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フェアトレードタウンと中間支援組織 : 持続可能な都市形成に向けて

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(1)フェアトレードタウンと中間支援組織 ──持続可能な都市形成に向けて── 渡 耒 絢1). 1.はじめに. ぞれのニーズに合致する他団体・組織とのマッ チングを図り,複雑化・多様化する課題解決に. かつての経済発展は,域内の閉ざされた中で. 努める橋渡し的な役割を担っている.この中間. の取引が主流であったが,時を経て国境を越え. 支援組織はさまざまな領域・分野において活動. たヒト,モノ,カネの流動がグローバル経済を. 展開が見られる.都市形成はその一例と言える.. 押し進めた.これによりモノの生産性や効率性. 都市は,さまざまな領域・分野が関与し形成さ. の向上などによる経済の活性化が見られるよう. れているため,抱える課題も複雑化・多様化し. になった.一方,経済競争の激化による国家間. ている.また,自治体主体による行政や経済の. の経済格差や環境問題の悪化などさまざまな問. 拠点を束ねた社会インフラ整備を基盤とする空. 題も生じる結果となっている.先進国では少子. 間形成や,市民活動団体や市民などのコミュニ. 高齢化問題とこれまでの経済成長に伴う環境悪. ティ主体による日常生活をより豊かにする生活. 化が,そして途上国では急激な経済成長に伴う. 空間の形成など,都市の規模・形態も異なる.. さらなる環境悪化と人口増加が問題となってい. しかし都市の規模・形態に関わらず,都市ない. る.このような複雑化・多様化する課題は,行. しはまちの持続可能性を導くためには,課題を. 政だけでの解決は難しく,新しい公共が重要な. 包括的に解決し,環境・経済・社会の状況が継. 役割を果たすものと注目されている.新しい公. 続的に向上することが必要となる.その際,都. 共とは,これまで行政が単独で担ってきた役割. 市やまちに関わるすべてのステークホルダーの. を民間企業や市民活動団体,NGO/NPO といっ. 積極的な参画が不可欠である.このような環境. たさまざまなステークホルダー同士の連携・協. 状況を形成するためには,さまざまな知見や情. 働という概念であり,複雑化・多様化する課題. 報,ノウハウを有するステークホルダーを連携. 解決と,社会ニーズを満たすことが求められて. させる中間支援組織の機能が必要になる.. いる. また協働ガバナンスやネットワーク形成,. 本稿では,持続可能な都市の中でも持続可能. 連携といった複数団体・組織が共に活動を展開. なまち形成における中間支援機能について着目. する枠組みも確立されつつある.. する(図 1).持続可能な都市とは,「社会・経. このような新しい公共を円滑に機能させるた. 済・環境の側面を包括的に束ね,環境状況に負. めのアクターの 1 つとして中間支援組織が考え. 荷をかけることなく日常生活を豊かに過ごせる. られる.中間支援組織は,さまざまな領域・分. 2) ような都市」 や,「都市の産業振興や住民の幸. 野の情報を包括的に保持し,多様な団体・組織. 福に配慮」し,「環境保全や資源・エネルギー. とのネットワークを形成する.団体・組織それ. の有効利用への配慮,将来世代の幸福への配慮,.

(2) 116 (558). 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). 持続可能な都市 環境配慮型. 社会配慮型 経済成長. 自然共生型 都市 低炭素 都市. 循環型 都市. スマート シティ 国際貢献 都市. コンパクト シティ. 地域 まちおこし. 中間支援機能を有する団体 要素1 要素4. 要素2. 要素3. 要素5. 出典:著者作成. 図 1:本稿の着目部分—持続可能な都市形成における中間支援機能 図 1 本稿の着目部分―持続可能な都市形成における中間支援機能 [出典:著者作成] 流通や資源利用においてつながる農山村や開発. 献アプローチとされているフェアトレードに焦. 3) 途上国にも配慮する」 都市とされている.都. 点をあて,フェアトレードを通じたまちづくり. 市の中で生活するのは市民であるため,まちづ. であるフェアトレードタウンに着目する.フェ. 本稿では、持続可能な都市の中でも持続可能なまち形成における中間支援機能について着目する(図 4) アトレードは公正な価格と生産者の権利を尊重 くりは市民主体である必要がある .そのよう 1)。持続可能な都市とは、 「社会・経済・環境の側面を包括的に束ね、環境状況に負荷をかけることな. な点から,本稿では持続可能な都市を持続可能. し,対等な関係を通じて途上国で生産された産. 持続可能なまちは,環境配慮や地域活性化な. ローチである.この活動をまちぐるみで実践す. どさまざまな領域・分野の要素により形成され. るフェアトレードタウンは,世界問題の解決や. 2 く日常生活を豊かに過ごせるような都市」 や、「都市の産業振興や住民の幸福に配慮」し、 「環境保全 品・商品を購入する貧困削減を目指したアプ なまちとして扱う.. や資源・エネルギーの有効利用への配慮、将来世代の幸福への配慮、流通や資源利用においてつながる まちの活性化といった,さまざまな諸問題を解 農山村や開発途上国にも配慮する」 都市とされている。しかし都市の中で生活するのは、市民である 3 るが,本稿では国際貢献を通じたまちづくりに. 着目したい.このまちづくりでは,国際交流を. 決していこうとする.そこで,フェアトレード. フラに関わる技術支援や行政ノウハウの人材育. 支援機能ないしは類似する機能について,ヒア. 成などが可能となっている.しかしこのような. リング調査結果に基づき考察する.まず中間支. 4 ため市民主体のまちづくりである必要がある 。そのような点から、本稿では持続可能な都市を持続可 タウン形成に関わる組織・団体が所有する中間 通じ安心安全なまちを形成する上での生活イン. 能なまちとして扱う。. 援組織について概観し,まちづくりに関わる中 国際貢献を通じたまちづくりは,途上国支援に 持続可能なまちは、環境配慮や地域活性化などさまざまな領域・分野の要素により形成されるが、本 主眼が置かれていることもあり,国際貢献を実. 間支援組織 に つ い て 整理 す る.そ し て フェア. 稿では国際貢献を通じたまちづくりに着目したい。国際貢献を通じたまちづくりでは、安心安全なまち トレードを通じたまちづくりについて概観し, 施する側のまちが得られるメリット等において フェアトレード活動団体およびフェアトレード はあまり着目されてこなかった .さまざまな を形成する上での生活インフラに関わる技術支援や行政ノウハウの人材育成を通じた国際交流などが 5). ステークホルダーを参画させるためには,参画. タウン推進活動団体へのヒアリング調査結果の. 分析から,⑴ 中間支援組織に類似する機能を 可能となっている。しかしこのような国際貢献を通じたまちづくりは、途上国支援に主眼が置かれてい することによってそれぞれがメリットを感じら れる,つまり実施する側のまち全体の成長にも. 有していること,⑵ さまざまなステークホル. ることもあり、 国際貢献を実施する側のまちが得られるメリット等においてはあまり着目されてこなか ダーの参画促進に向けて啓発活動に関わる情報 大きく貢献することが求められているのではな 発信を行っていること,また組織・団体が抱え いか.そこで本稿では,買い物を通じた国際貢 った5。さまざまなステークホルダーを参画させるためには、それぞれが参画することによって何かし. らのメリットが感じられる、つまり実施する側のまち全体の成長にも大きく貢献することが求められて いるのではないか。そこで本稿では、買い物を通じた国際貢献アプローチとされているフェアトレード に焦点をあて、フェアトレードを通じたまちづくりであるフェアトレードタウンに着目する。フェアト.

(3) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (559) 117. る課題や今後実施したい内容などから,⑶ 情. れる.つまり Intermediary Organization は時. 報発信という一方通行的なアプローチにとどま. としてフロントライン組織と同じような役割. らず,活動に関わるすべてのステークホルダー. を担うことになる.このように Intermediary. のニーズを収集することにより,⑷ 共感でき. Organizations はさまざまなステークホルダー. るコンセプトを発掘することができ,さらなる. 同士を連携させる役割を担いつつ,さまざまな. 連携強化による継続的な活動基盤の形成が可能. ステークホルダーに対して直接的にサービス支. になる,という点について明らかにしたい.. 援を行うなど多面的な役割を担っている. Intermediary Organizations は,NGO/NPO. 2.中間支援組織. や市民活動団体に対して全般的な支援提供を行. 2. 1 中間支援組織とは. うゼネラリストの特性を持った組織と,特定の. まず本稿の中核となる中間支援組織につい. グ ループ や 政策,サービ ス,活動 に 焦点 を あ. て 概観 し て い く.中間支援組織 の 明確 な 定義. て,専門的な支援提供を行うスペシャリスト組. は存在しないものの,一般的にはイギリスの. 織の 2 つに区分される13).特定のレベルに存在. Intermediary Organizations が語源とされてい. するものではなく,国レベルや地域レベル,地. る.仲介会社や架け橋役,サードセクター,ブ. 方レベル,個々人といったさまざまなレベルに. 6). ローカー,上部構造組織,組織の橋渡し役 な. 存在する地域社会の課題を把握し,さまざまな. どのアクターのように,さまざまな役割を担っ. 領域・分野 で 活動展開 す る NPO/NGO と 連携. ている.NPO に資源を提供する団体・組織と. し,ニーズを把握した上で適切な支援を行って. 7). NPO をつなぐ仲介的な役割を持つ組織 やさ. いる.また NPO/NGO との連携によってネッ. まざまなアクターの連携に向けたさまざまな. ト ワーク を 形成 し,さ ま ざ ま な 領域・分野 の. 8). ステップ支援を行う組織とされている .. NPO/NGO の 中核的組織 と し て 社会課題 の 解. Intermediary Organizations は,多種多様 な. 決に向けて活動展開する14).中間支援機能は情. 課題解決や技術支援やワークショップの実施,. 報収集やコミュニケーションを図りながら,さ. 市場開拓,関係者間のプラットフォーム形成な. まざまな領域・分野で活動する NPO/NGO に. どを目指し,利用者と生産者,大学と産業,多. おけるキーパーソン的な存在となり,さまざま. 国籍企業と地元の中小企業などのさまざまなス. なステークホルダー間に生じている相違をうま. テーク ホ ル ダー同士に連携をもたらす「仲介. く連携させ,組織運営強化に努める.これに加. 者」として機能する.連携に関わるすべての. え,中間支援組織の活動はステークホルダーの. ス テーク ホ ル ダーに とって win-win な 関係形. 社会・経済向上や能力向上などのソフトインフ. 9). 成に資する役割を担っている .Intermediary. ラ強化に貢献する活動展開も求められていると. Organizations は, 「サービ ス 提供 や 支援提供,. 言える.. 変革に向けた行動のために個々人やコミュニ 10) ティに対して直接働きかける」 フロントライ. 2. 2 日本における中間支援組織. ン 組織(時 と し て「個々人 や コ ミュニ ティに. 日本 の 中間支援組織 は,現場 で 活動 す る. 対して直接的にサービス支援を行う」11)役割を. NPO/NGO などの組織を対象とした支援や調. 担っている)と同じような役割を担っていると. 整などを通じ,彼らがミッションを効果的に. 言える.また「フロントライン組織に対する支. 達成することを可能とする,いわば環境整備. 援 や 開発,協力,代表性,普及促進 と いった. を行う組織・団体に近い15).「多元社会におけ. インフラストラクチャー機能の拡大を目的と. る 共生 と 協働 と い う 目標 に 向 かって,地域社. 12). するボランタリー組織」 としても位置づけら. 会と NPO の変化やニーズを把握し,人材,資.

(4) 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). 118 (560). 金,情報 な ど の 資源提供者 と NPO の 仲立 ち. 支援などが挙げられている 22).中間支援組織は. をしたり,また,広義の意味では各種サービ. 支援の受け手である組織・団体が円滑かつ継続. 16). スの需要と供給をコーディネートする組織」. 的な活動を展開するため,ノウハウや資源,ア. や,「組織と組織とを媒介し,活動を支援する. イデア,ネットワークなどの資本提供を行う.. 17). 組織」 ,「市民,NPO,企業,行政等の間にたっ. つまり中間支援組織は 1 つの専門的な知識にと. て様々な活動を支援する組織であり,市民等の. どまることなく,他領域・分野との連携を通じ,. 主体で設立された,NPO 等へのコンサルテー. さまざまな情報や知見などを有している必要が. ションや情報提供などの支援や資源の仲介,政. あることを示している.. 策提言等を行う組織」18)とされている.1 つの 課題に対して,多様なステークホルダーを巻き. 2. 4 中間支援組織となる団体・組織. 込み,相互連携を通じて互いにノウハウや知見. 中間支援組織 は,行政 や 民間企業,NPO・. を高め合いながら事業展開していく協働ガバナ. NGO などの組織・団体の類型においてもその. ンスにも類似する.中間支援組織は,社会状況. 機能を発揮することができる.松井・金(2012). と抱えている課題を十分に把握し,それらの. は,中間支援組織について, 「⑴ NPO・NGO. 改善に向けて多様なステークホルダーを巻き込. や 地域 の 市民活動団体等 を 支援 す る「中間支. み,相互補完的に課題解決に取り組む組織,あ. 援」を主たる目的とする NPO(全国レベルで. るいは状況改善に取り組むためのリーダーと言. 活動している団体を除く),⑵ 自治体が設置し. える.. た中間支援施設(市民活動センター等)の業務 運営の管理団体(指定管理者,自治体等,自治. 2. 3 中間支援組織の役割. 体や社会福祉協議会が設置し,直接運営業務を. 内閣府(2002)の調査によると,中間支援組. 行っている市民活動センターや NPO サポート. 織の明確な役割は NPO 活動のニーズに対応す. センター等も含む),⑶ 支援する分野を特定し. る た め,資源 の 仲介 ,NPO 間 の ネット ワー. ない,⑷ 常設の事務所があるもの」,の 4 要素. ク促進,価値創出の 3 点が中間支援組織の役割. を備えた組織であると定義している23).また日. 19). として位置づけられている場合が多い20).最近. 本 NPO センターの「NPO 支援センター一覧」. で は,2011 年 に 国土審議会政策部会国土政策. 24) (2014 年 6 月 4 日時点) によると,NPO 支援. 検討委員会 が 国土交通省成長戦略 の 具体的 な. 組織として日本国内には 404 組織が登録されて. テーマ21)に関する今後の方向性についてまと. い る25).う ち,NPO 支援 セ ン ターの 設置者 と. めた最終報告書を提出した.その中で「新しい. して最も多いのが自治体(298 組織)であり,. 公共」と呼ばれるさまざまな主体からなる新し. 民間組織(94 組織),社会福祉協議会(11 組織),. いアプローチが,さまざまなコミュニティの課. その他(まちづくりセンター,1 組織)と続く.. 題解決には重要な役割を果たすものと位置づけ. さまざまなレベルに属する組織や団体が中間支. られている.このアプローチを円滑に機能させ. 援組織として機能することができる.. る上で, 中間支援組織が実践すべき支援として,. 先述のように中間支援組織は,支援分野を特. ⑴ リーダーシップや情報発信の手法などに関. 定しないという要素を備えていると定義されて. する人材育成や ⑵ 遊休資産の活用に関する情. いるが,ビジネス経営26)や途上国の開発にお. 報提供,⑶ 活動を円滑に機能させる上で必要. ける組織のあり方27),持続可能な社会構築にむ. となる包括的な情報提供,⑷ 実践活動に活用. けた環境活動の活性化28),コミュニティビジネ. できる計画策定や進捗管理,金融機関との協働. ス,ソーシャルビジネス支援,まちづくり,地. 支援,企業との事業提携支援などのハンズオン. 域活性化支援29)な ど 専門的 な 知見 に 特化 し た.

(5) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (561) 119. 中間支援組織が増加傾向にある30).中間支援組. 題解決に向けた活動を展開していくことが求め. 織は,専門性および一般性に関わる豊富な情報. られる.こういった点において重要な役割を果. や知見,事業を円滑に展開するためのノウハ. たすのが中間支援組織である.. ウ,そして他領域・分野とのネットワークを有 し,さまざまなステークホルダー同士を円滑に. 3. 1 まちづくりを担う中間支援組織. 連携・機能させるためのリーダー的性格を有す. NPO 法人 データ ベース NPO ヒ ロ バ(2014. る必要があると言える.. 年 6 月 20 日時点)によると,活動分野がまち づくりかつ NPO/NGO 支援を行っている登録. 3.まちづくりと中間支援組織. 団体は,全国で 2,439 団体である.これに中間. まちには,大都市や中核都市,地方都市,コ. 支援 と い う キーワード を 追加 す る と,全国 で. ミュニティなどさまざまな都市・まちの形態が. 47 団体となる.まちづくりという活動分野の. あ る. 「法制 に 従った 物的空間整備」 の 大都. 中 で,NPO/NGO 支援 あ る い は 中間支援組織. 市や 中核都市,地方都市と, 「地域住民の日常. として活動展開する組織・団体は国内に存在し. 生活を含めた地域の全体性の構想とそのプロセ. ている.. 32) ス」 から形成されるコミュニティやまちは,. ところで, 「地域活動(ボランティア)と企業. 異なるものとして扱われている.このことから. 活動の中間に位置づけられる「コミュニティ・. 自治体主体の空間形成と市民主体の空間形成に. 36) ビジネス」 」 は,地域活性化の一例とされてい. 区分することができる.用語としてのまちづく. る.このコミュニティ・ビジネスを円滑に運営. りは,1950 年代から扱われている.新しいま. していく上で中間支援機能は重要な役割を果た. ちづくりや都市環境問題の解決, まちの再開発,. す.地域課題や市民ニーズなどに関する情報を. コミュニティ主体のまちづくりなど,社会環境. 収集すると同時に,地域活性化において有効に. や経済状況の変化や生活の質の向上の中でさま. 機能する人材や資源に関する情報を収集する37).. ざまな目的を持った市民主体の取り組みがなさ. 情報発信や活動展開に向けた資金支援などに関. れ て い る33). 「地域住民が中心的な主体となっ. するインフラ整備なども行う38).このような情. て,地域社会の資源を活用しながら,そこに存. 報収集と提供,そして円滑に活動を機能させる. 在する現代的課題を克服し,彼ら自身の地域に. インフラ整備は,コミュニティ・ビジネスの継. 31). 34). おける何らかの生活像を共同で達成する課程」. 続的な実践をもたらし,結果地域活性化につな. や「地域が抱えている課題に対して,ハード・. がる重要なキーとなる.また日本における都市. 35). ソフト両面から課題の解決を測るプロセス」. 再生において機能するまちづくり会社(組織). と位置づけられる. したがってまちづくりとは,. は,中間支援組織機能を担いながら,資金調達. 住民や市民が主体となるコミュニティ・草の根. や地元や企業とのネットワークを形成する39).. レベルの地域づくりや地域振興,地域活性化と. 最近では東日本大震災の復興支援として,復興. も言い換えることができる.. まちづくり推進員の活躍が見られる.「この推. このようなまちは,経済・社会の状況によっ. 進員は,東日本大震災で被災した地域のコミュ. て,まちの状態がリアルタイムで変化する空間. ニティ再生」を目指し,「被災者個人のサポー. であり,それに伴い複雑化・多様化した課題が. トやケア」に加え,地域コミュニティを形成す. 生じる.個々の課題に対して 1 アクターによる. るという役割を担い,住民と行政の仲介や住民. 解決では限界が生じる. 市民を主体としながら,. 同士の絆づくりの支援など,地域内での「つな. 多種多様な背景を持つさまざまなステークホル. ぎ的な役割」を果たす40).推進員らは一個人で. ダーとの連携により,相互補完を行いながら課. はあるが,被災者ニーズを収集し,地域住民と.

(6) 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). 120 (562). の考えや想いの共有や住民も関与できる協働的. られる.国際協力という外部の刺激47)を通じ. な活動体制の構築,外部専門家との連携などを. た住民による地域価値の再認識と,地域活性化. 41). 通じ,活動展開を行っている .先述したよう. に向けた自発的な活動関与は,地域外に対する. に中間支援機能は,国レベルや地域レベル,地. 新たな支援アプローチの発掘も可能と言える.. 方レベル,個々人などさまざまなレベルに存在. さらにキーパーソンによる積極的な牽引は,広. する.復興まちづくり推進員の活動は,さまざ. 範なまちの活性化とその持続可能性を支える大. まなステークホルダー同士を連携させる役割を. きな役割を担うものと言える.. 担いつつ,さまざまなステークホルダーに対し て直接的にサービス支援を行う 2 面性の役割を. 4.フェアトレードとフェアトレードタウン. 担っている.このことから中間支援機能のよう. このような上記のまちづくりに関わる中間支. な役割を担っていると言える.このような中間. 援組織の役割や国際協力を通じたまちづくり. 支援機能は,さまざまなステークホルダーとの. は,フェアトレードを通じたまちづくり,つま. 連携を促進させ,協働的な活動実践を通じてグ. りフェアトレードタウンに関わる活動団体が持. ローバル社会に移行することによって生じてい. つ要素に類似するものといえる.フェアトレー. るさまざまな課題の解決やまちが抱える地域の. ドとは, 「対話や透明性,尊重を基盤とした取. 活性化や都市再生などを達成させる可能性を有. 引により,貧困削減に資する」48)途上国の持続. している.. 可能な発展に寄与する開発アプローチの 1 つと して位置づけられている.元来フェアトレード. 3. 2 国際協力を通じたまちづくり. は,第 2 次世界大戦後のヨーロッパの経済復興. 日本における自治体での国際協力は 1970 年. 支援に向けた慈善活動として始まったものであ. 以降の姉妹都市交流から始まり,以後,国際協. るが,途上国と先進国の経済格差や途上国の貧. 力的な要素が組み合わさることで,地域振興策. 困問題 な ど の 発生 を 経 て,途上国 の 持続可能. として展開してきた .西川(2010)は,地域. な開発に向けたアプローチとなり,今に至る.. が国際協力を推進する背景として,⑴ 地域が. 2011 年時点で,フェアトレードに従事する生. 失いつつある伝統的な価値観や共同体の考えを. 産者団体は 991 存在し,66 カ国,120 万人以上. 国際協力から再認識し,次世代の子どもたちの. の農家や労働者がフェアトレードに従事してい. 未来を創造する考えと,⑵ 技術協力支援を通. る49).. じて「地域資源の再発見・住民や行政職員の能. フェアトレードタウンは,まちが一体となっ. 42). 43). 力構築」を目指す考えの 2 点を挙げている .. て,フェア ト レード 活動 を 普及促進 す る ア プ. しかしながら,「開発援助は特殊な社会現象で. ローチである.フェアトレードを活用したまち. あり,その仕組みは複雑である」上に, 「現場. 形成であることから,フェアトレードを通じた. が海外にあるため,一般市民にとって理解が困. まちづくりとも言え,フェアトレードは単なる. 難」44)なものとなっている.市民を含むさまざ. 途上国の人びとの経済成長や社会成長,雇用創. まなステークホルダーが積極的に活動展開に関. 出,人権尊重などの課題解決にとどまることな. 与してもらうためには, 「みんなを引っ張って. く,途上国・先進国 と も に 持続可能 な 社会 の. 45). いく,“キーパーソン”」 の必要性や, 「外部か. 形成に貢献しうるものと考える.このフェア. らの刺激」が重要な役割を果たす46).. トレードタウンは,2000 年にイギリスのガー. 閉じたまちの中での問題解決は,地域内の連. スタングで始まり,2014 年 9 月時点で 1,500 以. 携はさることながら,地域外との連携を通じた. 上の自治体がフェアトレードタウン認証を得. 広い枠組みの中での双方のまちの活性化が求め. ている.フェアトレードタウンに認定されるた.

(7) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (563) 121. めには,⑴ 自治体,主に首長や議会からの賛. りが進められている.このようなまちづくりの. 同や ⑵ さまざまなフェアトレード商品の取り. 中で中間支援機能は,さまざまな領域・分野の. 扱い,⑶ 地域内の団体・組織の積極的な活動. 組織・団体の参画によるフェアトレードタウン. 関与,⑷ フェアトレードに関する啓発活動の. 形成を高めるものと言える.したがってフェア. 実践,⑸ フェアトレードタウン形成に向けて. トレードタウン形成においても中間支援機能が. 率先的な活動展開を行う推進団体の設置などの. 有効に機能するのではないかと考える.. 5 つのフェアトレードタウン基準を満たす必要 がある.日本では 2011 年に熊本市がアジア初, 日本国内初,世界 で 1000 番目のフェアトレー ドタウンとして認定を受け,以後日本国内にお. 4. 1 ‌フェアトレードタウン形成に必要な要素 ―海外のフェアトレードタウンと国内の. フェアトレードタウンの比較. いてフェアトレードタウン認証を目指した活動. ここでは,国内外のフェアトレードタウンお. が展開されている.日本では先述した 5 つの. よび国内のフェアトレードタウンを目指す都市. フェアトレードタウン認定基準に,地域活性化. を中心に,実施したフェアトレードタウン形成. 50). の貢献という基準が加えられている .これは,. に必要な要素に関するアンケート調査(2013. 「地場 の 生産者 や 店舗,産業 の 活性化 を 含 め,. 年 7 月〜 9 月(海外のフェアトレードタウン). 地域の経済や社会の活力が増し,絆が強まるよ. お よ び 2013 年 9 月 〜 11 月,2014 年 5 月(国. う,地産地消やまちづくり,環境活動,障がい. 内のフェアトレードタウン)において行ったも. 51). 者支援等のコミュニティ活動」 との連携を目. の53))の結果を見てみることとする.. 的としたものである.さまざまな領域・分野で. フェアトレードタウン形成に必要な要素の全. 活動 す る 組織・団体,個々人 と の 連携 を 中心. 体的な傾向として,海外のフェアトレードタウ. に,コミュニティ活動としてまちづくりを行う. ンの場合, 主に 4 つの傾向に区分される (図 2) .. ことがフェアトレードタウン形成を支える 1 要. ⑴ 市民を巻き込み,フェアトレードに関する. 素であると言える.またフェアトレードタウン. 情報の共有や先進的なフェアトレードタウンの. の近年の傾向として,Big tent approach(ビッ. 事例を参考にしながら,活動基盤を整える(左. グテントアプローチ)というものがある.この. 上),⑵ 学校 や 企業,宗教 グ ループ,NPO を. アプローチでは,公式にフェアトレード商品と. 巻き込み,またメディアの関与を促進しながら. して認証を受けているフェアトレードラベル認. 専門知識を共有する(左下),⑶ モチベーショ. 証商品に加え,フェアトレードラベル認証は受. ンや活動・フェアトレードに対する情熱を高め. けていないが原料調達から商品生産までの一連. るため,活動状況の把握や見直し,ウェブサイ. のプロセスがフェアトレードである商品も幅広. ト・ガイドブックの活用,ミーティングの実施. く扱う.これにはフェアトレードタウン活動を. を通じ,活動しやすく親しみやすい環境を形成. より幅広く展開するという背景がある.途上国. する(右上),⑷ キーパーソンを中心に,自治. の貧困削減や持続可能な発展に加え,少子高齢. 体,主に首長を巻き込み,フェアトレードタウ. 化や地域の過疎化,地域経済の低迷,環境問題. ンに向けたゴールや関与するステークホルダー. などそのまちが抱えるさまざまな課題の解決に. の役割を明確にし,イベント・キャンペーンを. 向け,さまざまな分野・領域の NPO/NGO 団. 実施しながら自治体内での繋がりを高める.ま. 体,市民活動団体との協働活動の形成をするこ. た 既存資源 を 有効活用 す る(右下),で あ る.. とも合わせて目的としているためである .す. なかでも,フェアトレードやフェアトレードタ. べてのステークホルダーがフェアトレードタウ. ウン活動などフェアトレードに関与する情報を. ン形成に関与することができるような環境づく. ステークホルダー間で共有するという点は,4. 52).

(8) 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). 122 (564) ↑. フェアトレード活動の進捗把握・ 見直し. 展示会の実施. 生産者への訪問 フェアトレードスクールの存在. 活動しやすい環境づくり UK 親しみやすい環境づくり 率先性を持つ USA UK S 関係者間での役割分担 B ガイドブック作成 S フェアトレードの見える化 柔軟性を持つ UK USA ミーティングの実施 UK 斬新さを持つ S USA UK UK 高いモチベーションを持つ 生産者との関わり やる気を持つ S ウェブサイト開発・活用 生産者情報収集 F UK S UK 外交性を持つ UK 市民協力 Aut S S UK UK S S S UK Auz UK 専門知識の共有 運営委員会の設置 USA S UK F USA 計画性を持つ F NGO協力 資金確保 S ボランティアの協力 S 情熱を持つ UK メディアとの関わり S フェアトレード精神を育む UK UK UK キーパーソンの存在 S 自治体協力 宗教グループ協力 教師協力 取り組みの継続性 目的の共有 地域資源の活用 定期的な情報提供 フェアトレード本部との連携 意見交換・共有 信頼性構築 企業・店舗協力 大学協力 S ネットワーク構築 他イベントとの共同実施 首長・議会からの賛同 学校協力 小売・加工業者の協力. 次元2. フェアトレードタウン訪問. 他自治体との協力. メディアの活用. イベント・キャンペーンの実施. 意識改革・啓発活動. サプライヤーとショップの連携 支援. UK UK. ↓ ←活動基盤を整える社会・経済的要素. 次元1. 行動・意識を押し進める心理的要素→. 注:‌⑴「□」回答者,「◇」フェアトレードタウン形成に必要な要素,⑵ 空欄は平均値を代用,⑶ あくまでも 回答者数と回答内容との傾向を見ているため,回答者と回答内容との関連性はない 出典:アンケート調査結果に基づき著者作成. 図 2 海外におけるフェアトレードタウン形成に必要な要素(N=47). つの傾向ともに共通する点である.キーパーソ. ベーションを高める.また活動における役割の. ンを中心とした活動展開や自治体内の連携強化. 明確化や活動のゴールを共有することで,フェ. に向けた取り組み,そして活動ゴールや活動内. アトレード活動を見える化させ,活動の継続に. 容の役割分担など,連携強化の基盤となる情報. 向けた環境を形成する(左下),⑶ 情報提供ツー. の共有は,中間支援機能に類似する点として位. ルを用い,フェアトレードに関する専門知識の. 置づけることができる.. 発信を通じて特定のステークホルダー(宗教グ. 日本におけるフェアトレードタウン形成に必. ループや大学,教師,ボランティア,他自治体. 要な要素は,4 つの傾向に区分される(図 3) .. など)との連携を試みる(右上),⑷ 地域資源. ⑴ フェアトレード生産者や途上国状況を含む. の活用や他イベントとの共同実施を通じ,また. 情報など,フェアトレードに関する専門知識を. 親しみやすい環境形成や活動の進捗把握・見直. 発信 し,フェア ト レード 精神 を 育 む(左上) ,. しを通じ,活動しやすい環境を整備する(右下),. ⑵ キーパーソンを中心に,イベントやキャン. である.情報共有は海外のフェアトレードタウ. ペーンを実施し,行政,主に首長,市民,企業. ンと同じようにすべての傾向において共通す. などさまざまなステークホルダーを巻き込みな. る.その他,キーパーソンを中心とした活動実. がら,彼らのフェアトレード活動に対するモチ. 践やさまざまなステークホルダーに対する情報.

(9) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (565) 123. 啓発活動・ 意識改革. ↑. 専門知識の共有. 生産者との関わり. 定期的な情報提供 生産者情報収集 フェアトレード本部との連携 MI 計画性を持つ 関係者間での役割分担 キーパーソンの存在 サプライヤーとショップの連携支援. ボランティアの協力 大学協力 SA. NAG. KM 斬新さを持つ 展示会の実施 外交性を持つ. ICHI KM MISA. 学校協力 NAG NGO協力 自治体協力 NAG ウェブサイト開発・活用 他イベントとの共同実施 フェアトレードの見える化 地域資源の活用 小売・加工業者の協力 ミーティングの実施 活動しやすい環境づくり. 実践力・ 実践活動 ↓. 宗教グループ協力. 他自治体との協力 フェアトレードタウン訪問 フェアトレード精神を育む 率先性を持つ. 次元2. ガイドブック作成 教師協力 フェアトレードスクールの存在. 生産者への訪問. 運営委員会の設置 取り組みの継続性 企業・店舗協力 市民協力 首長・議会からの賛同 メディアとの関わり ネットワーク構築 やる気を持つ 高いモチベーションを持つ 情熱を持つ イベント・キャンペーンの実施 意識改革・啓発活動 メディアの活用 意見交換・共有 目的の共有. 資金確保 フェアトレード活動の進捗把握・ 見直し. 親しみやすい環境づくり 柔軟性を持つ 信頼性構築. ZU. ←行動・意識を押し進める心理的要素. 次元1. 活動基盤を整える社会・経済的要素→. 注:‌⑴「□」回答者, 「◇」フェアトレード形成に必要な要素,⑵ 空欄は平均値を代用,⑶ あくまでも回答者数 と回答内容との傾向を見ているため,回答者と回答内容との関連性はない 出典:アンケート調査結果に基づき著者作成. 図 3 国内におけるフェアトレードタウン形成に必要な要素(N=13). 共有と活動実践における役割分担の明確化は,. が開始されたが,その背景には 1 人のキーパー. 連携しやすい環境づくりやモチベーションの向. ソンがフェアトレードタウンの存在を知り,イ. 上に貢献している.日本国内におけるフェアト. ギリスのフェアトレードタウンを訪問したこ. レードタウン形成においても,中間支援機能を. とがきっかけとなっている.熊本市でのフェア. 有する団体・組織,個人が大きな役割を担って. トレードタウンの実現という目標を掲げ,当時. いると言える.フェアトレードを通じたまちづ. は年 100 回ほどの啓発活動や署名活動の実施な. くりを行う組織・団体が中間支援組織機能に類. どを行い,行政や市民のフェアトレードに対す. 似する要素を備えている点については,次章で. る認知度を高めようと努めた.活動開始当初か. 詳しく見ていくことにする.. ら常に若い世代を巻き込み,議会にも積極的に 啓発活動を行ってきた.その結果,議会でも少. 4. 2 ‌熊本市におけるフェアトレードタウン形成. しずつフェアトレードについて取り扱ってもら. 本節では,フェアトレードタウンの認定をす. えるようになった.しかしまだ市民の認識が低. でに受けている熊本市に焦点をあて,認定を可. いと感じ,週 1 回のペースでミーティングを開. 能とさせた要素について明らかにしていく.熊. 催するなど精力的に啓発活動を行ってきた54).. 本市では 2003 年ころよりフェアトレード活動. 2009 年にはキーパーソンが主体となってフェ.

(10) 124 (566). 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). アトレード活動に興味・関心を持つ人びととと. を実現させたいというリーダー的性格を有して. もにフェアトレードタウン推進活動団体に相当. おり,これが原動力となってさまざまなステー. する委員会を立ち上げた.同年に市内初のフェ. クホルダーを対象とした啓発活動の実践を可能. アトレードイベントの実施やメディアを活用し. にしている.また精力的な啓発活動や署名活動. た活動,小中高校・大学での講座開催,学祭へ. などの実践を通じて知り合いになった人びとと. の出展,セミナーなどさまざまな情報発信ツー. のつながりや,キーパーソンによるさまざまな. ルを活用し,さらに精力的な取り組みが行われ. ステークホルダーを対象とした多角的な情報発. た.このような継続的な意識啓発活動が功を奏. 信ツールを用いた活動展開は,フェアトレード. し,フェアトレードは「熊本市東アジア戦略」. タウン活動をより拡大させた形での展開を可能. を支える「身近にできる国際協力」として取り. としていると言える.結果としてフェアトレー. 上げられるまでになった.2010 年 12 月には,. ドに関するさまざまな情報や知見の収集・発信. 「フェアトレード理念周知に関する発議」が決. をより円滑に実践できる環境形成に貢献したも. 議され,議会からの承認を得ることができた55).. のと言える.このような点は,中間支援機能で. フェアトレードタウンに関する情報をイギリス. 言う,さまざまなステークホルダーへの情報発. で収集し,熊本市でも実現したいという思い. 信・共有(情報・知見の把握と共有)による活. が,世代を超えてさまざまなステークホルダー. 動支援とさまざまなステークホルダーを連携さ. とのネットワーク形成に向けた継続的な啓発活. せる「仲介役」と位置づけることができる.つ. 動の実践を可能としている.これにより熊本市. まり,中間支援機能は,フェアトレードタウン. は 2011 年,フェアトレードタウンとして認定. 形成においても大きな支援となる傾向にあると. を受けることができた.. 言える.. 熊本市においてフェアトレードタウン形成を 支えた要素は,以下 3 点に集約できると言え. 5.ヒアリング調査結果―分析. る.1 点目は,継続的な啓発活動の実施である.. 本章では,ヒアリング調査結果の整理とそれ. さまざまな領域・分野で活動展開する団体・組. に 基 づ く 分析 を 試 み る.フェア ト レード タ ウ. 織を対象にフェアトレードに関するさまざまな. ンおよびフェアトレードタウンを目指す都市の. 情報や知見を発信・共有することで,ステーク. フェアトレードタウン推進活動団体およびフェ. ホルダー間の連携体制を整え,コミュニティ活. アトレード活動団体を対象に,2013 年 9 月から. 動としてのフェアトレードタウン形成を可能に. 11 月, および 2014 年 5 月に 6 都市,11 団体 (フェ. している.2 点目は,フェアトレードタウン推. ア ト レード タ ウ ン 推進活動団体:6 団体,フェ. 進活動団体の設立である.この推進活動団体の. 56) ア ト レード 活動団体:5 団体,計 13 名) を対. 設立は,フェアトレードタウンとして認定され. 象にヒアリング調査を実施した.フェアトレー. る上で必要な基準の 1 つではある.しかしこ. ドタウン推進活動団体は,まちを形成する上で. の推進団体の設立の背景には,1 人のキーパー. 積極的な活動を展開する,いわば,まちづくり. ソンによる精力的な活動がある.さまざまなス. において中心的な役割を担っている.フェアト. テークホルダーを巻き込むために精力的に活動. レード活動団体は,フェアトレードタウン推進. 展開したキーパーソンの存在は,フェアトレー. 活動団体の活動に関わっている団体ないしは,. ドタウン形成を支えた 3 点目の要素として位置. 推進活動団体より紹介のあった団体に限定して. づけることができ,またフェアトレードタウン. いる.フェアトレード活動団体は,組織形態や. 形成において最も重要な役割を担った要素と言. フェアトレードタウン形成活動への関与状況な. える.キーパーソンは,フェアトレードタウン. ども異なる57).しかし啓発活動の実践やイベン.

(11) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (567) 125. 表 1 活動形態から見るフェアトレードタウン推進活動団体およびフェアトレード活動団体の特性(N=13) 活動形態. 活動形態の特徴. 1 人 1 人の ⃝ ‌‌さまざまなステークホルダーが所属する団体・組織と積極的に連携し, ノウハウを活用した 1 人 1 人のノウハウを活かすことができる役割を考える 連携空間づくり コミュニティなどの 多様なステークホルダー とのつながり・連携. キーパーソンを 中心とする連携. 伝統技術の継承や ⃝ ‌市内の伝統的技術を用いる 地元イベント参加を ⃝ ‌コミュニティイベントに積極的に参画し,理解促進を行う 通じたコミュニティ ⃝ ‌地元イベントや関連イベントへの出展を通じた啓発活動 との連携 学校と地元産業・ 農家との連携. フェアトレード団体 とのネットワーク. ⃝ ‌キーパーソンが啓発活動を行いながら,行政を巻き込み,活動を展開. ⃝ ‌学生主体の活動を通じた地元の企業との連携 ⃝ ‌大学でのフェアトレード活動団体と農業生産者との連携. ———. ⃝ ‌さまざまなフェアトレード団体と連携し,活動を展開. ———. ⃝ ‌フェアトレード団体と連携した活動展開. 注:‌‌表 1 はフェアトレードタウン推進活動団体およびフェアトレード活動団体の両者を区分することなくまとめたものである. 出典:ヒアリング調査をもとに著者作成. トの実施,そしてフェアトレード商品の取り扱. ング調査で得られた結果に基づき,対応分析を. いなどフェアトレードタウン形成を支える重要. 行い,フェアトレード活動団体およびフェアト. な役割を担っている.また今回ヒアリング調査. レードタウン推進活動団体が中間支援組織の機. を行ったフェアトレード活動団体の中には,今. 能を有しているのかについて考察する.. 後フェアトレードタウン推進活動団体の役割を 担う可能性のある団体も存在する.このような. 5. 1 活動実践団体の特性. 背景から,本稿ではフェアトレードタウン形成. フェアトレードタウンを目指す都市ないしは. を支える団体・組織としてフェアトレードタウ. すでに認定を受けている都市は,国内の中で限. ン推進活動団体とフェアトレード活動団体を本. 定的である.そのためヒアリング調査数に偏り. 稿の調査対象団体としている.なお本稿では,. があるが,表 1 のように活動団体の特性に区分. 中間支援組織に類似する要素を有することによ. することができる.フェアトレードタウン推進. り,まちづくりの持続可能な形成と継続的な発. 活動団体およびフェアトレードタウン活動に関. 展について見ている.上述した内容から中間支. 与する組織・団体の活動特性は,⑴ コミュニ. 援組織は,専門性および一般性に関わる豊富な. ティなどを含む多様なステークホルダーとの. 情報や知見,事業を円滑に展開するためのノウ. 「つ な が り」,「連携」,⑵ フェア ト レード 団体. ハウ,そして他領域・分野とのネットワークを. との「ネットワーク」,の 2 つに区分すること. 有し,さまざまなステークホルダー同士を円滑. ができる.これら 2 点に共通するのが,「協働」,. に連携・機能させるためのリーダー的性格を有. 「ネットワーク」である.まちは,経済活動や. し て い る.つ ま り,中間支援組織機能 は,⑴. 安心安全な生活を送るため,さまざまな側面と. 社会状況 や 課題 に 関わる情報・知見の把握と. の分野横断的な連携により形成される.1 団体. 発信と⑵ 多様なステークホルダーとの連携・. の積極的な行動力だけでは限界がある.リー. ネットワーク形成,⑶ 課題解決に取り組むた. ダー的性格を有した組織・団体,ないしはキー. めのリーダー的性格,の 3 点に特徴を示すこと. パーソンによる自発的な啓発活動やイベント出. ができる.本稿ではこの 3 点を中心に,ヒアリ. 展などは,ステークホルダーのフェアトレード.

(12) 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). 126 (568). 表 2 フェアトレードに関心を持ったきっかけ(N=13) 関心を持った 要素区分(%). キーワード. 環境心理要素 (7.7%). 自然. 社会心理要素 (7.7%). つながり. 経済心理要素 (23.1%). ‌フェアトレードに関心を持ったきっかけ ⃝ ‌ (フェアトレード商品が)自然素材を使った商品であることを知った ⃝ ‌海外駐在時にフェアトレード商品の生産者団体と出会った ⃝ ‌‌物資・資金支援を行うも,現地に争いごとを生じさせたり,用途が不透明であること に不甲斐なさを感じた. 物質的要素・豊 ⃝ ‌‌子どもたちの教育に使用するための資金を生み出すために「買う」という支援形態を かさへの懸念 知った ⃝ ‌体によい商品であることを知った. 行動・態度 (7.7%). 行動・態度. ⃝ ‌世の中を変えたいという思い ⃝ ‌新聞記事で知った ⃝ ‌南アジアに関する研究に関わっていた ⃝ ‌パレスチナに関する本を読んだ. 情報入手 (76.9%). ⃝ ‌母親からの影響 情報入手. ⃝ ‌国際関係・国際協力に関心を持っていた ⃝ ‌チョレートに関するフェアトレードの記事を見た ⃝ ‌女性起業セミナーに参加し,フェアトレードについて知った ⃝ ‌国際協力講座を受講した ⃝ ‌国際協力系の研修に参加し,知った. 注:各要素は複数回答のため,割合は 100% にはならない 出典:ヒアリング調査に基づき,著者作成. に対する理解促進や彼ら同士のつながりを形成. 5. 2 フェアトレードに関心を持ったきっかけ. する上で大きな役割を担う.このような展開は. 本節では,どのような経緯からフェアトレー. フェアトレード認知度を高めており,さまざま. ドについて興味・関心を持つことになったの. なステークホルダーとのつながりを可能なもの. か,さらにどのような経緯から自発的な行動を. としている.またフェアトレード団体同士の連. 展開するようになったのかを明らかにする(表. 携は,フェアトレードイベントの開催を可能に. 2・表 3).フェアトレードに興味・関心を持っ. するだけではなく,フェアトレードタウンとし. たきっかけとして多く挙がった点は,「物資や. てどのような活動を展開していけばいいかを考. 資金支援ではなく「買い物」という形で国際貢. える機会を形成することを可能とする.さまざ. 献ができることを知った」,「寄付金や物資を通. まなステークホルダーとの協働・ネットワーク. じた国際支援は,透明性が見られない上により. は,多角的な側面からのアイデアや協力などが. 多くの寄付金を求められ,また物資の取り合い. 相互補完的な支援となり,共有する 1 つの目的. により争いごとが起きる状況を生み出してし. 達成を目指すより強固な取り組みの実践環境を. まった」,「寄付金で現地のインフラを整備する. 整えると言える.. のではなく,教育に投資するという新しいア.

(13) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (569) 127. 表 3 関心事を高め,自発的な行動実践を促進させた要素(N=13) 自発的な行動実践を促進させた 要素区分(%) 環境心理要素 (15.4%). キーワード 生物. ⃝ ‌ (フェアトレードは)すべての生き物に配慮している. 環境. ⃝ 「環境にやさしい」と自分自身が実感できる. つながり 社会心理要素 (38.5%). 精神・健康心理要素 (7.7%) 経済心理要素 (15.4%). 自発的な行動実践を促進させた要素. 環境に優しい. ⃝ ‌ 「人と人とのつながり」を通じた相手を思う貿易 ⃝ ‌先進国と途上国の信頼関係を構築できる ⃝ ‌ (フェアトレードは)環境にやさしいものである. 地域性. ⃝ ‌地域貢献活動に海外支援活動を組み込むことができた. 公平性. ⃝ ‌みんなにとっての公平なガバナンスを確立できる. 気楽さ. ⃝ ‌ (フェアトレードは)「自分が気軽に購入することができる」もの. 物質的要素 新経済スキームの 確立. ⃝ ‌環境配慮型商品を扱うお店のコンセプトに合致する商品 ⃝ ‌次世代に続く経済を機能させたい ⃝ ‌‌現地のフェアトレード生産者団体の活動基盤が整っていたため, 取り扱いを開始した ⃝ ‌ 「自分が使いたい」と思うものを販売したい ⃝ ‌ (フェアトレードは)暮らしを変える,日常生活を変えるツール である ⃝ ‌‌市場であれば流通業などのようにさまざまな場所において決裁権 を持つ人の意識を変えたい. 行動・態度 (84.6%). 行動・態度. ⃝ ‌メディアや広報の意識を変えたい ⃝ ‌市民の意識を変えたい ⃝ ‌紛争国の女性支援に関わりたい ⃝ ‌国際協力・貢献に関する仕事に関わりたい ⃝ ‌不買行動を実践してみた ⃝ ‌人の役に立ちたい ⃝ ‌‌兵士や売春などによる賃金収入よりもフェアトレードで生計を 立ててもらいたい ⃝ ‌東南アジアの人たちの生活が犠牲になっていることを知った. 情報入手 (23.1%). 情報入手. これまでの経験 (30.8%). これまでの経験. 情報提供 (15.4%). ⃝ ‌他者によるフェアトレードに対する熱意 ⃝ ‌他イベントに参加し,フェアトレード団体の活動を知った ⃝ ‌国際交流ボランティアの経験 ⃝ ‌国際交流への関与 ⃝ ‌海外生活. 他者の反応 人材育成. ⃝ ‌‌フェアトレード商品の説明を通じ,理解してくれる市民は理解 してくれることを認識した ⃝ ‌次世代の人材育成が必要だと感じた. 注:各要素は複数回答のため,割合は 100% にはならない 出典:ヒアリング調査に基づき,著者作成.

(14) 128 (570). 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). プローチを知った」という物資・資金を途上国. しを変えるアプローチ」であることを理解し. に支援することに対する不信感である.本稿で. た,「ステークホルダーの意識を変えていきた. はこれらの要素を経済心理要素として区分して. い」,「国際貢献・国際協力 に 関 わって い き た. いるが,物質的な支援や資金支援では,現地で. い」,「途上国の人びとが安心・安全に生活賃金. の用途が不明瞭である.しかしフェアトレード. を得てもらいたい」という行動・態度に関する. は「買い物」というこれまでの支援ツールとは. 要素が多く挙げられている.特に,行動・態度. 異なるものであり,消費者が直接関与すること. に区分されている要素においては,さまざまな. ができる.購入した商品を生産する人びとの生. ステークホルダーの「意識を変えたい」や自発. 活向上に購入代金が還元されることが明白であ. 的 な「不買行動」の 実践,「安心安全 な 雇用 を. り,加えて購入したい商品を購入するため,消. 提供したい」,「人の役に立ちたい」など途上国. 費者は満足を得ることができる.フェアトレー. の状況を変革させたいという強い意思が見られ. ドは「買い物」というアプローチから日常的に. る.このような意思は,1 つの事柄に率先して. 国際貢献や社会貢献に関わることができ,かつ. 実践しようとするリーダー的性格と位置づける. 現地での支援が明確であるという特性がある.. ことができる.. このような特性がフェアトレードに対する関心. フェアトレードに関心を持ったきっかけと自. を高めたと言える.途上国支援のプロセスの明. 発的な活動に移行させた要因の関連性について. 確化は,継続的な支援を可能にする上で重要で. 対応分析を試みた(図 4).大きく 3 つの傾向,. ある.. ⑴ 自然素材が自分の価値に合致することから. また国際協力に関する講座や研修, 新聞記事,. 実践的な行動に移行する傾向(右上),⑵ 外部. 書籍などから情報を入手することでフェアト. から情報を入手し,現行の経済スキームを変. レードについて知ったという回答も挙げられて. え,世の中を変えたいという想いから実践的な. いる.「途上国の子どもがチョコレート生産の. 行動に移行する傾向(左下),⑶ 他者からの影. ために働きに出ていることを新聞記事で知り,. 響や国際協力への関心によって途上国とのつな. フェアトレード活動に関わろうと考えた」 , 「何. がりができる活動への関与を高めるとともに,. か人の役に立ちたいと思い,参加した起業セミ. 先進国の日常生活を変えたいという想いによっ. ナーでフェアトレードを知った」などは,さま. て,実践的な行動に移行する傾向(右下),に. ざまな情報アクセス網を介し,フェアトレード. 見られる.フェアトレードに対する興味・関心. に関する情報を入手している.情報共有や情報. と自発的な活動に移行させた関連性において,. 発信といった情報アクセスの整備は,フェアト. 途上国に関する情報入手による「何か役に立ち. レードに対する興味・関心や認識・理解を高め. たい」,「世の中を変えたい」,「世界や地域とつ. るツールであり,フェアトレードに関心を持つ. ながりを持ちたい」という意識の芽生えは,自. 上で大きな役割を担っている重要な要素と言え. 発的な活動実践の移行を促している.これは,. る.. 全体の傾向を通じた共通点として位置づけるこ. またこのようなフェアトレードに対する関心. とができる.情報入手は,フェアトレードを含. 度合いを高め,自発的な活動実践に動かした要. む途上国や世界状況について興味・関心を高め. 因としては,「国際交流ボランティアの経験や. るきっかけを形成する役割を担っていると言え. 海外生活の経験」 ,そして「人と人とのつなが. る.. りを感じる」ことのできる「すべてのステーク ホルダーにとって公正なガバナンスを確立」す. 5. 3 フェアトレード活動の実践内容. ることができるなどの社会心理要素や, 「暮ら. 調査対象団体 の 具体的 な 活動内容 は,「啓発.

(15) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (571) 129. ↑. SA A 環境 A A A. 次元2. C. A. A. C A. A. A A. NAG A. A 地域性. NAG MI. A. NAG KM. A A A NPO. C. KM. C. A SA. A A. A MI C. C MI. A. ICHI. ZU. C MI. A. A. C A. C. A. ↓. ←情報. 次元1 ・関心. 環境・社会・経済的心理要素→. 注:‌⑴「□」回答者,「◇ C」フェアトレードに興味・関心を持ったきっかけ,「◇ A」自発的な行動に押し進め た要素,⑵ あくまでも回答者数と回答内容との傾向を見ているため,回答者と回答内容との関連性はない 出典:ヒアリング調査に基づき,著者作成. 図 4 ‌フェアトレードに関心を持ったきっかけおよび関心を自発的な行動に押し進めた要素の関連性(N=13). 活動・意識改革の実施」 , 「フェアトレード商品. 啓発活動媒体(例:フリーペーパー)を生み出. に触れる機会の提供」の 2 点に区分することが. すことができるだけではなく,フェアトレード. できる(表 4) .. ではないイベントへの出展も可能となる.. 「啓発活動・意識改革 の 実施」に は,組織内. このような情報網を活用した提供というもの. の定例会や勉強会の実施などの「組織内部の意. の他に,人びとの五感を使い,見て,触れて楽. 識を高めるための活動展開」や,SNS やフリー. しむ形での共有もある.フェアトレードイベン. ペーパー,ブログ,フェアトレードマップなど. トの運営はもちろんのこと,フェアトレードイ. の情報発信ツールの活用や,ワークショップや. ベントへの出展や他イベントへの出展を通じ,. セミ ナー,出前講座などの実践による啓発活. フェアトレードに触れ,理解を深める機会を提. 動・意識改革などが区分される.これらの取り. 供している.親子で楽しんでもらうための企画. 組みは,活動関係者に加え,関係者以外の人び. やフェアトレードについて理解を深めてもらえ. との意識啓発や認識向上が可能である.例えば. るような企画などを盛り込みながらも,あえて. 多世代を対象とした啓発活動は,多様なステー. フェアトレード色を表に出さないイベントは,. クホルダーの活動参画も促す.活動に参画する. 多くの世代が参加し,楽しんでもらえるような. 個々人の特技や専門性,知見を活用し,新たな. 「パッケージ化された見せ物」という位置づけで.

(16) 130 (572). 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). 表 4 フェアトレード活動団体およびフェアトレードタウン推進活動団体の活動内容(N=13) 活動内容区分. キーワード 活動に関する 情報提供. 活動概要 ⃝ 団体の活動状況. 10(77%). 啓発活動・意識改革 フェアトレードに ⃝ ‌フェアトレードに関わる啓発活動(出前講座,セミナー,講座, の実施 関する情報提供 SNS での発信など) 組織内での勉強会 ⃝ フェアトレードに関する知識を深める フェアトレード ⃝ フェアトレードイベントへの参加 イベントへの出展 フェアトレード商品 に触れる機会の提供. ──. 活動実践件数(%). 11(85%) 4(31%) 13(100%). 他イベントへの 出展. ⃝ 環境系イベントへの参加 ⃝ 地域イベントへの参加. 12(92%). フェアトレード 商品販売. ⃝ 店舗での販売. 9(69%). フェアトレード イベントの運営. ⃝ フェアトレードイベントの運営・管理. 6(45%). ⃝ ‌カフェの運営, ファッションショーの実施,映画・DVD 鑑賞会, 東北支援,地域支援など. 8(62%). その他. 注:各要素は複数回答のため,割合は 100% にはならない 出典:ヒアリング調査に基づき,著者作成. 展開している.このような展開はフェアトレー. まりは,フェアトレード商品を直接見ることが. ド認知度を高めており,さまざまなステークホ. できる,触れることができる機会を提供し,国. ルダーとのつながりを可能なものとしている.. 内外を対象とした活動展開を促進する傾向にあ. また表 4 ではその他に区分しているが,イベン. る(左上・右下),⑵ 途上国の現状や他者から. ト実施期間中にフェアトレード食材を活用した. の影響によるフェアトレードへの興味・関心の. 料理の提供や学校の部活動やサークルなどによ. 高まりは,情報をしっかりと得ることが活動の. るフェアトレード食材と地産地消産品を使った. 円滑な実践において重要であることに気づき,. 料理の提供,学生と連携したカフェ経営などは,. 情報発信を行う傾向にある(左下),⑶ 途上国. 味覚からフェアトレードを認識してもらう機会. とのつながりを持つことによるフェアトレード. を提供することを可能にしている.ファッショ. への興味・関心の高まりは,フェアトレードイ. ンショーの実施は,生産地や素材,生産者など. ベ ン ト や ファッション ショーな ど の 実践 を 通. に関する情報と合わせて実践することで,どの. じ,途上国とのつながりをより身近に感じても. ようなプロセスで生産されているのかを知り,. らおうとする傾向にある(右上) ,の大きく 3. 購入時の選択行動を増やすことにつながる.こ. つの傾向が見られる.情報入手によるフェアト. のような商品購入は,生産者と消費者,そして. レードへの興味・関心の高まりは,イベントや. 環境にとってよりよい社会を形成するステップ. キャペーンなどを通じたフェアトレード商品を. となることを提案している.. 実際に見る機会や触れる機会を提供する傾向に. このような取り組みが,フェアトレードの関. ある.これにより,国内外とのつながり形成を. 心を持ったきっかけとどのような関係性を有し. 支える活動展開を導く.フェアトレード商品を. ているのかについて対応分析から見てみる(図. 実際に見る機会・触れる機会は,途上国に関す. 5).⑴ 国際協力やセミナーなどから情報を得. る情報提供だけではなく,途上国に対する意識. ることによるフェアトレードの興味・関心の高. の変革,さまざまなステークホルダー同士の連.

(17) フェアトレードタウンと中間支援組織(渡耒). (573) 131. ↑ C. A フェアトレードイベントの運営. A KM NAG. SA C 次元2. A A. 供. C. 展 A. C. C ZU. SA. KM A MI C. MI. C MI. NAG. MI. A A. A 他市のフェアトレードタウンの. A A. C A. DVD A. ICHI. ↓. NAG. C. ←環境・社会・経済的心理要素. 次元1. ・関心. 情報. →. 注:‌⑴「□」回答者,「◇ C」フェア ト レード に 興味・関心 を 持った きっか け,「◇ A」活動実践内容,⑵ あくまでも回答者数と回答内容との傾向を見ているため,回答者と回答内容との関連性はない 出典:ヒアリング調査に基づき,著者作成. 図 5 フェアトレードに関心を持ったきっかけと活動実践内容の関連性(N=13) . 携形成に資する可能性がある.. レードインフラの整備不足は,フェアトレード に対する理解不足もさることながら,人材不足. 5. 4 活動に内在するさまざまな課題. や資金不足など副次的な影響も生じる.フェア. どの活動においても言えることだが,実際に. トレードの普及促進や円滑な活動展開が難しく. 活動を展開してみるとさまざまな課題が生じる. なる.. ことがある.表 5 は,調査対象団体が活動を通. また多数派意見ではなかったものの, 「行政の. じて抱えている課題をまとめたものである.大. 58) 関わり方」や「ボランティアとしての自覚」 も. 半が挙げていたのは,人材不足や活動メンバー. 課題として挙げられた.特にフェアトレードタ. の年齢の偏り,活動時間不足などの「運営体制. ウンを形成する上では,さまざまなステークホ. の 強化」 (115%) ,フェア ト レード 商品 の 種類. ルダーの連携が不可欠となる.特に行政の関与. 不足や専門店不足などの「フェアトレードイン. はフェアトレードタウン形成基準として満たす. フラの整備」 (85%) ,正確な情報不足や情報ア. 必要のある項目の 1 つであるため,必須となる.. クセス不足などの「情報アクセスの整備」 (54%). しかし行政の関与が受動的であると,行政から. である.運営体制の脆弱性や情報アクセス不足. のフェアトレード活動に対する理解が十分に得. は円滑な活動展開の妨げになる.またフェアト. られず,行政との連携や円滑な活動展開は難.

(18) 132 (574). 横浜国際社会科学研究 第 19 巻第 6 号(2015 年 2 月). 表 5 活動に内在するさまざまな課題(N=13) 課題区分. キーワード(%). 課題概要 ⃝ 人材不足(活動メンバー不足). 運営体制の強化 (115%). ⃝ 活動メンバーの年齢の偏り ⃝ 若手人材不足 ⃝ 活動時間不足. 活動資金の確保 (38%) フェアトレード インフラ整備 (85%) 活動基盤の強化. ⃝ 資金(予算)不足 ⃝ フェアトレード専門店不足 ⃝ 消耗品としてのフェアトレード商品不足 ⃝ 男性商品としてのフェアトレード商品不足 ⃝ 独自の商品開発の実施. 他フェアトレード 団体との連携強化 ⃝ 他フェアトレード団体との連携強化 (23%) ボランティアの ⃝ ボランティアとしての自覚(責務) モチベーションの ⃝ 積極的な行動実践に向けたノウハウ強化 向上(23%) ⃝ ボランティアの活動に対するモチベーション ⃝ 正確な情報不足 ⃝ 情報の伝達の確保 情報アクセスの 確保(54%). ⃝ 現地での失敗談の不足 ⃝ 成功事例の提示不足 ⃝ フェアトレードの情報アクセス不足. 議会・首長の ⃝ 議会・議員との協力強化 参画促進(15%) ステークホルダーの 参画促進. 行政の参画促進 (8%) 企業の参画促進 (15%) 啓発活動の さらなる促進 (31%). ⃝ 行政との協力強化 ⃝ 市場の流通の意識が変わらない ⃝ 企業・店舗の協力 ⃝ 先進国の行動が途上国の現状に大きな影響を与えていることについて理解不足. 注:各要素は複数回答のため,割合は 100% にはならない 出典:ヒアリング調査に基づき,著者作成. しい.また円滑な活動展開には,活動に自発的. 必要である.そのためには,彼らがどういった. に関与しようとする志の高いボランティアの存. 点に興味・関心を持ちやすいのか,というニー. 在が必要不可欠である.活動に対する消極的な. ズ調査が必要になる.. 関与や低いボランティアとしての自覚では,円. 上記のような課題が,どういった取り組みの. 滑な活動展開の妨げになることもある.ステー. 実践の中で生じるのかについて対応分析による. クホルダーの関与を自発的なものにするために. 結果を示したものが図 6 となる.大きく 3 つの. は,彼らがフェアトレード活動に興味・関心を. 傾向が見られる.⑴ フェアトレード商品や地. 持つことができるような啓発活動・情報提供が. 産品に触れる機会やフェアトレードに関する情.

表 3 関心事を高め,自発的な行動実践を促進させた要素(N=13) 自発的な行動実践を促進させた 要素区分(%) キーワード 自発的な行動実践を促進させた要素 環境心理要素 (15.4%) 生物 ⃝    (フェアトレードは)すべての生き物に配慮している 環境 ⃝ 「環境にやさしい」と自分自身が実感できる 社会心理要素 (38.5%) つながり ⃝    「人と人とのつながり」を通じた相手を思う貿易⃝   先進国と途上国の信頼関係を構築できる環境に優しい⃝   (フェアトレードは)環境にやさしいものである

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