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光化学反応に対する一酸化炭素の影響 : プロピレン-窒素酸化物-一酸化炭素系の反応

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Academic year: 2021

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(1)17. 報  文 i[瞬1[liiiUl聞1目粥ll目i鐸. 光化学反応に対する一酸化炭素の影響 プロピレンー窒素酸化物一一酸化炭素系の反応    Effect of Carbon M:onoxide on Photochemical Reaction −R.eaction of Propyleae−Nitric Oxides−Carbon Monoxide System一一. 加藤 龍夫*・宮本. 潤*. Tatsuo KATou and Jun MエYAMoTo Synops茎s   It has been considered that carbon monoxide has small e{fect on photochemical reactions. But, because o童the large amount of CO in the urban atmosphere, its role to photochem玉cal smog iormatiQn was Iegarded tQ be interesting. In the present paper, the auth◎rs have revealed the influence of carbon monoxide on photochemlcal reactions of propylene一山rlc oxldes−carbon monoxide_. air mixtures. The oxidation of NO and the formation of HCHO and CH3CHO ale accelerated by CO. Hcwever, the consumptlon of C3H6 an(1 the formation of HCOOH and CH3COOH are cont一 二01ed to the contrary. It was con最rmed that the competition occurred between C3H6 and CO for OH radical.. 1.緒. 言. 2.一酸化窒素とプロピレンの経時変化.  一酸化炭素は化学的に不活性であるが,都市大気中.  2.1実験:方法. に常在的成分として数ppm存在することで,大気中.  芋頭10Zのパイレックス製真空びんを,内部を真空. の光化学現象にどのような関与があるか興味がもたれ. にした後,C3H6, NO, COおよびResearch−Airの. ている。. 各標準ガスをボンベから真空びんに導入し,真空びん.  COとNO+猛20系における光化学実験について. の中の各反応ガスが所定の初期濃度に達するように混. WiisonらはNOの減少に対する影響を認めており1),. 合,調製した。続いて直ちに,真空びんをブラックラ. またCOとNO÷エチレンおよびNO十1一ブテン系に. イトによる紫外線照衆容器に固定し,照射を開始した。. おいてGlassonおよびWestbergらは炭化水素の減少.  照射光量はNO2の光分解速度定数から求めて0.39. およびオゾンの生成に影響のあることを明らかにして. min㎜1,温度は26土1。C,湿度は60±5%である。初. いる2)3)。. 期条件はNO 3.75ppm, C3H65.53ppm, CO 1000.  著老らはCOとNO+プロピレン系の光化学反応に. PPm,および対照実験としてNO 4.20PPm, C3H6. ついて反応機構を推定し,実験検証を進めてきたが,. 5.39ppm, CO Oppmとした。分析はNOは化学発光. その中でNOとプロピレンの減少およびアルデヒドと. 式窒素酸化物計,C3H6はかスクPマトグラフ法によ. カルボン酸の生成の面で一酸化炭素の影響を確かめる. って行った。. ことができた。本報では,比較的明解な実験結果を整.  2.2  実験条吉果. 理して報告する。.  NOの初期濃度を100として減少傾向を求めた結果 を図1に示す。. *環境基礎工学研究室  Department of Environmental Engineering.  Science  (1980年9月30日受領).  これによればCOはNOの酸化減少を促進する作用 を有する。たまたま,この実験においては5ppmの. C3H6と1000ppmのCOが大体同等の効果をもつと 考えられる。.

(2) 18.  なお,アルデヒドの分析は反応容器から100mZを. 100. とり,GC−MS−SIM法で行った。カラム条件はPora−. %. pak T,50∼120。Cまで12。C/min昇温とし, m/eは. NO. HC登○は30, CH3CHOは44に設定した。また,標準. CO= O ppm. 試料は純水10mZに30%HCHO溶液,90%CH3CHO 溶液をそれぞれ10μZ加えたものを用いた。.  3,2アルデヒドの実験結果.  HCHOとCH3CHOについて照射開始後5時糊の CO=1000 ppm. 0. 20. 分析結果を図3に示す。. 40   .   60    「nln. HCHO. tO. 図1一酸化窒素の減少. ppm  つぎにC3H6の初期濃度を!00として,その減少傾 向を見た結果を図2に示す。. CH3CHO. α5. 100 CO=τOOO ppm. %. C3H6. 00. CO: O ppm. 100. CO. 200. ppm. 図3 アルデヒドの生成.  この結果,HCHOとCH3CHOの生成量はCO濃 度が高くなるに従って比例的に増加することが明らか 。. 20. 40. mIn. 60. になった。.  COが200ppmの場合はCOのない場合に比べ,両 図2 プロピレンの減少. 老共約40%増の結果となっている。.  3.3 カルボン酸の実験方法.  C3H6についてはCOが有る時と無い時で, NOの.  同様の装置について,照射実験を行った。照射光量. 場合と傾向が逆になり,COの存在でC3H6の減少が. は0.39m三ガ1,温度は28±2。C,湿度は55土5%であっ. 掬制される結果となっている。すなわち,C3H6とCO. た。初期濃度はC3H62.OPPm, NO 1.OPPmと一定. はNOに対して競争反応となって,混合系においては. にし,CO濃度を0,200,400ppmと変えた場合の HCOOH, CH3COOHの生成を求めた。. C3H6の反臨が若干おくれることを示す。. 3. アルデヒドとカルボン酸の生成.  カルボン酸の分析は反応容器から50mZをとり,GC −MS−SIM法で行った。ただ,カルボン酸は反応容器.  3.1アルデヒドの実験方法. 壁に吸着があるので,試料ガスは反応容器を100。Cに.  容蟄101のパイレックス製真空びんにC3H6, NO,. 加熱して採取した。カラム条件はTENAX十H3PO4. COを用意して光照射を行う方法は前項と同様であ. !%,50∼150。Cまで!2。C/min昇温した。また,. る。照射光墨:は0,33min−1,温度は21±1。C,湿度は. m/e をよ HC(=)OH 季よ46, CH3C()()H々ま60とした。. 55±596であった。 初期濃度はC3蕪6 L Oppm, NO.  標準試料は純水10♂にHCOOH, CH3COO}{いず. O.gPPmと一定にし, CO濃度を0,100,200PPmと. れも100%純凝1を各10μ♂カ【…え,さらに安定剤としてり. 変えた場合のHCHOとCH3CHOの生成を求めた。. ん酸100μを加えたものを用いた。.

(3) 19. これらについて今までに提案されている反応機構に従.  3.4 カルボン酸の実験結集.  HCOO}{とCR3COO冠について照射4時間後の生. って考察を行うことにする。. 成濃度を図4に添す。.  まず,C3H6−NOx−Air系光化学反応については数 多くの研究成果が得られており,アルデヒドおよびカ. ルボン酸は,主にC3H6とOHラジカルの初期反応か. 16. ら多数の後続反応を経て生成することが明らかにされ. pphm. ている。その中で,Fa!1sらの捷漏した反応機構4)の要. 12. 点を図5−Aに引用して示す,ここで,OHがC3H6. CH3COOH. の2重結合の外部に付加した場合には,猛CRO,. CH3CHOおよびHCOOHが生成し,内部に付加し た場合には,HCHO, CH3C}{0およびCH3COOH. 8. HCOOH. が生成する。.  つぎに,C3H6−NOx−Air系光化学反:応にCOが 加わった場合を考えてみると,C3H6を消費するOH. 4. の一部がCOに奪われる。よって, C3H6の減少は抑. 制される。また,C3H6とOHの反応から導かれるア 0. 200. 0.    400. CO    ppm. ルデヒドおよびカルボン酸の生成も減少する。一方,. COに奪われたOHは, COと反応してKO2ラジカル が生成する。さらに,生成したHO2とC3H6の反応を. 図4 カルボソ酸の生成. 初期反応とし,多数の後続反応が導かれる結果,.  これで明らかなように,カルボン酸の場合はアルデ. ヒドの場含と異なり,CO濃度の増加と共に生成量が. 減少する傾向であった。HCOO冠とCH3COOHはほ ぼ1司じ傾向であるが,CO 400ppmとCOがない場合 を比較すると,前者が31%減,後者が22%減となっ た。. HCHOおよびCH3CHOが生成すると考えられる。 このC3H6とHO2の反応が開始されることにより,. HCHOおよびCH3CHOが生成する反応機構につい ては,Deme■lianら5}の提案があるのでその要点を図. 5−Bに引用する。ここで,HO2はC3H6の2重結合 の内部あるいは外部のいずれかに付加してもHCHO およびCH3C猛Oの生成がもたらされる。. 4.考.  従って,以上を考察すると,COが存在する場合,. 察. 実験の結果,プロピレンの光化学反応は,COによ り,つぎのような影響を受けることが示された。 1). NOの光酸化は促進される。. 2). C3H6の消費は搾制される。. 3). アルデヒドの生成濃度は高くなる。. 4). カルボン酸の生成濃度は低くなる。. C3H6. C3H6とOHの反応が朋始されることにより導かれる HCOOHおよびC壬{3COOHの生成濃度は減少するが, 一方,C3H6とHO2の反応を初期反応として, HCHO. およびC慧3CHOの生成がもたらされるために,. HCHOおよびCH3CHOの生成濃度は全体的には増 加すると考えられる。.          NO                           HCHO CH・. IH2一十一CH3”IH蝉IH2一一一・・,C・・.   02・oH    NO2      0● OH         HCOOH.          NO                           HCHO CH・幽. HH−IHL十一CH・一IH−IH・一一一・・,C・・.   OH O2。   NO2      0H O●         CH3COOH. OH. B. C3H6 02. 02. HO2 十. CO2. b3H6. …†〒・・4_…†1・・_一課、。   HO202●            HO20。     OH          NO2. HCHO.          NO CH3. ?H2一+一CH・一IH’?H2一 CH3CHO. 02        02●HO2. 図5反応機構の引用. NO2. 0の. @HO 2. OH.

(4) 20. SZ esk 1) W. E. Wilson and D. Miller: Unpublished. 4) A H. Falls and J. H. Seinfeld: Continued. result from studies made in the large smog. development of a kinetic mechanism for. chamber at BatteJie Memorial Institute, Col-. photochemical smog, Environ. Sci. & Techno}.,. umbus, Ohio 2) W. A. Glagson: Effect of carbon monoxlde. 12, 1398 (1978). 5) K.LDemerjian,J.A.KerrandJ.G.Calvert:. on atmospheric photooxidation of nitric oxide. The mechanism of photochemical smog for-. -hydrocarbon mixtures, Environ. Sci. &. matien, Adv. Environ. Sci. & Technol., 4, 1. Technol., 9, 343 (1975). (1974). 3) K Westberg, N. Cohen and K. W.Willson:. t. Carbon monoxide: Its role in photochemical smog format}on, Science, 171, 1013 (1971).

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参照

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