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巻頭言

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

 時間の流れがますます速くなってきている。加えて,テクノロジーの進化によってコミ ュニケーションの形が大きく変わってきている。多くの人々が自分を理解してもらうため に,ブログや SNS を介して自分自身の考えや気持ちを表現し,日本国内ばかりではなく 世界中に向け瞬時に情報を発信している。  とは言え,ネット上のバーチャル(仮想的な)な遣り取りだけで私たちの生活の全てが 完結するかと言えば,そうではない。実際には時間に流されているばかりで,何も解決で きていない場合も珍しくないのである。何故なら,テクノロジーがどこまで進んだとして も,私たちを取り巻く課題の多くが短時間で答えの出るものばかりではないからである。  ドイツの詩人Johann Wolfgang von Goetheが残した格言「急がず,しかし休まず」(高 橋健二訳『ゲーテ格言集』新潮文庫「人生について」の章に所収)を,新渡戸稲造は“Haste not, Rest not.”と英訳し好んで用いたそうだが,これは今日においても増々重要な意味 を持つと,私は考えている。例えば,英語学習の過程は,この言葉通りと思われる。まず ゴール(到達目標)を掲げ,日々のペースを設定し,そこに向かって継続的に学習を続け ていくことが重要である。歩みを止めずに少しずつ学習を積み上げることで,英語力を高 めることが可能となる。  これはまた,学術的研究についても同様である。研究は,本来時間がかかるものである。 研究課題を見つけ,それに関連する資料やデータを集め,自分の意見をまとめる一連の流 れの中で,僅か一つの資料を見つけるのに何年もかかることもあり,その時間の中で諦め てしまうことも有り得る。それでも,立ち止まらずに,文献や資料の分析・研究を進めて いれば,貴重なデータが見つかり,研究成果として発表する可能性も出てくるのである。 焦らずに努力し続けることで,研究は完成を迎えることになる。  要するに,現代においては瞬時性も重要ではあるが,同時に継続性も求められている。 いつの時代でも何かを成し遂げるためには,時間がかかる。時間をかける中で成果が生ま れることが,この世界には数多くある。特に,卒業論文・卒業制作を必修とする英語コミ ュニケーション学科の学生には,この点を十分に理解してほしいと願っている。  この紀要に投稿された論文は,まさに英語コミュニケーション学科の教員の研究成果で あり,本学科の教員が日々の様々な業務に携わりつつ継続して研究に取り組まれた成果で ある。さらに巻末には,教員学術研究会や特殊研究講座,卒業論文・卒業制作題目が納め られている。つまり,本誌は平成 29 年(2017 年)度の本学科の研究・教育活動の成果の 全てをまとめた一冊と言える。これらの成果にひき続き,本学科の教育研究活動が一層進 んでいくことを期待している。  最後に,執筆された方々のご努力に深甚の敬意を表すとともに,査読に当たられた先生 方のご尽力に対し,心から感謝申し上げる。 (英語コミュニケーション学科 鈴)

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