腹腔内注射によっては1、2-Naphthylamino誘導体はβ-誘導体 よりも毒性は少ない。 2.pheuylthioharustoffは毒性強し 〔焼失により高木委員抄出〕 帝國臓器(昭和19年12月19日受理) 1)第三報本誌本号 141.辻榮一:薬液凍結に関する基礎的研究(第一報) 注射薬液の凍結温度に就て 薬液の凍結温度(氷点降下)は濃度、滲透圧及び蒸気圧に比例し、同一 薬液では温度と時間に比例する即ち一定量の溶媒に対して各種物質の1 瓦分子を溶解したる溶液は何れも相等しい氷点降下並びに滲透圧を示 すのである。が実験の結果より見ると内容量大なるリンゲル液、ロック液の如 きものは大体同一結果を得たが、内容量20cc以下の薬液に於ては同一薬液 とても凍結温度は同一ならず児玉氏1)の発表は恐らく一種一品のみに付て 実験されたのではないかと思ふ。実験の結果より見ても注射薬液(アン プル入を指す)の凍結温度は何度と決定する事は困難で何度乃至は何度 内とせねばならぬ。 以下理論の展開と共に実験結果を検討してみた。 注射薬液は、その性質上大体血液に対し等滲透圧若しくは高滲透圧に調 整する。今同濃度の薬液について考へると、その氷点降下は0.56°であり、濃 度は(溶質は非解離物質とする)0.56/1.86=0.3mol滲透圧は22.4 x0.3=6.72気圧即ち大体7気圧(体温37°で8気圧)となるわけで ある。次に普通使用される高張注射液の氷点降下度、滲透圧は下記の如 くなる。 注射薬名 氷点降下度 滲透圧(気圧) 50%葡萄糖注 5.2° 63 10%塩化カルシューム注 3.3° 40 10%食塩水注 6.3° 76 実験の結果、蒸溜水であるに拘らず-19°でも凍結しないのである。 過冷を防ぐため時々動揺を与へた。試みにアンプルを開封してみると正
-13-常の凍結を示す。この現象は20%葡萄糖注射液でも同様であった。 即ちアンプル封入注射液の凍結は滲透圧のみでは解釈出来ない他の因子 が存在しているのである。 注射液はアンプル封入のため、薬液の蒸気圧が亦凍結温度を左右す る重大因子である。蒸気圧と氷点降下の関係は下表の如くなる 凍結点 0.0075° 0° -1° -2° -5° -10° -15° -18° -22° 圧力kg/cm2 0 1 133 260 615 1155 1625 1790 2115 蒸溜水の蒸気圧と温度の関係は下表の如くである。 温度 0° 10° 20° 80° 90° 100° 110° 蒸気圧kg/cm2 1/160 1/83 1/43 1/2 2/3 1 12/5 更に溶質が不揮発物質なるときは、蒸気圧は溶媒のときのみの蒸気圧よ り減少する。この減少度は滲透圧に比例する。 蒸溜水が-19°でも猶ほ凍結せぬ事実を圧力の影響のみと考へると、アン プル内圧は2000気圧ある事になる。然るに実際はアンプル融閉に際し アンプル内の薬液と空気は加温されるので寧ろ減圧・状態にある筈である。 本薬液の4°以下に降下するときは水溶液の場合は約10%容量を増加す るもので、アンプル内は再び常圧程度になるものと思はれる。 かく考へると、アンプル封入蒸溜水が-19°で凍結せざる事実は滲透圧・蒸 気圧以外の他の因子の存在が推定される。この原因の探索は他の機会に 譲り第一報としては同一注射薬液とて、凍結温度必ずしも同一ならざる 事実を報告する。 〔焼失により小林五郎委員抄出〕 満鉄換順保養院(昭和19年12月20日受理) 142. 辻栄一 薬液凍結に関する基礎的研究(第二報) 各種条件による注射薬液の凍結率に就いて 1)凍結率の測定法 一定数の同一薬液を各々条件を〓へて一夜屋外に放置して凍結群と不 凍結群との比率を計算して凍結率とした、以下記載温度は一夜の最低気温で ある。 II)アンプル包装と凍結率 上下二段格納の場合はザルソブロカノン注射液を例にとり気温-25° にて上段60%下段32%、五段格納の場合は上段、二段、下段、四段、三段