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面外変形が「ブレーキダンパー®」の構造性能に及ぼす影響

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(1)

面外変形が「ブレーキダンパー

®

」の構造性能に及ぼす影響

鈴 井 康 正 佐 野 剛 志 平 田 寛

大 出 大 輔 内 海 良 和 後 閑 章 吉

(本社建築本部) (本社設計本部)

Influence of Out-of-Plane Deformation on Structural Performance of “Brake

Damper

®

Yasumasa Suzui Takeshi Sano Hiroshi Hirata

Daisuke Ode Yoshikazu Utsumi Shokichi

Gokan

Abstract

“Brake damper

®

” is a commonly applied friction-slip damper for buildings that uses high-tension bolts.

During an earthquake, the brake damper absorbs a building’s vibration energy using friction between a brake

pad and a stainless-steel plate fastened with high-tension bolts. This paper presents experimental and analytical

results for the structural performance of a brake damper under out-of-plane deformation during an earthquake.

Dynamic loading tests were carried out using full-scale brace-type and stud-type brake dampers. Experimental

results indicated that out-of-plane deformations had negligible impact on the structural performance of a brake

damper. Analytical results employing finite element methods corresponded with experimental results.

概 要 当社は架構内の高力ボルト接合部に摩擦板(ブレーキ材)とステンレス板を一対にして挟み込み,地震時の建物 の振動エネルギーを摩擦熱に変換することにより,建物の応答を低減する「ブレーキダンパー®」を開発し,既 に多くの建物に適用している。建物の架構内に設置されたブレーキダンパーには,地震時に面内方向だけでな く面外方向にも変形が生じるが,これまでに実施した性能確認実験は面内方向のみを対象としていた。そこで, 面外変形がブレーキダンパー(ブレース型,間柱型)の構造性能に及ぼす影響を確認するために,実大試験体を用 いた載荷実験を実施した。その結果,1) 地震時に想定される面外変形がブレーキダンパーの面内方向の構造性 能に及ぼす影響は小さいこと,2) FEM解析により,実験時の荷重-変形関係や変形モードを再現できることを 確認した。

1. はじめに

建物の主架構内に組み込んだ制振デバイスにより建物 の損傷や応答を制御する技術が各方面で開発されている。 当社は1990年代後半より高力ボルト摩擦接合滑りダンパ ー(以下,ブレーキダンパーと称す)の開発に着手し,多 くの実験により構造性能を確認し,実建物への適用を重 ねてきた1)~5) これまでに報告したブレーキダンパーを実大架構に組 み込んだ状態での実験では,いずれも架構の面内方向の 一方向のみの載荷を行ってきた。しかし,実際の地震時 には,建物の架構内に設置したダンパー部材には面内方 向だけでなく面外方向にも変形が生じる。面外変形下で のダンパーの性能確認実験を行った事例として,座屈拘 束ブレース6)や粘弾性ダンパー7)を対象とした事例が一 部見られるものの,検討例は少ない状況である。 そこで,ブレーキダンパー(ブレース型,間柱型)の面 外変形下の構造性能を確認することを目的とした動的載 荷実験を実施した。 本報では,その実験結果と併せて実施したFEM解析の 結果について報告する。

2. ブレーキダンパーの基本的な構成と特徴

ブレーキダンパー(2面タイプ)の基本構成をFig. 1に示 す。ブレーキダンパーは,ブレースや間柱などの耐震要 Fig. 1 ブレーキダンパー(2面タイプ)の基本構成 Basic Composition of Brake Damper

(2-Shear-Surface Type) 皿ばね ステンレス板 摩擦板 (ブレーキ材) 高力ボルト セット 中板(H鋼等) 外板 (スプライスプレート) 摩擦面 摩擦面 摺動方向 長孔 皿ばね ボルトセット

(2)

素を構成する中板と外板の間に摩擦板(ブレーキ材)とス テンレス板とを一対にして挟み込んだ制振システムであ る。自動車等のディスクブレーキの技術を応用しており, 一定の滑り荷重で摺動することで建物の振動エネルギー を摩擦熱に変換し,建物の応答や損傷を低減することが できる。 摩擦板を構成するブレーキ材には摩擦係数の安定した 複合摩擦材(フェノール系樹脂)を使用している。ブレー キダンパーの摺動面を皿ばね8)を介した高力ボルト(以下, 皿ばねボルトセットと称す)で締付けるため,ブレーキ材 の摩耗等に伴うボルト軸力の変動を低減することができ る。このため,安定した滑り荷重を得ることができる。

3. 面外変形下での動的載荷実験

3.1

目的 ブレーキダンパー(ブレース型,間柱型)の面外変形下 での構造性能を確認するために,動的載荷実験を実施し た。 3.2 実験計画 3.2.1 試験体 試験体一覧をTable 1,試験体形状・ 寸法をFig. 2に示す。試験体はブレース型2体,間柱型2 体の計4体で,いずれも実大サイズに相当する。試験体に 使用するダンパー基本ユニットは,いずれも2面摩擦タイ プとする。ブレース型の試験体B-1は,ブレース材断面を H-350×350×12×19とし,ダンパー部のH形鋼フランジに 4×2 (上下)=8セット,ウェブに2セット計10セットのダン パー基本ユニットを配置し,ブレース材軸方向の目標滑 り荷重を1000kNとした。試験体B-2は,ブレース材断面 を角形鋼管□-250×250×9,ダンパー部断面を+-450×450 ×12とし,十字断面の縦板に2×2=4セット,横板に1×2 =2セット計6セットのダンパー基本ユニットを配置し, ブレース材軸方向の目標滑り荷重を600kNとした。角形 鋼管と十字断面の組み合わせは,よりコンパクトな断面 でダンパー部材としての剛性や耐力を確保するのに適し ている。 間柱型の試験体S-1,S-2は,間柱高さを各々2.15m, 3.4m とし,ダンパー部にダンパー基本ユニットを6セットない し7セット配置し,間柱せん断方向の目標滑り荷重を 600kNないし700kNとした。実際の建物で使用される間柱 θ θ=38.7° A-A' □-250×250×9 (BCR295) C-C' GPL t=16t=12 C' C t=32 3400 4600 4000 5000 t=12 t=12 皿ばねボルト セット B f B SPL t=12 B-B' t=12 A A f +-450×450×12 400 400 450 450 3917 GPL t=12 SPL t=12 A-A' 3400 H-350×350×12×19 皿ばね ボルトセット t=12 A f t=12 A t=12 SPL t=16 4600 4000 θ SPL 5000 θ=38.7° t=32 t=32 3845 GPL GPL t=12 t=12 t=16 皿ばね ボルトセット ウェブ SPL A' A-A' 17 00 1700 3400 1435 665 13 00 200 360 1145 1400 400 A t=12 t=25 t=32 フランジ 25 0 250 t=12 1145 460 520 2150 1075 1075 316 t=16 t=12 A-A' A A' 1400 t=25 フランジ 皿ばね ボルトセット ウェブ 915 420 820 SPL t=12 200 20 0 t=36 支持 部材 ダン パー部 B-1 H H 10 1000 B-2 □ + 6 600 S-1 H PL 6 600 S-2 H PL 7 700 2面 間柱 ブレース 試験体 名 試験体 タイプ 断面形状 ダンパー 摩擦面 数 皿ばね ボルト セット 数 ダンパー部 目標滑り 荷重 (kN) Table 1 試験体一覧 List of Test Specimens

Table 2 使用鋼材の機械的性質 Mechanical Properties of Steel Material

(a) 試験体B-1

(b) 試験体B-2

(c) 試験体S-1 (d) 試験体S-2 Fig. 2 試験体形状・寸法

Configuration and Dimensions of Test Specimens

※鋼材の材質:特記なき限りSM490 ※継手部ボルト:HTB F10T M22 ※ 降伏点または耐力,引張強さ,伸びの値は,試験片3本の平均値を示す。 ※ *はH-350×350×12×19のフランジより採取したこと,**は0.2%オフセット値を示す。 ダンパー部 ダンパー部 75 300 75 ダンパー部の縦板 450 75 300 75 450 ダンパー部の横板 182 32 32 182 182 ダンパー部 ダンパー部 350 350 ダンパー部のウェブ ダンパー部のフランジ 182 182 182 182 75 200 75 175 175 32 32 ダンパー部のウェブ 560 50 1095 410 410 50 1095 130 50 130 ダンパー部のウェブ 板厚 降伏点 または 耐力 引張 強さ 伸び (mm) (N/mm2) (N/mm2) (%) 12 364 552 26.3 ダンパー部SPL(間柱型) ダンパー部SPL(ブレース型) ブレースGPL 16 367 537 25.7 間柱材ウェブ ダンパー部SPL(ブレース型) 19* 331** 527 26.8 ブレース材フランジ SM490A JIS Z2241 1A号 鋼種 試験 片 形状 備考 (主な適用箇所)

(3)

型のブレーキダンパーで,比較的面外剛性が大きい場合 と小さい場合を参考に間柱高さを設定した。ダンパー基 本ユニットには,高力ボルトF8T M27と12枚並列重ねの 皿ばね(外径130mm,内径65mm,板厚3.6mm)を組み合わせ た皿ばねボルトセットを使用した。ダンパー部の高力ボ ルト本締め時の導入軸力は皿ばね高さで管理し,ボルト 張力150kNを目標に軸力を導入した。試験体の主な使用 鋼材の機械的性質をTable 2に示す。 3.2.2 載荷・計測方法 載荷装置概要をFig. 3に示す。 試験体を上下の加力冶具の間に設置する。上部加力冶具 は,ブレース型(Fig. 3(a))では反力壁側のみに固定し,間 柱型(Fig. 3(b))では,反力壁と門形フレームとの間に上部 加力梁として設置した。また,下部加力梁は,リニアガ イドを直交配置した二方向摺動装置の上に設置した。 架構の面外方向に静的ジャッキ(油圧ジャッキとキリ ンジャッキ各2台)を用いて所定の面外変形を強制的に与 えた状態で,下部加力梁の端部に接続した1000kN動的ア クチュエーターを用いて面内方向に動的載荷を行った。 載荷メニューの例をTable 3,載荷波形の例をFig. 4に示 す。一般的な高層・超高層建物を想定して載荷周期を設 定し,架構面内変形を±40mm(層間変形角R=1/100相当) あるいは±80mm(R=1/50相当),架構面外変形を0mmある いは40mm(R=1/100相当)とした。面内方向の載荷波形を 定常部10波あるいは5波の正弦波で構成した(ただし,波 形の前後にエンベロープ波各1波を含む)。また,面内変 形と面外変形を同時に与える載荷だけでなく,比較用と して面内変形のみを与える載荷を併せて実施した。 さらに,試験体各部の変位を高感度変位計およびレー ザー変位計により,ひずみをひずみゲージにより計測し た。 3.3 実験結果 3.3.1 実験経過 ブレース型(試験体B-1,B-2)の載荷 状況をPhoto 1に示す。試験体B-1では,面外変形の増大 とともにH形断面のブレース材が弱軸方向に緩やかに変 形し,周期2sec, 架構面内変形±40mm,架構面外変形 40mmの載荷時に上部ガセットプレート(GPL)に局部的 な面外変形が生じた。また,試験体B-2では,角形鋼管の ブレース材と十字断面のダンパー部が面外変形に追従し, 載荷中にGPLの局部的な面外変形は見られなかった。 間柱型(試験体S-1,S-2)の載荷状況をPhoto 2に示す。試 験体S-1, S-2とも,架構の面外変形の増大とともに,ダン 周期 架構目標面内変形 架構目標面外変形 定常部波数 T δg δgo Nc (sec) (mm) (mm) 2 ±40 0 10 面内 2 ±40 40 10 2.5 ±80 40 5 4.3 ±40 0 10 面内 4.3 ±40 40 10 面内+面外 S-1 正弦波 正弦波 試験体 名 波形 載荷方法 B-1 B-2 S-2 面内+面外 (a) ブレース型の場合 (b) 間柱型の場合 Fig. 4 載荷波形の例 Example of Loading Wave Table 3 載荷メニューの例

Example of Loading Program

注) ・本報に掲載した図に関連する載荷メニューのみ掲載

・架構面内変形・架構面外変形の定義については,Fig. 3 (a),(b)を参照のこと。

Fig. 3 載荷装置概要 Outline of Loading Apparatus

δd (ダンパー部  面内変形) - + a部拡大 Pd 荷重 ※ Pd=P A-A' δgo (架構 面外 変形) b 反力床 リニアガイド 静的 ジャッキ +  1100 1145 ブレーキ ダンパー (間柱型) 上部加力梁: BH-600×600×22×32 下部加力梁: BH-600×600×22×32 反力床 1000kN 動的アクチュエーター 反力壁 二方向摺動装置 (リニアガイド) 計測フレーム 門形フレーム δg (架構 面内 変形) A A' a [215 0] [275 0] ※[]内は試験体S-1の場合 <>内は試験体S-2の場合 の寸法 < 3400 > < 4000 > ダンパー部 - + 荷重P 変位δ A-A' δgo (架構 面外 変形) 静的 ジャッキ b 反力床 + リニアガイド 1000kN 動的アクチュエーター 反力壁 二方向摺動装置 (リニアガイド) 4000 1100(架構δg 面内 変形) 5000 a ダンパー部 ブレーキダンパー (ブレース型) 計測 フレーム 門形フレーム 反力床 下部加力梁: BH-600×600×22×32 - + 荷重P 変位δ A' 上部加力梁: BH-600×600×22×32 3400 θ θ=38.7° A (ダンパー部  面内変形) -+ a部拡大 Pd 荷重 δd + δdo (ダンパー部  面外変形) δso (ダンパー部材  面外変形) b部拡大 δdo (ダンパー部  面外変形) + b部拡大 δbo (ダンパー部材 面外変形) -1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 載荷 振幅 /最 大振幅 時刻(sec) 定常部(Nc=10) 載荷周期(T= 2.0sec)

(4)

パー部のウェブプレートに面外方向の曲げせん断変形が 集中して増大した。また,ダンパー部ウェブプレート上 下端近傍の局部的なひずみ以外のひずみは弾性範囲内で あった。なお,いずれの試験体も面外変形を与えた状態 でもダンパー自体は終始スムーズに作動した。 3.3.2 荷重-変形関係 架構面内変形±40mmでの 面外変形の有無によりダンパー部の面内方向荷重-変形 関係を比較した例をFig. 5に示す。また,架構面内変形± 80mm,架構面外変形40mmでのダンパー部の面内方向荷 重-変形関係をFig. 6に示す。 ここで,ダンパー部の面内方向の荷重と変形は,ブレ ース型ではブレース材軸方向の荷重と変形,間柱型では Fig. 5 ダンパー部面内方向の荷重-変形関係の比較

Comparison of Load-Deformation Relationship of the Damper

Photo 2 載荷状況(間柱型) View of Loading Test (Stud Type)

注) 架構,ダンパー部の面内変形・面外変形の定義については,Fig. 3 (a),(b)を参照のこと。 架構面外変形40mm 架構面外変形0mm (a) 試験体B-1(周期2sec, 架構面内変形±40mm) 架構面外変形0mm 架構面外変形40mm (d) 試験体S-2, 周期2sec, 架構面内変形±40mm -1200 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 1200 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [kN ] 変形[mm] -1200 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 1200 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [kN ] 変形[mm] -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -60 -40 -20 0 20 40 60 荷重 [k N ] 変形[mm] -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -60 -40 -20 0 20 40 60 荷重 [k N ] 変形[mm] (b) 試験体B-2, 周期2sec, 架構面内変形±40mm 架構面外変形40mm 架構面外変形0mm -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [kN ] 変形[mm] -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [kN ] 変形[mm] Photo 1 載荷状況(ブレース型) View of Loading Test (Brace Type)

架構面外変形0mm 架構面外変形40mm (c) 試験体S-1(周期4.3sec, 架構面内変形±40mm) -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 -60 -40 -20 0 20 40 60 荷重 [kN ] 変形[mm] -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 -60 -40 -20 0 20 40 60 荷重 [kN ] 変形[mm] 載荷方向 (面外) (a) 載荷装置(試験体B-1) (c) 上部GPL局部面外変形状況 (試験体B-1) (b) 面外変形状況 (試験体B-1) ブレーキダンパー (ブレース型) 載荷方向 (面外) 載荷方向 (面内) ダンパー部 局 部 面 外 変形 (a) 載荷装置(試験体S-1) 載荷方向 (面外) 載荷方向 (面外) (b) 面外変形状況 (試験体S-1) (c) 面外変形状況 (試験体S-2) 載荷方向 (面内) ダンパー部 ブレーキダンパー (間柱型) 載荷方向 (面外) 動的 アクチュエ-ター

(5)

間柱の面内せん断方向の荷重と変形を表す。 ブレースに作用する軸力は,動的アクチュエーター内 蔵荷重計の指示値からブレースのせん断力(ブレース材 に貼り付けたひずみゲージより算出)の水平成分を差し 引き,その値をブレース材軸方向の値に変換して算出し た。また,間柱の面内方向のせん断力は,動的アクチュ エーター内蔵荷重計の指示値とした。 Fig. 5,Fig. 6には,ダンパーの目標滑り荷重を青線で, その±10%の荷重を赤破線で併記している。Fig. 5よりダ ンパーの荷重-変形関係は,剛塑性型の復元力特性を示 しており,その滑り荷重は概ね目標滑り荷重±10%を満 足している。Fig. 5の架構面外変形が0mmと40mmの場合 を比較すると,面外変形がダンパーの面内方向の荷重- 変形関係に与える影響は小さい。 また,Fig. 6によると,架構面内変形±80mm,架構面 内変形40mmの場合でも,ダンパーの荷重-変形関係は 剛塑性型の復元力特性を示し,その滑り荷重は概ね目標 滑り荷重±10%を満足している。従って,このような場 合も面外変形が面内方向の荷重-変形関係に与える影響 は小さい。 3.4 解析検討 3.4.1 解析概要 実験時の応力・変形を詳細に検討 す る た め にFEM 解 析 を 実 施 し た 。 解 析 ソ フ ト に は Abaqus6.129)を用いた。シェル要素によって試験体全体を モデル化し,材料特性には材料試験結果を反映し,降伏 点を折れ点とし,二次勾配を0とするバイリニア型モデル を用いた。また,皿ばねボルトセットの位置でブレース 母材とスプライスプレートをコネクター要素で結合する ことでダンパー部をモデル化した。このコネクター要素 Table 4 解析対象とした載荷メニュー Loading Program for Analysis

周期 架構目標面内変形 架構目標面外変形 定常部波数 T δg δgo Nc (sec) (mm) (mm) B-1 2 ±40 40 10 B-2 2.5 ±80 40 5 S-1 4.3 ±40 40 10 S-2 2 ±40 40 10 試験体 名 波形 載荷方法 正弦波 面内+面外 正弦波 面内+面外 Fig. 7 FEM解析による応力・変形図

Stress Contour Maps and Deformation Figure by Finite Element Analysis

(a) 試験体B-1 (b) 試験体B-2 (c) 試験体S-2 ※周期2.5sec 架構面内変形 ±80mm 架構面外変形 40mm -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 荷重 [kN ] 変形[mm] -1200 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 1200 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 荷重[ kN ] 変形[mm] -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 荷重 [k N] 変形[mm] Fig. 6 大変形時のダンパー部面内方向の荷重-変形関係 Load-Deformation Relationship under Large Displacement

(a) 試験体B-1 (架構面内変形±80mm, 架構面外変形40mm) (b) 試験体S-1 (架構面内変形±40mm, 架構面外変形40mm) ※Z方向のみ変形倍率を2倍とした。 ※応力コンターはミーゼス応力を示す。 全方向 変位回転固定 全方向回転固定 Y方向のみ変位固定 X,Z方向に 強制変位を与える 面内方向 面外方向 全方向 変位回転固定 上部GPLの局部面 外変形状況 全方向回転固定 Y方向のみ変位固定 X,Z方向に 強制変位を与える a矢視 面内方向 a 面外方向 Z Y X Y X Y Z Y 小 ミーゼス応力 [N/mm2] 大 367.0 0.021 183.5 小 ミーゼス応力 [N/mm2] 大 364.0 182.3 0.055

(6)

は平面内の任意の方向に対してダンパーの目標滑り荷重 に相当する摩擦力が生じ,ボルト軸方向の距離が変化し ない特性とした。 解析対象とした載荷メニューをTable 4に示す。各試験 体について実験で得られたダンパー部材としての面外変 形,面内変形を解析モデルに強制変位として与えた。 3.4.2 応力・変形状況 試験体B-1, S-1のFEM解析に よる応力・変形図の例をFig. 7に示す。試験体B-1に関し て,ブレース上部GPLの局部面外変形(Photo 1(d))を解析 で再現できた。また,試験体S-1 に関して,ダンパー部 に面外方向の曲げせん断変形が集中する状況(Photo 2(b)) を解析で再現できた。 3.4.3 荷重-変形関係の比較 各試験体について実 験と解析による荷重-変形関係を比較した結果をFig. 8 に示す。評価対象とする荷重は水平方向の面内荷重(実験 では,アクチュエーター内蔵荷重計の指示値),変形はダ ンパー部材全体の水平方向の面内変形とした。また,解 析結果との比較を容易にするため,実験結果からエンベ ロープ波分の荷重-変形関係を除去している。Fig. 8より, 実験と解析での履歴ループはほぼ一致しており,FEM解 析により実験時の荷重-変形関係を再現できている。

4. まとめ

建物の主架構内に設置されたブレーキダンパーが地震 時に面外変形を受けた状態で,面内方向に安定した構造 性能を発揮できるかどうかを検証するため,強制的に面 外変形を与えた状態で動的載荷実験を実施した。実験で は,実大のブレース型および間柱型のブレーキダンパー を対象とした。本報の結論は以下の通りである。 1) 層間変形角1/100相当の面外変形がブレーキダン パーの面内方向の構造性能に及ぼす影響は小さい。 2) 面外変形がダンパー部以外の部位に集中する変形 モードが一部の試験体に見られたが,ダンパー自体 は終始スムーズに作動した。 3) FEM解析により,実験時のダンパー部材の荷重- 変形関係や変形モードを再現できた。 今回の一連の検証により,実際の地震時により近い条 件下で,ブレーキダンパーが安定した構造性能を発揮し 得ることを確認できたと考える。 参考文献 1) 鈴井康正,他:改良型ブレーキダンパーの開発,大 林組技術研究所報,No.73,2009.12 2) 鈴井康正,他:4面摩擦「ブレーキダンパー®」の開 発,大林組技術研究所報,No.75,2011.12 3) 鈴井康正,他:多様な要求性能を実現する「ブレー キダンパー®」,大林組技術研究所報,No.76,2012.12 4) 平田寛,他:中小地震から大地震まで幅広く効果を 発揮する多段階「ブレーキダンパー®」の開発,大林 組技術研究所報,No.77,2013.12 5) 例えば,高橋泰彦,他:高力ボルト摩擦接合滑りダ ンパーの開発 その1~その7,日本建築学会大会学 術講演梗概集C-1,pp.979-992,2000.9 6) 渡辺厚,他:接合部を考慮した座屈拘束ブレースの 機構安定性 その10~その13,日本建築学会大会学術 講演梗概集C-1,pp.1085-1092,2015.9 7) 平田裕一,他:粘弾性ダンパーを内蔵したRC壁に対 する面外変形の影響,日本建築学会大会学術講演梗 概集,pp.47-48,2004.8 8) 例えば,ばね技術研究会:第3版 ばね,丸善株式会 社,pp.283-292,1982

9) Abaqus/Standard User’s Manual Version 6.12, 2012 Fig. 8 実験と解析による荷重-変形関係の比較

Comparison of Load-Deformation Relationship by Test and Analysis

実験(面外あり) 解析(面外あり) (d) 試験体B-2 (架構面内変形±80mm, 架構面外変形40mm) (e) 試験体S-1 (架構面内変形±40mm, 架構面外変形40mm) (a) 試験体B-1 (架構面内変形±40mm, 架構面外変形40mm) (c) 試験体B-2 (架構面内変形±40mm, 架構面外変形40mm) (b) 試験体B-1 (架構面内変形±80mm, 架構面外変形40mm) (f) 試験体S-2 (架構面内変形±40mm, 架構面外変形40mm) -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [kN ] 変形[mm] B-1 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 荷重 [kN ] 変形[mm] B-1 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [kN ] 変形[mm] B-2 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [k N ] 変形[mm] S-1 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 荷重 [kN ] 変形[mm] S-2 -1000 -800 -600 -400 -200 0 200 400 600 800 1000 -80 -60 -40 -20 0 20 40 60 80 荷重 [kN ] 変形[mm] B-2

Table 2   使用鋼材の機械的性質
Fig. 3   載荷装置概要 Outline of Loading Apparatus
Fig. 8   実験と解析による荷重-変形関係の比較

参照

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