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卒業年度の学生を対象と した兵庫教育大学教員養成スタンダードに関する意識調査

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Academic year: 2021

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卒業年度の学生 を対象 と し た兵庫教育大学教員養成ス タ ン ダー ド に

関す る意識調査

A Survey of Standards for the Teacher Training in Hyogo University of

Teacher Education: Opinions among Students in the Year of Graduation

田 中 圭 介*

別 惣 淳

TANAKA Keisuke

BESS0 Junji

-

**

演 中 裕 明***

吉 本 剛 典***

HAMANAKA Hiroaki YOSHIMOT0 Takafumi

本研究では, 兵庫教育大学の卒業 を控え た学生に対 し て, 彼 / 彼女 らが 4 年間経験 し た, 教員養成ス タ ン ダー ド に基づ く 教育体制に関す る ア ンケ ー ト 調査 を実施 し た。 本稿の目的は, ア ンケ ー ト 調査の結果 を分析す る こ と で, 兵庫教育大学 の教員 養成 ス タ ン ダ ー ド の運用 , ひい ては本邦 の教員 養成 ス タ ン ダー ド の運用 につい て考察す る こ と で あ る。 ア ンケ ー ト 調査の分析の結果, 教員養成ス タ ン ダー ド を用いた取組そのも の ( 自己評価, グループ討論) については自己省察, 課題 の明確化, 自己 の成長の確認 と い っ た効果が得 ら れてい る反面, 教員養成 ス タ ン ダー ド の運用 を補助す る仕組み [e ポー ト フ ォ リ オや カ リ キ ユラ ムマ ツ プ, TSS (Teacher's Standard-based Score) ] につい ては十分 な効果が得 ら れてい ない こ と が示唆 さ れた。 こ れら の結果 の考察 を通 し て , 今後 , 教員 養成 ス タ ン ダー ド や e ポー ト フ ォ リ オ を効果的 に活用 す る た め の課題 と 展望 を述べ る。 キ ーワ ー ド : 教員 養成 ス タ ン ダ ー ド , e ポ ー ト フ ォ リ オ , 意識調査

問題 と 目的

本邦では, 1997 (平成 9 ) 年 7 月の教育職員養成審議 会第一次答申において, 教科指導, 生徒指導等に関する 『最小 限必要な資質 能力』 につい て言及 さ れて以来, 大 学教育 で養成 さ れる教員 (教師) の質保証への取組が, 社会的あ るいは制度的 に要請 さ れる よ う にな っ て久 し い。 教員養成の質保証への社会的, 制度的要請が高ま る中で, 各課程認定大学では養成すべき教師像や専門性 を基準 と し て示 し , その基準達成に向け て全学的な指導体制 を構 築す る こ と が重要な課題 と な っ てき た (別惣, 2012; 中 央教育審議会, 2005) 。 こ の流れを受け て, 各大学で教 員 養成に関わ る 「教員 養成 ス タ ン ダー ド」 の策定 と 運用 が進め ら れて き た。 兵庫教育大学では, 2011 (平成23) 年に, 「教員 を目 指す学生が大学卒業時ま でに身 に付け てお く べき最小限 必要な資質能力 を示 し た もの」 と し て, 兵庫教育大学教 員 養成 ス タ ン ダー ド を開発 し , その試行的 な運用 に取 り 組んで き た (別惣, 2012) 。 兵庫教育大学の教員養成ス タ ン ダー ド は, 50項日 の質問項目か ら な り , 「学 び続け る教師」 「教師 と し ての基本的素養」 「子 ども理解に基づ く 学級経営 ・ 生徒指導」 「教科等の指導」 「協働 ・ 連携」 の 5 つの領域を測定す る ものである。 兵庫教育大学では, 教員 養成 ス タ ン ダー ド を手がかり に課題 を発見 し , 目標 設定 を行 っ た上で, ②授業や課外活動に臨み, ③成果等 を蓄積 し , ④教員養成ス タ ン ダー ド と 照 ら し合わせて振 り 返り を行 う と い う 学習のサイ ク ルの下, 指導 を行 っ て い る (図 1 ) 。 こ れら は全 て , CanPass ノ ー ト と 呼 ばれ る e ポー ト フ ォ リ オ シス テ ム上で 行 われ, 情報の一元化 が図 ら れてい る。 兵庫教育大学では, 教員養成ス タ ン ダー ド を効果的 に 運用 す る ために, 主に以下の 4 つの取組が実施 さ れて き た。 第一 に, 教員 養成 ス タ ン ダー ド を用い た自己評価 を 学年毎 に行 う 機会 を設け るこ と であ る (すなわち, 学修 成果 シ ー ト の作 成) 。 第二 に, CanPass ノ ー ト を用い て 自身の学 びの記録や成果物 を蓄積す るよ う に促 し , 自己 評価の際に活用 さ せる こ と である (すなわち, 活動記録 の作成) 第三に, 学修成果 シー ト を用い て, 発表や グルー プ討 論 を行 い , 省察 を深 め る機会 を設け る こ と で あ る (す な わち , リ フ レ ク シ ョ ン ミ ー テ イ ン グの開催) 。 第四 に, 目標設定や授業選択の基準 と し て, 教員養成ス タ ン ダー ド と各授業科目 と の関連 を示 し た 「 ヵ リ キユラ ムマ ツ プ」 や, カ リ キ ユラ ムマ ツ プに基づ き各授業科目の成績 か ら 導 か れ た 教 員 養 成 ス タ ン ダ ー ド に 関 す る ス コ ア

(TSS: Teacher's Standard-based Score) を 設定 す る こ と である。 具体的 な 4 年間の指導計画と し ては, 学生は 1 年次では 7 月に, 2 , 3 , 4 年次では 4 月に実施さ れる ク ラ ス ミ ー テ ィ ン グにお い て , 年 度の目標やめ ざす教師 像 を CanPass ノ ー ト に記入す るよ う に指導 さ れる。 ま た, 学修成果 シ ー ト の作 成 や リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グ を 実 施す る期間 と し て リ フ レ ク シ ヨ ンウ イ ー ク と 呼 ば れる 期間が年度 ごと に設定 さ れており , こ の期間 を利用 し て 1 年間の学修 を振 り 返 る こ と が定め ら れてい る。 なお , リ フ レ ク シ ヨ ン ウ イ ー ク は, 当該 年次 に履修 し た授業 科目の成績評価 な ら びに Tss が出揃 っ て か ら , そ れを 参考に し て学生が省察 と自己評価 を行 う ために, 1 年次 分は 1 年次の 1 , 2 月に, 2 年次分は翌 3 年次 4 月に, * 兵庫教育大学特命助教 (現 ・ 上越教育大学) * * 兵庫教育大学大学院教育実践高度化専攻 * * * 兵庫教育大学大学院教育内容 ・ 方法開発専攻 平成27年 6 月24 日受理

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3 年次分は翌 4 年次 4 月に設定 さ れてい る。 4 年次分の 学修成果 シー ト は, 4 年次の12月中句から 1 月上句頃に 作成 し , 教職実践演習 で活用 さ れる。 カ リ キ ユラ ムマ ツ プや TSS は, 学修成果 シ ー ト の作成 や リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グの際に活用 さ れる。 活動記録は, 学修成果 シー ト を作成す る際の根拠資料 と な るよ う に年間 を通 し て日々蓄積す るよ う に指導 さ れる。 1 , 2 , 3 年次の11 月から12月にかけ て, 活動記録の利用促進を目的 と し た 推奨期間 ( リ フ レ ク シ ヨ ン フ オロ ーア ッ プ) も 設け ら れ てい る。 兵庫教育大学と同様に, 各大学において, 多様性に富 んだ教員 養成 ス タ ン ダー ド が策定 さ れ, 運用 に向け て試 行錯誤がな さ れてい る。 し か し , 今日, 教員養成ス タ ン ダー ド を導 入 す る こ と の意義 が盛 んに議 論 さ れ る 反面 (長谷川, 2013 ; 望月 ・ 村山, 2011) , 各大学におけ る教 員 養成 ス タ ン ダー ド に関わる取組の効果や課題 につい て 実証的 に検討 さ れた例は極 め て少 ない。 教員 養成 ス タ ン ダー ド に関わる取組の効果 を検証 し た数少 ない研究 と し て, 鈴木 (2012) がある。 鈴木 (2012) は, 兵庫教育大 学の教員 養成 ス タ ン ダー ドの運用が開始 さ れた2011 (平 成23) 年度の10月に, 学部 1 年次生に対 し てア ンケー ト 調査 を実施 し , 教員養成ス タ ン ダー ド に関わる取組に関 す る意識や評価 を尋ねた。 その結果, 教員養成ス タ ン ダー ドは, 入学時のオ リ エ ン テ ー シ ョ ンに活用す る こ と で教 職理解や動機づけの道具 と し て役立 つたこ と , さ ら に, 自己評価す る こ と によ っ て教職理解や自己理解, 学習計 画 の 立 案 に 役 立 つ た こ と が 明 ら か と な っ た 。 鈴 木 (2012) の研 究 にお い て当時 , 1 年次 で あ っ た学生は 2015 (平成27) 年 3 月に卒業 を迎え た。 そこ で, 本研究 では2015 (平成27) 1 月に兵庫教育大学の卒業を控え た 段階で, 再度, 兵庫教育大学の教員養成ス タ ン ダー ド に 基づ く 指導体制に関するア ンケー ト 調査 を実施 し た。 本 研究の目的は, こ のア ンケ ー ト 調査の結果 を考察す る こ と で, 兵庫教育大学の教員養成ス タ ン ダー ドの運用, ひ い ては本邦 の教員 養成 ス タ ン ダー ド の運用 に つい て考察 す る こ と で あ る。

方 法

兵庫教育大学の卒業 を控えた 4 年次生146名 (男性50 名, 女性96名) を対象に, ア ンケー ト 調査 を行 っ た。 ア ンケート は2015年 (平成27) 1 月に実施さ れた教職実践 演習 (ま と め) で配布 し , その場で回答 を求めた。 配布 にあ たり , ア ンケ ー ト には, 回答者の回答内容は集団デー タ と し て数量化 さ れ, 個人が特定 さ れない こ と が記載 さ れた。 ア ンケ ー ト の内 容は, 主 に, ①性別 ・ 所属 コ ース (分 野) ・ 進路, ②c anPass ノ ー ト の使用実態 , ③学修成果 シー ト を作成す る こ と で で き た こ と , ④活動記録 を作成 す る こ と で で き た こ と , ⑤ リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ーテ イ ン グ に参加す る こ と でで き たこ と , ⑥CanPass ノ ー ト を活用 す る こ と で役立 つた こ と , ⑦教員 養成 ス タ ン ダー ド につ い ての意識 ・ 感想 , ⑧ ヵ リ キ ユラ ムマ ツ プや TSS が役 立 つ た こ と , ⑨自由 記 述 ( 教員 養成 ス タ ン ダ ー ド や CanPass ノ ー ト , カ リ キ ユ ラ ムマ ツ プ等 に関す る感想 や 意見, 改善すべき点) に関す る も のであ っ た。 使用 し た 質問紙 フ オーマ ツ ト を Appendix 1 に示す。 結 果 まず, 問 2 の CanPass ノ ー ト の使用実態につい て, 5 段階 (年に 1 回~ ほぼ毎日) に関す る回答者の割合 を図 2 に示 し た。 その結果, ロ グイ ン数, 入力数 と も に年 に 1 回, あ るいは月に 1 回以下 と 回答 し た割合が多 く , 月 に 1 回~ 週に 1 回以上の回答はほと んど見 ら れなかっ た。 そのため, 学生の約半数は, 各年度で義務づけ ら れた学 修成果 シー ト の作成 に取 り 組む際に CanPass ノ ー ト を使 用す るのみで あ っ た と い え る。 ま た, 残 り 半数は, 数か 月 に 1 回程度の間隔で, 学修成果 シー ト や活動記録の作 成等 に CanPass ノ ー ト を使用 し てい た と 考え ら れる。 図 1 兵庫教育大学の教員養成 ス タ ン ダー ド を用い た学習 サイ ク ル

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ログイン頻度 入力百 _度 0% 10% 21:l% 31:l% 41:l% 50% 60% 70% 80% 90% Im% 口年に1 回 日月に1 回以下 ■ 月に1 回~ 週に1 回 図 2 CanPass ノ ー トの利用状況 0% I 2 3 40% 1 年間の 学修の 成果を振り返った り、考えをまと めた りすることができた 自分のできている点に 気づくこと ができ た 自分の課題に 気づくことができた 自分の1 年間の成長を確認することができた 50% 6 70% 8 9 100% 口あてはまらない 国あまりあてはまらない 少し あてはま る ■あてはま る 図 3 学修成果 シ ー ト に関す る質問項目への回答者の割合 その活動から学んだことを振り返ったり、考えをまとめたりすること ができた 自分のできている点に 気づくことができた 自分の課題に気づくことができた , *学修成果シートや卒業準備フ ァイルに自分の学修を整理する際の資料となっ た . 0% 1()% 20% 30% 4 5 6 7 8 9()% 100% 口あてはまらない 国あまりあてはまらない 少し あてはま る ■あてはまる 図 4 活動記録に関す る質問項目への回答者の割合 0% 10% 2 30% 40% 50% 60% *1 年間の学修の成果を振り返ったり、考えをまとめたりするこ とができた t自分の 出来ている点に 気づくこ とができた 自分の課題に 気づくこと ができた グループ討論等をすることによ って、白分では 気づかなかったことを知ることがで きた り、様々な視点から白分の学修を深めたりすることができた , 口あてはまらない 国あまりあてはまらない 0 少し あてはま る ■あてはまる 図 5 リ フ レ ク シ ョ ン ミ ーテ イ ン グに関す る質問項目 への回答者の割合 日 々の学修や 活動を、教員養成スタンダードに示さ れた資質能力に結びつけて考える こと ができた , *活動記録に他の学生や教員からコメントをもらうことで、 自分では 気づかなかったことを 知ること ができたり、様々な視点から自分の学修を深めたりすることができた , *他の学生の活動記録を開覧し 、他者の活動内容や視点を参考にすることで、白分白身 を成長させ る手がかりとな った , ' 他の学生の活動記録を開覧することで 、自己研、 続けていくための励みになった 口あてはまらない 国あまりあてはまらない 少し あてはま る ■あてはま る 図 6 CanPass ノ ー ト に関す る質問項目への回答者の割合

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4年間のカリキ ュラムは、スタンダードに基づく資質能力を向上させ るために役 立った , * 4 年間を通して培った スタンダードに基づく資質能力は、今後の教員生活 (ある いは 教員以外の職業生活) を送る上での支え となると思う, t スタンダードに示さ れた 教員としての資質能力 は、社会から求められる教師像や 自分が日指すべき教師像をイメ ージするための手がかりになった, ' 率業後もスタンダードを用いて、 自分の資質能力の振り返りを行っていきたいと 思う, 16 ; t; 77 13 39 75 l 8 l : ' 4b 68 0 ・ A 7 , ・ 口あてはまらない 国あまりあてはまらない あてはまる ■あてはまる 図 7 教員養成 ス タ ン ダー ドに関する質問項目への回答者の割合 096 l l'1% 21]% 31'1% 41'1% 50% 60% 71'l% '力リキュラムマツブは履修科日を選択する際に役に立った , ' Tssは、 自分の成長を客観的に確認するために こ立った, ' Tssは、履修科日を選択する際に役に立った , l 3 80% 90% 100% 口あてはまらない 国あまりあてはまらない 0 少し あてはまる ■あてはまる 図 8 力 リ キ ュ ラ ムマ ツプ と TSS に関す る質問項目への回答者の割合 表 1 CanPass ノ ー ト の利用頻度 と 各設問への回答の関連

項目1

項目2

項目3

項目4

項目1

項目2

項目3

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ログイン頻度

.39**

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入力頻度

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.26**

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問5 リフレクシヨンミーテイング 問6 CanPassノート

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項目1

項目2

項目3

項目4

ログイン頻度

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.21*

.13

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入力頻度

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.19*

.13

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問7 教員養成スタンダード

問8 力リキュラムマツプとTss

項目1

項目2

項目3

項目4

項目1

項目2

項目3

ログイン頻度

.26**

0.14

.21*

.17*

.25**

0.15

.07

入力頻度

.23**

0.14

.19*

0.14

.21*

.19*

.11

note: *p< .05; **p < 01

次に, 問 3 から問 8 ま での各項目につい て, 4 段階評 価 ( 4 あ てはま る ~ 1 あ てはま ら ない) に関す る回答者 の割合 を図 3 ~ 図 8 に示 し た。 ま た, 各項目への回答に つい て, “ 4 あ てはま る” と “ 3 少 し あ てはま る” の回 答 を肯定的評価, “ 2 あま り あ てはま ら ない” , “ 1 あ てはま ら ない” の回答 を否定的評価 と し て分類 し た。 そ の上で, 肯定的評価と 否定的評価の回答者の割合 を, 正 確二項検定 を用い て比較 し た。 図中の* は有意差, † は 有意傾向が見 ら れた項目 を示 し てい る。 問 3 の学修成果 シー ト に関す る各項目の回答者の割合 は, 図 3 の通り であ る。 正確二項検定の結果, 肯定的評 価 と 否定的評価の間 に統計学的 に有意な差が見 ら れた項 目は, 項目 3 の “自分の課題に気づ く こ と がで き た” で あ っ た。 項目 3 では, 多 く の回答者が肯定的評価 を示 し た。 問 4 の活動記録に関する各項目の回答者の割合は, 図 4 の通り で あ る。 正確二項検定の結果, 肯定的評価 と 否 定的評価の間 に有意差が見 ら れた項目は, 項目 2 の “自 分 ので き てい る点 に気づ く こ と が で き た” と 項目 4 の “学修成果 シー ト や卒業準備 フ ァ イ ルに自分の学修 を整 理す る際の根拠資料 と な っ た” で あ っ た。 こ れら の項目 では, 多 く の回答者が否定的評価 を示 し た。 問 5 の リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グに関す る各項目の 回答者の割合は, 図 5 の通り であ る。 正確二項検定の結 果 , リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グに関す る全 て の項目 に おい て, 肯定的評価と 否定的評価の間に有意差, あ るい は有意傾向が見 ら れた。 なお, 有意傾向の項目は, 項目 2 のみで あ っ た。 こ れら の項目では, 多 く の回答者が肯 定的評価を示 し た。 問 6 の CanPass ノ ー ト に関す る各項目の回答者の割合

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は, 図 6 の通り で あ る。 正確二項検定の結果, CanPass ノ ー ト に関す る全 ての項目におい て, 肯定的評価 と 否定 的評価の間 に有意差が見 ら れた。 こ れら の項目では, 多 く の回答者が否定的評価 を示 し た。 問 7 の教員 養成 ス タ ン ダー ド に関す る各項目の回答者 の割合は, 図 7 の通り で あ る。 正確二項検定の結果, CanPass ノ ー ト に関す る全 て の項目 にお い て , 肯定的 評 価 と 否定的評価の間 に有意差, あ るいは有意傾向が見 ら れた。 項目 1 の “ 4 年間 の カ リ キ ュ ラ ムは, ス タ ン ダー ド に基づ く 資質能力 を向上 さ せ る ために役立 っ た” , 項 目 2 の “ 4 年間 を通 し て培 っ た ス タ ン ダー ド に基づ く 資 質能力は, 今後の教員生活 (あ るいは教員以外の職業生 活) を送 る上 で の支え と な る と 思 う ” , 項目 3 の “ス タ ン ダー ド に示 さ れた教員 と し ての資質能力 は, 社会から 求めら れる教師像や自分が目指すべき教師像 をイ メ ージ す る ための手がかり に な っ た” では, 多 く の回答者が肯 定的評価 を示 し た。 一方で, 項目 4 の “卒業後 も ス タ ン ダー ド を用い て, 自分の資質能力の振 り 返り を行 っ てい き たい と 思う ” につい ては, 多 く の回答者が否定的評価 を示 し た。 なお, 有意傾向の項目は, 項目 3 のみで あ っ た。 問 8 の カ リ キ ユ ラ ムマ ツ プ や TSS に関 す る各 項目 の 回答者の割合は, 図8の通り であ る。 正確二項検定の結 果 , カ リ キ ユラ ムマ ツ プや TSS に関す る全 て の項目 に おい て, 肯定的評価 と 否定的評価の間に有意差が見 ら れ た。 こ れら の項目では, 多 く の回答者が否定的評価 を示 し た。 次 に, CanPass ノ ー ト の使用実態 と 各設問への回答の 傾向 の関連性 を 検討 す る た め に , a) CanPass ノ ー ト へ のロ グイ ン頻度, b) CanPass ノ ー ト への入力 頻度 (年 に 1 回~ ほぼ毎日) と問 3 ~ 問 8 の各項目への回答 (あ てはま ら ない ~ あてはま るの 4 段階) と の相関分析 を行 っ た。 分析 には, Spearman の順位相関 を用い た。 相関分 析の結果, ロ グイ ン頻度や入力頻度は, 多 く の項目 と 有 意 な正 の相関 を示 し た。 し たが っ て , CanPass ノ ー ト の 利用頻度が多 い回答者ほ ど, 各設問に対 し て高い評価 を 示 し てい る こ と が明 ら かと な っ た。 特に, 学修成果 シー ト を用いた振り 返り や課題の明確化, 自己の成長の確認 (項日 1 , 3 , 4 ) , 活動記録やリ フ レ ク シ ヨ ン ミ ーテ イ ン グによ る課題の明確化 (項目 3 ) と の間に, r = .30を 超え る相関 (弱い相関) を示 し た。 ま た, 問 9 の自由記述では, 主に, 教員養成ス タ ン ダー ドが役立 っ た点, 項目数や項目内容に関す る意見, カ リ キ ユ ラ ムマ ツ プや Tss に関す る 意見 が挙 げ ら れた。 教 員 養成 ス タ ン ダー ド が役立 っ た点 は, “ 1 年 に 1 度書 く こ と で, 1 年前の自分の姿 をみる こ と がで き た。 目標に つい て も改めて考え る こ と がで き , 目指す と こ ろが見え た。” , “振 り 返 り がで き たので良か っ た。” な どで あ っ た。 項目数や項目内容に関す る意見は, “少 し入力す る 項目が多 く , 使い方 も よ く わかり づ ら かっ たです。 活用 例 な どが も っ と あ っ た ら , 意欲的 に取 り 組めたかな と 思 い ま す。” , “CanPass ノ ー ト の項目内容 を改善すべ き だと 思います。 1 , 2 , 3 回生には難 しす ぎる。 卒業 を 迎え た 4 回生には答え やすい と 思い ま す。” な どで あ っ た。 カ リ キ ユラ ムマ ツ プや TSS に関す る意見は, “TSS が何 かよ く 分 か ら な か っ た。” , “ カ リ キ ユラ ムマ ツ プ が何か分 か ら ない。” な どで あ っ た。

考 察

本研究の結果, 問 3 , 問 5 , 問 7 では概ね肯定的評価 が見 ら れた反面, 問 4 , 問 6 , 問 8 では否定的評価が見 ら れた。 肯定的評価が見 ら れた設問は, 教員 養成 ス タ ン ダー ド を用 い た自己 評価 (学修成果 シー ト の作成) , 自 己評価 を用い た リ フ レ ク シ ヨ ン ( リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ーテ イ ン グ) , 教員 養成 ス タ ン ダー ド に関す る支援体制 に関す る も のであ っ た。 一方で, 否定的評価が見 ら れた設問は, 活動記録, CanPass ノ ー ト , カ リ キ ユラ ムマ ツ プや TSS に関す る も ので あ っ た。 し たが っ て, 全体的傾向 と し て, 教員 養成 ス タ ン ダー ド の導入 に つい てはその効果が得 ら れてい る反面, 教員 養成 ス タ ン ダー ド の運用 を補助す る 仕組 み (e ポ ー ト フ ォ リ オや カ リ キ ユラ ムマ ツ プ, TSS) につい ては十分 な効果が得 ら れてい ない こ と が示唆 さ れ る o 教員 養成 ス タ ン ダー ド の自己評価は, 自己 の課題 を発 見す る ために役立つ こ と が示唆 さ れた。 さ ら に, リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グ と 呼 ば れ る グル ー プ討 議 や全 体討 議が, 学修成果を省察 し , 他者評価 を受け て学修 をよ り 深める機会 と な っ てい る こ と が明 ら かと な っ た。 し たがっ て, 自己評価のみでは振り 返り が不十分な場合 も あ るが, 他者 と 共有 し , 他者の視点 を踏ま え る こ と で, 学修 を深 め る こ と がで き る と 考え ら れる。 自由記述におい て も , “ 1 年に 1 度書 く こ と で, 1 年前の自分の姿 をみるこ と がで き た。 目標につい て も 改めて考え る こ と がで き , 目 指す と こ ろが見え た。” な どの感想が寄せ ら れてお り , 教員 養成 ス タ ン ダー ド は, 自己 の成長 を確認 し , 課題 を 発見す る ツ ールと し て機能 し てい る こ と が伺え る。 一方 で, 教員養成ス タ ン ダー ド を用い た自己評価の取組が, 「 欠点 探 し」 に な ら な い よ う に注意す る必要があ る だ ろ う 。 教員 養成 ス タ ン ダー ドの項目は, 低年次生には内容 が理解し に く く , また各自の実習経験が少な く 実感が伴 わない こ と があ る (別惣, 2013) 。 本研究におい て も , 同様の指摘が自由記述にも 複数寄せ ら れた。 項目内容が 高い 要求水準 を示 し てい る場合 には, 回答 者に と っ て 「欠点探 し」 に陥り やすい だ ろ う 。 そのため, 同級生や 指導教員 か ら の客 観的 な評価が得 ら れる リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グは , 教員 養成 ス タ ン ダー ド の適切 な 運用 に おい て重要な役割 を果 た し てい る と 考え ら れる。 ま た, 著 し く 理解度の低い項目につい ては今後 リ ス ト ア ッ プ し , 項目内容 を修正す る こ と も 視野に入 れる必要があ る だ ろ う 。 あ るいは, 各学年 におい て50項目 を全 て回答 さ せ る のではな く , 学年 に応 じ て答え るべき項目 を精選す る な どの対応も求めら れる (別惣, 2013) 。 教員 養成 ス タ ン ダー ド を用い た自己評価の取 り 組みは, 教職理解や自己理解, 学習計画の立案に役立つこ と が期

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待 さ れる反面 (別惣, 2013) , 「学んだこ と をただ表現す ればいい」 , 「基準に到達す ればいい」 と い っ た意識に素 がり , 学 びが受身的にな る可能性 も指摘 さ れてい る (小 柳 ・ 久田 ・ 湯浅, 2014, pp 27) 。 し たがっ て, 教員養成 ス タ ン ダー ド の運用 に あ た っ て, い かに学生の動機づけ を阻害せず, 学 びを深める こ と に素げ るかが大 き な論点 と な る だ ろ う 。 能動的 な学習の動機づけの向上には, 自 律性, 有能性, 関係性への欲求が関与す る と 考え ら れて い る (Ryan & Decl, 2000) 。 自律性への欲求 と は自分 自身 で行動 を選択 し , 行動 し たい と い う 欲求であ る。 有 能性への欲求は, 自分自身の有能 さ を確証 し たい と い う 欲求 であ る。 関係性への欲求は, 他者 と のつながり を感 じ , 他者から 大切に さ れたり , 認めら れた り す る こ と へ の欲求 で あ る。 教員 養成 ス タ ン ダー ド の運用 に当 た っ て も , こ れら の欲求への働 き かけ を意識す る こ と で, 学生 の自律的 な学習 に繋げてい く こ と が可能であ る と 考え ら れ る 。 まず, 自律性への働き かけの例 と し て, 目標 を自己決 定 さ せ る こ と が挙げ ら れる。 兵庫教育大学の教員 養成 ス タ ン ダー ド に基づ く 年間指導計画では, 既に, 年度初め に e ポー ト フ ォ リ オ上で年度日 標 を記入す る よ う に定め ら れてい る。 し か し , 現行の指導体制では目標の記入は あ く ま で任意であ り , 十分 な利用 と 成果が得 ら れてい な いのが実情で あ る。 そのため, 今後はこ れま で以上に目 標の記入 を促進す る仕組みを構築 し てい く こ と が課題 と な る。 例え ば, 教員養成ス タ ン ダー ド の項目のう ち自身 が優先的 に育 みたい項目 を自 ら 選択 し , 目標を設定 さ せ る な ど, よ り 自律性に配慮す る工夫が求めら れる。 加え て, 兵庫教育大学では, 学生が自律的に目標設定と 科目 選択 を行 う 判断材料 と し て, カ リ キ ユラ ムマ ツプや Tss が設置 さ れて い る 。 こ れま で , カ リ キ ユ ラ ムマ ツ プ と TSS につい ては情報提供面で の不足 があ っ た。 その背景 に は , 教員 養成 ス タ ン ダ ー ド と eーポ ー ト フ オ リ オ の導 入 に あ た り , 教員 養成 ス タ ン ダ ー ド や eーポ ー ト フ オ リ オに関す る基本的理解 を学内 に浸透 さ せ る こ と に重点が 置かれてい た こ と があ る。 今後は カ リ キ ユラ ムマ ツ プ と TSS に関す る情報提供 を徐々に充実 さ せ, 活用 を促 し て い く 必要があ る だ ろ う 。 次 に, 有能性や関係性への働 き かけ につい ては, 既に 論 じ た通 り , リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グに関す る設問 において, “自分の出来ている点に気づ く こ と ができ る” , “ グルー プ討論等 をす る こ と に よ っ て, 自分 では気づ か なか っ た こ と を知 る こ と がで き た り , 様々な視点から学 修 を深めたり す る こ と がで き る” な どの効果が得 ら れて お り , リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グがそ の役割 を担 っ て い る こ と が分かる。 教師は, 日々の実践 と 省察の繰り 返 し や他者 と の相互作用の中で熟達す る と 考え ら れてい る (坂本, 2007) 。 リ フ レ ク シ ヨ ン ミ ーテ イ ン グは, 他者 と 協同 し て省察す る機会 を提供 し , 関係性への働き かけ を 担 う も ので あ る と 言え る だ ろ う 。 加え て, e ポー ト フ ォ リ オ も ま た, 他者と の交流や相互評価の場 と な り , 関係 性への欲求に ア プロ ーチす る も の と し て捉え る こ と がで き る。 し か し , 本調査 では, 活動記録や CanPass ノ ー ト に関す る問い では否定的評価が多 く 得 ら れた。 ま た, 問 2 のロ グイ ン頻度や入力頻度 も , 年 に 1 回 ~ 月 に 1 回以 下の回答が高い割合 を示 し てい た。 そのため, 現状 では, e ポ ー ト フ ォ リ オ上 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンが活発化 し て お ら ず, e ポー ト フ ォ リ オ を用 い て活動記録 を作成す る こ と の利点 を学生が十分 に感 じ ら れてい ない可能性が あ る。 e ポー ト フ ォ リ オの利用 を活性化す る ための対 策 につい ては, 別惣 (2013) によ り , すで に議論 さ れてい る。 すなわち, 活動記録 を蓄積す る こ と の重要性 を学生 に周知 す る と と も に, 各授業科目 と の連携 を強化 し , CanPass ノ ー ト を授業 で利用す る仕組みを構築 し てい く こ と が必要で あ る (別惣, 2013) 。 ま た, 諸外国では, ポー ト フ ォ リ オ を用い た指導 を完全 に授業科目 と対応 さ せてい る事例も見受け ら れる (岩田 ・ 松浦 ・ 角屋 ・ 吉田, 2010) 。 その ため, 兵庫教育大学 で は, CanPass ノ ー ト の導入以降, 学生や授業担当教員 を対象に し た説明会の 拡充 と 洗練が進め ら れて き た。 こ れら の取組の成果に つ い ては, 平成27年度以降の卒業生への調査結果に期待 し たい。 以上のよ う な課題や要望 を踏まえ て も , 問 7 の 「本学 の教員 養成 ス タ ン ダー ド を基盤 と し た指導体制」 に関す る問いのう ち , 3 つの項目で肯定的評価が得 ら れた こ と は注目すべ き で あ る。 具体的 には, “ 4 年間のカ リ キ ュ ラ ムは , ス タ ン ダー ド に基づ く 資質 能力 を向上 さ せ る た め に役立 っ た。” , “ 4 年 間 を 通 し て培 っ た ス タ ン ダー ド に基づ く 資質能力は, 今後の教員生活 ( あ るいは教員 以外 の職業生活) を送 る上で の支え と な る と 思う 。” , “ス タ ン ダー ド に示 さ れた教員 と し て の資質能力 は, 社 会から求め ら れる教師像や自分が目指すべき教師像 をイ メ ー ジす る た めの手 がか り に な っ た。” と い っ た項目 で あ っ た。 こ の結果か ら , 教員 養成 ス タ ン ダー ド に基づ く 教育体制から , 十分な教育的効果が得ら れた と 考え ら れ る 。 ま た , 注 目 す べ き 点 と し て , 本研 究 の結 果 , CanPass ノ ー ト の利用 頻度が多 い学生ほ ど, 多 く の問い に肯定的評価 を示 し た。 具体的 には, 学修成果 シー ト を 作成す るこ と によ る省察や課題の明確化, 自己の成長の 確認 と い っ た項目や, 活動記録の作成やリ フ レ ク シ ヨ ン ミ ー テ イ ン グに よ る課題 の明確化 と い っ た項目 におい て, 有意な相関がみら れた。 こ の結果の背景 と し て学生のパー ソ ナ リ テ ィ 要因 (勤勉性や社会的望ま し さ な ど) を考慮 す る必要はあ る も のの, 一部の学生は, 日々の活動記録 の蓄積 を自 主的 に行 っ てい る ほ ど, 教員 養成 ス タ ン ダー ド に基づ く 教育 か ら よ り 深い学 び を得 てい る可能性があ る。 し たが っ て, 兵庫教育大学の CanPass ノ ー ト シス テ ムの可能性につい て, 一定の評価が可能であ る だ ろ う 。 そ も そ も , e ポー ト フ ォ リ オ と は ツ ールにす ぎず, e ポー ト フ ォ リ オ を 機能 さ せ る た めには, 実際に どのよ う な活 用 をす るかが重点 と な る。 そのため, 学生の使用 を促す 仕掛け を整備 し てい く こ と 必要で あ る。 e ポー ト フ ォ リ オの目に見え る効果が生 じ るには時間 を要す る こ と から (森本, 2011) , 今後 も , e ポー ト フ ォ リ オの利用実態や

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効果の検証 を継続 し つつ, e ポー ト フ ォ リ オ を自律的 な 学習の ツ ールと し て効果的 に運用す る ための支援体制 を 改善, 構築 し てい く 必要があ る だ ろ う 。 ま と めと し て, 本研究の結果, 兵庫教育大学の教員養 成 ス タ ン ダー ド に基づ く 全学的 な教育体制 に関 し て, 4 年間の指導 を受け た学生への効果 と 今後取 り 組むべき課 題が明 ら かと な っ た。 教員 の質保証への社会的要請に伴 い, 近年多 く の大学の教員養成課程で, 教員養成ス タ ン ダー ド や e ポ ー ト フ ォ リ オが導入 さ れて き た。 その一方 で , 教員 養成 ス タ ン ダー ド や e ポー ト フ ォ リ オ と い っ た ツ ールが, いかに学生の教員 と し ての資質能力の向上に 繋が っ てい るかと い う 点 につい てはいま だ検討が不十分 であ り , 効果的 な運用に向け た多 く の課題が残 さ れてい る。 ま た, 「教員 養成 ス タ ン ダー ド が自律的 な教員 の資 質能力 を高め る手立 て と な り う るのか」 と い う 点 につい て疑問視 さ れる こ と も あ る (長谷川 ・ 黒田, 2015; 日本 教育大学協会, 2008) 。 こ れらの点について, 本研究は, 兵庫教育大学の教員 養成 ス タ ン ダー ド に関す る取組 を事 例 と し て一定の効果 と 課題 を明 ら かに し た点 に おい て, 大 き な意義 を持 つ だ ろ う 。 最後に, 本研究の限界点 と し て, 本研究の結果は学生 か ら の主観的 な報告のみに基づ く も ので あ っ た。 今後の 研究 では, 4 年間 を通 し た教員養成ス タ ン ダー ドの自己 評価の成長度合い , 4 年間の教員 養成 ス タ ン ダー ドの成 長 と客観的成果 (教員採用試験の合格率な ど) と の関連, 4 年間の成長 と CanPass ノ ー ト の活用状況 と の関連な ど, よ り多面的 に教員養成ス タ ン ダー ド に基づ く 教育体制 を 評価 し てい く 必要があ る だ ろ う 。

引用文献

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兵庫教育大字の教員養成スタンダードに目するアンケート 本学では、学士課、程を通して養成する「教員の資質能力」を、50項目の兵庫教育大学教員養成スタンダードとして設定し、各学年のまと め- り返り (リフレクシヨンミーテイング) に活用しています_ また、その一環として、CanPassノートを用いて日々の活動を記録し、 振り返りの根 911資料として活用することを推變しています_ 本調査は、教員差成スタンダードとC a Passノートについての感想 - 意見をお零ねするものです 回答 内容は集団データとして数量化さ れ、個人 が特定されることはありませ んので、安心してお答 えください_ 同 1 当てはまる数字 に 0 をつけて下さい。 性'lilJ 1. 男 2_ 女 コース・分野 : 1_学校教育 2_動年教育 3_学校心理 4_国語 5_英語 6_社会 7_数学 8_理科 9.書楽 10.美術 11.保健体育 12.家庭 13.総合学習 卒業後の 1_保育士・動能園教員 2. 小学校教員 3_ 中学校教員 4_高校教員 5_特別支搜学校教員 予定進路: 6.その他教育関連( ) 7_その他 ( ) 同 2 CanPassノートの使用実態について答え てください。当てはまる箇所を1つ選んで 0 を付けて下さい。 a) 在 学 中 ど の程 度、 CanP assノ ー ト に 、=! グ イ ン 、 闖 覧 し て い ま し た か ? 年 に 1 回 ・ 月 に 1 回以下 ・ 月 に 1 回~ 週に 1 回 ・ 週に 1 回以 上 ・ ほぼ毎日 b) 在学中 ど の程 度、 CanPassノ ー ト に入力 し て い ま し たか ? 年 に 1 回 ・ 月 に 1 回以下 ・ 月 に 1 回~ 週に 1 回 ・ 通に 1 回以 上 ・ ほぼ毎日 同 3 学修成果シート ( 教員養成スタンダードの自己評価) を作成することで、 と°のようなことができましたか ? それぞれ、最も近い数字を1 つ選んで 0 をつけて下さい。 あ て は ま る あ 少 て し は ま る あ あ て ま は り ま ら な い あ て は ま ら な い 1 1 年間の学修の成果 を振 り 返 っ た り 、 考え をま と めた り す る こ と がで き た。 4 3 2 1 2 自分ので き てい る点に気づ く こ と がで き た。 4 3 2 1 3 自分の課題 に気づ く こ と がで き た。

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4 自分の 1 年間の成長 を確認す る こ と がで き た_ 4 3 2 1 同 4 活動記録を作成することで、と°のようなことができ ましたか ? それぞれ、最も近い数字を1 つ選んで 0 をつけて下さい。 あ て は ま る あ 少 て し は ま る あ あ て ま は り ま ら な い あ て は ま ら な い 1 その活動か ら学んだ こ と を振 り 返っ た り 、 考え をま と めた り す る こ と がで き た。 4 3 2 1 2 自分ので き てい る点に気づ く こ と ができ た。 4 3 2 1 3 自分の課題 に気づ く こ と がで き た。 4 3 2 1 4 学修成果 シ ー ト や卒業準備フ ァ イ ルに自分の学修 を整理す る際の資料 と な っ た。 4 3 2 1 同 5 リフレクシヨンミ= i ィングによって、どのようなことができ ましたか ? それ' t'れ、最も近い数字を1 つ選んで 0 をつけて下さい。 あ て は ま る あ 少 て し は ま る あ あ て ま は り ま ら な い あ て は ま ら な い 1 1 年間の学修の成果 を振 り 返 っ た り 、 考え をま と めた り す る こ と がで き た。

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2 自分の出来 てい る点に気づ く こ と がで き た。 4 3 2 1 3 自分の課題 に気づ く こ と がで き た。 4 3 2 1 4 グルー プ討 論等 をす る こ と に よ っ て、 自分で は気づ かな かっ た こ と を知 る こ と がで き た り 、 様々な視点 から自分の学修 を深めた り す る こ と がで き た :

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間6 CanPassノートを活用することは、どのようなことに役立ちましたか ? そオLそ;れ、;最も近い数字を1つ選んで 0 をつけて下さい。 あ て は ま る あ 少 て し は ま る あ あ て ま は り ま ら な い あ て は ま ら な い 1 日々の学修や活動 を、 教員差成 スタ ンダー ドに示 された資質能力に結びつけ て考 える こ と がで き た。 4 3 2 1 2 活動記録 に他の学生や教員 から コ メ ン ト をも ら う こ と で、 自分では気づかなかっ たこ と を知 る こ と がで き た り、 様々な視点か ら自分の学修 を深 めた り す る こ と がで き た。 4 3 2 1 3 せ る手がかり と な っ た。 他の学生 の活動記録 を閲覧 し、 他者の活動内容や視点、を参考にする こ と で、 自分自身 を成長 さ 4 3 2 1 4 他の学生の活動記録 を蘭覧する こ と で、 自己研鑽 を続けてい く ための励みに なっ た。 4 3 2 1

間7

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スーンー一 ' について、どのように思いますか ? それそれ、最も近い数字を1つ選んで 0 をつけて下さい。 あ て は ま る あ 少 て し は ま る あ あ て ま は り ま ら な い あ て は ま ら な い 1 4 年間のカ リ キュ ラ ムは、 スタ ンダー ドに基づ く 資質能力 を向上さ せる ために役立っ た。 4 3 2 1 2 の職業生活) を送る上での支え と な る と 思 う。 4 年間を通 し て培 っ た ス タ ンダー ド に基づ く 資質能力は、 今後の教員生活 ( ある いは教員以外 4 3 2 1 3 べき教師 像をイ メ ー ジする ための手がか り に なっ た。 スタ ンダー ドに示 さ れた教員 と しての資質能力は、 社会か ら求 めら れる教師像や 自分 が目指す 4 3 2 1 4 卒業後も ス タ ンダー ド を用い て、 自分の資質能力 の振 り返 り を行っ てい き たい と 思 う。 4 3 2 1 間 8 i ユ ーム マ 、、プ l ユ ーム マ 、

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' ・ スコ は、 どのように役立ちましたか ? それぞれ、最も近い数字を1 つ選んで 0 をつけて下さい。 あ て は ま る あ 少 て し は ま る あ あ て ま は り ま ら な い あ て は ま ら な い 1 カ リ キュ ラ ムマ ッ プは履修科目 を選択す る際に役に立 っ た。 4 3 2 1 2 TSSは、 自分の成長 を客観的に確認する ために役に立 っ た。 4 3 2 1 3 Ts s は、 履修科目 を選択す る際に役に立っ た。 4 3 2 1 同9 本学の教員養成スタンダーl:'やCanPassノート、カリキュラムマップ等について、 あなたの感想や意見、改善すべき点を自由に記入してください。

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