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第2章 必修教科等の研究 09 英語 伝えたいことを伝えあえる力の育成を目指した英語授業の創造 : 言語活動中心の英語授業で培うコミュニケーション能力

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Academic year: 2021

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伝えたいことを伝えあえる力の育成を目指した英語授業の創造

-言語活動中心の英語授業で培うコミュニケーション能力- 小林 恭子             1.研究主題によせて (1)はじめに 外国語教育におけるコミュニケーション能力の育 成をめぐって特に注目されるのは,平成  年  月の 学習指導要領の改訂で,小学校において外国語活動 が必修となり,「積極的にコミュニケーションを図 ろうとする態度の育成」,「コミュニケーション能 力の素地を養う」ことが目標として掲げられたこと である。また,中学校・高等学校においては「積極 的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育 成」「コミュニケーション能力の養成」が目標とし てあげられている。その結果,小・中・高が連携し てコミュニケーション能力の養成に取り組む必要が 示されている。 (2)研究のねらい コミュニケーション能力の養成はどのようにす れば可能になるのであろうか。高校の授業ではコミ ュニケーション能力の養成を強く意識した授業科 目が新設され,さらに英語の授業は英語で行うこと を基本にすることが明記されている。しかし,ただ 単に英語使用の場面を増やすことだけではコミュ ニケーション能力は育成できない。 ところで教室での主な英語使用の場面は3つある と考える。 1つ目は教師の英語を模倣反復することやパタン ・プラクティスのような活動である。これらは新出 語句や文法の学習時に,口慣らしや習得目的のため に行われる。この活動では意味のつながりに殆ど注 意が向けられないため,コミュニカティヴな活動と は言えないであろう。 2つ目は情報授受の活動である。相手の言うこと を正確に聞き取り,書いてある内容を正確に読み取 るなど,情報を正確に受けたり,発したりする活動 である。例えば,教科書の内容理解を確かめるため の 4XHVWLRQ $QVZHU や 7UXHRU)DOVH4XHVWLRQ, 互いの情報を授受する ,QIRUPDWLRQ*DS などである。 これらは情報の正確なやり取りを要求されるもので あり,正答は一つとされる。正確な情報のやり取り は大切なことであることは言うまでもないが,これ だけでは自らの思いや考えを述べ,伝えたいことを 伝えあえるような,豊かな表現活動に繋がらないで あろう。 3つ目は,単に情報のやり取りだけでなく,自ら の考えや意見などを加えて,相手に伝えるための活 動である。自分の言いたいことが英語で伝えられな い場面も多く,生徒の英語力は不十分であるかもし れない。従って,「自ら発信する力」の育成,また 「語彙や文構造を活用する力」,「文章を書く力」 を重視して,「自ら伝えたいことを伝えあえる力」 の育成を目指した英語授業の創造に繋げる必要があ る。 また,本校がこれまで大切にしてきた英語科学習 課題の1つに,英語を介した仲間との関わりの中で, 自分の思いや考えを正しく伝え合い,自他の良さを 互いに認めあえる生徒の育成がある。さらに,英語 を介した仲間との関わりの中で,きちんと相手の考 えを受け止め,相手の考えの良さに気づくことによ って,人間的な成長をも促すことにした。 本論の要旨 本校英語科では,英語を介した仲間との関わりの中で,自分の思いや考えを正しく伝えあい,自他の良 さを互いに認めあえる生徒の育成を重視している。自分の伝えたいことを伝えあえる力の育成はどのよう にしたら可能になるのであろうか。ただ単に,英語使用の場面を増やすことだけでは自分の伝えたいこと を伝えあえる力は育成できないであろう。  本稿は教科書本文の指導を通して4技能の力を高め,学習した言語知識をコミュニケーションすること を目的とし,実際に使用する場面を与えることで,思いや考えなど伝えたいことを伝えあう必然性を作り だすための一方策を,中2での実践事例を通して示したものである。さらに,仲間との活動の中で,きち んと相手の考えを受け止め,相手の考えの良さに気づかせることで,伝えたいことがより豊かになると考 えた。  キーワード  コミュニケーション能力,言語活動,4技能の育成 — 90 —

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英語  (3)研究仮説 教科書本文の指導の中で,言語知識の学習だけで は自分の思いや考えなどを生徒間で伝えあう必然性 は生まれない。学習した言語知識を,コミュニケー ションを目的として実際に使用する場面を与えれ ば,思いや考えを伝えあう必然性を作りだすことが でき,「話す」「書く」といった出力の活動を仕組 むことができると考えた。 また,生徒の思考を深めるための発問のあり方を 考える視点を盛り込んだ授業展開に努めた。 (4)研究方法 「自ら発信する力」の育成,また「語彙や文構造 を活用する力」,「文章を書く力」を重視して,「自 ら伝えたいことを伝えあえる力」を育むために,教 科書本文の指導で  技能の力を高め,スピーチ活動 などを通して生徒の思考を促す工夫のあり方を模索 しながら授業づくりを行った。  2.授業実践(第2学年・8月) (1)主題(単元,題材)3URJUDP *XOOLYHU’V 7UDYHOV  (2)主題に寄せて(単元設定の理由,題材観) 「ガリバー旅行記」はアイルランドの風刺作家ジョ ナサン・スイフトにより年に初版が出版されると すぐに評判となり,それ以来現在もなお子供から大人 まで人気の小説である。しかし,実際にこの本の内容 について詳しく知っている人は少ない。本文ではガリ バーが日本にも訪れていたエピソードが紹介されて おり,この物語への理解と興味・関心をかき立てるも のになっている。新出文法事項として存在文 7KHUH LV~),人やものの存在について言えるようにする表 現,また接続詞 ZKHQ,LI いつ何をするのかを説明 する表現がでてくる。これらの表現を使ってより特定 した状況を説明することができるようになる。状況や 場面に応じて英語の表現を考えさせ,音読練習を十分 にすることで定着させようと考えた。 そこで本単元では,「ガリバー旅行記」の題材を通 して本文の内容を十分に理解させた後,スピーチ活動 を行わせる。音読練習からスピーキング活動につな げ,「ガリバー旅行記」について説明する活動を行っ た。また,存在文(7KHUHLV)や接続詞 ZKHQ,LI を使い,自分が住んでいるところの観光名所やお気に 入りの場所,お祭りなどの行事を紹介させるスピーチ 活動をさせる。聞き手に情報を的確に伝えることが出 来るよう,全体の構成やつながりを考えさせ,まとま りのある文章を書かせた。また,ペアやグループ間で 交流することで,良いスピーチとはどういうことが大 切かを考えさせ,英語の運用能力の向上と指導事項の 定着を図るようにした。 (3)学習目標 自分の思いや事実などを相手が興味を持てるように 書いたり話したりして,表現することができる。 (4)単元の評価規準 ①積極的に英語を使って相手とコミュニケーション を図ろうとしている。  【関心・意欲・態度】 ②「ガリバー旅行記」の一部を読んで理解し,その人 物や場面に応じた音読をする。【表現の能力】 ③自分の考えや気持ち,事実などを相手が興味を持て るように書いたり話したりして表現する。 【表現の能力】 ④登場人物の心情や場面の状況を考えながら,会話 文の内容を読み取る。     【理解の能力】 ⑤存在文(7KHUHLV)や接続詞 ZKHQ,LI の用法 を正しく理解し,運用する。  【知識・理解】 (5)単元の学習計画(全7時間) ■学習課題□学習内容 第  時  ■存在文:7KHUHLV[DUH]~の文の用法を理解し 運用しよう。 □身の回りのたくさんあるものついて 7KHUHLV [DUH]~の文を用いて説明する。 第2時 ■セクション1の本文読解と音読練習をしよう。 □「ガリバー旅行記」について本文の内容を読み取 り,音読する。 第3時 ■接続詞:ZKHQ,LI の文の用法の理解し運用しよう。 □接続詞を用いて,文を作る。 第4時 ■セクション2の本文読解と音読練習をしよう。 □「ガリバー旅行記」について本文の内容を読み取 り,音読する。 第5時 ■セクション3の本文読解と音読練習をしよう。 □3LFWXUH6KRZ「0\)DYRULWH3ODFHV あなたの町の 観光名所やお祭り行事などの『おすすめの場所』を 紹介しよう 」紹介する内容を考える。 第6時 ■3LFWXUH6KRZ「0\)DYRULWH3ODFHV あなたの町の 観光名所やお祭り行事などの『おすすめの場所』を 紹介しよう 」音読練習 □3LFWXUH6KRZ「0\)DYRULWH3ODFHV あなたの町の 観光名所やお祭り行事などの『おすすめの場所』を 紹介しよう 」写真やパンフレットを見ながら,自分 の使える表現を用いて紹介する。 第7時 — 91 —

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英語  ■3LFWXUH6KRZ「0\)DYRULWH3ODFHV あなたの町の 観光名所やお祭り行事などの『おすすめの場所』を 紹介しよう 」グループでの発表・コメント・まと めをしよう。 □3LFWXUH6KRZ「0\)DYRULWH3ODFHV あなたの町の 観光名所やお祭り行事などの『おすすめの場所』を 紹介しよう 」を聞いたり,原稿を読んだりすること で,よいスピーチとはどういうものかを,根拠をも って判断させる。    (7)本時の学習過程【第7時】 (6)本時の目標 ・単元目標()「0\)DYRULWH3ODFHV あなたの町 の観光名所やお祭り行事などの『おすすめの場所』 を紹介しよう 」相手の発表に興味を持って聞くこ とができる。 ・単元目標()「0\)DYRULWH3ODFHV あなたの町 の観光名所やお祭り行事などの『おすすめの場所』 を紹介しよう 」写真や絵を見ながら自分の使える 表現を用いてお気に入りの場所を説明できる。  学習内容・学習活動 ○指導・◆評価・★論理的思考を促す具体的方策(判・ゆ・ツ) 導 入 1. *UHHWLQJV 6PDOO7DON             展 開       2. 本時の目標を確認する。 3. 3LFWXUH6KRZ ・各自で練習する。 ・グループ内で1人ずつ,順番に発表する。 ・発表後,聞いていた人は内容について質問や 感想を言う。 ・何人か全体の場で発表する。 4. 級友の原稿を読む。 ・級友の原稿を読み,その内容について のコメントを書く。 ・自分のスピーチに対する級友からのコ メントを読む。 ・何人か全体の場で発表する。  ゆ★本時のねらいのための練習の仕方を再考させる。 ○地名や固有名詞はゆっくりはっきり言うことや,聞き手を見回しなが ら話すことを意識させる。 ○相手が言ったことに感想を言うことや質問をすることで,内容を深め 相手の話に興味を持って聞いていることを示させる。 ◆>意欲・関心@①:観察(相手の発表に興味をもって聞くことが できる。) ○何人か指名して全体の場で発表させる。 判★スピーチを聞いて何がどうよかったのかを考えさせる。 ○級友の原稿を読み,その内容についてのコメントを書かせる。 ツ★コメントシート(①興味を持ったところ ②もっと詳しく知 りたいところ ③行ってみたいと思える工夫がされているとこ ろ これらの3つの視点から,感じたままに印象や意見を書き 込ませる。)  ま と め 5. 本時のまとめをする。 ・相手を意識し,興味を持ってもらえる ような紹介文が書けたかどうかを振り 返り,感想を書く。  ◆>表現@③:観察・原稿(写真や絵を見ながら自分の使える表現を 用いてお気に入りの場所を説明できる。) ツ★自己評価シート(相手が興味をもってもらえるように紹介文 を書いたり,話したりすることができる。) 判★紹介文を読んだ級友からの感想も読ませて,相手が興味を もってもらえるように表現できたかどうか自己評価に取り組ま せる。    Today’s Goal: 聞いている人が行ってみたいと思えるようなスピーチをしよう。 — 92 —

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英語  (8)考察とまとめ

スピーチ発表をさせる際,個々の生徒がクラス全員の 前で発表する機会を重視してきた。しかし,発表終了後

に,発表者が“Do you have any questions or co

mments?”と全員に尋ねても,聞いている生徒達にと っては, 聞きたいことがあったとしても英語で質問や コメントを言うことはかなり難しいようであった。そこ で今回は4人グループの中で発表させることにした。 その際, 発表者は自分の伝えたいことをより伝わり やすくなるように,写真や絵を使い,伝えたいことの助 けとなるように準備をさせた。個々の生徒の発表が班内 で終わるごとに,自然に大きな拍手が起きた。また,聞 き手から “Where is Yanagawa?”などの質問や

Your poster is very good.”などのコメントが出る

と拍手が送られた。発表した生徒達は達成感を味わった ことだろう。 次に,今回は4人グループの中でしか発表をしなかっ たため,クラス全員のスピーチの中から,読んでみたい スピーチを読ませる機会をもった。 各生徒の机上に,自分の「スピーチ原稿」と「ポスタ ー」,また,読んだ生徒からコメントを書いてもらう 「コメントシート」を置かせた。                「スピーチ原稿」                     「ポスター」             「コメントシート」  そして生徒たちが自分の読みたい「スピーチ原稿」 が置いてある席に各自で移動し,読む時間を持った。ま た,読んだ「スピーチ原稿」の内容についてコメントを 書かせた。その際,①興味を持ったところ②もっと 詳しく知りたいところ③行ってみたいと思える工 夫がされているところ,この3つの視点から感じた ままに印象や意見を「コメントシート」に書き込ま せた。 その後,自分の席に戻り,自分のスピーチに対 する級友からのコメントを読ませた。そうするこ とで,互いの感想を知ることができ,生徒間での 大きな学び合いになり,生徒自身の振り返りに生 かすことができると考えた。 — 93 —

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英語   このような過程を経て,授業の最後に各自で「自 己評価シート」に①自分で評価できるところ(良 いスピーチにするために工夫したところ),②見 つかった自分の課題,③今後授業の中で頑張りた いと思うことの3点を振り返らせ,感想を書か せた。                     「自己評価シート」  「あなたの町の観光名所やお祭り行事などの 『おすすめの場所』を紹介する文を考え,聞いて いる人が行ってみたいと思えるようなスピーチを しよう」という課題そのものが「自らの思いや考 えなどを加えて,相手に伝えること」であり,そ れを伝えようとする気持ちが英語を使おうという 動機に直接つながっていることが分かる。  実際,この活動は楽しかったとする生徒が多か った。また,他の生徒の発表の際は真剣に聞いて いた。「自己評価シート」の①自分で評価できる ところ(良いスピーチにするために工夫したとこ ろ),②見つかった自分の課題,③今後授業の中 で頑張りたいと思うことを見ても,この活動を通 して多くのことに気づき学んだことが分かった。  この活動に取り組むために,教科書の本文であ る「ガリバー旅行記」の題材を通して本文の内容 を十分に理解させた後,音読練習からスピーキン グ活動につなげ,「ガリバー旅行記」について説 明する活動を行った。「ガリバー旅行記」を英語 で説明させるだけに終わらず,スピーチ活動につ なげることを通して,4技能の力を高めることが 重要であったと思われる。 「書くこと」としては,聞いた人が興味を持っ てもらえるような紹介文を書くためにどんな文章 の構成・つながりで書くとよいのか。 「話すこと」としては,絵を見せながら,自分 の使える英語表現を使って,どう話せば自分の伝 えたいことが相手に伝わるのか。 「聞くこと」としては,相手の発表を聞くこと で,きちんと相手の思いや考えを受け止め,相手 の良さに気づくことができるのかどうか。 「読むこと」としては,最後にスピーチを読む 時間をとることで,聞くことは難しい内容であっ ても相手の思いや考えを理解することができるの か。 こうした活動は,英語力の十分でない生徒達で あっても,伝えたいという強い思いがあれば英語 で書いたり話したりしようとする意欲が引き出さ れ,英語学習への大きな動機付けになることが改 めて分かった。また,生徒の伝えたい内容や感想 はさまざまであり,その内容に関してさらに質問 が生まれるなど,コミュニケーションが発展する 可能性があると期待される。  生徒の感想より ・発表はすごく緊張して上手くしゃべれなかった けれど,みんなに伝わって,次はみんな行ってみ たいと言ってくれたので,こういうスピーチがで きて良かったと思う。またやってみたい。 ・自分が発表するときは緊張したけど,相手のス ピーチを聞くのは楽しかったです。 ・コメントシートや班でのコメントなどでスピー チや写真が良かったと言ってくれた人がいたので 嬉しかった。 ・写真を見せながらなので,やりやすかった。ス ピーチのあと,感想を言うなど班の発表ならでは のこともできた。 ・まずテーマが自分の好きな物,地元の紹介して みたい物だったので,自分の好きなところに行き, 楽しんで書くことが出来ました。またそのような テーマなので,原稿も覚えやすく,結構納得のい く成果になりました。 ・同じ班の人のスピーチや友達のスピーチが聞け て楽しかったです。自分は滋賀にはいいところな んてあまりないと思っていたのですが,今日のス ピーチを聞いて滋賀にも良いところがあるんだな と思った。 — 94 —

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英語  3.授業実践(第2学年11月) 「伝えたいことを伝えあえる力の育成を目指し た,考えや思いを引き出すための授業づくりおけ る工夫」について,授業実践例を次に示す。 教科書本文に入る前に,読みの手だてや興味づ けのために 3UHUHDGLQJ 活動を行うことが多い。 とりわけ 6XQVKLQH(QJOLVK&RXUVH の教科書には, 生徒の知的好奇心や問題意識を刺激するトピッ ク,感動的な内容が盛り込まれている。これらを 利用することで生徒の思いや考えを引き出すこと はそう難しいことではない。

6XQVKLQH (QJOLVK &RXVH  3URJUDP  “$ 6KHOWHUIRU3HW$QLPDOV”は阪神大震災で人とペ ットたちがどのような状況にあり,動物救護活動 について内容をしっかり読み取らせることで,人 と動物が助け合うことの大切さを考えさせること がねらいである。そこで教科書本文を読ませる前 に,生徒自身に照らして自分自身のことを考えさ せ,英語で交流させた。 “'R\RXKDYHDQ\SHW"“ “:KDWNLQGRISHWVGR\RXKDYH"” “,IWKHUHLVDELJHDUWKTXDNHDQG\RXUKRPHV DUHGHVWUR\HG,ZKDWZLOO\RXGR"” 物語を読みすすめていく途中では,自分ならど うするだろうと想像させる質問をした。 “,I\RXJHWDQHZGRJ,GR\RXZDQWDEDE\ GRJRUDQDGXOWGRJ"” 次に,物語がどうなるのだろうかと予想(予測) させた。

“ &DQ DGXOW GRJV EHFRPH KDSS\ ZLWK QHZ RZQHUV"” それぞれの質問に対する答えには,その理由を 必ず聞くようにした。同じ答えであっても,その 理由は様々であった。生活経験や背景知識をもと に,固有の価値観や判断力を発達させており,生 徒個々人の理由に納得させられた。 生徒達にとっては英語知識の積み上げが十分と は言えないので,考えや思いを表現したくても限 界がある。そのため特に気をつけていたことは次 の3点である。1つは,自分で考える時間を与え るということ。2つ目にペアで自分の考えを伝え あい,相手の考えを聞く時間を与えるということ。 3つ目は教師が積極的に関わるということであ る。 教師が積極的にかかわることで,生徒にとって は言いたいことを言えないことを補うことができ るはずである。生徒の言いたいことを英語に言い 換えることによって,生徒の発話の展開を助ける ことができた。また,生徒の英語の発話には,多 少の間違いが含まれていることがあるが,見過ご されることなく,効果的にクラス全体に対してフ ィートバックさせることができた。 教科書本文の内容理解が終わった後,この単元 の最後はまとめと復習の時間として教科書本文の 内容についての自分の思いや考えを交流させた。 とはいえ,自分の考えや思いをすぐに表現できる わけではない。そのために,必要な語彙や表現を 支援する事が必要になる。思考ツール「マトリッ クス」をもとに作成された「感想交流シート」  を用いて次の4つの観点をもとに自分の感想を書 かせた。①6XUSULVHG(驚いたところ)②,QWHUHVWHG (興味を持ったところ)③,PSUHVVLYH(印象に残 ったところ)④+DSS\,6DGDQGHWF(読んでうれ しかったり悲しかったりしたところ)この4つの 観点についてまとめた「感想交流シート」を用い てペアで交流したことで,違いや共通点がわかり, 自分の意見と他者の意見を比べることができた。            4研究を通してのまとめ 生徒の感想に「教科書の本文を読んで自分の感 想を書くことで,より本文を理解することができ た。」「感想を英語で伝えることができて嬉しい。」 などがあった。自分の思いや考えを伝えあうとい ったコミュニケーションを目的として実際に使用 する場面を与えることで,生徒自身が自らの問題 として受け止めたり,自分との関わりとしてとら えたりすることができた。その結果として生徒の 心の中に芽生えた考えや思いを伝えたいという欲 求が高まり,豊かなコミュニケーションの実現へ の結びつきが高まったと考える。  参考文献 ■  「英語2年生感想を書こう」『こうすれば 考える力がつく!中学校思考ツール』SS~  ■大下邦幸著「意見・考え重視の視点からの英語 授業改革」 東京書籍 — 95 —

参照

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本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

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