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1)非酸化物と新光学ガラス国際シンポジウム(ISNOG2012)参加報告

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Academic year: 2021

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2012年7月1日から5日までフランスのサ ン・マロにおいて,ISNOG(International Sym-posium on Non Oxide and New Optical Glasses:非酸化物および新規光学ガラスに関 する国際会議)2012が,レンヌ大学の主催で 開催された。 サン・マロは,日本のマンガや映画に登場し たこともあるのでご存知の方も多いかもしれな いが,フランス北西部ブルターニュ地方最大の 観光地である。城壁で囲まれた旧市街はどの通 りにも飲食店やお土産屋があり,観光客で賑わ いを見せていた。また,城壁の上は散歩道にな っていて,街の外周を一周しながら街と海と空 を眺めることができる(写真1)。この付近の 海は潮の満ち引きが激しく,満潮時と干潮時の 海面の差は10m にもなる。実際,さっきまで 砂浜だった場所が数時間で深い海の底になって いた(写真2)。干潮時には近くの2つの小島 に続く石畳の道が現れて歩いて渡ることもでき る(写真3)が,潮が満ち始めるとあっと言う 間に道が消えるので監視員が注意を呼びかけて いた。ちなみに,砂浜には巨大な木の杭が何本 も立てられているのだが,これは波消しの為だ そうで景観を損ねずに激しい波に対処する工夫 がなされている。学会開催期間中はあまり天候 に恵まれなかったが,晴れた日に観光目的で訪 れるならば素晴らしいロケーションである。 さて,ISNOG であるが,1981年(ケンブリ ッジ)から2年おきに開催されており今回で18 回目となる。また,レンヌ大学が開催するのは 1985年以来2回目のことである。講演件数は 133件の口頭発表,89件のポスター発表があ り,26カ国から約200名が参加した。日本か らの招待講演は3件,一般口頭発表は2件,ポ スター発表が2件で参加者は5名のみであっ た。 7月2日午前中の会議では,冒頭のオープニ ングセレモニーで ISNOG およびレンヌ大学が Tokyo Institute of Technology Chemistry and Materials Science

Tetsuo Kishi

Report on ISNOG 2012

哲 生

東京工業大学 物質科学専攻

The International Symposium on Non Oxide and

New Optical Glasses(ISNOG)2012参加報告

ニューガラス関連学会

〒152―8550 東京都目黒区大岡山2―12―1S7―4 TEL 03―5734―2523 FAX 03―5734―2845 E­mail : tkishi@ceram.titech.ac.jp 写真1 サン・マロの城壁からの風景 31

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紹介された後に,レンヌ大学の Jacques Lucas 名誉教授に対して“Special session in honor of Prof.Jacques Lucas,member of the French Academy of Science および記念品の授与式が 行われた。Plenary speech として,Lucas 名誉 教授と親交のあるアリゾナ州立大学の C.A. Angell 教授と京都大学の田部勢津久教授の2 つの講演があった。

田部教授の講演は, Novel optical glass ce-ramics for green photonics というタイトル で,ガラス結晶化や Frozen sorbet 法を用いて 作製した YAG : Ce 蛍光体,長残光を示す蛍光 体およびルビーを含むガラスセラミックスなど に関する成果を総括されていた。講演の終盤で は,SrO―Al2O3―B2O3:Eu2O3+Dy2O3試 料 と 紫 外光源を使った残光のデモンストレーションを 行い,幻想的に輝く様子に会場全体がどよめい ていた。 2日午後から5日の夕方までの4日間は,2 つの会場に分かれて口頭発表,2度のポスター セッションがあり,以下の8つのセッションに 関して講演があった。 Ⅰ.Synthesis,Melting Processing(合成,溶 融プロセス)

Ⅱ.Glass Transition,Relaxation in Glasses and Glass Forming Liquids(ガラス転移,ガラ スおよびガラス形成液体中での緩和) Ⅲ.Modeling of Glass Structures : Structure

and Properties(ガラス構造のモデリング: 構造および物性)

Ⅳ.Glass―Ceramics,Optical Ceramics(ガ ラ スセラミックス,光学セラミックス) Ⅴ.Glasses and Glass Ceramics for Active

Ap-plications(能動素子応用のためのガラスお よびガラスセラミックス)

Ⅵ.Photoinduced Effects in Glasses(ガラス 中の光誘起効果)

Ⅶ.Glasses for Energy Applications(エネル ギー用ガラス)

Ⅷ.Glasses for Medicine and Biotechnology, Sensors(医薬および生物工学のためのガラ ス,センサー) 学会名の前半にある通り,主な対象は非酸化 物系,特にカルコゲナイドガラスであった(表 1)。しかしながら,Ⅳ∼Ⅷのセッションでは, 酸化鉛,酸化ビスマス,酸化テルル系などの重 金属酸化物およびケイ酸塩系やリン酸塩系のガ ラスの発表も多く,多種多様なガラスまたはガ 写真2 サン・マロの海の潮の満ち引き 写真3 干潮時に現れる島へと続く道 32

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カルコゲナイド系 ハライド系 酸化物系 発表件数 124 27 65 注)ガラス系が不明な講演は集計していない。 ラスセラミックスの応用を聴くことができた。 日程全体を通して会場には多くの聴衆がおり活 発な議論が行われていた。筆者は主に応用領域 のセッションを聴講していたが,そのうちのい くつかを紹介する。 M.Montesso(ブ ラ ジ ル)ら は,NiO や Ag の ナ ノ 粒 子 を 含 む WO3―SbPO4―PbO―NiCl2― AgCl 系ガラスおよびガラスセラミックスを溶 融急冷法により作製した。母ガラスはアンチモ ンやタングステンなどの重元素を含み,波長 543―1550nm における屈折率が2.10から2.01 と高く,様々な光学応用を検討しているとのこ とであった。今回は,ガラスセラミックス作製 時の熱処理中の色の変化を紫外可視でその場測 定した結果と Ni を含むガラスの1.2―1.8μm 帯におけるブロード発光の報告があった。 M.Olivier(フランス)らは,Pr を添加した ZBLA ガラス光導波路を,HCl ガスを用いたイ オン交換で作製した。マイクロビデオプロジェ クタ用のコンパクトな RGB レーザー光源への 応用を目指しており,青色光励起可能で緑,オ レンジ,赤色領域に発光バンドを持つ Pr を発 光中心として選択している。F―→Cl― イオン交 換層は1から10μm で0.02から0.1の屈折率 変化が得られる。溶融塩によるイオン交換と違 い,気体に晒して陰イオンが交換される点が興 味深かった。 M.Schimidt(ドイツ)らは,金,カル コ ゲ ナイドガラスおよびテルライトガラスなどのメ ルトをシリカガラス製のホーリーファイバの中 空部分に吸い込む(正確には押し込む)ことで 様々なハイブリッドファイバを作製した。Ga4 Ge21Sb10S65組成を用いることで中空ファイバの 数 cm の長さまで隙間無くカルコゲナイドガラ スを詰め込み,フォトニックバンドギャップや スーパーコンティニューム光の発生を確認して いる。パターンが微細になるほど詰め込める長 さが短くなってしまうなど難しい点もあるもの の,複合材料の複雑な構造をシンプルに作って 物性を出している点に感銘を受けた。 第19回 ISNOG は2014年に韓国で開催予定 である。次回もガラスに関する幅広い発表・議 論が行われるものと思われる。 表1 ISNOG2012における発表内容 33

参照

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