光化学反応に対する一酸化炭素の影響 : プロピレン-窒素酸化物-一酸化炭素系の反応
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(2) 18. なお,アルデヒドの分析は反応容器から100mZを. 100. とり,GC−MS−SIM法で行った。カラム条件はPora−. %. pak T,50∼120。Cまで12。C/min昇温とし, m/eは. NO. HC登○は30, CH3CHOは44に設定した。また,標準. CO= O ppm. 試料は純水10mZに30%HCHO溶液,90%CH3CHO 溶液をそれぞれ10μZ加えたものを用いた。. 3,2アルデヒドの実験結果. HCHOとCH3CHOについて照射開始後5時糊の CO=1000 ppm. 0. 20. 分析結果を図3に示す。. 40 . 60 「nln. HCHO. tO. 図1一酸化窒素の減少. ppm つぎにC3H6の初期濃度を!00として,その減少傾 向を見た結果を図2に示す。. CH3CHO. α5. 100 CO=τOOO ppm. %. C3H6. 00. CO: O ppm. 100. CO. 200. ppm. 図3 アルデヒドの生成. この結果,HCHOとCH3CHOの生成量はCO濃 度が高くなるに従って比例的に増加することが明らか 。. 20. 40. mIn. 60. になった。. COが200ppmの場合はCOのない場合に比べ,両 図2 プロピレンの減少. 老共約40%増の結果となっている。. 3.3 カルボン酸の実験方法. C3H6についてはCOが有る時と無い時で, NOの. 同様の装置について,照射実験を行った。照射光量. 場合と傾向が逆になり,COの存在でC3H6の減少が. は0.39m三ガ1,温度は28±2。C,湿度は55土5%であっ. 掬制される結果となっている。すなわち,C3H6とCO. た。初期濃度はC3H62.OPPm, NO 1.OPPmと一定. はNOに対して競争反応となって,混合系においては. にし,CO濃度を0,200,400ppmと変えた場合の HCOOH, CH3COOHの生成を求めた。. C3H6の反臨が若干おくれることを示す。. 3. アルデヒドとカルボン酸の生成. カルボン酸の分析は反応容器から50mZをとり,GC −MS−SIM法で行った。ただ,カルボン酸は反応容器. 3.1アルデヒドの実験方法. 壁に吸着があるので,試料ガスは反応容器を100。Cに. 容蟄101のパイレックス製真空びんにC3H6, NO,. 加熱して採取した。カラム条件はTENAX十H3PO4. COを用意して光照射を行う方法は前項と同様であ. !%,50∼150。Cまで!2。C/min昇温した。また,. る。照射光墨:は0,33min−1,温度は21±1。C,湿度は. m/e をよ HC(=)OH 季よ46, CH3C()()H々ま60とした。. 55±596であった。 初期濃度はC3蕪6 L Oppm, NO. 標準試料は純水10♂にHCOOH, CH3COO}{いず. O.gPPmと一定にし, CO濃度を0,100,200PPmと. れも100%純凝1を各10μ♂カ【…え,さらに安定剤としてり. 変えた場合のHCHOとCH3CHOの生成を求めた。. ん酸100μを加えたものを用いた。.
(3) 19. これらについて今までに提案されている反応機構に従. 3.4 カルボン酸の実験結集. HCOO}{とCR3COO冠について照射4時間後の生. って考察を行うことにする。. 成濃度を図4に添す。. まず,C3H6−NOx−Air系光化学反応については数 多くの研究成果が得られており,アルデヒドおよびカ. ルボン酸は,主にC3H6とOHラジカルの初期反応か. 16. ら多数の後続反応を経て生成することが明らかにされ. pphm. ている。その中で,Fa!1sらの捷漏した反応機構4)の要. 12. 点を図5−Aに引用して示す,ここで,OHがC3H6. CH3COOH. の2重結合の外部に付加した場合には,猛CRO,. CH3CHOおよびHCOOHが生成し,内部に付加し た場合には,HCHO, CH3C}{0およびCH3COOH. 8. HCOOH. が生成する。. つぎに,C3H6−NOx−Air系光化学反:応にCOが 加わった場合を考えてみると,C3H6を消費するOH. 4. の一部がCOに奪われる。よって, C3H6の減少は抑. 制される。また,C3H6とOHの反応から導かれるア 0. 200. 0. 400. CO ppm. ルデヒドおよびカルボン酸の生成も減少する。一方,. COに奪われたOHは, COと反応してKO2ラジカル が生成する。さらに,生成したHO2とC3H6の反応を. 図4 カルボソ酸の生成. 初期反応とし,多数の後続反応が導かれる結果,. これで明らかなように,カルボン酸の場合はアルデ. ヒドの場含と異なり,CO濃度の増加と共に生成量が. 減少する傾向であった。HCOO冠とCH3COOHはほ ぼ1司じ傾向であるが,CO 400ppmとCOがない場合 を比較すると,前者が31%減,後者が22%減となっ た。. HCHOおよびCH3CHOが生成すると考えられる。 このC3H6とHO2の反応が開始されることにより,. HCHOおよびCH3CHOが生成する反応機構につい ては,Deme■lianら5}の提案があるのでその要点を図. 5−Bに引用する。ここで,HO2はC3H6の2重結合 の内部あるいは外部のいずれかに付加してもHCHO およびCH3C猛Oの生成がもたらされる。. 4.考. 従って,以上を考察すると,COが存在する場合,. 察. 実験の結果,プロピレンの光化学反応は,COによ り,つぎのような影響を受けることが示された。 1). NOの光酸化は促進される。. 2). C3H6の消費は搾制される。. 3). アルデヒドの生成濃度は高くなる。. 4). カルボン酸の生成濃度は低くなる。. C3H6. C3H6とOHの反応が朋始されることにより導かれる HCOOHおよびC壬{3COOHの生成濃度は減少するが, 一方,C3H6とHO2の反応を初期反応として, HCHO. およびC慧3CHOの生成がもたらされるために,. HCHOおよびCH3CHOの生成濃度は全体的には増 加すると考えられる。. NO HCHO CH・. IH2一十一CH3”IH蝉IH2一一一・・,C・・. 02・oH NO2 0● OH HCOOH. NO HCHO CH・幽. HH−IHL十一CH・一IH−IH・一一一・・,C・・. OH O2。 NO2 0H O● CH3COOH. OH. B. C3H6 02. 02. HO2 十. CO2. b3H6. …†〒・・4_…†1・・_一課、。 HO202● HO20。 OH NO2. HCHO. NO CH3. ?H2一+一CH・一IH’?H2一 CH3CHO. 02 02●HO2. 図5反応機構の引用. NO2. 0の. @HO 2. OH.
(4) 20. SZ esk 1) W. E. Wilson and D. Miller: Unpublished. 4) A H. Falls and J. H. Seinfeld: Continued. result from studies made in the large smog. development of a kinetic mechanism for. chamber at BatteJie Memorial Institute, Col-. photochemical smog, Environ. Sci. & Techno}.,. umbus, Ohio 2) W. A. Glagson: Effect of carbon monoxlde. 12, 1398 (1978). 5) K.LDemerjian,J.A.KerrandJ.G.Calvert:. on atmospheric photooxidation of nitric oxide. The mechanism of photochemical smog for-. -hydrocarbon mixtures, Environ. Sci. &. matien, Adv. Environ. Sci. & Technol., 4, 1. Technol., 9, 343 (1975). (1974). 3) K Westberg, N. Cohen and K. W.Willson:. t. Carbon monoxide: Its role in photochemical smog format}on, Science, 171, 1013 (1971).
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