シスイソプレン鎖延長酵素の分子解析と機能改変
著者
佐上 博
シスイソプレン鎖延長酵素野分子解析と機能改勢
[課題番号136号0667レ′ 平成1如如慧認諾讐【基盤研究`C''3g-平成16年与項 研究代表者 佐上 博/ (東北大学・多元物質科学研究所・‡地頭)シスイソプレン鎖延長酵素の分子解析と機能改変
[課題番号13680667] 平成13、 14、 15年度科学研究費補助金[基盤研究(C)(2)] 研究成果報告書 平成16年5月 研究代表者 佐上 博 (東北大学・多元物質科学研究所)平成13、 14、 15年度科学研究費補助金【基盤研究(C)(2)】
研究成果報告書
課題番号13680667研究課題 シスイソプレン鎖延長酵素の分子解析と機能改変
研究組織
研究代表者 佐上 博(東北大学・多元物質科学研究所・助教授) 研究分担者 張 元偉(東北大学・多元物質科学研究所・助手) 交付決定額 (配分額) (金額単位:千円) 直接経費 亊I ィニ N 合計 平成13年度 テc 0 テc 平成14年度 テ 0 ニニ 平成15年度 塔 0 塔 総計 テS 0 テS研 究 成 果 植物葉での研究において、クロロブラストに局在する短鎖(C50-65)ポリプレノ ールとミクロソ-ムに局在する長鎖(C70185)ドリコールはそれぞれ異なったシ スイソプレン鎖延長酵素によってそれらの炭素骨格が生合成されることを示し てきている。この知見を念頭に以下の研究成果を得ることができた。 1 3年度ではドリコールリン酸生合成に変異を持つ酵母#64変異株を用いて 相補実験を行なった。 #64-1、 #64-2、 #64-4において温度感受性が回復し、ポリ プレノールからドリコール生合成に関連するタンパク質の存在が期待された。 この変異株の研究において酵母では存在していないとされる短鎖(C50-60)ポリ プレノールが#64,#64-1,#64-2において検出された。この事実から、通常のドリ コール生合成に必要なシスイソプレン鎖延長酵素のみならず。未知のシスイソ プレン鎖延長酵素の存在が示唆される。また、野生株ではこの短鎖ポリプレノ ールが検出されないことから、このポリプレノール代謝中間体と思われる。も う一つの実験としてシスイソプレン鎖延長酵素を含めてのドリコール生合成に 関して炭素鎖長の異なるビオテン化ポリプレナ-ルを有機合成L in vitTVでのポ プレノール還元反応に対する影響を調べてみた。炭素鎖長C15のビオチン化フ ァルネサールやC55のビオチン化ポリプレナ-ルは影響しなかったが、 C80の ものは阻害効果を示した。界面活性化剤であるトリトンⅩ-100、 Chaps、オクチ ルグルコシド、デオキシコール酸、ツウィーン80と比べて、 C80のピオチン化 ポリプレナ-ルによる阻害は特異的であった。 SDS電気泳動により、 C80のビ オチン化ポリプレナ-ルと親和性を持つ約五万の分子量のタンパク質が検出さ れた。これらのことにより、シスイソプレン鎖延長後の還元過程が、このタン パク質による鎖長認識を伴っていることが示唆される。 平成1 4年度では、シスイソプレン鎖延長とα-イソプレン二重結合の還元 過程に関しての天然物情報を得る為に、文献上はポリプレノールもドリコール も検出されないと報告されているシダ植物に焦点を当て、ポリプレノールが検 出されないかどうかを調べた。日本において食用とされているワラビとゼンマ イを選び、分析した結果、双方ともC80,C85, C90のドリコールが存在してい た。同時に行なった海草ワカメでは、 C90,C95,CIOOのポリプレノールとC80, C85, C90のドリコールが存在していた。このことは、ドリコール生合成に必 要なシスイソプレン鎖延長酵素とそれとは別のシスイソプレン鎖延長酵素の少
なくとも2種類ワカメには存在し、シダでは、ポリプレノール生合成用のシス イソプレン鎖延長酵素が存在しないことを示す。もうひとつの研究としての α -イソプレン二重結合還元過程に関して、 C20の全トランス-プレノールがラ ット胸腺細胞においてそのα-イソプレン二重結合の還元更に酸化された化合 物に代謝された。このことは、立体化学という観点から以下のように解釈され る。 α-イソプレン二重結合がトランスのプレノールの場合は還元反応により 飽和されその立体配置はRとなり、その後酸化されカルボン酸(2,3-ジヒドロ ゲラニルゲラニル酸)になる。他方、 α-イソプレン二重結合がシスのプレノ ールの場合は還元反応により飽和され、その立体配置は Sとなりその後酸化 されカルボン酸(ドリコイン酸)になる。これらのことから、 α-イソプレン 二重結合の立体構造(トランスあるいはシス)を認識する還元酵素が少なくと も2種類存在し、ドリコール生合成ではそのうちの一つが使われていることが 示唆される。 平成1 5年度では、ラット胸腺細胞でC20ポリプレノールからの代謝物がC20 ジヒドロカルボン酸であったことから、さらに詳細な研究を試みた。ヒトHL-60 細胞でもC20ポリプレノールからC20ジヒドロカルボン酸が容易に代謝物と して検出され、時間経過に伴って蓄積傾向を示した。 C20ジヒドロカルボン酸 は、 0.1%血清存在下15 pMでアポトーシスを誘導したoカスパーゼ3阻害剤を 共存させるとアポトーシスは抑制され、 Nile Redで染色される脂質油滴が検出 された。 10%血清存在下アポトーシス誘導は観察されず、 40 pM以上の濃度で 同様の脂質油滴が検出された。アシルCoA合成酵素阻害剤を共存させると脂質 油滴生成は抑制され、少なくとも20%の細胞にアポトーシスが誘導された。前 脂肪細胞3T3-Ll細胞に対しても10%血清存在下で油滴形成を誘導した。 C20 カルボン酸の場合、 0.1%血清下15pMでアポトーシスを引き起こしたが、 10% 血清下で脂質油滴を誘導することなく、 HL60細胞を好中球に分化させた。C20 ジヒドロカルボン酸とC20カルボン酸による作用結果の違いが見られ、ドリコ ールとポリプレノールの担体脂質としての作用結果の違い(糖タンパク質ある いはペプチドグリカン)が見られることと相応する。 動物の場合と異なり、植物ではドリコールをうわまる量のポリプレノールが 検出される。この事実は、ポリプレノールの新たな機能を予想させる。少なく ともポリプレノール合成を司るシスイソプレン鎖延長酵素系がドリコール合成 を司る酵素系とは異なって制御されていると考えられる。これらのシスイソプ 4
レン鎖延長酵素に関する成果と並行して、微生物由来のシスイソプレン鎖延長 酵素のウンデカプレニル二リン酸合成酵素に焦点を当てた機能改変の研究も行 なった。この研究では、構造p-loop内にあるアルギニンの重要性が示唆され またAsp-29,Arg-33,Arg-80が触媒機能に必須であることが解明された。 Tyr-71、 Tyr-148、 Try-210が基質であるイソペンテニル二リン酸とフアルネシル二リン 酸の結合に極めて重要であることも解明することができた。 研 究 発 表 【学会誌など]
Study on the Biosynthesis of Dolichol in Yeast: Recognlt10n Ofthe Prenyl Chain Length in PolyprenoI Reduction
Tateyama, S. and Sagmi. H.
J. Biochem. (Tbkyo) (2001) 129, 297-302
Characterization of Yeast Mutant #64: Occurrence of Shorter-chain C55-60 PolyprenoI Tateyama, S. and Sagami. H.
InternationalCongress Series (2001) 1223, 65171
Inhibition or Geranylgeranyl Diphosphate Synthase by Bisphosphonates and
Diphosphates: A Potential Route to New Bone ResorptlOn and Anti-Parasitic Agents
Szabo, C. M., Matumura,Y., Martin, M. B" Sanders, J. M., Senguputa,
S., Cieslak, J. A., Loftus, T. C., Lea, C, R., Lee, H.-J., Koohang, A.,
Coates, R. M., Sagami. H., and Oldfields, E. J. Med. Chem. (2002)45 (ll), 2185-2196
Fomation of 2,3-Dihydrogeranylgeranoic Acid from Geranylgeraniol in Rat
Thymocytes
Kodaira, Y., Kon, Ⅰ., Usui, K and Sagami. H.
J. Biochem (Tbkyo) (2002) 132(2), 327-334
Mutational analysts Of allylic substrate binding site or Micrococcus luteus B-P26
Fujikura, K., Zha喝. Y.-W., Fijihashi, M., Miki, K・,and Koyama, T・
Biochemistry (2003) 42 (14), 4035-4041
Significance of highly conserved aromatic residues in Micrococcus luteus B-P 26
undecaprenyl diphosphate synthase
Kharel, Y., Zhang. Y.lW., Fujihashi, M., Miki, K.,and Koyama, T・
J. Biochem. (2003) 134, 819-826
Polyisoprenoid alcohols from the mushroom Lentinus edodes
Wojtas, M., Bienkowski, T., Tateyama, S., Sa等ami. H., Chojnacki, Tリ
Danikiewiez, W., and Swiezewska, E.
Chem. Phys. Lipids (2004)
[学会講演] ○ラットのゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素一二種類のmRNA 松村欣宏、福楽彩香、壁土嘩 (第67回日本生化学会東北支部会平成13年06月16-17日、仙台) ○ラット胸腺細胞における2、 3-ジヒドロゲラニルゲランイル酸の同定 小平裕一、臼井聖尊、佐土壇 (第68回日本生化学会東北支部会平成14年5月31-6月1日、山形) 02、 3-ジヒドロゲラニルゲラノイン酸とレフサン病との関係 佐土盛、小平裕一、楠本建 (第69回日本生化学会東北支部会 平成15年6月7日、 仙台) ○ヒトのゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素のDS Sによる架橋
福楽彩香、 松村欣宏、藍土蛙 (第74回日本生化学会平成13年10月25-28 E]、京都) ○ゲラニルゲラニオール由来代謝物の解析 小平裕一、壁土博 (第74回 日本生化学会平成13年10月25-28日、京都) ○ゲラニルゲラニオール由来酸化代謝物の同定 小平裕一、臼井聖尊、壁土博 (第75回 日本生化学会平成14年10月14-17日、京都)
○Identificadon of (R)-2,3-Dihydrogeranylgeranoic Acid and its apoptotic induction in HL-60 cells 小平裕一、白井聖尊、庭土蛙 (第76回 日本生化学会平成15年10月15-18日、横浜) ○ヒト・ラットのゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素の遺伝子解析 松村欣宏、福楽彩香、壁土嘩 (第24回 日本分子生物学会 平成13年12月、横浜) ○転写後調節によるラットの活性型ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素発現 レベルの維持 松村欣宏、城所智広、佐上博 (第26回 日本分子生物学会 平成15年12月、神戸) ○ラットのゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素のゲノム構造解析および スプライシングバリアントの機能解析 松村欣宏、福楽彩香、監土煙 (第11回ドリコールおよびイソプレノイド研究会、東京大学 2001年7月) ○ラット胸腺細胞における(良)-2,3-ジヒドロゲラニルゲラノイン酸の同定 小平裕一、白井聖尊、藍土盛
(第12回ドリコールおよびイソプレノイド研究会、島根大学2002年7月12日) O HL-60細胞におけるGGOH由来代謝物の同定と(R)12,3-ジヒドロゲラニル ゲラノイン酸によるアポトーシス誘導 楠本建、小平 裕一、佐上博 (第13回 ドリコールおよびイソプレノイド研究会、理化学研究所 2003年9月04日)
Os山dy of geranylgeranyl diphosphate syn仙ase in mammalsH
松村欣宏、佐上博
(第43回 国際脂質生化学会平成14年9月、グラーツ)
0 Identification of 2,3-dihydrogeranylgeranoic acid in rat thymocytes
小平裕一、白井 聖尊、藍土遭
(第43回 国際脂質生化学会平成14年9月、グラーツ)
O Relationship between the shortest doliccoic acid and lipid droplets
藍土壇
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