114
号 航 海 (商 船に よ る地 球 環 境 観 測特集 ) 13ボ ラ
ンテ
ィア
商 船
を
利 用
し
た
温 室 効 果
気
体
の循 環
に
関
す る
研 究
中 澤 高
清
*Study
on theCycle
ofGreenhouse
Gases
Using
Voluntary
Merchant
Ships
Takakiyo
NAKAZAWA
し1
.
は じめ に二酸 化
炭素
(CO2
) やメ タ ン (CH4
)をは じめ とする温 室 効 果 気 体の濃度
が人問活動
に よっ て急
速に増 加し てお り,
近い 将 来の気 候が大 き く変 化 すると懸念
さ れて い る。
こ の問 題の 解 決に とっ て 重 要な科 学 的 研 究 課 題は, 諸 温 室 効 果気
体の 将 来 濃 度 を 的 確に予 測 し, そのもとで気 候 変 化を評価
するこ とである。 し か し なが ら,
現状
の 知 識は 未 だ 不十 分で あり, こ れ らにつ い て満 足すぺ ぎ答
え は得ら れて い ない 。 例え ば, 温室効 果 気 体の濃 度 予 測 を行 うた めに は , 過 去か ら 現在にわた る濃 度増
加の 原 因を明 らかにする必 要が ある が,
原 因の 候 補は幾つ か あ げ ら れ てい る もの の , そ れ ぞ れの 寄 与は 定量 的に理解 さ れてい ない。 我々 は, こ の 問題を解明す る た めに,1978
年 以 来,
多 岐にわた る研 究を実 施して きた。 特に , 1982年
に闕
始 し今
H
ま で継 続し て い る商 船を利 用 した観 測は, 温室 効果 気体の 広域 にわ た る分 布と変 動に関し て貴 重 な 知見を与
えて い る。本稿
に おい て は,
温 室 効 果 気 体の中で特に重 要 なCO2
とCH
,の結 果につ い て概
述し, さ ら に, 定 期 船 舶を用いた観 測の有 効 性 と問 題点につ い て ふれ る。
2.
観 測の概 要
大
気
中の温室 効 果気 体の 濃 度を測 定 す る方 法と して は, 現 場に分 析 計 を 設置
し, 直 接 測 定 する方 ♂一
4
図 1 大 気 試 料の採 集に用い られた商 船の代 表 的 な 航 路 (破 線 ) *非 会員
東 北 大 学理
学
部 大 気 海 洋 変 動 観 測 研 究セ ソ ター
(〒980
仙台市青 葉区荒 巻字 青 葉)14 航 法と
,
現 場の 空 気を容 器に採 集し, 後で研 究 室で 分 析 する方 法が あ る。 本 研 究に お い て は後
者の 方 法を採 用し た。
即ち,
予め決め た位置
に 商 船が到 達し た際に , 当 直 員が試 料 大 気の 取 り入 れ口を 風 上 側の ウ ィ ソ グに 取り付 け,
試 料 大 気を ガ ラス ま たは ス テ ソ レス 製の フ ラス コ に電 動 式ポ ソ プを 用 い て加 圧 採集
する。
試 料 採 集に要 する時 闘は 約 5 分で あ る。商
船 が帰
国した際に,
採 集 済み の フ ラ ス コ は 我 々 の研 究室に返送 さ れ,
新た なフ ラ ス コ が積み込まれ る。
今口ま で に利 用し た商船
は,横
浜一
メ ル ボル ン,東
京一
シ ア トル,
東 京一
ニ ュー
ヨー
ク , 東 京一
ロ ス ア ンジ ェ ル ス 航 路に就 航し て い る コ ン テナ 船であ り,
それ ら の代 表 的な航 路を 図1
に示す。 採集さ れ た試 料大 気 は,CO2
,C
職 ,N20 ,
CO
な どの温 室 効 果 気 体の 濃 度お よび炭 素 同 位 体 比の 分 析に 供せ ら れたe3. CO2
濃 度の変動
と分 布 太平洋上 で の 大気中CO2
濃 度の 変 動の 特 徴をみ る ため に, 代 表 的 緯 度における観測結 果を 図2
に 370 053 033(
>
E臨
匹)
ZOF <に
ド Z 国 OZOQ δ り 370 350 330 竃982 〜984 19巳6 198巳 1990 1992 YEAR 370 350 330 37Q 350 5]0 図2 太 平 洋上の各 緯 度における大 気中のCO2
濃 度の変 動 細い 実線は季 節変 化を除去した もの で,
濃 度の経年 増加 を 表 す。 海 平 成 4 年12月 示す。 こ の 図から わか る よ うに,CO2
濃 度は, 主 に植 物 活 動に起 因 する 季節 変化 を伴い,
年々 増 加 してい る。
本 観測期 間に おける平 均 的 な 濃 度 の 増加率は1.6ppmv /
年で あ り (ppmv は体 積 百 万 分 率 ),
この 増 加 率は,
我々 が行っ てい る 日本
上 空 の航 空機
観測 や南
極 昭和 基地で の連 続 観 測の結 果 と もよく一
致し て お り (Tanaka
et aL,1987
;Nakazawa
et a正.
,1991a
〔1) ), 地球 規 模を代
表 す る値で ある。 なお, 大気 中のCO
, 濃 度の 系 統 的 観 測が開 始 された1950
年 代 後 半に お け る年増
加 率 が約
0
.
7ppmv
/年であっ た ことを 考 慮 する と, 現 在の 増 加 率は 当 時の 2倍以上 に な っ てい る こ とに なる。
また,
濃 度の 季 節 変 化は北 半球 高緯 度で最 も 大 き く, 南下する に従っ て小さ くな り,
南 半 球 で はその 振 幅が1ppmv
ま た は そ れ 以下 となる。
季 節 変 化が南 半 球 よ り北 半 球で大 きい とい う事
実 は, 両 半 球にお け る 大 陸 面積
即 ち陸上植 物の 現 存 量の 違い を反 映し た もの であ り,
北 半 球 高 緯 度で 季節 変 化が最 も大 き くなる主 な 理 由は, こ の緯
度 帯で は大 陸が 占め る割 合が大 きい の で, 陸地で生 じ た季 節変化 が減 衰されに くい ことにある。 さ ら に図2
に もみ られるよ うに, 濃 度の 経 年 増 加に重 畳 し た約2 年
程 度の 周期を もつ 不規 則 変 動 もCO2
濃度変
動の特微
の1
つ で ある。 こ の 変 動は,
赤 道 海 域で 発 生 するエ ル ニー
ニ ョ 現 象と よい 相 関 が あ り;「
海
況 変 動に伴っ て大気・
海 洋 間のCO2
交 換 に不 均 衡が 生 ずる た め と従 来 考 えられて きた。
し か し,
我々 な どに よ るCO
,の炭 素 同位 体比の分 析 結 果か ら,
気 候 変 動に起
因 し て 引 ぎ起こされる大 気・
生 物 圏 間におけるCO2
交換 の不均衡
が 原 囚 と な っ てい る と, 最 近 強 く主 張される よ うに なっ て い る。 」60 358 35fi竃
… s ss2 薹 35。 羞§
コ“Bギ
468:
:
;
:
;
:
SP 6D50 40 30 20 10.
EQ ID 20 30 40 5050 NP いT[TUDE (degrees ) 図 3各年の大気中の
CO2
濃 度の年平均値の緯度分 布 Lし 114号 ボ ラソ テ ィア商船を利用し た温室効果気体の循 環に関 する研究 o 図
3
に, 本 観 測,
昭 和 基 地での 連 続 観 測,
仙 台 沖で の 航空機
観測 およびア メ リ カ海 洋大気 庁に よ るア ラス カ・
ポイ ン トバー
P と南 極 点で の連 続 観 測か ら得
ら れ た 結果を 用い て 作成 し たCO2
濃 度の 年平均値
の緯
度 分 布を 示す。 こ の 図か ら,CO2
濃 度の増 加が地 球 規 模の 現 象で あるこ と がよ く分か る。
ま た,
年に よっ て緯 度 分布
は多 少異 な る が,
濃 度は南 半 球よ り北半球,
特に中 高緯
度, で絶え ず 高い こ ともわか る。
この よ うな濃 度の 緯 度 分 布 は,
北 半 球の 中高緯
度か ら多量のCO2
が 放 出 さ れ, そ れが 主に南 半 球に向
っ て輸 送さ れてい る こ と を意 味して い る。 北 半 球の中 高 緯 度か ら放 出さ れ て い るCO2
は先 進諸 国に おけ る化石燃 料 消 費に よ る もの と 考 え ら れ る。 ち な みに,
我々 が東 京一
シ ドニー
間お よ び東 京一
ア ン カ レ ッ ジ間の 対 流 圏 上部で 行 っ た航空機 観測 の 結 果とこ こ で 示した分 布を比 較 するこ とに よっ て,
北 半 球か ら南 半 球へ のCO2
の 輸送は対 流圏
上部 を 通 し て効 率 よ く行 わ れて い る こ と が明らか と なっ て い る(
Nakazawa
et aL ,1991b
(2) )o図
4
は本 観 測お よ びア メ リ カ海 洋 大 気 庁の観
測 の 結 果と2
次元 大気 輸送モ デル を 用い て得
ら れた 5 5 0 0 呂 瞿 ¢ U 』 旧 旨 GMCC 1.
6 ’ 馴.
5 笛 o.
5n・
0.
8 oL−−
1一lL
コ
・
し
十
一
… ].
7 TOIIOI(U 15 3.
a 01.
4,
匸
1鹽
’
1
デ
L
−
: 2.
2CO2
の放 出 源・
吸 収 源の年 平 均 強 度の緯
度 分 布で ある (Tans
et al.
, 1989
(5))
。 2
つ の デー
タ セ ッ トの 結 果に は,
経 度 方 向の 濃 度の不均一
性に起 因 する 違い が み ら れ る が, 化 石燃料消費
の 寄 与を 除去 した結 果は,
両半 球の中 緯 度の 地 表 (海 洋 も 含む)はCO2
の 吸 収 源とし て 作 用し てお り,
赤 道 域の地麦からCO2
が放出 さ れてい る こ と を 示 し て い る。
現在, 熱 帯 降雨林の 破 壊に よ っ て,
赤 道 域 か ら 大 量 のCO2
が 放 出さ れ てい ると主張されて い るが, この研 究に よ っ て得ら れ た赤 道域か らのCO
, の 放 出量は海 洋か らのCO2
の放 出に よ っ て ほ ぼ説明がつ くの で, 少な くとも森 林 統 計 を 基に し て 主 張さ れて い る 生物 圏か らの 放 出 量の 見 積 り の う ちの 大 ぎな値とい うことはない だろ う。
なお,
赤 道 海域 で はCO2
を 多 く含む深 層水 が表
面に 湧 昇 して お り, 海 洋か ら大 気に向か っ てCO2
を 放 出し て い るこ とが よ く知 られて い る。
現 在の大 気 中のCO2
濃 度の増 加 原 因を解 明す る ため に は, 大 気・海
洋間に お けるCO2
の 交換 量 を 評 仙 する こ と が 不可 欠である。 その ため に,多
く の 試みが な されてい るが,
大 気 と表 層 海 洋のCO2
の 分 圧差 を 測定 する方法は有
望 な 手 段 と考え ら れ て お り,
広範にわた る観 測が行わ れてきた 。 し か し, 従来の 多くの 観 測は 分圧差の 季 節 変化 を無 視 し て行わ れ て お り,
満足 すべ き結 果 とはい え ない。
そこ で,
我々 は,
コ ソ テナ 船の 定 期 性 を 利 用し て,
日本一
オー
ス ト ラ リア間でCO2 分
圧差
の系統
的観
測を行っ て い る。1991年 8
月に得ら れ た 結果を1
例 と して 図5
に示 す。 こ の 結 果に よ る と, 北 半 球 中緯
度か ら赤
道 域の 海 洋は大 気 中のCO2
の放 出源 となっ て お り,
南 半 球 巾緯度
の 海洋
は 吸収 源・
o.
5−
1一
匚.
5 400 1.
5幽
70−
50幽
t囗一
コO幽
20−
10 0 10 20 コロ le 5σ 70 D匚GRC匚5 L臼τITVO[ 図 4 実測 さ れ た CO £デー
タ と大 気 輸送モデル か ら 推定された COg の放出源・
吸 収源の年平均強度 の緯 度 分 布 上 はア メ リカ海洋大 気庁の デー
タを用い た結 果,
下は東 北大学のデー
タを 月い た結 果であり,
破 線は化 石 燃 料消費の寄 与を差し引い たもの で ある。
結果は炭 素換 算で与 え られて お り,
単 位 のGt
は十 億 トソ である。 獅 603 403 203 oo3 タ巨
e
§
鐔
審 の 三8Q
麟ロ
9
論。
.
’
轜
ふ
蠧
糠
鷲
蹴
蕁
舞
無
280−
60・
40−
20 0 20 40 LATITUI )E 図5
1991年8
月に 日本一
オー
ス ト ラ リ ア間で測 定 さ れ た大 気 (小さ な記 号 )と表層海洋 (大 ぎな 記 号)における:CO2
分 圧16 航 として作用 して い るこ とにな る
。
し か し, 北 半球 が冬の時 期に得 られた結 果は,
上の結 果 とほぼ逆 の 傾 向を 示 して い る。 こ の こ とか らCO2
分 圧 差か ら大気 ・海洋
間のCO
,交換
量を見積
る た め には,
観 測 を 系 統 的に 行 うことが重 要であ り, ま た, 従 来の観測結 果を 見 直す 必要
がある と い え る。4.
CH4
濃 度の変 動と分 布 図6
は 太 平 洋上に お ける船 舶 観 測か ら得 られたCH
,濃 度の 変 動の1
例 である。CH
,濃 度 もCO2
と 同様に季 節 変 化を伴っ て経 年的
に増 加し て い る。 この ような 濃 度 増 加 を 引 き起こす 原 因 とし て,
反 芻 動 物の 飼 育 頭 数の増
加, 水田 面積
の 拡 大, バ イ オマ ス 燃 焼,
天然ガ ス の 採 掘,
廃 棄 物の 埋 立 な ど が候補
と考え ら れ る が,
定量的 寄与は未だ解 明さ れてい ない。
本 観 測に よ っ て得ら れ た 平均 的な濃 度の年増
加率
は 約10ppbv /年 (ppbv
は体積
十億 分 率 )であ り,
H
本上空の航 空 機 観 測や昭 和 基地 に おける連 続 観測お よ び ア メ リ カ海 洋 大気庁
の 観 測の 結果 と も よ く一
致して い る。 な お,1970
年 代後半
か ら1980
年 代 前 半に行わ れた観 測か らは 約17ppbv /年
の年
増加率が得
ら れて お り, 増加傾 向 が こ こ10年
の 間に急 速に鈍 化した こ とになる。
原 因は 現 在の とこ ろ 全 く不 明 で あ る が,
北半 球 宀 :sso 17SO 1650 Go 工8 oD η oo16(
冫
且
、
曇 畧 8 口8
莇 ∪ 1800 ↓700 1600 Vca:
1SOO 1700 t600 Isoo IToo 160e 図6
太平洋上の各緯度に お け る大気中のCH
濃 度 の変動 海 平 成 4年12月 高 緯 度で の 鈍 化が著し い こ と が指 摘さ れ て い る (Steele
et aL ,1992
(3))
。こ の 鈍化傾 向が
一
時 的な もの か継 続 的な もの かを 明 らか にするこ とは ,将来
の濃度
予測 お よ び濃
度 増 加へ の 対 策に とっ て 極め て重 要で あ り, 原 因の究 明が急がれる ところ である。CH
,濃
度の 経年
増 加に も数年
周期の不規 則 変 動 がみ ら れ,
エ ル =一
一
= ヨ や ラ ニー
ニ ャな どの 海 況 変 動に伴 う気 候 変 化に よっ て地 球 表 層 に お け るCH4
循 環に変
化 が生じてい る と考え られ る。 こ の 原 因は 具 体 的に ま だ 理解さ れてい ない が,CO2
濃 度の 変 動と比 較 すると,
位 相が半 年か ら1
年 程 遅 れてい るの で,気
候 変 化に よっ て旱魃
が発 生し, その 後,CH4
が発 生し易い 嫌気的 雰 囲 気が作り出 さ れ る まで に時
間を要す る とい う事 も1
つ の 可能 性とし て考え られる。 し か し,
原 因を定 量 的に 埋 解 する ために は さ らに研 究が 必要
で あ り,
得 られ る知 見は,地 球 表 層のCH4
循 環を 理解 する ため に 重要な情 報と なるだ ろ う。
CH4
濃度 の 季節 変 化に は, 水 田 や 湿 地か ら 放 出 されるCH4
量が季 節 的に変 化 する こ と と,主に 夏 季に増
加 す るOH
ラ ジ カル(
水酸 基 )との 反 応に よ っ てCH4
が 大 量に消 滅 するこ と が強 く関 与し てい る。 我々 の 観 測 結 果は , 季 節 変 化の 振 幅が 北 半 球 中 緯 度で最 も大 き く,
南 北に 向かっ て小さ く な り,南半
球で は30ppbv
とほ ぼ一
定となる こと を示し て い る。 振 幅が南 半 球より北半球 で大 ぎい とい う事 実は,
北 半 球に は大 陸が 広 く存 在して お り, そ れ だ けCH4
の 発 生量の 季 節 変 化が大 きい とい うこ と を反 映し た もの である。 ま た, 北 半 球 におけるCH4
濃
度の 季 節 変 化が緯 度 的に異 なる 理 由は,
緯 度に よ っ て発 生 量の季 節性 が異な るこ と, お よ びOH
ラジ カ ル との 反 応に よ る消
滅量 の 季節 変 化の位 相が発生 量 の変
化の 位 相 と「致しな い こ とにある。
な お図6
か ら, 赤 道に おけるCH
,濃
度の季節
変 化の低濃度
の 継続
期 間が長 くなっ て い るこ と が み られ るが,
これは 夏 季に東南
ア ジア で発生す るモ ソ スー
ソ循環
に よっ て南 半 球の低 濃 度の 大気が北 半 球の 低緯
度に侵入して い る た め と 考え ら れ る。図
7
はCH
,濃
度の年
平 均 値の緯 度 分 布である。 この 図か らも,CH
膿 度が全 球 規模 で年 々増 加し て い る事が分か る。
ま た,CH4
濃 度は絶えず
南 半 球よ りも北 半 球で高 く, 北 半 球 高 緯 度 と南 極 域のt
(
〉 ρ ロ &ロ
O ロ帽
b き U口
OO寸
瓢 り 114号 IS50 1800 1750 1700 165e品
6。 1600・
1 ボ ラン テ ィア商船 を 利 用した温室 効 果 気体の循 環に 関 する研 究 DegeofLatitUde 30 0 N曹
o.
5 0 0.
5 SineofLa琶陣dじ 図7各年の大 気 中の
CH4
濃 度の年 平均 値の緯 度 分布 1 濃 度 差は約130ppbv
となっ て い る。
我々 が南 極 お よ び グ リー
ソ ラ ン ド で掘 削さ れ た氷床 コ ア に含 ま れる気 泡 空 気を分 析して得た結 果は , 人 間 活 動 が 活発
で な か っ た時 代の そ れ ぞ れの 地 域の 濃 度が700ppbv
と750ppbv
であっ た こ と を示し て お り,
北 半 球に おけ る人 間 活 動に よっ て,濃
度の 南 北差
が この200
年間で80ppbv
も拡 大 し たこ とに な る。
なお,200年
以前で もC
職 濃 度が北 半 球で高か っ た とい う事
実は,
自然 的 要 因に よ るCH
,の 発生 が南 半 球よ り北半球におい て多か っ た こ と を意 味 し てい る。CH4
濃度
の系 統的
観 測は未だ緒に 着い たばか り とい っ て も過 言で は な く, 上で述べた よ うに,
多 くの点
に つ い て十 分 な 理 解が得 られて い ない の が現
状である。
今 後,
きめ 細か くかつ 長期にわ たる 観 測を実施
し, 有 効な循 環モ デル を 開 発 するこ と に よ っ て, 増加の 原 因を 定量的に 把 握す る必 要が ある。
5.
商 船を利 用し た
観測
の有
効性
と問 題 点我々が温 室 効 果気
体
の循 環に 関 する研 究 を 開 始 し たの は1978
年で ある。
その 当時,
観 測 点の数
も 少な くま た各 研 究 機 関の 測 定精
度 が 低 くかつ ま ち ま ちであり, 温 室 効 果 気 体の分 布 と変 動の実 態 を 解 明 する 上 で大 き な障害
と なっ てい た。 そこ で我 々 は,
統一
した高い 測 定精 度の 下 で広域に わ た る 変 動と分 布を明 らか にする ため に,
ボ ラ ン テ ィ ア 商 船を 用い て 系統
的に大 気 試 料を採 集 するこ と を 思い付 き, 今日 まで継 続 し て き てい る。 これ まで の経 験か ら, 商 船 を 利 用した観 測は , 17(
1)
大 気 と海 洋 中の 温 室 効 果 気 体は一
般 的に 季節変化 を 示すの で, 同
一
航 路を定 期 的に航 海 す るコ ン テ ナ船な ど を用い る ことに よっ て , その 変 化を詳 細に 調べ る こ とがでぎる
,
船 舶は
2
次元平 面を移 動 するの で機 動 性に 富ん で お り
,
広域に わ た る観測が 可能である,陸上の測 定は周 囲の 人問活
動
や植物
活 動の 影響を少なか らず 受 ける が
,
船 舶上に お い て は,
排 煙や 汚 染された キ ャ ビ ン 空気につ い て
一
卜分配慮 する こ とに よっ て, こ の 効 果 を最 少 化 する こ と が で ぎる,
商 船は移 動 するの で
,
試 料 採 集また は測 定の時 間 間 隔 を 短 くすることに よっ て, デ
ー
タ の空間的 分 解 能を容易に
高
め るこ と がで きる.
温室効果 気 体の循 環の研 究に は
,
長 期にわ たる デ
ー
タが 不 可欠であ る が,今
後, 運航形態が変
化し た とし て も,大
量 輸 送 手 段 とし ての 商 船 その ものがな くなる こ とはない と考え ら れ るの で, 長期 観測に は極めて 有 効で ある, な どの利 点を もつ 。一
方,
(1
) 外 国 人 船 員 雇 用 船が急 増し て お り,
観測の 委 託が困 難 と な りつ つ ある,1
航 海に要 する 日数が長い船 舶 を用い る と デー
タ の時
間 的分解
能が 低 下 し, 変動の把握 が困難 と なる, (
3
) 就 航 航 路 がほぼ 決 まっ て お り,
ニ ル ニー
ニ ョな どの
海
況 変 動と関連
し た現 象を測 定し ようとして も, その
海
域 に行け ない 場 合 が多い , などの 難 点 もある。
しか し,
ボ ラ ン テ ィ ァ 商 船は あ く まで も商 船で あるの で, これ らの 点は , 研 究 者の 側の 努 力に よっ て解 決しな け ればな らない。
例 え ば,
観 測 装 置の小
型 化お よ び全 自動化
を 図っ た上 で, 同一
航 路に 就 航 して い る複 数の 商 船 ある い は 不 定 期 船に観 測を依 頼 する こ と を考 えるべ き で あ ろ う。
6. 謝
辞 我々 の 温 室 効 果 気 体の 循 環に関 する研 究に お い て, 商 船を用い て 得た デー
タ は 最も重 要な位 置を 占め て い る。 これ らの デー
タ は,
日本 郵 船 株 式 会 社,
山 下新
日本 汽 船株
式 会 社 (現ナ ビ ッ クス ラ イ ン株 式 会 社 ),
大 阪 商 船三井 船 舶 株 式 会 社,川崎 汽 船株
式 会 社, 東 京 船 舶 株 式 会 社,
シ リ ウス マ リー
ン株 式 会 祉の ご協力 を得て と ら れ た もの であ り,18
wt
fikE
trc,bik
O
msemo
ue
lt
ft
L
rk
-e".
ts
x
y
xx
(1)
T,Nakazawa,
S.Aoki, S.Murayama, MFukabori,T.
Yamanouchi,
H.Murayama,
M.
Shiebara,.
G.
Hashida,
S,
Kawaguchi andM.
Tanaka,
The
concentration of atmospheric carbon
dioxide
atthe
Japanese
Antarctic
Station,
Syowa,
Tellus,
43B, 126-135,1991a-(2)
T.
Nakazawa,
K.Miyashita, S,Aoki andM.
Tanaka,
Temporal
and spatial variations ofupper tropospheric and lower stratospheric
carbon
dioxide,
Tellus,
43B, 106-117,1991bJ
tu
iFpt4i4!12E(3)
L.
P.
Steele,
E.
J,
DIugokencky,
P.
M.
Lang,
P.
P.Tans,
R,C.
Martin andK.
A.
Masarie,
Slowing down of the global accumulation oi
atmospheric methane during the 1980's, Nature, 1992, in press,
(4)
M.
Tanaka,
T.
Nakazawa
andS.
Aoki,
Time
and $pace variations of tropospheric' carbon
dioxide
overJapan,
Tellus,
39B, 3-12, 1987,(s)
P.P.
Tans,
T.J.
Conway
ana T.Nakazawa,
Latitudinal
distribution
.of
the sourqes and sinksof atmospheric carbon