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色土を用いた家庭科洗濯実験用人工汚染布の提案

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Academic year: 2021

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(1)Title. 色土を用いた家庭科洗濯実験用人工汚染布の提案. Author(s). 小松, 恵美子; 田澤, 紫野. Citation. 北海道教育大学紀要. 自然科学編, 68(2): 69-74. Issue Date. 2018-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/9708. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(自然科学編)第68巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Natural Sciences)Vol. 68. No.2. 平 成 30 年 2 月 February, 2018. 色土を用いた家庭科洗濯実験用人工汚染布の提案 小松恵美子・田澤 紫野 北海道教育大学旭川校 衣生活学研究室. Proposal of Artificially Soiled Fabric Colored with Clay Pigment for Home Economics Laundry Experiment KOMATSU Emiko and TAZAWA Shino Clothing Science Laboratory, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. ABSTRACT In this study, we compared and examined the results of washing experiments on soil pigmented cloth and artificially contaminated wet cloth concerning the method of making soil pigment attached cloth and the possibility of its application as experimental contaminated cloth. As a result, the soil pigmented cloth fabricated in this study is more vibrant than the artificially contaminated wet cloth, so the extent of discoloration after washing is easy to understand visually, a washing rate equivalent to that of artificially contaminated wet cloth is obtained. It was found that it could be done. In addition, while the general artificially contaminated cloth currently on the market contains many inorganic and organic components, the soil pigment attached cloth of this study contains soil pigment particles only. Because of that, it can be thought that differentiation can be aimed at as a contaminated cloth of pure earth (mud) stain model.. 1.緒 言. ラックといった無機質成分も多く含まれている1)。 しかしながら混合汚れであるため,どの種類の汚. 洗濯における汚れの落ちかた(洗浄率)を比較. れがどれだけ落ちたかを評価することができない. する方法として,洗浄実験がある。洗浄実験では,. という問題点がある。. あらかじめ汚れを付着させた汚染布が使用され. 小学校・中学校の家庭科において,洗濯は重要. る。 汚染布として最も入手しやすく主流なものは,. な学習内容である。洗濯の実験や実習を行う場合,. 財団法人洗濯科学協会の湿式人工汚染布である。. 一種類の汚れだけを均一に付けた汚染布を使うこ. この湿式人工汚染布には,油性汚垢成分やたんぱ. とができれば,汚れ落ちを比較しやすい。さらに,. く質などの有機質成分の他に,土やカーボンブ. 目で見て汚れ落ちの程度が判別しやすく,汚れ物. 69.

(3) 小松恵美子・田澤 紫野. 質が安全なものであり,作製が容易な汚染布であ. 式会社)で3分間超音波照射して分散した。そこ. ることが望ましい。児童生徒にとって,屋外での. に 布 0.5g を 入 れ,130r.p.m. の 振 盪 恒 温 水 槽. 体育授業や部活動など日常生活で付着しやすい汚. TBK202AA(東洋製作所)で室温処理した。均. れに,土(泥)汚れがある。現行の小学校家庭科. 一な土顔料付着布を得るために,処理時間はナイ. 用教科書にも,洗濯実習の被洗物として児童の体. ロンは0.5時間,PETは3時間とした。布を取り. 2). 育着や靴下が取り上げられている 。湿式人工汚. 出し約24時間室温で乾燥後,蒸留水100mlで2回. 染布の基布は未晒しの木綿である。しかし現在,. すすぎ,再び完全に乾かしたものを土顔料付着布. スポーツウエアの素材として広く使われているの. とした。. はナイロンやPET,あるいはそれらと綿の混紡 であるため,家庭科での洗濯実験には,児童生徒. 2−2.洗浄実験. の衣生活の実態に即した基布の汚染布を用いるこ. 2−2−1.試験布. とも必要ではないかと考えられる。各種繊維を基. 作製した土顔料付着ナイロン布とPET布,ま. 布とした人工汚染布は海外で開発・市販されてい. た洗濯科学協会から購入した湿式人工汚染布につ. るが3),家庭科教員が入手することは難しいと予. いて,それぞれ4枚ずつ洗浄実験を行った。湿式. 想される。. 人工汚染布の重量が0.38gであったため,浴比を. 本研究では,鮮やかな赤色の土顔料で水溶液を. 揃えるために土顔料付着ナイロン布とPET布も. 調製してナイロン布・PET布を処理し,土顔料. 同重量になるよう裁断した。試験布の大きさは以. 付着布を作製することを試みた。さらに,作製し. 下の通りである。. た土顔料付着布と市販の湿式人工汚染布で洗浄実. ・土顔料付着ナイロン布:たて11.4×よこ5cm. 験を行い,その結果を比較考察するとともに,土. ・土顔料付着PET布:たて13.1×よこ5cm,. 顔料付着布を洗濯実験用汚染布として活用する可. ・湿式人工汚染布:5×5cm. 能性について検討した。 2−2−2.洗浄条件 JIS洗濯に対する染色堅ろう度試験方法5)のA法. 2.実験方法. A-1号に準じ,以下の条件で行った。. 2−1.土顔料付着布の作製. ・実験装置:. 2−1−1.土顔料. ラウンダーメーター(大栄科学精器製作所製). 土顔料には,Ocres de Franceのイタリア産土. ・石けん:5g/l. 顔料Rouge ercolanoを使用した(図1)。この土. 粉せっけんスノール(シャボン玉石けん株式会. 顔料のXRF分析による主な組成は,CaO(酸化. 社製).  カルシウム)39.95%,SO3(三酸化硫黄)34.41%,. ・液:蒸留水100ml. Fe2O3(酸化鉄(Ⅲ))22.05%,SiO2(二酸化ケイ. ・試験瓶容量:550±50ml. 素)2.20%,Al2O3(酸化アルミニウム)0.81%で. ・温度:40±2℃. あった。. ・時間:30分. 2−1−2.染色方法. 2−2−3.実験操作. 布はJIS染色堅ろう度試験用添付白布のナイロ. 洗浄実験は以下の手順で行った。. ン,PETを用いた。300ml三角フラスコにpH4に. 1)試験液を試験瓶の中に入れ40±2℃まで予熱. 4). 調 製 し たCarmody緩 衝 液 100mlと 土 顔 料0.1gを 入れ,デジタル超音波洗浄機AS482(アズワン株. 70. する。 2)試験布を入れて試験瓶を密閉し,ラウンダー.

(4) 色土を用いた家庭科洗濯実験用人工汚染布の提案. メーターに取り付ける。. 1枚毎の平均値を算出した。なお,各測色値は無. 3)試験機を30分間運転する。. 単位である。. 4)試験布を試験瓶から取り出し,すすぎ(蒸留. 繊 維 製 品 の 色 の 評 価 に は, 均 等 知 覚 色 空 間. 水100mlで1分間)を2回行う。. U.L.C.S.表色系の一つである,CIELAB表色系が. 5)脱水せずに,そのまま風乾する。. 慣用されている6)7)。L*,a*,b*を三次元座標に とって,色ベクトルをプロットする。a*軸の正. 2−3.評価方法. 方向は赤,負方向は補色の青緑,b*軸の正は黄,. 洗浄実験前と後の各布の評価は,目視および簡. 負は青である。L*軸は,a*b*軸の交点つまり原. 易型分光色差計NF333(日本電色工業)を用いた. 点(a*= 0 ,b*= 0 )を垂直に貫き,原点での値. 測色値(L*, a*, b*, C*, K/S)により行った。試験. は50,上方向は白(最大値100),下方向は黒(最. 布1枚につき表裏各4カ所,合計8カ所を測定し,. 小値0)である。またC*は,a*b*軸の原点から プロットまでの距離であり,原点から遠くなる程, 色が鮮やかとなる。 K/S値は,布の表面反射率から粒子汚れの付着 量をもとめるために用いられる。表面反射率か ら,Kubellka-Munkの式によって,推定される 付着量に比例する量K/Sは次式⑴で与えられる8)。. 図1.Rouge Ercolano. 図2.洗浄試験前後の染色布と湿式人工汚染布の写真. 71.

(5) 小松恵美子・田澤 紫野. 3−2.測色による評価. 2 K/S=(1-R) /2R ・・・ 式⑴. [R:表面反射率,K:吸光度係数,S:光の散. 図3は,洗浄実験前後の土顔料付着布と湿式人. 乱係数]. 工汚染布,およびそれぞれの原白布のK/S値であ る。 9). 洗浄率は,400nmのK/S値を用いて以下の式⑵. 土顔料付着ナイロン布とPET布は,洗浄前で. により算出した。. は湿式人工汚染布に比べてサンプルにより個体差 が大きく出ているが,洗浄後ではそれが少し小さ. 洗浄率DK/S(%)=. くなっている。また,湿式人工汚染布よりも洗浄. [ (洗浄前K/S)-(洗浄後K/S)]/[(洗浄前K/S). 前後での数値の差が大きいため,退色の程度も大. - (白布K/S) ] ×100 ・・・ 式⑵. きいことがわかった。 図4は,洗浄実験前後の土顔料付着布および湿. 3.結果および考察. 式人工汚染布,それぞれの原白布の測色値である。 これにおいても,土顔料付着ナイロン布とPET. 3−1.目視による評価. 布は,湿式人工汚染布よりも洗浄前後での色の変. 図2は,洗浄実験前後の土顔料付着布および汚. 化が大きいことがわかった。洗浄前後の数値を比. 染布の写真である。土顔料付着ナイロン布の洗浄. 較すると,土顔料付着布と湿式人工汚染布ともに,. 後では,全体的に退色しているが,色の濃い部分. 洗浄後では洗浄前よりC 値(鮮やかさ)は減少し,. と薄い部分の差が目立っていた。洗浄前において. L*値(明るさ)は増加しており,また,a*値(赤. も比較的色ムラがあったため,それが洗浄後にも. み)とb*値(黄み)の両方が減少していた。また,. 影響していることが考えられた。また,洗浄中に. 洗浄前後の土顔料付着ナイロン布とPET布では,. 折り癖が付いた部分の土顔料が脱落し,所々に白. a*値とb*値およびC*値とL*値のグラフの両方. く線状になっている箇所も見られた。こういった. で,数値の増減に相関傾向が見られた。相関係数. 色ムラが,洗浄実験においては目視での評価に影. を求めたところ,特にa*値とb*値ではR2=0.9142. 響する可能性があると考えられる。一方,土顔料. という良い相関係数が得られたため,土顔料粒子. 付着PET布の洗浄後では,ナイロン布よりも色. 付着量の変化による色変化の分析にも応用できる. ムラが少なく, 全体が比較的均一に退色していた。. 可能性があると考えられる。. *. 洗浄前では色ムラが少し見られたが,洗浄するこ とでそれが目立たなくなっていた。 湿式人工汚染布の洗浄後では,全体的に退色し ているが,少し色ムラが目立っていた。緒言で述 べたように,湿式人工汚染布に付着しているのは 混合汚れである。そのため洗浄後は汚れの種類に よって脱落の程度に差が生じ,これが色ムラと なっている可能性があると考えられる。 このように,土顔料付着布と湿式人工汚染布に おいて洗浄前後の目視比較の結果を総合すると, 土顔料付着布は湿式人工汚染布よりも色が鮮やか なので,目視での評価に関しては退色の程度がわ かりやすいのではないかと考えられた。. 72. 図3.洗浄試験前後の染色布および汚染布と白布の K/S値.

(6) 色土を用いた家庭科洗濯実験用人工汚染布の提案. 図4.洗浄試験前後の染色布および汚染布と白布の測色値. 3−3.洗浄率の算出による評価. 比較考察し,検討してきた。その結果,本研究で. 図5は,土顔料付着布および湿式人工汚染布の. 作製した土顔料付着布は,湿式人工汚染布よりも. 洗浄率のグラフである。土顔料付着ナイロン布と. 色が鮮やかであるため,洗浄後の退色の程度が目. PET布は,湿式人工汚染布に比べて洗浄率にば. 視でわかりやすく,湿式人工汚染布と同等の洗浄. らつきが見られたが,それほど大きな差ではな. 率も得られることがわかった。また,現在市販さ. かった。土顔料付着布においても,湿式人工汚染. れている一般的な人工汚染布には無機成分および. 布と同条件で洗浄すると同程度の洗浄率が得られ. 有機成分が多種含まれているのに対して,本研究. るということがわかった。. の土顔料付着布に含まれているのは土顔料粒子の みであるため,純粋な土(泥)汚れモデル汚染布 として,差別化を図ることができると考えられる。 今後は,本研究の土顔料付着布を簡易土顔料汚染 布として,学校現場における洗浄実験などに使用 する際の実験方法および条件について検討してい きたい。. 引用文献 1)社団法人日本衣料管理協会刊行委員会,被服整理学,. 図5.染色布と汚染布の洗浄率. 日本衣料管理協会,2008,p.40 2)文部科学省検定済教科書 小学校家庭科用「わたし たちの家庭科5・6」 ,開隆堂,2016,p.84. 4.まとめ 本研究では,土顔料付着布の作製法およびその 実験用汚染布としての利用の可能性について,土 顔料付着布と湿式人工汚染布との洗浄実験結果を. 3)上記引用1) ,p.41 4)辻啓一,緩衝液の選択と応用 水素イオン・金属イ オン,講談社,1981,p.154-155 5) 洗 濯 に 対 す る 染 色 堅 ろ う 度 試 験 方 法 JIS L 0844:2005,2009. 73.

(7) 小松恵美子・田澤 紫野. 6)浦畑育生,測色による色彩管理の知識,関西衣生活 研究会,1987,p.27,p.68 7)日本学術振興会繊維高分子機能加工第120委員会,染 色加工の事典(普及版),朝倉書店,pp.148-149 8)矢部章彦,お茶の水女子大学家政学講座 被服整理 学・染色化学,光生館,1977,p.14 9)大矢勝,図解入門よくわかる 最新洗浄・洗剤の基 本と仕組み,秀和システム,2011,p.198-199. (小松恵美子 旭川校准教授) (田澤 紫野 奥尻町立奥尻中学校教諭). 74.

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参照

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