高田の地震記象からみた地震活動域*
山岸孝次郎**・池田伊太郎**
~ 1. まえがき この報告はさき民気象庁地震課から提案された「地震 予知のための予備調査J
の一環として.高田測候所で観 測した地震資料に基づいて調査を行ったものである. 調査の方法はすで、に気象庁地震課において行った調査 の要領ωによったが,資料を集めて整理してみて,この 調査の目的にかなう地震が十分にないことと 3成分の 普通地震計が設置されたのが比較的おそい(昭和3
4
年4
月)ことなどにより,使える資料が少ないので,地震課 が行った調査や,すでに調査を完下し, (験震時報など に掲載されている他官署の報告ωωに比べ℃はっきり550.340.1
した結論というものはほとんど得られなかった.このよ うに甚だ貧弱な報告ではあるが,この調査が本来各官署 の調査結果を総合することによっτ
意義の高いものにな るというように伺っているので,将来総合されるべき結 果の一つの資料のつもりで報告する次第である. 資料を選んだ期間は次のとおりである.A
調査:昭和3
4
年4
月一昭和3
8
年9
月 B調査:昭和3
4
年4
月一昭和3
8
年9
月 C調査:昭和2
8
年1
月一昭和3
8
年9
月 またこの期間に使用していた地震計およびその常数は 第1表のとおりである. 地 震 計│ 使 用 期 間
│成分│重錘の質量│倍率│周期│摩擦値│制振度
普通地震計(2
成分)"I
昭 和 叩 月 ま で (旧称簡単微動計)5
4
普通、地震計(3
成分) 昭和3
4
年4
月以降 、 ~ 2. 言E象型からみた地震活動域 1. 記象型の分類 東 西 動 南 北 動 東 西 動 上 下 動 記象型の分類は非常にむずかしい.似ているようなも のを集めて,更に振動の模様を細く眺めてみると千差万 別でこれを同じような型として扱ってよいかどうかとい う疑問にしばしばぶつかった.しかし細分すれば際限が ないので,一応AからHまでの8種に分けたが,無理を して分類したという感が深い.分類困難ということが当 所の記象の一つの特徴かも知れない.この8種類の分類 の中から最も典型的というべきものの記象型を示したもし*
K.Yamagishi aI1d 1.Ikeda": Investigations of Seismic Activity frqm Seismograms obtained at Takada (Receive'd April1
2
,1
9
6
5
)
*
*
高 田 測 候 所1
8
kg4
0
4
.
0
S1
8
4
0
4
.
0
0.1-0.2 -17-9
、2
2
.
5
54-56
2
.
0
0.02-0.05
7-8
,2
2
.
5
54-56
2
.
0
0.02-0.05 "7-8
2
2
.
5
54-56
2
.
0
0.02-0.06
7-8
のが第1図である.そしてこの記象型の特徴を記述した ものが第2表である.2
.
各記象型の震央分布 第 2図の 1および 2は各記象型の地震の震央分布およ びおよその発現範囲を示す."A,C, Fの型を除くと資 料の数が少ないので,このように発現範囲を決めてしま うことには疑問が残る.C型は資料も多いが発現範囲も 広い.この発現範囲の北の部分即ち三陸沖と南の銚子沖 では記象型が多少相違するように思える.そしてこの聞 にある宮城県沖,福島県沖の地震も少しデゴつ相違するよ うな気がする.他の官署の調査ωωωではこの範囲内の 地震を 2つまたは 3つくらいに分け‘ているので,むしろ 細分するほうが妥当であるかも知れないが,これを区別 する大きな特徴を見出せなかったので,まとめてC型と した.これに反して,D
型は同じ三陸沖でありながら,記- 2
3
ー1
0
6
験 震 時 報3
0
巻3
号乙→附い…一
5
→
僻
:
3
十
寸
舶
:十駒山
w
E
寸
仲
p P 一一ー一朝 υν
A
型1
9
6
0
年7
月1
4
日1
4
時1
6
分A
型1
9
6
2
年2
月1
2
日0
0
時4
4
分 B型 ' 19
6
2
年5
月11日0
0
時1
0
分 新潟県南部 福 島 県 石 川 県 西 沖 震 度 =II37.2N 138.4E
震 度=1 3
7"19'N '
1
3
9
045'E
震 度=0 3
6
04
1
'
N '
1
3
6
02
5
'
E
H=Okm
ム土=17km
H
ニ40km
ム=137km
H =
O
k
i
n
ム=170km
W E 2 H5
一叩刊叫叫叫叫吋i1i州 料i
,
¥Vlf
一 一 州H州州州附州州附州附4ド仲ド仲Up
→一一一吋可w叫吋戸T制刊,w>¥‘H阿 内 』 阿h同守 Uトー…川町い………一…
D U 一一町一~\~申刊""','1崎山川:;.'^'-f,-....…甘いい一一一ヶーーー}一一一一 C型1
9
6
0
'
年3
月2
3
日1
0
時0
8
分 三 陸 沖 震 度 主o
39.5N 143.4E H =
0
km
ムニ 460km
f
料州引引引山川引いいいい州1トH刊晴んif4i14d1トトいいlJトトいリ川州州h川押1~'~!,
?一一…叫叫吋州叩て暗ψ刊、wψvψか~W,,~II\州時川伽州川川川川州4恥町叩川川い同同叫吋…M吋中Aヤ…〆……M…一叫……町一一一一:
ト
一
一
一
一
ι一一一叫叩州川帆1ゆ制川悦P州刷州川い品川刷川伽w恥 司 叩 … … 叫 一 一 一 一 ← ←川叫柳蜘 一 D型1
9
6
0
年8
月1
3
日1
6
時1
2
分 岩 手 県 沖 震 度 ニo
40.3N 142.5E H =
約40km
ム=513km
b u B型1
9
6
1
年8
月1
0
日2
1
時0
3
分 能 登 半 島 震 度=
i
l
l3
7
017'N 1
3
7"03'E'H=40kmムニ 108km
C型1
9
6
1
年11月2
6
日0
5
時2
0
分ー 茨I 城 県 沖 震 度 =0 3
6
01
2
'
N 1
4
1
04
3
'
E H
=20km
ム =327km
トー_~+\I'~1山山川一一
:一一 十州帆州場制…一……品
p d J N W E D υ 併 岬 岬 榊 相 判 吋 D ルWV'iO' ν D型1
9
6
0
年6
月1
6
日0
0
時3
8
分 岩 手 県 沖 震度==0
'
40.1N 1
4
2
:
5E H=40km
ム'=498km
E
型1
9
5
9
年11月1
3
日1
2
時2
7
分 ぃ 披 阜1 県 北 部 震 度=0
36~25N 1
3
7
.
15E H
=O-10km
ム =136km
5-
叫 附 加 刷 怖 い 品 十 ぃ-1
←+榊和ItIitl仙 川 町 ザ ー 一 一 -b ー喝岬-ド炉岨ゆ命令 υ S M m w E P υ ド時 r ι 一一回同町山←+一一一一一一一-111 押z 一一一『崎明申噌-叫・ p νE
型1
9
6
1
年8
月9
日2
2
時2
4
分 富 山 長 野 境 震度==036
0 ,3
0
'
N 1
3
7
03
9
'
E
H=Okmム=86km
E
型1
9
6
1
年2
月7
日2
3
時3
7
分F
型1
9
6
0
年2
月2
3
日1
8
時2
4
分 千 葉 県 南 部 千 葉 付 近 震 度 =0 3
5
01
4
'
N 1
4
0
01
8
'
E
震 度 =0 35.6N 140.1E
H =
O
k
r
i
l
ム =280km
H==80km
ム=230km
ー
2
4
ー1
0
7
高田の地震記象からみた地震活動域一一一山岸・池田 ゆ暗唱世吋...,.咽~.叫柿~叫宇崎! JJNWEDU 和軒吋判""'~叫ゆ州噛岬柄拘・ J J H W E P U ..-悼、い4咋申...-t, G型1
9
6
2
年2月2
1
日0
1
時0
7
分 北 海 道 南 東 沖 震 度 =0 4
2
046'N 1
4
5
01
3
'
E H=80km
ム=869km
G
型1
9
6
1
年2
月1
3
日0
6
時5
6
分 北 海 道 東 方 沖 震 度=04
3
01
3
'
N 1
4
7
05
9
'
E H
ご80kmム=1060km
恰 制 吋P円 岬 附 ノ;
一刊刊叫叫州州
A州川叫叫,\\叫叫
V叫叫叫叫叫叫州川略略刷刷
I\~ド川州川州
I~~州刈叫叫
l州川岬岬
I\l~~~\
い
1トW伽伽附片
V州州州州川
l帆帆帆酬帆州州州州,t,~桝,~μ'M引九利脚的脚州川………
:
十一帆叫叫州州州州酬州ト附州州怖州州q州酬:~,
I訓州州耐榊州榊申申仲附伽伽伽伽伽伽'11利…
t付切
:
一
叫
叩
ぜ
吋
州
州
岬
伽
伽
ν州 附帥 附内5一一州川町I;W~州
E
-
-
4
州榊料州州胤仙州州I中
¥Vi
中
-b附
O.~一一一叫一千叫伽伽伽4恥糾恥帥町刷「科…hい い叩 刊和U
1
9
6
2
年8
月2
6
日1
5
時4
9
分 三 宅 島 付 近3
4
007'N.139
027'E H=40km
ム=
348km
H型H
型1
9
6
2
年5
月5
日2
0
時1
2
分 三 宅 島 付 近3
4
00
7
'
N 1
3
0
02
0
'
H
= Okm
例 類 実 分 震 度=0
型 の 型 の 象 象ム=
342km
第 1閣 記 、第 2表 各 記P-Sゆ )
I
深さ 震 度=0 表 徴 新 潟 県 ・ 福 島 県0-20
0-40
P
,S
と も に 非 常 に 明 瞭 でS
の 始 め が 最 大 振 幅 と し て A 西 部 出 現 す る と と が 多 い .P
,S
聞 の 振 幅 は 小 さ く , 周 期 も短い,振動の‘減衰は早い. 能 登 半 島 ・ 石 川10-20
0-40
Aにやや似ているが,.P~S 聞の振動周期はやや長く, B 県 西 方 沖 最 大 振 幅 の 出 万 もS
が 始 っ て か ら1-3
秒 た っ て か ら 現れている. 銚 子 沖 負 茨 城 県30-70
0-80
P
は や や 明 瞭 ( 振 幅 は 比 較 的 小 さ い の は 上 下 動 は 割 合 沖 ・ 福 島 県 沖 ・ はっきiりしている),s
は 不 明 瞭 で あ る . 次 第 に 振 幅c
宮 城 県 沖 ・ 三 陸 が大きくな'るいわゆる紡錘型のものが多く,振動の減 , 衰 は お そ い . 三 陸 沖 は 茨 城 県 沖 の 紡 錘 型 を 引 伸 し た よ 沖 うな型である. 特 の 型 象 記 震 央 地 名 A υ 44 ・ n u q t u 沖 県 手 岩P
,S
共 に 比 較 的 明 瞭s
波 が 始 っ て 暫 ら く し て , 最 大 振 幅 の 波 が き わ だ っ て 現 れ る . 中 部 地 方 の 内 陸15-30
0-20
上 下 動 でP
が 明 瞭 に 現 れ ,P-S
の 振 幅 はs
!
.
r
比 べ てE
部 比 較 的 大 き い がS
は や や 不 明 瞭.s
が 現 れ て 仇 ら2-3
秒 で 最 大 動 が 出 る . 関 東 南 部20-40
20-30
P
,S
と も 振 幅 が 小 さ く 不 明 瞭 で あ る . 全体的に周期。F
が ゆ づ く り し て い る よ う で ,s
相 以 降 は グ ル ー プ に な っ た 波 が 現 れ て い る よ う に 見 え る . 減 衰 は お そ い , G 型 に 割 合 似 て い る . 浦河沖・事11路 沖70-110
0-100
P
明瞭,.8不明瞭である.s
相 以 降 比 較 的 規 則 正 し い G 北 海 道 南 東 海 上 振 動 が グ ル ー プ を な し て , 数 個 現 れ て い る . こ の 点F
型 よ り 更 に 顕 著 で あ る . 減 衰 は お そ い .45-60
D 比 較P
, .sとも不明瞭で,振動の不規則性が目立ち, 的 周 期 が 長 い , や や 紡 錘 型 を し て い る .- 2
5
ー。
-80
4
0
.
.
;
"
.
1
0
0
l
z
z
z
沖 三 │ H108 験 震 時 報 ‘30巻3号 1-43。 O
•
-コ
•
。
.
.
第2図の 2 各記象型の発現範囲 40附 O 0 0 80m O ~ 3. 初動方向の分布 O 第3図は押し, 引き別の震央分布図, 第4図 は 緯 度 120附 0一一一一. 別,深さ別の震源分布を示す・ーいずれも資料が少なく, l州 O 震源のグループ。がはきつりと決められ石とはいいがたい が,グノレープらしいものが存在しているようにみえる. ωK2It しかしこれをもって活動単位とは速断できないだ.ろう.•
,第4図で震源が地表面と傾斜したある一つの層に沿って 緯在 35.0た41〆
13bO 1370 1330 131。 刷。 141。 14-2" 14f 分布していることがみられる.しかも押しと引きがそれl 0附.
.
ぞれ違った層に沿って並んで、いるのがうかがわれる. 40附•
第5図は宇津の調べた方法ωに従って作成した初動方•
向のかたよりの分布を示す.これも数が少ないのでなん 80附.
.
•
ともいえない. 120附 ~ 4. 標準走時曲線からのかたよりと地震活動域 I60K件 第6図の 1から 6まで、は誤!J候時報掲載の要領ωにした 2ωwf O がっ?て震源の深さ別に和達・益田の標準走時から実測に 第 4図 緯度別深さ別震源分布図 - 26ー 象の型が非常に違う.地域が接近していて記象型が相違 することは興味あることに思われる ,i.~ ① A @ 因企 @ A A X A B C P E F 母 H 第2図のI 型 別 震 央 分 布 図•
•
第 3、図 高田に於ける震央押し(・)引き (0)の分布 × はh=100km以上1
9
5
9
年4
月 以 降高 田 の 地 震 記 象 か ら み た 地 震 活 動 域 一 一 山 岸 ・ 池 田 109 M F ' ' ' u v o ノ ι 司 、J Z p ' ゆ
w
m μ 円 MhL → 糸 ・ 余 局 主 -Or
2
よって得られたもののかたよりを調べるために作成した ものである. 各深さを通じて,一般にA
,B
,E
の地域の地震は比 較的よく標準走時曲線にのっているが, C, F, Hの地 域の地震はおくれ気味である . Dおよび Gの地震は遠い ので,プロットされていない. (1) 0 < h三20km この深さではCは大体標準走時曲線にのっており, むしろ遠い地域(大体三陸沖近くになる)におこった 地震の走時は早い傾向がある.ーしかしF及びHは明らか におそい傾向がみられる. A, Bおよび Eは殆ど標準走 1<0 時曲線にのっているといってよいだろう. 第 5図 初 動 方 向 の か た よ り '70 第6
図 の 1 第 6図lの 2 (2) 20くh孟30km AおよびCだけである. Aは大体標準走時曲線にの っているが Cは明らかにおくれて出てくる. (3) 30< h孟40km AとBは数は少ないが標準走時曲線に近v
'
:
C, F, Hいずれもおくれて出ている. (4) 40くh孟50km C, F, Hともおくれて出るが,-Hがやや標準走時 '10 ι。
50 40 32001 10s
l
c
耳目3 ~K門一歩 100-
A
i
y
Y
J
Ø?~.P ♂~ 3O< h~ 4() ~/ ..W~ H:初}例 3 ω 4w ヨぬ 2∞
第 6図 の 3 ムK門一三. 100 4∞
5∞
第 6、 図 の 4 - 27ー110 験 震 時 、 報 30巻,3'号 '70 60 -51) 40 30 20