アイヌの歴史文化学習の課題と可能性
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第57巻 第2号 JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.57,No.2. 平成19年2月 February,2007. アイヌの歴史文化学習の課題と可能性 鈴 木 哲 雄 北海道教育大学札幌枚社会科教育研究室. ANoteontheLearningofAinuHistoryandCulture SUZUKI Tetsuo. SocialStudies,SapporoCampus,HokkaidoUniversityofEducation. 概 要 本稿は,2004年6月の本学での中本ムツ子氏の講義に関する学生のレポートを手がかりに,まず道内の小 学校でのアイヌ文化学習の進展状況の一端を確認する.その上で,これまでの教育実践・研究を整理し,「ア. イヌ文化」学習ではなく「アイヌの歴史文化」学習とすることで,多文化教育的な視点からのアイヌ民族あ るいは北海道史にかかわる新たな学習の可能性を検討したものである. キーワード:中本ムツ子,アイヌ文化学習,アイヌの歴史文化学習,アイヌ史,多文化教育. はじめに−ある学生のレポートから 私はこのレポートでは,中本(ムツ子)さんの. 中本さんの話は差別の話だけではなく,アイヌ民 族だけが持つ独特な文化についての話でもあっ た.アイヌ文化に関しては,小学校の頃などに学. 講義について書きたいと思う.北海道で教員をす. 校や校外学習などで少しだけ触れる機会があっ. る上でアイヌ文化やアイヌ民族への差別について. た.椅麗な織物で作られた服や,手で掘った木船. 学ぶことは避けて通れないことだと思うからだ.. などを見たり,熊祭りの話を聞いたりなど,少し. /中本さんの話は,子供時代にあらゆる場面で差. ではあるが知っていることもある.しかし,アイ. 別を受けてきたという話から始まった.特に友人. ヌの唄を聞いたのは初めてだった.講義の中では. や周りの人だけではなく,聖職者とまで言われて. みんな恥ずかしがって歌わなかったりしていた. いた学校の先生までもがアイヌだということに対. が,中本さんの歌われた唄は,今まで聞いたこと. して差別視していたことには驚いた.確かにこの. もないくらい繊細で美しかった.金持ちの子供と. 話はその先生だけの問題ではなく,当時の日本の. 貧しい子供の昔話も聞かせていただいたが,初め. 社会全体の問題点だったと言える.しかし仮にも. て聞く話なのにどこか懐かしいような暖かい話. 教育者たるべき存在である教師が差別していたと. だった.講義が終わってから,アイヌ文化はこん. いうことには,やはり憤りを覚えた.(中略)/. なに奥が深くて美しいものだということに感動し. 125.
(3) 鈴 木 哲 雄. た.中本さんはアイヌの唄を本当に椅麗な唄だと. 中本氏の講義の概要は,aさんのレポートからわ. おっしゃっていたが,本当にその通りだと思った.. かると思うが,その内容は,aさんがレポートで. そして,この唄を聞いたとき,こんなに美しい唄. 「教師が子供にしなければならない大切なことの. が歌える人たちを何故差別しなければならなかっ. ヒントになってくれた」と強く受けとめたように,. たのだろうかと感じた.それはすごく素直な感情. 北海道(もちろん「北海道」に限定されない意味. で,おそらく子供たちもそう感じてくれるのでは. をもっているが)における教育において不可欠な. ないかと思う.だからこそやはり,アイヌ民族ヤ. ものを含むものであった.教職ガイダンスの講師. アイヌ文化に子供のうちから触れて欲しいと思う. に中本氏をお願いしている趣旨もここにあったの. のだ./最後に,自分が将来教職に就くというこ. であろう.. とを考えたとき,教師は子供たちに対して,素直. 本稿は,この中本氏の講義をきっかけとし,そ. な感情を持ちそれを表現できるような環境で育て. して,一緒に中本講義から多くを学んでいたaさ. てあげなければならない,と思った.そのことは. んのような優れたレポートに刺激を受けたことに. 自分のことや他人のことを認めることの第一歩だ. よって,この2年ばかりの間に,アイヌの歴史文. と思うからだ.自分が感じたことや,考えたこと. 化学習について調べ,考えてきたことをノートし. をみんなが素直に交換しあえば,みんなが自分と. たものにすぎない.そのため,多様な方法や立場. は違うことを考えているということを実感し,人. から数多く積み重ねられてきたアイヌ文化学習に. はそれぞれ違うもので,違っていることは決して. ついての研究成果を十分に踏まえたものとなって. 悪いことではないということを認識できるとも思. いない.その点お許しいただきたいと思う.. う.そして,そのように自由な感受性を持つこと は,あの美しいアイヌの唄や,様々な民族の持つ. 様々な文化に対して,素直に受け入れることがで. 1 道内の小学校でのアイヌ文化学習の一端 この年の8月に,私は北海道教育庁による「教. きるようになるために最も重要な要素だと思う.. この中本さんの講義は,教師が子供にしなければ. 育職員免許法認走講習(1種免許状取得「/ト学校」. ならない大切なことのヒントになってくれたと思. 教員課程)」の「社会科教育法」を担当した.赴. う.もし自分が実際に教師になれたとしたら,こ. 任したばかりでどんな講習をすればよいのかわか. のとき考えたことを大切にして頑張りたいと思. らないまま,2日間の講習をしたのであるが,地. う.. 域学習や地域調査の方法を取り上げるなかで. (2004年鹿本学1年生のaさんのレポートからノ. 域の地名を考える」「篠路周辺を歩く」「イシカリ (石狩)を歩く」などを教材とした.北海道で地. このaさんの文章は,本学札幌校の2004年度前. 域学習を深めていけば,当然アイヌの歴史文化に. 期の授業「教職ガイダンス」での課題レポートで. かかわるわけで,中本ムツ子氏がうたうCD『「ア. ある.私はこの年の4月に赴任したばかりで,教. イヌ神謡集」をうたう』2)のイントロ音楽と「ア. 職ガイダンスの趣旨もよく理解しまいままaさん. イヌ神謡集」序の朗読,そして「第1話 シマフ. のクラスの副担当をしていた.15コマの授業の中. クロウ神の謡:シロカニベ ランラン ピシカ. で8名ほどの講帥が講義を行ったが,北海道へ来. ン」(札幌校の教職ガイダンスの講義で,中本氏. たばかりの私には,6月の千歳アイヌ文化伝承保. がうたって下さったのはもちろんこの謡である). 存会会長の中本ムツ子氏の講義は感銘深いもので. を聴いてもらい,そして冒頭のaさんなどいくつ. あり,語りの手法としても素晴らしいものであっ. かの学生のレポート内容を紹介し,アイヌの歴史. た1).aさんのレポートは8つの講義のなかから. 文化学習の意義について考えてもらうことにし. 自由に選び,課題として提出されたものである.. た.. 126. ,「地.
(4) アイヌの歴史文化学習の課題と可能性. 全道(渡島方面を除く)から59名ほどの小学校. すすめることが出来ました.その子達は高学年. の先生方が参加されており,北海道に来たばかり. になった時も自主的にアイヌ文化について勉強. の私が,多くの経験を積まれた先生方に,アイヌ. を続けていました.(中略)/昨年度,自分が. の歴史文化学習について講習などできる立場にな. 初任者研修の講師をさせていただきアイヌ文化. いことをあらかじめお断りしたうえで,講習内容. の学習について実践したことを発表させていた. の一つとさせていただいた.先生方には,アイヌ. だいた時には,やはり民族間題や差別問題につ. 文化学習についてのこれまでの経験や現状などに. いての話が多く出されました.やはりデリケー. ついて意見交換をしてもらった後に,「今後,地. トな問題なので,取りあつかいについては,十. 域学習をどのようにすすめようと考えますか.」. 分気をつけなければなりません.自分の場合は. という質問に答える形で短文を書いていただい. クラスにもアイヌのお子さんが多くいますので. た.多くの先生方が,大変丁寧に記述してくださ. やはり気をつかいましたが,子ども達の前では. り,ほとんどの先生方が,アイヌ文化学習につい. 自然にあつかい,今はアイヌの人に限らず,人. て触れている.本来なら,私の手元にある59名の. はみな共生しているということを道徳や他教科. 先生方の短文を丁寧に分析するとよいのだが,先. を通して勉強し,子ども達に理解させてきまし. 生方にはこうした目的で私が検討し直すことの了. た.. 解を得ているわけではないので,ここでは何名か の先生方の記述内容を匿名で引用させていただき. 【胆振支庁C教諭】. 北海道に住んでいるのですから,北海道史に. たいと思う.ここでの引用からは,北海道の小学. ついては必ずやるべきだと思います.以前に,. 校でのアイヌ文化学習の一端を垣間見ることがで. 白老の(アイヌ)民族博物館の館長さんが先生. きそうである.いくつか紹介させていただくこと. 方に対し,アイヌについて講義をしてくれたこ. にする.. とがあります./今の教育では,全くアイヌに. 【胆振支庁A教諭】. ついて理解されていないとおっしゃっていまし. アイヌについて子ども達に具体的に教えたこ. た.それでも少しずつアイヌ民族についての授. とはありませんでした.今回の講義を受けて,. 業を取りあげる学校が増えてきているので,こ. 逃げずにきちんと真実を教えなければならない. れから努力していただきたいとのことでした.. と思いました.実践されている先生方の方法を. しかし,まだまだアイヌの方々の中にも,触れ. 参考に,文化(住居,食べ物,遊び)を教えた. てほしくないと思う方もいらっしゃって,自分. り,体験させたりしたいです.社会科だけでな. がアイヌであることをかくしていたり,子供に. く,総合で取り組むのもよいと思いました.. はアイヌであることを伝えていないという方々. 【胆振支庁B教諭】. 前任校では,全校的に「地域文化にふれる集 い」として,取り組みがありました.(アイヌ). 民族博物館の方々に来ていただいて,全校で舞 をおどったり,低学年では文様づくり,中学年. も多いそうです./根深く難しい問題でありま. すが,だからこそ正しい教育が必要であると感 じました.(以下略) 【胆振支庁D教諭】. 今年7月,アイヌ文化学習についての学習会. ではくらしについて,高学年ではムックリ作り. がありました.町の教職員対象の研修会でした.. をしたりして,(アイヌ)文化にふれてきました.. その時のお話の中で,あるアイヌの子どもたち. /自分自身,中学年を数回受けもたせていただ. が「先生がアイヌ文化のことの学習をやらない. き,その時には,チセ作り,刺繍,食べ物など,. と逃げたと思うし,学習をすると寒い電流が走. 子どもの興味関心でグループを作り,活動をす. る」と言っていたと聞きました./アイヌの子. すめましたが,どの子も生き生きと学習活動を. どもたちの発信から考えるとアイヌの学習は,. 127.
(5) 鈴 木 哲 雄. あるほうがよいと思います.また北海道で育っ. かの関わりがある,身近なことがらという自覚. てきた文化なので,北海道という地域に住んで. をもってすすめられるように指導していきた. いる私たちはその文化や歴史を知ることは,必. い.. 要であると考えます.しかし我が町のように, 地域が学習を進めることに理解を示していると. これまでアイヌ文化学習の実践に触れる機会の. ころはよいと思うのですが,まだ,偏見や差別. なかった先生方の多くが,A教諭のような感想を. が残っているところもあると聞きます.信頼関. もたれたようである.胆振支庁では教職員向けの. 係をもってからでないと学習を進めるのが難し. 研修がすすんでおり,白老のアイヌ民族博物館の. いのも現状だと思います.(中略:ここで研修. 見学やポロトコタンでの体験学習などがすすめら. 会で配布された北海道立アイヌ民族文化研究セ. れているようである.しかし,学校毎に状況の違. ンター研究紀要2号の米田優子論文(後に検討). いがあり,地域的な偏差もあるようである.B教. の内容を紹介して下さっている.)/やはり,. 諭は,差別問題にかかわって「デリケートな問題. 教える側はその歴史や背景を理解し,一人では. なので,取りあつかいについては,十分気をつけ. なく,学校全体の中で共通理解をはかって教材. なければなりません.自分の場合はクラスにもア. の取りあつかいを考慮していかないとならない. イヌのお子さんが多くいますので」と書き,C教. と感じました.アイヌに関する教育は地域学習. 諭は「まだまだアイヌの方々の中にも,触れてほ. という面からは,民族の問題がからむので,教. しくないと思う方も……」というアイヌ民族博物. える側の正しい認識や行政側の教育整備を進め. 館の館長さんの話を紹介している.そして,B教. ないと成りたって学習できないと思いました.. 諭は「やはり気をつかいましたが,子ども達の前. (以下略:最後に,この秋に白老町では全教職. では自然にあつかい,今はアイヌの人に限らず,. 員に「アイヌに関する教育の充実を求めて」と. 人はみな共生しているということを道徳や他教科. いう小冊子(これも後にふれる)が配布される. を通して勉強し,子ども達に理解させてきまし. ことになると,紹介して下さっている.). た.」といい,C教諭は「根深く難しい問題であ. 【胆振支庁E教諭】. 登別市では,郷土資料館(知里幸恵さんの資 料)や民間団体(アイヌ文化∼鮭の儀式など). りますが,だからこそ止しい教育が必要であると 感じました.」と書いている. また,胆振支庁の別の先生は,「もちろん,北. で,アイヌ文化関係のことを目にすることが多. 海道の歴史も大切ですが,その子たちや親たちの. くあります.4年生の見学学習には,白老のア. 価値観によって,やっと克服してきた差別と人権,. イヌ(ポロト)コタンへ出かけ,ムックリづく. 普通の生活を乱してほしくないと思っている人た. りやアイヌ料理の体験を行っています.北海道. ちへの配慮と相互理解をした中で,指導していか. の歴史を語る上では,はずせないことなので,. なければならないと考えております.」といい,. 全道的にどこでも学べるようになればと思いま. D教諭は,「やはり,教える側はその歴史や背景. す.. を理解し,一人ではなく,学校全体の中で共通理. 【胆振支庁F教諭】. 総合的学習と社会科を絡めながら,4年生が 「アイヌ民族博物館」への見学,体験を実施し. ないとならないと感じました.アイヌに関する教 育は地域学習という面からは,民族の問題がから. ています.ただ,中学年だけがアイヌ民族につ. むので,教える側の正しい認識や行政側の教育整. いて学習しているのですが,やはり「他人ごと」. 備を進めないと成りたって学習できないと思いま. という感覚で活動しているように感じます.北. した.」と書いている.. 海道に住んで生きている限り,自分たちも何ら. 128. 解をはかって教材の取りあつかいを考慮していか. 「北海道に住んでいるのですから,北海道史に.
(6) アイヌの歴史文化学習の課題と可能性. ついては必ずやるべき」(C教諭)であり,アイ. 記憶している.そうした印象しか残ってないこ. ヌの歴史文化については「北海道の歴史を語る上. とを悲しく思う.身近なことに目を向け,自分. では,はずせないことなので,全道的にどこでも. を大切に思うということから初めて,学習を進. 学べるようになれ」(E教諭)るとよいのであるが,. める1年生に対して,大麻地区というよりも. そのためには,行政側の教育整備と学校全体での. もっと狭い校区の中にもっと目を向けられるよ. 共通理解が不可欠なのであり,今後も全道的に取. うにと働きかけたいと思う.色々な場面で工夫. り組まれるべき課題というべきであろう.ただし,. し,意識的に,自然にアイヌ文化に触れる機会. D教諭が紹介された,あるアイヌの子どもたちの. を持てたらと思う.他の学校では,もっと多く. 発言=. 「先生がアイヌ文化のことの学習をやらな. いと逃げたと思うし,学習をすると寒い電流が走 る」のなかの「寒い電流」に,躊躇し,立ちつく. たままの多くの先生方がおられるのだろう.他方. の取り組みがなされていたのを知り,焦ってし まった. 【石狩支庁Ⅰ教諭】. 今回,地域学習は6年生の歴史学習でも取り. で,F教諭が指摘しているように,アイヌの歴史. 組めるとわかったので,学校のそばにある「埋. 文化学習を「「他人ごと」という感覚で活動して. 蔵文化財センター」や「開拓記念館」を活用し. いる」多くの子供たちの存在も浮かび上がってく. て,北海道の歴史と教科書で習う本州の歴史の. るのである.「北海道に住んで生きている限り,. 比較をしてみたいです.(中略)アイヌの人と. 自分たちも何らかの関わりがある,身近なことが. 和人の対立のみを取り上げるのではなく,アイ. らという自覚をもってすすめられるように」どう. ヌ民族の自然に対する考え方や文化などを伝え. 指導していけばいいのか.課題は多いのである.. るようにしている.今年度,修学旅行のコース. 導きの糸は,「人はみな共生しているというこ と」(B教諭),この辺にありそうである.. にポロトコタンを入れ,ムックリ作成をしたり,. 博物館見学をしたりしてきたが,できるだけ実 物などに接し,北海道の歴史を考える機会をつ. 【日高・釧路支庁G教諭】. アイヌ文化に限りますと,上にも書きました (補:地域学習には教科書が役立たない)が難. くっていきたいと考える. 【石狩支庁J教諭】. 札幌にいると(アイヌ資料館は南区の方に. しいです.町で作った副読本の3年生のところ. オープンしましたが),アイヌ民族について,. で,地域の歴史ということで,日高のアイヌの. それだけ深く取り上げるには,なかなか子供に. 歴史が取り上げられていて,それを使って学習. とっても身近な学習とはいかないため,先住民. しました.今,私の学級は,20人の4年生です. という形で他の少数民族の話(ex.北方民族. が,1人だけアイヌの子がいます.その子は自. なども含め)と共に理解していく形がよいので. 分がアイヌということをかくしていませんし,. はと思いました.. 親もオープンなのですが,担任の私が意識して しまっています(1人だけということに).ア. 日高・釧路支庁のG教諭が,クラスにアイヌの. イヌ文化の学習を避けようとは思いませんが,. お子さんが一人いることに,「担任の私が意識し. 副読本以上のことを取り上げようとは考えてい. てしまってい」るのは,「寒い電流」が流れるか. ません.. もしれないと躊躇しているのであろう.だから,. 【石狩支庁H教諭】. 自分のことを振り返ると「アイヌ」というこ とに関する意識は全く何もないまま修学旅行で. アイヌの集落に行き,ただながめて来たように. G教諭は「アイヌ文化の学習を避けようとは思い ませんが,副読本以上のことを取り上げようとは 考え」ないのであろう.. 石狩支庁のH教諭は,正直に自分の経験を語り. 129.
(7) 鈴 木 哲 雄. それを「悲しく思う」と書き,1年生の担任とし. お子さんがいました.地名からアイヌの文化に. て,「身近なことに目を向け,自分を大切に思う. ついて学習し,記念館でアイヌの方に詰もして. ということから初め」たいと書いている.この言. いただきました./しかし,今年度異動した学. 葉は,教育の原点である.Ⅰ教諭は,6年生の歴. 校では,同じ市内でありながら,アイヌ文化の. 史学習で,地域学習としてアイヌの歴史文化に取. 学習はごくわずかしかありません.地域性もあ. り組み,北海道と本州の歴史の比較をさせてみた. るとは思うのですが,「カムイコタン」から始. いという.J教諭は,アイヌ民族だけではなく,. まる旭川ですので,もっと教師もともにアイヌ. 他の北方民族を含む少数民族の話とともに理解し. 文化を知る必要があると思います.. ていく形がよいのではという.新しい社会科・歴 史授業の碇案である.. 上川支庁のK教諭の授業は,胆振支庁のB教諭 と同じように,先進的なアイヌ文化学習の一つと. 【上川支庁K教諭】. 旭川という土地柄もあり,私の学校でもアイ. いえよう.B教諭は,「子どもの興味関心でグルー プを作り,活動をすすめましたが,どの子も生き. ヌの方に来ていただき,何度も授業を行ってい. 生きと学習活動をすすめることが出来ました.そ. ます.今日,どなたかも言ってしましたが,課. の子達は高学年になった時も自主的にアイヌ文化. 題別に「歌・おどり」「食べもの」「服(紋様)」. について勉強を続けていました.」という.K教. 「言葉」「遊び」「住居」などに分けてやりまし. 諭は,「本当に楽しい学習になり,今は中3になっ. た./川村カネト記念館にも何度も行って調べ. た子ども達ですが,今も会うとその時の話をして. たり,歌やおどりをならい,発表の時にはアイ. 懐かしんでいます./今年も4年生の担任なので,. ヌの方を招いて行いました(全道研の授業でし. 楽しみです.」と書いている.なお,K教諭が,. た)./アイヌの方が「『アイヌの人々のくらし. アイヌの方が「昔のアイヌの人々のくらしを調べ. を調べよう』とよく子ども達が調べているよう. よう」としてほしいと言われていたというのは,. ですが,『昔のアイヌの人々……』というよう. 後述する米田氏の「アイヌ文化」学習批判と直接. にしてほしいです.」とおっしゃっていました.. かかわるものである.L教諭の感想は,上川支庁. /授業の最後は,子どもたちが覚えたクマの踊. でもアイヌの歴史文化学習の実践には地域差があ. りをアイヌの方も入ってみんなで踊りました.. ることを示している.北海道の小学校でのアイヌ. /言葉で楽しかったのは,子どもたちが簡単な. の歴史文化学習は,全道的にはまだ,教育上の能. 会話を披露し,それをクイズ形式にして発表し. 動的・積極的な意味づけは不十分なようにみえる. たり,「遊び」(グループ)の子が「アイヌの人. のである.. たちも早口言葉であそんでいたようです」と覚 えた早口言葉を発表したり,……「服」(グルー プ)の子ども達が紋様を写しとって刺繍したり. と,本当に楽しい学習になり,今は中3になっ た子ども達ですが,今も会うとその時の話をし. (1)米田(本田)優子氏による研究整理. 北海道に来たばかりの私に,アイヌ文化学習に. て懐かしんでいます./今年も4年生の担任な. ついて語る資格が全くないことは,先述の胆振支. ので,楽しみです.. 庁のD教諭が紹介して下さった米田(本田)優子. 【上川支庁L教諭】. 130. 2 教育実践・研究の簡単な整理. 氏の優れた研究整理である「学校教育における『ア. 前任校の旭川市立近文小学校は,「チカブミ」. イヌ文化』の教材化の問題点について−1960年代. というアイヌ語から作られた地区であり,校区. 後半以降の教育実践資料の整理・分析を中心とし. にアイヌ記念館もあり,児童にもアイヌ民族の. て−」3)を一読して思い知らされたが,ここでは.
(8) アイヌの歴史文化学習の課題と可能性. 米田氏の論考に学びつつ,簡単に教育実践・研究 の整理をしておきたい.. 米田論考は,1960年代後半以降の教育実践資料 を対象に,. ① 学校教育におけるアイヌに関する教育全体. ②については,アイヌに関する教育が公の場で 唱えられ戦後の民主主義教育運動のなかでの位置 づけが提起されるようになったのは,1960年代半 ばのことであった.当時の中心課題は現実的なア イヌ差別をどう解消するかにあり,「解放へのた. の中で,「アイヌ文化」についての学習がど. たかい」の第一歩として,差別の実態に目を向け. のように位置づけられ,どの程度の比重を. させることを中心とした授業が行われたが,この. もって教授されているかをまとめ,問題点を. 取り組みはアイヌの子どもたち自身にとって,む. 指摘すること,. しろ苦痛を伴うものとなっていた.そのため,そ. ② 「アイヌ文化」への関心がどのような教育 動向のなかから生まれてきたものなのかを, アイヌに関する教育運動の主題の変遷を迫っ たうえで考えること,. ③ アイヌに関する教育に関連して近年主唱さ. の後は単に差別を指摘するだけでなく,アイヌの. 文化や歴史を教材化する試みが重ねられが). そして,1974年以降には,それまで階級闘争の 一課題だととらえられていたアイヌ問題が日本国 内の少数民族の問題であると位置づけ直されたこ. れるようになった「多文化教育」の位置づけ. とによって,「アイヌの伝統的生活文化」に注目. とその妥当性について検討すること,. と関心があつまっていった.また,北海道りタリ. を目的としたものであった. 詳細な検討の結果,米田氏は,①について,小・. 協会を中心とする運動が民族復権運動として認識 され,学校教育に対する期待も強くなるなかで,. 中・高等学校におけるアイヌに関する教育のほと. 70年代以降の環境保護思想の社会的関心の高まり. んどは「アイヌ文化」についての内容で占められ. の影響もうけ,自然と共生するアイヌの「伝統的. ており,大学における「アイヌ文学」の授業例で. 世界観」が注目され,「アイヌ文化に学ぶ」,「ア. も,ダイナミズムに欠けた嬢小化された「アイヌ. イヌ民族のすばらしさがでる授業」が目指された.. 文化」イメージが教授されているとする.アイヌ. つまり,主体的なアイヌ史やアイヌ語教育などの. の歴史文化について,体系的な枠組みが示されて. 民族教育的要素を碇示しきれない状況のなかで,. いないため,教員の個人的な関心や資質に強く依. アイヌの子どもたちに「誇り」を持たせ,しかも. 存した授業が行われており,多くの「アイヌ文化」. 教員にとっても「やり易い」テーマとして「アイ. についての教育実践が“神々と共存する世界観’’. ヌ文化」の教材化が注目されたのだとする.. “自然と共存するエコロジカルな生活様式’’など. 他方,和人の子どもたちのアイヌに対する誤っ. を過度に強調する傾向が強い.「アイヌの「伝統. た理解を正すための教育の必要性が唱えられ,そ. 的世界観」を現代的な環境保護思想と安易に結び. のための教材化が試みられた.実践の蓄積過程で. つけ,結果としてエコロジカルなステレオタイプ. 副読本の記述の問題が指摘されたことを契機に,. としてのアイヌ像を創出する風潮は,過去ばかり. 教育行政レベルでの動きへとつながり,たとえば. でなく現代のアイヌ社会に対しても様々な誤解を. 札幌市では,1986年度からの札幌市教育課程基底. 生み出しており,しかもそれが教育の名のもとに. 編(社会科)において,3年生から6年生まで,. 急速に広まりつつある」(p.132)という.そして,. 2∼3単位時間ずつアイヌに関する学習が組み入. 1977年の榎森進氏の提起4)を引用したうえで,. れられ,各校で実践されはじめたという.このよ. 1996年現在,「アイヌ社会を「固定的・非歴史的」. うに,アイヌに関する教育がカリキュラムに組み. あるいは「心情的一面的にみるような傾向」は克. 入れられていくにつれて,マジョリティーである. 服されるどころか,ある面ではむしろ強まってい. 和人の子どもたちにとっての教育的必然性が問わ. るようにさえ感じる」としている.. れることになった.その結果,「郷⊥の歴史や文. 131.
(9) 鈴 木 哲 雄. 化を学ぶ学習」という位置づけや,環境教育と結. のである.. びつけることに「アイヌ文化」学習の積極的な意 義を見いだそうとする傾向が強まるとともに,教 員が歴史研究(「北海道史」)の成果を取り入れる. (2)いくつかの報告書等から アイヌの歴史文化学習に関連する報告書などは. ための条件が整備されていないために,アイヌの. 収集中であるが,気付いたものをいくつかを取り. 歴史を取り上げることにためらいや恐れが生じて. 上げておきたい.. いたことなどの要因から,和人の子どもを対象と. まず米田論考にもしばしば引用されている『教. するアイヌに関する学習のなかでも,「アイヌ文. 員養成大学におけるアイヌ文化の教材化に関する. 化」が中心的位置を占めるようになったとしてい. 研究』(北海道教育大学岩見沢分校,1991年)が. る.. ある.目次を示しておく(副題は略す).. ③については,これまでのアイヌに関しての学 習はアイヌの子どもたちにとっては,ややもすれ ば自らの歴史や文化が,主流の歴史や文化に対し て,常に周辺に位置するマージナルな存在である ことをつきつけられる場となってしまっており,. アイヌに関する教育を「アイヌ文化」学習に限定 することは,かつての「アイヌ文化」こそが堅持 すべきアイヌの文化であるとし,そこへの回帰を 強要することにもつながっている.歴史叙述のな かに同じ量の時の流れと空間が存在していること. が,保障されないアイヌの歴史や「アイヌ文化」. はじめに. Ⅰ アイヌ文化の教材化をめぐって ① 「アイヌ文学」教材化に関する研究(鹿 内信善). ② 黒岩プラン『アイヌ語地名入門一川シ リーズ』の授業(村田文江). ③ 参考資料:アイヌについてのアンケート の集計結果(村田・黒岩俊生). ④ 講義紹介:アイヌ語・アイヌ文化Ⅰ,Ⅲ (1990年度). Ⅲ 民族・歴史・人権. の学習は,既存の枠組みへの付け加えにすぎず,. ⑤ 民族とエスニシティ(吉崎祥司). 結局はアイヌの子どもたちをマージナルな領域へ. ⑥ アイヌ史をめぐって(田端宏). と追いやる危険性をはらんでいることを認識すべ. ⑦ 「アイヌ宣言」と私(貝沢喜広). きだとする.そのうえで,多文化(主義)教育が,. ⑧ カルガリー市の多文化教育とカナダ・イ. 学校全体の雰囲気として総合的に多文化主義精神. ンディアンの民族教育(廣瀬健一郎). を滴養し,最終的に国民的アイデンティティーと. ⑨ アイヌ文化をめぐっての講演会. 各民族間の文化的差異性を調整することを課題と. ⑲ 開発教育プレゼンテーション. するなら6),アイヌに関する教育も,当初から多 文化教育の理念にもとづいた全体的な教授計画が 必要となるはずであるとしている.. 米田氏による教育実践の整理と分析は,ちょう. Ⅲ 収集資料 ⑪ アイヌ民族衣服 附章:収集資料“アイヌ民族衣服’’にみ るアプリケと刺繍の技法(黒岩). ど10年ほど前のものであるが,たぶん現在でも有. ⑫ アイヌ関係音声テープ目録(抄). 効な整理と分析であり,アイヌの歴史文化の教材. ⑬ アイヌ関係ビデオテープ目録(抄). 化を考えるにあたって,前碇とすべき研究である.. ⑯ アイヌ関係16ミリフイルム目録. もちろん,「多文化教育の理念にもとづいた全体. 本学岩見沢校では,1991年段階で,教員養成大. 的な教授計画」が,簡単にできるわけではないが,. 学におけるアイヌ文化の教材化に関する基礎的研. これまでもそうであったように,これからも地道. 究を行い,アイヌ文化関係の諸資料(民族衣服・. な実践活動とともに「多文化教育の理念にもとづ. 音声テープ・ビデオテープ・16ミリフイルム)の. いた全体的な教授計画」を考えていく必要がある. 収集を行っている7).. 132.
(10) アイヌの歴史文化学習の課題と可能性. 同 「中学校社会科歴史教科書に現れた. また,社会科の副読本に関しては,『社会科副. 読本の研究』(北海道教育大学札幌・岩見沢校社. アイヌ民族関係記述について」(『北海道教育. 会科教育研究会,1994年)という成果が刊行され. 大学紀要(教育科学編)』55−1・2,56−1・. ている.これも目次を示しておく(副題は略す).. 2,2004∼2006年). ① 社会科教科書と副読本の関係について(坂 口勉). ② 戦後初期における社会科教育実践の歩み (笹嶋勇治郎・田端宏・馬渕新司・本田佳子). ③ 北海道における社会科副読本の2方式(君 ヂ彦). などの研究成果がある.また,その後の教育状況 については,清水敏行氏による, ・清水敏行「/ト学校におけるアイヌ民族教育に 関する調査」(前掲『僻地教育研究』52号,1998 年). 同 「学校教育におけるアイヌ民族教育. ④ 新しい副読本のありかたを探る(大津和子). の現状に関する調査」(前掲『僻地教育研究』. ⑤ 北海道における小学校中学年用社会科副読. 55号,2000年). 本の編集刊行状況(石川円). ⑥ 北海道教育大学札幌・岩見沢校所蔵社会科 副読本目録(滝川裕治). なかでも,⑥滝川裕治氏による社会科副読本目. などの研究成果があるが,まだ十分な検討ができ ずにいる.また,米田氏が丁寧に検討している『歴 史地理教育』等に掲載された実践報告についても ほとんど未検討である.. 録には,簡明な解題とともに,北海道教育大学附 属図書館(札幌・岩見沢校)と札幌校社会科教育 研究室所蔵(現在は附属図書館・札幌校所蔵)の. 社会科副読本および教師用指導書など628冊(ほ. 3 いくつかの事例調査 (1)千歳市立末広小学校での実践. とんどが小学校を対象としたもの)が収録されて. 2005年度には,道内でのアイヌ文化学習の先進. いる.目録には,書名・対象学年・出版社・発行. 校として著名な,千歳市立末広小学校と平取町立. 編集機関・発行年月・判型・総ページ数などが示. 二風谷小学校の協力を得て,両小学校でのアイヌ. されるとともに,諸本の特徴が数行にわたって記. 文化学習の概要について,調査させていただくこ. 載されている.滝川氏は諸本の特徴のポイントを,. とができた.ここで両小学校の取り組みについて. アイヌの歴史・文化についての記述の有無にお. 簡単に紹介させていただく.. き,その概要を記している.これによって,この. 末広小学校で,アイヌ文化の体験的学習が取り. 目録に記載された範囲内ではあるが,小学校社会. いれられるきっかけとなったのは,ちょうど「国. 科副読本におけるアイヌの歴史・文化についての. 際先住民年」の1993年のことであったという.そ. 取り扱いの概要を知ることができるのである.そ. れは校内の学芸発表会の2年生のだしものとし. の後,社会科副読本や教科書におけるアイヌの歴. て,アイヌ民族の歌と踊りを取りいれようと話し. 史文化学習についての個別的な研究は本格化して. 合ったことからはじまった.2年生のクラスに,. おり,なかでも吉田正生氏が詳細な研究をすすめ. りタリ協会千歳支部長であった野本久栄氏のお子. ている.. さんがいて,野本氏や中本ムツ子氏など地域の. ・清水敏行「北海道の小学校社会科副読本にお. 方々の協力を得て,練習に励んでいく中で,学芸. けるアイヌ民族」(北海道教育大学僻地教育. 発表会の大道具を作るはずが,北海道開拓記念館. 研究施設『僻地教育研究』50号,1996年). 並みのチセまでできあがったのだという.その後,. ・吉田正生「道内社会科副読本(平成9年度). 2年生の活動は,すべての教師の授業に受け入れ. におけるアイヌ民族記述について」(前掲『僻. られ,1996年春には「全学年でアイヌ文化を学ぶ. 地教育研究』53号,1999年). カリキュラム」が完成したのであった.そのカリ. 133.
(11) 鈴 木 哲 雄. キュラムの概要は,. の保存食. 1年生活科(5時間):アイヌの遊び,歌,踊. 5年総合(21時間):シナの樹皮剥ぎ・紐作. り,チセの見学,模様. り・かざり作り,イナ. を描く. ウ削り. 2年生活科(7時間):アハ(土豆)の栽培・. 6年総合(24時間):人権と差別,ムックリ. 収穫・調理,遊び道具. 作りと演奏,アイヌ文. 作り. 化学習のまとめ(14時. 3年社会科(6時間):アイヌ語地名,千歳の. 間). アイヌの暮らし,サケ. となっている.6年のアイヌ文化学習のまとめ(14. 漁とサケ科理. 時間)は,修学旅行でのポロトコタンでの研修を. 4年社会科(5時間):イナキビの栽培・収. 含んでのものであるが,1996年に完成した生活. 穫・調理,歌・踊り・. 科・社会科時代の学習内容よりはるかに充実した. お話. 内容になっていることに驚かされる.私も,2005. 5年社会科(6時間):ナシ皮での紐作り,ゴ ザを編む,イナウ削り. 6年社会科(6時間):和人とアイヌの交易,. 年11月に行われた1年生のチセでの授業(講師: 餌取弘明氏=旧職員)を参観させていただいた.. チセの囲炉裏の周りにすわって,餌取氏のお話を. チエプケリ作り,ムッ. 聞いていた1年生たちは,餌取氏の引きはなった. クリ作り,アイヌの歴. 遊びの弓のスピードに目をきらきら輝かしてい. 史・人権. た.米田氏が批判した「アイヌ文化」学習を越え. というものである.生活科と社会科を中心に理科. て,末広小学校でのチセ内の授業では「アイヌの. などとも関わらせながら,6年間を通じての授業. 生活文化」が学習されているといっていいかもし. 構成となっている8).各学年の授業では,空き教. れない.ただし,アイヌ文化学習の授業について. 室につくられたチセが授業(活動)の場として,. は,野本久栄氏をはじめ地域の方々を講師にお願. 有効に利用されている.. いしているものが多く,最近は日程の調整が大変. ただし,こうした生活科・社会科としてのアイ. になっているとのことであり,教育行政からの支. ヌ文化学習は,総合的な時間の創設と社会科授業. 援も必要のようである.また,総合的学習の時間. 数の削減によって,修正を余儀なくされたが,末. へ英語学習が取りこまれる予定もあり,末広小学. 広小学校の場合は,アイヌ文化学習の枠組みはほ. 校での今後の取り組みは不安もあろう9).. ぼそのまま,総合的学習として再編されて現在に いたっている.2005年度の「アイヌ文化系統学習 計画(生活・総合)」の概要を示しておけば,. 1年生活科(6時間):アイヌの歌・踊り,模 様遊び,マタンプシ作 り. 2年生活科(8時間):アイヌの遊び,歌・踊 り,遊び道具作り. 3年総合(12時間):サケの暮らし,サケ漁 とサケ科理. 4年総合(20時間):イナキビの栽培・収 穫・団子作り,アイヌ. 134. (2)平取町立二風谷小学校での実践. 末広小学校の場合は,生活科及び「総合的な学 習」のなかにアイヌ文化学習が1年から6年にわ たって体系的に位置づけられており,地域の方々 や旧職員の協力によってアイヌ文化を興味深く学 ぶことができるようになっていた.これに対して,. 平取町立二風谷小学校では,地域に根ざした学習 ということで,アイヌ文化をはじめとする歴史文 化や豊かな自然などの地域の教育資源を生かした 特色ある教育活動として学校全体で取り組んでい る.「ハララキ活動」と名付けられたこの活動は,.
(12) アイヌの歴史文化学習の課題と可能性. 複式学級の利点の学年枠をはずしたグループ学習 となっている. 二風谷小学校での地域学習としての「ハララキ. ことになるというものであった. 以上のように,末広小学校は「アイヌ文化学習」. と銘打っており,二風谷小学校は「地域学習」と. 活動」の概要を,同小学校の『平成16年度研究紀. しての取り組みであるが,両校とも体系的な枠組. 要(二風小の教育)』および「平成17年度学校経. みをもっており,単発の教材化では到達できない,. 営計画」から見ておきたい.ハララキ(「ツルの舞」. 内実のあるアイヌ文化学習となっている.米田氏. の意味)活動は,「体験活動」「調査活動」「ハラ. が指摘したように,アイヌ文化学習にはこうした. ラキ集会」からなっており,「自分たちの住む二. 体系性が必要であり,そこでの教育理念として多. 風谷の良さを知り,二風谷をよりよくしたいと考. 文化教育論は重要な意味を有しているように思わ. える」ことをねらいとしている.2005年度の「ハ. れる.また,札幌市教育委員会では,4年生社会. ララキ体験活動計画」によれば,同年の「体験活. 科の第7単元「昔のくらしとまちづくり」の中単. 動」のテーマは,「アトウシ織を織ってみよう」. 元1に「アイヌの人たちの生活と文化」(4時間). であり,活動時間は10時間,1学期に全校で行わ. を置く「教育課程編成の手引」を作成しており,. れている.内容としては,. 毎年のグループ委託研究として「アイヌ民族の歴. ・アトウシ織について知ろう(2時間). 史や文化理解についての実践的な研究」を行って. ・オヒョウの糸を作ってみよう(2時間). いる.ここでも,異文化理解教育の一環としての. ・アトウシ織でしおりを作ろう(5時間). 実践報告など貴重な実践が積み重ねられつつある. ・作品鑑賞・お礼の手紙(1時間). ようである.こうした実践例を前提に,多文化教. からなっていた.2004年度には, ・アイヌ文様のある作品を見よう(2時間). 育的視点からの教材作成や学習指導案を作成する ことが必要である.. ・木彫り・皮細工「アイヌ文様を彫ろう!」(6 時間). ・作品鑑賞・お礼の手紙(1時間). (3)白老町教育委員会による「教職員研修」. 次に,やはり胆振支庁のD教諭が紹介して下. であり,これまでに,「イナキビ栽培・シト団子. さった,白老町教育委員会が教職員向けに作成し. 作り」「チセ作り」「土器作り」などを行ってきた. た小冊子『アイヌ民族に関する教育の充実を求め. という.. て』の内容と,同教育委員会学校教育課から提供. 「調査活動」は3年生から6年生を縦割りにし. していただいた,同教育委員会による「平成18年. て,自分の希望を生かした活動(調べる・まとめ. 度アイヌ文化を学ぶふるさと学習事業」の概要に. る)を,21時間ほど2学期に行っている.2005年. ついてふれてみたい.. 度の活動グループは,「植物・昆虫」「川・チセ」. まず教職員向けの小冊子(7頁)の1頁目には,. 「魚」「衣装」「料理」の5グループであり,2004. 「発刊にあたって」(教育長牧野正典)として,. 年度は,「石」「森の生き物」「化石」「料理」「民話」. これまでもアイヌ民族に関する学習に取り組んで. の5グループであった.. きたが,「平成15年9月の町内の教職員を対象に. 調査活動での成果の発表の場が,「ハララキ集. 実施した調査では,多くの教職員が,児童生徒へ. 会」である.体育館に保護者,地域の方々,調査. の指導に対して,その在り方・方法に戸惑いや難. でお世話になった方々を招いて,グループごとに. しさを感じていることがわかりました」とし,具. 発表が行われる.私も谷本晃久氏とともに,2005. 体的な戸惑いや難しさとして,次の4点をあげて. 年12月6日に行われた「ハララキ集会」を参観さ. いる.. せていただいた.地域に根ざした調査活動によっ て,ごく自然にアイヌの文化や歴史について学ぶ. ① アイヌの方々に対する認識不足から,教材 として扱うことで,民族感情を損ねてしまう. 135.
(13) 鈴 木 哲 雄. のではないか心配である. (彰 自分の学級にアイヌの子弟がいる場合,他. 学習として「ムックリ製作」「文様刺繍」「コース ター製作」「伝統料理に挑戦」「はじめてのアイヌ. の生徒との人間関係等を考えると,どの程度. 語」「ワークショップ:何を教えるべきか−これ. まで指導してよいのかわからない.. だけは教えよう−」などが準備されている.まず. ③ 過去の話,どこか違う所での話なら指導も. は先生方に体験学習をしてもらおうというわけで. しやすいが,現実に学級のこととなると,指. ある.これまでのアイヌ文化学習は,講師中心の. 導しにくい.. ものが多かったようであるが,こうした教職員へ. ④ アイヌ民族の文化,生活や歴史など自分自 身の勉強不足を痛感する.. こうした教職員の戸惑いは,白老町に限られた. の研修を重ねることで,教職員自身も積極的に子 どもたちの体験的な学習に直接かかわれるように なるであろう.そのことが大切である.. 問題ではなかろう.教職員のこうした戸惑いを真 撃に受けとめ,教職員を支援しようというのが白 老町教育委員会の姿勢である.そして,アイヌ民. 族にかかわる学習をすすめる目的は,アイヌ民族 の歴史や文化を学ぶことによって,(1)アイヌの人. 4 アイヌの歴史文化学習の可能性 (1)大学の授業から. 私は翌2005年度の「授業基礎開発系」の共通科. たちへの差別や偏見を解消するとともに,基本的. 目「授業開発の基礎」10)の「社会科教育」(4時. 人権を尊重する態度を養うこと,(2)アイヌの固有. 間=2コマ)の授業の課題として,同年度の教職. の文化や伝統の特性を理解するとともに,それら. ガイダンスでの中本氏の講義にかかわらせて,「中. を尊重する態度を養うこと,(3)一人一人の違いを. 本ムツ子氏の講義をふまえて,あなたは,小・中. 理解するとともに,その違いを尊重する態度を養. 学校の社会科においてアイヌ文化をどのように教. うこと,にあるとする.. 材化したらよいと思いますか.あなたの考えを述. こうした学習の目的にしたがって,学習の目標. べなさい.」(700字程度)というテーマの小論に. としては,≪小学校低学年≫では,アイヌ民族の. 取り組ませた.教職ガイダンスそのものの小論で. 存在について知り,アイヌ文化に親しむこと,≪高. はないので,1年生には難しすぎるテーマとなっ. 学年≫では,アイヌの人たちの生活や文化の特徴,. てしまったが,多くの学生が意欲的な内容の小論. 歴史を知ること,≪中学校≫では,アイヌ民族の. を碇出してくれた.. 歴史や民族文化の意味を知ること,をあげている. 具体的には,様々な体験的な学習(ムックリの製. bさん:「すべてのものに生命が宿っている.だ. 作・演奏,アイヌ文様彫刻体験,刺繍体験,伝統. から,私たちはたくさんの生命に感謝して生き. 料理体験,古式舞踊体験)を窓口に,アイヌ民族. てゆくのです.」中本ムツ子さんのこの言葉が. の文化への理解を広げていくことが必要であると. 忘れられない.アイヌの人々は,なんて暖かな. している.小学校での学習では,こうした体験的. 文化を築いてきたのだろう.現在人がまるで忘. な学習が有効なことは末広小学校や二風谷小学校. れてしまっている心ではないだろうか.私は驚. での実践からも明らかである.白老町教育委員会. きと感動が入り混じった気持ちになった.と同. では,入り口が大切であると考えているようであ. 時に,これほどの貴重な財産をともいえるアイ. る.. ヌ文化について,北海道の子どもたちには,ぜ そのため,平成18年度アイヌ文化を学ぶふるさ. ひ学び,考える価値があると感じた./扱う単. と学習事業としての「教職員研修」(8月2・3・. 元は,小学校中学年の地域学習.北海道文化の. 4日)では,「アイヌ民族の歴史」「アイヌの文化」. ひとつとして「アイヌ文化とその歴史」を取り. 「アイヌ民族の現在」などの講座とともに,体験. 136. 上げ,アイヌ語や歌,楽器等を通じて「地域祉.
(14) アイヌの歴史文化学習の課題と可能性. 会に対する誇りと愛情」を育てることを目標と. ないが,今後も本稿作成にあたって学んだ課題を. する.(以下略). 肝に銘じつつ,多文化教育的視点からのアイヌの 歴史文化学習の可能性について考えたいと思う.. Cさん:中本さんの話を聞いて私が一番驚いたこ. とは,アイヌ民族の人達自身もアイヌ民族を. (2)『アイヌ民族:歴史と現在一未来を共に生き. 劣った民族であると考えていたことだ.知らな. るために−』について. いものにイメージで偏見を持つということはと. 最後に,2001年に財団法人アイヌ文化振興・研. ても恐ろしい.小・中学生にアイヌ文化につい. 究推進機構によって発行され,全道の小中学生に. て学ばせるとき,「覚える」ことを求めるので. 配布されている,アイヌの歴史文化学習のための. はなく,興味を持ち「知る」ことを求めるべき. 「副読本」ともいうべき『アイヌ民族:歴史と現. だと思う.アイヌ文化を「知る」ためには,先. 在一未来を共に生きるために−』(小学校用/中. 日の中本さんのお話のような歌や言葉を教わっ. 学校用)についてふれておきたい11). たり,民族衣装などの民芸品を目にすることは. 本書の「はじめに」は,「この本は,アイヌ民. とても大切である.実際にアイヌ文化を体感す. 族について小学生のみなさんに知ってもらうため. ることによって,アイヌ文化が劣っていないと. に作られました./今の日本の社会科の教科書に. いう事実を自分で確かめることがたいせつでは. 書いてあることは,ほとんどが和人の社会や文化. ないだろうか./また,アイヌ文化を伝える際. についてです.しかし,日本には和人だけが暮ら. に「違う考えを持つ人達への理解」も教えられ. してきたのではありません.アイヌ民族も,昔か. るだろう.私は中本さんの話を聞いて,「全て. ら日本列島に住んできました.そこで,アイヌの. のものに命がある」「争いを避ける」というア. 社会や文化のうつりかわりについて教科書に書い. イヌの人達の考えは,今の日本に欠けている考. てあることを補うのが,この本の役目です.」(中. えだと感じた.もし,アイヌ民族と日本人が互. 学用もほぼ同文)とある.この副読本は,米田氏. いの考えを共有しようとしていたら,今の日本. が多文化教育の議論から,アイヌ民族についての. は少しは違ったのではないだろうか.これは私. 歴史叙述のなかに,和人と同じ量の時の流れと空. の考えであるが,違う考えを持つ文化に触れて. 間が存在していることが保障される必要があると. 子ども達も色々感じるだろう.アイヌの話を聞. したことの第一歩とみることができるし,いまな. いた感想を子ども達に発表させるなどをして,. おアイヌに関する教育研究活動の前碇となるとし. 自分と違う文化を持つ人達に対する考えを深め. た,井上司氏による「アイヌ略史」(「アイヌ史概. ていけるような学習の場を持てるといいと思. 説」)に代わる位置づけをもつ「新たなアイヌ略史」. う.(以下略). とみてもよかろう.. この副読本が,教育現場でどのように活用され これらの小論についての詳しい分析は,別の機. ているかが重要であるが,これについての調査も. 会にゆずらざるをえないが,bさんやCさんの記. 今後の課題である.ただし,現在の小・中学校の. 述からも,教員養成系大学でアイヌの歴史文化を. 教育課程のなかに,この副読本をこのまま教材と. 積極的に取り上げる意義が確認されよう.なお,. することには,課題があるように思われる.一義. 私の担当する小学社会科教育法や(中学)社会科. 的には,この副読本が利用できるように教育課程. 教育法の授業では,社会科でのアイヌの歴史文化. を改善することが必要であるが,早期の実現は難. にかかわる教材作成を学生に課しているが,学生. しかろう.そうだとすれば,教育課程の実践的な. が作成した授業プランや教材案には,興味深いも. 修正とこの副読本自体の「教材化」が必要である.. のが多い.これについての紹介も割愛せざるをえ. また,北海道における地域学習,地域史学習を深. 137.
(15) 鈴 木 哲 雄. めることも重要だと考えるが,詳細な検討は今後. を理解するとともに,その違いを尊重する態度を. の課題である.. 養うこと」,そして,4章で引用したCさんの小 論での. おわりに. 「自分と違う文化を持つ人達に対する考え. を深めていけるような学習の場」こそが必要なの である.また,米田氏の批判をふまえて「アイヌ. 以上,今後の課題ばかりを残したノートとなっ たが,最後に簡単なまとめをしておきたい.. 一つは,北海道の小学校におけるアイヌの歴史. 文化」学習ではなく,「アイヌの歴史文化」学習 とすることで転換可能なこともあるのではない か,と考えるがいかがであろうか.. 文化学習には地域的偏差があり,全道的には教育 上の能動的・積極的な位置付けが不十分だと思わ. 本稿作成にいたるまでに,札幌市教育委員会学. れることである.こうした状況を克服するために. 校教育部指導室の角野誠指導主事からは,札幌市. は,米田(本田)氏が論じたように,原則的には. 教委関係の多数の資料を提供いただくとともに,. 「多文化教育の理念にもとづた全体的な教授計画」. ご教示もえたが,すでに米田論考に紹介されてい. が不可欠なのであるが,少なくとも,『アイヌ民. るものもあり,いまだ消化し切れていないため,. 族:歴史と現在一未来を共に生きるために−』が. 具体的な検討は割愛せざるをえなかった12).千. 副読本として積極的に活用できるような教育課程. 歳市立末広小学校への訪問にあたっては,平満允. の改善が必要なのではなかろうか.. 校長をはじめ多くの先生方のご理解・ご協力をい. 第二には,当面の実践的な課題としても「多文. ただき,担当の鈴木秀景教諭からは,アイヌ文化. 化教育の理念にもとづた」教材の作成や学習指導. 学習の授業のご案内を何度も頂いた.平取町立二. 案が求められている.と同時に白老町教育委員会. 風谷小学校への訪問にあたっては,谷口薫校長を. などですすめられているような体験学習的な「教. はじめ多くの先生方のご理解・ご協力をいただ. 職員研修」が重要である.こうした点では,教育. き,加賀谷隆教頭からは丁寧なご説明をいただい. 行政が積極的な役割を果たすべきであろう.もち. た.また,白老町教育委員会の小冊子『アイヌ民. ろん,こうした指摘はそのまま,私自身に返って. 族に関する教育の充実を求めて』等は,同教育委. くるわけで,教員養成系大学の教育課程において. 員会学校教育課の小笠原常雄指導主幹から碇供し. も「多文化教育の理念と実践」,そして「多文化. ていただいた.関係の先生方に深謝申し上げる.. 教育的視点にもとづくアイヌの歴史文化」が積極 的に位置付けられる必要があるのである.. なお,引用した学生のレポート等については,. 匿名としたが本人の許可を得た.しかし,2004年. こうした課題がそう困難なものでないことは,. 度の「教育職員免許法認走講習」の「社会科教育. 1章でふれたように,Ⅰ教諭の「6年生の歴史学. 法」に参加された先生方の文章は,もともと公表. 習としてアイヌの歴史文化に取り組み,北海道と. される性格のものではなく,鈴木が教育研究上の. 本州を比較させてみたい」という主旨の感想や,. 観点から,鈴木の責任で引用したものであり,記. J教諭による「アイヌ民族だけではなく,他の北. 述内容についての責任はすべて引用者の鈴木にあ. 方民族を含む少数民族の話とともに理解していく. る.引用させていただいた先生方にも,ご理解い. 形がよいのではないか」という内容の提案,そし. ただきたいと思う.. て,B教諭のいうところの「人はみな共生してい るという」教育上の観点の,どれもが多文化教育 的な視点であることから明らかであると考える.. 3章で引用した白老町教育委員会によるアイヌ 民族にかかわる学習の目的の(3)「一人一人の違い. 138. 注 1)2004年6月21日(月),本学札幌校305教室にて.学 校教育教員養成課程・養護教諭養成課程の1年生,約.
(16) アイヌの歴史文化学習の課題と可能性 150名が受講. 2)CD『「アイヌ神謡集」をうたう』(うた:中本ムツ子, 復元:片Ill龍峯,発行:片Ill言語文化研究所,発売元 :草風館,2003年) 3)米田(本田)優子「学校教育における『アイヌ文化』. 授鈴木哲雄,担当者:岩見沢校・教授村田文江,岩見 沢校・助教授谷本晃久,附属札幌中学校・教諭喜多山 篤,附属札幌中学校・教諭太田和幸,附属札幌小学校・ 教諭千葉一博)による成果の一部であるが,鈴木の責 任で執筆した.. の教材化の問題点について−1960年代後半以降の教育 実践資料の整理・分析を中心として−」(『北海道立ア イヌ民族文化研究センター研究紀要』2号,1996年). (札幌佼助教授). 4)榎森進「日本前近代史におけるアイヌ問題」(『歴史 地理教育』271号,1977年) 5)こうした教材化に大きな影響を与えたのが,井上司 氏による「アイヌ略史」(1972年.後に「アイヌ史概説」 として改稿のうえ同『地域・民族と歴史教育』岩崎書店, 1978年所収)であり,この論考はいまなお,アイヌに 関する教育研究活動上,重要なものの一つだという. 6)米田氏は,関口礼子編著『カナダ多文化主義教育に 関する学際的研究』(東洋館出版社,1988年)を引いて いる.. 7)筆者は実見していない. 8)以上の記述は,北海道教育社の「アイヌ民族の文化 を学ぶ一北海道千歳市立末広小学校の実践−」(『季刊 教育改革』4号,1999年)による.. 9)2006年11月21日に6年生の総合学習での「ムックリ の製作体験」(講師:野本氏と餌取氏)を参観させてい ただいた際に,平満允校長から伺った話では,末広小. 学校ではすでに英語教育は教育課程に組み込まれてお り,当面は時間数削減の心配はないとのことであった.. 10)オムニバス形式,1年生向け.履修者約40名.授業 内容は,CD『「授業開発の基礎」テキスト』(北海道 教育大学札幌校・授業基礎開発系,2005年)参照. 11)実際は市町村教育委員会を通じて,小学生用は4年 生になるときに,中学生用は中学2年生になるときに 配布されているとのことである(財団法人アイヌ文化 振興・研究推進機構からの確認). 12)その後,角野指導主事と札幌市立福住小学校の鈴木 晶夫校長の紹介で,札幌市教育委員会の平成18年度学 校研究委託事業・研究ベース校:課題「アイヌ民族教 育」にもづいた2つの小学校での授業を参観させてい ただいた.2006年10月25日(水),山の手小学校4年1. 組の総合的な学習での「食から考えるアイヌの人々の 自然との共生」(指導者:野崎猛教諭,講師:札幌市教. 育委員会りタリ教育相談員松平智子氏)と11月8日 (水),福住小学校4年1組での「アイヌの人たちの生 活と文化−アイヌ紋様づくりの活動を通して,アイヌ 文化のすばらしさを−」(指導者:小菅雄介教諭,講師 :同松平氏)である.. *本稿は,本学の平成17年度学術研究推進経費によるプ. ロジェクト「多文化教育的視点にもとづくアイヌ文化 の教材化に関する基礎的研究」(代表者:札幌校・助教. 139.
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