小学生の創造性的態度に関する研究
一都市部と島部ゐ調査をとおして-Creative attitude of elementary students in a city and an island
西康隆(鹿児島市立東谷山小学校)
Yasutoka NIS和田癖S軸加軸ォna elementary school)
庭瀬敬右(兵庫教育大学)
Keisuke MWASE σiyogo Univ耶ity of Teacher Education)
豊島・庭漸(2㈱)1)によって中学生の創造的な態度として「努力・持鰍も,「自 主・独自性」の主要因子が抽出され,感動体験や学力との関係が報告されている。 本 研究は,都市卸と島部の小学校において創造的態度,自然・=夫体験,一創造的思考力 及び,学力の調査を行い,学年や地域での違いを明らかにすることを目的とする。 恩 田彰の創造的行動傾向をもとにした創造的態度調査では,態度の合計得点は小学2年 から4年にかけて急激に減少するが,この時期に「努力・持繍勤,「自主・独自性」 の主要因子-の分化が始まることが示された。 この場合、創造的態度の変化は島部の 方が大きかった。 自然・工夫体験に対する調査では,体験に感動する割合は低学年か ら中学年にかけて減少するが,その変化は都市部も島部もほぼ同じ振舞いを示した。 創造的態度と自然・工夫体験,創造的思考力及び学力との相関は,r努力・持鮒勤 の因子が明確化する4年で強く現れた キーワードー:倉馳創造的態度,体験,創造的思考力,「学力」,地域差 1. はじめに 創造性教育は学校教育における重要な課題の一 つであろう。マズロー(1962)は,冶雌蔓性には天 才と科学者,芸術家などにみられる「特別な才能の 肩胤と誰もがもっている「自己実現の創造性」 に区別したもちろん両者にi潮畢ミあるが,学 校教育で」投的に重秘されるのは後者であり,生き るカにも通じるものであろう。 創造性についての考 え方は,大きくは「能力に亀点をおくとらえ方」と 「人格に重点をおくとらえ方」に分けられる。 恩田 はrh雌性とは,新しい価値あるもの,またはアイ デアを創り出す能力すなわち創造九およびそれを 基礎づける人格相生すなわち創造的人格」と定義し, 創造性に関する8つの創造的態度をあげている3)0 豊島・庭瀬(20C氾)、1)は,恩田の創造的態度の項目を もとに中学生の創造的態度について訴べた結果, 「努力・持続性」と「自主・独自性」の2つの主要 因子が存在することを明らかにした。 また,山田ら が示している自然の事象や現象を五感を通して触れ 合う体験も5)の中で特に「感動もしくは熟むに行っ た体験」は上記の2つの主要因子共に有意な正の相 関がみられ,生徒の概念形成や態度などの育成に関 係した原体験である可能性を示した。 一方,校内テ ストで評価される「学力」は「努力・持続性」との み有意な相関がみられており,学力偏重の教育は創 造的態度の育成においては充分ではないことが示さ ftfc. 一般的に創造性の育成に関して非常に重要な提 言の一つに,「創造性を育てるためには幼少期に創 造的態度や畳かな体験を持つことが重要である」と いうものがある。これはスローガン的に音われるこ とが多いが,実際に創造的態度が年齢と共にどのよ うな変化をし,態度,体験,学九思考力との間に どのような関係が見られるかという報告は希少であ
る。教醐程編成の「般方針の中に「教育課程株, 地域や学校の実態及び児童の'心身の発達段階や特性 を考慮し・6」とあるように,. 地味や児童の実 像や特性を考慮し,教育内容を企画することが強調 されており,学校乾酪において現状を把握し,教育 内容を検討する上でも実態の把握は重要であると考 えられる0 本研究l胡邑児島県の都市部と島部の小学生に対し て創造的態度,自然`工夫体験,創造的思考九学 力の調査を行い,創造的態度の変化と体験,思考力, 学力との関係を明らかにすることを目的とする。 な お,本研究では創造的思考力をS,A創造性検査の結 果とした。学力については,テストを中心とした狭 義の学力として位置づけ,以降「学力」と表記する。 2. 方法 2.1.調査対象・ 鹿児島県鹿児島市及び大島郡伊仙町の2つの公 立小学校児童,1年から6年までを対象として行っ 1㌔調査を行った両小学校は異なる舞境にあり,い わゆる都市部と離島という環境の違いがある。 以下, 各校についての概要を示す; 2.1.1.鹿児島市立A小学校 鹿児島市の南部に位置し,全校児童が千名近く在籍 しているマンモス校である。 学校は高台の住宅地の 中にあり,保護者の職業も多種にわたる。 校庭はサ 、ッカ「のコートが2面とれるほど広く,校内には 桜・桐をはじめ多くの植物が存在している。 児童の 生活圏に山や海はあるが川はない. 山も駆けめぐる ような山ではなく,ほとんど立ち入って遊ぶといっ た類ではなし㌔ただ,こうした樹木を横目に見なが ら登下校している児童も多いOなお,点在する公園 に古淵柵や樹木が多く見られるこ校区が広く市街地
写真1鹿児島市立A小学校
でもあるため,児童の生活圏にを耕食店やスーパー, メーカーなどが点在している。 放課後はクラブ活動 や塾に通う児童も多いが,そうでなし. 、児童も多い。 少年団活動はソフト,サッカー,バレー,剣道,水 泳,ブラスバンドなど多様なものがある。 地域の学 校-の関心も高いが,マンモス校であるためかき識 の差は家庭により大きいように思える。 2.1. 2. 伊仙町立B小学校 鹿児島市から南-約468km離れた徳之島にある。 徳之島は周囲84kmの島で,奄美群島のほぼ中央に 位置している。 徳之島町・天城町・伊仙町の三町か らなり,人口は約3万人である。 亜熱帯気候を生か したサトウキビ栽培を中心として,馬鈴薯やさとい も,果樹等の園芸も盛んで,闘牛で有名な島でもあ る。 B小学校は伊仙町の中で最も大きい小学校である。 島の南端に位置し,全校児童が2㈹名余りである。 島の南西部に広がる台地にあり,公的機関や商店街, 製糖工場などがあり,町の政治・経済・文化の中心 地にある。保護者は町役場・学校の公務員が最も多 く,会社員とあわせるとほぼ半数以上になる。 ほと んどが兼業農家で,専業農家は少ない。 校区民の教 育への関心は高く,環境整備を始め協力的である。 学習塾や稽古事の塾に通う児童は全校の48%に達 する。また,少年団活動も盛んで,野球・ソフト・ サッカー・剣道・女子バレー等に,全校児童の約50% が所属している。 児童の生活圏には亀かな畑,山, 海があるが,ハブが生息しているため,多くの児童 は山J棚では遊ばftい... なお,調査対象の小学校では,負雌性の育成を教 育目標とする特別な教育活動は行われていなし、0 2.1.3. 調査人数 A小学校が403名,B小学校が209名の合計612写真2伊仙町立B小学校
名を全データ数とした。 それぞれの学校における男 女の比率に差はない。 2.2.訳査時期 創達的儀変嗣査,体験調査,S-A創造性検査は, 都市部,島部ともに2001年3月上旬に実施Ltc 2. 3. E.1 (1)惟成について. 恩田の示した8つの創造的態度(自己統制力,自 発性,衝動性持続性,探求心,独自性,柔軟性, 精神集中力)をもとに作られた豊島・庭轍の中学生 用創造的観蜜調査票をもとに,小学生用に再編した。 合計24項目の行動傾向からなる。 (2)回答方法 肩雌群感度調査票の24項目について『とてもよ くあてはまる』『どちらかといいうとあてはまる』 『どちらかというとあてはまらない』『ぜんぜんあ てはまらない』の4段階評定で,回答欄の対応する 印「◎,○,△,×」に○を付け,回答させた。 (3)穐点化 創造的態度のそれぞれの項目に4段階評定に対し て『とてもよくあてはまる』を4点満点とし,それ ぞれ1点刻みで穐尉ヒし7㌔ (4)調査票の信頼性 内的整合性を示すクローンバックのα係数を算出 したところ,全ての学年で0.8を上回っており,内 的整合性の高さが示された。 このことから,本研究 で取り扱う小学生用創造的態度調査醇としての信頼 性が確保できたと考える。 2.4.自然. 工夫体観珊査葉 (1)作成について 豊島・庭瀬は,山田らの自然の事物や現象につい て五感を通して触れ合う「原楓に関する著書を もとに,「体験」を130項目に集約して中学生用「体 験」調査票を作成した1)0 本研究ではこれをもとに, 加除修正を施して小学生用自然・工夫体験調査票を 惟成した。追加した項目に関しては,弓野帥7) の作成した小学生用体験調査の一郎を参考にした。 (2)回答方法 「体験」の質的な違いを検討するため,とても感 動したり熟しに行ったりした体験は「◎」に,ただ 行っただけの体験は「O」に,行っていない体験は 「×」に印を付けさせた。 (3)穐尉ヒ 「◎」の数の合計を感動したり熱心に行ったりし た体験の数(感動体験数)とし,「O」の数をただ 行っただけの体験の数(単純体験数)とし,「◎」と 「O」の数の合計を全体験の数(全体験数)として, その個数の合計を徹点とした。 さらに,全体験数に 占める感動体験数の百分率を求めた。 以降,感動し たり熱心に行ったりした体験を感動体験,ただ行っ ただけの体験で,特に感動したり熱心に行ったりし ていない体験を単純体験,両方をあわせた全ての体 験を会体験,全体験数に占める感動体験数の割合を 感動体験率の名称で記すこととする。 2.5. &-A創造性検査 東京心理(秩)の発行する創造性検査で,1969年, ギルフォードの指導とトーランスの研究をもとに恩 田らが主を瑚醐鵬傾城での鮎畠的素質を兄いだすこ とを目的として作成したテストである。 いわゆる拡 散的思考力を中心に測定される,一間多答式のテス トである4,6年は書籍性を,2年は絵画性を使 用した。 2.6.「学力」検査 2学軌3学期に行われた各単元の単元末テスト の点数を集計し,教科ごとの平均点を算出した。 教 科は全学年で国籍,算数,3年以上で理科,社会の 2教科,あるいは4教科である。 単元末テストは全 て市販のものである。 ここで都市部と島部のテスト は全く同-のものではないが,同じ学習内容につい て測定したものである。 3. 結果 3.1. 創造的醜度の学年変化と因子分析緒果 (1)創造的態度の合計得点の変化 ①鮒点合計得点の変化 iL^^Fr^^EI^^Kr^^El^^ELl
学年
図1創造的態度の合計得点の変化
恩田の創造的態度の24項目における都市部と島 部の肩鵬が感度得点を合計したものを学年の人数で 除算した態度得点合計の学年別変化を図1に示す。 1年と2年ではかなりの高得点であったのに対し, 3年で急な減少が見られた。 4年ではさら減少して いる。なお,2年と3年の間,及び3年と4年の間 にはそれぞれ有意差が確瓢されている(t=2. 35,p く0.05;t=3.00,pく0.01)。 一方,4年,5年,6年 の間には落ち込みは見られず,それぞれ有意差も確 認されない。つまり,低学年でi胡民度得点は高いが 中学年で減少し,高学年ではほとんど変化がないこ とを示している。 (2)創造的態度の因子分析について ①因子分析による創造的態度因子の抽出 恩田の創造的態度の_24項目に関して因子分析を 行った。因子分析の手法には主因子法を用い,バリ マックス回転を行った。 因子の抽出は固有鑑_因子 負荷量に配慮しながら,因子数が3個の設定時に最 適になったことから全ての設定を3に固定して行っ た。因子の採用に関しては固有値が1以上であるこ とを条件とし,項目の採用に関しては因子負荷量が 0.40以上を基本とした。 また,因子毎にα係数を算 出し,分析の妥当性を確かめた。 分析には,多変量 分析ソフトiStatPartner」を使用した。 全分散につ いては,1年が57. 75%,2年が58. 88%,3年が64. 66%, 4年が60.56%,5年が62.1鴫6年が59.7'鵬とい う値を得たム 因子分析結果の一例として,5-年の因子分析パ ターン布列を表1に示すこ第-因子は,「目標のため には苦しみにも耐えられる」とか「ねぼり強く最後 までやりとげる」など,努力したり,ねぼり強く取 り組んだりしようとするr努力・持細動に関係す る観変である。第二因子株,「人の考えつかないこと をよく思いつく」とか,「人が反対しても自分の意見 をはっきり言える」など,自主的,「自主・独自性」 に関係する態度であるO第三因子は,/rよく何かに夢 中になる」とか,「何かに夢中になると時間を忘れる ことがある」など,没頭性に関係する態度である。 学年間での因子分析の結果を比較すると高学年に なるに従い因子に含まれる項目には,恩田の示す自 発性や独自性など,同じ要素のまとまりが見られる ようになってくる。 このため,小学校の段階は中学 校に向けて創造的態度の「未分化から分化-」の変 化として捉えられる。 そこで,ヰ学生の創造的態度 因子に含まれる項目を「分化した結果」として位置 づけ,以下に示すその項目によって構成された因子 名を中学生の賂合と同様に「努力・持続性」,r自主・ 独自性」と定義する。 努力・持統性:(項目番号)2,3,4,10,ll,12 日主・独自性:(境目番号)5,6,16,17,18,21
表1創造的態度の因子分析パターン行列(5年)
番 号 項 目 目 内 因 子 1 因 子 2 因 子 3 . 共 通 性 1 0 貫 徹 一 度 は じ め た こ と は 1 最 後 ま で や り と げ 0 . 7 2 1 - 0 . 0 4 1 0 . 0 7 8 0 . 5 2 8 1 1 忍 耐 ね ぼ り 強 く も の ご と に と り く む 0 . 6 4 2 0 . 1 2 1 0 . 3 0 3 0 . 5 1 9 1 5 挑 戦 僻 単 に で き そ う な こ と よ り., む ず か し そ ー 0 . 4 9 2 0 . 3 5 1 0 . 0 4 8 0 . 3 6 7 3 日 的 目 棟 の た め に は , く る し み に も た え ら れ 0 . 4 4 7 0 . 1 6 8 、0 . 1 8 7 0 . 2 6 3 2 不 屈 失 敗 し て も , す ぐ に あ き ら め な い 0 . 4 3 4 ▼1 0 1 0 . 3 1 2 0 . 2 9 6 9" 積 極 自 分 の 考 え で , す す ん で 活 動 す る 0 . 4 0 9 0 . 3 7 8 - 0 . 0 1 4 0 . 3 1 0 2 1 サ # *」い ろ い ろ な も の に 興 味 を 持 て る 0 ▼0 4 2 0 . 6 1 1 一3 6 3 0 . 5 0 7 1 6 奇 抜 か わ つ た こ と を し て , ま わ り の 人 を び つ く 0 . 1 9 3 0 . 6 0 1 0 . 0 3 0 0 . 4 0 0 1 4 工 夫 い ろ い ろ と 工 夫 す る こ と が す き だ ノ 0 . 1 4 1 0 . 5 2 6 0 . 2 3 3 0 . 3 5 1 1 7 独 & -) 人 の 考 え な い こ と を よ く 思 い つ く 0 . 1 9 7 0 . 4 9 6 0 . 0 6 4 0 . 2 8 9 1 8 主 張 人 が 反 対 し て も , 自 分 の 意 見 を は っ き り 0 . 3 6 6 0 . 4 8 0 0 . 0 1 5 0 . 3 6 5 9 興 奮 思 い が け な い 発 見 を し た と き , こ う ふ ん - 0 . 0 5 0 0 . 4 2 2 0 . 1 2 5 0 . 1 9 6 2 2 夢 中 よ く , 何 か に 夢 中 に な る 0 . 1 5 8 0 . 2 9 7 0 . 7 1 1 0 . 6 1 9 7 勢 い も の ご と を 一 気 に 集 中 し て や っ て し ま う 0 . 2 8 7 - 0 . 0 5 9 0 . 5 5 2 0 . 3 9 0 4 自 立 む ず か し い こ と で も , 人 に た よ ら ず , 自 0 . 2 7 2 0 . 1 2 1 0 . 4 2 1 0 . 2 6 6 1 2 納 得 分 か ら な い こ と が あ る と , 分 か る ま で や 0 . 1 9 2 0 . 1 6 3 0 . 3 2 1 0 . 16 6 2 3 . 没 頭 何 か に 夢 中 に な る と 1 時 間 を 忘 れ る こ と カ - 0 . 0 5 0 0 . 0 2 7 0 . 3 1 0 0 . 0 9 9 2 4 集 中 周 り に 気 を ち ら さ れ る こ と が 少 な い 0 . 0 6 1 0 . 0 3 1 0 . 2 8 0 0 . 0 8 3 5 即 行 何 か を や ろ う と 思 っ た ら , す ぐ に や る 0 . 2 2 1 0 . 2 9 5 0 . 2 6 5 0 . 2 0 6 8 寛 容 ま ち が い や 失 敗 を 気 に し な い - 0 . 0 4 2 0 . 0 8 7 0 . 2 5 7 0 . 0 7 6 1 9 適 応 何 か 新 し い こ と を 始 め る と き で も , す ぐ i 0 . 3 7 6 0 . 2 3 8 0 . 2 0 2 0 . 2 3 9 2 0 柔 軟 ま ち が い に 気 づ い た ら , す ぐ に な お そ う 0 . 2 5 1 0 . 3 3 5 0 . 1 2 3 ー19 1 、 1 3 m m 不 思 議 な こ と や , ま だ だ れ も 知 ら な い こ 0 . 3 6 1 0 . 3 1 9 、0 2 3 0 . 2 3 2 1 安 定 あ せ つ て も , す ぐ に 落 ち つ き を 取 り も ど 0 . 2 2 6 0 . 0 6 8 - 0 . 0 3 3 0 . 0 5 7 固 有 値 4 . 9 2 6 1 . 2 1 4 、1 3 1 累 積 寄 与 率 0 . 4 2 1 0 . 5 2 5 、6 2 1一方,その他の因子として没頭性及び過有性は次 の通り定義し,表記する。 没 頭 性 : (項 目番 号 ) 9 , 22 , 23 適 応 性 ; (項 目番 号') 1, 20 (3)主要因子の明確化について 小学生での創造的態度の因子で出現頻度の高 いものは,「努力・持続性」と「自主・独自性」, そして「没頭性」である。 「適応性」は,3年で のみ見られた。 「努力・持続性」は1年では第3 因子であったが,2年では第1因子に,3年で埠 再び第3因子になるなど流動的な変化を見せる が,4年以降は第1因子に留まっていた。 「自 主・独自性」は,3年の第1因子,5年の第2因 子,6年の第3因子と,徐々に固有値を下げた。 また,「没頭生」は1年,4年,6年で第2因子 となっていた8)0 異なる学年で同名の因子名が現れても因子内 での構成は全く同一のものではないo特に,中学 生に対して得られた「努力・持掛勤と,r自主・ 独自性」の二つの主要因子に注目すると1,2, 4年では混在して個々の因子に含まれる場合が あるが3,5,6年では独立して因子の中に含 まれており,「努力・持樹勤と「自主・独自性」 の項目は高学年に進むにつれて明確化する傾向 があることがわかる. Oこれらの主要因子の明確化 を定量的に解析するた糾こ以下の手順にしたが って,各学年の因手分析の結果を解析した。 (a)各因子に含まれる項目に対して上位6項目ま でに制限して「努力・持続性」と「自主・独 自性」に属する項目の因子負荷量をそれぞれ 合計する。 0)二つの主要因子共に合計値が得られた場合は 値の大きい方を採用する0 このようにして得られた「努力・持続性」態度得 点とr自主・独自性」態度得点を図2に示九3年 以下では「自主・独自性」態度得点は「努力・持続 性」態度得点に比べて若干高いが,3年から4年に かけて「努力・持房財も態度得点は急激に高くなり, 関係は逆転する。 一方,r自主・独自性」態度得点 は3年から4年にかけて減少するが,4年から5年 にかけて急激に増加する。 以上のこと株,「努力・ 持続性」および「自主・独自性」の因子は中学年で 明確化しはじめて,高学年では中学生に近い因子構 成になることを示している。 3.2. 島部と都市部の比較 3.2. 1. 創造的態度得点合計 図3に噛り態度得点合計の変化を示す。 島部で は1年から4年にかけて連続的に態度得点は減少し, その後6年まで増加に転じている。 一方,都市部で は,2年から4年まで減少傾向が現れるが,その他 の学年間での変化は少ないことがわかる。 態度得点合計について両地域の検定を行うと,1 年と4年で有意な差が見られ,1年では島部が,4 年では都市部の態度得点が高かった。 しかし高学年 ではその差は微妙になるなど,学年が進むにつれて 地域の差が小さくなっていくことが伺えるOまた, 都市部では3年と4年の間に有意な差(t=. 02, pく.05)が見られた。 島部では1年と2年の間,3年 と4年め間に有意な差(t=. 00,pく.oi;t=05,pく. 05) が見られた。つまり,両地域とも3年から4年で態 度全体の減少については共通な特長が項れている。 1年2年3年4年5年6年
学年
図3地域別創造的態度合計の変化
_・・*」3.2.2.億度槻u変化 態度特性の変化について,都市部を図4に,島細 を図5に承れ都市部では全体約°に変化が少ないの に対して,島部では1年から4年に向けてほとんど の感度特性に関して値が顕著に減少している。 2年 から3年にかけて都市部,島部のほとんどの態度特 性に対して減少傾向が項れているが,精神集中の態 度得点は都市部,島郎共に得点は上昇している. ま た,各特性ゐ態度穐点の高低は都市部,島部共に同 じ慣向を示しており,特に独自性に関しては低学年 から高学年まで他の態度特性より低い値を示すこと が明確な特長として現れている。 一方,精神集中や 柔軟性の態度特齢ま比較的高い得点を示している。 1年2年3年4年5年6年 学年 図4態度特性の変化(都市部) 11 10 sォ m7 1年2年3年4年5年6年 学年 図5態度特性の変化(島部) 3.3.
自然・工夫体験の比較
3.3.1.の変化
坤或別単純体験数の変化を図6に示す。 単純体験 数は都市部,島部共に低学年から中学年にかけて増 加し,高学年にむけて減少していることがわかる。 単純体験数について両地域の差の検定を行った結果 1年と5年のみで有意な差が見られた。 その他の学 年では有意な差は見られなno 30 」20 m* ォ奮10巨弓百㌢
1年2年3年4年5*6* 学年 図6地域別単純体験数のp変化 また,噛りに学年間の差を検定した結果,都市 部では2年と3年の間で有意な差が見られ (fc=2.81,p<. 01),島部では1年と2年の間に有意な 差が見られた(fc=3.27,p<. 01)のみであった。 3.3. 、2.感動体験数の比較 地郎嘘弓動体験数の変化を図7に示す。 感動体験 数にらいて両地域の差の検定を行った結果,1年と 5年のみで有意な差が見られた。 その他の学年では 有意な差は見られないOまた,地触りに学年間の差 を検定した結果,都市部では2年と3年,4年と5 年,「5年と6年の廟で有意な差が見られ (=3.94,p<. 01炉,p<. 05軒2.51,p<. 05;t=3.28,p<. 01), 島部では2年以降に有意な差が見られた(鍵2.34, p<. 01;t=2.82,p<. 01;t=3.04,p<. 01;fc=2.45,p<. 05) このように,感動体験数も会体験数同様に学年によ り増減を繰り返す傾向が見られる。 感動体験数を全体験数で除した地域別感動体験 率(体験がどれだけの割合で感動体験となり得たが) を図8に示す1感動体験率について両地域の差の検 定を行った結果,1年と5年のみで有意な差が見ら れた。 2年,3年,4年,6年といったほとんどの 学年では,両地域の感動体験率はほぼ-致しており, 感動体験率は両地域ともほ櫛司じような変化をして いることが伺える0 地噺鵬こ学年間の差を検定した 結果,都市部では2年と3年の間で有意な差が見ら $30 e*m$20 1年2年3年4年5年6年 学年 図7地域別感動体験数の変化き弓芦uun
れ(t=3.58,pく. 05),島部では1年と2年,2年と3 年,4年と5年,5年と6年の間に有意な差が見ら れた(t=2.58,pく. 05;t=2.78,pく. 01;t=2.03, pく.05;t=2.26,pく. 05)このことから,感動体験率 は両地域において低学年が最も高く,その後は低い 傾向があると言える。 1年2年3年4年5年6年 学年 匝emmwdMi&mm
匿霊当
3.4. 創造的思考力の比較 地嚇噛り進的思考特性の変化について,都市部を 図9に,島部を図10に示す。 両地域とも「思考の 深さ」が最も高く,「思考の独自さ」が最も低くなっ 9 8 J唾7 鍵邸6 5 4 田EJ^^KL^^HILI・*
園9思考特性の変化(都市部)
2年4年6年
学年
園10思考特性の変化(島部)
ている。また,都市部では学年が進むにつれて各思 考特性とも直線的に増えているのに対し,島部では 4年から6年にかけての増加が見られない. また, それぞれの思考特性について学牢毎の平均値の検定 を行ったところ,4年の「思考の深さ」のみ有意な 差が見られ(巨3. 叫p<. 01),都市部の方が高かっ た。しかし,その他においては有意な差は見られな かった。つまり,思考相生の得剤噴位及び各思考特 性の得点には地域の差は率いが,4年から6年にか けての変化に地域の違いが見られると言える。 3.5.態鹿思考馳体験,学力の相関 図に創造的態度,、体験,創造的思考力(思考樹勤. のそれぞれの合計得点と「学力」の平均値について. 2年,4年,6年での単相関分析の検定結果を示丸 島部の4年で古瀬TJ遇的態度に関しては,体験,思考 特性,「学力」に関して全ての要素で有意な相関が現 れているが,島部の2年でに噛り進的態度とは有意な 相関が全く現れていなし、o諸要素間の相関に関して も都市部,島部共に4年が最も相関が現れている学 年であることがわかる。 4. 今回の恩田の創造的態度をもとにした調査で創 造的態度の得点合計は中学年を境に急な減少が見 られた。創造的思考力に関してTbrrance9)もほぼ9 才頃に急激に低下することを報告しているが,今回 の結果はこの頃の創造的態度の低下が,創造的思考 力の低下に関連している可能性を示唆する。 このよ うな創造性の落ち込みに関して,弓野・雪山(1994) は,自己について描いた概念地図の分析をもとに4 年生頃に,集団内での序列化の意識が現れ始めるこ とを明らかにしている7)0 中学年の時期は「徒党の 時代」とも言われ,児童は自らを小集団の「員とし て意識する頃である。 このため,具体的に他者を意 識することで自己と他者の比較および,それによる 客観的な位置づけを行なうことが,創造的態度全体 の得点の低下に関係していると推測される。 低学年で創過的得点が高いということは,児童が 自己を比較的楽観的に捉えて行動し,興味や関心が 広い領域に自由に活発に活動していることを意味し ている。負馳ミ低下する3学年から4学年にかけ ての時期で古瀬り進的態度得点は全体的に低下するが, 図2でみられるように「努力・持練性」の因子は急激 に明瞭化し,「自主・独自性」は逆に不明瞭になって しJ、る。この結果は児童が自らを,)、兵団の一員として 意識し,胸芯するために懸命に努力している態度がHflE
都
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部
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I 研 特性)
図1 1諸要素の相関図(単相関)
全体の態度を支配していると推測される。 そのため, この時期には自分で考えて新たなものを生み出すた めの「自主・独自性」やそゐ他の倉鵬的態度が抑制 され虐馳呈低下していると推測される0億度特性 別にみても都市部と島部ともに3年から4年にかけ て態度得点が上昇しているのは「努力・持続性」の因 子に関連する精神集中力の態度特性であることがわ かる。態度,学力,思考特性,体験との相関(図1 1)においても創造的態度の変化の明確に現れた島 部の4年で学九思考特性,体験との相関が明確に 現れたことは創造的態度の主要因子の「努力・持続 性」の明確化が学九思考特性体験にまで開隣し ていることを示している。 一方,4年から5年にかけての時期では「自主・ 独自性」の因子は明断ヒしており,小集団の一員と して適応した後に自分で考え,工夫するような「自 主・独自性」の態度が「努力・持馳とともに中 心的な態度因子として明断ヒすることを示している。 中学年から高学年にかけては,低学年から中学年で 見出されたほどの大きな変化古瀬Ij進的態度に関して は現れないが,思考特性では,都市部,島部共に上 昇傾向が現れている(図9,図10),このことに贈り 進的態度を中学年である程度確立した後も思考特性 のような能力的な面において着実に発達しているこ とを示している。 創造性の育成の間温点として,今回の恩田の示す 8つの創造的態度(自己統制力,白紙衝動性, 持続性,探求心,独自性,柔軟性,精神集中力)3) の分類においては独自性の態度特性の得点が他の特 性と比較して都市部,島部共に明らかに低いことが 挙げられる(図4,図5)0 弓野・雪山(1994)7){頚IJ 造性の概念地図をもとにした測定に関して今回の調 査と同様に4年生前後での落ち込みを見出している。 その原因として意l踵性の一要因である独自性が集団 意識と相反することを取り上げ,集団や他者を意敢 することで,独自性を出すことの不安を抱くことに よるものであるとした。 以上のこと株,「独自性」に関する態度は,小学 校低学年からすでに抑制されている特徴的な態度で あり,児童は「人の考えっかないことをよく息いつく」,「人が反対しても,自分の意見をはっきりと言 える」といった「独自性」を抑えて「何か新しいこ とを始めるときでも,すぐに慣れる」といった「柔 軟性」の態度を小学校入学以前から獲得している可 能性を示唆する。 このように「独自性」が低学年か ら抑圧されていることは,時折取り上げられる「日 本における児童の独創性の少なさ」に深く関連して いる可能性がある。 また,今回の調査で創造的態度や創造的思考力, 体験は「学力」と:相関があることが示されたが,学 年や地域に対しての「股的な関係が存在しているか どうかということに関しては今回の研究のみでは本 明である。そのため,複数の学校や地域で定期的に 調査を実施し,児童の実態を把握し,それらの関係 性を追求していくことが今後の課接である0 5. まとめ 鹿児島県の都市部と島部の小学生の創造的態度の 特徴とその変化を調べた結果,都市部と島部共に創 造的態度の合計得点は,2年生から4年生にかけて 急激に減少し,児童の他者に対する意識や自分に対 する意識の変化する「徒党の時代」にに噛り進的態度 にも大きな変化が現れる羊とが示された。 豊島・・庭 瀬によって中学生で見出された「努力・持続性」と 「自主・独自性」の創造的態度の主要2因子は,低 学年では因子として未分化であるが,中学年で分化 しはじめて,高学年では主要因子として明瞭に現れ, 中学生-とつながることが示された。 中学年から高 学年にむけて創造的儀変得点の変化は少ないが「努 力・持練性」の態度に加えて「自主・独自性」の態 度も明確化していく時期であり,創造的思考力や知 識の面は高まっていくことがわかった。 都市部と島部では島部の方が創造的魅変に大きな 変化があり,変化が最も明確に項れた島部の4年で 学九思考特性,体験との相関が現れた。 自然・工 夫体験に対する調査では,体験に感動する割合は低 学年から中学年にかけて減少するが,その変化は都 市部も阜部もほぼ同じ振舞いを示した。 以上のように小学校の期間とは個々の生徒が創造 的態度を確立し,個々の興味を分化させていく時期 にあたると考えられる。 創造的態度が中学生に向け て明確化する段階であり,教育する側が年齢や地域 に応じた生徒の創造的態度の発達段階を把握し,望 ましも噛り造的態度が獲得されるように教育すること が小学校の創造性教育においては重要であると考え られる。 なお,新任として学校現場に配属になった場合, 中学年の担任となる教員は多い。 今回の調査で明ら かになったように,中学年に璃馳ミ態度,能力と もに明確化し始める非常に重要な時期である。 生徒 は,自らの考えや態度が周囲にどのように受け入れ られるかとということで自身の態度を決定している 部分もあると推測される. そゐようにして獲得して いった創造的態度が,思考九ひいては「学力」ま で影響を与える可能性があることを,現場の教師は しっかりと心にとどめておく必要があろう。 謝辞 本研究を遂行するにあたり,兵庫教育大学本間均 教授,石原諭助教陵には有益なご助言をいただきま した。また,鹿児島市立東谷山小学校,及び大島郡 伊仙町立伊仙小学校の諸先生方,児童のみなさんの ご協力を得ましたので,ここに深く感謝の意を表し ますふ 引用・参考文献 1)豊島禎康・庭瀬敬柵:中学生の創造的態 度についての研究-「原体験」と学力との関連 を通して-,理科教育学研究,VoL41,No. 2,1-7 2)A. H. マズロー(1964):完全なる人間,上田告一 駅,誠信書房 3)恩田彰(1994):創造性教育の展開,恒星杜畢生 閣108・114 4)山田卓三編(1990):原体験教材開発グループ, 「ふるさとを感じるあそび辞典」,農文協 5)山田卓三編(1996):原体験教材開発グループ, 「科学を感じるあそび辞典」,農文協 6)文部省(1999):小学校学習指導要衝解説総則 編,東京書籍 7)弓野憲一・雪山美穂子{1994):小学生の負雌性 と自己の発達,日本創造学会第16回研究大会 論文集,4-7 8)西康康隆・庭瀬敬右,投稿中 9)虹p. Tbrrance(1967):Ed励nandCreative Potential,UniversityofMinnesotaPress,41 43.