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非鉄製錬スラグ混合による製鋼スラグ中鉛の挙動

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Academic year: 2021

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(1)

非鉄製錬スラグ混合による製鋼スラグ中鉛の挙動

著者

丸岡 伸洋, 北村 信也, 柴田 浩幸, 植田 滋,

山口 勉功

雑誌名

東北大学多元物質科学研究所素材工学研究彙報

65

1/2

ページ

7-12

発行年

2010-03-01

URL

http://hdl.handle.net/10097/48494

(2)

非鉄製錬スラグ混合による製鋼スラグ中鉛の挙動

丸岡伸洋

*1

,北村信也

*1

,柴田浩幸

*1

,植田滋

*1

,山口勉功

*2

Behavior of Lead in the Steelmaking Slag Mixed with Non-ferrous

Smelting Slag

By Nobuhiro Maruoka, Shin-ya Kitamura, Hiroyuki Shibata,

Shigeru Ueda and Katsunori Yamaguchi

The main problem for recycling of slag generated from stainless steel making process is the disintegration caused by volume expansion of 2CaOSiO2. To prevent this problem, we have proposed a new technology in which the

non-ferrous smelting slag is mixed with stainless steel slag. However, the non-ferrous smelting slag sometimes contains Pb. To utilize the non-ferrous smelting slag as modifier, the Pb behavior has to be clarified. Stainless steel making slag and non-ferrous smelting slag were mixed and melted in the laboratory furnace. After the melting of the slag under various mixing ratio, Pb content in molten slag became much lower than the value calculated by the Pb content in mixture.

The solubility of PbO in the mixed slag, measured by the reagent base slag, showed the minimum value at the optimum mixing ratio of the non-ferrous smelting slag to the stainless steel making slag. In addition, the equilibrium concentration of PbO in slag was measured and the activity coefficient of PbO in the slag was evaluated. It was found that the activity coefficient had the maximum value when the CaO/SiO2in slag became about unity.

(Received on January 2, 2010)

Keywords: slag lead, stainless steel, non-ferrous smelting

1

緒言

ステンレス鋼製造時に発生するスラグは,2CaO· SiO2の相変態に伴う粉化[1],未溶解の(又は析 出した)CaOやMgOに起因する水和膨張 [2]などの問題のため再資源化が進んでいない.一方,非 鉄金属製錬においてもスラグの再資源化は大きな問題である.一般に,銅,鉛,亜鉛などの乾式精錬 ではFeO− SiO2 系の低融点スラグが発生し,このスラグの組成は安定で粉化や膨張の問題はない. そこで著者らは,ステンレス鋼スラグに非鉄金属製錬スラグを混合・溶融することで塩基度を低下さ せ,粉化や膨張のないスラグに改質するプロセスを提案した[3].しかしこのプロセスでは,非鉄金属 製錬スラグに残存する重金属の混入が懸念される.特にPbOは濃度によっては改質後のスラグ利用 に大きな障害となる可能性がある.そこで,本研究では,混合改質で生成されるスラグ中のPbO濃度 を測定するとともに,各スラグでの溶解度とPbOの活量係数の測定を行い,PbO溶解度を低下させ る方法について検討した.

2

実験方法

2.1

混合改質時のスラグ中

Pb

濃度

実操業で得られたステンレス鋼精錬スラグと,Pb製錬炉から発生した非鉄製錬スラグを室温下で 混合し,鉄坩堝又はMgO坩堝を用い1658K,Ar雰囲気下で溶解して1時間保持した.両スラグ 組成をTable 1に示す.非鉄製錬スラグの全スラグ(ステンレス鋼スラグと非鉄製錬スラグとの合 計)に対する質量比を混合比と定義し,それを0.1から0.5まで変化させた.溶融後のスラグはAr ガスを吹き付けて冷却し,ICP-AESで組成を分析した.尚,酸化鉄はすべてFeOとして表示した. *1東北大学多元物質科学研究所 *2岩手大学工学部

(3)

8 非鉄製錬スラグ混合による製鋼スラグ中鉛の挙動 第 65 巻 第 1,2 号

Table 1 Typical composition of stainless steelmaking slag and non-ferrous smelting slag.(mass%) CaO SiO2 T· Fe Al2O3 MgO Cr2O3 S Pb

Stainless steel refining Slag 46.2 24.7 0.4 3.0 10.9 0.96 0.2 < 0.01 Non-ferrous smelting slag 11.2 21.2 33.0 7.9 3.5 0.75 1.6 0.038

Fig.1 Experimental apparatus.

2.2

スラグ中

PbO

の溶解度測定

PbO 溶 解 度 測 定 で は ,鉄 坩 堝 に 50g

の 純 Pb と ,所 定 の 組 成 比 に 混 合 し た

CaO,SiO2,Fe2O3,Al2O3,MgO,Cr2O3

とFe粉末試薬の混合物20gを装入した. Fe2O3とFeは良貝いにFeOとなる化学量 論比とした.Fig.1に示す縦型抵抗炉を用 いて,1673K,CO/CO2 気流中で溶融し, 4時間保持後,るつぼを取り出して,ただ ちにArガスを吹き付けて冷却した.得ら れた試料は粉砕後酸で溶解し,ICP-AESで 組成分析を行った.ただし,急冷時の対流 でメタルのPbが巻き上げられスラグ中に 存在したため,スラグ中メタルPb含有量 を測定(硝酸銀を用いた方法)し,Total-Pbから差し引くことでPbO含有量を算出した. %PbO = (%T. Pb− %M. Pb) × 223.2/207.19 (1) ここで,%PbOはスラグ中のPbO濃度,%T. Pbはスラグ中トータルPb濃度,%M. Pbはス ラグ中のメタルPb濃度である.Fe飽和スラグ中のFeO活量および(2)式の平衡におけるPO2を Factsageで求め,式(4)および(5)からその値PO2と並行するCO/CO2比を導出した. Fe + 1 2O2= FeO (2) CO +1 2O2= CO2 (3) ∆G0=−67500 + 86.818T(J/mol) = −RTlnK (4) K = PCO2 PCOP 1/2 O2 (5) ステンレス精錬スラグと非鉄製錬スラグを混合し,全スラグ中の非鉄スラグ割合を0-1.0の範囲で混 合した。その混合組成に相当する合成スラグの組成と実験で制御したCO/CO2比をTable 2に示す. 実験では一定のCO/CO2気流中で長時間保持するため,PbO濃度だけでなくFeO活量やFe2+/Fe3

もこの気相と平衡するように変化する.ただし,Table 2中の分析結果は酸化鉄がすべてFeOとして 存在するとみなして表示している.

(4)

Table 2 Slag composition and oxygen potential for each experiment. Mixing Slag Composition(mass%) Calculated

PO2

CO/CO2 ratio1 CaO SiO

2 FeO Al2O3 MgO aFeO vol.ratio

0 54.2 29.0 0.5 3.5 12.8 0.07 7.67E-13 0.02 0.1 50.2 28.8 5.0 4.1 11.9 0.30 1.27E-11 0.08 0.2 46.2 28.5 9.4 4.8 11.1 0.39 2.18E-11 0.10 0.3 42.2 28.2 13.9 5.4 10.2 0.45 2.88E-11 0.11 0.4 38.1 28.0 18.4 6.0 9.4 0.49 3.49E-11 0.13 0.5 34.1 27.7 22.9 6.7 8.6 0.53 3.98E-11 0.13 0.6 30.1 27.5 27.4 7.3 7.7 0.58 4.80E-11 0.15 0.7 26.1 27.2 31.9 7.9 6.9 0.62 5.49E-11 0.16 0.8 22.0 27.0 36.4 8.6 6.0 0.65 6.01E-11 0.17 0.9 18.0 26.7 40.9 9.2 5.2 0.66 6.35E-11 0.17 1.0 14.0 26.5 45.4 9.8 4.3 0.67 6.45E-11 0.17

1Mixing ratio = weight of non-ferrous slag/total slag

2.3

スラグ中

PbO

の活量係数測定

CaO-SiO2-FeO-Al2O3-MgO系スラグ(5成分系)と,CaO-SiO2-FeO系スラグ(3成分系)中の PbO活量を測定した.実験方法は2.2と同様である.溶融Pbの酸化反応は(6)式で表され,この反 応の標準生成自由エネルギーは(7)式から計算される.本実験温度ではPb中のFe溶解度は低く,Pb

にFeはほとんど溶解しないため,Pbの活量は1.0とみなした.従って,酸素分圧をCO/CO2混合 ガスにより規定すれば,鉛の溶解度XPbOおよび(8)式からPbOの活量aPbO,活量係数γPbOが計

算できる. Pb(l) + 1/2O2(g) = PbO(l) (6) ∆G0=−190, 900 + 75.52T (J/mol) (7) K = γPbO· XPbO aPb· PO0.52 = exp ( −∆G0 RT ) (8)

3

実験結果および考察

3.1

混合改質スラグ中

Pb

濃度

2.1項で定義した混合比とスラグ中Pb濃度の関係をFig.2に示す.いずれもマスバランスから計算 した値よりも低濃度となっており,混合による希釈の効果以上にPbは低濃度化している.単純に非 鉄製錬スラグのみをMgO坩堝で再溶解した場合(混合比が1.0の結果)でも50%以上Pb濃度が低 下していることから,スラグ混合によるスラグ組成変化が理由とは断言出来ない.非鉄製錬スラグ中 でのPbは酸化物,硫化物,金属のいずれかの形態で存在するため,再溶解し保持したことでスラグ より比重の重い硫化物が沈殿してスラグから分離した,または金属が蒸発した結果であると推察でき る.尚,これらの改質スラグからのPb溶出値は環境庁告示第46号による溶出試験で0.005mg/l以 下(基準値は0.01以下),Pb含有量は環境庁告示第19号による含有量試験で30mg/kg以下(基準値 は150以下)であったため,再利用に問題はない.

(5)

10 非鉄製錬スラグ混合による製鋼スラグ中鉛の挙動 第 65 巻 第 1,2 号

Fig.2 Change in Pb content in slag by the mixing treatment.

Fig.3 Solubility of PbO in the slag of various mixing ratio.

3.2

スラグ中

PbO

の溶解度

混合比とPbO溶解度の関係をFig.3に示す.スラグ中のPbO溶解度はFig.2で示した値よりもは るかに大きい.混合比の増加(非鉄スラグの割合が多くなる)に伴ってスラグ中PbO溶解度は減少 し,混合比が0.6付近で極小値を持った後に,混合比の上昇に伴って溶解度は上昇に転じている.混 合比とスラグの全Fe濃度,(9)式で定義する塩基度(B)の関係をFig.4に示す. B = (%CaO)/(%SiO2) (9) 図において混合比が大きくなる(非鉄スラグの割合が多くなる)ほど塩基度が低下するとともに,全 Fe濃度が増加している.PO2値とaPb= 1から(8)式を用いて導出したPbO活量およびPbO活量

係数と混合比の関係をFig.5に示す.同図中にPbO活量係数とPbO濃度から算出したPbO活量も 示す.活量係数は混合比0.6で極大値を示すことがわかる.したがって,混合比0.6以上の領域では 混合比の増加にともないスラグの酸素分圧が上昇し,(8)式においてPbO活量が上昇するためPbO

溶解度が増加する.一方,混合比が0.6未満の範囲では酸素分圧上昇よりも活量低下の影響が大きい

ため,Fig.3において混合比0.6でPbO溶解度は極小値を示したと考えられる.混合比0.6の組成は

Fig.4からわかるように,塩基度(B)が1.0の組成に相当する.

Fig.4 %T.Fe and %CaO/SiO2 in the slag of

various mixing ratio.

Fig.5 Activity and activity coefficient of PbO in the slag of various mixing ratio.

(6)

3.3

スラグ中

PbO

の活量係数

PbO飽和溶解度の測定結果から算出したPbO活量係数に対する塩基度(B)の影響をFig.6に示す.

Fig.5と同様にBが1.0付近で極大値を持つ傾向が認められる.また,Fig.7は3成分系と5成分系の

PbO活量係数を比較したもので,低塩基度側ではAl2O3,MgOが存在する5成分系スラグの活量係

数の方がやや大きくなる傾向が確認された.

Fig.6 Variation of activity coefficient of PbO with basicity (B).

Fig.7 Comparison of the activity coefficient of PbO between 3 and 5 oxides system.

Kudoらは,本実験と同様のスラグ系における1573K以下でのPbO溶解度を報告している[4].彼 らは(10),(11)式で表される濃度比をパラメータとして解析している.

Q = (%CaO)/{(%CaO) + (%SiO2)} (10)

R = (%FeO) /{(%CaO) + (%SiO2) + (%FeO)} (11)

本実験値を(10),(11)式で表すパラメーターで解析した結果をKudoらの報告値[4]と対比して Fig.8に示す.図からわかるように,本実験結果は彼らの結果とほぼ一致している.一方,Rが大き い場合は塩基性成分のCaOが希釈されるため,同じQでも活量係数が低下すると説明している.実 験温度は異なるが本実験でも同様の傾向が得られている.KudoらはQ < 0.5(B < 1.0)の範囲のみ This work(1673K) 3 oxides 5 oxides ™ Kudo[2] This work(1673K) 3 oxides 5 oxides ™ Kudo[2]

(7)

12 非鉄製錬スラグ混合による製鋼スラグ中鉛の挙動 第 65 巻 第 1,2 号 の測定を行っているが,本実験ではQ=0.6までの測定を行っており,活量係数はQ=0.5を境に低下 するという興味深い結果が得られた.しかし,本実験結果からQ=0.5(B=1.0)で活量係数が極大値 をもつと断定するにはデータ不足であり,今後実験点を補う必要がある.CaOより弱い塩基性成分 はスラグ中で両性酸化物的挙動を示すことが知られており.製鋼スラグのFeOやMnOの活量係数 は1873K,塩基度(B)1.8程度で最大値を示すこと報告されている[5].PbOについても同様に考え ると,酸性側ではPbOは塩基として挙動するため,塩基度増加に伴いPbO活量係数が増加する.一 方,塩基性側ではPbOは酸として挙動するため,塩基度増加に伴いPbO活量係数が低下する.つま りPbO活量係数が或る塩基度で極大値を示すと推測される.

4

結言

ステンレス精錬スラグの粉化を抑制するために,ステンレス精錬スラグを非鉄製錬スラグと混合改 質するプロセスを提案し,混合改質時の非鉄製錬スラグ由来のPbの挙動について検討した.その結 果,以下の知見を得た. 1. 実機ステンレス精錬スラグと非鉄製錬スラグの混合溶融によりPb濃度はマスバランスから計 算した値よりも50%以上低い濃度になり,環境基準の含有試験値を十分下回った. 2. 非鉄スラグの混合比が60%付近でPbO溶解度は極小値を示し,活量係数は極大値を示した.

3. CaO-SiO2-FeO-Al2O3-MgO系スラグと,CaO-SiO2-FeO系スラグでPbO活量係数は塩基度

の増大とともに大きくなった.

文 献

[1] E.S. Newman and L.S. Wells: J.Res.National Bureau of Standards, 36/2 (1946), p.137. [2] 桑山 忠,本多 淳裕,三瀬 貞: 材料, 37/422 (1998), p.1278.

[3] N. Maruoka, H. Shibata, S. Ueda, K. Yamaguchi and S. Kitamura: “Proceedings of the 4th International Congress on the Science and Technology of Steelmaking”, ICS2008, p.140, Japan, Tokyo, ISIJ (2008).

[4] M.Kudo, E.Jak, P.Hayes, K.Yamaguchi and Y.Takeda;Metallugical Materials Transactions B, 31B (2000), p.15.

[5] E.T. TURKDOGAN: Proc. Of the E.T. TURKDOGAN symposium, ISS, p.253, Pittsburg (1994).

Table 1 Typical composition of stainless steelmaking slag and non-ferrous smelting slag.(mass%) CaO SiO 2 T · Fe Al 2 O 3 MgO Cr 2 O 3 S Pb
Table 2 Slag composition and oxygen potential for each experiment.

参照

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