Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
中高年の性を考える−いつまでも逞しい男性でいるため
に
Author(s)
丸茂, 健
Journal
歯科学報, 113(4): 416-416
URL
http://hdl.handle.net/10130/3144
Right
日本は欧米先進国と同様に高齢化社会を迎えています。その中で避けることができないのが,加齢に伴う男 性性機能の低下です。特に勃起機能が低下する原因としては血清テストステロンの減少,陰茎海綿体白膜の脆 弱化,危険因子となる生活習慣病の増加をあげることができます。おもな疾患は高血圧症,心臓疾患,糖尿 病,高脂血症などです。 高血圧症の状態が長く続くと血管にストレスがかかり,動脈に損傷と硬化が起こります。これにより陰茎の 血流が低下し,勃起が起こりにくくなります。冠状動脈の硬化がある場合にも陰茎海綿体動脈の硬化が並行し て起こり,心筋梗塞発作の数年前から勃起障害が発生します。また糖尿病の場合には末梢神経障害が発生する と,勃起に必要な中枢神経から陰茎へ刺激を伝達する機能が低下することが勃起障害の原因となります。 生活習慣として,喫煙は勃起障害の独立した危険因子です。喫煙者は非喫煙者と比較して内陰部動脈の硬化 性病変が強いことが知られ,またニコチンが内陰部動脈の血流を低下させることが,動物とヒトで観察されて います。一方,多量の飲酒も勃起障害の原因となります。 加齢に伴う内分泌環境の変化が性機能のみならず,様々な臓器に影響をもたらします。男性ホルモンすなわ ちテストステロンは思春期に男性らしさを形作る役割を担っており,第二次性徴を発現させます。そのほかに テストステロンには動脈硬化を予防したり,脂質を代謝する作用があります。また,心と体の健康や,長寿と も関わりがあります。さらに,頭の認知機能にも関係するということが注目されています。加齢に伴うテスト ステロンの低下に対しては,適切な男性ホルモン補充療法を行うことにより,患者さんの健康と QOL の改善 に役立つことができます。 次に,軽症の肥満男性(BMI≧30)110人を2群に分けて,介入群にカロリー摂取制限と身体活動度の増大 の実地指導を行い,対照群に健康の一般的な情報提供のみを行って,2年間の追跡調査の後,両群を比較した 研究があります。その結果,前者の介入群では BMI の有意な低下,身体活動度の増加とともに,勃起機能が 改善しました。 性機能を良好に維持して,いつまでも逞しい男性でいるためには,特に若い時期から危険因子となる疾患の 予防と管理が重要であり,中高年以降の運動不足の解消,活発な運動は勃起障害の発生を減少させると考えら れます。 ≪プロフィール≫ <略 歴> 1976年 慶應義塾大学医学部卒業 1982年 ドイツ連邦共和国ビュルツブルク大学泌尿器科 に留学 2000年 慶應義塾大学医学部助教授(泌尿器科学) 2005年 東京歯科大学市川総合病院泌尿器科教授 <専門領域> 一般泌尿器科,泌尿器科腫瘍学,男性性機能 <所属学会> 日本泌尿器科学会(平成24年10月5日より代議員) 日本性機能学会(平成22年8月より平成25年5月まで理 事長) 日本腎臓学会 日本癌学会 日本癌治療学会 日本アンドロロジー学会(平成22年7月評議員) 腎癌研究会(平成7年4月より平成11年10月まで世話人 代表) 日本医師会(平成18年6月より学術企画委員会委員) American Urological Association
Deutsche Gesellschaft fuer Urologie e.V. International Society of Sexual Medicine ほか <主催学会> 平成8年3月 第6回日本性機能学会東部地方会会長 平成24年9月 日本性機能学会第23回学術総会会長