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第2章 必修教科等の研究 5 音楽 音楽活動を支える基礎的な能力をはぐくむ

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Academic year: 2021

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音楽 1

5 音楽

音楽活動を支える基礎的な能力をはぐくむ

-思考ツールをいかした授業の工夫- 森 美幸 1.研究主題によせて (1)はじめに 学習指導要領において「音楽活動の基礎的な能力」 とは,①主体的に取り組む態度,②思考力・判断力 ・表現力,③基礎的な知識及び技能となっている。 「音楽活動で身に付けさせたい力」は,表現や鑑賞, 創作等の活動そのものではなく,活動を通して何が はぐくまれたかである。 思考力・判断力・表現力について,音楽活動の過 程では,まず思考力が働く。「思考」では音楽を知 覚(聴き取り)・感受(感じ取り)し,それをどの ように表現するのか,自分なりに「思い」や「意図」 を持つことである。次に思考したことを「判断」す る判断力が働くが「A 表現」の場合,まず自分なり に持った「思い」や「意図」を実際にいろいろ試す 中で「このように演奏したい」と「判断」すること である。「B 鑑賞」の場合,知覚・感受したことに 「思い」や「意図」を持って,そのよさを自分なり に判断して批評文を書くことである。最後に「判断」 したことを表現する表現力だが,二種類あり,思考 ・判断したことを言葉で表現する「言語表現」と, 思考・判断したことを技能で表現する「音楽表現」 である。 思考力・判断力・表現力がみがかれる(はぐくま れる)ことで,音楽に対する知識・理解が増えてい く。それと並行して,主体的に取り組む態度も養わ れる。学習指導要領の目標にある「生涯にわたって 音楽を愛好する力」が育まれ,「音楽を愛好できる 力」が生まれるのではないかと考える。 音楽科で身に付けたい豊かな情操とは,歌唱表現 ・器楽表現・創作表現・鑑賞といった活動そのもの ではなく,活動を通してはぐくまれるものである。 生涯にわたって楽しく豊かな音楽活動ができるため の基になる能力を伸ばすためには,音楽を形づくっ ている要素が,「知覚」・「感受」することと結び つくことが最も重要と考える。その音楽を形づくっ ている要素は,平成24 年(2012 年)の学習指導要領に 新設された〔共通事項〕に示されている。「知覚」 「感受」したことに自分なりの「思い」や「意図」 を持つこと,つまり「思考」する力である「思考力」, 思考したことを試すことで自分はこう演奏したい, こう批評すると「判断」する力である「判断力」, 判断したことを表現する力である「表現力」,この 本論の要旨 音楽というものは,生涯において切り離すことのできない分野である。日々の生活の中でもあらゆる場 面で音楽が使用されており,人間にとって音楽は楽しみであったり悲しみを癒すものであったりと,多大 な影響力を持つものであると考える。そこで,授業における音楽活動を通して基礎的な能力をはぐくみ, 音楽を楽しむことができる力を持たせたい。現行の学習指導要領における中学校音楽科の目標にも「豊か な情操を養う」と示されている。目標の内容は,主に「音楽を愛好する心情」「音楽に対する感性を豊か に」「音楽活動の基礎的な能力」「音楽文化の理解」の4つの部分で示されており,音楽活動を通してこ の4つを総合的に作用させ,それが豊かな情操を養うことに通じると考える。 キーワード 思考ツール,思考・判断・表現、ワークシート,つながり — 58 —

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音楽   三つをキーワードとし,音楽活動の基礎的な能力を はぐくむための研究を実践していきたいと考える。 また,授業において,「思考→判断→表現」を段階 的によりわかりやすく考えるための思考ツールを作 成し,活用していく授業を研究実践していきたいと 考える。  (2)研究のねらい  昨年度、鑑賞時のワークシーとして,同心円チャ ートにオリジナルを加えたものを使用することで, 知覚(聴き取り)と感受(感じ取り)を整理して記 入させることができた。そうすることによって自分 がワークシートに記入した内容が今までと同じよう に知覚・感受した内容であっても,分類整理されて 記入できるため学習としての高まりを実感すること ができた。このように,ワークシートを工夫するだ けで視覚的に頭の中での思考が整理され,分類もさ れるため,生徒の持っている能力をうまく引き出す ことができ,そのことで生徒自身が「わかった」と いう実感が持てるようになった。このことを生かし, 鑑賞のみならず他の題材でもワークシートの工夫を 行い,「思考力→判断力→表現力」の向上へと繋げ ていきたいと考える。そこで,思考ツールを使用し 記入方法を工夫することで視覚的効果も入り,生徒 の頭の中で繰り広げられている「思考→判断」がわ かりやすく整理され,豊かな「表現力」へと繋がる のではないかと考える。また,生徒の頭の中で繰り 広げられている「思考→判断」の場面が見て取れる ワークシートの工夫をすることで教師も生徒も過程 がわかり,イメージしたことを音楽表現に変化でき る力の向上に繋がると考える。  (3)研究仮説  音楽の学習において,あらゆる題材での思考ツー ルの活用において,「思考→判断→表現」の過程を 思考ツールを用いて段階的に進めることにより,視 覚的にも整理され,生徒も思考しやすくなり,思考 ・判断したことを表現へと繋げ,音楽活動の基礎的 な能力がはぐくまれると仮説する。また,これを繰 り返すことで身に付けた力により,他の題材におい ても表現の幅が広がると考えられる。  今年度は創作において思考ツールの活用を実践す る。創作では作業の過程が見て取れるワークシート を活用することで,「思考→判断」の部分を見るこ とができると考える。また,ワークシートを縦に見 るとすべての過程が一目で確認でき,同じ小節の作 業を縦に見ることができる。よって,生徒も創作し やすくなると考える。        図1 ワークシート(創作)  (4)研究方法  創作のワークシートは縦方向も横方向も両方向を 見ながら創作していけるワークシートとした。横方 向はこれまでのものと同様,メロディーを考えてい く方向とし,縦方向は同じ小節を縦に見ることがで きるため,その小節ではどの音が使用できるか等の 確認ができるものとした。そうすることで創作過程 が分かりやすく表示され,その都度振り返りながら 活動を進めることができる。  また,このワークシートを使用することで,創作 作品の向上を図る。  2.授業実践(本校研究協議会研究授業として実践) 㻔1㻕題材名,対象学年,授業時数 創作 心に残るメロディーを創ろう — 59 —

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音楽   第2学年 全3時間 2 題材によせて 今回の創作活動は,題材として,俗に言う「感動コード」 と呼ばれている「カノン進行」(C→G→Am→Em→F →C→F→G)をシンプルにしたコード進行(C→G→ m→F)を使用した創作活動となり,「多くの人が好むコ ード進行」とされているものを使用してメロディーを考え させることで,コードに含まれる音を好きなように並べて いくだけで聴きやすい心に残るメロディーが創作できる という内容である。まず,様々な楽曲はコード進行によっ てメロディーの流れが決まることを学ばせ,コードネーム の役割を理解させる。また,「C→G→Am→Fのコード 進行」が使用されている有名な楽曲はビートルズの「Let It Be」や映画「アナと雪の女王」の「Let It Go」があ り,誰もが知っているサビの部分は同じコード進行ででき ていることから,人々が心地よいと感じる曲の流れはコー ド進行にあることに気づき,そこに音を乗せることで誰で も手軽に取り組める創作活動となると考える。 この題材では,決められたコード進行の上にメロディー を乗せる取り組みとなる。4種類のコードそれぞれで使用 されている音に限定してメロディーをつけ,また,どの音 を使用しても上手く合わさるため,容易に考える事ができ る手順となる。思考の際には思考ツールを用いて表記しや すい工夫を行い,思考,判断したことを表現へとつなげた い。 ここでは,イメージするメロディーの流れをコード進行 に合わせて創作することで,誰でも自然な流れ持つメロデ ィーが作れるという体験を通して創作の楽しさを味わい, 今後の創作活動への意欲を高めたいと考える。 また,創作メロディーの雰囲気を「なめらか」「リズミ カル」「4ビート」の3種類の伴奏から選び,音と音のつ ながり方を考えながらそれぞれの雰囲気に合ったメロデ ィーを創作させる。 学習指導要領の内容は,「A 表現」(3)創作の活動を 通して,次の事項を指導する,ア(言葉や音階などの特徴 を生かし,表現を工夫して旋律をつくること。),〔共通 事項〕では旋律,テクスチュア,構成,などを扱っていく。 3 学習目標 ①コード進行やメロディーの組み合わせに関心をもち,創 作表現することに意欲的に取り組もうとする。 ②4種類のコードが持つ特徴や雰囲気を感受し,それに合 う旋律をどのように乗せて創るかについて,思いや意図を 持っている。 ③コードを用いて表現したいイメージと関わらせて音楽 表現する技能を身に付け,旋律を創作する。  4 学習計画  第1次 コード進行やメロディーの組み合わせ に関心を持つ。 ○コードについて学ぶ。 ・コードの意味や役割を知る。 ○コード進行のもつ印象を感じ取る。 ・作曲にはコード進行が大きく関わっているこ とを知る。 ・有名な曲のコード進行にある共通点を知り, 進行による感動の影響を感じ取る。 ○メロディーの流れを知る。 ・「富士山」や「シャボン玉」などの曲のメロ ディーを線で表し,曲の山場には変化があるこ とを知る。 第  次 本時  コードが持つ特徴や雰囲気を生かした メロディーを創作表現する。 ○楽器を使用し,思考・判断しながら創作する。 ・例を聴き、伴奏を何風にするか決定する。 ・コードが持つ音を使用し,1拍目の音を決め る。 ・前時でイメージしたメロディーの流れをもと に,コード進行が持つ特徴や雰囲気に合わせた 旋律の流れを考え,ワークシートに記入する。 ・基本の旋律ができたら,さらに基本のメロデ ィーを発展させていく。 第3次 創作作品を発表し,他作品を批評する。 ○伴奏に合わせて創作作品を表現する。 ・思考・判断した部分を発表し,創作した作品 を伴奏に合わせて表現する。 ○他作品を批評する。 ・他の生徒の考え方の違いやよさを感受し,批 評文を書く。   5 本時の目標           〔第2次〕 コードやコード進行が持つ特徴や伴奏の雰囲気を 生かしたメロディーを,創作表現する。 — 60 —

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音楽 4 (6)評価規準 ①コード進行やメロディーの組み合わせに関心をもち,創 作表現することに意欲的に取り組もうとしている。 【関心・意欲・態度】 ②4種類のコードが持つ特徴や雰囲気を感受し,それに合 う旋律をどのように乗せて創るかについて,思いや意図を 持って創作している。 【音楽の感受】 ③コードを用いて表現したいイメージと関わらせて音楽 表 現 す る 技 能 を 身 に 付 け , 旋 律 を 創 っ て い る 。 【表現の技能】 (7)本時の学習過程(第2時) 学習内容・学習活動 指導上の留意点,★思・判・表を伸ばす方策,◆評価 導 入 1.前時の復習。 ・前回学習したコードやメロディーの流れについて復習させ,創作意欲を 高める。 展 開 2. 本時の課題を知る。 3. 有名な曲のコード進行を知り,コード進行 のもつ印象を感じ取る。 4.アルトリコーダーを用いた例を聴き、伴奏を 選ぶ。 5. 楽器(鍵盤楽器・アルトリコーダー) を使用し思考・判断しながら創作する。 ・有名な曲のコード進行にある共通点を知り,進行による人に与え る印象を感じ取らせる。 ・コードが持つ音をくじ引き方法で1つずつ選び、伴奏に合わせてアルト リコーダーで演奏させ、どの音を選んでも上手くいくことを知らせるとと もに、伴奏による雰囲気の違いを感じ取らせる。 ・コードが持つ音を使用し,1拍目の音を決めさせる。 ・前時でイメージしたメロディーの流れをもとに,コード進行が持 つ特徴や雰囲気に合わせた旋律の流れを,思考,判断,表現を繰り 返しながら考えさせワークシートに記入させる。 ツ★各小節ごとに記入できるようになっており,記入する内容は異なるが ,それぞれの小節ごとに縦に見ることでできるので,決まりや記入方法が わかりやすい。 判★普段耳にしている音楽の心地よさには法則があることに気づかせ,心 地よさを追求した創作を行う。 ・基本の旋律ができた生徒には,さらに発展した旋律を考えさせる。 ◆[音楽表現の創意工夫]ワークシート ゆ★班で1台の鍵盤楽器を使用することで,班員のアイデアを共有し,創 作思考のゆさぶりを行う。 ・創作活動中に、3種の伴奏を定期的に流す。 ま と め 6. 数名の作品を紹介する。 . ・数名の作品を紹介し,表現の工夫を考えさせる。 ゆ★活動途中に良い作品を紹介し,他の生徒の考え方の違いやよさを感受 し,創作思考のゆさぶりを行う。 (8)授業の実際の様子と考察 創作と聞いてほとんどの生徒が頭に浮かぶのは 「難しい」という文字である。特に,音符の読めな い生徒にとっては未知なことのように思うであろう。 この題材の授業を行った2年生は,1年時に箏を使 用した創作で,自分のイメージした妖怪キャラクターの登 コードやコード進行が持つ特徴や雰囲気を生かしたメロディーを,創作表現しよう — 61 —

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音楽   場シーンの音を拍子やリズムにとらわれない作り方で創 作する自由な創作活動を行った。次に,言葉にリズムをあ てはめるボイスリズムを使ったリズム創作の活動も行っ た。この2つの題材のように音とリズム,それぞれでの創 作では何を作るのかイメージする者がはっきりしており, また,メロディーではなかったため,とりかかりやすい題 材であった。しかし,本題材ではメロディー創作のため, 苦手意識の高まりが予想された。 本題材の授業は,まず第1次に,コードとコード進行の 学習から始めた。作曲にはコード進行が大きく関わってい るということを,実例を挙げて紹介した。紹介曲はどれも よく知られている曲である。まず,誰もが心地よいと感じ る曲である,パッヘルベルの「カノン」である。生徒は皆, カノンを聴いて「ああ,知ってる!」という反応を見せた。 次に,この曲のコード進行と同じコード進行を持つ曲を数 曲紹介した。「少年時代」,「さくら(森山直太朗)」, 「負けないで」,「愛をこめて花束を」である。聴くだけ では実感がわかない生徒のためにピアノを使用し,コード 進行の根音(単音)を生徒に弾かせ,授業者がメロディー だけを変えて弾き,伴奏は同じなのにどのメロディーでも 合うということを聴かせることで,より理解を深めさせた。 また,「富士山」や「シャボン玉」などのよく知られ ている曲のメロディーを聴いて線で表し,曲の山場に は音が上向する等の変化があることを知り、曲のサビ など印象に残るフレーズには特徴があることに気づ かせ,創作に役立たせる。     第2次では,創作活動に入った。カノンコードでの創作 はコード進行が8種類あり多いため,カノンコードをもと に生まれた,俗に言う「感動コード」と呼ばれる4種類(C →G→Am→F)のコード進行を使用した。この「感動コ ード」と呼ばれるコード進行を使った名曲を3曲(ビート ルズの「Let It Be」,「アナと雪の女王」の「Let It Go」,イルカの「なごり雪」)紹介したところ,カノン コードを使用した曲の紹介と同様,生徒からは「そうなん だ」という声があがった。ここでは,全く異なるメロディ ーでも同じコード進行であるということに気づくことが 重要である。次に,どのような雰囲気のメロディーにする か,雰囲気の異なる伴奏を3種類から選ばせ,メロディー を考える材料とした。まず初めに,1小節に1つのコード を使うとし,4種類のコードが持つ和音の音確認を行った。 (使える音はアルトリコーダーで演奏できる音の範囲)次 に,1音目の音を必ずコードが持つ和音の中から選ぶ決ま りとした。そうすることでその後に続く音が何の音になっ てもコード進行に合うからである。和音が持つ音の数は3 つか4つであるため,容易に決められると思っていたが, ここで結構時間がかかってしまった。1音目を決めやすい ように、自分がイメージするメロディーの流れを線で表さ せたのだが,「何をイメージしたらよいか」という活動が 難しくなる要因となってしまった。次の手順は1音目に続 く音を伴奏のイメージや線で表示した形に合わせて決め ていった。このときに,「なめらか」風を選んだ生徒は図 2のようなメロディーを創作した。作品の工夫した点とし て「なめらかになるように,音と音の並びができるだけと ばないようにした」ことを挙げている。         図2 生徒の創作作品① この作品を学級の代表として紹介したところ,「お お」という歓声があがった。この生徒の作品は,思 いや意図が工夫点と一致している作品と評価された。  第3次では,各自の創作作品の発表会となり,発 表と共に他作品の批評も行った。良い作品であると 評価されるものは,思いや意図と工夫点が見事に一 致している時であった。  9 研究を通してのまとめ  創作を題材とした授業を行うとき,生徒が「自分 でもできる」と思えるような内容となることを目指 してきた。しかし,音楽に自信のない生徒にとって は曲を作る行為は,取りかかる前からお手上げと思 ってしまう題材となる。どうしたら生徒全員が満足 できる創作活動ができるかというのが私自身の課題 — 62 —

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音楽   であった。  今回の取り組みでは,段階ごとに記入していくこ とで作品が出来上がる仕組みとなるワークシートを 使用した。徐々に作品が出来上がっていくワークシ ートとなるため,容易に進めることができると思っ ていたのだが,生徒の手が止まった瞬間があった。 それは,図1のワークシートの第1音目を決定した 後である。原因として考えられることを3つ挙げて いきたい。  1つ目は,何をイメージすればよかったのかが曖 昧でわからなかったことである。思考・判断の前に, 思いや意図の部分が抜けていたため,進みにくかっ たと考えられる。「なめらか」や「リズミカル」の ような雰囲気はわかるのだが,そこから具体的に何 をイメージしてなめらかにするのか,リズミカルに するのかを大切に考えさせると線でのイメージや音 に変化させる行程がスムーズであったと思われる。  2つ目は,積み上げである。1年生では(8)で も述べたように,箏を使用した創作で,自分のイメージ した妖怪キャラクターの登場シーンの音を拍子やリズム にとらわれない作り方で創作する自由な創作活動を行っ てきた。(図3)また,言葉にリズムをあてはめるボイス リズムを使ったリズム創作の活動も行った。(図4)        図3 生徒の創作作品②       図4 生徒の創作作品 このような積み上げを行ってきたが,思考・判断と思い や意図とのつながりがしっかりと定着していなかっ たことが今回の活動に響いたと考えられる。また, リズムや旋律など総合的な創作に至るにはまだ早か ったように思われる。1年生から3年生まで段階を 組み立て、徹底的にリズムのみの創作を行い次に旋 律の創作を行うなど,学年の状況や段階に合った創 作活動で学習の定着を図り,その上でステップアッ プしていくことが大切である。  3つ目は,グループ活動の持ち方である。今回は 4人に1台のキーボードを準備し,各個人で創作を 行う形式をとったが,創作活動の協働は行われず, キーボードの共有のみで終わってしまったため,4 人グループが生かされないものとなった。また,グ ループ分けは教室での4人グループをそのまま使っ たため,グループによって音楽知識が偏ってしまう こともあった。一部のグループはとても早く進める ことができているが,他のグループはなかなか進ま ないなど,差が大きく出ることもあった。そのため, 力量の差が大きい音楽では,グループを活用するに は意図的に作成することも重要であることに気付い た。 この3つの原因をもとに,試行錯誤しながら授業 研究を続けていきたいと考える。  思考ツールを活用したワークシートを作成し,創 作活動に生かしていくことが本年度の大きな研究目 的であったが,活用する前の過程や積み上げの部分 に課題があったと考えられる。生徒がそれぞれの思 いや意図を持ち,思考・判断の過程が見える思考ツ ールを生かしたワークシートの工夫を行い,生徒が 活用できるような授業展開をしていきたい。  — 63 —

参照

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