運動ユニオニズム)の を当初企図したが,本書ではかなわなかった。フィリピンの「新しい労働 運動」の はつ の機会に る。
16 組合運動家が国会議員や に し,労働組合組 が 体化するとともに,労 働組合の指 と一 の労働者のあいだで が じている現状を 視する。 OS Uを中心に 開されてきた南アフリカの労働運動はまた,さま まな において労働 場の 化が進み, ,労働組合が主たる とはしてこな かった非 労働者が するなかで,代表性と 性の 機にも している。 このような 化に して労働組合が有 な手 てを じ れていない一方で,労 働組合に組 化されていない労働者による新しい労働運動が出現しつつあること も指 している。 第2章はブラジルの「新しい労働運動」である。19 0年代後 から1980年代 前 にかけてのブラジルでは,労働組合は 政 で されたストライ を断行 するだけでなく,政 や社会運動と共 し 主化 運動の な担い手となっ た。労働組合本 の活動の を え, 政から 政 の国の体 に関 し た当 のブラジルの労働運動は「新しい労働組合主義」と される。本章では, この「新しい労働組合主義」から したブラジル中 一労働組合( ent al nica os a al a o es U )に 点を当て, U が1985年の 政 行後ど のような を り,現在どのような状況に かれているかを明らかにしている。 その際,1990年代の経済の と新自由主義化, U が する 政 の 2003年の政権 およ 改 と 職,労働組合に な と 的な 政権の という,組合の に関 するブラジルの政 経済社会的な 化に 目している。そしてこれらに して U は,活動の 的な 化を げ,賃 金や労働条件の改善だけでなく労働者 体の の向上をめ すよう方向 を 行い,また組 分 などを経て,現在は に たされている状況を明らかにし ている。 第3章はインドの「新しい労働運動」をみる。本章では,政 に しない 労働組合による労働運動と包摂・権利擁護型労働運動の2つをインドの「新 しい労働運動」と し,その動 を論じている。インドの「新しい労働運動」は, 新興国型の新しい労働運動と じく19 0(~ 1980)年代に 在化した一方で, 主主義体 内のものであった点で,南アフリカやブラジルの「新しい労働運動」 と異なる。 労働組合運動として 目した「新しい労働組合イニ ア ィブ」 ( e a e Union nitiative U )は, の政 思 にとらわれず, 20-12-279 02 .indd 1 2021/03/24 15:23:45
い思 を つ労働組合を集 させることで, の労働組合の中 組 にはない 運動の可能性を げている。ただし,組 の で政 労働組合に及んでい ない。 方インドの包摂・権利擁護型労働運動は,インドが経済と社会の を め していくなかで,社会が える,またインド 有の ,出自,性別などに 関する 別や 等という, い に向き合っている。本章の考 では,運 動の 開に 主的な手 きをとることが必 と思われる包摂・権利擁護型労働運 動においては,運動を 開する組 が からの 性を確 していること,ま た運動が 者の考えや 見を したものであることが,経済と社会の を め す ではよりいっそう であるとしている。 第4章は中国の「新しい労働運動」である。本章では中国が1989年の天 門 事件前後(第 )と1990年代 現在に るまでの (第 )に経 した, 2つの「新しい労働運動」に 目している。 会と れる の労働組合組 は, 国 前から労働者を動員,利 することに主 をおき,労働運動を え んで きた。したがって,労働者による自 的な労働運動であるというのが中国の「新 しい労働運動」の 性である。「新しい労働運動」の主体については,天 門事 件から して きた第 の運動の主体が公有 企 に された の労働 者で であったのに し,第 の運動の主体は 出 の である。 また,第 の「新しい労働運動」は,天 門事件が み出したものだったとみ ることができることから,新興国型の新しい労働運動の 型だったとみられる。 それに して第 は,主として /非 労働者として される,そし て に しながらも 籍を られないために, と の社会 や行政 ー スを することのできない が運動の中心にある。 さ れた労働者としての の 的な権利を める運動という で,第 の 「新しい労働運動」は,包摂・権利擁護型労働運動である。この第 の労働運 動には,第 の天 門事件の れを 運動と,その後の経済状況のなかから 出てきた 自 による運動とがある。異なる 代的 のなかで きた中国 の2つの「新しい労働運動」に, 性をみることができるとしている。 本書は各国の「新しい労働運動」がどのように 開し,また現在どのような状
18 況にあるかという実 分析が目的であり, 論 には大きな関心を っていない。 労働運動に関する 論は,その に 可 で,まため すべき運動の指 を提 するという でも大きな 義があることはいうまでもない。しかし 方で, 実際の労働運動を 確に することで, 的に労働運動を分 し考 するこ とも無 ではないと考えられる。わずか4か国を するにす ない本書では その は行わないが,新興4か国の「新しい労働運動」には, の異 が指 できる。 第1に,19 0年代~ 1980年代という新興国型の新しい労働運動の に, インドおよ 中国でもそれ れの「新しい労働運動」の がみられた。インド と中国の両国の労働運動は,本書が南アフリカとブラジルの「新しい労働運動」 をみるように,19 0年代~ 1980年代からのつながりを して体 的に論じ られてこなかった。史的 開を考 の視野に入れると,両国ともに19 0年代~ 1980年代の「新しい労働運動」が今日に大きく,あるいは 分的にではあれ, なっていることが明らかになる。 第2に,南アフリカでは OS Uが,ブラジルでは U が,1990年代 に政権 との い協力関係を する,あるいは政権運営の一 を担うもしく は一 に組み まれるという, い で ー ラ ィズム型(Sc mitte 19 4)に分 できる労働運動がそれ れ 開された( a te an ee 2018)。こ れに してインドと中国の「新しい労働運動」は ー ラ ィズム型ではなく, 政権に しない,政権 の を する労働運動として 開されている19)。 第3に,第2の点とも関 するが, ー ラ ィズム型の「新しい労働運動」 が 開された南アフリカとブラジルでは,もともと,そして今日も,労働組合員 の多くが 社員/ 労働者である。それに してインドと中国については,イ ンドがいわ る「会社 めの 社員」の 組みに収まらない労働者( 労働者, 自営者など)の組 化を,また中国ではとくに第 の「新しい労働運動」では 出 の ( )の組 化を,それ れ労働運動の大きな とする。 すなわち,いずれも労働者分 でみた に べて社会的な 場およ 言力が 19)ただし南アフリカおよ ブラジルと異なり, じく新興国型の新しい労働運動の代表 であるフィ リピンで 開された「新しい労働運動」(2 1 )は, ー ラ ィズム型ではなく,インドと中 国の「新しい労働運動」と じく,政権に組み まれていない。 20-12-279 02 .indd 1 2021/03/24 15:23:45
はるかに さい労働者が,インドと中国の「新しい労働運動」の な け にある。南アフリカとブラジルの「新しい労働運動」が今日,非 労働者の組 化を 視しているわけではない。それでも,本書でみる「新しい労働運動」に 限 すると,南アフリカ・ブラジルとインド・中国の 異として,組 する労働 者の 労上, 上の 場のちがいをみることができそうである。 第4に,ブラジルの「新しい労働運動」は に進 化に う 的 な けが,当初はより であったと考えられる。それに して,南アフリ カでは ,インドでは出自や性別,そして中国では 籍という, の に収まらない に く 分 的な のかかわりが,各国の「新しい労働 運動」に められる。 第5に,「新しい労働運動」は4か国いずれの国でも, らかの運動の分 を経 している,もしくは分 と関 している。一 論としては,労働運動の分 に 労働運動の新しい 動をみることができる。一方で,労働組合そして労働運動の 分 は,労働運動の 力を める方向に働く。このことから,「新しい労働運動」 が 的なものとなるには,分 をいかに い めるかが1つの であると思わ れる。また,インドと中国の包摂・権利擁護型労働運動が するのは,労働組 合員ではない社会運動家や 護 といった個 のイニ ア ィブが,運動に大き く を及 す点である。これは分 の とは関係ない。しかし 方で, 型の労働運動が取り組んでこなかった領域を扱う包摂・権利擁護型労働運動は, 型の労働運動からの分 としても議論できるかもしれない。労働運動の分 に,労働組合にとって な組 の自主 性や代表性の はどのようにかか わるか,組 内では 主的な 思 が行われているかなど,本書では労働運動 の分 について り げた考 は行っていない。その考 は今後の である。 上,各章の論点を し,また新興4か国の「新しい労働運動」の異 をみた。 論文, 行書ともに,新興諸国において 開された個別の労働運動を論ずる文献 は 挙に がない一方で,新興国の労働運動それ自体を として 国をとり
20 あげる研究は,近年はあまり多くない20)。本書が扱う新興4か国は,ロ アを くB Sを 成する国々でもある。とりわけ経済や政 に関心が向きがちなな かで,B( ) Sの 組みではあまり論じられていない労働運動に関する 研究 には一 の 義を見出すことができると考える。 公 編 2012. 個 ユニオンと労働NPO された労働者の権利擁護 ル ァ書 . 2005. 「 国の社会運動的労働運動の と現在(上)( )」大原社会 研究所 (564): 17-28,(565): 32-40. かり 2012. 「中国における 会 と の 労働NGOの の権 護をめ って」 公 編 個 ユニオンと労働NPO された労働者の権利擁護 ル ァ書 209-242. 2009. 「現代ア リカ労働運動の 史的 の 的 合」新 ・ 編 労働と 国家の可能性 ル ァ書 .81-96. 新 ・ 編 2009. 労働と 国家の可能性 ル ァ書 . 2005. 「ア リカの社会運動ユニオニズム ロ ン ルスの新しい労働運動に見る」 大原社会 研究所 (562・563): 29-48. 2012. 「ア リカの新しい労働組 が担う 困・ における役割」 困研究 (8): 49-59. 2015. 「労 関係 ス ムの再編成と新しい労働組 ア リカの経 から」日本労働 社会 会年 (26): 52-70. 行 2014. 社会運動ユニオニズム ロー ル化と労働運動の再 ル ァ書 . 20)労 関係 度や労働政 など,別の研究主 のもとで(各国の)労働運動が論じられることは なく ない。たとえ 近年では,Mosoetsa an illiams (2012)が新興国/途上国の 目すべき労働 運動を, 取と 化 の い,政 運動と労働組合,そして ーカー・オル ィ という3 成で,個別事例をとりあげる で論じている。また a te an ee(2018)は,インド,南アフ リカ,ブラジル,中国,そしてトル の労 関係を,包摂的成 または包摂という 点でまとめて いる。また,2000年( ロ年)代前 に,これらの国々で ストが したことに 目し, 度 化された労 ス ムの機能 の や労 関係が経済 にどのような を及 す かを した。 書は,先進国と じくいずれの新興国でも労 関係は であること, 方,新 興国経済や 労働 場における い非公 性や, いもしくは限 的な の 果,先進国と は異なる労 関係のパ ーンが まれていること,そして, 新的で実 性ある労働者 護には, 社会的 およ 体 が であること,といった諸点を指 する。 20-12-279 02 .indd 20 2021/03/24 15:23:45
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新興4か国の 国 ( ) 出 ( ) 出 (年) 5 ( ) 1980年 2019年 この の年成 1980年 2018年 1980年 2018年 この の 1980年 2019年 南アフリカ 28 55 9 58 558 2 0 1 8 5 0 2 4 58 1 3 9 5 8 年 92 2 34 5 ブラジル 120 94 009 211 049 52 1 44 4 0 1 2 5 13 0 年 9 1 13 9 インド 98 952 844 1 3 41 50 1 3 4 8 2 2 53 8 9 4 15 年 1 9 3 3 中国 981 235 000 1 39 15 000 0 91 2 1 8 9 9 年 2 2 9 ( )日本 11 82 000 12 2 4 931 0 20 1 8 1 4 1 84 2 8 1 年 9 9 2 5 (出所) 行 イト( tt o l ank o a ne s eat e 2014 03 2 o en ata ealt )より,筆者 成(2020年10月12日閲覧)。 ( )(1)5 は,1000 当たりの 。 (2) の年 成 は表 (1980~2019年)から筆者 出。 新興4か国の 目 (国 生 )の ( US ドル) 1980年 1990年 2000年 2010年 2015年 201 年 201 年 2018年 2019年 1980~2019年 の 年 成 南アフリカ 830 1 15 1 3 4 3 53 3 1 2 9 4 3 49 3 83 3 514 4 2 3 8 ブラジル 2 350 4 20 554 22 089 18 022 1 95 20 28 18 855 18 398 8 5 4 インド 1 8 3 3 210 4 84 1 5 21 03 22 948 2 528 2 132 28 51 15 4 3 中国 1 911 3 09 12 113 0 8 2 110 1 112 333 123 104 138 948 143 429 5 0 11 ( )日本 11 054 31 328 48 8 5 5 001 43 895 49 225 48 9 49 548 50 818 4 4 0 (出所) 行 イト( tt o l ank o a ne s eat e 2014 03 24 o en ata econom )より,筆者 成(2020年10月13日閲覧)。 ( )1980~2019年の およ その の年 成 は筆者 出。 1, 074.7 2, 733.9 3, 347.8 3, 357.2 7, 220.6 5, 734.6 6, 001.4 663.1 1, 891.3 3, 192.9 3, 288.8 12, 263.0 8, 814.0 8, 717.2 132.3 275.8 327.0 508.1 1, 456.6 1, 605.6 2, 104.1 136.2 214.3 373.7 1, 191.7 6, 243.0 8, 066.9 10, 261.7 0.0 2, 000.0 4, 000.0 6, 000.0 8, 000.0 10, 000.0 12, 000.0 中国 ドル インド 南アフリカ ブラジル 中国 インド 南アフリカ ブラジル 新興4か国の1 た の ( 目 ドル) (出所) 行 イト( tt o l ank o a ne s eat e 2014 03 24 o en ata econom )より,筆者 成(2020年10月23日閲覧)。 ( )図 19 0年から2014年の各 における年 は デー を いた筆者 出の 。
24 (出所) 表2に じ。 ( )図 19 0年から2014年の各 における年 実 成 は筆者 出。 新興4か国の の 4.4 2.1 2.9 1.5 0.2 2.6 3.6 3.5 2.6 1.2 0.4 1.4 0.8 0.2 11.0 5.9 1.3 4.5 1.5 2.2 3.1 3.6 3.4 - 3.5 - 3.3 1.3 1.3 1.1 2.1 3.6 5.5 5.9 4.7 6.8 5.6 6.9 6.6 8.0 8.3 7.0 6.1 5.0 7.9 6.6 9.5 9.9 10.8 9.1 9.2 11.5 8.6 7.0 6.8 6.9 6.8 6.1 - 4.0 - 2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 中国 インド 南アフリカ ブラジル 中国 インド 南アフリカ ブラジル (出所) 表2に じ。 ( )第1 は , , 。第2 は を 。 第3 は第1 ,第2 の残 として 出。 (1) 南アフリカ GDP (2) ブラジル GDP (3) インド GDP (4) 中国 GDP 5.8 3.0 1.9 45.3 29.1 26.0 48.9 67.9 72.1 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1980年 2000年 2019年 2 1 3 33.1 21.6 16.0 25.3 27.3 24.9 41.6 51.1 59.2 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1980年 2000年 2019年 2 1 3 9.9 4.8 4.4 39.6 23.0 17.9 50.5 72.2 77.6 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1980年 2000年 2019年 2 1 3 29.6 14.7 7.1 48.1 45.5 39.0 22.3 39.8 53.9 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1980年 2000年 2019年 2 1 3 新興4か国の 20-12-279 02 .indd 24 2021/03/24 15:23:45
28.9 20.2 20.9 19.2 18.8 17.9 17.6 20.0 21.5 17.4 15.0 14.6 14.8 15.1 20.8 37.3 32.1 30.2 30.8 31.7 30.2 33.2 46.3 43.2 42.6 43.0 43.8 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0 中国 インド 南アフリカ ブラジル 中国 インド 南アフリカ ブラジル 新興4か国の (出所) 表2に じ。 ( )(1) 図 1980年から2014年の各 における年 は デー を いた筆者 出の 。 (2)中国の は2018年までである。 新興4か国 の 国 ( ) (出所) 表2に じ。 ( )図 1980年から2014年の各 における年 は デー を いた筆者 出の 。 0.2 - 0.2 0.1 1.1 1.7 2.2 1.4 0.5 0.7 0.6 1.5 1.3 0.9 0.5 0.4 2.6 3.4 2.3 3.6 3.6 4.1 3.3 4.1 4.3 0.0 0.1 0.1 0.6 0.8 2.3 1.6 2.1 1.9 1.5 1.6 1.8 0.2 0.8 3.4 4.5 3.5 4.0 3.2 2.2 1.6 1.3 1.7 1.1 - 0.5 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 中国 インド 南アフリカ ブラジル 中国 インド 南アフリカ ブラジル
26 新興4か国の ( ) 1980~ 84年 1985~ 89年 1990~ 94年 1995~ 99年 2000~ 04年 2005~ 09年 2010~ 14年 2015年 201 年 201 年 2018年 2019年 2000~ 19年の 南アフリカ 13 5 15 12 4 3 5 1 5 8 5 3 4 5 5 2 4 5 4 1 5 3 ブラジル 132 4 532 3 1 2 19 3 8 5 1 5 9 9 0 8 3 4 3 3 4 インド 10 5 9 10 2 8 9 3 9 1 9 5 5 9 4 9 2 5 4 9 4 中国 14 8 10 4 5 1 1 1 2 3 2 1 4 2 0 1 2 1 2 9 2 2 (出所) 表2に じ。 ( )(1)ブラジルは1981年 中国は198 年 の 。 (2)各年代「 」およ 「2000年 の 」は筆者 出の 。 新興4か国の お 中 ( ) 中等 国 1980年(1) 2018年(2) 1980年 2002年 201 年(3) 南アフリカ 15 上 2 8 0 82 5 104 15~24 85 2 95 3 ブラジル 15 上 4 93 2 110 0 100 8 15~24 83 9 99 2 インド 15 上 40 8 4 4 28 9 4 1 3 5 15~24 53 8 91 中国 15 上 5 5 9 8 43 2 0 3 88 2 15~24 88 8 99 8 (出所) 行 イト( tt o l ank o a ne s eat e 2014 03 28 o en ata e cation)より,筆者 成(2020年10月13日閲覧)。 ( )(1)インドは1981年,中国は1982年の 。 (2)南アフリカは201 年の 。 (3)中国は2010年の 。 (4)「 」は 。 20-12-279 02 .indd 2 2021/03/24 15:23:4
新興4か国の ( ) 各国の による 困 の (年 ) 国際 困 による 困 1日当たり 1 9ドル 3 2ドル1日当たり (年 ) 南アフリカ 55 5 (2014年) 18 9 3 (2014年) ブラジル 4 4 9 2 (2018年) インド 21 9 (2011年) 21 2 0 4 (2011年) 中国 1 (2018年) 0 5 5 4 (201 年) (出所) 行 イト( tt i o l ank o ta le) より,筆者 成(2020年10 月13日閲覧)。 ( )「 」は 。 新興4か国におけるジ お について ( ) ジニ係 / 出 10 20 上 20 上 10 南アフリカ (2014年) 0 3 0 9 2 4 8 2 50 5 ブラジル (2018年) 0 54 1 0 3 1 58 4 42 5 インド (2011年) 0 38 3 3 4 2 31 中国 (201 年) 0 39 2 5 45 3 29 3 ( )日本 (2013年) 0 33 2 9 41 1 2 4 (出所) 表5に じ。 ( ) インドのジニ係 は所 からではなく から した であるため, が必 であ る。所 から すると,0 5前後あるいはそれ 上になるという指 がある( 大 の 一氏よりご いただいた)。
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