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パレスチナ不動産税評価基準の策定支援

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パレスチナ不動産税評価基準の策定支援

常葉大学 法学部 准教授 

柴  由花

緒方鑑定不動産事務所取締役・不動産鑑定士 

杉浦 綾子

国際協力機構国際協力専門員 

川北 博史

はじめに

 税務行政の改善は、国際協力の場面でも重要になってきている。開発途上国に対す る支援には、当該国のガバナンス及び福祉の向上を目的とした法制度整備支援1や公 的サービス向上のための自助努力支援が含まれる。これらの支援は、具体的な法令案 作成・制度設計等に対する支援にとどまらず、法令・制度の執行・運用のための行財 政の改善に対する支援や当該国の担当する行政官・専門家などの人材育成に対する支 援からなる。わが国は、これまでにアジアの開発途上国に対して関税や所得税の税務 行政支援を行ってきたが、2012 年から新たに中東地域のパレスチナ自治政府(以下、 パレスチナという。)に対して、国際協力機構(以下、JICA という。)による不動産 税の税務行政改善のための「パレスチナ地方財政改善プロジェクト」を開始している。2  開発途上国への法制度整備支援等にあたって、わが国は、法の起草・改正にとどま らず、法が適切に運用・執行されるための基盤整備、相手国自身による法の運用まで を見込んだ支援を行っている。支援にあたっては、被支援国の税務行政を継続的に観 1 わが国では、「発展途上国に対する法整備支援については、政府として、あるいは、弁護士、 弁護士会としても、適切な連携を図りつつ、引き続き積極的にこれを推進していくべきである」 との提言がなされ、ベトナム、カンボジア、ラオス、モンゴル、インドネシア等のアジア諸 国に法制度整備支援がなされてきた。司法制度改革審議会「司法制度改革審議会意見書- 21 世紀の日本を支える司法制度-」(2001)。 http://www.kantei.go.jp/jp/sihouseido/report/ikensyo/iken-2.html 2 2006 年 7 月、小泉総理(当時)が日本政府は将来のイスラエルとパレスチナの共存共栄に向 けた中長期的取り組みとして「平和と繁栄の回廊」構想を提唱した。2010 年 11 月には、菅直 人総理大臣が、また、2013 年 2 月には安倍総理が、訪日中のファイヤード首相と会談を行い、 「平和と繁栄の回廊」構想を引き続き進めていくとした。わが国の対パレスチナ ODA は 1993 年以降本格的に開始され、1995 年に開始された直接援助は、2000 年からの第 2 次インティ ファーダの影響を受けてしばらく実施が制限されたが、2007 年度から再び本格化している。 外 務 省「 政 府 開 発 援 助(ODA) 国 別 デ ー タ ブ ッ ク 2011  パ レ ス チ ナ 」http://www.mofa. go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/kuni/11_databook/index.html#IV http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_abe2/130214_01.html  なお、「パレスチナ地方改善プロジェクト」は、2012 年 2 月より JICA が派遣した専門家チー ムによって実施されている。川北はプロジェクト形成時に専門家として現地に派遣されてい た。杉浦、柴は当該プロジェクトの国内支援委員会(座長、横浜国立大学大学院岩崎政明教授) の委員である。

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察し、適切な活動を実施する必要がある。「パレスチナ地方財政改善プロジェクト」 においても、現地に日本人専門家を継続的に派遣するとともに、「パレスチナ地方財 政改善プロジェクト国内支援委員会」を組成し、現場に即した活動及びそれに寄与す る専門的な助言を行える体制を構築している。  本稿では、まず、わが国の開発途上国への税務行政支援の状況を概観した後、次に、 パレスチナ不動産税について、他の開発途上国との比較をしつつその特徴を把握する。 第 3 に、パレスチナ不動産税の評価実務の状況について考察し、第4に、パレスチナ 不動産税の評価基準策定支援の現状と課題についてまとめる。

Ⅰ 開発途上国への税務行政支援の状況

1.「法と開発運動」から「新・法と開発運動」  1960 年代から 70 年代前半にかけて、米国の法学者により「法と開発運動(Law and Development Movement)」が展開された。民主主義に基づく開発途上国の経済的・ 社会的発展には近代的な法制度の構築が重要であるとして、米国政府や米国に拠点が あるロックフェラーやフォード等の財団の資金により、途上国の法整備プロジェクト が行われた。しかし、ベトナム戦争以降、米国では方法論への批判などにより、「法 と開発運動」は衰退した。もっとも、「法と開発運動」の性格が、個々の途上国に固 有の慣習及び法制度の内容を十分に斟酌しないばかりか、米国の法制度モデルを絶対 視するものであったことが、「法と開発運動」の問題の根源であったと考えられる3  1980 年代後半には、冷戦終結後の旧共産主義諸国の体制移行の過程で、開発にお ける法の役割が改めて注目され、IMF・世界銀行主導の法整備プロジェクトが多く行 わ れ る よ う に な っ た。 こ う し た 動 き は、「 新・ 法 と 開 発 運 動(New Law and Development Movement)」と呼ばれ、「法と開発運動」と区別されている。「新・法と 開発運動」は、法技術支援にあたり、「法と開発運動」の延長線上に存在しつつも多 元主義的な考え方を取り入れ、経験的であることを重んじ、途上国の自発的かつ固有 の法発展の形態を認めるものである4。そこでは、「開発途上国の法の研究にあたって は、その国の法伝統を把握する必要がある」、「書かれた法よりも、生きた運用されて いるほうに注目すべき」5といった態度が重要であり、「法と開発運動」で見られたよ うな支援国の法体系の押付けといった方法は避けられている。また、途上国の実態を 調査し、先進国の模倣に限らない改革の実現可能な手段を考案することが課題となっ ている6 3 中越淳夫「法と開発研究における『新しい法と開発運動』の展開」横浜国際経済法学 9(1), 183 頁(2000)。 4 同上、186 頁。 5 山田卓生「開発と法‐開発途上国の法の研究のために」横浜国際経済法学 10 巻 2 号 15 頁 (2001)。 6 中村良隆「アメリカ合衆国における『法と開発』の理論と法整備支援の実際 」早稲田大学比

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 JICA の法制度整備支援における基本方針においても、支援受入国側の主体性の尊 重、自立的に法整備を担う長期的な人材育成の重視、支援受入国の社会に根付く支援 の重視等を挙げており、こうした視点は当該国のベストな制度構築、継続的な法整備 能力の確立、法運用組織の機能向上を確立する上で重要と考えられ、これらの基本方 針に基づき支援が実施されている7  「新・法と開発運動」には 「 市場改革プロジェクト 」 と「民主化プロジェクト」の 二つの方向性があると指摘されている8。前者は、貧困の削減、環境保全、経済発展の 促進といったプロジェクトであり、後者は、人権や民主主義の促進及びそれらの確立 を目指すプロジェクトである 。税務行政の支援については、税収を確保することで、 貧困の削減や経済発展の促進を達成する一方、ひいては民主主義の促進を図ることも 可能であることから、二つの方向性を兼ね備えていると考えられる。 2.わが国の開発途上国に対する税務行政支援  わが国の開発途上国に対する税務行政に対する支援は、もっぱら関税や所得税中心 に行われてきた。例えば、ベトナムに対する税務行政改革支援プロジェクト(2005 年~ 2008 年)では、JICA と国税庁とが、申告納税制度導入にあたって、納税者に対 し帳簿を作成し正確に納税するよう啓発したり、申告された納税額が正しいかどうか をチェックしたりする納税者サービスや税務調査に関する支援を行った。また、財務 総合政策研究所は、2007 年にカンボジアに対して、国際課税(租税条約)及び個人 所得税分野についての支援を行った9  パレスチナの財政はドナー国からの資金に依存していることから、財政的な自律が 求められており10、そのために、より効率的な税務行政によって不動産税の税収を高 めようとしている11。JICA は、2005 年 9 月から 2010 年 12 月にかけて、「パレスチナ 較法研究所 編『比較法研究の新段階 : 法の継受と移植の理論』315 頁(成文堂、2003)。もっ とも、1990 年代以降現在に至る、経済開発を促進するために法制度を整備するという法制度 改革支援の理論は、1960 年代の「法と開発運動」の理念と通底するといするものに、山田美 和「『法』と『開発』の関係‐法制度改革支援は正当化されるのか」アジ研ワールド・トレン ド 143 号 8 頁(2007)。 7 JICA 課題別指針 法整備 (2011)。 8 川村有教「法整備支援をめぐる法学の言説」香川孝三、金子由芳編著『法整備支援論 制度 構築の国際協力入門』57 頁(ミネルヴァ書房、2007)。 9 荒瀬 塁、小形 基「カンボジアへの技術支援-対人地雷除去から税制・税務行政支援まで」ファ イナンス 44 巻 9 号 30 - 31 頁(2008)。 10

The World Bank, Towards a Palestinian State: Reforms for Fiscal Strengthening, Economic Monitoring Report to the Ad Hoc Liaison Committee, (2010). http://web.worldbank.org/WBSITE/EXTERNAL/COUNTRIES/MENAEXT/WESTBANKGAZAEXTN/0,,cont entMDK:22537816~menuPK:50003484~pagePK:2865066~piPK:2865079~theSitePK:294365,00. html 11 ヨーロッパの市場経済移行国の不動産税の税務行政改善については、以下を参照。

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地方行政制度改善」プロジェクトを遂行し12、2011 年には、パレスチナにおける現状 と課題を確認するため、現地調査を行った13。2012 年から「地方財政改善プロジェクト」 が始まり、パレスチナ不動産税の評価基準の策定業務に対する支援(以下、本支援事 業という。)を行っている14

Ⅱ パレスチナ不動産税の特徴

1.英法継受  現在、パレスチナには二つの不動産税法が施行されている。ヨルダン川西岸地区に はヨルダン法を根拠とする「自治体や地方議会の領域内にある建物と土地の税に関す る法律(1954 年法律第 11、以下「西岸不動産税法」という。)」があり、ガザ地区に はエジプト法を根拠とする「都市不動産税法」(1940 年法律第 42)が施行されている。 両法は英法を継受しており、また、イスラエル軍指令によるたび重なる改正が加えら れ、かなり複雑な法律となっている15 2.課税主体  開発途上国において、不動産税の課税主体は国であることが少なくない16。パレス チナ不動産税の課税主体も国である。評価、賦課、徴収はパレスチナ財務庁固定資産 税局が地方自治体と協力して行い、税収を地方自治体に交付している。もっとも、こ の背景には、パレスチナでは地方自治がまだ確立されていないといった問題もある。 2012 年秋に地方選挙が行われたものの 350 余りある地方自治体では人口が数千人規 模の小さな Village Council やイスラエルによって活動を制限されている地方自治体 も少なくない。 Europe Guidelines on local property tax administration 10 (2009).http://www.nalas. eu/fd/taxadministration/index.aspx#download 12 JICA は 2010 年から 2011 年にかけて、パレスチナ固定資産税局を対象とした国別研修「固定 資産税システム改善」を実施し、2011 年には個別専門家「地方行政アドバイザー」を派遣した。 なお、JICA は「パレスチナ固定資産税」としているが、本稿では、「パレスチナ不動産税」と する。 13 JICA は、2011 年 8 月 20 日から 25 日にかけて、パレスチナ財務庁固定資産税局、財務庁ベツ レヘム支所、パレスチナ土地公社、パレスチナ資本市場公社でヒアリングを行った(ただし、 ガザ地方は除く)。この時の調査を踏まえたレポートとして、柴由花、川北博史、水谷徹也「パ レスチナ暫定自治政府における不動産税の現状と課題」明海大学不動産学部論集 20 号 10-25 頁(2012)。 14 「パレスチナ地方財政改善プロジェクト国内支援委員会」は、2013 年 3 月 17 日から 29 日にか けて、パレスチナ財務庁固定資産税局、ラマッラ市等で不動産税評価についての調査を行った。 15 「西岸不動産税法」については、法務庁や開発計画庁による改正法案が策定されたものの、実 際の改正作業は行われなかった。2013 年 3 月現在、UNDP の支援による改正法案が策定されて いた。「西岸不動産税法」の現状については、柴・川北・水谷、前掲注 13、19 頁以下を参照。 16 JAYK. ROSENGARD, PROPERTY TAX REFORM IN DEVELOPING COUNTRIES 11 (1998).

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3.納税義務者・非課税物件・課税客体  パレスチナ不動産税の課税客体は土地、家屋であり、納税義務者はその所有者であ る。  公的機関等の所有する土地・建物は非課税であるが、公的機関が賃貸借によって土 地や建物を借り上げるような場合は、非課税とはならない。  価値の高い都市部の不動産だけが、不動産税の対象となっているうえに、不動産所 有に格差があるため、必ずしも公平な課税が達成されていないというのが現状である。 2013 年 3 月現在、不動産税の課税地域は西岸で 132 ある市のうち、60 の市だけにと どまり、村(Village Council)、プロジェクト委員会といった小規模な自治体は課税 対象地域とはなっていない。とりわけ、大都市近郊に位置する村には、近代的なオフィ ス・ビルや富裕層を対象とする豪華マンション・別荘等、多くの大型建設プロジェク トが次々と実施されているが、不動産税は課されていない。また、不在地主の問題が ある。被占領地であるという背景から、イスラエル領域に居住するパレスチナ人(イ スラエル当局から居住許可の ID を発行されている)は、パレスチナ側の統治が認め られている領域に不動産を所有することをイスラエル当局に知られると、ID を没収 され、生活上の様々な便益を失うため、パレスチナ領域に不動産を保有することを知 られないようにしている。今後、こうした郊外の不動産や不在地主にいかに課税して いくべきかが課題である。  他方、パレスチナでは、公的な土地の所有権登録のシステムが十分でなく、所有者 の正確な把握が困難な場合が少なくない。しかし、土地の登録や権限のシステムの機 能が不十分なことは、他の開発途上国でもよく見られることで、パレスチナ特有の問 題ではない。パレスチナでは、公的な土地の登録や権限のシステムの機能は、課税台 帳で補完されており、英国占領当時の英国課税台帳(図 1)とヨルダン占領時代のヨ ルダン課税台帳(図 2)とが、課税のみならず、不動産の所有権の記録、証明に現在 でも使用されている。 図 1 英国課税台帳 図 2 ヨルダン課税台帳

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4.評価  不動産税の評価には、3 つの分類(賃貸価値、資本価値及び地価による評価)があ るが、開発途上国における現実の不動産税の評価方法はハイブリッド(混成)な評価 方法となっている17  パレスチナでは、不動産税の課税標準の算定にあたり、建物(建物及びその敷地) と土地(建物等の存在しない土地)によって評価方法が異なっている。建物は賃貸借 契約書に記載された契約額、即ち賃貸借契約額に基づいて不動産税のための課税標準 額が計算されるため、「建物に関する評価額は rent value に基づく」あるいは「rent value に基づいて建物は評価される」と考えられる。他方、更地の評価額については 「annual net rental value」と呼ばれてはいるものの、基本となる価値に関しては market value が使用されている。なお、課税標準に関しては後述の「IV、2. 課税標 準としての価値概念のあり方」を参照。  評価替えに関して、パレスチナ不動産税法は 5 年ごとに評価を見直すとしているが、 実際にはあまり行われていない。開発途上国において、不動産の再評価があまりにも 行われない場合(たとえば 5 年、10 年といった期間)、税額が一時的に増加するため、 有権者の反対につながりかねない。こうした問題に対処するため、ヨルダン、コロン ビア、ブラジルでは物価スライド制が使われ、フィリピンでは、再評価額を段階的に 導入する方法が採用されたという18。ただし、再評価に対する緩和措置は、不動産税 の実効税率を低減させるという恐れがある。 5.税率  不動産税の建物(土地を含む)に対する税率は 17%であるが、土地のみの場合の 税率は 10%である。  このように、比較的高い税率が設定されている理由として、一つは、評価額が低く 設定されていること、もう一つは、開発途上国では、不動産の所有権が富裕層に集中 していることから、不動産税が垂直的公平の機能を果たしていること19、が考えられ る。  パレスチナの所得税法は包括的に所得に課税することになっており、不動産所得も 課税される建前となっているが、執行の程度については不明である。したがって、パ レスチナにおいては不動産税が所得税を補完している可能性がある。 6.税収 17Id., at 11. 18

Roy Bahl and Jorge Martinez-Vazquez,The Property Tax in Developing Countries: Current Practice and Prospects, Lincoln Institute of Land Policy Working Paper 2-7 (2007).https://www.lincolninst.edu/pubs/download-thankyou.asp?doc_id=553&login=0

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 一般的に、不動産税は、課税ベースが広いので、控えめな税率でも比較的容易に税 収をあげることができ、また、所得課税に比べて、課税ベースが安定しているという メリットがある20。しかし、途上国の不動産税の税収は、行政上の問題、政治的な問 題や評価や徴収の問題のために、税収の伸びに関して弾力性がなく、国の税収に占め る割合が極めて低い21。パレスチナの不動産税もまた、同様に、税収に占める割合が 極めて低い。  他方、本来、不動産税は、応益税の性質があるため、不動産所有者は、その不動産 の価値に比例してほぼ一定の公共サービスの恩恵を受けることできると考えられてい る。しかし、パレスチナの不動産税に関しては、公共サービスとの関係は限定的であ り、応益税として見ることはできない状況にある。現在のパレスチナの地方自治体は さまざまな活動が制限されている場合もあり(あるいは、インフラ整備といった行政 サービスの提供も制限される場合がある)、十分な行政サービスを行い得る状況には ない。 7.執行の問題と納税者  不動産税のデメリットとして、執行が困難でコストがかかる点が挙げられる。開発 途上国においては、賦課率、徴収率ともに非常に低いことが、不公平や大幅な課税漏 れにもつながっている。不動産税の執行において、特に居住用不動産にかかる不動産 税の納付を強制することは困難であり、滞納処分などは、一般的には不可能である。  パレスチナの不動産税は、すべての地方自治体で執行されておらず、不公平な税と なっている。とりわけ、都市近郊で開発が進んでいるものの、不動産税が課されてい ない地方自治体が少なくない。現在、それを改善するべく不動産の評価作業が行われ ているが、これまで、課税されていなかった納税者にとって、新たに課税されること となった場合、あるいは、これまでより大幅に税額が増えることとなった場合、納税 者からの不満や異議申立てが増えることが想定される。

Ⅲ パレスチナ不動産税の評価実務の状況

1.評価実務の現状  パレスチナの法制度は、歴史的にオスマン・トルコ、英国、ヨルダンといった法を 継受しており、不動産税の評価についても、英国から継受された賃貸価格が現在も用 いられている。わが国の固定資産税評価額は、原則として、売買実例価額に基づく資 本価格を採用しているが、パレスチナ不動産税の評価額は賃貸価額等が用いられてい る。したがって、わが国の評価制度をそのままパレスチナに導入することは困難であ 20Id., at 2-7. 21 Rosengard supra note 16, at 11.

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る。そこで、わが国がパレスチナの不動産税評価基準の策定を支援するにあたり、い かなる点に留意すべきかが問題となる。そのためには、不動産税法がいかに執行され ているのか、実務上の取り扱いを正確に把握する必要がある。  以下では、パレスチナ不動産税の評価実務の流れについて概観する。 2.評価実務の流れ (1)評価委員会  不動産税法によると、評価委員会が地方自治体ごとに設置される。評価委員は、財 務大臣の指名、地方議会および住民代表から選出され、財務庁支所から 1 ~ 2 名、地 方自治体職員 1 名、住民代表 1 名の 3 から 4 名によって評価を実施することになって いる。  実務的には、2 名の不動産税局職員および 1 名の市役所職員で、課税物件を実地調 査しており、それを評価委員会としている。   (2)課税物件の把握  課税物件の把握に関して、特に新築物件の把握が重要である。建物を建築する場合、 市役所に建築許可申請を行う。許可がなされ、建築が開始されたものについては、市 役所から不動産税局に連絡される仕組みになっている。 (3)現況調査  評価台帳にある項目(階、部屋、台所、バス、トイレ)については、実際に建物の 内部を現況調査によって、評価委員が確認する(図 3)。設備の状態、数などによっ て評価が異なる。  賃貸物件の場合、賃貸契約書によって、賃貸料の確認を行う。 図 3 建物内部の実地調査ラマッラ市 2013 年 3 月 17 日

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(4)課税台帳とデータベース化  課税台帳には、英国課税台帳とヨルダン課税台帳とがあり、現在でも両台帳が使用 されている。  課税台帳には、賃料、階、部屋、台所、バス、トイレ、使用者・借家人等が記入さ れている。台帳には、評価額が記入されているが、評価額の具体的な積算根拠は示さ れていない(図 4)。  評価台帳は「手書き」によって情報が記入されるが、そのデータは入力され、デー タベース化されている。 図 4 課税台帳 3.評価の基準(クライテリア)の問題  パレスチナ不動産税の評価額の具体的な積算根拠に関する明確な基準は現在のとこ ろない。しかし、評価に際しては、建物内部の調査を行い、床の面積・材質、台所の 材質、トイレの数、浴室の質(ジャグジー等)を参考にしている。個別的な課税物件 の評価においては、一定の評価委員の基準によって評価がなされている。評価委員に おける評価のクライテリアは、①賃貸料、②ロケーション、③面積、④材質、⑤仕上 げの 5 点であるという。 (1)賃貸料  賃貸用不動産は賃貸料をもとに評価される。「西岸不動産税法」の改定作業におい ても賃貸価格を当面、踏襲していくこととされている22 ①新旧の格差 22 McCluskey らの分析によれば、途上国を含む 122 カ国において、賃貸価格を使用している国は 37 カ 国 で あ り、 資 本 価 格 を 使 用 し て い る の は 52 カ 国 で あ る。William J. McCluskey, Michael E. Bell and Lay-Cheng Lim, Rental Value versus Capital Values: Alternative Bases for the Property Tax, in CHALLENGING THE CONVENTIONAL WISDOM OF THE PROPERTY

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 パレスチナの賃貸借契約は無期限であり、賃料の改定がなされることもあるが、長 期間、改定されないこともある。したがって、賃貸価格によると、古い建物(図 5) ほど評価額が低く、新築建物(図 6)ほど評価額が高くなる。  現地調査では、ラマッラ市の旧市街地の隣接する賃貸物件において、古い建物と新 築建物との賃貸料は約 4 倍の差があるということが判明した。 ②賃貸料がない場合  居住用不動産など、賃貸料がない場合、地方自治体によっては(例えば、ラマッラ 市)、市場価格を加味した評価を行っており、賃貸価格とのハイブリッドな評価方法 となっている。  実務的に、途上国においては、賃貸料に関するデータが不足しているので、賃貸価 格による評価を行うのは困難である。とりわけ、住宅、工業用地、空地などは賃貸価 格による評価が困難である。そこで、実務的に、賃貸価値の決定には 3 つの方法が採 用されている。一つは、賃貸価値を決定するために推定された市場の賃貸料を近隣に おけるすべての不動産に適用する方法である。このために使われる基準価格は、利用 可能な賃貸料のデータに基づいている。この方法は、賃貸料のデータが利用可能であ るアパートや住宅、非住宅に用いられる。二つ目は、賃貸価値を決定するために資本 価格で評価する方法である。比較可能な売買のデータか土地や建物の取得価額を評価 することによって、資本価格で評価する。この方法は、工場、大規模商業施設、比較 可能な賃貸価格が得られない住宅に用いられる。三つ目の方法は、年間の収益率で不 動産を評価する利潤法を用いる方法である。純利益は法人の財務諸表から得られるの で、賃貸人の収益を評価し、年間の賃貸価値を求めることが可能である。  パレスチナ不動産税の評価においても、賃貸価格のない土地や建物、すなわち、居 住用不動産や更地をいかに評価するかが課題である。都市部であれば、取引価額の蓄 積により、市場価格を用いて評価することが可能であるが、地方都市では、不動産取 引自体が少なく、評価が困難である。 ③正確な賃貸料をいかに把握するか  パレスチナでは、営業税(免許税)があり、開業時には届出が必要なことから、そ の届出の際に賃貸契約書を提出させることで、賃貸料にかかる情報収集が可能である。  Dillinger は、以下のように、具体例を挙げ賃貸価格の問題を指摘している23 カルカッタでは、鑑定人は、賃貸不動産を実際の賃貸料を基準に評価するよう教育さ れており、賃借人から賃貸情報を探す権限を付与されている。しかし、賃貸人は、領 収書を偽造して家賃を低く言うように日常的にオーナーと結託している。結局、直接 23

WILLIAM DILLINGER, URBAN PROPERTY TAX REFORM GUIDELINES AND RECOMMENDATIONS 17 (1995).

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的な市場データに依存する場合、利回りは過小評価となり、実際の家賃と申告された 家賃との間の乖離があるという。そのため、賃貸価値を採用している国では、正確な 賃貸情報を見つけ出すためにオーナーや賃借人に正確なデータを提供するようなイン センティブを提供している。ヨルダンやコートジボワールでは、登録された賃貸契約 が実際の賃貸料を決定するための基準として使われる(これらの国では、政府機関が、 民間の契約に公的な認可を付与するために賃貸契約を登録している)。オーナーと賃 借人は正確に契約を登録することで賃貸のデータの信頼できるソースになる。しかし、 法的に登録された賃貸契約がカバーする部分は限定されている。アンマンなどでさえ、 賃貸契約の大多数は、家主と賃貸人の間で文書化されていない。ヨルダンでは、所得 税法によって、賃借人に評価人に直接正確な賃貸料を明らかにするインセンティブを 付与しており、賃料の支払いは個人所得税から控除が可能である。 (2)ロケーション  課税実務において、建物の所在するロケーションによって、建物の評価額が異なる。  ロケーションにおいて考慮される要素は、①建物の所在する地域、②高台、③街の 中心地からの距離、④公共的な機関(学校等)からの距離等である。地域区分につい ては、都市計画における地域区分と課税上の地域区分とは異なる。また、地方自治体 ごとの地域区分があり、必ずしも統一されていない。地域区分において、旧市街地よ りも新たな開発地域の方が、価値が高いと考えられている。 (3)サイズ  サイズとは、①建物の床面積、②部屋数、③敷地の面積(プールや庭を含む)であ る。同等の建物でも、床面積の広い建物の方が評価額は高くなる。 図 6 ラマッラ市旧市街地の新築 建物。推定賃貸料 約 833JD/ 月 図 5 ラマッラ市旧市街地の古い 建物。推定賃貸料 200JD/ 月

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(4)材質  材質とは建物に使われている材質である。大理石や石が機械で加工されたものか、 手作業で加工されたものかどうかによって、評価額が異なる。 (5)仕上げ  仕上げとは、建物の天井、床、壁の仕上げを指す。 4.パレスチナ不動産税の評価基準の策定業務に対する支援の必要性  以上のように、パレスチナ不動産税法の運用にあたって、賃貸価値が課税標準とさ れているが、いわゆる評価基準といったルールはなく、評価人が経験に基づきながら、 課税物件の評価を行っている。  そこで、パレスチナから、税収確保や公平な課税のためにも、不動産評価基準を策 定したいとの要望があり、わが国がパレスチナの不動産税評価基準の策定を支援する こととなった。もっとも、わが国の固定資産税の評価システムをそのままパレスチナ に導入することは、社会基盤のインフラ整備の相違等から困難であるため、パレスチ ナの現在の課税実務を尊重した評価基準の策定支援を行っている。

Ⅳ パレスチナ不動産税の評価基準策定支援の現状と課題

1.評価基準策定支援の目的  本支援事業の目的は、パレスチナにおける不動産税納付、徴収額の改善に寄与する ことである。具体的には、不動産税に関する評価基準委員会の評価基準策定能力及び 運用能力の強化を図ること等を企図している。現段階において、本支援事業がこの目 的を実現するために、整理することが必要であると認識している論点は、概ね次の3 点である。 ① 現在、実施されている不動産税の公正性、公平性、客観性確保の状況や価格バ ランスの実態 ② 課税標準としての価値概念のあり方 ③ 適正な評価手法確立への課題 2.現在、実施されている不動産税の公正性、公平性、客観性確保の状況や価格バラ ンスの実態  2013 年 3 月に実施した現地運営指導調査では、納税率の低さとともに、評価額に 対する異議申し立て(不服申し立て)がとても多い、ということが問題視されており、 その不満の多くは、明文化された評価基準がなく、公正性、公平性、客観性を証明す ることが困難であることに起因しているとのヒアリング結果を得た。

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 このような現地が直面する問題点は、不動産税に関する評価基準の策定こそが、パ レスチナにおける不動産税納付、徴収額の改善に大きく寄与する要因である、という ことをあらためて教えてくれるが、一方で、支援者と被支援者とで、公正性、公平性、 客観性を確保する評価基準の策定には何が必要であるのか、という課題意識を同じく する重要性にも気づかせてくれる。  国の沿革や法制度、社会制度等が異なる中、日本の制度や価値観はパレスチナの人々 のそれとは必ずしも一致しない。したがって、まずは、現在、パレスチナで実施され ている不動産税に関する評価の実態や現地で認識されている問題点を把握する必要が ある。  前述した説明等を基に、現在、問題点として認識されている事項をまとめると、次 のとおりである。  法律により、評価替えの規定は定められているものの、現状においては、一度決め た評価額は、著しく近隣との価格バランスが崩れない限り、変更されることはない。  建物(建物及びその敷地)の評価額は、原則として、賃貸借契約書等により把握さ れる年額賃料をベースに定められるが、評価額の根拠とされる賃貸借契約書等には必 ずしも真実の賃料が記載されているわけではなく、また、年額賃料は、それぞれの賃 貸借契約が締結された当時のものを採用しているため、50 年以上前の賃料を基に課 税標準が定められているケースもある。  ①、②に起因する価格バランスの乱れや、不動産の取引価格を用いた補足的な評価 手法は、支局ベースでのルールや評価員の相場観等で是正しながら運用されており、 当該相場観の基準や是正のされ方がブラックボックス化しているため、課税標準決定 までの評価プロセスが不透明なものとなっている。  本支援事業は、このような実態把握に基づき、より、具体的で客観的な評価指針を 策定するために、パイロット各支局の評価員に対する主要な価格形成要因判定に関す るアンケート調査、価格バランス実態把握のための評価額の一部、地図上への落とし 込み等を通じた価格バランスの視覚化への取り組み、賃貸借契約に基づく年額賃料と は異なる他の不動産市場データ、例えば、不動産の取引価格データの存在の有無につ いての調査を、被支援者(担当部局)に呼びかけ、理解が得られた事項から、順次調 査に着手しているところである。 3.課税標準としての価値概念のあり方  前述した「西岸不動産税法」等24によると、課税標準は建物(建物及びその敷地) 24

1954 The law Concerning the Tax of Building and Land within the Areas of Municipalities and Local Council 及び JICA パレスチナ地方財政改善プロジェクト内部資料 〈土地(更地)の評価手法について現時点での懸案事項〉(2013 年 9 月)を参照

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と土地(建物等の存在しない土地)に分類され、それぞれ次のように定められている という。 ① 建物(建物及びその敷地)   課税標準:純賃貸価値(net rent value)   純賃貸価値=賃貸価値× 80%(20%は減価償却分)   賃貸価値(rent value)=年額賃料 ② 土地(建物等の存在しない土地)   課税標準:賃貸価値的なもの(annual net rental value と呼んでいる)   賃貸価値的なもの=土地の市場価値(market value)的なもの× 6%  わが国の固定資産税における課税標準は、原則として固定資産課税台帳に登録され た価格である(地方税法 349 条)が、当該価格は、国土交通省が公表する地価公示価 格(市場価値:market value)の概ね 70%程度の水準で整備されている。当該評価 額は 3 年に 1 度評価替えが行われ、また、小規模住宅用地の特例や負担調整措置等、 不動産の社会・生活基盤的な性格に着目した納税に関する様々な特例や減免措置が設 けられている。  現時点で、パレスチナにおいて、このような規定を見つけることはできずにいるが、 土地(建物等の存在しない土地)の課税標準の評価においては、土地の市場価値的な ものから賃貸価値的なものを算定する際に、次のように、当局により 10%の掛け率 を乗じて税額を減じる制度を導入した事実(2009 年)を確認している。    賃貸価値的なもの=土地の市場価値(market value)的なもの× 10%× 6%  また、さらに、これに加えて、評価委員会で協議の上、かつ、当局の局長の了承を 得ることによって、税額の負担を軽減させるため、土地の市場価値的なもの自体を調 整することもあるという。  現在、土地取引価格データの有無や土地の市場価値算定の確からしさについて調査 を行っているところであるが、実際に市場価値的なものに基づいて評価が行われてい る、という実態から、土地の課税標準の価値概念を市場価値(market value)に変更 する、という案も検討されており、これに伴い、建物(建物及びその敷地)の課税標 準である賃貸価値(rent value)との整合性についても、併せて検討が続けられてい る。 4.適正な評価手法確立への課題  建物(建物及びその敷地)と土地(建物等の存在しない土地)という類型により、 現地における課税標準の考え方は異なるものの、両類型に共通した課題としては、公 正性、公平性、客観性を確保するために、標準的な評価額を求め、地域的なバランス

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を図った上で、個別の評価を行う必要がある、ということがあげられる。  建物(建物及びその敷地)における標準的な賃料の把握の仕方と、土地(建物等の 存在しない土地)における標準的な市場価値的取引価格の把握の仕方とでは、観点が やや異なるため留意する必要があるが、いずれも、不動産賃貸市場における市場賃料 (market rent)水準や不動産取引市場における市場価値(market value)水準を的確 に把握することが可能であるのか、把握することができない場合、これに代わる合理 的な評価手法を確立させることができるのかの見極めが、今後の評価手法、ひいては 評価基準策定の方向性を決定する上での鍵となろう。

Ⅴ まとめ

 開発途上国の支援にあたっては、支援国の法体系の押付けといった方法を避け、被 支援国のこれまでの経験、行政能力、実現可能性を考慮することが重要である。理論 にとらわれすぎた評価基準を策定しても、行政担当者がそれを使いこなせないようで あれば、結局、支援が無駄になってしまう。したがって、被支援国の行政担当者の意 見を最大限、活用した評価基準の策定が求められる。ただし、開発途上国においては、 コンプライアンスの欠如や恣意的な行政実務が見られることから、評価基準策定支援 にあたっては、現地での根気強い調査によって、現状をしっかりと把握する必要があ る。  パレスチナにおける不動産税の評価は賃貸価値に基づいており、評価のプロセスが 不明瞭であるといった問題があるものの、評価委員が一定のクライテリアに沿って経 験に基づいて評価を行っている。しかし、統一された評価基準がないため、地域によ り評価の違いやクライテリアの適用方法の違いがある。そこで、統一された評価基準 を策定し、上記のクライテリアを評点化し、評価のプロセスを 「 見える化 」 すること が必要である。また、クライテリアの評点化にあたっては、地域の特性に応じて比重 をかけるなど、調整も必要である。  今後、評価基準の策定にあたり、これまで課税されていない居住用財産にも当然課 税されることになるから、納税者の理解を得ることが重要となる。賃貸価格を採用す る場合、課税対象が収益のある事業用資産であれば不動産税の性質は収益税になるが、 非事業用資産に課税する場合、財産税となる25。安定した財源とするためには収益に 左右されない財産税として構築していくが望ましい。そのためには、将来的に資本価 格による評価方法を採用することも検討する必要があろう26。その場合、不動産税は 25 McCluskey, Bell and Lim supra note 22, at 134. 26 もっとも、賃貸価値から資本価値へと移行した北アイルランドでは、戸建て住宅の評価額が 住宅の評価全体に占める割合は 49.4%から 51.0%に上昇しただけであり、賃貸価値の場合も 資本価値の場合も、納税額に対する納税者数の分布は同様の傾向を示した。McCluskey,Bell and Lim supra note 22, at 138.

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経常的な収入がなくても納税しなくてはならないことから、低所得者にとっては厳し い課税になることもある。そこで、一定の所得以下の者については、減免措置を講じ ることができるよう、法改正を行う必要があろう。  開発途上国の税務執行に関しては、市民の政府に対する信頼といった点が、大きな 課題である。開発途上国での法制度整備支援がともすれば経済発展を促す道具として の面が重視され、公平中立な司法機関が欠如している点が看過されがちである。パレ スチナの不動産税評価基準の支援にあたっては、納税者の救済制度の確立も必要であ る。

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