研 究 ノ ー ト 名 古 屋 市 立 大 学 看 護 学 部 紀 要 第16巻2017
若 年 男 性 労 働 者 に対 す る ウ ェ ブサ イ トを活 用 した
減 量 支 援 プ ロ グ ラ ムの評 価
尾
崎
伊 都 子1),松
浦
恵
美1),小
西
美 智 子2)
1)名 古 屋市 立大学 看護 学部
2)広 島文化 学園大学大学院看護 学研 究科
要 約 研 究 目 的 は 若 年 労 働 者 に 対 す る ウ ェ ブ サ イ ト と 個 別 指 導 を 併 用 した 減 量 支 援 プ ロ グ ラ ム の 効 果 を 検 証 す る こ と で あ る 。 対 象 者 は 定 期 健 診 で 肥 満 と 判 定 さ れ た22∼34歳 の 男 性20人 で あ っ た 。12週 間 の プ ロ グ ラ ム の 開 始 時 に 、 生 活 習 慣 の 改 善 方 法 の 説 明 と 目 標 設 定 支 援 を 個 別 に 行 っ た 。 そ の 後 ウ ェ ブ 上 で 、 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ を 実 施 して も ら い 、 計4回 助 言 指 導 した 。 評 価 指 標 は12週 後 の 生 活 習 慣 、1年 後 の 定 期 健 診 デ ー タ 、 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル 利 用 状 況 等 と し た 。1年 前 の 定 期 健 診 で 異 常 値 が あ っ た 者 の 収 縮 期 血 圧(開 始 時141 .6±5.5mmHg、1年 後 123.5±12.6mmHg;p=0.01、N=8)、HbA1c(開 始 時5.8±0.3%、1年 後5.6±0.2%;p=0.031、N=10)、AST(開 始 時26.3±4.51U/l、1年 後27.7±4.81U/l;p=0.049、N=6)が 有 意 に 減 少 し、BMI(開 始 時28.5±2.7、 1年 後27.9±3.0;p=0.097、N=17)が 減 少 傾 向 で あ っ た 。 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル の 利 用 者 は72.2%で あ り、 3週 目 ま で に 利 用 日 数 が 大 き く 減 少 して い た(N=18)。 本 プ ロ グ ラ ム は 減 量 と 健 診 デ ー タ の 改 善 に 一 定 の 効 果 が あ る こ と が 示 唆 さ れ た が 、 今 後 は ツ ー ル の 利 用 度 を 高 め る 支 援 方 法 を 検 討 して い く必 要 が あ る 。
キ ー ワ ー ド:減 量 支 援 プ ロ グ ラ ム、 若 年 男 性 労 働 者 、 保 健 指 導 方 法
1.緒
言
平 成25年 度 国 民 健 康 ・栄 養 調 査 に よ る と男 性 の 肥 満 の
割 合 は、20歳 代21.8%、30歳
代25.4%、40歳
代34.9%と
年 齢 が 上 が る に つ れ て増 加 して い る1)。壮 年 期 以 降 の 生
活 習 慣 病 の 発 症 予 防 の た め に は、 若 い うち か ら肥 満 予 防
の た め の 生 活 習 慣 の 確 立 が 重 要 と言 え る。 若 年 労 働 者 が
肥 満 に 至 るプ ロセ ス や 行 動 の 特 徴 はい くつ か の 研 究3)-5)
で 明 らか に され て い るが 、40歳 未 満 の 労 働 者 で は特 定 保
健 指 導 の 対 象 年 齢 で な い こ とや 事 業 者 が 行 う保 健 指 導 は
努 力 義 務 で あ る こ と等 によ り、 保 健 指 導 を 受 け る機 会 が
少 な くな りや す い 。
イ ンター ネ ッ トを 用 い た 保 健 指 導 は、 利 便 性 と効 率 性
の 観 点 か ら公 衆 衛 生 活 動 にお け る普 及 が 期 待 され 、 欧 米
を 中 心 に2000年 頃 か ら そ の 効 果 が 検 証 さ れ て き て い
る6)7)。我 が 国 で も特 に特 定 保 健 指 導 の 開 始 以 降 、 介 入
効 果 が 検 証 さ れ て きて い るが8-10)、20∼30歳 代 に対 象 を
絞 った 研 究 は見 当 らな い 。20∼30歳 代 の イ ンタ ー ネ ッ ト
利 用 率 は97∼98%と
各 年 代 の 中 で も高 く11)、
若 年 労 働 者
で はイ ンター ネ ッ トを 用 い た 保 健 指 導 が 受 け入 れ られ や
す い 可 能 性 が あ る。 イ ンタ ー ネ ッ トを 用 い た 保 健 指 導 で
は、 ウ ェ ブサ イ トの ロ グイ ン回 数 や ツ ール の 利 用 度 と減
量 効 果 に は比 例 関 係 が あ る こ とが 報 告 さ れ て い る12)13)。
そ の た め 、 イ ンタ ー ネ ッ トを 通 じて ツ ール や 情 報 を 効 率
的 に提 供 し、 高 い減 量 効 果 を 導 くこ とが で き る可 能 性 が
あ る。 一 方 、 課 題 の ひ とつ と して ドロ ップ ア ウ トの 高 さ
が 指 摘 さ れ て お り12)14)、
保 健 指 導 プ ロ グ ラ ム と して どの
よ うな ツ ール や 支 援 内 容 ・方 法 が 参 加 者 の 参 加 継 続 に有
効 で あ るの か を 実 証 研 究 に よ り明 らか に して い く必 要 が
あ る。
筆 者 らは これ ま で にA県 内 に本 社 が あ るB社 を フ ィ ー
ル ドに、35∼60歳 まで の 男 性 の う ち健 診 で 内 臓 脂 肪 症 候
群 や そ の 予 備 軍 、 そ の 他 の 軽 度 の 異 常(高 血 圧 、 高 脂 血
症 、 高 血 糖 、 肥 満 等)が あ り生 活 習 慣 改 善 が 必 要 と され
た 者 を 対 象 に、 ウ ェ ブサ イ トを 用 いた 保 健 指 導 プ ロ グ ラ
ムを 実 施 した15)。そ の結 果 、 ウ ェ ブ の利 用 と併 せ て 個 別
指 導 を加 え る こ とに よ り効 果 が高 ま る こ とが示 唆 され た。
そ こで 今 回 は、 これ まで に作 成 した ウ ェ ブサ イ トと個 別
指 導 を 併 用 した 保 健 指 導 プ ロ グ ラ ムの 若 年 労 働 者 へ の 適
応 の 可 能 性 を検 証 す る た め、B社 で 特 定 保 健 指 導 の 対 象
と して い な い35歳 未 満 の 若 年 者 の う ち肥 満 の 者 を 対 象 に
減 量 支 援 プ ロ グ ラ ムを 実 施 し、 そ の 効 果 を 検 証 す る こ と
を 研 究 目的 と した 。
Ⅱ.研
究 方 法
1.対
象 者
研 究 フ ィー ル ドで あ るB社 は金 融 業 で 、A県 内 を 中 心
に 約120の 支 店 ・部 署 が あ り、 約2500人(パ
ー ト、 嘱 託
含 む)の 従 業 員 が い る。 産 業 保 健 師 は本 社 に常 勤1人 、
非 常 勤1人 が お り、 従 業 員 の 健 康 管 理 を 行 って い る。 定
期 健 康 診 断 は毎 年 ほぼ 全 て の 従 業 員 が 受 診 して お り、 事
後指 導 は本 社 へ の呼 び 出 しや保 健 師 の職 場 巡 回 に よ り行 っ
て い る。平 成26年3∼4月 の定 期 健 診 の結 果 、 肥 満(BMI
≧25)と 判 定 され た35歳 未 満 の 男 性 は64人(35歳
未 満 の
14%)で
あ った 。 本 研 究 の 対 象 者 は、 健 診 結 果 の 通 知 後
5∼7月
にB社 保 健 師 が 本 社 と10支 店 の 職 場 巡 回 にお い
て 、 該 当 者 に 研 究 目的 と内 容 を 説 明 し参 加 に同 意 した20
人 と した 。
2.減 量 支 援 プ ロ グ ラ ム の 方 法 減 量 支 援 プ ロ グ ラ ム で は 社 会 的 認 知 理 論 の 自 己 効 力 感 と 自 己 制 御 の 概 念 に 基 づ き 、 目 標 設 定 と セ ル フ モ ニ タ リ ン グ を 通 して 生 活 習 慣 を 自 己 管 理 で き る よ う 支 援 方 法 を 作 成 した 。 毎 日 の 体 重 測 定 や 食 事 ・運 動 等 の セ ル フ モ ニ タ リ ン グ は 、 減 量 に 効 果 が あ る と 報 告 さ れ て い る12)13)17)。 プ ロ グ ラ ム 期 間 は12週 間 と し、 目 標 減 量 率 は 日 本 肥 満 学 会 の ガ イ ド ラ イ ンを 参 考 に5%を 目 安 に 設 定 して も ら っ た2)。 1)ウ ェブ サ イ トの 構 成 ・内 容(図1) ウ ェ ブ サ イ トは 筆 者 ら が 先 行 研 究15)で作 成 し た も の を 用 い た 。 そ の コ ン テ ン ツ に は セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル(生 活 習 慣 の 目 標 設 定 と 実 行 状 況 、 体 重 、 歩 数 の 入 力)を 主 と し、 そ の 他 に 生 活 習 慣 改 善 に 関 す る 情 報 と 掲 示 板 が 含 ま れ る 。 生 活 習 慣 の 目 標 は 、 生 活 習 慣 病 ・ 肥 満 予 防 の た め 推 奨 さ れ て い る 行 動2)18)19)をも と に 食 事 、 運 動 、 節 酒 、 睡 眠 、 減 塩 の 目 標 項 目 を 設 け た 。 食 事 で は 食 事 の と り 方 、 栄 養 バ ラ ンス 、 エ ネ ル ギ ー 過 剰 摂 取 に つ な が る 食 品 ・メ ニ ュ ー の3側 面 か ら13項 目 、 身 体 活 動 で は 歩 数 、 運 動 頻 度 の2項 目 、 節 酒 で は 飲 酒 量 、 休 肝 日 の2項 目 、 睡 眠 で は 睡 眠 時 間 、 就 寝 時 間 の2項 目、 減 塩 で は塩 分 の 多 い食 品 の3項
目を 提 示 して
い る。 対 象 者 自 らが 目標 の 実 行 レベ ル を 現 状 に合 わ せ
て 段 階 的 に選 択 して い け る よ う、 ひ とつ の 目標 項 目 に
複 数 の 項 目を 設 けた(例;運
動 を 〔
週1回 以 上/週2
回 以 上/週3回
以 上 〕 行 う)。 ま た、 ウ ェ ブ上 で 対 象
者 が 目標 の 実 行 状 況 と体 重 等 を 入 力 す る とそ の 達 成 状
況 を 確 認 で き る よ う、 入 力 した 体 重 と改 善 目標 が グ ラ
フで 表 され 、 改 善 目標 を 達 成 で きた 場 合 に は グ ラ フ上
で 達 成 を 称 賛 す る マ ー クが つ くよ う 自動 化 した 。
2)減 量 支 援 プ ログ ラ ム の 内 容 ・手 順(図2) 開 始 時 にB社 保 健 師 が 職 場 巡 回 で 個 別 対 面 指 導 を 実 施 し、 健 診 結 果 の 説 明 と と も に 肥 満 の リ ス ク と 肥 満 解 消 の た め 食 事 と 運 動 を 中 心 と した 生 活 習 慣 の 改 善 方 法 を 説 明 した 。 そ して 、 対 象 者 が 主 体 的 に 目 標 体 重 を 決 め 、 生 活 習 慣 の 実 施 状 況 を チ ェ ッ ク す る た め の 質 問 紙 に基 づ い て 目 標 項 目 を 選 択 で き る よ う支 援 し た 。 ま た 、 ウ ェ ブ のID・ パ ス ワ ー ド を 配 布 し て 、 パ ソ コ ン 画 面 上 で セ ル フ モ ニ タ リ ン グ の 方 法 を 説 明 し、 設 定 した 目 標 を ウ ェ ブ上 に登 録 して も ら っ た 。 そ の 後 、12週 間 ウ ェ ブ 上 で セ ル フ モ ニ タ リ ン グ を 実 施 す る よ う 指 導 し、 筆 者 ら の 先 行 研 究15)と 同 様 に 開 始 か ら1・4・8・12週 後 に 計4回 、 筆 者 が ウ ェ ブ 上 で 助 言 指 導 の メ ッ セ ー ジ を 送 付 した 。 そ の 内 容 は 、 取 り 組 ん で い る こ と へ の 称 賛 、 成 功 体 験 や 心 理 的 ・身 体 的 に プ ラ ス の 体 験 に 気 づ䋱㩷㩷ၮᧄዻᕈ
䋨㪥㪔㪈㪏䋩
ᐕ㦂䋨ᐔဋ㫧㪪㪛䋩
㪉㪏㪅㪉 㫧㪉㪅㪌
ੱ 䋦㈩⠪䈱ή
䈅䉍㪐
㪌㪇
䈭䈚
㪐
㪌㪇
ኅᣖ᭴ᚑ
৻ੱ䉌䈚
㪊
㪈㪍㪅㪎
ᩭኅᣖ䋨㈩⠪䈫ੑੱ䋩
㪋
㪉㪉㪅㪉
ᩭኅᣖ䋨㈩⠪䈫ሶ䋩
㪌
㪉㪎㪅㪏
ᩭኅᣖ䋨⥄ಽ䈫ⷫ䋩
㪍
㪊㪊㪅㪊
ਃઍኅᣖ
㪇
㪇㪅㪇
⡯⒳
ኾ㐷䊶ᛛⴚ⡯
㪇
㪇㪅㪇
ോ
㪊
㪈㪍㪅㪎
⽼ᄁ䊶༡ᬺ
㪈㪌
㪏㪊㪅㪊
ભᣣ䈱ⷙೣᕈ
ⷙೣ⊛
㪈㪎
㪐㪋㪅㪋
ਇⷙೣ
㪈
㪌㪅㪍
䈱ᒝᐲ
┙䈤䊶ᄖ
㪈㪋
㪎㪎㪅㪏
ᐳ䈦䈩䈜䉎
㪋
㪉㪉㪅㪉
度(週2回 以 下)」 が66.7%、 「⑧ 乳 製 品 摂 取 頻 度(週2 回 以 下)」 が50.0%で あ っ た 。 運 動 に つ い て は 、 「① 運 動 頻 度(し て い な い)」 が50.0%、 「③ 階 段 よ り エ ス カ レ ー タ ー ・エ レ ベ ー タ ー を(使 う)」 が75.0%、 「④ 日 常 的 に 体 を(動 か さ な い)」 が58,3%で あ っ た 。 飲 酒 で は 、 「① 定 期 的 な 飲 酒(あ り)」 が66.7%、 睡 眠 で は 「② 週3回 以 上24時 以 降 に 寝 る 」 が50.5%、 減 塩 で は 「② 麺 類 の 汁 を 全 部(飲 む)」 が50.0%で あ っ た 。 こ れ ら の11項 目 の う ち12週 後 に 不 健 康 な 生 活 習 慣 の 者 の 割 合 が50%未 満 と な っ た 項 目 は 、 「①1日3回 規 則 正 しい 食 事(摂 ら な い)」 が33.3%減 少 、 「⑦ 果 物 摂 取 頻 度(週2回 以 下)」 が25.0 %減 少 、 「⑧ 乳 製 品 摂 取 頻 度(週2回 以 下)」 が16.7%減 少 、 「① 運 動 頻 度(し て い な い)」 が16.7%減 少 、 「④ 日 常 的 に 体 を(動 か さ な い)」 が25.0%減 少 、 「② 週3回 以 上24時 以 降 に 寝 る」 が16,7%減 少 、 減 塩 で は 「② 麺 類 の 汁 を 全 部(飲 む)」 が8.3%減 少 の7項 目 で あ っ た 。 3.定 期 健 康 診 断 デ ー タ の 変 化(表3) 平 成26年 の 定 期 健 診 の 結 果 、BMI以 外 の 項 目(腹 囲 、 血 圧 、 血 液 検 査 値(HbA1c、LDL-コ レ ス テ ロ ー ル 、 HDL-コ レ ス テ ロ ー ル 、 中 性 脂 肪 、AST、ALT、 γ 一 GTP、 尿 酸))で 基 準 値 以 上(HDLコ レ ス テ ロ ー ル は 以 下)の 項 目 が あ っ た 者 は 、 分 析 対 象17人 の う ち15人 (88.2%)で あ っ た 。 そ こ で 、BMI以 外 の 項 目 に つ い て は 項 目 ご と に 異 常 値 が あ っ た 者 の み を 抽 出 し、 平 成26・ 27年 の 定 期 健 診 デ ー タ を 前 後 比 較 した 。 そ の 結 果 、 収 縮 期 血 圧 、HbA1cとASTが 有 意 に 減 少 し、BMIが 減 少 傾 向 で あ っ た 。 BMIが25未 満 と な っ た 者 は 分 析 対 象17人 の う ち2人 (11.8%)で あ っ た 。 減 量 率 に つ い て は 「4%以 上 」 が 4人(23.5%)、 「2∼4%未 満 」 が1人(5.9%)、 「0 ∼2%未 満 」 が4人(23 .5%)、 「減 量 な し 」 が8人 (47.1%)で 、 平 均 減 量 率 は2.0%で あ っ た 。 平 成26年 健 診 時 の メ タ ボ リ ッ ク シ ン ドロ ー ム に 該 当 す る 者 は 分 析 対 象17人 の う ち15人(88.2%)(3項 目 該 当 者5人 、2項 目 該 当 者3人 、1項 目 該 当 者7人)、 該 当 しな い 者2人(11.8%)で あ っ た 。 平 成27年 健 診 時 の こ れ らの リ ス ク 該 当 者 の 項 目 数 の 変 化 は 、3項 目 該 当 者 で は3人 が 改 善 、2人 が 不 変 、2項 目 該 当 者 で は1人 が 改 善 、2人 が 不 変 、1項 目 該 当 者 で は3人 が 改 善 、2人 が 不 変 、2人 が 悪 化 して い た 。 4.セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル の 利 用 状 況 12週 間 に お け る セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル の 利 用 状 況 は 、 分 析 対 象18人 の う ち 「利 用 あ り」13人(72.2%)、 「利 用 な し」5人(27.8%)で あ っ た 。 「利 用 あ り」 者 の 平 均 利 用 週 数 は4.1±4.4週 、 平 均 利 用 日 数14.3±24.3日 で あ っ た 。 ま た 、 利 用 週 数 が9∼12週 の 者 は3人(23.1 %)、5∼8週 の 者 は1人(7.7%)、1∼4週 の 者 は9 人(69.2%)で 、 そ の う ち7人 は1週 の み で あ っ た 。12 週 間 に お け る 「利 用 あ り 」 者13人 の 平 均 利 用 日 数 の 分 布 を 図4に 示 す 。 利 用 日 数 は 多 くの 者 で3週 目 ご ろ ま で に 大 き く低 下 し、 そ の 後 緩 や か に 低 下 して い た 。
表3平 成26年 ・27年 の 定 期 健 康 診 断 デ ー タの 変 化
図4
12週 間 の セ ル フモ ニ タ リング ツ ー ル の 平 均 利 用
日数 の 変 化
Ⅳ.考
察
本 研 究 で は、 個 別 指 導 後 に対 象 者 は生 活 習 慣 の 実 施 状
況 を チ ェ ックす るた め の 質 問 紙 に記 載 され て い る項 目の
中 か ら、 主 体 的 に 目標 項 目か ら選 択 し自分 の 目標 と した。
各 対 象 者 が どの 目標 を 選 択 した か に よ り改 善 に取 り組 ん
だ 生 活 習 慣 が 異 な るが 、 対 象 者 全 体 で 生 活 習 慣 の 改 善 状
況 を 表 の 分 布 か ら確 認 した と こ ろ表2に 示 す よ う に、 開
始 か ら12週 間 後 に不 健 康 な 生 活 習 慣 の 者 の 割 合 が 半 数 以
上 で あ った11項 目の うち7項
目が 半 数 未 満 に改 善 した 。
肥 満 の 若 年 男 性 労 働 者 の 特 徴 と して 、 栄 養 バ ラ ンス よ り
嗜 好 が 優 位 で あ る、 満 腹 感 を 感 じて い て も食 事 を 平 らげ
る、 ス ト レス を 清 涼 飲 料 水 や 仲 間 との 飲 酒 に よ り解 消 す
る等 、 無 意 識 に 肥 満 とな る行 動 を 繰 り返 して い るが 、 外
見 を 気 に した り体 力 の 衰 え を 感 じた り して 減 量 へ の 願 望
を も って い る こ とが報 告 され て い る4)。 この よ うに 若 年
肥 満 労 働 者 で は減 量 へ の 願 望 を もち つ つ も改 善 す べ き行
動 が 多 い 特 徴 が あ るが 、 本 プ ロ グ ラ ム は若 年 男 性 労 働 者
が 減 量 を き っか け に無 意 識 に行 って い る不 健 康 な 生 活 習
慣 を 意 識 化 させ 改 善 して い く機 会 の 提 供 につ な が った と
考 え られ る。
奥 田 ら は工 場 に勤 務 す る男 性 に内 臓 脂 肪 減 少 を 目的 に
エ ネ ル ギ ー の 過 剰 摂 取 削 減 に重 点 を お い た 減 量 支 援 を 行
い 、 評 価 項 目の うち 甘 い デ ザ ー トと砂 糖 入 り飲 料 の 頻 度
の 改 善 が 大 き く、 そ の 他 に脂 身 の 多 い 肉 、 揚 げ物 ・炒め
物 の頻 度 に も改善 が み られ た とい う結 果 か ら、 エ ネル ギ ー
摂 取 量 削 減 策 と して 取 り組 み や す く維 持 しや す い 目標 と
して 指 導 す べ き項 目で あ る と述 べ て い る21)。
本 研 究 で は
食事 の 目標 を、食 事 の と り方 、 栄養 バ ラ ンス、 エ ネル ギ ー
過 剰 摂 取 に つ な が る食 品 ・メニ ュ ーの3側 面 か ら目標 を
提 示 して い る。 エ ネ ル ギ ー過 剰 摂 取 削 減 を 目 的 と す る
「
⑪ 脂 肪 の多 い 肉」 「⑫ 揚 げ 物 ・炒め 物 」 「
⑬ 菓 子 」 「
⑭ 砂
糖 入 り飲 料 」 の 項 目 は、 開 始 時 点 で 不 健 康 な 生 活 習 慣 の
者 が 少 な く大 きな 改 善 はみ られ な か った と考 え られ る。
「
① 規 則 正 しい食 事 」 「⑥ 野 菜 摂 取 頻 度 」 「
⑦ 果 物 摂 取 頻
度 」 「⑧ 乳 製 品 摂 取 頻 度 」 で は、 開始 時 点 で 不 健 康 な 生
活 習 慣 の 者 が 多 か った が 、 対 象 者 に と って 目標 に設 定 し
や す く、 また 改 善 しや す い項 目で あ った と考 え られ る。
一 方 で
、 「
② お 腹 い っぱ い 食 べ る」 で は開 始 時 に不 健 康
な 生 活 習 慣 の者 の割 合 が91.7%と 最 も多 く、 半 数 以 下 へ
の 改 善 はみ られ な か った 。 これ は食 事 の と り方 に関 す る
目標 で あ り、 早 食 いの 是 正 や咀嚼 の 習 慣 化 な どの 方 策 が
有 効 で あ るが 、 多 くの 者 に と って 実 行 ・改 善 が 難 しい項
目で あ る と考 え られ る。 若 年 労 働 者 が 栄 養 バ ラ ンスの と
れ た 食 習 慣 を 身 につ けつ つ 、 効 果 的 に エ ネル ギ ー摂 取 量
を 削 減 して い け る よ う、 具 体 的 な 行 動 変 容 の 方 策 を 指 導
して い くこ とが 重 要 で あ る と考 え られ る。
表3に 示 した よ う に平 成26・27年 の 定 期 健 診 デ ー タの
比 較 で は、 収 縮 期 血 圧 、HbA1c、ASTが
有 意 に減 少 し、
BMIが
減 少 す る傾 向 に あ っ た。 ま た 、 メ タ ボ リ ッ ク シ
ン ドロ ー ムの リス ク(血 糖 、 脂 質 異 常 、 血 圧)の 該 当 者
15人 は1年 後 に7人 に改 善 が み られ た 。 減 量 の 指 標 で あ
る体 重 、BMI、
腹 囲 に有 意 な減 少 は な か っ た が 、 平 均
体 重 減 少 量 は1.8kg、 平 均 減 量 率 は2.0%で 、 減 量 し た 者 9人(53%)の う ち4%減 量 率 達 成 者 は4人(23.5%) で あ っ た 。 津 下 ら の 研 究 で は20)、特 定 保 健 指 導 の 積 極 的 支 援 実 施 者 の1年 後 の 体 重 減 少 は 平 均1.3kg、4%減 量 達 成 者 は25%と 報 告 さ れ て お り22)、本 研 究 の 体 重 減 少 量 や4%減 量 達 成 者 の 割 合 は 同 程 度 と 考 え られ た 。 本 研 究 で 肥 満 指 標 以 外 の 定 期 健 診 デ ー タ に も 改 善 が み られ た こ と は 、 生 活 習 慣 の 改 善 と そ れ に 伴 う 体 重 減 少 が 影 響 を 与 え た と 考 え ら れ る 。 若 年 労 働 者 の 肥 満 者 に は す で に 肥 満 指 標 以 外 の 検 査 値 の 異 常 や メ タ ボ リ ッ ク シ ン ド ロ ー ム の 該 当 者 が お り 、 肥 満 を き っ か け に 生 活 習 慣 改 善 を 支 援 す る こ と で 、 こ れ ら の 改 善 に も つ な が る こ と が 期 待 さ れ る。 本 プ ロ グ ラ ム は ウ ェ ブ サ イ トを 用 い て 、 開 始 時 の 個 別 指 導1回 と ウ ェ ブ上 で の 助 言 指 導 計4回 の 人 的 支 援 を 組 み 合 わ せ た プ ロ グ ラ ム で あ っ た が 、 若 年 男 性 労 働 者 に 対 し て 減 量 と定 期 健 康 診 断 の 検 査 値 の 改 善 に一 定 の 効 果 が あ っ た と 示 唆 さ れ る 。 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル の 利 用 者 は72.2%で あ り 、 そ の12週 間 の 利 用 週 数 は4.1週(34.2%)、 利 用 日 数 は 14.3日(16.7%)で あ っ た 。 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ の 利 用 状 況 に つ い て イ ン タ ー ネ ッ トを 用 い た 減 量 介 入 の 先 行 研 究 を み る と 、Krukowskiら は6か 月 の 減 量 介 入 期 間 で セ ル フ モ ニ タ リ ン グ を1回 以 上 行 っ た 者 は91%で 、 こ れ ら の 者 の セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ペ ー ジ の ロ グ イ ン回 数 は 平 均 で 平 日28%、 週 末17%と 報 告 し て い る22)。単 純 に 比 較 は で き な い が 、 本 研 究 の セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル の 利 用 者 割 合 、 利 用 日 数 は 低 か つ た と 考 え られ る 。 ま た 、 図 4に 示 した よ う に12週 間 の セ ル フ モ ニ タ リ ン グ の 利 用 日 数 は3週 目 ま で に 大 き く減 少 しそ の 後 も 緩 や か に 減 少 し て い た 。 同 様 に 先 行 研 究 に お い て も 、 ウ ェ ブ サ イ トへ の ロ グ イ ン回 数 は 全 体 に 週 数 を 経 る ご と に 低 下 す る こ と が 報 告 さ れ て い る22)23)。減 量 効 果 を 高 め る た め に は 、 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル の 利 用 継 続 を 支 援 す る こ と が 重 要 で あ る 。 本 研 究 で は 開 始 時 の 指 導 後 に ウ ェ ブ 上 で4回 の 助 言 指 導 を 送 付 し、 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ の 入 力 が な い 場 合 に は 実 施 を 促 す メ ー ル を送 付 した が 、 ウ ェ ブ上 で の メ ッ セ ー ジ を 対 象 者 が 確 認 した の か 、 ど の よ う に 受 け 止 め た の か が 不 明 で あ り 、 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ の 継 続 支 援 と し て は 不 十 分 で あ っ た と 考 え られ る 。 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ の 実 施 率 が 低 下 す る 状 況 と して 身 体 的 な 疲 れ や 飽 き 飽 き す る こ と 、 行 動 変 容 や 減 量 が 見 られ な い こ と へ の 自 己 非 難 、 他 者 か ら の 妨 害 等 が あ る と 報 告 さ れ て い る24)。図3 に 示 した よ う に 本 研 究 の セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル 利 用 者 の う ち77%が12週 後 の 生 活 習 慣 の 質 問 紙 調 査 に 回 答 し た の に 対 し、 利 用 が な か っ た 者 で は40%と 低 い 回 答 率 で あ っ た 。 こ の こ と か ら、 セ ル フ モ ニ タ リ ン グ ツ ー ル の 利 用 が な か っ た 者 は 、 生 活 習 慣 改 善 へ の 関 心 や 意 欲 も 低 下
して お り、 追 跡 調 査 に も回 答 しな か った の で はな いか と
推 察 され る。 セ ル フモ ニ タ リ ングの 実 施 率 を 高 め る ため
に は、 そ の 意 義 や 目的 を 伝 え るだ けで な く、 生 活 習 慣 改
善 へ の 関 心 や 意 欲 を 維 持 で き る よ う励 ます と と も に、 実
施 の 過 程 で 困 難 な 状 況 に対 処 で き る よ う に対 象 者 か ら具
体 的 に聞 き取 り改 善 策 を 検 討 して 支 援 して い く必 要 が あ
る と考 え る。
本 研 究 の 限 界 と して 、 減 量 に関 す る評 価 指 標 に1年 後
の 定 期 健 診 デ ー タを 使 用 した た め 、 プ ロ グ ラ ム直 後 の 評
価 がで きて お らず、本 研 究 で行 った介入 以 外 の影 響 が あ っ
た 可 能 性 が あ る。 対 象 者 が 社 外 の 健 康 支 援 サ ー ビスを 活
用 した か ど うか につ いて は把 握 で きて いな いが 、B社 で
は35歳 未 満 の 者 は特 定 保 健 指 導 の 対 象 とな って お らず 、
健 診 後 の 事 後 指 導 につ い て は本 研 究 で 行 った 介 入 の み で
あ るた め 、 本 介 入 が 対 象 者 の 健 康 状 態 に一 定 の 影 響 を 与
え た 可 能 性 はあ る と考 え られ る。 また 、 生 活 習 慣 の 変 化
につ いて は、 各 生 活 習 慣 項 目 に対 して 全 員 が 取 り組 ん だ
わ けで はな い こ とか ら対 象 者 の 前 後 を 単 純 集 計 と した た
め 、 統 計 学 的 に有 意 な 変 化 が み られ た か を 検 証 す る こ と
が で きて い な い 。 今 後 は生 活 習 慣 の 変 容 や 減 量 指 標 、 健
康 状 態 の 変 化 につ いて 他 の 測 定 方 法 も用 いて 短 期 的 ・長
期 的 な 評 価 を 実 施 し、 効 果 的 な 支 援 の あ り方 を 明 確 に し
て い きた い 。 また 、 ウ ェ ブサ イ トを 用 いた 減 量 プ ロ グ ラ
ムに お いて その利 用 度 を高 め るた め の支 援 の方 法 や 頻度 、
内 容 を 検 証 して い く必 要 が あ る。
【謝 辞 】
本 研 究 に ご協 力 くだ さ い ま したB社 の 皆 様 に感 謝 申 し
上 げ ます 。 本 研 究 は、 日本 学 術 振 興 会 科 学 研 究 費 助 成 事
業(若 手 研 究B):イ
ンタ ー ネ ッ トの 電 子 掲 示 板 を 活 用
した 健 康 づ くり支 援 シ ス テ ムの 開 発(研 究 代 表 者
尾 崎
伊 都 子)・ 課 題 番 号23792729の 助 成 を受 け て実 施 した。
利 益 相 反;申 告 す べ き もの な し
【文 献 】 1)厚 生 労 働 所 健 康 局:平 成26年 国 民 健 康 栄 養 調 査 の 概 要 。 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/ eiyou/h26-houkoku.html(2016.9.14閲 覧) 2)日 本 肥 満 学 会 編:肥 満 症 治 療 ガ イ ドラ イ ン ダ イ ジ ェ ス ト版,9-78,興 和 印 刷 株 式 会 社,東 京, 2007. 3)南 未 来 ・廣 部 一 彦 ・舘 美 加,他:事 務 系 男 性 労 働 者 に お け る 運 動 量 と 内 臓 脂 肪 蓄 積 に 関 す る 検 討. 産 業 衛 生 学 雑 誌,54(2),71-73,2012. 4)田 甫 久 美 子 ・稲 垣 美 智 子 ・釜 谷 友 紀 ・他:肥 満 と な っ た 若 年 男 性 労 働 者 が 就 職 以 降 に 体 重 増 加 に つな が っ た 要 因 の 背 景.金 大 医 つ る ま 保 健 学 会 誌, 32(1),69-76,2008. 5)宮 腰 美 希 ・大 塚 美 佳 ・加 藤 め ぐみ ・他:若 年 労 働 者 の コ ン ビニ エ ン ス ス ト ア を 利 用 した 食 事 摂 取 内 容 と労 働 状 況 に 関 す る 実 態 調 査.産 業 衛 生 学 雑 誌, 50,92-99,2008.