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学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関 : 能動的観察・学級活動からの学校経営認識の深化に関する質的・量的併合分析

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(1)Title. 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関 : 能動的観察・学級活動からの学校経営認識の深化に関する質的・量的 併合分析. Author(s). 栢野, 彰秀; 玉井, 康之; 近江, 道郎; 西出, 勉; 倉賀野, 志郎; 山瀬 , 一史; 村上, 知子; 八木, 修一; 赤田, 裕喜彦; 小林, 宏明. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 62(2): 119-134. Issue Date. 2012-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2853. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第62巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.62,No.2. 平成凶年2月 February,2012. 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関 一能動的観察・学級活動からの学校経営認識の深化に関する質的・量的併合分析−. 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出 勉*・倉賀野志郎 山瀬 一史・村上 知子*・八木 修一・赤田裕喜彦**・小林 宏明***. 北海道教育大学教職大学院 *北海道教育大学釧路枚 *前北海道教育大学教職大学院 ***伊達市立伊達西小学校. Associationof“StudentRecognitionofClassroom’’and “Bottom−upSchooIManagement’’ QualitativeandQuantitativeAnalysisbyClusterandMulti−dimensionalAnalysis. KAYANOAkihide,TAMAIYasuyuki,OUMIMichirou,NISHIDETsutomu*, KURAGANOShirou,YAMASEKazushi,MURAKAMITomoko*, YAGISyuuichi,AKADAYukihiko**andKOBAYASHIHiroaki*** AdvancedTeacherProfessionalDevelopmentPrograms,GraduateSchoolofEducation,HokkaidoUniversityofEducation. *KushiroCampus,HokkaidoUniversityofEducation ** FormerGraduateSchoolofEducation,HokkaidoUniversityofEducation *** Date−nishiElementarySchool. 概 要 北海道教育大学釧路校の学生が,第1学年次から教育フィールド研究で学校現場に出かけ,第3学年次の 教育実習の直前までに,学校経営力の概念をどのように意識しているか,加えて,学校経営の全体的な認識 をどのような段階を経て獲得しているのか。これらについて検討を加えた。 分析の結果,釧路校の学生は,自らの教育フィールド研究における実体験を中心に,配属された学級の担 任教師による学級運営の姿を一旦学生自身で岨曝し,将来教壇に立った時に,心がけたいと考えている具体 策が学校経営力に対する関心事となっていることが明らかになった。このことは,学校経営に関するイメー ジが,自らの学級経営の行動に結びつくものとして認識が深まっていると同時に,学校経営は学級経営の総 体として考えているととらえられる。. 119.

(3) 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出 勉・倉賀野志郎・山瀬 一史・村上 知子・八木 修一・赤田裕喜彦・小林 宏明. の概念であるため,いわゆる本来的な管理職の職 問題の所在. 本研究は,筆者らの4つの前報の続編として位. 務や見えない組織業務がとらえられてはいない が,学校の中に入って子どもと関わっている教師. 置づけられる研究である1 ̄4)。前研究では,北海. の卵としての学生が見ている経営の関連事項も,. 道教育大学釧路校の学生が第1学年時から教育. 学校経営の概念を広げて考える上で重要な要素と. フィールド研究で学校現場に出かけ,第3学年時. なるものである。. の教育実習の直前までに,学習指導及び生徒指導,. 学生の経営概念をとらえてみると,子ども理解. 教育相談に関する概念及び行動がどのように変化. や教育活動に関わることも含まれている。これら. したかを明らかにした。「教職チェックリスト」. は経営の概念には含まれないように考えられる. に記載された教師として必要と考えられる能力は. が,子ども理解を学校全体として促進できなけれ. 7つである5)。これまでの研究では,7つの能力. ば,学校経営は成り立たないと言える。さらに子. のうち3つの能力に関する学生の概念及び行動の. ども理解は学級経営と密接に関わっており,個々. 変動に限定して明らかにしたものである。. の学級が安定的に展開することこそ重要な学校経. そこで本研究においても先の研究に引き続き,. 営の要素である。加えて,学級経営は,学年の連. 教育フィールド研究で学校現場に出かけた北海道. 携や保護者との連携を含んでいる。これらは,学. 教育大学釧路校の学生が,第1学年時から第3学. 生から見たボトムアップの学校経営観と言える。. 年時にかけて,学校経営力の概念および行動がど. このように子どもと直接関わる立場から見た学校. のように変動するかをとらえることが筆者らの問. 経営の評価は,まさにこれらの教育活動がうまく. 題意識である。. 展開できるかどうかが学校経営の条件と評価の決. 学校経常は,学校の教育活動がより良く展開す るために,学校全体の組織と集団の機能を活かし. め手となる。このような学生の学校経営観の特徴 と学年進行による変化をとらえていきたい。. て,教育活動を発展させていくものである。学校 経営は,単に校長等の管理職が担うものではなく,. 本来学校の集団に属する教職員および学校組織に 直接的・間接的に連携する教育活動すべてが含ま. Ⅰ.研究の方法 1.「教職チェックリスト」に対する意識調査の. れている。したがって,学校経営をとらえる場合. 実施. に,管理職から見た経営だけでなく,若手教師や. 2009年7月中旬に,北海道教育大学釧路校第1,. 学生から見た学校経営がどのようにイメージされ. 2,3学年全員に対して,次の要領で意識調査を. るかについても重要な要素である。学生の立場は. 実施した。①「教職チェックリスト」に記載され. 教師よりも下位に位置する教師の卵であるが,学. た257のチェックリスト項目全てを熟読させる。. 校以外から学校の状況を客観的にとらえる教育関. ②これまでの「教育フィールド研究」での実践経. 係者でもある。しかし,学校経営が本来教職員全. 験を踏まえて,学生がチェックリスト項目に即し. 体のものであるにもかかわらず,しばしば若手教. て具体的に行動や子どもへ働きかける場面などが. 師や学生から見た学校経営観は,学校経営全体を. 記述できる項目を少なくとも3項目選ばせる。③. とらえる立場にはないという理由で,意識分析の. 選び出したチェックリスト項目それぞれについ. 対象外になってきた。. て,学生がとった行動や働きかけを文章で記述さ. 本稿では,学校経営力の概念を学生がどのよう に意識するか,また学校経営のより全体的な認識. せる。. 従って,第1学年は2009年度当初からの約2ケ. をどのような認識段階を経て獲得しているのかを. 月半,第2学年は2008年度の第1学年時一年間に. 明らかにする。さらに,学生がとらえる学校経営. 加え2009年度には約2ケ月半,第3学年は主免実. 120.

(4) 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関. 習の直前かつ2007年度,2008年度の2ケ年間の「教 育フィールド研究」の実体験を有する学生を対象. (2)多次元尺度分析による解析. 各学年の学生が学校経営の際にどのような行動. とした意識調査となる。なお,有効な回答を行っ. をとろうと考えているのかについては,ソフトウ. た学生数は,第1学年174名,第2学年149名,第. エアによる多次元尺度構成法によって自動的に解. 3学年171名,合計494名であった。. 析され,文章間の距離構造が2次元配置の対応分. 析図に散布図として出力される7)。出力された散 2.意識調査の分析. 全257項目のチェックリストに対して書き出さ. 布固から,品詞間の係り受け関係に応じて,学校 経営に対する学生の印象や学校経営の際の行動,. れた文章記述の数は2,559であった。そのうち,「学. 学校経営の際に生じた現象が分かる。散布図に抽. 校経営力」に書き出された文章記述の数は285で. 出された品詞間の係り受け関係が見られる文章記. あり,各学年の内訳は第1学年113,第2学年78,. 述に,筆者らが解釈を加えた。. 第3学年94であった。. 意識調査の分析に当たっては,「学校経営力」 のチェックリスト項目に書き出された全ての文章 記述を各学年ごとに分類し,これら大量の文章記 述の意味内容を計算機で解析して,各学年の学生. Ⅰ.クラスター分析による学生の特徴の分析 1.第1学年の有する傾向. 第1学年の書き出した文章を解析した樹形図を. が学校経営力に対してどのような意見や関心を. 見ると,同学年の持つ学校経営力に対する意見や. 持っているか,さらに学校経営の際にどのような. 関心は11に分類されることが分かった。「研究(9)」,. 行動をとろうと考えているのか,に関する知見を 見いだした。計算機で解析するためのソフトウエ アは,ジャストシステム社製日本語テキストマイ ニングソフトウエア「トラスティアR.2」を用い た。. 「メモ(7)」,「指示(6)」,「観察(8)」,「会(4)」,「活動 (7)」,「把握帥」,「行事(8)」,「保護者(4)」,「通信(9)」,. 「子ども鯛」である。括弧内は分類された文章数 である。. 最も文章が多く書き出された分類は「把握」で. これらの分析は,第1∼3学年までの494名が. あり,全文章113のうち31が書き出され,全体の. 書き出したZ85の自由記述を元にして分析してい. Z7%を占めた(以下,31,Z7%と略す)。「子ども」. る。この分析は質・量を含めて行うクラスター分. は20,18%であった。これら2つの分類だけで全. 析及び多次元尺度分析によって行った。自由記述. 体の45%を占めた。このことから第1学年の学生. の分析であるため,限定的な統計手法ではないの. は,学校経営は子どもを把握することであるとと. で,より学生の実態を反映しているものといえる。. らえているといえる。. 次に,11の分類がどのようなまとまりになって (1)クラスター分析による解析. 各学年の学生が学校経営力に対してどのような. いるのかに着目した。すると,「子ども」と「研究,. メモ,指示,観察,会,活動,把握,行事,保護. 意見や関心を持っているかについては,ソフトウ. 者,通信」の2つのクラスターに分類されること. エアによるクラスター分析によって自動的に解析. が分かった。これら2つのクラスターに分類され. され,パターンが似ている文章記述がグループ(ク. た文章記述の傾向を詳細に検討するために,それ. ラスター)にまとめられ,グループの形成状態が. ぞれのクラスターに分類された文章記述例を表1. 樹形図に出力される6)。樹形図に出力された分類. に示した。. 名やその分類に分けられた文章記述に筆者らが解 釈を加えた。. 表1より,「子ども」のクラスターに分類され る文章記述からは,教育フィールド研究において 配属された学級のクラス担任の子ども理解の観察. 121.

(5) 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出 勉・倉賀野志郎・山瀬 一史・村上 知子・八木 修一・赤田裕喜彦・小林 宏明 表1 各クラスタ一に分類された第1学年の文章記述例 ◎「子ども」のクラスター ・自分から声をかけるのが苦手な子もいるので積極的に話しかけることが大切だと思う。フィールドでぐいぐい来てくれる 子だけでなく,シャイな子にも声をかけるよう努力している。. ・いいことも悪いこともまず子どもを理解することが大切だと思う。できなかったことができるようになっていたら気づい てあげたい。 ・児童を観察し,児童同士の関係や特徴を把握し,指導に生かしたい。クラスごとの雰囲気や子どもが興味を持っているこ. となどをメモしている。 ・生徒たちによる進行を行っていて生徒たちが自ら考えて発表することで積極性や自立性を育てようとしているのかなと考 えた。 ・朝の会を生徒に任せることで生徒の自立心を育てていることに気づいた。 ◎「研究,メモ,指示,観察,会,活動,把捉,行事,保護者,通信」のクラスター ・その児童のことをよく知るため,悩み事に相談にのるためたくさん話し,解決策を考えたり,仲を深めるよう努力してい. く。 ・ダイレクトに学習面や友人関係について聞くのではなく,何気ないおしゃべりから間接的に聞く。何気ない会話から,生. 徒の不満と愚痴のような形で聞くのが一番本心に近いと思うので。 ・学年あるいはそれぞれの学級の子どもたちの能力に応じて,完全に任せられること,おおよそ任せられるもの,任せっき. りにできないものとにわけて対応する。 ・各行事の中で,子どもたちにいったい何を身につけ,考えて欲しいか考えそれを目標にし,目標に向かって行動する。 ・クラス担任の指導法を比較し,それぞれの意味を理解し身に付けたい。担任の指導法とその目的を考えメモしている。疑. 問に思った点は帰りなどに質問している。 ・教育フィールド研究において私は生徒に対して受動的にしか行動出来なかったが,学級担任の指導をメモ・阻噛・理解す ることにより,能動的・効果的な行動が出来るようになった。このように,状況を打破するのにメモは非常に有効な手段 であるため,積極的にとるようにしたい。 ・フィールド先の学級年間計画を知る。(先生に聞く,掲示物を見て確かめる) ・授業をただ観察するだけでなく,先生がしていることに注目して,それには必ず何か意味があるということを理解し考え. る。 ・学年の始まりの時に全体的な行事を知る。 ・学級通信の定期的な発行により,保護者の理解や協力を得ることが出来て連携していくことが出来る。一人一人の子ども を平等に扱い,通信に児童の名前を載せる際には十分に注意して偏りがないようにする。. ※下線は筆者による。. に加え,学生自らが行う子どもの観察の双方が学. のクラス担任等が子どもの実態に応じて適切な教. 校経営に必要ととらえていることが分かる。「研. 育活動ができるようにすることであり,そのこと. 究,メモ,指示,観察,会,活動,把握,行事,. が学校経営のポテンシャルとなる。したがって,. 保護者,通信」のクラスターに分類される文章記. 学生は学校経営の全体像が見えているわけではな. 述からは,学校経営のためには子どもをよく理解. いが,学生がとらえる学校経営の認識も,. する必要があることを前碇とした上で,種々の学. どもとの関係から出発することも念頭に置いてお. 校行事を通してどのようにクラス担任が保護者と. かなければならない。. この子. の連携を含めた学級作りを行っているのかよく観 察し,それを取り入れることが学校経営に必要と とらえていることが分かる。. 2.第2学年の有する傾向 第2学年の書き出した文章を解析した樹形図を. これらのことから,2つのクラスターに分類さ. 見ると,同学年の持つ学校経営力に対する意見や. れた文章記述は次の特徴を持つといえる。第一に,. 関心は9に分類されることが分かった。「研究(7)」,. 子どもに話しかけたり,子どもの話を聞いたりす. 「メモ(6)」,「学級㈹」,「会(5)」,「掃除(3)」,「時間. る言語活動を通した教師の子ども理解の重要性に. 仕れ,「コミュニケーション(8)」,「声(5)」,「子ども. 関する記述である。第二に,クラス担任の学級作. q飢 である。括弧内は分類された文章数である。. りとそれに伴う学級運営の視点を観察しようとし. 「時間」に分類される文章数が全文章78のうち. ている記述である。したがって第1学年の学生は,. 17であり,全体の22%を占める(以下,17,22%. 学校経営力を子ども理解に基づいたクラス担任の. と略)。「学級」は15,19%,「子ども」は12,15%. 学級運営の面からとらえようとする特徴がある。. である。これら3つの分類に書き出された文章だ. すなわち,学校経営の最終的な目的は,それぞれ. けで全文章の56%を占めた。このことから第2学. 122.

(6) 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関. 表2 各クラスタ一に分類された第2学年の文章記述例 ◎「研究,メモ」のクラスター. ・フィールド研究ではしっかりと活動の内容や授業中の児童の様子をメモしている。 ・去年 ▲年間フィールド研究を経験してきたことで, ▲年間どのような行事があるのか知った。 ・大学だけの講義では見ることのできないことが多くあるので,常にメモを持って教師の動きをメモするようにしている。 ◎「学級,会,掃除,時間,コミュニケーション,声」のクラスター. ・年間行事予定表やクラス内掲示を参考にする。また実際に参加し体感する。 ・運動会や遠足などの行事をクラスに張り出されている学級通信などを見て知った。また職員室にある年間行事表を確認し た。 ・学級の中での児童生徒の行動や,クラス内の雰囲気を観察,メモがとれている。 朝の会や帰りの会で,うまく子どもたちを触れ合わせるための会の内容,進め方を知る。「今日のきらり」→今日の良かっ た人を褒め合う。このような取り組みをすることで,周りの人のいい所を意識して見る,褒めることが出来るし,認めら. れるという心が自然と出来るかなと思った。 ついて行って,ちゃんと掃除を見る。 遊びや,楽しみながら学ぶこ とは子どもの成長にとって大事なことなので,他人と遊びながら学ぶことが出来る遊びを考. える。 保護者に子どもの様子を伝えないと親は気になるものだからとしっかり伝えてあげる。 児童間のグループなどメモをとり把捉する。 勉強時間はもちろん,休み時間や給食時間を観察し,この前より成長したところ,気づいたところをメモする。 家庭に連絡する際に教師がしっかり情報を渡さないと,親の心配がつのってしまう。しっかりとしたコミュニケーション. をする。 校外学習の補助を行ったが集団を一斉に行動させるのはなかなかうまくいかなかった。 ・子ども達の人間関係の問題を解決するために少しでも何か声をかけてあげたり支援してあげたい。 ◎「子ども」のクラスター ・学級をまとめる力や担任の先生がどのようにして子どもたちをまとめているのか,教師の学級経営,子どもの指導注意な. どについて学ぶことができる。 ・児童の安全を確保することは教師としてとても大切である。体育や理科の授業だけでなく普段の遊びの中や遠足や運動会 の行事の中でも児童の安全確保をしっかり行い児童を預かる立場として責任ある行動をしたい。 ・先生の子どもに対する墓七重をみて学び,生かしたい。. ・児童生徒が言おうとしていることを丁寧に聞き取りながら語り合うことが出来る。児童生徒と一対一で話をする場面は少 ないかもしれないが,そうした場合になったとき,相手の言葉やしぐさを充分に観察し,そこから推測できる意図を考え ることが必要になると考える。一対一の会話の際,相手の言葉にばかり頼ってしまい,しぐさまで観察することは出来な. かった。 ・子ども同士の仲間関係を日頃から把握しておくことが大切。子どもの変化にはその予兆が出たときに注意を払う。 ※下線は筆者による。. 年の学生は,学校経営は子どもを理解するための. 分類される文章記述からは,種々の学校行事や常. 時間をとった上で,学級の子どもに対して行う施. 日頃の朝の会や帰りの会においてどのようにクラ. 策であるととらえているといえる。. ス担任が保護者との連携を含めた学級作りを行っ. 次に9の分類はどのようなまとまりになってい. ているのかよく観察し,それをメモすることが学. るのか着目した。キーワードは,「研究,メモ」,「学. 校経営に必要ととらえていることが分かる。「子. 級,会,掃除,時間,コミュニケーション,声」,. ども」のクラスターに分類される文章記述からは,. 「子ども」の3つのクラスターに分類されること. 教育フィールド研究において配属された学級の担. が分かった。これら3つのクラスターに分類され. 任教師の子ども理解の観察が学校経営に必要とと. た文章記述の傾向を詳細に検討するために,それ. らえていることが分かる。. ぞれのクラスターに分類された文章記述例を表2 に示した。. 表2より,「研究,メモ」のクラスターに分類. これらのことから3つのクラスターに分類され た文章記述は,第1学年と同様に次の2つの特徴 を持つといえる。第一に,子どもに話しかけたり,. される文章記述からは,学校経営力をとらえるた. 子どもの話を聞いたりする言語活動を通しての教. めには教育フィールド研究において配属された学. 師の子ども理解の重要性に関する記述である。第. 校現場での諸経験を克明にメモする必要があると. 二に,クラス担任の学級作りとそれに伴う学級運. とらえていることが分かる。「学級,会,掃除,. 営の視点を観察しようとしている記述である。し. 時間,コミュニケーション,声」のクラスターに. たがって第2学年の学生も第1学年の学生と同様. 123.

(7) 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出 勉・倉賀野志郎・山瀬 一史・村上 知子・八木 修一・赤田裕喜彦・小林 宏明. に,学校経営力を子ども理解に基づいたクラス担. 体の約59%を占めた。このことから第3学年の学. 任の学級運営の面からとらえようとする特徴があ. 生は,学校経営は行事などを通して,子どもとク. る。1年生・2年生の学校経常の認識の特徴が,. ラス担任の仕事を把握することが大切であるとと. 子どもとの関係でとらえることは,一般的に若手. らえていることが分かる。. 次に,10の分類がどのようなまとまりになって. 教師の特徴であり,ある意味では,若手教師の子. どもとの関係を援助できることが,学校経営に求. いるのか着目した。すると,「経営,仕事,メモ,. められているとも言えよう。. 活動,保護者,行事,帰り」,「休み,子ども,積 極的」の2つのクラスターに分類されることが分 かった。これら2つのクラスターに分類された文. 3.第3学年の有する傾向. 章記述の傾向を詳細に検討するために,それぞれ. 第3学年の書き出した文章を解析した樹形図を 見ると,同学年の持つ学校経営力に対する意見や. のクラスターに分類された文章記述例を表3に示. 関心は10に分類されることが分かった。「経営(7)」,. した。. 「仕事㈹」,「メモ(8)」,「活動(4)」,「保護者(4)」,「行. 表3より,「経営,仕事,メモ,活動,保護者,. 事q山,「帰り(5)」,「休み(7)」,「子ども郎)」,「積. 行事,帰り」のクラスターに分類される文章記述. 極的(4)」である。括弧内は分類された文章数であ. からは,種々の学校行事や常日頃の朝の会や帰り. る。. の会においてどのようにクラス担任が保護者との. 「子ども」に分類された文章数だけで全文章94. 連携を含めた学級作りを行っているのかよく観察. のうち30であり,全体の32%を占めた(以後,30,. し,それを取り入れることが学校経営に必要とと. 32%と略す)。その他,「仕事」は14,15%,「行事」. らえていることが分かる。「休み,子ども,積極的」. は11,12%であった。これら3つの分類だけで全. のクラスターに分類される文章記述からは,教育. 表3 各クラスタ一に分類された第3学年の文章記述例 ◎「経営,仕事,メモ,活動,保護者,行事,帰り」のクラスター ・学級の1年間の様子を知るには,学級担任から1年間の予定を聞いたり学級経営案を見ておく。 今まで見てきた担任の仕事に加え,他にもどのような職務があるのかを学ぶ 日直の子どもを観察し,どのような仕事をしているのかということを学ぶ。 ・単に授業と児童の指導だけが教師の仕事ではなく,他にも学級を運営するための様々な仕事があることをしる。 ・子どもばかりに目をむけるのではなく,現場の先生たちの仕事を観察して学び,それを記録したい。 ・どのような状況においてもすぐにメモを取ることが出来るように準備をしておくことで,大事な発言などをしっかり覚え. るようにする。 ・メモを取ったり,後で指導教員に尋ねてみたりして対応の仕方を学ぶ。. ・観察やコミュニケーションを通してどのような活動をしているのかを学ぶ。 ・学校と家庭は違う場所だが教育としては連携していなければいけない。そのためには家庭の保護者との連携を重視し,連. 絡等を取り合う努力をしたほうがいい。 ・保護者がどのように普段,学級に関わってきているのか。 ・行事が近くなると,子どもの様子も変化してくる。したがって前もって学校行事予定をチェックしておく。 ・1年間の指導の計画をしっかりと立てることが必要であり,最後にまとめ反省をする。 ・朝の会,帰りの会の中でどのようなことを行っていったらいいのか,そこでの教師の役割は何なのかを学ぶ。 ・見落としがちな朝の会,帰りの会ではどんな内容を話しているのかを聞き取り,メモする。 ◎「休み,子ども,積極的」のクラスター ・休み時間に,一人で寂しそうにしていたり,友達の輪になかなかうまく入れない子に対して,話しかけ,心を開いてくれ. るように努力する。 ・授業中や休み時間の教師と児童のやりとりを観察し,自ら考案する。 ・自分が伝えるようとすることをどうやって児童に伝えるか,先生の様子から理解し,実践する。 ・問題のある子どもに対する教師の働きかけについて学び,自分の実践に生かすようにする。 ・1日の始まりや,終わりに子どもが気持ちよく過ごせるような遊びなどについて工夫する。 自分の考えをただ言うのではなく,うなずいたり,手をにぎるなど,子どもが安心して悩みを話せる場面をつくる。 教室の雰囲気作りや児童同士,児童と教師の関係にどのような配慮がされているかを学ぶ。 児童だけでなく,担任の行動も常に観察し,普段の児童への潰し方,トラブルが起きた際の対処の仕方などを学ぶ。 児童と積極的に接し,実態について知ることができる。. ※下線は筆者による。. 124.

(8) 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関. フィールド研究において配属された学級の子ども. 理解に加え,クラス教師の子ども理解の観察が学 校経営に必要ととらえていることが分かる。. これらのことから2つのクラスターに分類され た文章記述は,第1,2学年と同様に,次の2つ. Ⅱ.多次元尺度分析による学生の年寺徴の分析 1.学収経営に対する学生の印象の特徴. 学校経営に対する学生の印象を表す対応分析図 が図1に示されている。. の特徴を持つといえる。第一に,子どもに話しか. けたり,子どもの話を聞いたりする言語活動を通. 15の形容岩司句ラベル. しての教師の子ども理解の重要性に関する記述で ある。第二に,クラス担任の学級作りとそれに伴 う学級運営の視点を観察しようとしている記述で. not長い ●六盲し. ある。したがって第3学年の学生も第1,2学年 ●六. の学生と同様に学校経営力を子ども理解に基づい. ・‖. ==・・. =. ●少ない ●よい. たクラス担任の学級経営の面から学校経営をとら. ●楽しい. ●妄全 ●必要. ●う. ...基・. えようとする特徴がある。さらに,学級経営案を 作成するにあたっても,保護者との連携が,学校. ラペ■ル. 苦手●様々■コ生. 経営の要素であるととらえている。. 4.学校経営力のとらえ方に関する各学年の特徴. 樹形図に出力された各学年の分類名及び表1∼. 15の 粁≡容喜司旬. ラぺル −1j∃6. −1□4. −05コ. D□0. 0jヨコ. 1□4. 156. 図1学校経営に対する学生の印象を表す対応分析図. 3に書き出された文章記述から,学校経営力に関 する3つの学年に共通する次の3点が導出でき る。. 第一に,言語活動を通した積極的な子どもとの. 図1には,学校経営に対してどのような印象を 学生が持っているかに関する知見を得るために, 印象を表す形容詞旬のラベル(以下,形容詞旬ラ. コミュニケーションに基づく信頼関係の構築が,. ベルと略)がつけられた点と学年別のラベル(以. 学校経営の基本となると考えている。第二に,種々. 下,学年別ラベルと略)がつけられた点が示され. の学校行事や常日頃の朝の会や帰りの会において. ている。3つの学年別ラベルが形作る三角形の中. どのように担任教師が保護者との連携を含めた学. ほどに示される形容詞旬ラベルが釧路校の学生の. 級作りを行っているのか,よく観察してそれを自. 持つ学校経営力に対する印象の特徴となり,学年. 分の実践に取り入れることによって,学校経営を. 別ラベルの周辺に示される形容詞旬ラベルが各学. とらえようとしている。第三に,実際の学校経営. 年の持つ学校経営力に対する印象の特徴となる。. を担う校長,教頭などの管理職の存在に言及した. 図1より次の2点を読み取ることができる。. 文章記述は見あたらないが,行事・年間計画など. 第一に,図1には89の形容詞旬ラベルが抽出さ. から学校経営をとらえようとしている。 これらのことから釧路校の学生は学校経営を,. れている。そのうち,第1学年だけが書き出した 形容詞ラベルの位置には33の形容詞旬が書き出さ. 3学年とも共通に,保護者との連携を含めた子ど. れている。同様に,第2学年の学年別ラベルには. も理解,学校行事において典型的に現れるクラス. 15の形容詞旬,第3学年の学年別ラベルには15の. 担任の学級運営,それらを観察し会得しようとす. 形容詞旬が書き出されている。すなわち,全89の. る学生という,子ども,教師,保護者による三者. 形容詞旬ラベルのうち,71%に相当する63の形容. の関係でとらえていることが分かる。. 詞旬ラベルが各学年の学年ラベルの位置に集中し ている。第二に,複数の学年の学生が書き出した. 125.

(9) 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出 勉・倉賀野志郎・山瀬 一史・村上 知子・八木 修一・赤田裕喜彦・小林 宏明. 形容詞句ラベルは全体の29%に相当する26であ. 抽出された文章記述に分析を加え,各学年の持つ. る。これら26の形容詞句ラベルが3つの学年別ラ. 固有の特徴に検討を加える。. 第1学年の学年別ラベルには,28の文章記述か. ベルの形作る三角形の内側に分布している。. ら33の形容詞句ラベルが抽出された。抽出された 主な形容詞句ラベルは「こまめ」,「危ない」,「誠. (1)全学年に共通する学生の印象の特徴. 3つの学年別ラベルの形作る三角形の内側に示. 実」などである。第2学年の学年別ラベルには,. された形容詞句ラベルに分析を加え,全学年共通. 15の文章記述から15の形容詞句ラベルが抽出され. の特徴に検討を加える。. た。抽出された主な形容詞句ラベルは「明るい」,. 図1より,3つの学年別ラベルが形作る三角形. 「生活しやすい」,「丁寧」などである。第3学年. の内側に示される形容詞句ラベルは,3つの学年. の学年別ラベルには,15の文章記述から15の形容. 別ラベルが形作る三角形の重心の位置に相当する. 詞句ラベルが抽出された。抽出された主な形容詞. (0.00,0.00)の座標の周辺に位置していないこ. 旬ラベルは「安心」,「リアル」,「仲良い」などで. とが分かる。すなわち,3つの学年別ラベルが形. ある。. 作る三角形の中心部分に形容詞句ラベルが位置し. これらの各学年の文章記述に検討を加えると,. ない空洞状の配置になっているのである。このこ. 次の類型①∼④の4つに分類できた。類型①学校. とから,学校経営力に対する各学年に共通する印. 経営のためには子ども理解が必要と考えている記. 象を抽出することは難しい。逆に言えば,学年に. 述である。類型②行事等における安全管理に関す. よって学校経営のイメージは変化していくといえ. る内容が善かれた記述である。類型③学級通信な. る。. どを通した保護者との連携の必要性が善かれた記. 述である。類型④教育フィールド研究先で観察し た現職教員の学級運営が善かれた記述である。表. (2)各学年別の学生の印象の特徴. 各学年別ラベル上に示された形容詞句ラベルが. 4には文章記述例が示されている。. 表4 各学年別ラベルの上に示された形容詞旬ラベルが抽出された文章記述例 類型(彰 学校経営のためには子ども理解が必要と考えている文章 ・どんなにささいなことでも小まめにメモし,いち早く変化に気づいてあげられるよう気をつける。(1年生) ・いつも同じ子と関わるのではなく,たくさんの子どもの様子を観察する。(2年生) ・表情が暗い子や元気がない子がいた時に,共感の気持ちを持ちながら話を聞くようにする。(3年生) 声をかけられるのが苦手な子もいるので 日頃から児童それぞれの様子を確認しながら,その子にあった ていく。話をするのが苦手な子もいるので,根気強く,共感しながら,カウンセリングマインドの姿勢で話しを聞く。(3. 類型② 行事等における安全管理に関する内容が善かれた文章 ・事前に活動を行う場所の危ないところを調べておく。また危墜であることを活動前に伝える。そして安全策を考え防げる ようにする。体育館で鬼ごっこをするとき壁にささくれを見つけて取り除いたことで手に刺さらずに済んだ。(1年生) ・安全確保のため廊下で走り回っている生徒たちにどうして走ったらだめなのか説明し注意することが出来た。(1年生). 類型③ 学級通信などを通した保護者との連携の必要性が善かれた文章 ・学級通信をこまめに出すようにして保護者に子どもたちの様子を伝え学校と家庭のつながりを大切にしたい。(1年生) ・家庭に連絡する際に教師がしっかり情報を渡さないと,親の心配がつのってしまう。しっかりとしたコミュニケーション をする。(2年生). 類型④ 教育フィールド研究先で観察した現職教員の学級運営が善かれた文章 ・指導教員は気になる子のことをちゃんと把握していて「00はどうした?」などきさくに話しかけていた。(1年生) ・教育フィールド研究でより良い教室づくりについて先年から指導を受けた。低学年では先年が工夫して掲示物を作り,過. ごしやすい教室にする。そして学年が上がるにつれて児童が自分たちの教室を作るよう掲示物も自ら製作する。また特支 学級では目への刺激が多いといけないので掲示物をできる限り少なくする。とても勉強になった。(1年生) ・教室にゴミが落ちているとそれだけで児童が落ち着かなくなる。整理整頓されたきれいな教室を作ることも重要である上, クラスが明るい雰囲気になる掲示や学びにつながる掲示など教室環境で大きく変わる。(2年生) ・クラスの現状をどのように良くしていきたいか,まとまりのある学級とするための工夫など,授業や1日の生活の中でみ つけ,担任の先年がどのようにしているのかお話を聞く。(3年牛) ・教師が学級をどのように組み立てているのかを学び,困難に向かうための声かけや指導を身に付けたい。(3年生). ※下線は筆者による。. 126. けを行っ.

(10) 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関. ここで,類型①∼④の4つに分類された文章記. 教師,保護者による三者の関係で学校経営力の印. 述数を学年別に数え上げ,学年別の文章記述数全. 象をとらえている。第二に,学校経営力に関する. 体に対してどのような割合を占めているかを算出. 印象は,学年が上がるにつれて,安全管理や保護. し,図に表したのが図2である。. 者との連携などという教育フィールド研究におい. 図2より,各学年とも,学校経営のためには子. て容易に観察できる個別の視点から,現職教員の. ども理解が必要と考えている類型①に分類される. 学級運営全体を傭撤して総合的にとらえようとす. 記述が最も多いことが分かる。しかし,第1,2. る視点へ広まっている。第三に,実際の学校経営. 学年と第3学年の傾向は異なっていることが分か. を担う校長,教頭などの管理職の存在にも言及し. る。第1及び2学年段階では,4つの類型全てに. た文章記述は見あたらないが,年間計画・行事計. 分類される文章が書き出されているが,第3学年. 画をとらえている。. 上述した第一及び第二の特徴が現れる理由は次. になると類型①が全体の73%を占め,これに加え. て教育フィールド研究先で観察した現職教員の学. のように考えられる。学級の中で何か問題や課題. 級運営が善かれた類型④の2つの文章記述のみで. が生じた場合,まず最初に学級担任が対応する。. 構成されている。. 教育フィールド研究において学生が日にするのは この段階である。学生には,この段階は生徒指導. や教育相談と見えるはずである。生じた問題が学 年や担当校務分掌の問題や課題として採り上げら れ,取り組まれているのを観察して初めて学校の 組織と経営に目が向く。すなわち,学生が見てい る学校経常の姿は,単に官僚制的な経常ではなく, 0,i. 20,i. 40!i. 80%. 80,i. 類型の占める割合(%). 囚類型①. □類型②. ■類型③. 巳類型④. 図2 学年別形容詞旬ラベルに書き 糾された文章記述の類型別割合. 100!i. 学級が子どもの教育の基盤になるという学校経営 の特徴をとらえているものである。. 教育フィールド研究における実体験からだけで は,学級→学年→学校という学校組織の管理上の 階層性は直接的にはとらえにくいが,観察した範. このことから釧路校の学生は,子ども理解が学. 囲から学校経営の印象をとらえると,子ども,教. 校経営の基本部分であるという共通の理解を基. 師,学年の三者関係でとらえるのは順当な印象で. に,第1,2学年段階では,教育フィールド研究. あるといえる。このことを別の言い方でいうと,. において観察した安全管理や保護者との連携を学. 学級を起点にしてボトムアップで学校経営をとら. 校経営ととらえる傾向が分かる。第3学年段階に. えているともいえる。. なると,教育フィールド研究先で観察した現職教. 第三の特徴が現れるのは,教育フィールド研究. 員の学級運営の全体を学校経営ととらえようとし. において,学生に直接関与・指導しているのが校. ていることが分かる。. 長,教頭ではなく,学級担任や教務主任などの一 般教員であると考えられる。. (3)学校経営力の学生の印象に関する全体的傾向. これまでのことから,釧路佼の学生は学校経営. 釧路校の学生の学校経営力に対する印象は,こ れまでに報告した学習指導力,生徒指導力,教育. に対する印象を次の3点でとらえていることが分. 相談力に対する印象と大きな相違点が認められ. かる。第一に,保護者との連携を含めた子ども理. る。学校経営力に対する各学年共通の印象は,3. 解,学校行事において典型的に現れるクラス担任. つの学年別ラベルが形作る三角形の内側の共通点. の学級運営,それを観察する学生という,子ども,. に示される形容詞旬ラベルが抽出された文章記述. 127.

(11) 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出 勉・倉賀野志郎・山瀬 一史・村上 知子・八木 修一・赤田裕喜彦・小林 宏明. の分析・検討によって直接的に導き出されたもの. の特徴となり,学年別ラベルの周辺に示された動. ではない。3つの学年別ラベルの周辺に示される. 詞句ラベルが各学年の持つ学校経営に対する行動. 形容詞旬ラベルが抽出された文章記述の分析・検. の特徴となる。. 討によって間接的に導き出されたものである。こ. 図3より次の3点を読み取ることができる。. の点が学習指導力,生徒指導力,教育相談力に対. 第一に,図3には266の動詞句ラベルが抽出さ. する印象を書き出した文章記述の特徴と異なる点. れている。そのうち,第1学年だけが書き出した. である。. 動詞句ラベルの位置には94の動詞句が書き出され. このことからも,教育フィールド研究における. ている。同様に,第2学年の学年別ラベルの位置. 実体験からだけでは学校組織の管理上の階層性は. には50の動詞句,第3学年の学年別ラベルの位置. とらえにくく,観察した範囲から学校経営の印象. には44の動詞句が書き出されている。すなわち,. をとらえていることが分かる。しかし日に見えな. 全266の動詞句ラベルのうち,71%に相当する188. い学校経営をとらえられないのは,教育の経営に. の動詞句ラベルが各学年の学年ラベルの位置に集. おいては,直接的には子どもと関わるクラス担任. 中している。第二に,複数の学年の学生が書き出. の指導や個性が大きく影響するものであるという. した動詞句ラベルは全体の29%に相当する78であ. 学校経営の特性を示していると言える。. る。これら78の動詞句ラベルが3つの学年別ラベ ルの形作る三角形の中ほどに分布している。第三 に,3つの学年別ラベルの周辺には,複数の学年. 2.学校経営の際の学生の行動. が書き出した動詞句ラベルが極めて少ない。. 図3には,学校経営の際の学生の行動を表す対 応分析図が示されている。. (1)全学年に共通する行動. 寸 く::⊃. 3つの学年別ラベルが形作る三角形の中ほどに. 44の勤喜司旬ラペ■ル. 寸. 示された動詞句ラベルが抽出された文章記述に分 析を加え,全学年共通の特徴に検討を加える。. q. 図3より,3つの学年別ラベルが形作る三角形 の中ほどに示された動詞句ラベルは「観察」,「聞 く」,「見る」,「いる」,「つくる」,「気になる」,「伝. ⊂コ く::⊃ (::⊃. える」,「する」,「入る」,「行く」などである。こ ト 寸. れら10の動詞句ラベルのうち,対応する名詞句が. ⊂=l. 寸q干. 比較的多く書き出されている動詞句ラベルは「観 察」,「する」,「聞く」,「見る」であり,3つの学. ﹁﹃T. 年別ラベルが形作る三角形の重心付近に示された −1Al. 一口白4. −OA7. 0J〕0. 0A7. 0月4. 図3 学校経営の際の学生の行動を表す対応分析図. 1Al. 動詞句ラベルは「いる」,「つくる」,「気になる」. であった。これら7つの動詞句ラベルが抽出され た文章は,次の類型①及び②の2つに分類できた。. 図3には,学校経営の際に学生が何をしたいの かについて,行動を表す動詞句のラベル(以下,. 表5には,文章記述例が示されている。. 表5より,類型①の文章は,子どもをよく見て. 動詞句ラベルと略)がつけられた点と学年別ラベ. 観察するとともに子どもの話を聞こうとする記述. ルがつけられた点が示されている。3つの学年別. といえる。類型②の文章は,教育フィールド研究. ラベルが形作る三角形の中ほどに示される動詞句. において配属された学級のクラス担任による学級. ラベルが釧路校の学生の持つ学校経営の際の行動. 運営をよく見て観察し,分からないところは先生. 128.

(12) 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関. 表5 各学年別ラベルが形作る三角形の中ほどに書き出された文章記述例 類型① 子どもをよく見て観察するとともに子どもの話を聞く。 ・元気のない子にすぐ気付けるようによく観察する。フィールドで毎日きちんと観察している。(1年生) ・低学年には低学年なりの高学年には高学年なりの悩みがある。観察を通し,元気のない児童には教師が瞬時に気づきどん な場面でも1対1で話を聞くようにする。(2年生). ・いつも仲良くしている子ども達の様子がどのように変化しているかを観察しながら授業のなかでかたまらないよう考慮す る。(3年生) ・一人でいる子のところにいって話を聞いてあげる。(1年生) ・一緒に活動を行い,子どもたちがどのようなところに気をつけて行っているかを注意して見る。(3年生) 類型② 教育フィールド研究で配属された学級担任の学級運営をよく見て観察し,分からないところは先生方に聞く。 ・朝の会・帰りの会の内容一つ一つがどのような意味・意図を持つか考えつつ観察していきたい。(1年生) ・ある学級を朝の会から一日中どのようなことを行うのか観察してみたい。(2年生) ・個性を尊重しつつ,指導するには担任の先生はどのような言葉を選び,どのような言い方をするのか,また,どのような 時に相手にしたりしなかったりするのか,観察し,真似てみる。(3年生) ・授業をただ観察するだけでなく,先生がしていることに注目して,それには必ず何か意味があるということを理解し考え る。(1年生) ・学級をまとめるカヤ担任の先生がどのようにして子どもたちをまとめているのか,教師の学級経営,子どもの指導注意な どについて学ぶことができる。(2年生) ・教師は一人で30∼朝人の子どもをみているので,一人一人をずっと相手にできないが,ふとしたときに気になる子にどう 接しているかを学んでいきたい。(3年生) ・直凛先生方に聞いてみることや本などを読む。実習の際に先生を観察しヒントを見つける。(1年生) ・クラスの現状をどのように良くしていきたいか,まとまりのある学級とするための工夫など,授業や1日の生活の中でみ つけ,担任の先生がどのようにしているのかお話を聞く。(3年生) ・各教室,先生によって掲示物は多種多様だがどれをとって見ても私が思いつかないような工夫がなされていたり子どもた ちのことを第一に考えた環境が作り出されていた。(2年生). ※下線は筆者による。. 方に聞こうとする記述といえる。すなわち学生か ら見た学校経常は,個々の子どもを観察し,それ. どである。. これらの各学年の文章記述に検討を加えると表. を学級運営として教師が対応していくが,個々の. 5における2つの類型①及び②に加え,次の類型. 教師で対応できない場合には,他の教師に尋ねた. ③∼⑦の7つに分類できた。類型③教育フィール. り相談することによって,教育活動が展開するも. ド研究における実体験が行動として善かれた記. のとしてとらえ,これらの教師の集団の総体が学. 述。類型④学級通信の発行などの保護者との連携. 校経営の目指すものであることをとらえている。. に関する行動が善かれた記述。類型⑤学級経営の 視点からあるべき行動の具体例が善かれた記述。. (2)各学年別の行動. 各学年別ラベル上に示された動詞句ラベルが抽 出された文章記述に分析を加え,各学年の持つ固 有の特徴に検討を加える。. 第1学年の学年別ラベルには,64の文章記述か. 類型⑥教師になった際に心がけたいと考えている 具体策が善かれた記述。類型⑦その他の記述。表 6は文章記述例が示されている。. ここで類型①∼⑦の7つに分類された文章記述 数を学年別に数え,学年別の文章記述数全体に対. ら94の動詞句ラベルが抽出された。抽出された主. してどのような割合を占めているかを算出し,図. な動詞句ラベルは「話しかける」,「走り回る」,「取. にまとめたのが図4である。. り入れる」などである。第2学年の学年別ラベル. 図4より第1学年段階では,類型①∼⑤で全体. には,38の文章記述から50の動詞句ラベルが抽出. の95%が占められている。第2学年においても類. された。抽出された主な動詞句ラベルは「見つけ. 型①∼⑤で全体の87%を占めるが,そのうち40%. 出す」,「確保」,「払う」などである。第3学年の. は類型⑤が占め,5つの類型の占める割合が異な. 学年別ラベルには,36の文章記述から44の動詞句. る。第3学年段階では,類型⑥が全体の31%を占. ラベルが抽出された。抽出された主な動詞句ラベ. める。. ルは「心がける」,「結びつける」,「学びとる」な. このことから釧路校の学生は,学校経営の際の. 129.

(13) 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出. 勉・倉賀野志郎・山瀬 一史・村上 知子・八木 修一・赤田裕喜彦・小林 宏明. 表6 各学年別ラベル上において動詞句ラベルが抽出された文章記述例(類型①,②,⑦を除く) 類型③ 教育フィールド研究における実体験が行動として善かれた記述 ・普.段はあまり笑顔を見せないが,今日はずっと笑顔だった子に「今日は何かいいことあったの?」と話しかけた。(1年生) ・安全確保のため廊下で走り回っている生徒たちにどうして走ったらだめなのか説明し注意することが出来た。(1年生) ・フィールド先で答えてくれない子もいた。(2年生) ・児童と一緒に係り活動や清掃活動をすることで学ぶことができた。(3年生). 類型④ 学級通信の発行などの保護者との連携に関する行動が善かれた記述 ・学級通信をこまめに出すようにして保護者に子どもたちの様子を伝え学校と家庭のつながりを大切にしたい。(1年生) ・学級通信の定期的な発行により,保護者の理解や協力を得ることが出来て連携していくことが出来る。一人一人の子ども を平等に扱い,通信に児童の名前を載せる際には十分に注意して偏りがないようにする。(1年生) ・保護者に子どもの様子を伝えないと親は気になるものだからとしっかり伝えてあげる。(2年生) ・学校と家庭は違う場所だが教育としては連携していなければいけない。そのためには家庭の保護者との連携を重視し,連 絡等を取り合う努力をしたほうがいい。(3年生). 類型⑤ 行動の具体例が善かれた記述 ・学年あるいはそれぞれの学級の子どもたちの能力に応じて,完全に任せられること,おおよそ任せられるもの,任せっき りにできないものとにわけて対応する。(1年生). ・一人教室を抜けた子がいてもすぐにおいかけるのではなく残された大部分の生徒の授業が出来なくならないようにすると か。(1年生) ・教室にゴミが落ちているとそれだけで児童が落ち着かなくなる。整理整頓されたきれいな教室を作ることも重要である上, クラスが明るい雰囲気になる掲示や学びにつながる掲示など教室環境で大きく変わる。(2年生) ・00小は昼休みに掃除することが多く,手伝う機会も多い。ヤらない児童に積極的に関わり「ヤれ」と言うのではなく「ヤ るように」気分をのせることを意識した。(2年生). 類型⑥ 教師になった際に心がけたいと考えている具体策が善かれた記述 ・給食時はみんなで手伝い合うと早く終わらせることが出来るという協力することを教えたい。(2年生). ・児童の安全を確保することは教師としてとても大切である。体育や理科の授業だけでなく普段の遊びの中や遠足や運動会 の行事の中でも児童の安全確保をしっかり行い児童を預かる立場として責任ある行動をしたい。(2年生) ・学級崩壊やいじめなど,学級が安心できなくなるような場所にならないために,日常の会話などから心掛ける。(3年生) ・子ども一人一人だけではなく,全体を見る目を養うことができるように日々こころがける。(3年生). ※下線は筆者による。. の教師の多様な対応方法の観察,自らの学級経営 の方針に関する心構え,という段階を経て学校経 営を考えている。これらの観察は,個と集団を動 0%. 20%. 40Ii. 80%. 80,i. 連想青書の占める割合(%). lOO!i. かす学校経営としては,常に連続的に繰り返すも のである。. ■類型① □類型(診 皿類型く診 田類型(彰 □類型(診 □類型(8 ■類型⑦. 図4 学年別動詞句ラベルに書き出された 文章記述の類型別割合. (3)学校経営の際の学生の行動に関する全体的傾向. これまでのことから,釧路校の学生は学校経営 行動を多様な観点からとらえている第1学年段階. の際の行動を次の2点でとらえていることが分か. から,学級経営の視点から学校経営の際のあるべ. る。. き行動の姿を多く記述するようになる傾向が分か. 第一に,保護者との連携を含めた子ども理解と. る。第3学年になると,教育フィールド研究で配. 担任教師の学級運営を中心に据え,子ども,教師,. 属された学級のクラス担任による学級運営の観察. 保護者による三者関係の視点から,学校経営に関. を通して,目前に迫った主免実習や将来自らが教. する行動をとらえている。第二に,自らの教育. 壇に立った時に,心がけたいと考えている具体策. フィールド研究の経験で,配属された学級のクラ. を「∼をしたい」,「∼を心がける」という心構え. ス担任の学級運営の姿を一旦学生自身で岨曝し,. として記述していることが分かる。. 将来教壇に立った時に,心がけたいと考えている. これらの変化は,子どもとの位置関係の変化に よるものであるが,子どもの動態観察,それぞれ. 130. 学級経営の具体策を自らの心構えとしようとする 学校経営の視点へ深まっている。.

(14) 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関. つの学年別ラベルの形作る三角形の内側に加え,. 3.学校経営の際に生じた子どもの現象に対する 学生の関心. 中心に相当する範囲にも分布している。第三に,. 国5には,学校経常の際に生じた子どもの現象. 3つの学年別ラベルの周辺には,その学年のみ書. に対する学生の関心を表す対応分析図が示されて. き出した名詞句ラベルを除くと,複数の学年が書. いる。. き出した名詞句ラベルが極めて少ない。. 亡つ ⊂0. (1)全学年に共通する子どもの現象に対する学生. 儲舶ラ仙. の関心. ⊂⊃ pl q. 3つの学年別ラベルが形作る三角形の中ほどに 示された名詞句ラベルが抽出された文章記述に分. (J⊃ 【::⊃ ■寸:. 析を加え,全学年共通の特徴に検討を加える。 図5より,3つの学年別ラベルが形作る三角形. 【::⊃. 喜l. の中ほどに示された名詞句ラベルは「了一ども」,「行 (J⊃ 【::⊃ ■寸:. 動」,「活動」,「内容」,「何」,「話」,「日」,「先生」, 「会」,「メモ」,「学級」などである。これらの11. ⊂⊃ pl q. の名詞句ラベルのうち,対応する動詞句が多く書 き出されている名詞句ラベルは「子ども」,「先生」,. 59の名レ▲ −138. −09コ. ーOA6. 0□0. 0.46. 0月つ. 図5 学校経営の際に生じた子どもの現象に 対する学生の関心を表す対応分析図. 138. 「メモ」,「学級」であった。これら4つの名詞句 ラベルは,次の①及び②の2類型に分類できた。 表7には,文章記述例が示されている。. 表7より,類型①の文章は,子どもに声をかけ 図5には,学校経営の事象と対応に関する学生. たり観察しようとする際の学生の関心事の記述と. の関心をとらえるために,子どもの現象に対する. いえる。類型②の文章は,教育フィールド研究に. 学生の関心を表す名詞句ラベルがつけられた点と. おいて配属された学級のクラス担任の学級運営を. 各学年ラベルがつけられた点が示されている。す. よく見て観察しようとする学生の関心事の記述と. なわち,各学年ラベルの周辺に示される名詞句ラ. いえる。すなわち子どもへの働きかけと教師の学. ベルが,その学年の持つ学校経営に関する学生の. 級経営の働きかけである。いずれも,直接学校経. 関心の特徴となる。. 営としてとらえられるものではないが,学校経営. 図5より次の諸点を読み取ることができる。. の基盤としての教師の学級経営をとらえている。. 第一に,図5には263の名詞句ラベルが抽出さ れている。そのうち,第1学年だけが書き出した 名詞句ラベルが示された第1学年の学年別ラベル. (2)各学年別の関心. 各学年別ラベル上に示された名詞句ラベルが抽. には92の名詞句が書き出されている。同様に,第. 出された文章記述に分析を加え,各学年の持つ固. 2学年の学年別ラベルには50の名詞句,第3学年. 有の特徴に検討を加える。. の学年別ラベルには59の名詞句が書き出されてい. 第1学年の学年別ラベルには,62の文章記述か. る。すなわち,全263の名詞句ラベルのうち,76%. ら92の名詞句ラベルが抽出された。抽出された主. に相当する201の名詞句ラベルが各学年の学年ラ. な名詞句ラベルは「定期的」,「授業」,「点」など. ベルの位置に集中している。第二に,複数の学年. である。第2学年の学年別ラベルには,38の文章. の学生が書き出した名詞句ラベルは全体の24%に. 記述から50の名詞句ラベルが抽出された。抽出さ. 相当する62である。これら62の名詞句ラベルが3. れた主な名詞句ラベルは「児童」,「給食時間」,「く. 131.

(15) 相野 彰秀・玉井 康之・近江 道郎・西出 勉・倉賀野志郎・山瀬 一史・村上 知子・八木 修一・赤田裕喜彦・小林 宏明 表7 各学年別ラベルが形作る三角形の中ほどに書き出された文章記述例 類型① 子どもに声をかけたり観察しようとする際の学生の関心 ・児童を観察し,児童同士の関係や特徴を把握し,指導に生かしたい。クラスごとの雰囲気や子どもが興味を持っているこ となどをメモしている。(1年生) ・元気がなかったり,突然服が汚れている生徒などがいたら声をかける。日常的に児童・生徒に気を配る。(2年生) ・声をかけられるのが苦手な子もいるので,日頃から児童それぞれの様子を確認しながら,その子にあった形で声かけを行っ ていく。話をするのが苦手な子もいるので,根気強く,共感しながら,カウンセリングマインドの姿勢で話しを聞く。(3 年生). 類型② 教育フィールド研究において配属された学級担任のクラス運営をよく見て観察しようとする学生の関心 ・指導教員は気になる子のことをちゃんと把握していて「00はどうした?」などきさくに話しかけていた。(1年生) ・学級をまとめる力や担任の先生がどのようにして子どもたちをまとめているのか,教師の学級経営,子どもの指導注意な どについて学ぶことができる。(2年生) ・クラスの現状をどのように良くしていきたいか,まとまりのある学級とするための工夫など,授業や1日の生活の中でみ つけ,担任の先生がどのようにしているのかお話を聞く。(3年生). ※下線は筆者による。. じ引き」などである。第3学年の学年別ラベルに. 学生の関心として善かれた記述。表8には文章記. は,46の文章記述から59の名詞句ラベルが抽出さ. 述例が示されている。. れた。抽出された主な名詞ラベルは「教育」,「心 配事」,「外」などである。. これらの各学年の文章記述に検討を加えると表 7における2つの類型①,②に加え,次の類型③ ∼⑤の5つに分類できた。類型③行動の具体例が. ここで類型①∼⑤の5つに分類された文章記述 数を学年別に数え上げ,学年別の文章記述数全体 に対してどのような割合を占めているかを算出 し,図にまとめたのが図6である。. 図6より,第1学年及び第2学年は類型①と類. 学生の関心として善かれた記述。類型④教師に. 型②の占める割合だけで全体の50%を超えて(第. なった際に心がけたいと考えている点が学生の関. 1学年53%,第2学年54%)いることが分かる。. 心として善かれた記述。類型⑤教育フィールド研. しかし,第3学年になると類型①と②の占める割. 究において配属された学級のクラス担任による学. 合は37%に減少した。特に,類型①の子どもに声. 級運営を観察して自分はどうするかを考えた点が. をかけたり観察しようとする学生の関心が第3学. 表8 各学年別ラベル上において名詞句ラベルが抽出された文章記述例(類型①,②を除く) 類型③ 行動の具体例が学生の関心として善かれた記述 ・児童が心配事を話してきた場合,しっかりと話を聞く。(3年生) ・好きな人同士で席を決めさせたりすると一人の子が出てくる場合があるので,配慮してくじ引きやあみだくじなどをする よう工夫する。(2年生) ・地域の行事に積極的に参加することや父母会を定期的に開く。(1年生). 類型④ 教師になった際に心がけたいと考えている点が学生の関心として善かれた記述 ・毎日の清掃を怠らず,整理整頓を常に心がける。(3年生) ・学校と家庭は違う場所だが教育としては連携していなければいけない。そのためには家庭の保護者との連携を重視し,連 絡等を取り合う努力をしたい。(3年生). ・児童の安全を確保することは教師としてとても大切である。体育や理科の授業だけでなく普段の遊びの中や遠足や運動会 の行事の中でも児童の安全確保をしっかり行い児童を預かる立場として責任ある行動をしたい。(2年生) ・友達とうまくやっていけているか話を聞いたりトラブルがあった後,人として成長できたかという点にも目を向けたい。 (1年生). 類型⑤ 教育フィールド研究において配属された学級担任のクラス運営を観察して自分はどうするかを考えた点が学生の関 心として善かれた記述 ・自らがそういった活動に取り組むことで,外から見ていただけでは気づかなかったものが見えてくる。(3年牛) ・メモをとることにより振り返りをすることができ,また細かく書くことで理解も早くなると思う。(3年生) ・勉強時間はもちろん,休み時間や給食時間を観察し,この前より成長したところ,気づいたところをメモする。(2年生) ・それぞれの教師によって個々に狙っているものが異っているのを認識し,理解して自分のレパートリーを増やす。(1年生) ・授業をただ観察するだけでなく,先生がしていることに注目して,それには必ず何か意味があるということを理解し考え る(1年生). ※下線は筆者による。. 132.

(16) 学生の子ども・学級認識とボトムアップの学校経営の認識構造の連関. 運営を観察することである。この観察の過程では, 子ども,教師,保護者による三者の関係を基盤に. して,学級経常という視点から学校経常の関心事 をとらえている。第二に,教育フィールド研究で. 配属された学級の担任教師による学級運営の姿を 0鴇. 20%. 80!i. 80,i. 田類型④. 目類型(9. 40†i. 連想語の占める割合(%). lOO%. 一旦学生自身で岨曝し,将来教壇に立った時に, 心がけたいと考えている具体策を自らの心構えと. 邑類型(9. □類型②. m類型③. しようとする姿勢へと関心は深まっている。この 図6 学年別名詞句ラベルに書き出された 文章記述の類型別割合. 二つの関心事は,学級経営の観察と自己指導方法 の取捨選択的な確立の過程としてとらえることが. 年になると2%と大きく減少している。その他,. できる。. 第1,2学年に比べて第3学年が多く関心を持つ のは,教育フィールド研究において配属された学 級のクラス担任による学級運営を観察して自分は どうするかを考えようとする点に加え,教師に. おわりに. 学校経営力に関するチェックリスト項目に対し. なった際に心がけたいと考えている点である。前. て釧路校の学生が書き出した文章にクラスター分. 者は第1,2学年がそれぞれ16%,11%の割合で. 析及び多次元尺度分析を加えた結果,いずれの分. あったが,第3学年では24%に増加している。後. 析からも次のような3学年共通の分析結果が得ら. 者は,11%,14%が22%に増加している。. れた。. このことから釧路校の学生の学校経常に対する. 第一に,保護者との連携を含めた子ども理解,. 関心は次のように変化しているといえる。第1,. 学校行事において典型的に現れるクラス担任の学. 2学年段階では,子どもとのコミュニケーション. 級運営を学生が観察しており,子ども,教師,保. を通じた子ども理解を前碇に,教育フィールド研. 護者による三者の関係で,学校経営の基礎をとら. 究において配属された学級の担任教師による学級. えている。第二に,種々の学校行事や毎日の朝の. 運営とそれに伴う子どもの行動の観察を学校経営. 会・帰りの会などの学校全体および学級全体の集. に対する関心としてとらえている。第3学年にな. 団指導において,どのように担任教師が保護者と. ると,教育フィールド研究において配属された学. の連携を含めた学級作りを行っているのかをとら. 級の担任教師による学級運営を観察し,その際主. えている。そして,それを自ら会得できる内容に. 免実習などで実際に教壇に立っていると仮定し,. 編成しながら学級経営の実践方法を学校経営の基. 自分だったらどうするかを考えるように関心が変. 礎としてとらえようとしている。第三に,実際の. 化している。すなわち子どもの観察から,学級経. 学校経営を担う校長,教頭などの管理職の職務に. 営を意識した多様な方法の観察へと移行し,その. 関連する視点からの学校経営力はとらえられてい. 中から自分の対応方法の取捨選択的な会得のシ. ないが,学校経営の担い手としての自らの学級経. ミュレーションへの認識の発展である。. 営を基盤としてとらえようとしている。. 学生は,自らの教育フィールド研究における実 (3)学校経営の際の学生の関′むに関する全体的傾向. これまでのことから,釧路校の学生は学校経営. 体験を中心に,教育フィールド研究で配属された 学級のクラス担任による学級運営の姿を一旦学生. に対する関心を次の2点でとらえていることが分. 自身で岨曝している。そして,将来教壇に立った. かる。第一に,子どもに声をかけたり子どもを観. 時に,心がけたいと考えている具体策が学生の関. 察しようとする子ども理解と,クラス担任の学級. 心事となっているといえる。このことは,学校経. 133.

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