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幼児期における遊びとしての運動の在り方についての実践研究 : 遊びへの熱中度と身体活動量に着目して

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(1)

平成二十六年度

研究報告書

幼児期における遊びとしての運動の在 り方についての実践研究

∼遊びへの熱中度 と身体活動量に着 日して∼

兵庫教育大学大学院

学校教育研究科

教育実践高度化専攻

小学校教員養成特別 コース

P12077K

藤池

陽太郎

(2)

目 次 序章 問題 の所在 と目的 第1節 問題 の所在・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第

2節

研究の 目的・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ 。・・・ 。3 第I章 幼児 の運動ついて 第1節 幼児期 の運動発達・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・・・・・・5 第

2節

幼児期運動指針 か ら見る運動の意義・・・・・・・・・・・・・・・ 10

3節

幼児 の運動 の現状 と課題・・・・・・・ 。・・・・・・・・・・・・13 第 Ⅱ章 幼児 の遊びについて 第1節 幼児 に とって遊び とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 第

2節

遊びの熱 中度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24 第Ⅲ章 熱 中す る外遊びの保育モデルの構築 第 1節 遊びの構成要素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 。30

2節

熱 中度 を高める物的環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 。33

3節

熱 中度 を高める人的環境 。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36

4節

保育モデルの作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 。43 第Ⅳ章 実践研 究方法 第 1節 研 究方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 第

2節

熱 中度 の指標 について 。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 。47

V章

実践結果 第1節 実践前の遊びの記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51

2節

実践後の遊びの記録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55

3節

実践結果・ 。・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・66 第Ⅶ章 考察 第1節 遊びの整理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68

2節

遊びの連続 陛について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71

3節

遊びの停滞 について 。・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・74 第

3節

遊びの熱 中度 と身体活動量について 。・・・・・・・・・・・・・・79

(3)

4節

結論・・ ・・ ・・・ ・・・・・ ・・・・・・ ・・ ・・・・ ・・ ・・・81

終章 今 後 の課題・・ ・・・・ ・・・・・・・ ・・・・ ・・ ・・ ・・ ・・・・ ・・・83

引用 。参考文献・・・ ・・・ ・・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・84

(4)

序 章 問 題 と 目的 第 1節 幼児の運動能力の低下 と運動指導 幼児 の体力低 下が言われて久 しい。文部科学省 (2014)の 「体力・運動能力調査」によ ると

,子

どもの運動能力は

,平

13年

か らは低下傾向に歯止めがかかっているものの, 能力水準が高かつた昭和

60年

頃 に比べ る と

,未

だ低い水準のままである1)。 さらに

,幼

児の運動能力は

,森

(2012)らの 「幼児運動能力調査」によると

,昭

61年

か ら平成 9 年 にかけては全ての種 目において低下 し

,そ

の後は低下 した状態のまま安定 してお り

,児

童期 と同 じ傾向を示 していることか ら

,子

どもの運動能力の低下はすでに幼児期か ら始ま つていると言える2)。 幼児 の運動能力の低下の原因 としては

,直

接的 には運動経験 が乏 しくなっていることが 影響 している。運動能力 の発達の要因を

,杉

原 (2013)は図 1の よ うに示 している3)。 運 動能力 には運動経験 による直接的要因 と

,子

どもを取 り巻 く物理的環境 (遊び場や住宅形 態

,園

庭 の広 さ

)や

心理的社会的環境 (教育や運動 に関す る保護者 の考 え方や園の保育方 針

,友

達の数な ど

)な

,運

動経験 を介 して間接的 に影響 を与える間接的要因がある。運 動発達 は運動経験 を介 してな され

,体

を使 つて動 く経験が多ければ運動能力の発達は促 さ れ

,体

を使 つて動 く経験が少なけれ ば運動能力 は低 くなる。現代の子 どもたちは

,社

会の 変化 によ り時間・空間・ 仲間の三間が減少 してい る といわれ るが

,そ

れ に伴 つて

,十

分に 体を動かす機 会 も少な くなってお り

,以

前 は仲間 との外遊びの中で 自然 に身 に付いた運動 能力が身 に付かな くな くなってい るのである。その よ うな現状の中で,幼 稚園・保育園は, 運動能 力 (運動発達) 【直接的要因】 【間接的要因】 心理社会 的 環境 家庭環境 心理社会的 環境 図

1

運動能力の発達に影響する要因の層構造 (杉原,2013)

(5)

意図的 。計画的に園環境 を構成 し

,子

どもが十分に体を動かす機会を保障 していかなけれ ばない。そのよ うな現状を受け

,幼

児 に関わる人々が幼児期の運動の在 り方を共有す る必 要があることか ら,2013年

,文

部科学省 よ り「幼児期運動指針」が出された。同指針では, 幼児期 の運動の在 り方 について以下のよ うに示 されている。。 幼児期 の運動は

,一

人二人の幼児の興味や生活経験に応 じた遊びの中で

,幼

児 自らが 体 を動かす楽 しさや心地よさを実感す ることが大切であるため

,幼

児 が 自発的に体 を動 か して遊ぶ機会 を十分保障す ることが重要です。 このよ うに

,幼

児期 の運動 の在 り方 として

,自

発的な遊びの中で体 を動かす ことが強調 され ている。 しか し

,幼

児 の運動の実態は

,杉

原 ら(2007)の調査 によると

,調

査対象 となった幼稚園 の77.4%が保育時間内に運動指導を行 ってお り

,そ

の うち81.3%が外部派遣の講師 による 運動指導である5)。 柳 田 (2008)は

,そ

の外部派遣の講師による運動指導内容の8割が器械 体操やサ ッカー といった特定の運動能力 を伸 ばす ための一斉指導 による指導であることを 明 らかに してお り

,幼

児 の運動 が 自発的な遊びの中で体を動かす ものではな く特定の運動 能力 を伸ばすための一斉指導によ り

,運

動が行われているところが多い とい うのが現状で ある6)。 さらに

,杉

原(2010)ら が行った運動指導の頻度 と運動能力を比較 した調査では

,運

動指 導 している園ほ ど運動能力が低 く

,運

動指導 をせず

,子

どもたちが 自由な遊びの中で体を 動か してい る園のほ うが

,運

動能力が高いことを明 らかに してお り

,こ

れ らか らも

,図

1 で示 した

,運

動能力の直接的要因である運動経験のみにアプローチをするのではな く

,思

わず体 を動か してみた くな り

,や

つてみたい と思えるよ うな心理社会的環境にアプローチ を してい く取 り組みが必要であると考える。 このよ うな問題 を踏まえ

,特

定の技能 を伸ばす ことを 目的 とした一斉指導による運動で はな く

,子

どもの 自発的な遊び としての運動の在 り方 を今一度考 え直 していきたい。

(6)

2節

研究の 目的 第 1節 で述べたよ うに,幼児 の体力低下が問題 となっている今,特定の技能 を伸ばす こ とを 目的 とした一斉指導による運動ではな く, 自発的な遊び としての運動の在 り方を考え てい く必要がある。 先行研究では

,山

田 (2005)や 松寄 (2013)な ど

,運

動 プ ログラムによる運動指導の効 果 を検証 してい くものはい くつか見 られ るが, 自由遊びの中での遊び としての運動に関す る研究は見 られなかった8)9)。 そ こで

,本

研究では

,子

どもの 自発的な遊び としての運動の在 り方 を考 えてい く上で, その遊びの質に着 目をしてい く。遊びの質 とは

,遊

び に どれだけ熱 中 しているか として捉 え

,遊

びの熱 中度 を高めてい くことで

,結

果 として

,子

どもの体力・運動能力は向上 して い くものであると考えた。 しか し

,体

力・運動能力 は短期間の実践で向上す るものではな く

,長

期的な取 り組みによってその効果が期待できるものである。そこで本研究では

,運

動能力 の直接的要因である運動経験 としての身体活動量を測定 してい くことで

,そ

の効果 を検証 してい く。 以上 よ り

,本

研究では以下のよ うな仮説 を立てた。 遊びの熱 中度が高まれば

,身

体活動量 も増 えるのではないか 本研 究では

,幼

児 の運動や遊び を整理 していきなが ら

,熱

中度 を高める保育モデルの作 成及 び実践を行い

,仮

説の検証 を行つてい く。その結果 よ り幼児期の遊び としての運動の 在 り方 について検討 してい くことを目的 とす る。

(7)

【 註 】

序章 第 1節

1)

『 平成25年度体力・運動能力調査結果の概要及び報告書について』文部科学省,2014 URL:http://― .mext.go.jp/b menu/toukei/chousa04/tairyoku/kekka/k_detai1/135

2496.htm

2)森

司朗

,杉

原 隆

,吉

田伊 津美

,筒

井清次郎

,鈴

木康 弘

,中

本浩揮『 幼児 の運動能力 に おける時代推移 と発達促進のための実践的介入』平成 20∼

22年

度文部科学省科学研 究費補助金 (基盤研究

B)研

究成果報告書

,2012

3)杉

原隆。河邊貴子『幼児期における運動発達と運動遊びの指導』ミネルヴァ書房,2014, pp.68

4)

『幼児期運動指針ガイ ドブック』文部科学省

,2013,pp.2

5)杉

原隆

,近

藤充夫

,吉

田伊津美

,森

司郎『

1960年

代から

2000年

代に至る幼児の 運動能力発達の時代変化』体育の科学Vol.57,No.1,2007

6)柳

田信也『幼稚園教師の運動遊びに関する指導理念の調査研究』国際学院埼玉短期大 学研究紀要

Vol.29,2008

7)杉

原隆

,吉

田伊津美

,森

司郎

,筒

井清治郎

,鈴

木康弘

,中

本浩揮

,近

藤充夫『幼児の 運動能力と運動指導ならびに性格 との関係』 体 育の科学 Vol.60,No5,2010 序章 第 2節

8)山

田洋

,長

堂益丈

,鎌

田雄二

,陸

川章

,塩

崎知美

,木

塚朝博

,加

藤達郎『幼児期の運 動機能向上のための「運動遊びプログラム」の提案』東海大学スポーツ医科学雑誌 17, 2005

9)松

寄洋子『幼児への運動指導が身体能力の発達に与える影響』白梅学園大学大学院子 ども学研究科博士課程

2013年

度学位論文

,2013

(8)

I章

幼 児期 の運 動 につ いて 序章では

,幼

児期の運動は

,一

斉指導による運動ではなく遊び として行われるべきであ ることを述べた。本章では,なぜ幼児期の運動が遊びとして行われるべきなのかについて, 幼児期の運動発達を見ていきながら述べていきたい。 第1節 幼児期の運動発達

1-1

運動能力 とは 序章では

,運

動能力 の低下を述べていったが

,ま

ず はその運動能力 について確認を して い く。杉原 (2014)は

,運

動能力 とは運動パ フォーマンスの個人差を説明す るための心理 学用語 である とし,運動 に必要な身体的エネルギーを生産す る能力である「運動体力」と, 体の動 きを巧みにコン トロールす る能力である 「運動 コン トロール能力」の

2つ

か ら成 る としてい る 。。(図

2)す

なわちは運動能力 とは

,こ

れ らの異なる性質 をもつた2つの能力 か ら構成 され るのであ り

,幼

児期の運動発達を確認 してい く上で も

,こ

れ らを区別 して考 えてい くことが重要 となる。 杉原 (2014)が 述べ る運動体力は

,具

体的には筋力・ 瞬発力・持久力 を指す。 この3つ の力 を高めてい くことによって

,運

動体力 を高め

,身

体エネル ギー を多 く出せ るよ うにす ることによって

,運

動能力が向上す るとい うことである。 しか し

,こ

れ らの運動体力は, 青年期 に入 り

,成

長ホルモ ンの働 きによって

,体

が急激 に大きくなることで急増 してい く ものであ り,幼児期 にお ける発達は遅 く,ト レーニ ングを してもその効果は期待できない。 運 動体 力 ・エネルギーの生産力 筋力 持久力 瞬発力 ・末梢器官の機能 。発達の急増期 ・敏感期 → 青 年期 運 動 コ ン トロー ル能 力 ・知覚―運動協応 基礎的運動パターンと そのバ リエーション ・脳神経系の機能 。発達の急増期

,敏

感期 → 幼 児・ 児童期 図

2運

動能力の構成 (杉原,2014)

(9)

2 。

18 20 年 機 図3 Scarunon(1930)の発達発育曲線 それ は Scanmlon(1930)の 発達発育曲線か らも明 らかであ り

,幼

児期・児童期の一般型・ 生殖型 の発達は非常にゆるやかで

,青

年期 に急増 してい くのである の。(図 3) 一方

,運

動 コン トロール能力は

,知

覚 を手がか りとして運動 を自分の思 うよ うに巧みに 制御 (コン トロール

)す

る力であ り

,具

体的には

,空

間的 コン トロール

,時

間的 コン トロ ール

,力

量的 コン トロール を指す。 この3つの組み合わせ によって

,走

,跳

,投

げる な どといった様 々な運動パ ター ンが生み出 され る。これ らの運動 コン トロール能力は知覚, 予測

,状

況判断

,意

思決定

,記

憶 な どの心理的な働 きが中心であ り

,そ

れ らの高次な精神 的な働 きをつか さどる大脳皮質や 中枢神経 の働 きによるものである。 さらに

,こ

れ らの神 経系の発達 は,Scalrll■

on(1930)の

発育曲線か らもわかるよ うに

,乳

幼児期 に急激 に発達す ると言われてお り,児 童期 には約

90%ま

で達 し,大 人 と同 じレベルにまで達す るのである。 この ことか らも

,幼

児期 は筋力や持久力 といつた運動体力 を トレーニング的に身に付 け させ るのではな く

,運

動 をコン トロールす る力 を身 に付 けるには最適の時期 であ り

,こ

の 時期 に

,さ

ま ざまな運動の中で多様 な動 きを経験 してい く必要がある。 運動能力 を高めてい くには

,運

動発達上

,適

切 な時期 に適切な運動 をす る必要があるこ とがあることがわかつたが

,そ

の運動発達は どのよ うな段階を経なが ら発達 してい くので あろ うか。その運動発達の段階について次に見てい くこととす る。

1-2

幼児の運動発達 幼児期 の運動発達の特徴 を理解 してい くには

,幼

児期の運動発達の理解 だけでは不十分 であ り

,そ

の先の運動発達 を見通 した上でその特徴 を理解 してい く必要である。生涯の運 動発達 を見通 した もの として

,Gallahue(1999)は

運動発達 の段階を図4のよ うに示 した 3)。 14

(10)

生 涯 に わ た る 生 涯 に わ た る ク リ エ ー シ ョ ン 日 常 生 活 で の 利 用 お お よ そ の 発 凄 の 年 齢 生 涯 に わ た る

おた二

競 技 ス ポ ー ツ で の ■l」用 運 動 発 達 の ス テ ー ジ 14歳以 上 11∼13虜 髭 運 動 の 段 階専 門 的 な 生 涯 ス テ ー ジ 応 用 ス テ ー ジ 7∼10歳 6∼7歳 4∼5歳 2-3歳 1-2月ユ 基 礎 的 な 運 動 の 段 階 初 歩 的 な 運 動 の 段 階 移 行 ス テ ー ジ 熟 練 ス テ ー ジ 基 本 ス テ ー ジ 誕 生 か ら ■歳 まで BttA鶴

曇省言勇

壻重奪

反 射 的 な 運 動 の 段 階 初 期 ス テ ー ジ 前 コ ン ト回― ル ス テ ー ジ 反 射・ 禁 止 ス テ ー ジ 情 報/1J用ス テ ー ジ 情 報 収 集 ス テ ー ジ 図

4

運動発達の段階ステー ジ (Ga H ahue,1999) その概要 として,まず

,人

間は生まれてか ら0∼2歳までの間に

,①

姿勢・移動運動 の発 達②把握 。操作の発達を してい く,「反動的な運動」の段階 と「初歩的な運動」の段階を経 る。その段階を経た上で

,2∼ 7歳

までの,「基礎的な運動の段階」へ ど進んでい く。 この 段階では,次の段階にむけて,基礎的な運動 スキル を習得 してい くのに適 した時期 となる。 その基礎的な運動能力の発達の上で

,7歳

頃か らの 「専門的な運動の段階」へ と進んでい

,生

涯 にわたる レク リエーシ ョン, 日常生活

,競

技スポーツヘ と発展 させ てい くのであ る。 これ らの運動発達の段階ステージは

,そ

れぞれ の段階で適切な発達を していなければ, 後の発達 に影響 を及ぼす。その中でも

,Gallahue(1999)は

,「基礎的な運動の段階で熟練 したスキル を発達 させていなかったな らば,スポー ツスキルの習得が妨げ られ るで しょう」 のと述べてお り

,幼

児期 にあたる基礎的な運動の段階の重要性 を指摘 している。 では

,そ

の幼児期 に身に付 けてお くべき

,基

礎的な運動スキル とは どの よ うなものがあ るのだ ろ う力、 幼児期 に身 に付 けてお くべ き基礎的な運動スキル について

,次

に確認 して い く。

1-3

基礎的な運動スキル Gallahue(1999)は

,基

礎的な運動の段階で身に付 けるべき基礎的な運動スキル とは

,2

つ あるいはそれ以上の身体部位の運動パターンの組み合わせでできあがっている一連の

(11)

基礎的な運動スキルのカテゴ リー 屈伸 ス トレッチング ツイス ト ー ターン 体 を振 る

倒立 回転

着地一停止 回避

バ ランス 歩 く 走 る 跳ぶ ホ ップす る スキ ップ 滑る 飛び越す 登 る パ ンテ ィング 投げる 捕る 蹴る トラッピング 打つ

ボ レー 突 く 転がす 図

5

基礎的な運動スキルのカテゴ リー (Ga‖ahue,1999) 運動 のま とま りであると述べ る つ。 この基礎的な運動スキルは先 に述べた

,空

,時

間, 力量 を組み合わせたものであるが,そ のスキルは,操作制御運動スキル,移動運動スキル, 操作運動 スキル の3つのスキルか ら成 る。(図 5) まず

,姿

勢制御運動のスキル とは

,身

体は一定の場所か ら動か さず

,そ

の水平軸

,あ

る いは垂直軸 を中心 としての運動であ り

,こ

の運動は移動運動

,操

作運動の基礎 を形成す る 運動である。次に移動運動スキル とは

,身

体がある位置か ら他の位置へ水平に

,あ

るいは 垂直に移動す る運動である。最後に操作運動のスキル とは

,大

筋 と小筋 の操作運動 に分け られ るが

,大

筋の操作運動 とは

,対

象 に力 を加 えること

,あ

るいは対象か ら力 を受 けるこ とに関係す る運動である。一方

,小

筋の運動 とは

,運

動 コン ト●―ルや運動の精緻 さ

,正

確 さが重要な

,対

象 を手で操作す る活動のことである。 これ ら3つの基礎的な運動スキル が

,基

礎 的な運動の段階である幼児期で身に付 けなければな らないスキルであ り

,こ

れ ら が専門的な運動の段階へ とつなげてい くためにも

,こ

の時期 にこれ らの運動スキル を偏 り な く経験できるよ うな運動 を十分 に経験 しておかなければな らない。

1-4

動 きの獲得過程 さらに,こ の運動スキルの獲得の特徴 として

,宮

丸 (2011)は,「量的獲得の過程」と「質 的変容 の過程」の2つを挙げている の。 まず,「量的獲得の過程」とは

,基

礎 的な運動段階である幼児期では

,年

齢 とともに並列 的・順序性 をもつて

,基

礎的な運動 スキル が獲得 され ることによって

,運

動の レパー トリ ーやバ リエーシ ョンが増えていき

,運

動が量的に拡大 。多様化 を してい くことを指す。ま た 「質的変容の過程」 とは

,年

齢 とともに,「力み」や 「ぎこちな さ」な どの無駄な動 きが 姿勢制御運動スキル 移動運動スキル 操作運動スキル

(12)

量 的 獲 得 ︵拡 大 ・ 多 様 化 ︶ 質的獲得 (洗練化) 図

7動

きの獲得過程 (宮丸

,2011を

もとに作成) 減少 していき

,合

理的な動 き

,つ

ま り動きが洗練化 してい くこと指す。(図 7) この ことか らも

,基

礎的な運動の段階である幼児期の運動発達を考えてい く上で

,運

動 スキルが増加す るだけでな く

,動

きが洗練 されてい くとい うことをお さえた上で

,運

動 に 取 り組 んでい く必要がある。 また

,た

だ動 きを経験 させ るだけでな く

,そ

の運動 を何度 も 繰 り返 し行 う中で

,動

きが洗練化 されてい くよ うな環境構成 も考 えていかなけれ ばな らな い。 第1節では

,幼

児期 の運動発達 の段階を見ていきなが ら

,幼

児期以降の運動発達のため にも

,姿

勢制御 。移動 。操作スキルの3つの基礎的な運動スキル を

,多

様 な運動経験 の中 で

,量

的 に拡大 。多様化 させ ると同時に

,質

的にも洗練化 させなが ら身に付 けていければ な らない ことを確認できた。では

,体

を動かす ことで期待 され る効果は運動能力だけなの だろ う力Ъ 次節 よ り

,幼

児期運動指針 を見ていきなが ら

,運

動の意義 を今一度確認 してい きたい。

(13)

第2節 幼児期運動指針か ら見 る運動の意義

2-1

幼児期運動指針について 幼児期運動指針 については序章で述バたが

,幼

児の体力低下 を受 け

,幼

稚園・保育園で は幼児 が十分に体を動か し

,多

様 な動 きを経験す ることを保障 しなければな らないこと, そ して

,幼

児 に関わる人々が幼児期の運動の在 り方 を共有す る必要があることか ら

,2013

,文

部科学省 よ り出 されたものである の。 同指針 では

,第

1節 で述べてきたよ うな

,幼

児期 の運動発達の特 性を踏まえ,「毎 日

,合

計60分以上」の楽 しく体を動かす とい う目安 を示 してお り,その推進のために重要な点 と して

,以

下の3つを示 してい る。 ○ ○ ○ 多様 な動 きが経験できるよ うに様々な遊び を取 り入れ ること 楽 しく体 を動かす遊ぶ時間を確保す ること 発達の特 性に応 じた遊びを提供す ること つま り

,幼

児期 の運動 は

,十

分 な時間の中で

,発

達 に応 じた多様 な動きを経験できる遊 びを通 して

,運

動 を してい くとい うことである。 この 「遊び」については第 Ⅱ:章で後述す るが

,こ

れ らの点を取 り入れなが ら体 を動かす ことで

,第

1節 で述べたよ うな基礎的な運 動スキル を身に付 けてい くことができると考えられ る。 しか し

,運

動 を行 うことによって 期待 され る効果 は

,基

礎的な運動スキル を高めてい くことだけなのであろ うか。幼児期運 動指針 の 目指す もの

,そ

して

,運

動 によって期待 され る効果の記述 を見ていきなが ら

,運

動 の意義 について確認 していきたい。

2-2

運動の意義 幼児期運動指針 が 目指す ものは以下の通 りである。 運動習慣の基盤づ くりを通 して

,幼

児期に必要な多様な動きの獲得や体力・運動能力 を培 うとともに

,様

々な活動への意欲や社会性

,創

造性などを育む。 幼児期運度指針 が 目指す ものか らもわかるよ うに,運動 を行 うことで期待できる効果は, 基礎 的な運動スキルだけではな く

,活

動への意欲 。社会性・創造性 な ど様 々な効果が期待 できるのである。その運動を行 うことで期待す る効果 を

,同

指針 は

,具

体的に以下の

5つ

として示 している。

(14)

1.体

カ ロ運動能力の向上 体力 は人間の活動の源であ り

,健

康の維持のほか

,意

欲や気力 といった精神 面の充実に も大 き くかかわってお り

,人

が生きてい くために重要なものである。特に幼児期は

,神

経 機 能 の発達が著 しく

,タ

イ ミングよく動いた り

,力

の加減 をコン トロール した りす るな ど の運動 を調整す る能力が顕著に向上す る時期である。 この能力は

,新

しい動 きを身に付け る ときに重要な働 きをす る能力であるとともに

,周

りの状況の的確 な判断や予測に基づい て行動す る能力 を含んでお り

,け

がや事故を防止す ることにもつながる。 このため

,幼

児 期 に運動 を調整す る能力 を高めてお くことは

,児

童期以降の運動機能の基礎 を形成す ると い う重要な意味を持 っている。また

,

日ごろか ら体を動かす ことは

,結

果 として活動 し続 ける力 (持久力

)を

高めることにもつながる。

2.健

康的な体の育成 幼児期 に適切な運動 をす ると

,丈

夫でバ ランスの とれた体を育みやす くなる。特に運動 習慣 を身 に付 ける と

,身

体 の諸機能 にお ける発達が促 され ることによ り

,生

涯 にわたる健 康的で活動的な生活習慣の形成 にも役立っ可能性 が高 く

,肥

満や痩身を防 ぐ効果 もあ り, 幼児期 だけでな く

,成

人後 も生活習慣病 になる危険性 は低 くなると考えられ る。また

,体

調不良 を防ぎ

,身

体的にも精神 的にも疲労感 を残 さない効果があると考 え られ る。

3.意

欲的な心の育成 幼児 に とって体 を動かす遊びな ど

,思

い切 り伸び伸び と動 くことは

,健

やかな心の育ち も促す効果がある。また

,遊

びか ら得 られ る成功体験 によって育まれ る意欲や有能感 は, 体 を活発 に動かす機会を増大 させ るとともに

,何

事 に も意欲的に取 り組む態度 を養 う。

4.社

会適応力の育成 幼児期 には

,徐

々に多 くの友達 と群れて遊ぶ ことができるよ うになってい く。その中で ルール を守 り

,

自己を抑制 し

,コ

ミュニケーシ ョンを取 り合いなが ら

,協

調す る社会性 を 養 うことができる。

5.認

知的能力の育成 運動 を行 うときは状況判断か ら運動の実行まで

,脳

の多 くの領域 を使用す る。すばやい 方向転換な どの敏捷な身のこな しや状況判断 。予測な どの思考判断を要す る全身運動は, 脳 の運動制御機能や知的機能の発達促進 に有効である と考え られ る。幼児が 自分たちの遊 びに合 わせてルール を変化 させた り

,新

しい遊び方 を創 り出 した りす るな ど

,遊

び を質的 に変化 させ てい こ うとす ることは

,豊

かな治J造力 も育む ことにもつながる。

(15)

この よ うに運動を行 うことが

,運

動能力 の向上や健康な体の育成だけに とどま らず

,意

,社

会性

,認

知的能力の発達な ど

,総

合的な発達 に寄与す るものであることがわかる。 さらに

,杉

原 (2000)ら による運動能力 と性格 を調べた調査によると

,自

信 がある

,積

極`l■

_,粘

り強い

,好

奇心旺盛

,友

達関係 良好

,社

交的

,

リーダー的 とい うポジテ ィブな行 動傾 向の全てが

,運

動能力高群 が最 も高かったことか らも

,運

動能力だけではない運動の 効果 は明 らかである の。 では

,そ

のよ うな発達を促すためには

,幼

児期 では どの よ うな運動が望ま しいのであろ うか。序章でも触れたが

,幼

児期運動指針 が示す幼児期の運動の在 り方について今一度確 認 してい く。

2-3

幼児期の運動の在 り方 幼児期運動指針では

,幼

児期 の運動の在 り方 について以下のよ うに示 している。 幼児期の運動は

,一

人一人の幼児の興味や生活経験に応 じた遊びの中で

,幼

児 自らが 体を動かす楽 しさや心地よさを実感することが大切であるため

,幼

児が自発的に体を動 か して遊ぶ機会を十分保障することが重要です。 幼児期は基礎的な運動スキルが身に付 く時期であるが

,こ

れ らからもわかるように

,運

動スキルをただ経験 させて身に付けるような運動をさせればよいのではない。運動指針が 目指すものの中にも見 られるように

,幼

児が体を動かす楽 しさや心地よさを実感できるこ とで,「運動習慣の基盤づ くり」がなされるのであ り

,そ

の運動は子 どもの自発的な遊びの 中で行われるか らこそ

,楽

しさを実感できるのである。つま り

,幼

児にとっては,「運動を する」のではなく「遊ぶ」ことで

,結

,体

を動か して運動 となることが

,適

切な運動 と な りうると考える。 第

2節

では

,幼

児期運動指針を見ていきながら

,運

動を行 う意義 と遊び として行 う運動 の在 り方を確認できた。では

,実

際には幼児の運動はどのようにして行われているのであ ろうか。次節より

,先

行研究をもとに

,幼

稚園・保育園における幼児の運動の現状を見て いきたい。

(16)

3節

幼児の運動の現状 と課題

3-1

幼児の運動の現状 第

1,2節

において

,幼

児期の運動は

,遊

びの中で多様な動 きを身に付けてい くことが重 要であることを確認 した。 しか し

,序

章で も述べた よ うに

,幼

児の運動の現状 としては, 幼稚園・保育園の77.4%が保育時間内に運動指導 を行 ってお り

,そ

の うち81.3%が外部派 遣の講師による運動指導である の。(図

8)さ

らに

,外

部派遣 の講師 による運動指導内容の

8割

が器械体操やサ ッカー といつた特定の運動能力 を伸ばすための一斉指導による指導で あることが明 らかになってお り

,幼

児の運動が

,幼

児期運動指針 が示す よ うな 「遊び」に よる運動 とはなっていないのが現状である1の

8

幼稚園・ 保育園の運動指導の割合 (杉原

,2007を

もとに作成) さらに

,

杉原(2010)ら は

,運

動指導の効果を調べ るために

,運

動指導の頻度 の高い園 と 低い園に分 けて,運動能力を比較 したH)。 (図 9)そ の結果,最 も運動能力が高かつたのは, 指導 を していない と回答 した園で

,最

も運動能力が低かつたのは

,指

導頻度 の高い園であ つた。2002年,2008年と

2度

にわたって実施 された この調査がほぼ同 じ結果であつたこと か らも

,運

動指導 によつて運動能力が高 まることは期待 しに くい。杉原 (2010)は

,運

動 指導 によつて運動能力が高ま らなかつた理 由として

,以

下の2つを示 してい る。

1.身

体活動量の不足 一斉指導による運動では,説明を聞いた り,順番 を待 った りしている時間が長いせいで, 実際に子 どもが体 を動かす時間が短 くなって しまっている。

2.多

様 な動 きの経験 の不足 器械体操な ど

,特

定の技能 を伸ばす ことを目的 とした運動指導は同 じよ うな運動の繰 り 返 しが中心であ り

,多

様 な動 きを経験で きていない。

(17)

●0回 :19園 111∼6回 :30園 ■7回 以上 :23園 男 児 女 児 図

9

幼稚園での運動指導頻度 による運動能力の比較 (杉原,2010) 一斉指導による運動指導では

,特

定の運動能力 (跳び箱 とリヒぶな ど

)は

高まった り

,一

定の運動時間は保障できるか も しれ ないが

,幼

児期 の運動 としては適切 なものである とは 考 えに くい。 さらに

,一

斉指導 による運動指導の抱 える課題 の 1つ として

,筆

者 は

,運

動 を 「遊び」 として取 り組まない ことによる

,総

合的な育ちの阻害が大 きな課題 であると考 える。

2-1

総合的な育ちと しての運動 運動 を行 うことによって期待できる効果 は第2節で示 したが

,特

定の技能 を伸 ばす こと を 目的 とした一斉指導 による効果 は

,体

力・運動能力の向上 と健康的な体の育成 にかたよ つた ものである考 える。(図

10)そ

のことによ り

,他

の力が育っていかず

,運

動習慣 も身 に付いていかない もの と考える。

10

「一斉指導」による運動効果

(18)

運動指導について

,吉

田 (2014)は,「ある運動ができたことによ り幼児が 自信や動機づ けを高めてい くことを考えれば

,技

能の習得 を援助 してい くことは必要 といえるだろ う。 しか し

,技

能習得のために指導者主導の教 え込みや

,画

一的な指導

,や

りた くない ことを 無理や りさせ ることは

,子

どもにとっての遊び とはいえない。 さらに運動遊びが

,単

に運 動発達だけではな く

,認

知や情緒

,社

会性や知的発達な どとも相互的で密接な関係がある ことを考えれば

,子

どもの取 り組み方

,指

導の仕方は幼児期の運動指導において重要が問 題である」12Lと述べている。吉田 (2014)が述べるように

,意

欲や社会性の向上を含めた総 合的な育ちとして運動を考えたとき

,そ

の運動の在 り方は

,幼

児の自発的な 「遊び」 とし てあるべきである。自発的な「遊び」としての運動では

,図

12で 示 したように

,そ

れぞれ

5つ

の運動効果が相互作用的に働 くことで

,総

合的に発達をしていき

,結

果 として一斉指 導による運動指導よりも

,幼

児の運動能力は向上 していくものであると考える。 幼稚園教育要領においても総合的な発達について,「遊びを展開する過程においては,幼 児は心身全体を働かせて活動するので

,心

身の様々な側面の発達にとって必要な経験が相 互に関連 し合い積み重ね られていく。つま り

,幼

児期には諸能力が個別に発達 していくの ではなく

,相

互に関連 し合い

,総

合的に発達 していくのである。例えば

,幼

児の言語を使 つた表現は

,幼

児が実際にいる状況に依存 しているため

,そ

の状況を共有 していない者に とって

,幼

児の説明は要領を得ないことが多い。 しか し

,友

達 と一緒に遊ぶ中で

,コ

ミュ ニケーションを取ろうとする意識が高まり

,次

第に状況に依存 しない言語表現力が獲得 さ れてい く。言語能力が伸びるにつれて

,言

語により自分の行動を計画 し

,制

御するように なるとともに

,

自己中心的な思考か ら相手の立場に立った思考もできるようになる。 こう して社会性

,道

徳 性が培われる。そのことは

,ま

すます友達 と積極的にかかわろうとする 意欲を生み, さらに

,友

達 と遊ぶことを通 して運動能力が高まる。そ して

,よ

り高度で複 雑な遊びを展開することで

,思

考力が伸び

,言

語能力が高まる。象徴機能である言語能力 体 カ ロ運動能力の向上 ′ ― ^____ミ __ ′ ヽ ヽ ′ ヽ ´ ´ ヘ ヽ ` ン 、

=_`

,ご

健康的な体の育成 認知能 力の発達 ヽ 社会適応力の発達 図

12

「遊び」による運動効果

(19)

の発達は

,見

立てや ごっこ遊び とい う活動の中で想像力を豊かに し

,そ

れ を表現す ること を通 して促 され る。 このよ うに

,遊

びを通 して幼児の総合的な発達が実現 してい く」0と

,示

されているよ うに

,自

発的な遊びを通 した総合的な発達 とい う視点で今一度

,幼

児の 運動 を考えてい く必要があるのではないだろ うか。 第 I章では

,幼

児 の運動発達や幼児期運動指針 を確認 していきなが ら

,幼

児期 の運動の 在 り方 について確認 を した。基礎的な運動スキル を獲得 してい く重要な時期である幼児期 には

,多

様 な動 きの経験が必要であ り

,幼

児 の総合的な育ちを考慮す る と,「遊び」として 行われ るべ きであることわかった。では

,一

言 に 「遊び」 と言つて も

,幼

児 に とって

,何

が 「遊び」で

,何

が 「遊び」ではないのか。次章 よ り,「遊び」についての先行研究を見て いきなが ら

,そ

の定義づけと遊びの在 り方 を考 えていきたい。

(20)

【 註 】

第I章 第 1節

1)杉

原隆 。河邊貴子『幼児期における運動発達 と運動遊びの指導』 ミネル ヴァ書房 ,

2014, pp.8・10

2) Scammon, R.E.『 The Measurement of the body in childhood』 The Measurement of Men,

University of Minnesota, 1930

3)David.L.Gallahue『

幼少年期の体育』大修館書店,1999,pp.68-71

4)上

3),p.71

5)上

3),p.59

6)宮

丸凱史『子 どもの運動 。遊び 。発達』学研教育み らい,2010,pp.20-21 第I章 第2節

7)

『幼児期運動指針ガイ ドブック』文部科学省

,2013

8)杉

原隆『幼児の運動能力 と運動指導ならびに性格 との関係』体育の科学,60(5),2010, pp.455-461 第I章 第3節

9)杉

原隆

,近

藤充夫

,吉

田伊津美

,森

司郎『

1960年

代か ら

2000年

代に至る幼児の 運動能力発達の時代変化』体育の科学Vol.57,No.1,2007

10)柳

田信也『幼稚園教師の運動遊びに関する指導理念の調査研究』国際学院埼玉短期大 学研究紀要 Vol.29,2008

H)杉

原隆

,吉

田伊津美

,森

司郎

,筒

井清治郎

,鈴

木康弘

,中

本浩揮

,近

藤充夫『幼児の 運動能力と運動指導ならびに性格との関係』 体 育の科学Vol.60,No5,2010

12)吉

田伊津美『園での運動遊び指導と運動遊び指導に対する幼稚園教諭の認識』発育発 達学研究 第 64号

,2014

13)『

幼稚園教育要領 解説編』文部科学省

,2008,pp.27-28

(21)

I章

幼 児 期 の 遊 び に つ い て 第 I章では

,幼

児 の運動発達について述べてきた。幼児期 は

,基

礎的な運動スキル を身 に付 けてい く重要な時期であ り

,児

童期以降の発達 を促 してい くためにも

,多

様 な動 きの 経験 が必要である。 しか し

,幼

児の運動能力 は社会性や意欲 な どの様々な力が相互作用的 に高ま り

,結

果 として高まってい くものであ り

,そ

のためには運動能力のみにアプローチ をす る一斉指導による運動指導ではなく

,総

合的な発達 として

,幼

児の興味関心に応 じた 自発的な遊びを通 して行われ るべきである。では

,幼

児 に とって遊び とは どのよ うな意味 をもつのであろ う力、 本章では先行研究か ら

,遊

びの意義 と在 り方について述べてい く。 第1節 幼児に とって遊び とは

1-1

遊びを通 して行われ る幼児教育 幼児期 の教育 について

,幼

稚園教育要領では,「幼児期 における教育は

,生

涯 にわたる人 格形成 の基礎 を培 う重要なものであ り,幼稚園教育は

,学

校教育法第22条に規定す る目的 を達成するため,幼児期 の特性 を踏まえ,環境 を通 して行 うものであることを基本 とす る」 。 と示 されてお り

,人

格形成 の基盤 を形成す るためも,その環境 をよ りよく創造 していか なけれ ばな らない。 さらに

,中

央教育審議会の答 申 「子 どもを取 り巻 く環境の変化 を踏ま えた今後の幼児教育の在 り方」においても

,幼

児教育の意義 について,「幼児期 の発達の特 性 に照 らした教育 とは

,受

験 な どを念頭 に置き

,専

ら知識 のみを獲得することを先取 りす るよ うな

,い

わゅる早期教育 とは本質的に異なる。幼児教育は, 日先 の結果のみを期待 し ているのではなく

,生

涯にわたる学習の基礎を作ること,『後伸 (あとの

)び

する力』を培 うことを重視 している」のと述べ られてお り

,人

格の形成期である児童期にむけての基盤 を作る,「後伸びする力」として幼児期の教育を考えていく必要がある。 幼稚園教育要領では

,幼

児教育において重視すべき点を

,以

下の 3つ としているの。 幼児 は安定 した情緒の下で 自己を十分 に発揮す ることにより発達に必要な体験 を得 てい くものであることを考慮 して

,幼

児 の主体的な活動 を促 し

,幼

児期 にふ さわ しい 生活が展開 され るよ うにす ること。 幼児 の 自発的な活動 としての遊びは

,心

身の調和 の とれた発達の基礎 を培 う重要な 学習であることを考慮 して

,遊

び を通 しての指導を中心 として第

2章

に示すね らいが 総合的に達成 され るよ うにす ること。 幼児 の発達 は

,心

身の諸側面が相互に関連 し合い

,多

様 な経過 をた どって成 し遂げ られ てい くものであること

,ま

,幼

児 の生活経験 がそれぞれ異なることな どを考慮 して

,幼

児一人一人の特性 に応 じ

,発

達の課題 に即 した指導を行 うよ うにす ること。

(22)

項 目の2つ目にもあるよ うに

,幼

児期の学習 とは

,幼

児 の心身の発達の基礎 を培 う自発 的な 「遊び」の中で行なわれ るものであ り

,そ

の指導に関 しても

,遊

び を通 した指導が中 心 となるべ きことが示 されている。項 目の2つ目で述べ られてい る「第2章で示すね らい」 とは

,発

達的側 面か らまとめ られた

,以

下の

5領

域 にかかるね らいである の。

1

心身の健康 に関す る領域 「健康」

2

人 とのかかわ りに関す る領域 「人間関係」

3

身近 な環境 とのかかわ りに関す る領域 「環境」

4

言葉 の獲得 に関す る領域 「言葉」

5

感性 と表現に関す る領域 「表現」 この

5領

域 にかかる 「ね らい」が総合的に達成 され るよ うに

,幼

児 の 自発的な遊びを中 心 とした幼児期 の教育を行 ってい く必要がある。 これ は

,第

1章 でも述べた

,幼

児期 の運 動で期待す る総合的な発達 と同様の考え方であ り,自発的な遊び を中心 とした生活 によ り,

5領

域 の相互作用的な発達が促 され るのである。では

,こ

れ まで何度 も述べてきた遊び と は, どのよ うな活動のことを指すのであろ うか。

1-2

幼児期の遊び とは 幼稚園教育要領では

,幼

児期 の生活 のほ とん どは

,遊

びによって 占められているとし, 幼児期 の遊びの本質を以下のよ うに示すD。 遊びの本質は

,人

が周囲の事物や他の人たちと思 うがままに多様な仕方で応答 し合 うことに夢中にな り

,時

の経つのも忘れ

,そ

のかかわ り合いそのものを楽 しむことに ある。すなわち遊びは遊ぶこと自体が目的であ り

,人

の役に立つ何 らかの成果を生み 出す ことが 目的ではない。 幼稚園教育要領では

,幼

児期 にお ける遊び とは 「夢 中になって環境 と応答 し合 うこと」 である としてお り,ここか ら読み取れ る遊びの本質 とは,「夢 中」とい う言葉 に換言す るこ とができる。幼児教育は環境 を通 して行われていることが基本であることは先に述べたが, この環境 (人的 。物的)と の応答的な関わ りに夢 中になることが,幼児 に とっての「遊び」 であ り

,総

合的な発達 を促す ものなのである。しか し,ここで考 えなければな らないのが, 「夢中」であれば

,そ

れ は全て遊びであるのか

,

とい うことである。そのことを考 える上 で

,上

記 の遊びの本質で示 されている 「遊びは遊ぶ こと自体が 目的であ り」 とい う記述 よ り

,遊

びの 目的

,す

なわち

,遊

びの「動機」に着 日して

,遊

びの在 り方を考 えていきたい。

(23)

1-3

動機で見 る遊び とは 動機 には外発的動機づ け と内発的動機づ けがある。杉原(2014)は,外発的動機づ けとは, 「行動が外的報酬のための手段 となっている状態のことである」のとしてお り

,例

えば, 縄り `び をすれば先生がほめて くれ るので

,先

生にほめ られたいがためにその手段 として縄 跳び をす る

,な

どである。一方

,内

発的動機づけ とは,「報酬が行動 の中にあ り

,言

い換 え れ ば

,行

動す ることとそれ 自体が 目的 となる状態 の ことである」つとしてお り

,例

えば, 縄跳びの もつ独 自のお も しろさ

,魅

力・醍醐味に惹 きつけ られて縄跳びを している

,な

ど である。 この2つの動機付 けを表 したものが図 13で ある の。 このよ うな内発的に動機づけ られた 自己 目的的な遊びについて

,ホ

イジンガ (1963)も 「目的は活動そのものの中にある」のと述べ,「目的が達成 され ることが 目的なのではな く, その行為 自体の中に緊張や喜びが内包 され ているこ とである。 目的それ 自体 あるいはそれ を達成 しよ うとす る過程 自体が遊びの1つの過程 に しかす ぎず

,次

々 と多様な 目的が設定 されてい くこととなる」1の としている。縄跳びの例でい うと

,縄

を跳ぶ ことの中に

,独

自 の緊張や喜びが内包 されてお り

,そ

の緊張や喜び を求め

,経

験す ることが 目的であ り

,次

はこんな跳び方 を してみ よ う

,な

ど,その 目的は次々 と設定 されてい くのである。(当人が それ を 目的 と思 つていな くて も

,で

ある) さらに

,デ

シ (1980)は内発的に動機づけられた状態は

,以

下の 2つ の行動を引き起こ 1 2 自分が今 もつている全力 を発揮す るよ うな行動 自分の能力を さらに高めよ うとす るう `戦 的な行動 す としている11)。 この よ うに

,内

発的に動機づ け られれ ば

,活

動 に全力で取 り組み

,自

分の能力 をさらに 高めよ うとす ることで

,遊

びが 目指す総合的な発達 を促す ことができるものであると考え る。 外的報酬 行 動 手 段

聯勧診

行動

=

内的報酬 自己 目的的 図

13

内発的動機づけと外発的動機づけ (杉原,2014)

(24)

しか し

,遊

びの動機 とは内発的か外発的かが明確 に分かれ るよ うなものではな く

,非

常 に複合的なものである。 ある

1つ

の行動が

,1つ

だけの動機 か ら生まれ ることは稀で

,2

つ以上の動機 によつて行動 していることが多 く

,杉

原 (2008)は

,内

発的動機 づけを遊び の要素

,外

発的動機づ けの非遊びの要素 として

,そ

の遊びの要素は連続体 として考えてい かなければな らない としている2)。 (図

14)縄

跳び遊びやボール遊びな ど

,同

じ活動のよ うに見 えて も

,子

どもによつて

,そ

して

,場

面によつてそ こに含まれ る遊びの要素の多 さ は変わって くる。 このよ うに

,連

続体 としての遊び を捉 えると

,あ

る活動を行 う時に

,先

生に褒 められたいか ら活動す るとい う外発的な動機 か らは じまつた としても

,活

動を して いる うちに

,そ

の活動に喜びや楽 しみを見つけ始 め

,徐

々に遊びの要素の多い活動 となつ てい くとい うことも考えることができる。 遊びの要素の少ない遊び 遊びの要素の多い遊び 図

14

連続体 として捉えた遊 び (杉原,2014)

1-4

自発的な遊び とは 子 どもの動機 を見分 ける方法 として

,杉

原 (2014)は,「行動 における自己決定があそびの 要素」1のであるとしてい る。 どのよ うな方法 。ルールで遊び, どのよ うな場所で遊ぶかな

,子

どもの 自己決定が多けれ ば多いほ ど遊びの要素が多 く

,保

育者が決 めれ ば決 めるほ ど

,遊

びの要素が少ない とい うことである。 幼稚園教育要領や幼児期運動指針 では 「自発的な」 とい う文言が よく見 られ るが

,こ

の 自 発性 と自己決定 とは何がちが うのであろ う力■ 杉原 (2014)は

,自

発性 と自己決定は区別 して考 えなければいけない とし,「最 も高い水準の 自発性 のみが 自己決定」142と述べ る。大 辞林 によると

,自

発性 とは 「他 か らの影響・教示 な どによるのではな く

,自

分か ら進んで 行お うとす ること」15yと記 されてい るが

,杉

原 (2014)は,「自己決定 してい るときは 自発 的であるが

,自

発的であることが常に 自己決定的であるとは言 えない」1の としている。そ の 自発性の水準 と自己決定について図 15の ように示 した。

(25)

最 も高 い自発性の水準 (自己決定的

).■

報酬 が行動 の 中にあ り

,言

い換 えれ ば, 行動す るこ ととそれ 自体が 目的 とな る 自己 目的的 で ある 積極 的な自発性の水準 親や先生に褒 め られ た くて一生懸命や る 友達 と一緒 に活動 した くてや る 自分 の意思でや りたい と思 つてや る 消極的な自発性の水準 みんながや つているか らや る や らない と親や先生 に悪い 本人 のや ろ うとい う意思が入 つて くる 自発性のない水準 親や先生に怒 られ るか らや る や りた くないのに無理や りや らされ る 図

15

自発性の水準 (杉原

,2014を

もとに作成) 図 15の よ うに,「自発的な遊び」 と一言で言つて も

,こ

れ だけの水準があることを認識 しておかなけれ ばな らず, どの よ うな水準で生 じた 自発性であつた としても

,そ

の 自発性 を最 も高い 自発性の水準である自己決定的なものに移行す るよ うに していかなければな ら ない。 これまで見てきたよ うに

,遊

び とは

,報

酬 をえるための手段ではな く

,活

動 を行 うこと 自体が報酬である内発的な動機づ けによつて

,自

己決定的に取 り組んでい くものである。 その よ うに遊びに取 り組む ことで

,子

どもは 「夢 中」になるのであ り

,こ

の 「夢中」であ ることが遊びの本質 となる。しか し,幼児教育にかか る文言 において,「夢 中」の他 に,「熱 中」 とい う言葉 も用い られ ることがある。大辞林では

,そ

れぞれの意味について

,以

下の よ うに記 されている1つ 。 【夢中】 一つの物事に心を奪われて我を忘れる 。こと(さま)。 【熱中】 他のことを忘れて

,一

つのことに心を注ぐこと。 この2つの意味を比較 した とき,「熱中」よ り「夢 中」のほ うがその意味の度合いは強い ことがわか る。 自発性の最 も高い水準が 自己決定であることは先に述べたが

,こ

こでは, 「熱 中」することの最 も高い水準が 「夢中」であると考える。 日の前の活動が内包するお もしろ さに心を注いでいき,徐々にその活動に心を奪われ る。他のことを忘れて取 り組み, 徐々に我 を忘れて 目の前の活動 に没頭す る。この よ うに,「熱 中」か ら「夢 中」へ と

,そ

の 内 発 的 動 機 外 発 的 動 機

一 

一 

(26)

我を忘れる

夢 中

一つの物事に 心 を奪われ る 他の ことを忘れ る

熱 中

一つの物事に 心を注 ぐ 図

16

夢 中と熱中の水準 度合いは強 くなつてい くのである。(図 16)こ の意味か ら考 えると

,遊

びが 目指す ものは, 最 も高い水準である「夢 中」であるが,自発性の水準 とは違 い,「熱 中」を している状態だ けで も

,遊

びの要件 としては十分である と考える。そこで

,本

研究では

,遊

びの定義 を以 下のよ うに定義づ けた。 自己決定的 に取 り組む熱 中活動 第1節では

,幼

児期 にお ける遊びの意義 を確認 し

,そ

の定義づけを行 つた。活動が遊び の要素の多い活動 となるには

,内

発的な動機づ け として活動 を行 えるよ うに, 自発性 を高 い水準

,つ

ま り, 自己決定的な ものへ と移行 させ てい くこと

,そ

して

,熱

中を

,よ

り高い 水準である夢 中に移行 させ てい くことが重要であることがわかつた。 では

,そ

の遊びの水準を高めてい くには どうすればよいのだろ う力、 次よ り

,遊

びに ど れだけ熱 中 しているか, とい う水準を 「熱 中度」 とし

,そ

の要素を見てい くこととす る。

(27)

第2節 遊びの熱 中度

2-1

遊びの発達 第 1節 では

,本

研究にお ける遊びの定義づけを行 つた。 よ り遊びの要素の多い遊び とな るには

,活

動 の熱 中の度合 いをあげていき

,熱

中の最 も高い水準である夢中 となるよ うに す る必要があるが

,そ

の遊びへの熱 中を高めてい くには

,何

が必要なのであろ うか。 ここ では

,遊

びの熱 中の度合いを 「熱 中度」 として

,遊

びの発達的な視点で考えていきたい。 西頭 (1974)は 遊びやルールやテーマ とい う視点か ら

,加

齢 に伴 う遊びの発達 を表 1の よ うに示 している1の 。西頭 (1974)は

,幼

児の遊びは

,加

齢 とともに傍観的な遊びが減少 してい き

,Ⅲ

型のルールやテーマのある遊びが増加 して くる としてい る19。 (図 17)こ の よ うに

,子

どもたちは

,年

齢 を追 うに したがつて

,テ

ーマやルール をもとに仲間 との協同 的な遊びができるよ うになって くる。 さらに

,西

頭 (1969)は

,協

力関係 のある遊び を行 つた子 どものほ うが遊びの熱 中度が高かつたことを報告 している20。 っま り

,幼

児の遊び の熱 中度を高めてい くには

,加

齢 とともに

,協

力的な遊び となるよ うに していかなければ な らない。 しか し

,序

章で述べたよ うに

,現

代の子 どもたちは時間

,空

,仲

間の三間が減少 した ことにより

,集

団で遊ぶ経験が少な くなつてお り協同的に遊ぶ力は十分 に育 っていない と 考 える。原 田 (1997)も,「就学直前で もI型の遊びに終始 している子が多い」20と

,協

同 的な遊びの減少 を指摘 している。 これは

,筆

者の両親が経営す る保育園で も同様の傾 向が 見 られ る。園庭での 自由遊び において,テーマやルール に基づいた協力的な遊び を行 えず, 遊具な どの機能 を使 つた Ⅱ型の遊びで とどまってい る子 どもが多い。 では

,遊

びの熱 中度 を上げてい くために

,な

ぜテーマやルールが必要なのであろ うか。次 よ り協力 関係 におけ るルールやテーマの意義 について考 えていきたい。

(%)

60 50 40 30 20

-1型

…・… Ⅱ型 ― Ⅲ型 頻 度 0     0 3歳

4歳 5歳

17

生活年齢 と遊びの発達段階 6歳 (西頭,1974)

(28)

1

遊びの発達段階 段 階 名 称 特 性 I 遊び以前 保育室

,運

動場で何 もしないでぼんや りしている 先生について歩 くのみ (先生が遊びに加 わっていない と 何 も しないでただぶ らぶ ら歩 くのみ き) 傍観的遊 び 何 も しないで子 どもの遊びを見 る 遊具 を使用 した り

,何

かの遊びに参加 しているよ うにみえるが 遊ぶ意欲がない 2人以上手 をつないで

,ぼ

んや りしている 単 なる模倣 遊び 自分か ら積極的にすすんで遊ぶものではない。ただ先生や他の 子 どもたちについてかくれんば

,た

いこ橋で遊ぶ Ⅱ テーマもな いし「ルー ル」もない 遊び ブランコにのった り

,す

べ り台ですべるなど, だけを利用 して遊ぶ 自分で遊びを見つけるが

,意

,発

展なし そ の遊具 の機 能 テーマはあ るが 「ルー ル」のない 遊び 遊具 に意味を与 えて遊ぶが,「ルール」がない 擬人的遊び

,積

木で 自動車遊び をす るが

,自

動車 としての ―ル」

,あ

るいは他の物お よび人 との関係 を考慮 しない 「ル テーマがあ り,「ルー ル」ができ かける遊び ごつこ遊びの様相 をみせ るが

,持

続 性がない 話 しなが ら製作 をした り

,本

を読んだ りす るな ど, 友達 と結びつ きはあるが

,そ

のや り方に 「ルール」 同一 目的で をもたない Ⅲ テーマがあ り,「ルー ル」がある 遊び 遊具 を使 って1人で遊んでいても

,他

の人物 との関連 をつけて 遊ぶ。その遊具利用の 「ルール」を決めている ごっこ遊び

,役

割の分担 あな されている 遊びの中に 「ルール」が1つある場合 。ままごとで

,お

父 さん

,お

母 さんの役害Jが決 まっている

,な

ど ・遊びの中に 「ルール」が2つ以上ある場合

,ま

ま ごとで役割, 内容 が決 め られている 。お母 さんは

,ご

はんを作 り

,お

父 さんは会社 に行 く 遊びの中に 「ルール」が3つ以上 ある場合 ままごとで役割

,内

容が決 め られ

,他

の遊び と関連づけて遊ぶ 乗物 に乗 つてスーパーに行 き

,お

金で売 り買いをす る

(29)

2-1

遊びのテーマ とルール 遊びの熱 中度 を高めてい くためには

,協

力関係 が必要であ り

,そ

の協力関係 にはテーマ やルールが重要 となる。 西頭 (1974)は

,テ

ーマ とは 「幼児が 自分たちの遊びの内容 を

,行

動 によってあるいは 言葉 によって表現す ること」2のでぁ り ,「遊び にま とま りのある内容がみ られ ること」20 としてい る。つま り

,テ

ーマ とは

,幼

児 が 自分たちの遊びを表現す るために

,ま

とま りを もたせ るためのものである。 さらに西頭 (1974)は

,テ

ーマの視点で遊びを3つに分類 し ている2う 。

A

テーマのない遊び 遊び内容 にま とま りがな く

,単

純な行動 を繰 り返す遊び

B

行動 によるテーマづけのある遊び 言語表 現はないが

,具

体的行動 においてま とま りをもつ内容が見 られ る遊び

C

言葉 によるテーマづ けのある遊び 遊ぶ者 によって言語表現 され る遊び テーマのない遊びか ら

,徐

々に興味関心に合わせて行動によるテーマづけを行い

,さ

ら に

,そ

の遊びを言葉で表現 しなが ら

,言

葉 によ リテーマづけを行 つてい く。年齢 と共 に, 表 1の 遊びの発達段階で見たよ うに

, I型

の遊びか ら

,テ

ーマのあるⅡ型やⅢ型の遊びヘ の発展 してい くのである。 さらに

,こ

のテーマのある遊びを増大 させ ると同時に見 られ る よ うになるのがルールである。 西頭 (1974)は

,ル

ール は遊びに参加す るメンバーを拘束す ることとなるが

,ル

ールが あることによって活動の秩序性 は保たれ

,遊

びが持続 してい くためには不可欠なものであ る としてお り, さらに

,ル

ール を2つの種類 に分 けて考 えている2の A tt「物的ルール 身体

,場

所 の利用 に関す るもの

B

関係的ルール 役割 の決定

,交

,勝

,競

争 な ど 即物的ルール とは

,テ

ラスの線 をふまないで走 る

,背

の高い)贋序 に並ぶな どであ り

,関

係 的ルール とは

,ジ

ャンケンで鬼が決まる

,回

数 を決 めて交代

,点

数 をつ けて競争す るな どである。さらに

,西

頭 (1974)は 「ルール数の増大は

,幼

児 の思考

,理

解力 に関連す る」 2のと述べ

,年

齢共 に

,即

物的ルール が減少 し

,関

係的ルール が増大す る としている。 この ことは

,年

齢 と共 に,「言葉 によるテーマづ けのある遊び」が増大 してい くよ うに

,年

齢 と 共 に

,言

葉 によって よ り自らの想いを表現できるよ うにな り

,関

係的ルールが増大 してい

(30)

くものと考える。 このように

,テ

ーマ とルールを考えると

,年

齢 と共に

,言

葉による表現が発達 していく ことか ら

,そ

れに伴い

,同

じテーマをもとに仲間関係ができる。 さらに

,そ

の中で

,関

係 的なルールを生み出しながら

,そ

の協力関係を強めていくものと考える。

2-3

遊びとイメージ では

,ル

ールやテーマをもとに協力関係ができるとなぜ

,遊

びの熱中度が高まるのであ ろ うか。 河邊 (2005)は

,遊

び とイメージについて述べてお り,「仲間 と協同的に遊ぶことに関 し て

,イ

メージが連鎖 して遊びは広が りを見せる」2つ と述べる。 さらに

,遊

びの展開につい て 「子 どもは身近な環境からイメージを想起する。それが他者 と共有 されることにより, イメージに即 した見立てや振 りが生 じ

,遊

びの状況が生まれる。するとそこから誰かが新 しいイメージを想起 し,それがまた周囲の子 どもに共有 されていくとい うように展開する」 2の とし

,そ

の展開要素を図 19の ように示 している。

19

豊かな遊びの展開の要素 (河邊,2005) 図 19に おいて協働的な遊びを考えると,ま ず,個々に 目の前の遊びに取 り組んでい く中 で

,行

動や言葉 によるテーマが生まれ る。そのテーマをもとに他者 とや りとりを し

,そ

の や りとりの中で

,即

物的なルールや 関係的なルールができるのであるもの と考える。 この よ うに

,他

者 とや りとりを し

,テ

ーマづ けやルール を決 めなが ら

,遊

びのイメージを広 げ てい くことが

,協

同的な遊びによ り遊びの熱 中度が高まる 1つ の要因 となっているのでは ないだろ う力、 第I章では

,幼

児期 の運動発達 について見てきた。幼児期 は

,基

礎的な運動スキル を身 に付 ける重要な時期であるが

,幼

児期 の総合的な発達の面か ら考 える と

,特

定のスキル を イメー ジの広が り ↑ ↓ 広が りに応 じたモノの取 り組み 共同の追求 他者 とのや りと り

(31)

伸 ばす ことを 目的 とした

=斉

指導 による運動指導ではな く

,社

会性や意欲 な どの諸々の能 力が相互作用的に発達 してい く自発的な遊び として体 を動か してい くことが

,結

果 として 運動能力 を伸ばす ことできるであろ うことを述べた。 さらに

,第

Ⅱ章では

,遊

びについて 見ていき

,遊

び とは報酬を得 るための手段ではな く

,そ

の活動 を行 うこと自体 に 目的 とす る

,内

発的に動機づけ られたものであること

,そ

して

,遊

び要素を多 くす るためには

,自

発的な遊びの最高水準である自己決定的な遊びへ

,そ

して

,熱

中の最高水準である夢 中ヘ と高めてい く必要があることか ら

,遊

びの定義 を 「自己決定的に取 り組む熱 中活動」 と定 義づ けた。本研究では

,そ

の熱 中の度合いを 「熱 中度」 とし

,熱

中度 を高めてい くために は

,年

齢 と共 に

,テ

ーマやルール にもとづいた協同的な遊びによって

,遊

びのイメージを 広 げてい くことが重要であることを確認 した。 そ こで

,本

研究では

,対

象 を年長児

(5,6歳

)と

していることか ら

,熱

中度の最高水 準である夢 中になっている幼児の姿を以下のよ うに定義づけた。 テーマやルールがあ り

,協

力 関係 のある活動 に完全 に没頭 している では

,一

斉指導 による運動ではなく

,自

発的な遊び として運動 を行いなが ら

,こ

のよ う な姿を 目指 してい くためには, どのよ うな環境 を構成 してい く必要があるだろ う力、 第Ⅲ 章 よ り,先行研 究か ら熱 中度 を高めるための構成要素を整理 していきなが ら,「熱 中度 を高 める外遊びのモデル」の作成 を試みてい くこととす る。

表 1  遊びの発達段階 段 階 名 称 特 性 I 遊び以前 保育室 ,運 動場で何 もしないでぼんや りしている 先生について歩 くのみ (先 生が遊びに加 わっていない と 何 も しないでただぶ らぶ ら歩 くのみ き ) 傍観的遊 び 何 も しないで子 どもの遊びを見 る 遊具 を使用 した り ,何 かの遊びに参加 しているよ うにみえるが 遊ぶ意欲がない 2人 以上手 をつないで ,ぼ んや りしている 単 なる模倣 遊び 自分か ら積極的にすすんで遊ぶものではない。ただ先生や他の 子 ども
表 2  熱中度を高める遊びの構成要素 西 頭 原 田 杉原 宮 丸 1ヽ 田 自己決定できる環境 ○幼児の理解力及 び能力 に応 じて選 択 され た可塑 性・ 発展性 のある遊具 が よい ○ア レンジ した り, 壊 した り,創 造す る こと,な どができる可塑性 の高い ものが よい ○様 々な活動が同時多発的に展開できるこ と ○ 自己決定できる ○子 どもが興味を もつ よ うに用具を 準備 した り,活 動を選択 させた り,工 夫させ る ○子 どもがす きな もの を選ぶ こ とがで
表 5  全体の遊びの記録 (Pre)11月 7日 (金 )AM9:00〜 AM10:00
表 6  運動能 力高群の遊びの記録 (Pre)11月 7日 (金 )AM9:00〜 AM10:00 運動能力高群 男児 A 男児 B 女 児 C 女 児 D 遊 び の 様子 9:00 ↓9:13 9:17 9:10 9:16大なわとび大なわとび9:15保育者がは じめた遊びに参加。途中か ら縄をまわす。9:40 ― じゃんけん 保育者が は じめた遊びに参加。途中か ら縄をまわす。9:43 ― 砂場遊び 見   では 人     o姿 一 る一妬ず︐障力 れ 中協 ヽら 夢 友達 と協力 しなが ら,砂
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参照

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