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高校生の家庭科教育における自作比色計を用いた教材開発 : 食品中の亜硝酸の定量に関して

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Academic year: 2021

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(1)Title. 高校生の家庭科教育における自作比色計を用いた教材開発 : 食品中の亜 硝酸の定量に関して. Author(s). 菅野, 友美; 谷本, 憂太郎; 秋葉, 治克. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 67(2): 167-171. Issue Date. 2017-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/8189. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第67巻 第₂号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 67, No.2. 平 成 29 年 ₂ 月 February, 2017. 高校生の家庭科教育における自作比色計を用いた教材開発 ― 食品中の亜硝酸の定量に関して ―. 菅野 友美・谷本憂太郎・秋葉 治克* 北海道教育大学旭川校 食生活学研究室 *. 北海道教育大学旭川校 電気研究室. Development of Teaching Materials for a Self-made Colorimeter with-in Home Economics Education for High School Students. ― On a Quantitative Analysis of Nitrous acid in Foods ―. KANNO Tomomi, TANIMOTO Yutaro and AKIBA Haruyoshi* Dietary Habits and Science Laboratory, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education *. Electric Laboratory, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 高等学校家庭科教育は,人間生活を中心とした学習が文化社会学的,科学的側面の双方から 学ばせることが重要であると考える。科学的側面での授業を行う場合,教材として実験を取り 扱うことも多くある。本研究では理科教育や環境教育でよく用いられている自作簡易比色計を 用いた定量実験を高等学校家庭科へ応用することを目的とした。題材としては食品添加物であ る亜硝酸ナトリウムの検出実験を自作簡易比色計によって定量的に行った。このことにより, 家庭科教育において食品中の食品添加物を科学的視点から学ぶことができるものと考える。. 1.緒 言. 添加物の有無を知るだけではなく,どの食品にど れくらいの量が含まれているのかを知らなけれ. 現在,家庭科における食品添加物の取り上げ方. ば,家庭科で学んだ知識を日常の食生活で活かす. を見ると,一日の摂取量や摂取許容量に関する量. ことは困難である。. 的記述がある。しかしながら,家庭科における食. 一方,理科では中学・高等学校の実験教材とし. 品添加物に関する実験教材をみると,食肉加工品. て自作簡易比色計の開発や教材利用に関する報告. 等に含まれる発色剤の定性的検出実験は考案され. は数多くある2)-4)。また,自作簡易比色計を授. ている1)ものの,定量実験は見当たらない。食品. 業で活用することは定性分析から定量分析へと発. 167.

(3) 菅野 友美・谷本憂太郎・秋葉 治克. 展させることができる。そこで,高等学校家庭科. ⒝. セルボックス. 食生活の領域でこれを利用して食品添加物の定量 実験への導入を試みた。. 硫 化 カドミウム素. 緑 色 LED. 本研究では,身近に手に入るものを使って自作 簡易比色計を作製し,食品添加物である亜硝酸ナ トリウムの比色分析を行った。また,分光光度計 による比色分析も行い。自作簡易比色計の場合と 比較,検討を行った。. 2.実験方法 2-1.自作簡易比色計の作製 自作簡易比色計は長谷川らの方法5)を改良して 作成した。まず,自作簡易比色計の容器には菓子. 図1 ⒜セルボックス内の概略図 ⒝完成した自作 簡易比色計. の空き箱を用いた。空き箱の中を仕切る為の仕切 り板は空き箱の内側の大きさに合わせて厚紙を2. 2-2.測定原理6). 枚切って用いた。仕切り板の中央下から1cmの. Lambert-Beerの法則に従い定量される。セル. 箇所に発光ダイオードと硫化カドミウム素子(10. 内に濃度 C(mol/L)の溶液があり,そこに強度 I0. MΩ GL5549) をはめ込む為の穴を開けた。また,. の単色光が入射し,光路長 L(cm)を透過しその. プラスチックセルが入るセルボックスとして厚紙. 時の透過光の強度を I とすると次式が成り立つ。. で四角い筒を作り,筒の中央にセルが入る四角形. A = log (I0 /I) = εCL. の穴を開けた。セルボックス内にはアルミホイル. 自作簡易比色計における比色分析は発光ダイオー. を貼り付けた。次に1/4W炭素被膜抵抗と緑色LED. ドからの光が硫化カドミウム素子に到達した際に. (超高輝度3mm緑色LED,OSG58A3131A)を. 電気抵抗値に変換され,その抵抗値を測定する。. はんだ付けした。はんだ付けした緑色LEDをミ ノ虫クリップで6V乾電池ホルダーにつなぎ,硫. 2-3.試薬の調製. 化カドミウム素子はミノ虫クリップでデジタルテ. 1)亜硝酸標準溶液の調製. スター(HIOKI 3200)につないだ。最後に,緑. 亜硝酸標準溶液は,亜硝酸ナトリウム0.690 g. 色LEDと硫化カドミウム素子をセルボックスの. を蒸留水で希釈し10-1 mMとした。. 両端に設置した。完成した自作簡易比色計を図1. 2)ザルツマン試薬の調製. に示す。. ナフチルジアミン0.025 gを蒸留水で溶かした。 スルファニル酸2.5 gも同様に蒸留水で溶かした。. ⒜. セル. 2つの溶液を混合し,リン酸15 mLを加えて,蒸 留水で500 mLに定容した。. 硫 化 カドミウ ム素 子. 緑 色 LED. 2-4.試 料 試料は,平成28年9月に購入した市販のサラミ, 明太子及びウィンナーを使用した。. 168.

(4) 高校生の家庭科教育における自作比色計を用いた教材開発. 2-5.実験操作 1)試料調製 試料をそれぞれ10 g秤り,乳鉢でペースト状に すり潰した。そこに80 ℃の熱湯を加え攪拌した 後, 濾紙で濾過し, 蒸留水を加え250 mLに定容した。 2)検量線の作成 亜硝酸標準溶液から1,2,5,10,20及び50 mLをメスフラスコにとり,蒸留水を加えて100 mLに定容した。試験管にそれぞれ20 mLとり, ザルツマン試薬を4 mL加えて混ぜ,20分間放置. 図2 各濃度での亜硝酸の発色. した。放置後,溶液をプラスチックセルに移し, 液の亜硝酸濃度と電気抵抗値から検量線を作成し た。同様に分光光度計(SHIMAZU製 UV-1800) でも540 nmの吸光度を測定し検量線を作成した。 3)食品中亜硝酸の定量 2-5の1)で調製した試料溶液20 mLを試験. 電気抵抗値(KΩ). 自作簡易比色計で電気抵抗値を測定した。標準溶. 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 0. 1.0. 2.0. 3.0. 4.0. 5.0(×10⁻⁵). 管にとり,ザルツマン試薬を4 mL加え,20分放. 亜硝酸濃度(mol/L). 置し,プラスチックセルに入れて自作簡易比色計. 図3 自作簡易比色計による亜硝酸の検量線. で電気抵抗値を測定した。この測定値を2-5の 亜硝酸量を算出した。同様に分光光度計で540 nmの吸光度を測定し,検量線に当てはめて試料 溶液中の亜硝酸量を算出した。. 3.結果および考察 3-1.検量線. 吸光度(540nm). 2)で作成した検量線に当てはめて試料溶液中の. 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0. 0. 1.0. 2.0. 3.0. 4.0. 亜硝酸濃度(mol/L). 5.0 (×10⁻⁵). 図4 分光光度計による亜硝酸の検量線. 亜硝酸標準溶液はザルツマン試薬を加えること により赤色に発色した(図2)。自作簡易比色計. 3-2.亜硝酸の定量. での電気抵抗値から求めた検量線を図3に,分光. 検量線から求めたそれぞれの試料中亜硝酸の量. 光度計で540 nmの吸光度で求めた検量線を図4. を表1に示す。自作簡易比色計での亜硝酸の溶出. に示す。検量線の傾きは自作簡易比色計では0.593. 量はウィンナー,サラミ,明太子の順に高い値を. であり,決定係数は0.993を示した。分光光度計. 示した。これは分光光度計でも同様であった。ま. で求めた検量線の傾きは0.255であり,決定係数. た,自作簡易比色計及び分光光度計で測定した試. は0.991を示した。自作比色計と分光光度計の検. 料溶液中の亜硝酸溶出量の相関図を図5に示す。. 量線は共に直線的となり,プロットした点もばら. 相関図にプロットした点は決定係数1の直線関係. つきが小さいものとなった。このことから,自作. になった。また,相関係数を算出したところ,. 簡易比色計でも定量に使用できるレベルの検量線. 0.999となった。これらの結果から,自作比色計. が作成できることがわかった。. で測定した亜硝酸量と分光光度計で測定した亜硝. 169.

(5) 菅野 友美・谷本憂太郎・秋葉 治克. 酸量は相関性が高いことから,自作簡易比色計で. 3-4.指導の工夫. の定量は有効であると考えられる。. 自作簡易比色計を用いた定量実験を家庭科の授 業へ導入するにあたり,比色分析をすることに重 点を置くのではなく,食品中に含まれている食品. 表1 試料溶液中の亜硝酸溶出量 試料. 自作簡易比色計 による溶出量. 分光光度計 による溶出量. 添加物としての亜硝酸を量的に認識させ,その摂. サラミ. 0.24 mg/L. 0.27 mg/L. である。また,実験を通して「湯通し,茹でこぼ. 明太子. 0.22 mg/L. 0.25 mg/L. し」などの調理操作が亜硝酸の体内への摂取量を. ウィンナー. 1.20 mg/L. 1.46 mg/L. 減らす有効な調理法であることも学ぶことができ. 取量や許容量などの指導に結び付けることが重要. 分光光度計による試料溶液中の亜硝 酸の量(mg/L). る。これについては,本研究で熱水抽出を行って いるので,熱水によって実際に亜硝酸が検出され. 1.6. るという体験を通して実感的に「湯通し,茹でこ. 1.4 1.2. ぼし」という調理操作が有効であるということに. 1.0. 気づかせることができるからである。. 0.8 0.6. また,高等学校家庭科の指導内容は多岐にわた. 0.4. る。その為,指導内容を他教科と関連させること. 0.2 0 0. 0.2. 0.4. 0.6. 0.8. 1.0. 1.2. 1.4. で,より学びの広がりが出てくると考える。. 自作簡易比色計による試料液中亜硝酸の量(mg/L). 図5 自作簡易比色計及び分光光度計で測定した試 料溶液中の亜硝酸溶出量の相関図. 4.要 約 高等学校家庭科における自作簡易比色計を用い. 3-3.高等学校家庭科実験教材への検討. た食品中の亜硝酸定量実験の教材化を検討した。. 本研究において,試料調製は簡易的な熱水抽出. その結果,簡易的な熱水抽出や自作簡易比色計を. 法を用いた。この方法は高等学校家庭科の授業で. 用いた測定でも食品中の亜硝酸を定量することが. 行う場合に,理科実験室のような設備や器具がな. できた。これにより,家庭科の授業で食品中の亜. くとも実施可能である。本研究で行った抽出法で. 硝酸を定量的に比較することが可能になり,さら. も亜硝酸が検出されたことから高等学校家庭科の. に添加物の摂取量を減らす工夫を考えることがで. 授業で行う場合でも,この抽出法は有効であると. きると考える。また,分光光度計が無い学校現場. 考える。また,高等学校の家庭科の教科書では,. でも取り入れやすく,生徒にとっても無理のない. 定性分析に関する実験が扱われている。しかし,. 教材として期待できると示唆された。. 7). 定量実験については扱われていない。三保田ら. は,市販ソーセージ中の亜硝酸ナトリウムを分光. 参考文献. 光度計により測定し,定量実験の教材化を検討し ている。その結果,教育現場での利用が可能であ. 1)越坂直広,ザルツマン試薬を活用した環境教材の工. ると報告している。しかし,全ての学校に分光光. 夫 ―食品中の亜硝酸塩と大気中の二酸化窒素の検出. 度計があるわけではないので,本研究で提案した 自作簡易比色計を導入することにより,家庭科の 授業で定量実験が取り扱いやすくなると思われる。. ―,北海道理科教育研究センター研究紀要,第15号, 24-29,(2003) 2)永川元,簡易比色計の自作とその応用,化学と教育, 第37巻,第3号,325,(1989) 3)紺野昇,パソコンを用いた自作比色計による粉塵調 査,化学と教育,46巻,10号,660-661,(1998). 170.

(6) 高校生の家庭科教育における自作比色計を用いた教材開発. 4)紺野昇,パソコンを用いた自作比色計による酸性雨 調査,化学と教育,44巻,6号,397-398,(1996) 5)長谷川浩,高橋真,牧輝弥,上田一正,自作できる 簡易比色計の感度及び精度向上に関する工夫,化学と 教育,53巻8号,458-461,(2005) 6)萬木貢,菅原陽,松田禎行,長谷部清,LEDフォトメー タの開発と基礎実験への応用,化学と教育,49巻9号, 578-581,(2001) 7)三保田純子,宮内卓也,小川治雄,食品添加物の教 材化へのアプローチ,東京学芸大学紀要,第4部門, 数学・自然科学,50,43-50,(1998). (菅野 友美 旭川校准教授) (谷本憂太郎 旭川校学生) (秋葉 治克 旭川校准教授). 171.

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