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〈論文〉海外子会社の製品開発活動における内部要因の検討

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(1)商経学叢. 第59巻 第3号2013年3月. 海外子会社 の製 品開発活動 にお ける 内部要因 の検討 多 要旨. 田. 和. 美. 本 稿 は,海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 に お い て,海 外 子 会 社 の 内 部 要 因 が 製 品 開 発 成 果. に及 ぼ す 影 響 を 分 析 す る こ とを 研 究 の 目的 と して い る。 海 外 製 品 開 発 拠 点(日 本 コカ ・コー ラお よび 住 友 ス リー エ ム)の 比 較 分 析 の 結 果,① 多 国 籍 企 業 内 部 と現 地 環 境 の ど ち らを 重 視 す るか に よ って,成 果 生 成 を 促 進 す る海 外 子 会 社 の 内 部 要 因 は異 な る。 た だ し,② グ ロー バ ル な 製 品 開 発 成 果 にお い て は,重 要 な 内 部 要 因 の 多 くが 共 通 す る こ とが 明 らか に な った 。 さ ら に,③ グ ロー バ ル な 製 品 開 発 成 果 の 生 成 を 促 進 す る7つ の 内 部 要 因 を 抽 出 した 。. Abstract ternal analysis. This paper aims to analyze the influence factors. on its product. of Coca-Cola. subsidiaries.. (Japan). The results. development. activities.. and Sumitomo. suggest. of an overseas I conducted. subsidiary's. a comparative. 3M, both global product. the following:. 1) the importance. in-. development of an overseas. subsidiary's internal factors on product development varies depending on the multinational company and the local environment; product. development. and 2) seven internal. are common to the two subsidiaries. キ ー ワー ド. 多 国 籍 企 業,海 外 子 会 社, 製 晶 開 弊.. 原稿受理 日. 2013年1月31日. factors that. related. to global. were examined.. 現 地 環 境, 内部要因.

(2) 第59巻. 1は. 本 稿 は,海. 第3号. じ. め. 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 に お い て,海. に. 外 子 会 社 の 内部 要 因 が 製 品 開 発 成 果 に. 及 ぼ す 影 響 を 分 析 す る こ と を 研 究 の 目 的 と して い る 。 企 業 間 の 競 争 が グ ロ ー バ ル 化 し,知. 識 の 国 際 的 な 分 散 が 進 む 今 日(Badaracco,1991;. Doz,Santos&Williamson,2001),海. 外 子 会 社(1)に よ る 製 品 開 発 の 重 要 性 が 高 ま っ て い. る 。海 外 子 会 社 は,多 国 籍 企 業 の 内 部 環 境 と現 地 環 境 の2つ 1990)。. そ の た め,双. き る 。 ま た,そ. 方 の 環 境 か ら,製. に 直 面 す る(Ghoshal&Bartlett,. 品 開 発 の イ ンプ ッ トとな る知 識 を獲 得 して 活 用 で. の 成 果 は 必 要 に 応 じて,現. 地 市 場 の み な らず 多 国 籍 企 業 内 全 体 で グ ロ ー バ. ル に も 活 用 で き る と い う 優 位 性 を も つ 。 こ の よ う な 優 位 性 は,各. 国 に点 在 あ る い は偏 在 す. る 知 識 を 効 果 的 に 活 用 す る 具 体 策 と な り得 る た め で あ る 。 こ の 点 は,海 位 性 で あ る と 同 時 に,国. 内企 業 に は持 ち得 な い多 国 籍 企 業 固 有 の 優 位 性 で も あ る。. しか しな が ら,海 外 子 会 社 は,多. 国 籍 企 業 全 体 と して の 整 合 性 と 効 率 性 を 確 保 し な が ら,. 現 地 環 境 へ 適 応 しな け れ ば な らな い(Rosenzweig&Shingh,1991;浅 海 外 子 会 社 の製 品 開 発 に は,も 1966)を に,製. 移 転 し,本. 外子会社固有の優. 川,2003)。. ま た,. と も と は本 国 親 会 社 が 本 国 で 実 施 して い た 開 発 活 動(Vernon,. 国 と は異 な る現 地 環 境 に お いて 実 施 す る と い う課 題 も と もな う。 さ ら. 品 開 発 活 動 を は じ め と す る 海 外 子 会 社 の 役 割 変 化 は,海. 外 子 会 社 要 因 の み な らず. 本 国 親 会 社 要 因 お よ び 現 地 環 境 要 因 の 相 互 作 用 に よ っ て 生 じ る(Birkinshaw&Hood, 1998)。. こ の よ う に,海. 外 子 会 社 の 製 品 開 発 は 優 位 性 を 有 す る 一 方 で,そ. れ を享 受 す るた. め に は 複 雑 な マ ネ ジ メ ン トを 要 す る と い う 特 有 の 経 営 課 題 が あ る 。 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 は,単. 独 企 業 と して で は な く,そ. し た が っ て,海. の 組 織 的 な 特 性 を 十 分 に考 慮 す る必 要 が あ る。. 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 に お い て,海. 果 に い か な る 影 響 を 及 ぼ す の か 分 析 す る こ と は,理 あ る と 考 え られ る 。 ま た,後. 述 す る よ う に,多. 外 子 会 社 の 内部 要 因 が 製 品 開 発 成. 論 的 に も実 践 的 に も重 要 な 研 究 課 題 で. 田(2011a,2011bほ. か)で. は,海. 外子会社. の 内部 要 因 の 詳 細 な 分 析 が 残 され た研 究 課 題 の ひ とつ とな って いた 。 そ こ で,本. 稿 で は,日. 本 コ カ ・コ ー ラ と 住 友 ス リー エ ム の 比 較 分 析 を 行 う 。 日 本 コ カ ・. コ ー ラ は 米 国 コ カ ・コ ー ラ の 製 品 の 販 売 を 目 的 に1957年 品 の 改 良 と 自 主 開 発 に 着 手 す る よ う に な っ た 。 そ して,紆. に 設 立 さ れ た 。 しか し,や. がて製. 余 曲 折 を 経 た も の の,1995年. に. (1)今 日の 海 外 子 会 社 は,生 産,販 売 な どの さ ま ざ まな 役 割 を 担 って い る。 本 稿 で は,製 品 開 発 拠 点 と して の 海 外 子 会 社 を 研 究 対 象 とす る。 -118(1244)一.

(3) 海外子会社の製品開発活動 にお ける内部要因の検討(多 田) は他 国 市 場 向 けの 製 品 開 発 も実 施 す る グ ロー バ ル 製 品 開 発 拠 点 へ と成 長 を 遂 げた 。 他 方,住 友 ス リーエ ム は,本 国 親 会 社 で あ る米 国 ス リーエ ムの 製 品 の 販 売 と製 造 を 目的 に1960年 に設 立 され た。 それ に もか か わ らず,同 社 は製 品 の 改 良 と開 発 に着 手 す る よ う に な り,1984年. に は グ ロ ーバ ル 製 品 開 発 拠 点 と して,日 本 市 場 の み な らず 他 国 市 場 向 けの 製. 品 開 発 も実 施 す る よ う に成 長 した。 この よ う に,日 本 コ カ ・コー ラ と住 友 ス リー エ ム は, 海 外 子 会 社 特 有 の 優 位 性 を 活 か した海 外 製 品 開 発 拠 点 の 成 功 事 例 で あ る と考 え られ る。 そ こで,両 社 の 事 例 を 比 較 分 析 す る こ とで,本 稿 の 目的 を 達 成 す る こ と に した い。 以 降,第2節. で は,先 行 研 究 の 課 題 と これ まで の 研 究 課 題 を 踏 まえ,分 析 枠 組 等 の 研 究. の 枠 組 を提 示 す る。 第3節 で は 日本 コ カ ・コー ラの 事 例 概 要 を,第4節. で は住 友 ス リー エ. ムの 事 例 概 要 を記 述 す る。 第5節 で は事 例 分 析 お よ び比 較 分 析 を 行 う。 最 後 に,分 析 結 果 を総 括 し,考 察 を 加 え る と と も に本 稿 の 課 題 を 示 し結 び とす る。. 2研. (1)先. 究 の 枠 組. 行研究の課題. 海 外 子 会 社 に よ る 製 品 開 発 活 動 を 個 別 か つ 実 証 的 に 分 析 し た 研 究 は,製 視 点 に よ っ て 大 き く4つ. に 分 類 で き る 。 こ れ らの 先 行 研 究 を 検 討 した 結 果,各. の よ う な 発 見 事 実 と 課 題 が あ る こ と が 明 らか に な っ た(多 第1の. 研 究 に は次. 田,2009)。. 活 動 の 変 化 に 着 目 し た 研 究(Ronstadt,1977,1978ほ. る 製 品 開 発 活 動 は,次. 品 開 発 に関 す る. か)で. は,海. 外子会社 によ. 第 に 現 地 市 場 向 け か ら世 界 市 場 向 け の 活 動 へ と グ ロ ー バ ル 化 す る 傾. 向 を 明 らか に して い る 。 しか し,活. 動 の 具 体 的 な 内容 と活 動 の 変 化 プ ロセ スを 詳 細 に分 析. して い な い と い う 課 題 が あ る 。 第2の. イ ン プ ッ トに 着 目 し た 研 究(Pearce&Singh,1992ほ. か)で. は,海. 外 子 会 社 は,. 多 国 籍 企 業 内 部 と 現 地 環 境 の 双 方 か ら製 品 開 発 の イ ン プ ッ トを 求 め る 実 態 を 明 ら か に して い る 。 しか しな が ら,こ. れ らの イ ン プ ッ トが,ど. の よ う な ア ウ トプ ッ トを も た ら す の か に. つ い て は 十 分 に 分 析 して い な い と い う 課 題 が 残 さ れ て い る 。 第3の が,ア. ア ウ トプ ッ トに 着 目 し た 研 究(Bartlett&Ghoshal,1989ほ. か)で. は,そ. の多 く. ウ トプ ッ トの 生 成 に は 多 国 籍 企 業 内 部 と 現 地 環 境 の 双 方 の 要 因 が 影 響 を 及 ぼ す こ と. を 明 らか に して い る 。 た だ し,こ. の 結 果 は 一 時 点 の 海 外 子 会 社 の 分 析 に 基 づ くた め,い. か. に して 海 外 子 会 社 が そ の よ う な ア ウ トプ ッ トを 生 成 す る よ う に 成 長 す る の か と い う 点 に 関 して は 十 分 な 説 明 力 を 有 して い な い 。 -119(1245)一.

(4) 第59巻. 第3号. 第4の 活 動 の 変 化 プ ロセ ス に着 目 した研 究(吉 原,1992他)で. は,海 外 子 会 社 の 製 品 開. 発 活 動 が グ ロ ーバ ル 化 す る プ ロセ スを 分 析 して い る。 しか しな が ら,主 に現 地 環 境 要 因 と 海 外 子 会 社 内部 の 要 因 を分 析 して お り,イ ン プ ッ ト,ア ウ トプ ッ トに着 目 した 研 究 が そ の 重 要 性 を指 摘 して い るの に もか か わ らず,本 国 親 会 社 と多 国 籍 企 業 内の 他 拠 点 の 要 因 を 詳 細 に分 析 して いな い。 以 上 の 先 行 研 究 の 発 見 事 実 と課 題 を総 括 す る と,海 外 子 会 社 に よ る製 品 開 発 活 動 が グ ロ ーバ ル な 成 果 を 生 成 す る まで の プ ロセ ス は,海 外 子 会 社 お よ び多 国 籍 企 業 固 有 の 優 位 性 と海 外 子 会 社 特 有 の マネ ジ メ ン ト上 の 課 題 の 観 点 か らは解 明 され て いな い こ とが 考 え られ る。 具 体 的 に は,主 に次 の2点 の 分 析 上 の 課 題 が あ る と考 え られ る。 第1に,イ. ンプ ッ トと ア ウ トプ ッ トに着 目 して,海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 が,グ. ロー. バ ル な成 果 を生 成 す る よ う に至 る まで の 変 化 プ ロセ スを 解 明 す る必 要 が あ る。 ① 活 動 の 変 化 に着 目 した研 究 で は,海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 が,現 地 市 場 を 対 象 と した 活 動 か ら多 国 籍 企 業 内 あ る い は世 界 市 場 を 対 象 と した活 動 へ と次 第 に グ ロ ーバ ル 化 す る傾 向 を 明 らか に して い るが,そ の 変 化 プ ロセ ス を分 析 して いな い。 ② イ ン プ ッ トに着 目 した 研 究 お よ び ③ ア ウ トプ ッ トに着 目 した研 究 で は,そ の 多 くが,多 国 籍 企 業 要 因 と現 地 環 境 要 因 の 双 方 か ら海 外 子 会 社 に よ る製 品 開 発 活 動 を分 析 して い る。 しか しな が ら,① 活 動 の 変 化 に着 目 した研 究 が 指摘 した,製 品 開 発 活 動 の 多 様 な地 理 的範 囲 を十 分 に考 慮 して いな い。そ こで, 海 外 子 会 社 が グ ロー バ ル な 製 品 開 発 成 果 を 生 成 す る まで の ④ 活 動 の 変 化 プ ロセ ス に着 目す る こ とが,先 行 研 究 の 課 題 の ひ とつ に考 え られ る。 第2に,こ. の 変 化 プ ロ セ スの 解 明 に 際 して は,多. (す な わ ち,海 外 子 会 社,本. 国親 会 社,多. 国 籍 企 業 要 因 と現 地 環 境 要 因 の 双 方. 国籍 企 業 内 の 他 の 海 外 子 会 社,現 地 環 境 の4つ. の 要 因)を 分 析 す る必 要 が あ る。 ④ 活 動 の 変 化 プ ロセ ス に着 目 した 研 究 で は,海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 が グ ロー バ ル な 成 果 を生 成 す る まで の 変 化 プ ロセ スを 分 析 して い る。 しか し,主 に現 地 環 境 要 因 と海 外 子 会 社 内部 の 要 因 を 分 析 して お り,本 国 親 会 社 な どの 多 国 籍 企 業 内部 の 他 拠 点 を詳 細 に分 析 して いな い。 ② イ ンプ ッ トに着 目 した研 究 お よ び③ ア ウ トプ ッ トに着 目 した研 究 の 多 くが,海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 に は多 国 籍 企 業 要 因 と現 地 環 境 要 因 の 双 方 が 影 響 を及 ぼ す こ とを 明 らか に し て い る。 ま た,既 述 の 通 り,海 外 子 会 社 は,多 国 籍 企 業 内部 の 環 境 と現 地 環 境 の 双 方 に直 面 して い る。 その た め に,よ を有 す る一 方 で,よ. り多 様 に製 品 開 発 の 源 泉 を 求 め る こ とが で き る と い う優 位 性. り複 雑 な マネ ジ メ ン トを 要 す る。 したが って,海 外 子 会 社 の 優 位 性 と. 特 有 の 経 営 課 題 の 観 点 か ら海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 を 解 明 す るた め に も,多 国 籍 企 業 要 一120(1246)一.

(5) 海外子会社の製品開発活動 にお ける内部要因の検討(多 田) 因 と現 地 環 境 要 因 の 双 方 を分 析 した うえ で,海 外 子 会 社 内部 の 要 因 を 明 らか にす る必 要 が あ る。 以 上 の 先 行 研 究 の 課 題 を踏 まえ て,多. 田(2010,2011a,2011bほ. か)で. は,食 品 産 業 に. 属 す る海 外 子 会 社 お よ び化 学 産 業 に属 す る海 外 子 会 社 の 事 例 分 析 を 通 じて,海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 が グ ロー バ ル な 成 果 を生 成 す る まで の プ ロセ スの 解 明 を 試 み た 。 しか しな が ら,多 国 籍 企 業 内外 の 環 境 を 活 用 し,ま た製 品 開 発 成 果 を 生 成 す る主 体 で も あ る海 外 子 会 社 内部 の 要 因 の 分 析 が 研 究 課 題 の ひ とつ と して 残 され て い た。. (2)分 析 枠 組 そ こ で,本. 稿 で は,先. Schurig(2003)を. 行 研 究 の 課 題 お よ び これ ま で の 研 究 課 題 を 踏 ま え,Schmid&. 出発 点 と した 図1の 枠 組 に よ って 分 析 を 行 う こ と に した い。. 本 稿 で は,多 国 籍 企 業 の 内部 環 境 と現 地 環 境 を構 成 し,か つ 知 識 を 保 有 す る各 主 体 に注 目す る。 まず,多 国 籍 企 業 は,本 国 親 会 社 と さ ま ざ まな 役 割 を 担 う海 外 子 会 社 か ら構 成 さ れ る た め,多 国 籍 企 業 要 因 の 構 成 要 素 と して 本 国 親 会 社,顧 客(2),サ プ ラ イ ヤ ー,流 通 企 業,R&D拠. 点 が 考 え られ る。 現 地 環 境 要 因 の 構 成 要 素 に は顧 客,サ. 業,競 合 企 業,R&D拠 そ こで,①. プ ラ イ ヤー,流 通 企. 点,政 府 機 関 が 考 え られ る(3)。. これ らの 多 国 籍 企 業 要 因 と現 地 環 境 要 因 の 各 構 成 要 素 が 海 外 子 会 社 に及 ぼ す. 影 響,② 海 外 子 会 社 の 内部 要 因 が 製 品 開 発 活 動 に及 ぼす 影 響,②. これ らの 影 響 に基 づ く製. 品 開 発 活 動 と成 果 との 関 係 を 分 析 す る。 海 外 子 会 社 の 内部 要 因 は,事 例 研 究 お よ び比 較 分 析 を通 じて 探 索 的 な 分 析 を 行 う。 その 結 果,多 国 籍 企 業 内部 の 環 境 と現 地 環 境 を 活 用 して 製 品 開 発 成 果 を生 成 す る た めの,海 外 子 会 社 の 内部 要 因 を 検 討 した い。 以 上 の 枠 組 を用 い た分 析 に よ って,先 行 研 究 の 課 題 の 克 服 が 可 能 にな る と考 え られ る。 第1に,製. 品 開発 の イ ンプ ッ トとな る新 た な情 報 や知 識 は,組 織 や 人 に体 化 され存 在 し,. そ の活 用 は他 の実 体 と の相 互 作 用 の強 度 と頻 度 に特 に依 存 す る(Cohen&Levinthal, 1990;Schmid&Schurig,2003)。. その た め,こ の 分 析 枠 組 に よ って,製 品 開 発 成 果 と い. う ア ウ トプ ッ トだ けで な く,イ ンプ ッ トの 分 析 も可 能 とな る。 第2に,言. う まで もな く,こ の 枠 組 に よ って,先 行 研 究 の 課 題 で あ る海 外 子 会 社,本 国. 親 会 社,多 国 籍 企 業 内の 他 の 海 外 子 会 社,現 地 環 境 の4つ. に着 目 した 多 国 籍 企 業 内外 の 要. (2)多 国 籍 企 業 内 には,本 国 親 会 社 あ るい は他 の 海 外 子 会 社 が 生 産 ・開 発 した 製 品 ・サ ー ビス を 購 入 す る海 外 子 会 社 も存 在 す る。 そ う した 海 外 子 会 社 を 内 部 顧 客 とす る。 (3)た だ し,Schmid&Schurig(2003)は,内 部環境要因の構成要素に流通企業を含めていない。 -121(1247)一.

(6) 多国籍企業要因 1本. 第59巻. 第3号. 図1分. 析枠組. 司. 国鵯会社1. 1顧. 客. 他 の 潅 外 子 会 社 〕I. Iサ. プ ラ イ ヤ ー・ 〔 他 叩 海 外 子 査 社)1. 1翫. 踊企藁{他 の樺舛 伯 桝I. IR邑D穐. 海卦子盒社 点 曲 冊御聾子金11⊃1 ,. 現地環境要 因 1顧 「. 内部 要因. →. 製品開発 活 動. →. 製 品開発 成 果. 署1 サプライヤー1. 1億. 埴企業I. I饒. 倉企茱1. 1且&D拠. 点l. I鼠. 麻提関1. 唖. (出 所)Schmid&Schurig(2003),p.762等. を も とに作 成 。. 因 の 分 析 が 可 能 にな る。 したが って,海 外 子 会 社 に よ る製 品 開 発 の 優 位 性 とそ の た めの 経 営 課 題 の 観 点 か ら,製 品 開 発 活 動 の あ り方 を 解 明 す る こ とが 可 能 にな る と考 え られ る。 この よ う に,先 行 研 究 の 課 題 に対 応 す る うえ で も適 切 な 分 析 枠 組 と考 え られ るた め,本 稿 で は図1の 枠 組 を 用 い る こ と に した い。 な お,日 本 コカ ・コー ラ の事 業 は,同 社 が コー ラ飲 料 類 の 原 液 の 製 造 ・供 給,製 品 開発, マ ー ケ テ ィ ング活 動 を 担 当 し,同 社 と フ ラ ン チ ャ イ ズ契 約 を 締 結 した 現 地 資 本 の ボ トラー (以下,現. 地 ボ トラー)が 各 地 区 に お い て製 品 の 製 造 ・販 売 を担 当 し実 施 され て い る。 以. 上 の 事 業 分 担 か ら,現 地 ボ トラー を その 役 割 に応 じて 外 部 サ プ ラ イ ヤー あ る い は外 部 流 通 企 業 と して 分 析 す る。. (3)製 品 開 発 成 果 の フ ェー ズ 本 稿 で は,同. じ く先 行 研 究 の 課 題 を 踏 まえ,海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 が グ ロー バ ル な. 成 果 を生 成 す るま で の プ ロセ スを 詳 細 に分 析 す るた あ に,表1の. 通 り製 品 開 発成 果 の フ ェー. ズ を設 定 す る。 この4つ の フ ェー ズ は,上 位 の フ ェー ズ に な る ほ ど成 果 が 高 くな る こ と を意 味 して い る。 まず,本 国 親 会 社 の 資 源,製 品 の 移 転 を 受 けて 設 立 され た海 外 子 会 社 が,本 国 親 会 社 製 品 を改 良 し現 地 市 場 へ 導 入 した時 点 を,フ. ェー ズ1の 成 果 を 生 成 した 段 階 とす る。 この 段. 階 につ いて は,伝 統 的 な 多 国 籍 企 業 の 理 論 に お いて も,現 地 市 場 へ の 適 合 を 図 るた め に, 本 国親 会 社 製 品 を 改 良 す る海 外 子 会 社 が存 在 す る こ と を 明 らか に して い る(た -122(1248)一. とえ ば,.

(7) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) 表1海. 外 子 会 社 の製 品開 発 成 果 の フ ェー ズ. フ ェ ー ズ1. 海 外 子 会 社 が,現 地 市 場 へ本 国親 会 社 製 品 を改 良 し導 入 す る段 階. フ ェ ー ズ2. 海 外 子 会 社 が,現 地 市 場 へ 自主 開発 製 品 を導 入 す る段 階. フ ェ ー ズ3. 海 外 子 会 社 が,現 地 市 場 へ多 くの 自主 開発 製 品 を導 入 す る段 階. フ ェ ー ズ4. 海 外 子 会 社 が,現 地 市 場 へ多 くの 自主 開発 製 品 を導 入 し,か つ 他 国 市 場 向 け の製 品 開発 を実 施 す る段 階. Vernon,1971)。 次 に,海. 外 子 会 社 が 独 自 の 製 品 を 自 主 開 発 し現 地 市 場 へ 導 入 した 時 点 を,フ. 成 果 を 生 成 し た 段 階 と す る 。 こ の 段 階 以 降 に つ い て は,上 で は 想 定 さ れ て い な い が,Ronstadt(1977,1978)等. ェ ー ズ2の. 述の伝統的な多国籍企業の理論. の 多 くの 研 究 に お い て 指 摘 さ れ て. い る。 フ ェ ー ズ3は,海. 外 子 会 社 が 自主 的 か つ 継 続 的 に製 品 開 発 成 果 を 生 成 す る段 階 を 分 析 す. る た め に 設 定 す る 。 こ の 段 階 は,吉. 原(1992)お. い て 確 認 さ れ て い る 。 フ ェ ー ズ4は,海 shaw&Hood,1998)さ. れ,現. よ び 多 田(2011a,2011bほ. 外 子 会 社 が,本. か)な. ど にお. 国 親 会 社 か ら正 式 に役 割 指 定(Birkin-. 地 市 場 だ け で な く海 外 市 場 あ る い は 多 国 籍 企 業 内 向 け の. グ ロ ーバ ル な 製 品 開 発 成 果 を生 成 す る段 階 を分 析 す る た め に設 定 す る。 以 上 の 枠 組 と 定 義 を 用 い て,海. 外 子 会 社 が,多. 国 籍 企 業 内部 の 環 境 と現 地 環 境 と い う外. 部 環 境 を 活 用 して グ ロ ー バ ル な 製 品 開 発 成 果 を 生 成 す る た め の,海. 外 子 会 社 内部 の 組 織 要. 因 を検 討 す る こ と に した い。. 3日. (1)日. 本 コ カ ・ コ ー ラ の 事 例 概 要(4). 本 コ カ ・コ ー ラ の 設 立. 1957年,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は 米 国 コ カ ・コ ー ラ の 製 品 の 販 売 を 目 的 に 設 立 さ れ た 。 米 国. コ カ ・コ ー ラ の100%出. 資 に よ る 設 立 だ っ た 。 日本 コ カ ・ コ ー ラ は,当. 時 の 日本 人 に は 異 質. な コ ー ラ 飲 料 を 特 に 現 地 適 合 を 試 み ず に そ の ま ま 導 入 し た 。 ま た,設. 立 時 の コ カ ・コ ー ラ. の 売 上 げ 不 振 の 対 応 策 と して,翌 に は,米. 国 コ カ ・コ ー ラ の 技 術 部 門 の 協 力 を 得 て,日. 択 を 試 み た 。以 降,同. e1)日. 年 に 米 国 コ カ ・コ ー ラ 製 品 フ ァ ン タ を 導 入 した 。 そ の 際 本 市 場 の ニ ー ズ を 考 慮 した 製 品 の 選. 社 は,日 本 市 場 の ニ ー ズ に 即 し て 米 国 コ カ ・ コ ー ラ 製 品 を 導 入 し た 。. 本 コ カ ・ コ ー ラ の 詳 細 な 事 例 は,多. 田(2010)を. -123(1249)一. 参照。.

(8) 第59巻. 第3号. こ れ らの 日 本 コ カ ・コ ー ラ が 導 入 し た 飲 料 は,日. 本 の 清 涼 飲 料 市 場 の 構 造 を 抜 本 的 に革. 新 す る ほ ど の 大 き な 市 場 成 果 を も た ら し た 。 しか し,日 ラ 運 動,チ. ク ロ 騒 動,合. 本 コ カ ・コ ー ラ は,反. 成 着 色 料 問 題 な ど の 社 会 問 題 の 標 的 と な っ た 。 ま た,コ. ラ の 破 び ん 事 件 も 生 じ た 。 そ こ で,米. 国 コ カ ・コ ー ラ は,1971年. 策 と して 日 本 コ カ ・コ ー ラ に 初 の 日 本 人 社 長 を 就 任 さ せ,大 な っ た(5)。以 降,日. (2)自. コ カ ・コ ー カ ・コ ー. に一 連 の 社 会 問 題 の 対 応. きな 独 立 性 を 付 与 す る よ う に. 本 人 社 長 は さ ま ざ まな 日本 へ の 融 和 策 を 図 って い った 。. 主 改 良 の は じま り. 1970年 前 後 よ り,一 の 低 迷 が は じ ま り,果. 連 の 社 会 問 題 も 起 因 して コ ー ラ お よ び フ レー バ ー 炭 酸 飲 料 の ニ ー ズ 実 飲 料 の ニ ー ズ が 高 ま る よ う に な っ た 。 競 合 各 社 は,次. 料 を 導 入 す る よ う に な っ た 。 そ こ で,現. 地 ボ トラ ー 各 社 は,日. 導 入 を 要 請 す る よ う に な っ た 。 こ の 場 合 は,現. 々 と果 実 飲. 本 コ カ ・コ ー ラ に 同 飲 料 の. 地 ボ トラ ー は,サ. プ ラ イ ヤ ー と して で は な. く流 通 企 業 と して の 要 請 で あ っ た と 考 え られ る 。 果 実 飲 料 は,す. で に 米 国 コ カ ・コ ー ラ の. 製 品 ラ イ ンに あ っ た。 しか し,日 政 府 は,当. 本 コ カ ・コ ー ラ は,米. 時,ミ. 国 コ カ ・コ ー ラ 製 品 を そ の ま ま 導 入 しな か っ た 。 日 本. カ ン の 生 産 過 剰 が 深 刻 な 社 会 問 題 と な っ て い た た め,日. 本 コ カ ・コ ー ラ. に 対 し 日本 産 の ミカ ン を 原 料 に 用 い た 飲 料 の 導 入 を 要 請 して い た 。 そ こ で,日 ラ は,政. 本 コ カ ・コ ー. 府 の 要 請 に 対 応 す る こ と で 一 連 の 社 会 問 題 の 緩 和 と 円 滑 な 製 品 導 入 を 期 待 して,. 米 国 コ カ ・コ ー ラ 製 品HI-Cに. 改 良 を 加 え た の だ っ た 。 同 社 は,果. 実 飲 料 導 入 に 際 し,独. 自 の 生 産 技 術 で あ る ホ ッ ト フ ィ リ ン グ 技 術 お よ び 熱 処 理 ・熱 殺 菌 技 術 を 開 発 し,HI-Cを 改 良 し た 。 こ の 技 術 は,の. ち の 同 社 の 製 品 多 様 化 の 技 術 的 基 盤 と な っ た 。 な お,同. 競 合 各 社 の 果 実 飲 料 の 仕 様 を 考 慮 し,日 を 開 発(改 HI-Cを. 良)し. 本 の 既 存 製 品 に は な い50%果. た 。 こ う して,1973年,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,米. 社 は,. 汁 含 有 タ イ プの 飲 料 国 コ カ ・コ ー ラ 社 製 品. 改 良 して 日 本 市 場 へ 導 入 し た 。 こ の 陣 頭 指 揮 に あ た っ た の は,上. 述 した 日 本 人 社. 長 だ っ た。. (3)自. 主 開 発 の は じま り. そ の 後 の 日本 の 清 涼 飲 料 市 場 で は,果. 実 飲 料 の ニ ー ズ 増 加 を 経 て,缶. ニ ー ズ が 急 速 に 高 ま る よ う に な っ た 。 他 方,コ そ こ で,現. 地 ボ トラ ー 各 社 は,日. (5)「 食 品 工 業 」1972年4月15日. ー ラ飲 料 類 の ニ ー ズ は低 迷 が 続 いて いた 。. 本 コ カ ・コ ー ラ に 対 し,缶. 号,pp.36-37。 -124(1250)一. コー ヒー飲 料 の. コー ヒー 飲 料 の 導 入 を 要 請 す.

(9) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) る よ う に な っ た 。 しか し,こ. の 要 請 は 当 初 に は 叶 え られ な か っ た 。 米 国 コ カ ・コ ー ラ が,. 「そ ん な も の が 売 れ る わ け が な い 」 と缶 コ ー ヒ ー 飲 料 の 導 入 に 反 対 し た た め で あ る 。 当 時, 缶 コ ー ヒ ー 飲 料 市 場 は,規. 模 こ そ ま だ 小 さ か っ た も の の,か. つ て の コー ラ炭 酸 飲 料 市 場 の. 成 長 率 を 上 回 る 勢 い で 急 速 に 成 長 して い た 。 そ れ に も か か わ らず,米 コ ー ヒ ー 飲 料 の 将 来 性 に は 否 定 的 で あ っ た 。 同 飲 料 は,当 飲 料 で あ り,米 しか し,現. 国 コ カ ・コ ー ラ は 缶. 時 は 日本 にの み 存 在 す る特 殊 な. 国 コ カ ・コ ー ラ に は 理 解 しが た い も の だ っ た の で あ る 。. 地 ボ トラ ー 各 社 は 「市 場 に お い て は 消 費 者 ニ ー ズ が 最 優 先 で あ る 」 と して,. コ カ ・コ ー ラ と の フ ラ ン チ ャ イ ズ 契 約 の 間 隙 を 縫 っ て 他 社 の 缶 コ ー ヒ ー 飲 料 を 導 入 し は じ め た 。 こ の よ う な 現 地 ボ トラ ー の 離 反 は,コ. カ ・コ ー ラ な ど の 既 存 製 品 の 売 上 げ に も 悪 影. 響 を 及 ぼ しか ね な い 。 さ ら に,こ. コ ー ヒ ー 飲 料 市 場 は 拡 大 の 一 途 を 遂 げ,競. の 間 に,缶. 合. 各 社 は 次 々 と 缶 コ ー ヒ ー 飲 料 を 導 入 して い っ た 。 他 方,コ. ー ラ 炭 酸 飲 料,フ. レー バ ー 炭 酸 飲 料 市 場 は 縮 小 し,コ. 売 上 げ も 低 迷 して い く。 そ こ で,日 り,缶. 本 コ カ ・コ ー ラ は,米. コ ー ヒ ー 飲 料 の 開 発 を 決 行 し た 。 そ こ で は,上. フ ィ リ ン グ 技 術,熱. カ ・コ ー ラ と フ ァ ン タ の. 国 コ カ ・コ ー ラ の 反 対 を 押 し切. 述 の 自主 改 良 時 に 蓄 積 し た ホ ッ ト. 処 理 ・熱 殺 菌 技 術 を 基 盤 に 開 発 し た レ トル ト滅 菌 技 術 が 用 い ら れ た 。. こ の よ う な 缶 コ ー ヒー 飲 料 の 開 発 は,当. 時,米. 国 コ カ ・コ ー ラ よ り大 き な 独 立 性 を 付 与 さ. れ た 日 本 人 社 長 の 存 在 が あ っ た た め 可 能 に な っ た 。 こ う して,1975年,日 は,缶. (4)自. コ ー ヒ ー 飲 料 ジ ョー ジ ア を 開 発 し 日 本 市 場 へ 導 入 し た(6)。. 主開発の抑制. 上 述 し た よ う に,1975年,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,米. 缶 コ ー ヒ ー 飲 料 ジ ョー ジ ア を 自 主 開 発 し,日 ニ ー ズ,現. 地 ボ トラ ー,競. 国 コ カ ・コ ー ラ の 反 対 を 押 し切 り,. 本 市 場 へ 導 入 し た 。 こ の 開 発 ・導 入 は,市. 合 企 業 の 動 向 が 影 響 して,日. ボ トラ ー の 離 反,②. コ ー ラ 飲 料,フ. 新 社 長 は,就. 国 コ カ ・コ ー ラ 社 は,①. レー バ ー 炭 酸 飲 料 の ニ ー ズ 低 迷 に と も な う 業 績 不 振,. ③ フ ァ ン タ の 天 然 色 素 導 入 の 失 敗 な ど の 理 由 に よ っ て,こ 長 職 に 退 け,新. 場. 本 コ カ ・コ ー ラ に 大 き な 独 立 性 を. 付 与 さ れ て い た 日 本 人 社 長 が 決 行 し た も の だ っ た 。 と こ ろ が,米. の 日本 人 社 長 を 権 限 の 乏 しい会. た に 自 社 の 副 社 長 を 日 本 コ カ ・コ ー ラ の 社 長 に 派 遣 した(7)。 任 時 に 「BacktotheBasic」,「. コ カ ・コ ー ラ 第 一一 主 義 」 と い う コ カ ・コ ー. ラ の 拡 販 を 最 優 先 す る 方 針 を 打 ち 出 し た 。 新 社 会 の 方 針 は 事 実 上,米. (6)日. 本 コ カ ・コ ー ラ. 本 コ カ ・ コ ー ラ の 缶 コ ー ヒ ー 飲 料 開 発 の 経 緯 は,村. (7)「 食 品 工 業 」1975年12月15日,pp.26-29。 -125(1251)一. 山(2007),pp84-90等. 国 コ カ ・コ ー ラ の 日. を も とに記 述 。.

(10) 第59巻 本 市 場 に 対 す る 方 針 で あ っ た 。 ま た,こ. 第3号. の 動 き と 前 後 し,米. 国 コ カ ・コ ー ラ は 中 央 集 権 化. を推 進 す る よ う にな って い た。 1970年 代 後 半 も,日. 本 市 場 で は ニ ー ズ の 多 様 化 が 進 ん だ 。 果 粒 入 り果 実 飲 料,栄. ン ク 飲 料 な ど の 日 本 市 場 特 有 の 飲 料 が 誕 生 し,そ 企 業 も,次. の ニ ー ズ は 日増 しに高 ま って いた 。 競 合. 々 と こ れ らの 飲 料 の 導 入 を 開 始 し た 。 そ こ で,現. 開 発 を 日 本 コ カ ・コ ー ラ に 要 請 し た 。 しか し,日 コ カ ・コ ー ラ 製 品HI-Cを. 養 ドリ. 地 ボ トラ ー 各 社 は,両. 本 コ カ ・コ ー ラ は,1975年. 改 良 し果 実 飲 料 等 を 導 入 し た も の の,そ. 飲料の. 以 降 も,米. 国. れ よ り も コ カ ・コ ー ラ. 販 促 キ ャ ンペ ー ン に 注 力 して い た 。 果 実 飲 料 の 改 良 に 際 して は,米. 国 コ カ ・コ ー ラ よ り技 術 協 力 を 受 け て い た 。 さ ら に,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は 日 本 市 場 特 有 の ニ ー ズ へ の 対 応 に は 消 極 的 だ っ た 。 現 地 ボ トラ ー の 進 言 が あ っ た の に も か か わ らず,果. 粒 入 り果 実 飲 料 の 市 場 ニ ー ズ が 顕 在 化 して か ら そ れ を 導 入. す る ま で に 時 間 を 要 した 。 缶 コ ー ヒ ー 飲 料 ジ ョ ー ジ ア の 開 発 以 降,1980年. ま で に 日本 コ カ ・. コ ー ラが 自主 開 発 製 品 を 導 入 す る こ と はな か っ た。. (5)自. 主開発の再開. 米 国 コ カ ・コ ー ラ お よ び 日 本 コ カ ・コ ー ラ が 最 優 先 に 注 力 し た コ カ ・コ ー ラ の 販 促 キ ャ ンペ ー ン は,一. 時 的 な 市 場 成 果 に 留 ま っ た 。 コ カ ・コ ー ラ は1978年. を あ げ た もの の,そ 低 迷 は,も. に は過 去 最 高 の 販 売 量. の 後 の 販 売 量 は 低 迷 して い く。 日 本 市 場 で の コ ー ラ 炭 酸 飲 料 の ニ ー ズ. は や 決 定 的 な も の と な っ た 。 他 方,米. 国 コ カ ・コ ー ラ が. 「そ ん な も の が 売 れ る. わ け が な い 」 と 将 来 性 を 認 識 しな か っ た 缶 コ ー ヒー 飲 料 ジ ョー ジ ア は,そ 場 成 果 を も た ら し た 。 ジ ョ ー ジ ア は,缶 売 量 を 伸 ば し た 。 そ の 結 果,米. の後飛躍的な市. コ ー ヒー飲 料 市 場 の 成 長 を 大 幅 に上 回 る勢 いで 販. 国 コ カ ・コ ー ラ は,日. 本 市 場 の 特 殊 性 と製 品 多 様 化 の 重 要. 性 を 認 識 す る よ う に な っ た(8)。 ま た,こ. の 頃,米. に も あ る よ う に,両. 国 コ カ ・コ ー ラ で は,会. 長 お よ び 社 長 が 交 代 した 。 の ち の エ ピ ソ ー ド. 職 を 歴 任 し た ゴ イ ズ エ タ は,日. 本 コ カ ・コ ー ラ の 自 主 性 を 重 ん じ る 方. 針 を も っ て い た 。 米 国 コ カ ・コ ー ラ よ り派 遣 さ れ た 日 本 コ カ ・コ ー ラ の 社 長 は,製. 品開発. を 日 本 コ カ ・コ ー ラ の 経 営 戦 略 に 組 み 込 ん だ 。 1970年 代 後 半 よ り,日. 本 市 場 で は,缶. コ ー ヒ ー 飲 料 だ け で な く,栄. の 日 本 特 有 の 飲 料 の ニ ー ズ が 高 ま っ て い た 。 さ ら に,1980年. (8)「. 日 本 経 済 新 聞 』1981年1月31日. 。 一126(1252)一. 養 ドリン ク飲 料 な ど. 代 に 入 る と,ス. ポ ー ツ 飲 料,.

(11) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) 各 種 茶 系 飲 料 な ど の 新 た な 飲 料 が 日 本 に 誕 生 し た 。 競 合 各 社 は,次 の 飲 料 を 導 入 し,そ. の ニ ー ズ は 増 加 の 一 途 を た ど っ た 。 他 方,炭. い て い た 。 市 場 ニ ー ズ は ま す ま す 多 様 化 し,各 在 化 す る と,速 そ こ で,1981年. 社 は,新. 々 と これ らの 日本 特 有. 酸 飲 料 の ニ ー ズ低 迷 は続. た な 飲 料 が 誕 生 しそ の ニ ー ズ が 顕. や か に追 随 製 品 を 導 入 す る よ う にな って い た。 日 本 コ カ ・コ ー ラ は,か. ね て よ り現 地 ボ トラ ー が 開 発 を 要 請 して い た 栄. 養 ド リ ン ク 飲 料 を よ う や く開 発 ・導 入 し た 。 同 年 に 導 入 し た 乳 性 飲 料 ア ン バ サ も,同 の ニ ー ズ 増 加 を 受 け 現 地 ボ トラ ー が 開 発 を 要 請 し た 飲 料 で あ っ た 。 以 降,日 ラ は,ス. ポ ー ツ 飲 料,茶. 系 飲 料 の ニ ー ズ 増 加 に 即 して,同. 飲料. 本 コ カ ・コ ー. 種 の 飲 料 を 自 主 開 発 し導 入 して. い っ た。. (6)自. 主開発の積極化. 1980年 代 以 降 も,日. 本 市 場 の ニ ー ズ 多 様 化 は 続 い た 。 ま た,コ. 涼 飲 料 の 重 要 な 販 路 と して 台 頭 し た 。 こ れ らの 結 果,清. ン ビ ニ エ ン ス ス トア が 清. 涼 飲 料 の 製 品 開 発 競 争 は 激 化 し,. 各 社 は 市 場 ニ ー ズ に そ の ま ま 対 応 す る 追 随 製 品 を 開 発 す る だ け で は な く,新 創 出 す る よ う な 製 品 開 発 を 試 み る よ う に な っ た 。 現 地 ボ トラ ー 各 社 は,日 の 自 主 開 発 製 品 を よ り重 視 す る た め に,日. た な ニ ー ズを. 本 コ カ ・コ ー ラ. 本 コ カ ・コ ー ラ の 社 長 に は 米 国 コ カ ・コ ー ラ よ. り派 遣 さ れ た 人 材 で は な く 日 本 コ カ ・コ ー ラ 生 え 抜 き の 人 材 の 就 任 を 望 ん で い た 。 こ の エ ピ ソ ー ドお よ び こ れ ま で の 経 緯 か ら,現. 地 ボ トラ ー は 引 き 続 き 日 本 コ カ ・コ ー ラ へ 自 主 製. 品 開 発 の 要 請 を 行 っ て い た と 考 え られ る 。 他 方,米. 国 コ カ ・コ ー ラ で は,前. 任 して お り,海. 述 の 日 本 コ カ ・コ ー ラ の 自 主 性 を 重 視 す る 経 営 陣 が 留. 外 子 会 社 の 現 地 化 を 推 進 す る 方 針 を と っ て い た 。 ま た,米. 国 コ カ ・コ ー ラ. は 日 本 コ カ ・コ ー ラ の 自 主 製 品 開 発 を 推 進 す る よ う な 方 針 も 示 して い た 。 他 方,現 ラ ー の 意 向 が あ っ た も の の,米 い て い た 。 た だ し,こ. 地 ボ ト. 国 コ カ ・コ ー ラ 社 に よ る 日 本 コ カ ・コ ー ラ 社 長 の 派 遣 は 続. の よ う な 状 況 下 に あ っ て も,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は 比 較 的,自. 主的な. 製 品 開 発 活 動 が 可 能 な 状 況 に あ っ た。 そ こ で,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,現. 施 し た 。 日 本 コ カ ・コ ー ラ は,一. 地 ボ トラ ー の 要 請 や 提 案 も 考 慮 し,自. 主製品開発を実. 貫 して 清 涼 飲 料 市 場 で ト ッ プ シ ェ ア を 維 持 して い た が,. 新 た な 飲 料 の 創 出 に も 意 欲 的 だ っ た 。 そ の な か に は,ベ 存 製 品 と は 一 線 を 画 し た 新 た な 飲 料 も あ っ た 。 同 社 は,製. ジ ー タベ ー タな どの 競 合 各 社 の 既 品 開 発 競 争 の 激 化 に対 応 す べ く,. 新 た な ニ ー ズ 創 出 を 意 図 し た 積 極 的 な 自 主 製 品 開 発 を 実 施 して い く。1985年. に は,米. カ ・コ ー ラ 製 品 よ り も 多 くの 自 主 開 発 製 品 を 日 本 市 場 へ 導 入 す る よ う に な っ た 。 -127(1253)一. 国 コ.

(12) 第59巻 (7)グ. 第3号. ロー バ ル な 製 品 開 発. 1995年,米. 国 コ カ ・コ ー ラ は,日. フ ィ ッ ク 技 術 セ ン タ ー(現 同 セ ン タ ー の 設 立 は,ア. 本 コ カ ・コ ー ラ の 一 部 を 分 社 化 し,コ. カ ・コ ー ラ パ シ. 在 の コ カ ・コ ー ラ 東 京 研 究 開 発 セ ン タ ー の 前 身)を ジ ア,オ. 設 立 した 。. ー ス トラ リ ア を 含 む 太 平 洋 各 国 の 市 場 ニ ー ズ に 即 した 製. 品 開 発 を 目 的 と し た 。 こ れ に と も な い,米. 国 コ カ ・コ ー ラ は,太. 平 洋 地 区 に関 す る技 術 ・. 製 品 開 発 の 権 限 を 日本 コ カ ・ コ ー ラ へ 大 幅 に 委 譲 した(9)。 日 本 コ カ ・コ ー ラ は,日 で な く,海. 外 市 場 に 向 け た 製 品 開 発 を 正 式 に 実 施 す る よ う に な っ た 。1990年. 本だ け. 代 後 半 よ り,. 世 界 各 国 の 市 場 で も非 炭 酸 飲 料 お よ び 日本 特 有 と され た飲 料 の ニ ー ズが 高 ま る よ う にな っ た 。 そ の 傾 向 は,2000年 そ こ で,米. 代 に入 る と顕 著 にな っ た。. 国 コ カ ・コ ー ラ は,日. 本 コ カ ・コ ー ラ に 「世 界 の コ カ ・コ ー ラ に 変 化 と 革 新. を も た らす 触 媒 の 役 割 」 や 成 功 事 例 と して 自 社 の ノ ウ ハ ウ を 各 海 外 子 会 社 へ 普 及 伝 搬 す る 役 割 を 求 め た 。 各 海 外 子 会 社 は,日 よ う に な っ た(1① 。 ま た,日. 本 コ カ ・コ ー ラ を 訪 問 し ノ ウ ハ ウ な ど の 吸 収 に 努 め る. 本 市 場 で の 経 験 を 積 む た め に,米. 日 本 コ カ ・コ ー ラ の 社 長 に 就 任 さ せ た 。 さ ら に,米 の 変 化 を 受 け,日. 国 コ カ ・コ ー ラ は,各. 国市場のニー ズ. 本 型 の 製 品 開 発 を 世 界 各 国 に も 採 用 す る 意 向 で あ っ た 。 同 社 は,そ. め の 組 織 再 編 を 行 い,日 て い る 。 他 方,日. 国 コ カ ・コ ー ラ の 幹 部 候 補 を. のた. 本 コ カ ・コ ー ラ の 製 品 開 発 担 当 責 任 者 を 世 界 的 な 責 任 者 へ 登 用 し. 本 コ カ ・コ ー ラ へ は 製 品 開 発 に 関 す る 大 幅 な 意 思 決 定 の 自 律 性 を 付 与 し. た 。 日 本 コ カ ・コ ー ラ で は,日. 本 発 の 世 界 的 な 製 品 開 発 を 志 向 す る 日 本 人 社 長 が 就 任 し,. 意 欲 的 な 製 品 開 発 を 実 施 して い く(ll)。 日 本 市 場 で は,ニ コ ー ラ は,現. ー ズ 多 様 化 と 製 品 開 発 競 争 は ま す ま す 進 ん で い た 。 そ こ で,日. 地 ボ トラ ー と の 協 働,大. 学 の 研 究 機 関 や 異 業 種 他 社 との 協 働 に よ る製 品 開 発. を 実 施 す る よ う に な る 。 日 本 コ カ ・コ ー ラ は,海 す る,グ. 本 コカ ・. 外 市 場 で も 活 用 さ れ る 製 品 を 数 多 く開 発. ル ー プ最 大 の 海 外 製 品 開 発 拠 点 へ と成 長 を遂 げ た。. 他 方,コ. カ ・コ ー ラ 東 京 研 究 開 発 セ ン タ ー(旧. パ シ フ ィ ッ ク 技 術 セ ン タ ー)は,2001年. に ア ジ ア ・パ シ フ ィ ッ ク 各 国 市 場 向 け の 製 品 開 発 の 役 割 を 外 れ た 。 日 本 コ カ ・コ ー ラ は, 日 本 市 場 に お い て 激 し い 製 品 開 発 競 争 に さ ら さ れ て い る 。 東 京 研 究 開 発 セ ン タ ー で は,日 本 市 場 向 け の 製 品 開 発 に 注 力 す る 必 要 が あ っ た 。 ま た,中 清 涼 飲 料 市 場 も 拡 大 して き た 。 そ こ で,上. (9)「 ⑩ (ID魚. 日 本 経 済 新 聞 』1995年1月1日. 海 に,コ. 国 を は じ め と した ア ジ ア 地 域 の. カ ・コ ー ラ 上 海 研 究 開 発 セ ン タ ー が 設. 。. 「日 経 ビ ジ ネ ス 』2004年1月26日,p.52。 谷(2009),p.159。2013年. 現 在 は,米. 国 コ カ ・コー ラ 出身 の 人 材 が 社 長 に就 任 して い る。. -128(1254)一.

(13) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) 立 さ れ,同. セ ン タ ー が ア ジ ア ・パ シ フ ィ ッ ク 各 国 市 場 向 け の 製 品 開 発 を 担 う よ う に な っ. た ⑫。 しか し,上. 述 の 組 織 体 制 の 変 更 や 日 本 コ カ ・コ ー ラ 社 員 の 米 国 コ カ ・コ ー ラ へ の 派 遣 の. 例 に あ る よ う に,依. 然 と して 日 本 コ カ ・コ ー ラ は,海. を 果 た して い る 。 日 本 コ カ ・コ ー ラ は,グ し,日. 外 市 場 向 けの 製 品 開 発 に重 要 な 役 割. ロ ー バ ル と ロ ー カ ル の 両 面 か ら 成 功 した 。 しか. 本 の 清 涼 飲 料 市 場 の 競 争 の 激 し さ は 依 然 と して 続 い て い る 。 同 社 の 今 後 の 動 向 が 注. 目 され る。. 4住. (1)住. 友 ス リーエ ム の 事 例 概 要 ⑱. 友 ス リー エ ム の 設 立. 1960年,住. 友 ス リー エ ム の 前 身,日. 本 ミネ ソ タ ス リー エ ム が,米. 国 ス リー エ ム の 製 品 の. 販 売 と 製 造 を 目 的 に 設 立 さ れ た 。 日 本 市 場 の 成 長 性 に 着 目 し た 米 国 ス リー エ ム と 同 社 の 技 術 と 製 品 に 強 い 関 心 を もつ 住 友 グ ル ー プ 側 の 両 者 の 意 思 が 一 致 し た 結 果 で あ っ た 。両 者 は, 50%ず. つ を 出 資 す る 合 弁 会 社 の 設 立 を 希 望 して い た 。 しか し,当. り叶 わ ず,日. 本 ミネ ソ タ ス リー エ ム は 米 国 ス リー エ ム の100%出. 日 本 ミネ ソ タ ス リ ー エ ム は,住 体 制 で ス タ ー トし,米. 友 側 が 社 長 を 派 遣 し,米. 資 に よ って設 立 さ れ た。. 国 ス リー エ ム が 専 務 を 派 遣 す る. 国 ス リ ー エ ム の 製 品 を 直 輸 入 し て 販 売 す る 業 務 に 当 た っ た 。1962年,. 相 模 原 に 接 着 剤 等 を 生 産 す る た め の 工 場 が 開 所 し,操 化 粧 板 な ど に 用 い られ る 接 着 剤 の 生 産 は,高 の 成 功 は,関. 時の外資政策や世情 によ. 業 を 開 始 した 。 な か で も,メ. ラ ミン. 度 な 技 術 を 要 す る もの で あ った 。 この 国 産 化. 係 者 の 大 き な 自 信 に つ な が っ た と い う 。 同1962年. に は,各. 種 粘 着 テー プ類 の. 生 産 も開 始 し た ⑭。 1962年,米 た 第2会 年,住. 国 ス リー エ ム と 住 友 グ ル ー プ(日. 社 が 設 立 さ れ,こ. 本 電 気 お よ び 住 友 電 工)が50%ず. つ 出資 し. の 会 社 が 日 本 ミネ ソ タ ス リ ー エ ム を 吸 収 合 併 した 。 そ して,同. 友 ミネ ソ タ は 住 友 ス リー エ ム へ と 社 名 を 改 称 し今 日 に 至 っ て い る 。 な お,従. じ く,新. 会 社 の 社 長 に は 住 友 側 の 人 材 が 就 任 し,専. す る 。 こ の 体 制 は,住. 務 に は 米 国 ス リー エ ム 側 の 人 材 が 就 任. 友 ス リー エ ム の 出 資 比 率 が 過 半 を こ え る2003年. 住 友 ス リ ー エ ム の 相 模 原 工 場 は,接. 着 剤 類 お よ び(粘. ⑫. 新 井 編(2010),p.161。. ⑱. 住 友 ス リー エ ム の 詳 細 な 事 例 は,多. ω. 住 友 ス リー エ ム 社 史 編 纂 室(1982),pp.30-31。. 田(2011b)を. -129(1255)一. 来 と同. 着)テ. 参照。. まで 続 いた 。. ー プ 製 品 類 に 加 え て,1963.

(14) 第59巻. 第3号. 年 よ り磁 器 テ ー プ と研 磨 剤 の 生 産 を開 始 した。 生 産 部 門 の 活 発 な 取 り組 み に応 え て,販 売 部 門 の 整 備 も進 ん だ 。 その 後,日 本 の 高 度 経 済 成 長 も後 押 し して,磁 気 テー プ等 の 住 友 ス リーエ ム製 品 の 需 要 が 急 増 した。1964年 に は,初 の 黒 字 決 算 とな った 。 以 降,同 社 は次 々 と販 売 も し くは生 産 す る製 品 を 多 様 化 させ て い く。. (2)自. 主 改 良 の は じま り. 高 度 経 済 成 長 期 に あ る 日 本 で は,録 た 。1968年,相. 音 テー プや 各 種 工 業 テー プの 需 要 は増 す 一 方 で あ っ. 模 原 工 場 内 に 電 気 製 品 技 術 部 が 設 け られ,翌. れ た 。 こ の ほ か に,相. 模 原 工 場 も 増 設 さ れ,生. 年 に電 気 製 品 研 究 室 が 開 室 さ. 産 拠 点 で あ る 山 形 ス リー エ ム も 竣 工 した 。. こ れ に よ っ て 住 友 ス リ ー エ ム の 生 産 活 動 は い よ い よ 本 格 的 に な り,製 増 強 も 相 次 い だ 。1970年. に 国 産 化 さ れ た 録 音 テ ー プ は,生. 品の国産化や設備の. 産 活 動 の 一 環 と して 住 友 ス リー. エ ム が 開 発 し た 製 品 と さ れ て い る ⑮。 1971年,住. 友 ス リ ー エ ム は,既. 存 の 米 国 ス リーエ ム製 品 の 工 業 用 仕 上 げ研 磨 材 の 用 途 を. 新 し く開 発 し 日 本 市 場 に 導 入 し た 。 こ の こ と が 米 国 ス リー エ ム に も 評 価 さ れ,同 「新 用 途 開 発 コ ン テ ス ト」 に 入 賞 し た(1⑤ 。1972年,住. 友 ス リ ー エ ム は,ポ. 社主催の. リ フ゜ロ ピ レ ン を 基. 材 と し た 包 装 テ ー プ を 開 発 し た 。 同 社 は 関 連 技 術 情 報 を 米 国 ス リー エ ム だ け で な く,各 の ス リ ー エ ム の 関 係 会 社 に 提 供 し,同 こ の よ う に,住. 種 の テ ー プ 類 の 開 発 に も 大 き く寄 与 した 。. 友 ス リー エ ム は 製 品 開 発 に も 着 手 す る よ う に な っ た 。 こ れ ら は,米. リ ー エ ム の 製 品 を 改 良 し た も の で あ っ た 。 住 友 ス リ ー エ ム に は,米 の よ う に 新 製 品 開 発 情 報 が 送 られ,こ られ る も の を 選 び 出 し,国. の 中 か ら,同. 国 ス. 国 ス リー エ ム よ り毎 日. 社 社 内で 日本 市 場 向 け に販 売 可 能 とみ. 産 化 ま た は 全 量 輸 入 販 売 を 決 定 す る 。 国 産 化 に 際 して は,日. 市 場 向 け に 改 良 す る 「技 術 力 」 を 要 す る が,同. 本. 社 独 自 の 技 術 開 発 力 な り新 製 品 開 発 研 究 は. さ ほ ど 必 要 と は な らな い と い う 。 住 友 ス リー エ ム は,新 エ ム に 依 存 す る 一 方,社. 国. 内 の 経 営 管 理 組 織 も,そ. 製 品 の 開 発 を 全 面 的 に 米 国 ス リー. れ を 効 率 的 に導 入 す るた め米 国 式 に合 わ. せ て い た(1の 。 他 方 で,米. 国 ス リ ー エ ム に 製 品 開 発 を 依 存 す る 体 制 に は,日. 弊 害 も伝 え ら れ て い た 。 しか し,米. 国 ス リ ー エ ム は 住 友 ス リー エ ム を100%支. に 徹 して い た(18)。 住 友 ス リ ー エ ム は,日. ⑮ q6)同. 本 市 場 に 適 合 しな い な ど の. 米 が50%ず. 住 友 ス リー エ ム 社 史 編 纂 室(1982),p.99。 上,p.101。. ⑰. 「日 経 ビ ジ ネ ス 』1974年5月27日,pp.52-53。. ㈹. 「日 経 ビ ジ ネ ス 』1974年5月27日,pp.52-53。 -130(1256)一. 配 す る方 針. つ 出 資 す る 合 弁 会 社 で あ っ た が,製. 品.

(15) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) 事 業 か ら組 織 体 制 に 至 る ま で,事. 実 上,米. 国 ス リ ー エ ム の100%出. 資 の子 会 社 と して 機 能. して い た 。. (3)自 主 開 発 の は じま り こ う した状 況 を受 けて,住 友 ス リー エ ムで は,こ れ まで 以 上 に米 国 ス リー エ ム との 結 び つ き を強 め た。 単 に子 会 社 と して 従 属 す るの で な く,独 自技 術 の 開 発 や 米 国 ス リー エ ム と の 市 場 情 報 の交 換 な どを志 向 し始 め た た め で あ る⑲。 住 友 ス リー エ ム は,日. 本 市 場 に適 合. した製 品 を改 良 あ る い は開 発 す る た め に技 術 部 門 を 強 化 した。 た とえ ば,1973年. に 自動 車. 関 連 製 品 の 技 術 研 究 所 を 開 設 した。 1974年,住. 友 ス リーエ ム は 「日本 初 の イ ノベ ー シ ョン」 と呼 ばれ る水 性 接 着 剤 を 自主 開. 発 し日本 市 場 へ 導 入 した。 この製 品 の 開発 は,① 既 存 の 接 着 剤 の 原 材 料(有 機 溶 剤 の一 部) に関 して 安 全 性 に疑 義 が 生 じ,規 制 を受 け は じめ た こ と,② 原 材 料 が 不 足 し価 格 が 高 騰 し た こ と,③ そ れ に と もな い,競 合 各 社 が 新 た な 接 着 剤 の 開発 を 激 し く競 って い た こ と に あ っ た。 翌 年,同 社 は第2号 の 水 性 接 着 剤 を開 発 した。 この 他,住 友 ス リー エ ム は米 国 ス リー エ ム製 品 を 改 良 し 日本 市 場 へ 導 入 した。た とえ ば, 1974年 に導 入 した磁 気 録 音 テー プ は,米 国 ス リー エ ム製 品 の 改 良 製 品 で あ るが 品 質 の 向 上 を意 図 した 日本 放 送 協 会 お よ び 日本 民 間 放 送 連 盟 と協 力 した 成 果 で あ る。 ま た,米. 国ス. リーエ ムが 開 発 した虫-歯修 復 用 の 充 填 材 を 改 良 し,新 しい原 材 料 を 加 え て 高 品 質 な 充 填 材 を開 発 した⑳。 1977年,住. 友 ス リー エ ム は,既 存 部 門 を 拡 張 させ て,電 気 製 品 技 術 研 究 所 を 設 立 した 。. この 設 立 は,米 国 ス リーエ ム も強 く支 持 した。 米 国 ス リーエ ム は,米 本 国,西 時),日. ドイ ツ(当. 本 の3か 国 に お け る研 究 所 間 の 緊 密 な連 携 に よ る 研 究 成 果 に大 き な期 待 を 寄 せ て. い た。 同研 究 所 は,① 日本 市 場 に よ り適 合 した製 品 開 発,② 顧 客 の 具 体 的 な 要 求 に基 づ く 開 発,試 作,③ 既 存 の 製 品,技 術 を 補 正 し,市 場 ニ ー ズ に合 致 させ て い くこ とを 目的 と し た。 翌 年,こ. の研 究 所 に隣 接 して 技 術 セ ンタ ー が 設 立 さ れ た。 この 目的 は,日 本 市 場 の. ニ ー ズ に適 合 した,住 友 ス リーエ ム独 自の 新 製 品 開 発 体 制 の 強 化 に あ った 。 今 まで 分 散 し て い た研 究 設 備 が1か 所 に集 約 され,各 部 門 の 技 術 の 補 充 や 組 み 合 わ せ が 可 能 とな った 。 住 友 ス リーエ ム は,従 業 員 の 創 意 工 夫 を 積 極 的 に活 用 す る た め,1977年. よ り相 模 原 工 場. に お いて 「ア イ デ ア77」 と名 づ け た創 意 工 夫 提 案 制 度 を 導 入 した 。 同年,住 友 ス リー エ ム. ⑲. 同上。. ②①. 住 友 ス リー エ ム 社 史 編 纂 室(1982),p.118。 -131(1257)一.

(16) 第59巻 は,米. 第3号. 国 ス リ ー エ ム 国 際 事 業 本 部 が 実 施 す る 「パ ス フ ァイ ンダ ー 表 彰 制 度 」 の 一 環 と し て,. 「パ ス フ ァ イ ン ダ ー 提 案 制 度 」 を 実 施 し た(傍. 点,筆. 者)。 た と え ば 新 製 品 開 発 な ど の 新 事. 業 分 野 を 開 拓 す る た め の 提 案 ・表 彰 制 度 で あ る 。 住 友 ス リー エ ム は,1978年 し4件,翌. 年 は14件 提 案 し4件. を 受 賞 し た ⑫D。こ の 中 に は,住. に は8件. 提案. が,「 ス リ ー エ ム イ ン タ ー ナ シ ョ ナ ル パ ス フ ァ イ ン ダ ー 賞 」 友 ス リー エ ム 初 の 自 主 開 発 製 品,水. 性 接 着 剤 も含 まれ て い. た。. (4)自 主 開 発 の 積 極 化 と グ ロー バ ル な 製 品 開 発 住 友 ス リー エ ム は1974年 に 自主 開 発 に着 手 して以 来,製 品 開発 体 制 の拡 充 に努 め て き た。 しか し,依 然 と して 米 国 ス リーエ ムの 製 品 改 良 が 中心 で あ っ た。 当 時 の 住 友 ス リー エ ムの 日本 人 社 長 は,危 機 感 を いだ き,米 国 に頼 らな い住 友 ス リーエ ムの 自主 開 発 に積 極 化 す る 方 針 を打 ち 出 した。 住 友 ス リー エ ム は,日 本 市 場 向 けの 本 格 的 な 製 品 開 発 拠 点 とす るた め に相 模 原 工 場 内 に 中央 研 究 所 を 設 立 した。 さ らに 中央 研 究 所 で は,米 国 ス リー エ ムか ら も 技 術 者 を受 け入 れ,日 米 共 同の 開 発 業 務 も検 討 され た⑳。 そ こで,住 友 ス リーエ ム は米 国 ス リーエ ム との 共 同開 発 を 活 発 に行 って い く。 特 に 日本 市 場 が リー ドして い る磁 気 製 品 分 野 に お いて,米 国 ス リー エ ム は,住 友 ス リー エ ム との 技 術 交 流 を住 友 ス リーエ ムが 先 行 す る形 で これ まで 以 上 に密 接 に行 う方 針 だ と い う。 米 国 お よ び各 国 の 子 会 社 の な か で,磁 気 製 品 分 野 で は住 友 ス リー エ ムが 戦 略 拠 点 に位 置 づ け られ た。 そ の た め に,技 術 者 を活 発 に交 流 させ た㈱。 以 上 の経 緯 か ら,住 友 ス リー エ ム は1984 年 よ り,日 本 市 場 の み な らず,海 外 市 場 向 けの 製 品 開 発 を 実 施 す る よ う にな った と考 え る こ とが で き る。 1985年 に は,米 国 ス リー エ ムの オ ー デ ィオ ・ビデオ 事 業 国 際 部 門 の マ ー ケ テ ィ ン グ部 長 が,住 友 ス リーエ ムの 磁 気 製 品 事 業 部 マー ケ テ ィ ン グ部 長 と して 派 遣 され た 。 市 場 ニ ー ズ が 先 行 し,か つ 競 争 企 業 の ほ とん どが 存 在 す る 日本 で 戦 略 を 学 ぶ めで あ る。 この ほか の 関 連 す る技 術 者 も住 友 ス リー エ ム に派 遣 され,同 社 の 磁 気 製 品 関 連 技 術 を 積 極 的 に吸 収 す る 予 定 だ と い う⑳。 同年,上 述 の 相 模 原 工 場 内 に 中央 研 究 所(テ. クニ カル セ ン ター)の 完 成 を 契 機 に,住 友. ス リーエ ム は製 品 開 発 の 取 り組 み を 本 格 化 させ て い く。 住 友 ス リー エ ム は,日 本 市 場 に向 ⑳ ⑳ ⑬ ⑳. 住 友 ス リー エ ム 社 史 編 纂 室(1982),pp.132-134。 「日 経 産 業 新 聞 』1983年2月14日,1983年10月5日 同 上,1984年3月8日. 。. 同 上,1985年1月12日. 。 -132(1258)一. 。.

(17) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) け た 自主 開 発 製 品 を次 々 と導 入 す る よ う にな っ た。 こ う した海 外 子 会 社 の 独 自製 品 の 開 発 を,米. 国 ス リ ー エ ム も 歓 迎 し た 。 米 国 ス リ ー エ ム は,海. な 新 製 品 開 発 を 進 め る 戦 略 で あ っ た 。 た と え ば,住 デ ィ ス ク の バ イ ン ダ ー シ ス テ ム は,日. 外 子 会 社 の 独 自 性 を 生 か し独 創 的. 友 ス リー エ ム が 開 発 し た フ ロ ッ ピ ー. 本 市 場 で の 成 功 を 契 機 に 各 国 の ス リー エ ム が 採 用 し. 世 界 市 場 に 広 が っ て い た ㈱。 1987年 時 点 の 住 友 ス リ ー エ ム で は,特 た 。 当 時,電. に電 子 関 連 分 野 に お いて 独 自製 品 が 続 々 と誕 生 し. 子 関 連 産 業 は 日 本 企 業 が リー ドす る こ と が 多 く,住. ム グ ル ー プ の 中 で 開 発 の 主 力 に な っ た 。 同 社 は,他. 友 ス リー エ ム が ス リー エ. 社 と の 提 携 も 進 め た 。1988年,米. 国 ス. リ ー エ ム お よ び 新 日鉄 と の 合 弁 に よ り,半 導 体 実 装 用 の テ ー プ 類 を 扱 う 新 会 社 を 設 立 し た 。 ス リ ー エ ム 側 は,新. 日 鉄 と の 提 携 に よ っ て,日. 場 の 開 拓 を 目 指 し た の だ っ た 。 他 方,新. 本 的 経 営 手 法 や 生 産 技 術 を 取 り込 み 日 本 市. 日鉄 は住 友 ス リーエ ムの 半 導 体 の 基 盤 技 術 の 学 習. を 目 的 と して い た ⑳。 他 方,こ. の 頃 の 米 国 ス リ ー エ ム で は,世. と 技 術 を 融 合 して,新. 界 中 の 各 拠 点 か ら集 ま っ た マ ー ケ テ ィ ン グ 情 報. 製 品 に 結 び つ け る体 制 を 採 用 し た ⑳。 た と え ば,住. 米 国 ス リ ー エ ム の 製 品 を 改 良 して 開 発 し た 衣 料 用 芯 地. 友 ス リ ー エ ム が,. 「シ ンサ レー ト ・ラ イ ト」 は ス リー. エ ム 各 社 へ 供 給 さ れ た 。 こ の 体 制 は,「 グ ロ ー バ ル ・ネ ッ トワ ー ク ・シ ス テ ム 」 と い う 情 報 ネ ッ トワ ー ク が 支 え て い る 。 米 国 ス リ ー エ ム は,情 と 位 置 づ け,当 は,1989年. 報 ネ ッ トワ ー ク を 戦 略 上 の 重 要 課 題. 時 は 非 常 に 珍 し い イ ン タ ー ネ ッ トを 全 社 的 に導 入 した ㈱。 米 国 ス リー エ ム. 現 在6対4の. 割 合 に な っ て い る 米 国 内 と 海 外 の 売 上 比 率 を,1992年. 5に す る グ ロ ー バ ル 戦 略 を 打 ち 出 して い た 。 そ の た め に も,米. ま で に5対. 国 ス リー エ ム と 各 海 外 子 会. 社 の い っ そ う の 連 携 が 必 要 で あ っ た ⑳。 1990年 代 に 入 る と,住 友 ス リ ー エ ム は 製 品 開 発 を い っ そ う活 発 化 さ せ て い く。 た と え ば, 当 時 の 米 国 ス リー エ ム が 扱 う 総 製 品 数 は6万 ス リ ー エ ム は4万 の で あ り,こ. 点 近 くを 扱 っ て い た 。 こ れ らの 製 品 は,多. の 時 期 の 国 産 比 率 は75%に. に 占 め る 比 率 は お よ そ45%と,米 製 品 の 多 く は,基. ㈲ ⑦ ③ ⑳ ⑳ ⑳. 点 で あ っ た 。 そ れ に は 及 ば な い も の の,住. 友. くが 日 本 国 内 で 生 産 さ れ た も. 達 して い た 。 住 友 ス リー エ ム で は 新 製 品 が 売 上 高. 国 ス リ ー エ ム の 約30%に. 比 べ て 高 い 。 そ して,こ. う した. 本 技 術 以 外 を す べ て 日 本 で 開 発 さ れ た も の だ と い う 。 さ ら に,日. 本で開. 「日 経 産 業 新 聞 』1985年11月12日. 。. 「日 本 経 済 新 聞 』1989年8月15日. 。. 「日 経 金 融 新 聞 』1988年3月10日. 。. 「日 経 産 業 新 聞 』1989年6月21日. 。. 「日 経 ビ ジ ネ ス 』1989年5月8日,p.145。 -133(1259)一.

(18) 第59巻 発 さ れ,海. 第3号. 外 の ス リー エ ム で 利 用 さ れ る 製 品 も 引 き 続 き 誕 生 して い た 。 た と え ば,既. フ ロ ッ ピ ー デ ィ ス ク 関 連 製 品 に 加 え て,SVHS式 海 外 市 場 を 重 視 す る た め,米. さ ら に,米. の ビ デ オ テ ー プ な ど で あ る ⑳。. 国 ス リー エ ム も こ の よ う な 海 外 子 会 社 主 導 の 製 品 開 発 を 積. 極 化 す る 方 針 だ と い う 。1993年 た 。 日 本 の み な らず,ド. 述の. 時 点 で,ス. リ ー エ ム グ ル ー プ は45の 海 外 研 究 所 を 有 して い. イ ツ や ス ウ ェ ー デ ン で も 現 地 発 の 新 製 品 が 誕 生 して い る と い う 。. 国 ス リ ー エ ム お よ び 住 友 ス リー エ ム は,上. 述 の パ ス フ ァ イ ン ダ ー 制 度 を は じ め,. イ ノ ベ ー シ ョ ンを 奨 励 す る 各 種 制 度 を 充 実 さ せ て い っ た 。 しか し,住. 友 ス リ ー エ ム は 現 状 で は 満 足 して い な か っ た 。1993年. 日 本 人 社 長 は,ま と し,現. に 同 社 社 長 に 就 任 した. だ ま だ 住 友 ス リー エ ム は 「米 国 ス リー エ ム 製 品 の 国 内 販 売 会 社 の 状 態 」. 状 で は さ ら な る 成 長 は 望 め な い と 考 え て い た ㊨1)。 そ こ で,住. 内 ベ ン チ ャ ー の 立 ち 上 げ,カ. 友 ス リ ー エ ム は,社. ス タ マ ー テ クニ カル セ ンタ ーの 設 立 な どの さ ま ざ まな 独 自の. 取 り組 み を は じ め た 。 こ れ ら は,米. 国 ス リー エ ム に 先 駆 け た ラ イ トフ ァ イ バ ー の 開 発,自. 動 車 関 連 製 品 の 開 発 と そ の グ ロ ー バ ル 展 開 な ど の 成 果 へ と 結 実 して い く。 そ して 現 在,住 友 ス リ ー エ ム は,米. 国 ス リー エ ム よ り グ ル ー プ を け ん 引 す る グ ロ ー バ ル ・ リー ダ ー の 役 割. お よ び 新 た な イ ノ ベ ー シ ョ ンを 期 待 さ れ る よ う に 成 長 し た 。. 5分. 析. 本 節 で は,事 例 分 析 と比 較 分 析 を 行 う。 まず,分 析 枠 組 に も とづ き,日 本 コ カ ・コー ラ と住 友 ス リーエ ムの 事 例 を 分 析 す る。 次 に,両 社 を 比 較 分 析 す る。 最 後 に,以 上 の 分 析 結 果 よ り,海 外 子 会 社 の 内部 要 因 が 製 品 開 発 成 果 に及 ぼす 影 響 を 検 討 す る。. (1)日. 本 コ カ ・コ ー ラ の 事 例 分 析. フ ェ ー ズ1(1973年 1973年,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,米. 市 場 へ 導 入 し,フ ま ず,多 部 顧 客),② と,③. ㊤① ㊨D日. ∼1974年). ェ ー ズ1の. 国 コ カ ・コ ー ラ 製 品 のHI-Cオ. 製 品 開 発 成 果 を 生 成 した。. 国 籍 企 業 要 因 と 現 地 環 境 要 因 に 着 目 す る と,① 現 地 ボ トラ ー(外. 日 本 政 府(現. レ ン ジ を 改 良 して 日 本. 地 政 府)が. 部 流 通 企 業)が. 果 汁 飲 料 の ニ ー ズ の 高 ま り(外. 同飲 料 へ の対 応 を 要 請 す る よ う にな った こ. み か ん を 原 料 と して の 使 用 す る よ う に 要 請 した と い っ た こ. 「日 経 産 業 新 聞 』1990年1月19日. 。. 経 ビ ジ ネ ス 編(1998),pp.121-122。 -134(1260)一.

(19) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) と が あ っ た 。 果 汁 飲 料 を 導 入 して い た ④ 競 合 企 業 の 動 向 も 間 接 的 な 影 響 も あ っ た 。 こ の よ う に主 に現 地 環 境 要 因 が 影 響 した。 海 外 子 会 社 の 内 部 要 因 に 着 目 す る と,当. 時 の 日 本 コ カ ・コ ー ラ に は,初. の 日本 人 社 長 が. 就 任 し大 き な 独 立 性 を 付 与 さ れ て い た 。i)日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,大. 性 を 有 して い た 。HI-Cオ. 国 コ カ ・コ ー ラ は ほ と ん ど 介 入 せ ず,こ. レ ン ジ の 改 良 は,米. きな 意 思 決 定 の 自律. 日 本 人 社 長 の 陣 頭 指 揮 を と っ て 実 現 さ れ た と さ れ る 。 こ の よ う なii)海 ア テ ィ ブ(Birkinshaw,1997)⑳ し た が っ て,日. の. 外 子 会 社 の イニ シ. に よ って も実 現 され た 。. 本 コ カ ・コ ー ラ は,①. 響 と ④ 競 合 企 業 の 弱 い 影 響 お よ びi)意 品 開 発 活 動 を 実 施 し た 結 果,フ. 外 部 顧 客,②. 外 部 流 通 企 業,③. 思 決 定 の 自 律 性,ii)イ. ェ ー ズ1の. 政 府 機 関 の 強 い影. ニ シ ア テ ィ ブ に よ って 製. 製 品 開 発 成 果 を 生 成 した 。. フ ェ ー ズ2(1975年) 1975年,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,ジ. ョ ー ジ ア を 自 主 開 発 して 導 入 し,フ. ェ ー ズ2の. 製品開. 発 成 果 を生 成 した。 多 国 籍 企 業 要 因 と 現 地 環 境 要 因 に 着 目 す る と,① ヒ ー 飲 料 の ニ ー ズ が 急 速 に 高 ま り(外. 部 顧 客),②. 料 へ の 対 応 を 強 く要 請 して い た 。 そ こ で,日 入 し た の だ っ た 。 そ の 際 に は,③ た 開 発 が 行 わ れ た 。 他 方,米 の,缶. 当 時 は世 界 初 の飲 料 で あ った缶 コー 現 地 ボ トラ ー(外. 部 流 通 企 業)が. 同飲. 本 コ カ ・コ ー ラ は ジ ョー ジ ア を 自 主 開 発 し導. 同種 の 飲 料 を こぞ って 導 入 す る競 合 企 業 の 動 向 も意 識 し. 国 コ カ ・コ ー ラ(本. 国 親 会 社)は,最. 終 的 に は 了 承 した も の. 述 の 日 本 人 社 長 は,米. 国 コ カ ・コ ー ラ の 猛 反 対. コ ー ヒー飲 料 開 発 に強 硬 に反 対 した。. 海 外 子 会 社 の 内 部 要 因 に 着 目 す る と,上 を 押 し切 り,日 た が っ て,海. 本 コ カ ・コ ー ラ 初 の 自 主 開 発 を 決 行 し ジ ョー ジ ア を 導 入 した の だ っ た 。 し. 外 子 会 社 のi)意. 思 決 定 の 自 律 性 とii)イ. し た 。 自 主 開 発 の 技 術 基 盤 は,HI-Cオ リ ン グ 技 術 」 ほ か)で. ニ シ ア テ ィ ブが 重 要 な 役 割 を 果 た. レ ン ジ の 改 良 時 に 開 発 し た 独 自技 術(「 ホ ッ トフ ィ. あ っ た 。 日 本 コ カ ・コ ー ラ が 自 主 開 発 を 決 行 で き た の は,HI-Cが. 大 成 功 を 収 め た と い う 実 績 が あ り,本. 国 親 会 社 に 頼 らな くて も 自 主 開 発 が 可 能 な 製 品 開 発. 体 制 や 独 自 技 術 を 有 して い た こ と も 大 き く影 響 して い た と 考 え ら れ る 。 こ の よ う に,海 子 会 社 の 内 部 要 因 に は,意. 思 決 定 の 自 律 性 や イ ニ シ ア テ ィ ブ に 加 え て,iii)独. い っ た 独 自 の 経 営 資 源 の 蓄 積 やiv)市. 働. 場 成 果 等 の 実 績 も,フ. ェ ー ズ2の. 外. 自技 術 と. 成 果 生 成 に大 き く. 海 外 子 会 社 の イ ニ シア テ ィ ブ と は,「 海 外 子 会 社 が 自社 の経 営 資 源 を 使 用 し拡 大 す る新 しい 方 法 へ と導 く意 識 的 か つ 積 極 的 な 取 り組 み 」 を 意 味 す る(Birkinshaw,1997)。 -135(1261)一.

(20) 第59巻. 第3号. 影 響 して い た 。 し た が っ て,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,①. 業 の 弱 い 影 響 お よ びi)意 iv)実. 外 部 顧 客,②. 思 決 定 の 自 律 性,ii)イ. 外 部 流 通 企 業 の 強 い影 響 と③ 競 合 企 ニ シ ア テ ィ ブ,iii)独. 績 と い う 内 部 要 因 に よ っ て 製 品 開 発 活 動 を 実 施 し た 結 果,フ. 自 の 経 営 資 源,. ェ ー ズ2の. 製品開発成. 果 を生 成 した。. フ ェ ー ズ1(1975年 しか し,ま. ∼1980年). も な く,日 本 コ カ ・ コ ー ラ が 生 成 す る 製 品 開 発 成 果 は フ ェ ー ズ1へ. 1975年 末,米. 国 コ カ ・コ ー ラ が,日. 退 行 した。. 本 コ カ ・コ ー ラ の 日 本 人 社 長 を 権 限 の 乏 し い 会 長 職. に 棚 上 げ し,新 た に 自社 か ら社 長 を 派 遣 し た 。 事 実 上,米 ラ の 意 思 決 定 の 権 限 を 掌 握 し た 。 そ して,新. 社長が. 国 コ カ ・コ ー ラ が 日本 コ カ ・コ ー. 「コ カ ・コ ー ラ 第 一 主 義 」 を 提 唱 し コ. カ ・コ ー ラ に 注 力 す る 方 針 を と っ た た め で あ る 。 多 国 籍 企 業 要 因 と 現 地 環 境 要 因 に 着 目 す る と,日 存 製 品 に は な い 新 た な 飲 料 が 誕 生 し,そ 社 は こ ぞ っ て,こ 着 手 せ ず,コ. 本 市 場 に は,果. の ニ ー ズ が 日 増 し に 高 ま っ て い た 。 ま た,競. れ らの 飲 料 を 導 入 して い た 。 しか し,日. カ ・コ ー ラ の 販 促 に 注 力 し,①. カ コ ー ラ の 製 品 ラ イ ン(本. 粒 入 り果 汁 飲 料 等 の 既. 国 親 会 社)に. 合各. 本 コ カ ・コ ー ラ は 自 主 開 発 に は. 米 国 コ カ ・コ ー ラ の 強 力 な 統 制 の も と 米 国 コ. あ る ② 果 汁 飲 料 等 の ニ ー ズ(外. 部 顧 客)に. 対応す. る 自主 改 良 に留 ま って い た。 海 外 子 会 社 の 内 部 要 因 に 着 目 す る と,i)意 た 。 製 品 改 良 に 際 して は,ii)HI-cオ し た が っ て,日 よ びi)意. 思 決 定 の 自律 性 が 事 実 上 失 わ れ た 状 態 だ っ. レ ン ジ の 改 良 時 に 開 発 し た 独 自技 術 も活 用 さ れ た 。. 本 コ カ ・コ ー ラ は,①. 本 国 親 会 社 の 強 い影 響 と② 外 部 顧 客 の 弱 い影 響 お. 思 決 定 の 自 律 性 の 大 幅 な 低 減,ii)独. 施 し た 結 果,フ. ェ ー ズ1の. フ ェ ー ズ2(1981年 1981年,日 導 入 し,再. 自 の 経 営 資 源 に 基 づ く製 品 開 発 活 動 を 実. 製 品 開 発 成 果 を生 成 した。. ∼1984年). 本 コ カ ・コ ー ラ は,栄 び フ ェ ー ズ2の. 養 ド リ ン ク 炭 酸 飲 料 の リ ア ル ゴ ー ル ドを 自 主 開 発 して. 製 品 開 発 成 果 を生 成 した。. 多 国 籍 企 業 要 因 と 現 地 環 境 要 因 に 着 目 す る と,① CEOが. 米 国 コ カ ・コ ー ラ(本. 交 代 し た こ と も あ っ て 日 本 コ カ ・コ ー ラ に 対 す る統 制 を 弱 め,自. る よ う に な っ た 。 ま た,日 ニ ー ズ(外. 部 顧 客)が. 本 市 場 で は,②. 国 親 会 社)は. 主 開発 を 容 認 す. 続 々 と 従 来 に は な い 新 た な 飲 料 が 誕 生 し,そ. 着 実 に 高 ま っ て い た 。 そ こ で,③ 一136(1262)一. 現 地 ボ トラ ー(外. 部 流 通 企 業)の. の.

(21) 海 外 子 会 社 の 製 品 開 発 活 動 にお け る内 部 要 因 の 検 討(多 田) 強 い 要 請 も あ っ て,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は 自 主 開 発 に 再 び 着 手 し た の で あ る 。 そ の 際 に は,. ④ 競 合 企 業 の 動 向 も意 識 した製 品 開 発 が 実 施 され た。 海 外 子 会 社 の 内 部 要 因 に着 目す る と,日 本 コ カ ・ コ ー ラ で は,依 然 と して 米 国 コ カ ・コ ー ラ よ り社 長 が 派 遣 さ れ て い た も の の,i)ジ. ョ ー ジ ア の 実 績 が 評 価 さ れ,ii)一. 定の製品. 開 発 に か か わ る 意 思 決 定 の 自 律 性 を 担 保 さ れ た 状 況 で あ っ た 。 ジ ョー ジ ア が 大 き な 成 果 を 収 め た た め,本. 国 親 会 社 の 意 識 が 転 換 し た た め で あ る 。 そ こ で,米. 市 場 に 向 け たiii)製 発 に はiv)上. 国 コ カ ・コ ー ラ は 日 本. 品 開 発 の 役 割 を 日 本 コ カ ・コ ー ラ に 付 与 し た 。 ま た,こ. の 時 の 自主 開. 述 の ホ ッ トフ ィ リ ン グ 技 術 な ど の 既 存 の 独 自 技 術 が 大 い に 活 用 さ れ た 。. し た が っ て,日. 本 コ カ ・コ ー ラ は,②. 外 部 顧 客,③. 会 社 と ④ 競 合 企 業 の 弱 い 影 響 お よ びi)実. 績,ii)意. 外 部 流 通 企 業 の 強 い影 響 と① 本 国 親 思 決 定 の 自 律 性,iii)独. 自の 経 営 資. 源 の 蓄 積,iv)製. 品 開 発 拠 点 と して の 戦 略 的 役 割 と い う 内 部 要 因 に 基 づ く製 品 開 発 活 動 を. 実 施 し た 結 果,再. び フ ェ ー ズ2の. フ ェー ズ3(1985年 1985年,日. 製 品 開 発 成 果 を生 成 した。. ∼1994年). 本 コ カ ・コ ー ラが 日本 市 場 へ 導 入 す る 自主 開 発 製 品 の 数 は本 国 親 会 社 製 品 の. 数 を上 回 る よ う にな り,同 社 は フ ェー ズ3の 製 品 開 発 成 果 を生 成 した 。 多 国 籍 企 業 要 因 と現 地 環 境 要 因 に着 目す る と,米 国 コ カ ・コ ー ラ は 日本 コ カ ・コー ラ に 一 定 の 自 由な 製 品 開 発 活 動 を 容 認 して い た。 ま た,日 本 市 場 で は,① 各 種 茶 系 飲 料 な ど世 界 に例 を見 な い新 たな 飲 料 が 続 々 と誕 生 し,炭 酸 飲 料 を しの ぐ勢 いで そ の ニ ー ズ(外 部 顧 客)が 増 して い た。さ らに,日 本 市 場 で は企 業 間 の 製 品 開発 競 争 が 激 化 し,日 本 コ カ ・コー ラ と② 現 地 ボ トラ ー(外 部 流 通 企 業)は,た. だ 市 場 ニ ー ズ に対 応 す るだ けで はな く,③ 競. 合 企 業 に はな い新 たな 飲 料 の 開 発 に注 力 して い た。 海 外 子 会 社 の 内部 要 因 に着 目す る と,日 本 コ カ ・コー ラ は,引 き続 き製 品 開 発 に関 す る i)意. 思 決 定 の 一 定 の 自律 性 を 有 し,ii)日. 本 市 場 向 けの 製 品 開 発 拠 点 と して の 戦 略 的 役. 割 を得 て い た。iii)日 本 で の 市 場 成 果 と い っ た実 績 も良 好 だ っ た。 そ こで,iv)既. 存の技. 術 基 盤 も活 用 した製 品 開 発 を 実 施 した。 したが って,日 本 コ カ ・コー ラ は,① 外 部 顧 客,② 外 部 流 通 企 業,③ 競 合 企 業 の 強 い影 響 お よ びi)製. 品 開発 に 関 す る意 思 決 定 の 自律 性,ii)製. iii)実績,iv)独 その 結 果,フ. 品 開発 拠 点 と して の戦 略 的役 割,. 自の経 営 資 源 の蓄 積 とい う内部 要 因 に基 づ い て製 品 開発 活 動 を実 施 した。. ェ ー ズ3の 製 品 開 発 成 果 を 生 成 した。. 一137(1263)一.

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