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大学生における対人苦手意識の解消方略と解消状態の関係

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Academic year: 2021

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(1)大学生における対人苦手意識の解消方略と解消状態の関係 阿多 彩美・堀井 俊章 Relationship between college student’s coping methods of nigate and conditions of overcoming it Ayami ATA and Toshiaki HORII 問. 題. 大学時代は様々な対人関係を経験し、その中で様々な感情を抱く時期である。ある 特 定 の 人 物 に 対 す る 感 情 は 対 人 感 情 と 呼 ば れ ( 齊 藤 , 1990)、 人 は 相 手 に 対 し て あ る 一 定 の 対 人 感 情 を も ち 、 そ れ を ベ ー ス に 相 互 作 用 を 行 っ て い る ( 齊 藤 , 1985)。 対 人 感 情 には好意や尊敬といったポジティブな対人感情だけでなく、嫌悪や怒りなど のネガテ ィブな対人感情も含まれている。そのようなネガティブな対人感情を 引き起こす他者 と し て 、「 苦 手 」な 他 者 や 「 嫌 い 」 な 他 者 が 挙 げ ら れ 、 特 に 「 苦 手 」は 「 嫌 い 」 を 包 括 する概念とされ、嫌いな他者よりも苦手な他者の方が想起しやすいとされている(藤 平 ・ 城 , 2014)。 こ の よ う な 「 苦 手 」 は 多 く の 人 が 経 験 す る 対 人 感 情 で あ る こ と が う か が え る ( 日 向 野 , 2008; 日 向 野 ・ 小 口 , 2002)。 平 成 26 年 度 学 生 生 活 調 査 結 果 ( 独 立 行 政 法 人 日 本 学 生 支 援 機 構 , 2015) に よ る と 、 大 学 生 の 不 安 や 悩 み の 1 つ に「 学 内 の 友 人 関 係 の 悩 み 」が 挙 げ ら れ て い る 。高 井( 2008) によると、大学生の 6 割以上が人間関係に悩みを感じ、その悩みには「合わない相手 や嫌いな相手との関係」や「考え方の異なる他者との共存」などが含まれるとされ、 こ れ ら の 悩 み に つ い て 、「 自 分 自 身 の 内 部 に お こ る ネ ガ テ ィ ブ な 感 情 や 葛 藤 を う ま く 処理しつつ、少しでもより良い人間関係を築いていきたいという思いがあるのであろ う 」 と 推 察 さ れ て い る 。 ま た 、 日 向 野 ・ 堀 毛 ・ 小 口 ( 1998) に よ る と 、 大 学 生 は 苦 手 意識を感じる相手に対して、消極的な態度や拒否・回避などのネガティブなつきあい 方だけでなく、親和的な態度や柔軟な態度などのポジティブなつきあい方 を示すこと も報告されている。このような知見を鑑みると、大学生は苦手な人がいても、その苦 手意識を解消し、相手と上手くつきあっていきたいという思いをもっていることがう かがえる。 特定の他者に対する苦手意識、すなわち対人苦手意識は、学術的には 「特定の他者 に対する否定的な感情と消極的な態度の総称」 ( 日 向 野 , 2008;日 向 野 他 , 1998)と 定 義 されている。このような対人苦手意識について、従来その解消過程は十分に明らかに されているとは言い難い。今日、大学生における対人苦手意識を解消するための方法 やその解消状態との関係について検討することは、現代大学生の対人関係様式を理解 する手掛かりとなり、それとともに、大学生が抱える対人関係の悩みやストレスを軽 減させる一助となることが期待される。. 目. 的. 本研究では、大学生が対人苦手意識を解消する際にどのような方略を行っているの. 152.

(2) かを明らかにする。また、対人苦手意識を解消する方略が、対人苦手意識が解消され た状態とどのような関係にあるのかを分析し、その結果を提示する。. 予 備 調 査 目的 対人苦手意識を解消する際に行う方略(以下、対人苦手意識解消方略)および対人 苦手意識が解消された状態(以下、対人苦手意識解消状態) を収集し、カテゴリー化 を図り、対人苦手意識解消方略および対人苦手意識解消状態を測定する予備尺度項目 を構成する。 方法 調査協力者および調査時期. 首 都 圏 A 大 学 の 大 学 生 142 名( 男 性 84 名 、女 性 58 名 ). を 対 象 に 2017 年 7 月 に 実 施 し た 。 平 均 年 齢 は 19.5 歳 ( SD=1.28) で あ っ た 。 手続きおよび質問紙の構成 調査は無記名個別自記入形式の質問紙を集団方式で 実施した。調査内容の趣旨、個人情報の取扱い、回答の任意性等については文書と口 頭 で 十 分 に 説 明 を 行 い 、 同 意 を 得 た 者 を 対 象 と し た 。 回 答 時 間 は 10 分 程 度 で あ っ た 。 質問紙はフェイスシート(性別、年齢)および対人苦手意識解消方略(苦手な人物の 想 起 を 求 め 、そ の 人 物 に 対 す る 苦 手 意 識 を 解 消 す る た め に と っ た 行 動 )、対 人 苦 手 意 識 解消状態(その人物に対する苦手意識が解消された状態)を問う自由記述式の項目か ら構成された。 結果と考察 心 理 学 を 専 攻 す る 5 名 の 大 学 生 で 、 KJ 法 ( 川 喜 田 , 1967) を 援 用 し 、 調 査 で 得 ら れ た回答内容についてカテゴリー分類を行った。 対人苦手意識解消方略では、 「話す」 「一緒に行動する」 「共通点をもつ」 「妥協する」 「干渉しないようにする」 「理解をする」 「 長 所 を 探 す 」の 7 カ テ ゴ リ ー に 分 類 さ れ た 。 ワ ー デ ィ ン グ 処 理 を 行 い 、 計 22 項 目 を 抽 出 し 予 備 尺 度 を 構 成 し た 。 対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 で は 、「 相 手 の 変 化 」 「誤解の解消」 「理解」 「長所の発見」 「受 容 」「 関 係 の 変 化 」 の 6 カ テ ゴ リ ー に 分 類 さ れ た 。 ワ ー デ ィ ン グ 処 理 を 行 い 、 計 15 項 目を抽出し予備尺度を構成した。. 本 調 査 目的 予備調査で作成された対人苦手意識解消方略予備尺度と対人苦手意識解消状態予備 尺度の因子パターンと信頼性を検討した上で、対人苦手意識解消方略と対人苦手意識 解消状態との関係性を明らかにする。 方法 調 査 協 力 者 お よ び 調 査 時 期 首 都 圏 A 大 学 の 大 学 生 212 名 ( 男 性 124 名 、 女 性 88 名 ) を 対 象 に 2017 年 12 月 に 実 施 し た 。 平 均 年 齢 は 20.0 歳 ( SD=1.28) で あ っ た 。 手続きおよび質問紙の構成 調査は無記名個別自記入形式の質問紙を集団方式で 実施した。調査内容の趣旨、個人情報の取扱い、回答の任意性等については文書と口 頭 で 十 分 に 説 明 を 行 い 、 同 意 を 得 た 者 を 対 象 と し た 。 回 答 時 間 は 10 分 程 度 で あ っ た 。. 153.

(3) 質問紙はフェイスシート(性別、年齢)および予備調査で作成した対人苦手意識解 消方略予備尺度(想起した苦手な人物に対する苦手意識を解消するためにとった行動 の 程 度 を 問 う 22 項 目 7 件 法 )と 対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 予 備 尺 度( 想 起 し た 苦 手 な 人 物 に 対 す る 苦 手 意 識 が 解 消 さ れ た 状 態 の 程 度 を 問 う 15 項 目 7 件 法 ) か ら 構 成 さ れ た 。 結果と考察 対人苦手意識解消方略予備尺度の因子分析と信頼性 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 予 備 尺 度 22 項 目 に つ い て 、 天 井 効 果 と フ ロ ア 効 果 が な い こ と を 確 認 し た 上 で 最 尤 法・プ ロ マ ッ ク ス 回 転 に よ る 因 子 分 析 を 行 っ た 。そ の 結 果 、3 因 子 16 項 目 が 得 ら れ た( Table 1)。因 子 間 相 関 は .12~ .55 で あ り 、中 程 度 以 下 で あ っ た 。 第 1 因 子 は 、「 そ の 人 と 共 通 の 好 き な も の に つ い て 話 し た 」「 そ の 人 と 共 通 の 趣 味 に ついて話した」 「 そ の 人 と 同 じ グ ル ー プ に 入 っ て 活 動 を し た 」な ど の 項 目 に お い て 高 い 負荷を示した。これらは、相手と共通点について話し、一緒に行動することで相手と 関 わ り を も つ と い っ た 内 容 で あ っ た た め 、「 接 近 方 略 」 と 命 名 し た 。. Table 1表1 対人苦手意識解消方略予備尺度の因子分析結果 対人苦手意識解消方略尺度の因子分析結果 因子. 項目. 1. 2. 3. 15.その人と共通の好きなものについて話した. .86. ‐.12. .14. 17.その人と共通の趣味について話した. .84. ‐.12. ‐.04. 19.その人と同じグル-プに入って活動をした. .74. ‐.04. .05. 13.その人と一緒に行動した. .72. ‐.04. .09. 11.その人と一緒に遊んだ. .72. ‐.09. ‐.10. 21.その人と一緒に仕事をした. .59. .05. .16. .51. .15. ‐.08. 6.自分が知らないその人の一面を知ろうとした. ‐.17. .84. .06. 3.その人の良いところを考えた. ‐.07. .80. .18. ‐.08. .59. ‐.05. .10. .53. ‐.15. .26. .40. ‐.04. ‐.07. .31. .61. ‐.20. ‐.23. .60. 8.その人はこういう人なのだと割り切った. .18. ‐.05. .59. 10.その人を苦手だと意識しないようにした. .13. .14. .47. 因子1. 因子2. 因子3. 因子1. -. .55. .12. 因子2. -. -. .25. 因子3. -. -. -. 9.その人と本音で話した. 20.その人が、なぜそのような行動をとるのかあ あ考えた 22.その人の考えていることを知ろうとした 7.その人の話を聞いた 5.自分が精神的に大人になろうと思った 18.その人を意識しないようにした. 因子間相関. 154.

(4) 第 2 因 子 は 、「 自 分 が 知 ら な い そ の 人 の 一 面 を 知 ろ う と し た 」「 そ の 人 の 良 い と こ ろ を考えた」などの項目において高い負荷を示した。これらは、相手の考え方や性格、 特 徴 を 理 解 し よ う と 試 み る 内 容 で あ っ た た め 、「 理 解 方 略 」 と 命 名 し た 。 第 3 因 子 は 、「 自 分 が 精 神 的 に 大 人 に な ろ う と 思 っ た 」「 そ の 人 を 意 識 し な い よ う に した」などの項目において高い負荷を示した。これらは、相手の苦手な面が解消され る こ と を 諦 め 、自 分 が 意 識 し な い よ う に 努 め よ う と す る 内 容 で あ っ た た め 、 「妥協方略」 と命名した。 各 因 子 の 負 荷 量 が .40 以 上 の 項 目 の ま と ま り を 下 位 尺 度 と し 、 各 下 位 尺 度 に お い て Cronbach の α 係 数 を 算 出 し た 。 そ の 結 果 、「 接 近 方 略 」 が .87、「 理 解 方 略 」 が .78、「 妥 協 方 略 」 が .67 で あ り 、 一 定 の 信 頼 性 ( 内 的 整 合 性 ) が 確 認 さ れ た 。 対人苦手意識解消状態予備尺度の因子分析と信頼性 対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 予 備 尺 度 15 項 目 に つ い て 、 天 井 効 果 と フ ロ ア 効 果 が な い こ とを確認した上で、最尤法・プロマックス回転による因子分析を行った。その結果、 2 因 子 12 項 目 が 得 ら れ た ( Table 2)。 因 子 間 相 関 は .54 で あ り 、 中 程 度 で あ っ た 。 第 1 因 子 は 、「 そ の 人 の 苦 手 な と こ ろ を 気 に し な い よ う に な っ た 」「 そ の 人 は こ う い う人なのだと受け入れられるようになった」などの項目において高い 負荷を示した。 こ れ ら は 、 相 手 の 性 格 や 特 徴 を 受 け 入 れ た 状 態 を 表 す た め 、「 受 容 状 態 」 と 命 名 し た 。 第 2 因 子 は 、「 そ の 人 と 仲 良 く な っ た 」「 そ の 人 と よ く 話 す よ う に な っ た 」 な ど の 項 目において高い負荷を示した。これらは、自分と相手が親和的で良好な関係となり、 互 い の 関 係 が 改 善 さ れ た 状 態 を 表 す た め 、「 関 係 改 善 状 態 」 と 命 名 し た 。 Table 2表2 対人苦手意識解消状態尺度の因子分析結果 対人苦手意識解消状態尺度の因子分析結果 tai. 因子. 項目. 1. 6. その人の苦手なところを気にしないようになった. 2. .81. ‐.31. .71. ‐.23. .66. .07. .59. .03. 13. その人の性格を理解することができた. .58. .13. 11. その人の考えを知ることができた. .52. .08. 9. その人は、自分が思っていたイメ-ジと違うことに あ気がついた. .43. .14. 10. その人と仲良くなった. .10. .84. 15. その人とよく話すようになった. .01. .80. 8. その人と一緒に遊ぶようになった. ‐.19. .78. 1. その人が自分に心を開いてくれた. .18. .56. 3. その人が自分を好きになってくれた. .30. .53. 因子1. 因子2. 因子1. -. .54. 因子2. -. -. 4. その人はこういう人なのだと受け入れられるように あなった 2. その人の苦手なところだけではなく、良いところも あみつけた 12. 見方を変えれば、苦手だと思っていた性格もその人 あの良いところだと思えるようになった. 因子間相関. 155.

(5) 各 因 子 の 負 荷 量 が .40 以 上 の 項 目 の ま と ま り を 下 位 尺 度 と し 、 各 下 位 尺 度 に お い て Cronbach の α 係 数 を 算 出 し た 結 果 、 「 受 容 状 態 」が .80、 「 関 係 改 善 状 態 」が .86 で あ り 、 それぞれ高い信頼性(内的整合性)が確認された。 対人苦手意識解消方略の性差 対人苦手意識解消方略の性差について検討を行うために、対人苦手意識解消方略尺 度 の 各 下 位 尺 度 得 点 に つ い て t 検 定 を 行 っ た ( Table 3)。 そ の 結 果 、「 接 近 方 略 」 は 有 意 な 性 差 が 見 ら れ な か っ た (t(135)= −1.08, n.s.)。「 理 解 方 略 」 は 男 性 よ り も 女 性 が 有 意 に 高 い 得 点 を 示 し た (t(135)=−2.32, p<.05)と 、 「 妥 協 方 略 」は 男 性 よ り も 女 性 が 有 意 に 高 い 得 点 を 示 し た (t(135)=−2.90, p<.01)。 すなわち、対人苦手意識を解消するために、女性は男性よりも「理解方略」や「妥 協方略」を行いやすいことが示唆された。 Table 3 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 尺 度 の 性 差 男 性 (n=80). 女 性 (n=57). M. SD. M. SD. 接近方略. 26.96. 8.96. 28.72. 10.00. −1.08. 理解方略. 20.29. 5.76. 22.72. 6.41. −2.32*. 妥協方略. 16.05. 5.11. 18.46. 4.29. −2.90**. **p <.01. t値. *p <.05. 対人苦手意識解消状態の性差 対人苦手意識解消状態の性差について検討を行うために、対人苦手意識解消状態尺 度 の 各 下 位 尺 度 得 点 に つ い て t 検 定 を 行 っ た ( Table 4)。 そ の 結 果 、「 受 容 状 態 」 で は 男 性 よ り も 女 性 が 有 意 に 高 い 得 点 を 示 し た (t(135)=−3.12, p<.01)。 「 関 係 改 善 状 態 」に つ い て は 有 意 な 性 差 は 見 ら れ な か っ た (t(135)=−1.59, n.s.)。 す な わ ち 、対 人 苦 手 意 識 が 解 消 さ れ た 状 態 に つ い て 、女 性 は 男 性 よ り も「 受 容 状 態 」 が高いことが示唆された。 Table 4 対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 尺 度 の 性 差 男 性 (n=80). 女 性 (n=57). t値. M. SD. M. SD. 受容状態. 32.15. 6.66. 35.72. 6.54. −3.12**. 関係改善状態. 22.33. 5.75. 23.91. 5.78. −1.59. **p <.01 パス解析モデル 対人苦手意識解消方略は対人苦手意識解消状態と関係を示すという仮説モデルに基 づ き 、 共 分 散 構 造 分 析 に よ る パ ス 解 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 Figure 1 の よ う な モ デ ル が得られた。データと採択されたモデルの適合度について検討した結果、適合度指標 は 、χ ²(2)=1.54(n.s.)、GFI=.996、AGFI=.966、NFI=.993、CFI=1.000、RMSEA=.000 で あ り、データとモデルは十分に適合していることが示された。. 156.

(6) 接近方略. 受容状態 *** χ ²(2)=1.54( n.s. ). 理解方略. GFI=.996 AGFI=.966. ***. 関係改善状態. NFI=.993 CFI=1.000 RMSEA=.000. 妥協方略. *** p <.001 ** p <.01 ** p <.05. Figure 1 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 解 消 状 態 の 関 係 ( 全 体 ) 採 択 さ れ た モ デ ル の パ ス 係 数 ( β )は そ れ ぞ れ 、「 接 近 方 略 」 か ら 「 関 係 改 善 状 態 」 は .64(p<.001)、 「 理 解 方 略 」か ら「 受 容 状 態 」は .51(p<.001)、 「 妥 協 方 略 」か ら「 受 容 状 態 」 は .21(p<.001)、「 関 係 改 善 状 態 」 か ら 「 受 容 状 態 」 は .41(p<.001)で あ っ た 。 す な わ ち 、「 接 近 方 略 」 は 「 関 係 改 善 状 態 」 に つ な が り 、「 関 係 改 善 状 態 」 は 「 受 容 状 態 」に つ な が り や す い こ と が 示 唆 さ れ た 。ま た 、「 理 解 方 略 」と「 妥 協 方 略 」は「 受 容状態」につながりやすいことが示唆された。 男女別のパス解析モデル 対人苦手意識解消方略と対人苦手意識解消状態の関係について、男女別に共分散構 造 分 析 に よ る パ ス 解 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 男 性 に お い て は Figure 2、 女 性 に お い て は Figure 3 の よ う な モ デ ル が 得 ら れ た 。 い ず れ も デ ー タ と モ デ ル は 十 分 に 適 合 し て い ることが示された。. 接近方略. 受容状態 *** χ ²(2)=0.25(n.s. ). **. GFI=.999. 理解方略. AGFI=.981 NFI=.998. 関係改善状態. CFI=1.000 RMSEA=.000. *** p <.001 ** p <.01 * p <.05 † p <.10. 妥協方略. Figure 2 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 解 消 状 態 の 関 係 ( 男 性 ). 157.

(7) 接近方略. 受容状態 *** χ ²(2)=1.40(n.s .) GFI=.990. 理解方略. AGFI=.927 NFI=.987. *. 関係改善状態. CFI=1.000 RMSEA=.000. *** p <.001 ** p <.01. 妥協方略. * p <.05. Figure 3 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 解 消 状 態 の 関 係 ( 女 性 ) 男 性 の パ ス に つ い て 、採 択 さ れ た モ デ ル の パ ス 係 数 (β)は そ れ ぞ れ 、 「 接 近 方 略 」か ら 「 受 容 状 態 」は −.23(p<.10)、 「 接 近 方 略 」か ら「 関 係 改 善 状 態 」は .70(p<.001)、 「理解方 略 」か ら「 受 容 状 態 」は .54(p<.001)、 「 理 解 方 略 」か ら「 関 係 改 善 状 態 」は −.24(p<.05)、 「 妥 協 方 略 」 か ら 「 受 容 状 態 」 は .26(p<.01) 、「 関 係 改 善 状 態 」 か ら 「 受 容 状 態 」 は .45(p<.001)で あ っ た 。 ま た 、 女 性 の パ ス に つ い て 、 採 択 さ れ た モ デ ル の パ ス 係 数 (β) はそれぞれ、 「 接 近 方 略 」か ら「 関 係 改 善 状 態 」は .57(p<.001)、 「 理 解 方 略 」か ら「 受 容 状 態 」 は .53(p<.001)、「 理 解 方 略 」 か ら 「 関 係 改 善 状 態 」 は .22(p<.05)、「 妥 協 方 略 」 か ら「 関 係 改 善 状 態 」は −.21(p<.05)、 「 関 係 改 善 状 態 」か ら「 受 容 状 態 」は .31(p<.01)で あ った。 以 上 の 結 果 よ り 、男 女 と も に「 接 近 方 略 」は「 関 係 改 善 状 態 」に つ な が り 、 「関係改 善 状 態 」は 「 受 容 状 態 」に つ な が り や す い 。 ま た 、「 理 解 方 略 」 は 「 受 容 状 態 」に つ な がりやすいことが示唆された。つまり、男女に共通して言えることは、相手と共通点 について話し、一緒に行動することで相手と関わりをもつことが、相手との関係改善 をもたらし、その関係改善が相手への受容をもたらしやすい。また、苦手な相手の考 え方や性格、特徴を理解しようと試みることが相手への受容をもたらしやすいことが 推察された。 その一方で、 「 理 解 方 略 」か ら「 関 係 改 善 状 態 」へ の パ ス は 、女 性 で は 有 意 な 正 の パ ス が 認 め ら れ た が 、男 性 で は 有 意 な 負 の パ ス が 認 め ら れ た 。ま た 、 「 妥 協 方 略 」か ら「 受 容状態」へのパスについて、男性では有意な正のパスが認められたが、女性では有意 なパスが認められなかった。すなわち、女性のみ「理解方略」が「関係改善状態」に つながりやすく、男性のみ「妥協方略」が「受容状態」につながりやすいことが示唆 された。つまり、女性は苦手な相手の考え方や性格、特徴を理解しようと試みること が相手への受容だけでなく、相手との関係改善ももたらしやすいのに対し、男性は相 手の苦手な面が解消されることを諦め、自分が意識しないように努めようとする こと が相手への受容をもたらしやすいことが推察された。これらの男女間の差異を引き起 こ す 要 因 ま で は 明 確 に な ら な い が 、友 人 関 係 に 期 待 す る こ と の 違 い( 和 田 , 1993)を は じめ、男女の対人関係に対する考え方や行動の違いなどの要因が影響を与えている可 能性がある。. 158.

(8) まとめと今後の課題 本研究の主な結果は以下の 3 点である。 1. 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 の 因 子 パ タ ー ン 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 は 「 接 近 方 略 」「 理 解 方 略 」「 妥 協 方 略 」 の 3 因 子 か ら 構 成 さ れ 、対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 は「 受 容 状 態 」 「 関 係 改 善 状 態 」の 2 因 子 か ら 構 成 さ れ る こ とが明らかになった。 2. 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 の 性 差 対人苦手意識解消方略の「理解方略」と「妥協方略」は男性よりも女性が行いやす いことが示された。また、対人苦手意識解消状態の「受容状態」は男性よりも女性が 高いことが示された。 3. 対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 対 人 苦 手 意 識 解 消 状 態 の 関 係 性 男女ともに対人苦手意識解消方略の「接近方略」は「関係改善状態」につながり、 「 理 解 方 略 」は「 受 容 状 態 」に つ な が り や す い こ と が 示 唆 さ れ た 。ま た 、女 性 の み「 理 解 方 略 」が「 受 容 状 態 」だ け で な く 、「 関 係 改 善 状 態 」に も つ な が り や す く 、男 性 の み 「妥協方略」が「受容状態」につながりやすいことが示唆された。 最後に、本研究の問題点と課題について次の 3 点を挙げる。第一に、本研究では、 想起した苦手な他者の属性を特定しなかった。苦手な他者の性別、年齢、職業等によ って解消方略や解消状態が異なる可能性がある。今後は苦手な他者の属性を考慮した 検討が必要である。第二に、本研究では学年差の検討を行わなかった。対人関係様式 が変化しやすい下級生と、固定する傾向にある上級生とでは苦手意識の解消方略や解 消状態に差異が見られる可能性がある。横断的・縦断的に学年差の検討を行う必要が ある。第三に、本研究では苦手意識が生じる要因の検討を行わなかった。苦手意識の 解消方略や解消状態は、なぜ苦手意識が生じるのかという要因によっても異なる可能 性がある。今後は苦手意識が生じる要因を考慮した検討を行う必要がある。. 引用文献 独 立 法 人 日 本 学 生 支 援 機 構 (2014). 平 成 26 年 度 学 生 生 活 調 査 結 果 Retrieved from https://www.jasso.go.jp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2017/06/16/data14_all.pdf ( 2018 年 1 月 30 日 ) 藤 平 亜 耶・城 佳 子 ( 2014). パ ー ソ ナ リ テ ィ 特 性 と 対 人 ス ト レ ス コ ー ピ ン グ ス タ イ ル が ス ト レ ス 反 応 に 及 ぼ す 影 響 ――苦 手 な 他 者 と 嫌 い な 他 者 の 違 い か ら ―― 文 教 大 学 生 活 科 学 研 究 , 36, 93−105. 橋 本 剛 (1997). 現 代 青 年 の 対 人 関 係 に つ い て の 探 索 的 研 究 ――女 子 学 生 の 面 接 デ ー タ か ら ―― 名 古 屋 大 學 教 育 學 部 紀 要 ( 心 理 学 ) , 44, 207−219. 日 向 野 智 子 (2008). 対 人 苦 手 意 識 の 生 起 と 相 互 作 用 の 過 程 に 関 わ る 社 会 的 ス キ ル ―― 一般的他者に対する社会的スキルと苦手な他者に対する社会的スキルにおける質的 差 異 の 検 討 ―― 立 正 大 学 心 理 学 部 研 究 紀 要 , 6, 39­49. 日 向 野 智 子・堀 毛 一 也・小 口 孝 司 (1998). 青 年 期 の 対 人 関 係 に お け る 苦 手 意 識 和 女 子 大 学 生 活 心 理 研 究 所 紀 要 , 1, 43­62.. 昭. 日 向 野 智 子 ・ 小 口 孝 司 (2002). 中 学 生 に お け る 対 人 苦 手 意 識 日 本 社 会 心 理 学 会 第 43 回 大 会 発 表 論 文 集 , 406−407. 川 喜 田 二 郎 (1967). 発 想 法 ――創 造 性 開 発 の た め に ―― 中 央 公 論 社. 159.

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Fig ure 1   対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 解 消 状 態 の 関 係 ( 全 体 )   採 択 さ れ た モ デ ル の パ ス 係 数 ( β ) は そ れ ぞ れ 、「 接 近 方 略 」 か ら 「 関 係 改 善 状 態 」 は .6 4(p&lt;.00 1) 、 「 理 解 方 略 」か ら「 受 容 状 態 」は .51( p&lt;.001 )、 「 妥 協 方 略 」か ら「 受 容 状 態 」 は .2 1(p&lt;.0 01) 、「 関 係 改 善 状
Fig ure 3   対 人 苦 手 意 識 解 消 方 略 と 解 消 状 態 の 関 係 ( 女 性 )   男 性 の パ ス に つ い て 、採 択 さ れ た モ デ ル の パ ス 係 数 ( β)は そ れ ぞ れ 、 「 接 近 方 略 」か ら 「 受 容 状 態 」は − .2 3(p&lt;.10 ) 、 「 接 近 方 略 」か ら「 関 係 改 善 状 態 」は .70 (p&lt;.001 )、 「 理 解 方 略 」か ら「 受 容 状 態 」は .5 4( p&lt;.0

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2 サービスの質の向上をめ ざし、苦情解決の仕組み の見える化と、苦情等に 対しての原因究明と再発