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北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1) ― 特別支援学校への調査から ―

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Academic year: 2021

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(1)Title. 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1) ― 特別支援学校への調査から ―. Author(s). 清水, 拓海; 白府, 士孝; 高石, 純; 俉樓, あやの; 伊東, 実; 厚谷, 摩紀; 北村, 博幸. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 68(1): 93-107. Issue Date. 2017-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/9561. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第68巻 第₁号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 68, No.1. 平 成 29 年 ₈ 月 August, 2017. 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1) ― 特別支援学校への調査から ―. 清水 拓海*・白府 士孝*・高石 純*・俉樓あやの*・ 伊東 実**・厚谷 摩紀***・北村 博幸**** *. 北海道教育大学附属特別支援学校 **. 北海道七飯養護学校. ***. 北海道函館五稜郭支援学校. ****. 北海道教育大学函館校障害児臨床教室. Study for Instructional Improvement on Special Needs Education in Hokkaido ― Research at Special Needs School ―. SHIMIZU Takumi*, SHIRAFU Noritaka*, TAKAISHI Jun*, GORO Ayano*, ITO Minoru**, ATSUYA Maki*** and KITAMURA Hiroyuki**** *. Special Needs School, Hokkaido University of Education **. Hokkaido Nanae School for Handicapped. ***. Hokkaido Hakodate Goryoukaku special support education school. ****. Department of Special Education, Hakodate Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 本研究は,北海道の特別支援学校で勤務している教師を対象としたアンケートを基に,北海 道の特別支援教育における課題や今後の授業改善の方向性について明らかにすることを目的と した。調査や考察の結果,授業づくりにおいて,①教師からの働き掛けによって成り立つ関係 づくりが難しいこと,②学習課題を焦点化したり,行動の原因を追究したりすることが難しい こと,③長所を生かして課題解決するための授業づくりが難しいこと,児童生徒の実態に応じ た適切な支援と評価が難しいことが課題であり,これらの課題解決が授業改善につながること が明らかとなった。. 93.

(3) 清水 拓海・白府 士孝・高石 純・俉樓あやの・伊東 実・厚谷 摩紀・北村 博幸. Ⅰ はじめに. Ⅱ 方 法. 平成19年度の特別支援教育の本格実施から今日. 1.調査の目的. まで,法制度と様々な施策によって,地域におけ. 近年,特別支援学級や特別支援学校の発達障が. る支援体制や校内における支援体制が整備されて. いや知的障がいを有している児童生徒の在籍者数. きた。併せて,教員にも特別支援教育の理念が浸. が増加し続けている。また,個々の実態やニーズ. 透し,特別な支援を必要とする幼児児童生徒の教. も多種多様であり,特別支援教育における授業づ. 育支援体制がより整ってきたと言える。. くりでは,日々高度な専門性が求められている。. 平成25年度の文部科学省の調査によれば,国全. そこで,北海道教育大学附属特別支援学校の学校. 体の児童生徒数は減少傾向にあるのに対し,特別. 研究主題を「北海道の特別支援教育の授業力を考. 支援学校の在籍数は1.3倍に増加し,特別支援学. える~子どもたちがわかる・できる・楽しむ授業. 級の在籍者数は2倍に増加,通級による指導を受. を目指して~」として,北海道の特別支援教育に. けている児童生徒は2.3倍に増加している(いず. おける授業づくりの現状や課題を明らかにし,改. れも平成15年度比)。特別支援教育を支えるハー. 善に向けてどのような方法があるか研究すること. ド面の整備と同時に,増加し続けている特別支援. とした。. 教育を必要とする児童生徒に対する質の高い指. そのために,「北海道の特別支援教育における. 導・支援も必要となる。そのためには,教員の資. 授業力向上に関するアンケート」を,北海道全域. 質・能力の向上が最も重要であると言える。. を対象に小・中学校特別支援学級(無作為抽出). 北海道教育大学附属特別支援学校では学校研究. と知的障がい特別支援学校へアンケートを実施す. 「北海道の特別支援教育の授業力を考える~子ど. ることとした。. もたちがわかる,できる,楽しむ授業を目指して. 本校では,「授業力」について,教員の資質・. ~」の一環として,北海道の特別支援教育におけ. 能力のうち,特に実際の授業場面において具体的. る「授業力」の現状と課題を明らかにするための. に発揮される力と押さえた。そして,「授業力」. 調査を実施した。教員の資質・能力のうち,特に. を「児童生徒との関係づくりの力」 「実態把握の力」. 実際の授業場面において具体的に発揮される力を. 「計画する力」「支援する力」の4つの力の視点. 「授業力」として捉え,この「授業力」を「児童. から捉え,授業や学校生活の具体的な場面を想定. 生徒との関係づくりの力」「実態把握の力」「計画. しながら質問項目を設定した。. する力」 「支援する力」の4つの力から考えてい. 「授業力」の4つの力は以下のとおりである。. くこととした。調査のアンケート作成にあたって. 「児童生徒との関係づくりの力」については,. は,本校職員や近隣小中学校や特別支援学校に予. 教師と児童生徒との双方向の発信と受信による関. 備調査を実施しながら,北海道教育大学の協力を. 係性であり,授業を展開する上で基盤となり,欠. 得て,アンケートを作成した。そして,調査は北. かすことのできない力と考える。. 海道の知的障がい特別支援学校41校と知的障がい. 「実態把握の力」については,児童生徒の実態. 特別支援学級を設置する397校それぞれの学級担. 像と指導・支援の在り方を把握することであり,. 任へ,アンケートの回答と返信を求める形式で実. 診断的・形成的に授業づくりをする上で必要な力. 施した。. と考える。. 本研究は,全調査のうち,知的障がい特別支援. 「計画する力」については,授業構成や単元計. 学校の教師を対象として実施したアンケートの結. 画の全体を見通す力であり,また,結果を分析し. 果を基に, 授業づくりに関する課題を明らかにし,. て授業改善につなげるために必要な力と考える。. その改善方法を検討することを目的とした。. 「支援する力」については,教師が児童生徒の. 94.

(4) 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1). 実態に即して,計画的に支援することであり,児. ケート項目の作成ならびに修正を行った。. 童生徒の可能性を伸ばすために必要な力と考える。. ・本校職員に対して,調査用紙に解答してもら. 本調査を通して,北海道の特別支援教育におけ. い,所要時間,アンケート項目や内容,妥当. る「授業力」の現状と課題について明らかにし,. 性について協力を得た。. 学校間や経験年数,4つの力等との関連を探りな. ・函館特別支援教育研究会に加盟する知的障が. がら改善方法を考察していく。そして,明日の授. い特別支援学級を有する学校12校に対して,. 業に生かせる情報や,児童生徒がわかる・でき. アンケート用紙に回答・記述してもらい,授. る・楽しめる授業づくりに役立つ情報を発信した. 業づくりの日常の課題について調査した。. い。. ⑹ アンケート項目 作成したアンケート項目の概要は以下のとおり. 2.調査の方法. である。. ⑴ アンケートの対象 北海道内の知的障がい特別支援学校(本校・分 校)41校 ⑵ 回答方法 ・郵送により,調査についての依頼文書と調査 用紙,返信用封筒を送付した。 ・調査用紙に記入の上,郵送による返信を依頼 した。 (メールによる返信は,希望がある場合のみ 可とした。 ) ⑶ アンケート実施期間 平成27年8月~平成27年9月 ⑷ アンケート項目の作成 以下の資料・文献に基づき,素案を作成し,予 備アンケートを実施してアンケート項目の作成を 行った。 ・文 部科学省(2009) :特別支援学校学習指導 要領解説総則等編(幼稚部・小学部・中学 部・高等部). ・北 海道教育大学附属特別支援学校(2013): 北海道教育大学附属特別支援学校研究紀要.. 表1 アンケート項目 Ⅰ「関係づくりの力」 1.授業のはじめの児童生徒への注意喚起 2.児童生徒の授業への興味 3.児童生徒から教師へのかかわり 4.児童生徒から教師への援助依頼 5.児童生徒と教師の信頼関係 Ⅱ「実態把握の力」 1.児童生徒の興味・関心の把握 2.児童生徒の得意なことの把握 3.児童生徒の苦手なことの把握 4.児童生徒の学習課題(学習内容)の把握 5.児童生徒の問題行動の原因の把握 Ⅲ「計画する力」 1.授業の段階的な計画づくり 2.児童生徒の興味・関心を生かした計画づくり 3.児童生徒が課題解決できる活動設定 4.児童生徒が意欲的な学習内容の構成 5.授業計画の評価・修正 Ⅳ「支援する力」 1.児童生徒への支援のポイントとコツ 2.児童生徒への過剰な支援 3.児童生徒についての情報の教師間の共有 4.授業での役割分担 5.児童生徒への支援の評価 Ⅴ自由記述. 第28号. ・北村博幸,五十嵐靖夫,細谷一博編著,北海. ⑺ 自由記述の回答の分析. 道教育大学附属特別支援学校編(2015)特別. 自由記述による回答欄は「今回のアンケートの. 支援教育の授業づくり「社会とかかわる力」. 内容以外にも,日々の授業において悩んでいるこ. を育てる!6つの支援エッセンス.明治図書.. とや困っていることなどがありましたら,以下の. ⑸ 予備アンケート. 自由記述欄にお書きください。」と設定した。授. 下記のように予備調査及び意見聴取を行い,予. 業についての内容だけでなく,日々の指導での悩. 備アンケートを行った。その結果に基づいてアン. みや学校体制に対する意見なども含め,現場の声. 95.

(5) 清水 拓海・白府 士孝・高石 純・俉樓あやの・伊東 実・厚谷 摩紀・北村 博幸. として吸い上げることを目的として設定した。各. 52名 (16%). アンケート項目に関係がある回答のみカテゴリー に分けて分析し,アンケートの設問と合致しない. 97名 (30%). 回答については参考資料として保管するが,結果 の分析からは除外することとした。カテゴリーの. 103名 (32%). 振り分けについては,第1評定者(担当1名)第. 70名 (22%). 2評定者(研究部5名)第3・第4評定者(管理 職5名・本校全職員)で協議し,分類の適合性を. 0人. チェックした。. 100人. 200人. 300人. 図2 特別支援教育に携わった年数. Ⅲ 結 果. 特別支援教育に携わった年数は多い順で「6年. 1.基本情報. から10年」が103名(32%),「11年から20年」が. ⑴ 有効回答校数・有効回収率・有効回答者数. 97名(30%),「5年以下」が70名(22%),「20年. 有効回答校数は33校,有効回収率は80%であっ. 以上」が52名(16%)であった。. た。 2.授業力に必要な4つの力. 有効回答者数は322名であった。. ⑴ 関係づくりの力 ⑵ 学校に関する基本情報. 「関係づくりの力」について,学校生活におけ. 回答者が所属している学部の種類を図1に示す。. る教師と児童生徒の関係性に着目し,日常生活場 面と授業場面を分けて,計5問の質問を設定した。. 51名 (16%) 73名 (23%). 中学部 小学部 0人. 100人. 1つの質問につき,難しいと思うことの頻度に関. 198名 (62%). 高等部. して4件法(「よくある」「たまにある」「あまり ない」「まったくない」)で回答を求めた。 アンケートの各設問をⅠ-1「注意喚起」,Ⅰ. 200人. 300人. 図1 所属している学部. -2「授業への興味」,Ⅰ-3「教師へのかかわり」, Ⅰ-4「教師への援助依頼」 ,Ⅰ-5「児童生徒 との信頼関係」とし,4件法の回答を「1まった くない」,「2あまりない」,「3たまにある」,「4. 所属している学部は, 「高等部」が198名(62%),. よくある」の順に図3に示す。. 「小学部」が73名(23%) 「中学部」が51名(16%) であった。 Ⅰ-1 注意喚起. ⑶ 特別支援教育に携わった年数 本アンケートでは,授業づくりにおける難しさ. Ⅰ-2 授業への 1% 興味. 16%. 数についての項目を設定した。図2に特別支援教. Ⅰ-4 教師への 援助依頼. 14%. 育に携わった年数を示す。. Ⅰ-5 児童生徒 との信頼関係. 5%. 58%. 33%. Ⅰ-3 教師への かかわり. を調査するにあたり,特別支援教育に携わった年. 44%. 38%. 6%. 18% 3%. 65% 49%. 図3 関係づくりの力. 96. 8% 26% 2%. 56%. 40%. 12%. 7%. まった くない あまり ない たまに ある よくあ る.

(6) 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1). 「授業のはじめに,児童生徒の注意をあなたに. たくない」が9名(1%)であり,全体の70%の. 向けさせることが難しいと思うことがあります. 回答者が楽しみにしていないと思うことがよくあ. か」の回答数を図4に示す。. る,たまにあるという回答だった。 「学校生活において,児童生徒からあなたにか. 50名 (12%). かわってきていないと思うことがありますか」の 回答数を図6に示す。. 181名 (44%) 158名 (38%). 10名 (2%). 26名 (6%) 0人. 100人. 200人. 109名 (26%). 300人. 230名 (56%). 図4 注意喚起. 66名 (16%). 図4が示すように,授業のはじめに児童生徒の 注意を教師に向けることが難しいと思うかについ ては, 「よくある」が50名(12%)「たまにある」. 0人. 100人. 200人. 300人. 図6 教師へのかかわり. が181名(44%),「あまりない」が158名(38%) 「まったくない」が26名(6%)であり,全体の. 図6が示すように,学校生活において児童生徒. 56%の回答者がよくある,たまにあるという回答. からあなたにかかわってきていないと思うことが. だった。. あるかについては, 「よくある」が10名(2%) 「た まにある」が109名(26%),「あまりない」が230. 「授業のはじめに,児童生徒が授業を楽しみに. 名(56%) 「まったくない」が66名(16%)であり,. していないと思うことがありますか」の回答数を. 全体の72%の回答者があまりない,まったくない. 図5に示す。. という回答だった。 「学校生活において,児童生徒が困っていると. 32名 (8%). きにあなたを頼りにしていないと思うことはあり 239名 (58%). ますか」の回答数を図7に示す。. 138名 (33%). 14名 (3%). 9名 (1%) 0人. 100人. 200人. 76名 (18%). 300人. 269名 (65%). 図5 授業への興味. 図5が示すように,授業のはじめに児童生徒が 授業を楽しみにしていないと思うかについては, 「よくある」が32名(8%)「たまにある」が239. 56名 (14%) 0人. 100人. 200人. 300人. 図7 教師への援助依頼. 名(58%) , 「あまりない」が138名(33%)「まっ. 97.

(7) 清水 拓海・白府 士孝・高石 純・俉樓あやの・伊東 実・厚谷 摩紀・北村 博幸. 図7が示すように,学校生活において児童生徒. 徒をよく褒めるようにしている」「子どもの話を. が困っているときにあなたを頼りにしていないと. よく聞く」「好きなことや興味のあることを保護. 思うことがあるかについては,「よくある」が14. 者や本人に確認する」など,児童生徒と関係をつ. 名(3%) 「たまにある」が76名(18%),「あま. くるために,現場の教師の多くが何らかの方法を. りない」が269名(65%)「まったくない」が56名. 経験から学んだり蓄積しているということがうか. (14%)であり,全体の79%の回答者が頼りにし. がえた。. ていないと思うことがあまりない,まったくない という回答だった。. ⑵ 実態把握の力 「実態把握の力」について,諸検査等ではなく,. 「あなたは,学校生活において,児童生徒と信. 学校生活における児童生徒の日常の様子から教師. 頼関係を築くことが難しいと思うことがあります. が見取ることや,見取りの結果を授業づくりに生. か?」の回答数を図8に示す。. かす部分について,計5問の質問を設定した。1 つの質問につき,難しいと思うことの頻度に関し て4件法(「よくある」 「たまにある」 「あまりない」. 26名 (5%). 「まったくない」)で回答を求めた。 204名 (49%) 166名 (40%). 19名 (5%) 0人. 100人. アンケートの各設問をⅡ-1「興味関心の把 握」,Ⅱ-2「得意なことの把握」,Ⅱ-3「苦手 なことの把握」,Ⅱ-4「学習課題の把握」,Ⅱ- 5「問題行動の原因の把握」とし,4件法の回答. 200人. 300人. を「1まったくない」,「2あまりない」,「3たま にある」,「4よくある」の順に図9に示す。. 図8 児童生徒との信頼関係. 図8が示すように,児童生徒と信頼関係を築く ことについては,「よくある」が26名(5%)「た まにある」が204名(49%),「あまりない」が166 名(40%) 「まったくない」が19名(5%)であり,. Ⅱ-1 興味関心 3% の把握 Ⅱ-2 得意なこ との把握. 5%. Ⅱ-3 苦手なこ との把握. 6%. 全体の54%の回答者が難しいと思うことがよくあ. Ⅱ-4 学習課題 2% の把握. る,たまにあるという回答だった。. Ⅱ-5 問題行動 3% の原因…. 設問の「教師へのかかわり」や「教師への援助. 48% 60%. 45% 33%. 64% 49% 38%. 4% 2% まったく. 28% 2% 46% 51%. 6%. ない あまりな い たまにあ る よくある. 8%. 図9 実態把握の力. 依頼」から,児童生徒からの発信を受ける際に難 しいと感じていない回答者が多い。 「注意喚起」 「授. 「あなたは,学校生活の様子から児童生徒の興. 業への興味」 「児童生徒との信頼関係」の結果から,. 味・関心を把握するのが難しいと思うことがあり. 教師からの働きかけについては,難しいと感じて. ますか」の回答数を図10に示す。. いる回答者が多いと言える。 自由記述欄では,「子どもの視点に立ち,考え ることに難しさを感じる」 「担任が1年で代わっ てしまい,継続して子どもたちとかかわれない場 合が多い。 」などの記述があった。また,「児童生. 98.

(8) 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1). 「あなたは,学校生活の様子から児童生徒の苦. 16名 (4%). 手なことを把握するのが難しいと思うことがあり ますか」の回答数を図12に示す。. 188名 (45%) 197名 (48%) 14名 (3%) 0人. 100人. 11名 (2%) 200人. 115名 (28%). 300人. 265名 (64%). 図10 興味・関心の把握. 図10が示すように,学校生活の様子から児童生 徒の興味関心を把握することについて,難しいと 思うことが「よくある」が16名(4%) 「たまに. 24名 (6%) 0人. 100人. 200人. 300人. 図12 苦手なことの把握. ある」 が188名 (45%), 「あまりない」が197名(48%) 「まったくない」が14名(3%)であり,回答者. 図12が示すように,学校生活の様子から児童生. が難しいと思うことがよくある,たまにあるとい. 徒の苦手なことを把握することについて,難しい. う回答と,あまりない,まったくないと答えた回. と思うことが「よくある」が11名(2%)「たま. 答者がほぼ半数ずつだった。. にある」が115名(28%),「あまりない」が265名 (64%) 「まったくない」が24名(6%)であり,. 「あなたは,学校生活の様子から児童生徒の得. 難しいと思うことが「あまりない」 「まったくない」. 意なことを把握するのが難しいと思うことがあり. と答えた回答者が全回答の70%だった。. ますか」の回答数を図11に示す。 「あなたは,児童生徒の今の力でできそうな学 習課題を把握するのが難しいと思うことがありま 9名 (2%). すか」の回答数を図13に示す。 135名 (33%) 250名 (60%). 25名 (6%). 21名 (5%) 0人. 100人. 200人. 179名 (43%) 203名 (49%). 300人. 8名 (2%). 図11 得意なことの把握. 図11が示すように,学校生活の様子から児童生 徒の得意なことを把握することについて,難しい. 0人. 100人. 200人. 300人. 図13 学習課題の把握. と思うことが「よくある」が9名(2%)「たま にある」が135名(33%),「あまりない」が250名. 図13が示すように,児童生徒の今の力でできそ. (60%) 「まったくない」が21名(5%)であり,. うな学習課題を把握することについて,難しいと. 難しいと思うことが「あまりない」 「まったくない」. 思うことが「よくある」が25名(6%)「たまに. と答えた回答者が全回答の65%だった。. ある」が179名(43%), 「あまりない」が203名(49%). 99.

(9) 清水 拓海・白府 士孝・高石 純・俉樓あやの・伊東 実・厚谷 摩紀・北村 博幸. 「まったくない」が8名(2%)であり,難しい. ば国語の授業を考えるときに該当する児童が漢字. と思うことが「よくある」 「たまにある」という. や読み書きを苦手としていた場合,何を優先して. 回答と「あまりない」 「まったくない」と答えた. 支援すべきなのか,私自身あまり明確にはわかっ. 回答者がほぼ半数ずつだった。. ていません。」「特別支援の経験が少なく,どのよ うに指導したら子どもは理解できるのか,日々,. 「あなたは,児童生徒のパニックなどの行動面. 悩んでいます。また,指導に関する研修等を受け. の問題の原因を見つけるのが難しいと思うことが. たとしてもなかなかそのような機会に恵まれな. ありますか」の回答数を図14に示す。. く,結局は試行錯誤を繰り返す毎日です。」など, 実態把握を学習内容にどのように反映していくべ きかなど,実態把握や課題分析を行い,つまずき. 33名 (8%). や指導内容を理解できていても,直接的な指導に 213名 (51%) 158名 (38%). 11名 (3%) 0人. 100人. 生かすことの難しさを感じている回答者がいるこ とがうかがえた。 ⑶ 計画する力. 200人. 300人. 図14 問題行動の原因の把握. 「計画する力」について,短期的・中長期的に 授業を計画する際や,授業計画の評価・修正を行 うことも含めた計5問の質問を設定した。1つの 質問につき,難しいと思うことの頻度に関して4. 図14が示すように,児童生徒のパニックなどの. 件法(「よくある」 「たまにある」 「あまりない」 「まっ. 行動面の問題の原因を見つけることについて,難. たくない」)で回答を求めた。. しいと思うことが「よくある」が33名(8%), 「た. アンケートの各設問をⅢ-1「段階的な計画づ. まにある」が213名(51%),「あまりない」が158. くり」,Ⅲ-2「興味・関心を生かした計画づく. 名(38%) , 「まったくない」が11名(3%)であ. り」,Ⅲ-3「課題解決できる活動設定」,Ⅲ-4. り, 難しいと思うことが「よくある」 「たまにある」. 「意欲的な学習内容の構成」,Ⅲ-5「計画の評価・. と答えた回答者が全回答の59%だった。. 修正」とし,4件法の回答を「1まったくない」,. 設問のⅡ-2「得意なことの把握」Ⅱ-3「苦. 「2あまりない」, 「3たまにある」, 「4よくある」. 手なことの把握」など児童生徒の基本的な情報を. の順に図15に示す。. 把握することについて難しいと感じていない回答 者が多い。Ⅱ-4「学習課題の把握」Ⅱ-5「問 題行動の原因の把握」など,学習内容を焦点化し たり,行動の原因を追究したりすることが難しい と感じている回答者が多い。 自由記述欄では「特別支援は同じ学年,同じ診 断,同じ性別等々であっても同じ方法が効果的と は限らないことが多く, 『どうすればよいか』を 常に考えていかなくてはならないのが大変です。」 「一つの行動の裏にどんな動機や理由があるのか. 図15 計画する力. すぐに理解できないことがある。その,行動の意 味を継続して考えることが大切に思える。」「例え. 100. 「あなたは,段階的に授業を進めるための計画.

(10) 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1). を立てることが難しいと思うことがありますか」. と思うことが「よくある」「たまにある」と答え. の回答数を図16に示す。. た回答者が全回答の73%だった。 「あなたは,一人一人の課題を解決できる活動. 73名 (18%). を設定することが難しいと思うことがあります 217名 (52%). か」の回答数を図18に示す。. 121名 (29%) 63名 (15%). 4名 (1%) 0人. 100人. 200人. 250名 (60%). 300人 100名 (24%). 図16 段階的な計画づくり 2名 (1%). 図16が示すように,段階的に授業を進めるため の計画を立てることについて,難しいと思うこと が「よくある」が73名(18%),「たまにある」が. 0人. 100人. 200人. 300人. 図18 課題解決できる活動設定. 217名(52%) 「あまりない」が121名(29%) , 「 ,まっ たくない」が4名(1%)であり,難しいと思う. 図18が示すように,一人一人の課題を解決でき. ことが「よくある」 「たまにある」と答えた回答. る活動を設定することについて,難しいと思うこ. 者が全回答の70%だった。. とが「よくある」が63名(15%),「たまにある」 が250名(60%), 「あまりない」が100名(24%),. 「あなたは,一人一人の興味・関心を生かして. 「まったくない」が2名(1%)であり,難しい. 授業を計画することが難しいと思うことがありま. と思うことが「よくある」「たまにある」と答え. すか」の回答数を図17に示す。. た回答者が全回答の75%だった。 「あなたは,児童生徒が意欲的に活動できる学. 70名 (17%). 習内容を構成することが難しいと思うことがあり 233名 (56%). ますか」の回答数を図19に示す。. 109名 (26%) 61名 (15%). 3名 (1%) 0人. 100人. 200人. 260名 (62%). 300人 90名 (22%). 図17 興味・関心を生かした計画づくり 4名 (1%). 図17が示すように,一人一人の興味・関心を生 かして授業を計画することについて,難しいと思 うことが「よくある」が70名(17%),「たまにあ. 0人. 100人. 200人. 300人. 図19 意欲的な学習内容の構成. る」 が233名 (56%), 「あまりない」が109名(26%), 「まったくない」が3名(1%)であり,難しい. 図19が示すように,児童生徒が意欲的に活動で. 101.

(11) 清水 拓海・白府 士孝・高石 純・俉樓あやの・伊東 実・厚谷 摩紀・北村 博幸. きる学習内容を構成することについて,難しいと. テゴリーでは,難しさを感じていると答えている. 思うことが「よくある」が61名(15%),「たまに. 回答者は経験年数の少ない教師が多かった。自由. ある」 が260名 (62%), 「あまりない」が90名(22%),. 記述欄では,「繰り返し取り組むことで少しずつ. 「まったくない」が4名(1%)であり,難しい. 定着してきているが,なかなか定着しない。支援・. と思うことが「よくある」 「たまにある」と答え. 指導を工夫するが,だんだん同じ方法になってし. た回答者が全回答の77%だった。. まう。」「いろいろ準備をしてみても子どもの発達 に合わなかったり,興味が向かなかったりですね。. 「あなたは,授業の評価から以後の授業の計画. 情報や教材を共有しにくいなと思っています。」. を修正することが難しいと思うことがあります. 「児童の実態と学習のねらいがあっているかにつ. か」の回答数を図20に示す。. いて,例えば一般的なペーパーテストのような客 観的な評価方法が少ないため不安になることがあ る。」「学習の内容のスタートやゴールが適切なの. 32名 (8%). か迷うことがよくあります。どの程度まで伸びし ろがあって理解できるのか判断に迷うことも多い. 185名 (45%) 184名 (44%). です。」など,日々の授業づくりに困難さを感じ, 今後どのように指導していくべきかについて困っ. 14名 (3%) 0人. 100人. ている回答者が多いことがうかがえた。 200人. 300人. 図20 計画の評価・修正. ⑷ 支援する力 「支援する力」について,児童生徒の直接的な 支援についてだけでなく,児童生徒を取り巻く支. 図20が示すように,授業の評価から以後の授業. 援者間の連携や情報共有や分担などについて5問. の計画を修正することについて,難しいと思うこ. の質問を設定した。1つの質問につき,難しいと. とが「よくある」が32名(8%),「たまにある」. 思うことの頻度に関して4件法(「よくある」「た. が185名(45%), 「あまりない」が184名(44%),. まにある」「あまりない」「まったくない」 )で回. 「まったくない」が14名(3%)であり,難しい. 答を求めた。. と思うことが「よくある」 「たまにある」という. アンケートの各設問をⅣ-1「支援のポイント. 回答と「あまりない」 「まったくない」と答えた. とコツ」,Ⅳ-2「支援者の過剰支援」,Ⅳ-3「支. 回答者がほぼ半数ずつだった。. 援者間の情報共有」,Ⅳ-4「支援者の役割分担」,. Ⅲ「計画する力」のカテゴリーについては,設. Ⅳ-5「支援の評価」とし,4件法の回答を「1. 問の5問全てで「よくある」 「たまにある」が多. まったくない」, 「2あまりない」, 「3たまにある」,. いという結果だった。これは, 「授業を計画する力」. 「4よくある」の順に図21に示す。. の全てに難しさを感じている回答者が多い。特に 「興味・関心を生かした計画づくり」 「課題解決 できる活動設定」など長所を生かして課題解決す るための授業づくりに難しさを感じている回答者 が多い。 「意欲的な学習内容の構成」など上記の 理由も含めて,特別支援教育の経験の少なさによ り難しさを感じている回答者が多いと読み取れる のではないか。また,クロス集計の結果,このカ. 102.

(12) 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1). 168名 (16%) 253名 (61%) 90名 (22%) 4名 (1%) 0人. 100人. 200人. 300人. 図21 支援する力. 図23 支援者の過剰支援. 「あなたは,児童生徒への支援のポイントやコ. 図23が示すように,授業において教師が支援し. ツをつかむことが難しいと思うことがあります. すぎていると思うことがあるかについて,「よく. か」の回答数を図22に示す。. ある」が168名(16%),「たまにある」が253名 (61%),「あまりない」が90名(22%),「まった くない」が4名(1%)であり,難しいと思うこ. 52名 (13%). とが「よくある」「たまにある」と答えた回答者 255名 (61%). 104名 (25%). 「あなたは,他の教師(支援員を含む)と児童. 4名 (1%) 0人. 100人. が全回答の77%だった。. 生徒の情報(有効な支援や配慮事項など)を共有 200人. 300人. することが難しいと思うことがありますか」の回 答数を図24に示す。. 図22 支援のポイントとコツ 41名 (10%). 図22が示すように,児童生徒の支援のポイント やコツをつかむことについて,難しいと思うこと. 165名 (40%) 182名 (44%). が「よくある」が52名(13%),「たまにある」が 255名(61%) 「あまりない」が104名(25%) , 「 ,まっ. 27名 (6%). たくない」が4名(1%)であり,難しいと思う ことが「よくある」 「たまにある」と答えた回答 者が全回答の74%だった。. 0人. 100人. 200人. 300人. 図24 支援者間の情報共有. 「あなたは,授業において教師が支援をしすぎ ていると思うことがありますか」の回答数を図23. 図24が示すように,他の教師(支援員を含む). に示す。. と児童生徒の情報(有効な支援や配慮事項など) を共有することについて,難しいと思うことが「よ くある」が41名(10%)「たまにある」が165名 (40%),「あまりない」が182名(44%),「まっ たくない」が27名(6%)であり,難しいと思う ことが「よくある」「たまにある」と答えた回答. 103.

(13) 清水 拓海・白府 士孝・高石 純・俉樓あやの・伊東 実・厚谷 摩紀・北村 博幸. 者が全回答の50%だった。. 効果があったかを評価することついて,難しいと 思うことが「よくある」が46名(11%),「たまに. 「あなたは,授業において他の教師(支援員を. ある」が219名(53%),「あまりない」が144名. 含む)との役割の分担がうまくいかないと思うこ. (35%), 「まったくない」が6名(1%)であり,. とがありますか」の回答数を図25に示す。. 難しいと思うことが「よくある」「たまにある」 と答えた回答者が全回答の64%だった。. 21名 (5%). 設問のⅣ-1「支援のポイントとコツ」やⅣ- 152名 (37%). 2「過剰に支援してしまう」など児童生徒の実態. 216名 (52%) 26名 (6%) 0人. 100人. に応じた適切な支援が難しいと感じている回答者 が多い。Ⅳ-5「支援の評価」などの課題も含め て,支援を客観的に評価し改善することが難しい. 200人. 300人. と感じている回答者が多い。自由記述欄では, 「繰 り返し指導したことがなかなか落ちないとき,や. 図25 支援者の役割分担. り方が悪いのか?言い方が難しいのか?と判断す るタイミングが分からないときがたびたびある。」. 図25が示すように,授業において他の教師(支. 「なかなか定着しないので,同じことを繰り返し. 援員を含む)との役割の分担がうまくいかないと. ていく。支援・指導を工夫するが,だんだん同じ. 思うことについて,難しいと思うことが「よくあ. 方法になってしまう。」「積み重ねることがとても. る」が21名(5%) 「たまにある」が152名(37%),. 難しく,既習事項でも初めの段階から学習する必. 「あまりない」が216名(52%), 「まったくない」. 要があることが多い。」「教師の経験で学習などが. が26名(6%)であり,難しいと思うことが「あ. 左右されることが多く,その経験の違いをうまく. まりない」 「まったくない」と答えた回答者が全. 共有できると良いのになと日々思っています。. 回答の58%だった。. ティーム・ティーチングの難しいところですが, せめて自分はたくさん発信して受信のアンテナも. 「あなたは,授業で行った支援について効果が. 広くもっていようと心掛けています。チームがう. あったかを評価することが難しいと思うことがあ. まくいかないとやっぱり進みませんね。」などの. りますか」の回答数を図26に示す。. 記述があり,実際の支援に加え,その支援の共有 や評価・改善に難しさを感じている回答者が多い ことがうかがえた。. 46名 (11%) 219名 (53%) 144名 (35%). 自由記述欄については,全737名(特別支援学級 含む) の有効回答のうち217名の記述回答があった。. 6名 (1%) 0人. 100人. 200人. ⑸ 自由記述について. 300人. 図26 支援の評価. Ⅳ まとめ 1.北海道の特別支援教育における授業づくりの 現状. 図26が示すように,授業で行った支援について. 104. 調査では,北海道の特別支援学校の学級担任を.

(14) 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1). 無作為に抽出して,415名に授業づくりにおける. 方策を考えていくことが必要と考える。. 課題について4つの視点(児童生徒との関係づく. 「児童生徒との関係づくりの力」の現状におい. りの力,実態把握の力,計画する力,支援する力). ては,教師は児童生徒から発信されたシグナルに. の現状について答えてもらった。. 対して受信することに難しさを感じていないこと. 概観すると全質問項目20問のうち, 「よくある」. がうかがえる。一方で教師から児童生徒への働き. や「たまにある」と答えた回答者が5割を超えた. かけに対しては,どのようにかかわりや発信をし. 項目は16項目となり,授業づくりの多くの場面で. ていくか戸惑いや難しさをうかがうことができた。. 難しさやうまくいかないと感じていることがうか. 「実態把握の力」の現状においては,児童生徒. がえる。表2は「よくある」「たまにある」と答. の得意なことや苦手なことの把握など基本的な情. えた割合が多い項目を色分けして示している。黒. 報を把握することに難しさを感じていないことが. が70%以上,灰色が60%以上,薄灰色が50%以上. うかがえる。一方で児童生徒の実態を見取り,今. となっている。特に「計画する力」では高い割合. 後の学習課題をどのように焦点化していくかや,. で難しさを示している。涌井らが(2015)行った. パニックや自傷行動,他傷行動などの問題行動の. 指導上抱える困難やその対策に関する全国調査. 原因を追究していくことについて難しさを感じて. で, 「集団での授業をすべての児童生徒のニーズ. いることがうかがえる。. に合うように展開すること」が学校間,経験年数. 「授業を計画する力」の現状においては,設問. に関係なくもっとも多く困難であることを示して. の5問全てで「よくある」「たまにある」が過半. いた。これは,本調査の自由記述欄の「特別支援. 数を超えて難しさを感じていることがうかがえ. は同じ学年,同じ診断,同じ性別等々であっても. る。特に, 「興味・関心を生かした計画づくり」 「課. 同じ方法で効果的とは限らないことが多い・・・」. 題解決できる活動設定」など児童生徒の長所を. 等から読み取れるように,一人一人の実態差を見. 生かして課題解決するための授業づくりに難しさ. 極めて,多種多様な個々のニーズに対し,効果的. を感じていることがうかがえる。. な指導・支援を日々実践していかなければならな. 「支援する力」の現状においては,「支援のポ. いこと等,高度な専門性が求められているからで. イントやコツ」や「過剰に支援してしまう」など. はないかと考える。. 実態に応じた適切な支援が難しいと感じているこ. これら多種多様な実態差のある児童生徒に対し. とがうかがえる。また,「支援の評価」などの課. て,効果的な授業づくりをするためには,各カテ. 題も含めて支援を客観的に評価し改善することが. ゴリーにおいて現状と課題を明らかとしていかな. 難しいと感じていることがうかがえる。. ければならない。そして,解決の糸口を見つける. これらの現状から導いた課題の要点を表3にま. ために,それらの課題を相互に関連付けて改善の. とめる。. 表2 アンケート結果から読み取れる課題 関係づくりの力. 実態把握の力. 計画する力. 支援する力. 注意喚起. 興味・関心の把握. 段階的な計画づくり. 支援のポイントとコツ. 授業への興味. 得意なことの把握. 興味関心を生かした計画づくり. 過剰支援. 教師へのかかわり. 苦手なことの把握. 課題解決できる活動設定. 情報共有. 教師への援助依頼. 学習課題の把握. 学習内容の構成. 役割分担. 信頼関係. 問題行動の原因の把握. 計画の評価・修正. 支援の評価. 105.

(15) 清水 拓海・白府 士孝・高石 純・俉樓あやの・伊東 実・厚谷 摩紀・北村 博幸. 表3 現状から導いた課題の要点 各カテゴリー. アンケート結果から 読み取れる課題. 児童生徒との関係 づくりの力. 教師からの働きかけによって 成り立つ関係づくりが難しい。. 実態把握の力. 課題を焦点化したり,行動の 原因を追究したりすることが 難しい。. 授業を計画する力. 長所を生かして課題解決する ための授業づくりが難しい。. 支援する力. 児童生徒の実態に応じた適切 な支援と評価・改善が難しい。. 授業を計画するにあたっては,児童生徒の長所 などの個人内差を把握していることが前提であ り,その上で,児童生徒が自分の良さを生かして 「やってみたい」と思えるような授業を計画的に 構成していく工夫が必要ではないかと考える。藤 田ら(1998)は,「子どもはなにかしかのアンバ ランス(個人内差)が存在している。能力のバラ ンスが悪く,強い能力と弱い能力に差があればあ るほど,弱い能力を使って処理しなければならな い手立てを用いた指導をすることは,かえって学 習内容を理解しにくくしてしまう。」と説き,長. 2. 「わかる・できる・楽しむ」授業づくりにつ いての考察. 所を活用していくことで学習意欲を伸ばし,短所 を補うことが期待できると考える。. 前述のように授業づくりは,各カテゴリー内で. 児童生徒への支援については,今何ができるの. 課題はありつつも,他のカテゴリーの課題と連動. か,どこまでできるのかなど,実態把握や授業計. しており,相互に関連していると考える。授業づ. 画と密接に関連させて考えることが大事である。. くりの一連の流れの中で,各カテゴリーごとでポ. そして,支援と評価の一体化を図り,できるだけ. イントを絞って考察していきたいと考える。. 簡潔にかつ客観的に評価し改善できるような工夫. まず,児童生徒との関係づくりを行うにあたっ. が必要ではないかと考える。例えば和久田(2011). ては,教師と児童生徒の双方向の気持ちや感情の. は,学習評価の記号化,数値化によって,妥当性. 交流が必要であるが,教師からの発信を児童生徒. のある質が高い,効率性のある評価が可能である. が受け取っていないことが課題として挙げられ. と推奨している。. る。そのため教師からの情報(言葉・態度・表情 など)を児童生徒の実態を考慮して分かりやすく していく必要があるのではないかと考える。例え. Ⅴ 追 記. ば,北海道教育委員会が示す授業づくりのポイン. 調査にご協力いただきました先生に,記して感. トでは,児童生徒の「聞く」ことの支援として,. 謝申し上げます。. 話し手への注意を喚起したり話す量に配慮したり するなど,指示や説明の内容を精選することや好 意に満ちた言葉がけをすることで児童生徒が理解 しやすくなる,としている。 児童生徒の実態把握については,実態把握の力 は各カテゴリーと相互に深いかかわりがあり,そ のため授業づくりにおいての基礎になると押さえ ている。課題解決の方策としては,課題や問題を 解決するための深い児童生徒理解が必要であると 考え,さらにその情報を具体的な計画や支援につ なげていくことが必要ではないかと考える。実態 把握の方法としては,指導者間の複数の目による 行動観察や心理アセスメントが一般的ある。. 106. Ⅵ 文 献 北村博幸,五十嵐靖夫,細谷一博編著,北海道教育大学 附属特別支援学校編(2015) :特別支援教育の授業づく り「社会とかかわる力」を育てる!6つの支援エッセ ンス.明治図書. 北海道教育委員会(2015):みんなに分かりやすい授業づ りのポイント!.http://www.tokucen.hokkaido-c.ed.jp/. 北海道教育大学附属特別支援学校(2013) :北海道教育大 学附属特別支援学校研究紀要.28. 藤田和弘・青山眞二・熊谷恵子(1998) .長所活用型指導 で子どもが変わる.図書文化. 文部科学省(2009):特別支援学校学習指導要領解説総則 等編(幼稚部・小学部・中学部・高等部).

(16) 北海道の特別支援教育における授業力向上に関する研究(その1). 全国特別支援学級設置学校長協会調査部(2016):平成27 年度調査報告書. 涌井恵,神山努,尾崎祐三,武富博文,松見和樹,菊地 一文,工藤傑史(2015):知的障害特別支援学級(小・ 中)の担任が指導上抱える困難やその対応策に関する 全国調査.国立特別支援教育総合研究所研究紀要.42. 和久田学(2011):特別支援教育研究“学校現場における 学習評価の工夫と実践”.東洋館出版社.. (清水 拓海 附属特別支援学校 教諭) (白府 士孝 附属特別支援学校 教諭) (髙石 純 附属特別支援学校 教諭) (俉樓あやの 附属特別支援学校 教諭) (伊藤 実 北海道七飯養護学校 教諭) (厚谷 摩紀 北海道函館五稜郭支援学校 教諭) (北村 博幸 函館校 教授). 107.

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